JP7155654B2 - 接合体の製造方法 - Google Patents
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なお、第1仮焼成工程と第2仮焼成工程とは接合工程の前に行うが、各仮焼成工程の実施順序は特に限定されるものではない。つまり、第1仮焼成工程は、第2仮焼成工程よりも先に行うこともできるし、第1仮焼成工程と第2仮焼成工程とを同時に行うこともできるし、第2仮焼成工程を第1仮焼成工程よりも先に行うこともできる。
まず、本実施形態の接合材の製造方法に用いる接合材について説明する。
接合材は、銀(Ag)、金(Au)および銅(Cu)からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属粒子と、有機物と、揮発性溶媒とを含み、ペースト状に形成される。接合材は、例えば、金属粒子と揮発性溶媒とを質量比で70:30の割合で含有する。また、接合材は、例えば、金属粒子と、有機物と、揮発性溶媒とを混合した混合物を、三本ロールミル等の混錬装置を用いて混錬することにより製造できる。
また、この金属粒子は、第1金属粒子、第2金属粒子及び第3金属粒子の凝集体であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲とされていることが好ましい。金属粒子が、上記のような比較的広い粒度分布を有する凝集体であることで、金属粒子どうしの隙間が小さい緻密な金属粒子の凝集体を形成でき、ボイドの少ない接合層を形成することができる。
グリコール系溶媒の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
アセテート系溶媒の具体例としては、酢酸ブチルトールカルビテート等が挙げられる。
炭化水素系溶媒の具体例としては、デカン、ドデカン、テトラデカン等が挙げられる。
アミン系溶媒の具体例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等が挙げられる。
次に、前述した接合材を用いた接合体の製造方法について説明する。図2(d)に、本発明の第1実施形態の接合体の製造方法により製造される接合体101の断面図を示す。図2(d)に示すように、接合体101は、基板10(本発明における第1部材)と素子20(本発明における第2部材)とが、金属粒子を焼結して形成された接合層31を介して接合されてなる。
第1実施形態の接合体の製造方法は、図1に示すように、基板10の接合面上に第1仮焼成層を形成する第1仮焼成工程及び素子20の接合面上に第2仮焼成層を形成する第2仮焼成工程と、第1仮焼成層が形成された基板10と第2仮焼成層が形成された素子20とを接合して接合体101を形成する接合工程と、を備える。なお、第1仮焼成工程、第2仮焼成工程及び接合工程は、いずれも大気中に行われる。
図1のフロー図に示すように、第1仮焼成工程と第2仮焼成工程とは、接合工程の前に行うが、各工程の実施順序は特に限定されるものではない。つまり、第1仮焼成工程は第2仮焼成工程よりも先に行うこともできるし、第1仮焼成工程と第2仮焼成工程とを同時に行うこともできる。また、第2仮焼成工程を第1仮焼成工程よりも先に行うこともできる。
まず、図2(a)に示すように、基板10の接合面に接合材40を塗布する。接合材40は、例えば素子20が重ねられる位置に塗布される。また、同様に、素子20の接合面に接合材40を塗布する。これらの基板10及び素子20への接合材40の塗布は、例えば、スピンコート法、メタルマスク法、スクリーン印刷法やディスペンサ等による吐出供給により施される。
なお、第1仮焼成層41及び第2仮焼成層42のタッキング力が500mm・N未満の場合、接合工程時において第1仮焼成層41と第2仮焼成層42との密着性が低下し、接合層31を形成しにくくなるおそれがある。また、第1仮焼成層41及び第2仮焼成層42のタッキング力が1200mm・Nを超えている場合、揮発性溶媒の揮発量が少ないため、接合層31中にボイドが発生するおそれがある。
また、各仮焼成層41,42の厚さが100μmを超えた場合、接合材中の溶剤が抜けにくくなり、焼結が不十分となるおそれがある。
