JP7153669B2 - 瘢痕性眼炎症障害の治療のためのコバーシン - Google Patents

瘢痕性眼炎症障害の治療のためのコバーシン Download PDF

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Description

本発明は、シェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎のような瘢痕性眼炎症障害を治療または予防する方法に関する。
本文中に言及され、本明細書の最後に記載される全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
補体
補体系は、外敵の侵入に対抗する身体の自然防御メカニズムの欠くことのできない一部であり、炎症過程にも関与する。血清中および細胞表面の30種を超えるタンパク質が補体系の機能発揮および調節に関与している。近年、有益な過程および病的過程の両方に関連しうる補体系の約35の公知の成分だけでなく、補体系自体が、血管新生、血小板活性化、グルコース代謝および***形成のように多様な機能を有する少なくとも85の生物学的経路と相互作用することが明らかになった。
補体系は、外来抗原の存在によって活性化される。(1)IgMおよびIgG複合体によって、または糖質の認識によって活性化される古典的経路;(2)非自己表面(特異的調節分子を欠如する)および細菌エンドトキシンによって活性化される第二経路;ならびに(3)病原体表面のマンノース残基へのマンナン結合性レクチン(MBL)の結合によって活性化されるレクチン経路という3つの活性化経路が存在する。これら3つの経路は、細胞表面の類似のC3コンバターゼおよびC5コンバターゼの形成による補体活性化を招く、平行する連鎖的なイベントを含み、その結果、急性期炎症メディエーター(C3aおよびC5a)の放出および膜侵襲複合体(MAC)の形成を生じる。古典的経路および第二経路に関与する、平行する連鎖を図1に示す。(補体経路の成分を文字「C」に続く「3」などの数字で表し、それにより「C3」が補体系の第三成分を表すようにすることが慣例である。これらの成分の一部は、補体系の活性化時に切断され、切断産物は数字の後に小文字で示される。したがって、C5は、慣例的にC5aおよびC5bと呼ばれる断片に切断される。補体タンパク質は、必ずしも数字の順番で作用するわけでないので、数字は、必ずしも作用の順番を示すわけではない。この呼称の慣例が、本出願に使用される。)
古典的補体経路、第二補体経路およびレクチン補体経路は、本明細書においてまとめて補体経路と呼ばれる。C5bは、補体活性化の「後期」イベントを開始する。これらは、最終補体成分が相互作用してMACを形成する一連の重合反応を含み、MACは、一部の病原体の細胞膜に孔を開け、そのことが病原体の死に繋がる可能性がある。最終補体成分には、C5b(膜侵襲複合体の集合を開始する)、C6、C7、C8およびC9が含まれる。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、自己免疫障害である。身体の免疫系が、涙腺および唾液腺などの液体を分泌する腺を攻撃する。シェーグレン症候群の影響は、広範囲に及ぶおそれがある。ある特定の腺が炎症を起こし、炎症が、涙液および唾液の産生を減少させ、ドライアイおよび口内乾燥であるシェーグレン症候群の主な徴候を引き起こす。女性(最もよく罹患する)では、膣の湿りを保つ腺も罹患し、腟乾燥をもたらすおそれがある。
口内乾燥は、う歯、歯肉疾患、乾性咳嗽、嚥下および咀嚼困難、嗄声、発語困難、唾液腺(顎と耳との間に位置する)の腫脹、徴候として舌苔または白舌を含みうる、繰り返す口内真菌感染症(鵞口瘡)などの他の随伴徴候に至る可能性がある。
ドライアイは、眼の灼熱感またはチクチク感、眼の痒み、眼のざらつき感、眼瞼の刺激および腫脹、光敏感性(羞明)、眼の疲れおよび粘液性眼脂をもたらすおそれがある。これらの徴候は、風の強いまたは煙の多い環境、空調された建物内、または飛行機で移動中に悪化するおそれがある。
シェーグレン症候群のより重症な例では、免疫系は、身体の他の部分を攻撃し、乾燥肌、疲れおよび疲労などの徴候(symptoms)および症状(conditions)を引き起こすおそれがあり、これらは一般的であり、完全な疲労困憊、筋肉痛、関節痛、凝りおよび腫脹、血管炎(血管の炎症)ならびに集中、想起および推論の困難に至るおそれがある。
シェーグレン症候群は、身体を感染または病気から防御する代わりに、免疫系が異常に反応して健康な細胞および組織を攻撃し始める自己免疫症状である。シェーグレン症候群では、免疫系は、涙腺、唾液腺および体中の他の分泌腺(外分泌腺)を攻撃する。自己免疫反応は、外分泌腺を損傷させ、そのため外分泌腺は、もはや正常に機能することができない。免疫系がこれらの腺を制御する神経も損傷し、そのことが腺の効果をさらに減少させるという、ある程度の証拠がある。免疫系は、筋肉、関節、血管、神経および、頻度は低いが器官などの、身体の他の部分を損傷し続けるおそれがある。この理由は、分からないままであるが、研究により、これが遺伝因子、環境因子、および場合によってはホルモン因子の組合せによって誘起されることが示唆されている。
一部の人々は、生まれたときからこの症候群に対してより脆弱であり、感染などのある特定の事象が免疫系の問題を誘起し得ると考えられている。
大部分の研究者は、原発性シェーグレン症候群が遺伝因子と環境因子との組合せによって誘起されると考えている。ある特定の人々は、欠陥がある免疫系に対して自己をより脆弱にする特定の遺伝子をもって生まれる。それから何年も経って、環境因子、ことによるとよく見られるウイルスが、免疫系を誘起して、正しく働くことを止めさせる。女性ホルモンであるエストロゲンも役割を果たすように見える。シェーグレン症候群は、主として女性に発生し、徴候は、通常、エストロゲンレベルが減少し始める閉経期あたりに始まる。エストロゲンレベルの減少は、乾燥の原因になるおそれがあり、この乾燥が、症状をより顕著にする可能性がある。
シェーグレン症候群は、関節リウマチまたはループスなどの他の自己免疫