図2(c)に示すように、第1仮焼成層41と第2仮焼成層42とを重ねて基板10と素子20とを配置する。前述したように、第1仮焼成工程と第2仮焼成工程においては、接合材40中の揮発性溶媒の一部を揮発させており、揮発性溶媒を完全に揮発させることなく第1仮焼成層41と第2仮焼成層42を形成している。このため、接合工程において、第1仮焼成層41と第2仮焼成層42とを重ねた際に、残存する揮発性溶媒によって両仮焼成層41,42を密着させて重ねることができる。
接合層31の厚さが30μm未満の場合、基板10(本発明における第1部材)と素子20(本発明における第2部材)との線膨張係数差による熱応力を緩和しにくくなり、基板10(本発明における第1部材)や素子20(本発明における第2部材)に割れが生じるおそれがある。
接合層31の厚さが150μmを超えた場合、熱抵抗が高くなるおそれがある。
基板と素子との接合の場合以外にも本発明を適用することができる。例えば、金属板どうし(銅板と銅板のような同種金属板どうし、銅板とアルミニウム板のような異種金属板どうしのいずれも可)の接合、セラミックス基板に回路層を接合したパワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合、半導体パッケージとリードフレームとの接合などにも本発明を適用することができる。
第1部材として接合面に金メッキを施した20mm角のCu板(厚さ:1mm)を用意し、第2部材として接合面に金メッキを施した2.5mm角のSiウエハ(厚さ:200μm)を用意した。
接合材は、金属粒子として表1記載の銀粒子(Ag)を用い、表2記載の通りとし、分散剤としてオクチルアミンを用いた。
第1部材の接合面と第2部材の接合面とに、接合材をメタルマスク法により塗布した。そして、これらを表3に示す第1加熱条件で加熱して、第1部材の接合面上に第1仮焼成層を形成し、第2部材の接合面上に第2仮焼成層を形成した(第1仮焼成工程及び第2仮焼成工程)。第1仮焼成層と第2仮焼成層とは、それぞれ接合材を同じ塗布厚(30μm)にして形成した。そして、第1仮焼成層と第2仮焼成層のタッキング力と非固形分の含有量を、後述する方法により測定した。
次いで、第1仮焼成層と第2仮焼成層とを重ねて配置した積層体を、表3に示す第2加熱条件で加熱して接合層を形成し、第1部材と第2部材とを接合層を介して接合した接合体を作製した(接合工程)。そして、得られた接合体について、接合層中のボイド面積率と、第1部材と第2部材との接合強度と、を下記の方法により測定した。評価結果を表4に示す。
第1部材の接合面と第2部材の接合面とに、接合材をメタルマスク法により塗布した。各接合面に塗布した接合材は、本発明例1~17と同じ塗布厚(30μm)とした。比較例1では、第1仮焼成工程及び第2仮焼成工程を行わずに、接合工程のみ行った。したがって、比較例1では、接合材のタッキング力と非固形分の含有量を測定し、表4に示した。
また、第1部材に塗布した接合材と第2部材に塗布した接合材とを重ねて配置した積層体を、表2に示す第2加熱条件で加熱して接合層を形成し、第1部材と第2部材とを接合層を介して接合した接合体を作製した。そして、得られた接合体について、接合層中のボイド面積率と、第1部材と第2部材との接合強度と、実施例1~17と同様に測定した。
第1部材の接合面に、接合材をメタルマスク法により塗布した。第1部材の接合面に塗布した接合材は、実施例1~17及び比較例1の塗布厚の2倍の厚み(60μm)とした。この第1部材を表3に示す第1加熱条件で加熱して、第1部材の接合面上に第1仮焼成層を形成した(第1仮焼成工程)。そして、第1仮焼成層のタッキング力と非固形分の含有量を測定した。
また、第1仮焼成層を第2部材の接合面に重ねて配置した積層体を、表3に示す第2加熱条件で加熱して接合層を形成し、第1部材と第2部材とを接合層を介して接合した接合体を作製した。そして、得られた接合体について、接合層中のボイド面積率と、第1部材と第2部材との接合強度と、実施例1~17及び比較例1と同様に測定した。
タッキング力(mm・N)は、タッキング力測定装置(株式会社マルコム製のタッキネステスター:TK‐1)を用いて測定した。タッキング力は、温度25℃、湿度50%、第1仮焼成層及び第2仮焼成層の厚さ25~28μm、装置プローブの降下速度2mm/秒、加重時間5秒、引上速度5mm/秒とした測定条件において、第1仮焼成層と第2仮焼成層とに装置プローブを接触させて、再度プローブ(SUS製)が離れた時の接着力とした。
第1仮焼成層又は第2仮焼成層の非固形分の含有量は、次のようにして測定した。第1仮焼成層又は第2仮焼成層を、有機溶媒(THF:テトラヒドロフラン)を用いて溶解した後、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)フィルターにて溶解物を加圧ろ過し、銀粒子を得る。そして、予め測定しておいた第1仮焼成層又は第2仮焼成層の量から採取した銀粒子の粉末量を引くことにより、非固形分の含有量を得た。
接合体をX線透過装置(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製のX線検査装置:XD7600NT)にセットし、X線を接合体の上から照射し、ボイドを観察した。そして、接合層中のボイド面積率は、以下の式から算出した。ここで、接合層の面積は、接合層により接合すべき面積、すなわち第2部材の接合面の面積とした。また、X線透過装置において第1部材と第2部材とが剥離した部分は白色部で表されることから、この白色部の面積をボイド面積とした。
ボイド面積率(%)=(ボイド面積/接合層の面積)×100
接合強度はせん断強度評価試験機(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製のボンドテスター:Dage Series 4000)を用いて測定した。接合強度の測定は、接合体の第1部材を水平に固定し、接合層の表面から50μm上方の位置にてシェアツールを用いて、第2部材を横から水平方向に押して、第2部材が破断されたときの強度を測定した。シェアツールの移動速度は0.1mm/秒とした。一条件につき5回試験を行い、それらの平均値を測定値とした。
20 素子(第2部材)
31,32 接合層
40 接合材
41 第1仮焼成層(仮焼成層)
42 第2仮焼成層(仮焼成層)
51,52 加圧板
101 接合体
110 積層体
Claims (4)
- 銀、金および銅からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属粒子と揮発性溶媒とを含むペースト状の接合材を用いて第1部材と第2部材とを接合する接合体の製造方法であり、
前記第1部材の接合面に前記接合材を塗布し、前記接合材が塗布された前記第1部材を加熱して該接合材中の前記揮発性溶媒の一部を揮発させて前記第1部材の接合面上に第1仮焼成層を形成する第1仮焼成工程と、
前記第2部材の接合面に前記接合材を塗布し、前記接合材が塗布された前記第2部材を加熱して該接合材中の前記揮発性溶媒の一部を揮発させて前記第2部材の接合面上に第2仮焼成層を形成する第2仮焼成工程と、
前記第1仮焼成層と前記第2仮焼成層とを重ねた状態で前記第1部材と前記第2部材との積層体を加熱し、前記第1仮焼成層及び前記第2仮焼成層中に残存する前記揮発性溶媒を揮発させるとともに、前記金属粒子どうしを焼結させた接合層を生成し、該接合層を介して前記第1部材と前記第2部材とが接合された接合体を形成する接合工程と、
を備えることを特徴とする接合体の製造方法。 - 前記金属粒子が、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある第1金属粒子を60体積%以上95体積%以下の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある第2金属粒子を5体積%以上40体積%以下の範囲、粒径が50nm未満の第3金属粒子を5体積%以下の割合で含む凝集体であって、
前記凝集体は、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲とされていることを特徴とする請求項1記載の接合体の製造方法。 - 前記第1仮焼成層及び前記第2仮焼成層は、タッキング力が500mm・N以上1200mm・N以下で、前記金属粒子を除く非固形分の含有量が5質量%以上15質量%以下とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
- 前記第1仮焼成工程及び前記第2仮焼成工程は、昇温速度が5℃/分以下、加熱温度が70℃以上100℃以下、該加熱温度の加熱時間が5分以上20分以下で行い、
前記接合工程は、昇温速度が10℃/分以下、加熱温度が150℃以上、該加熱温度の加熱時間が60分以上で行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
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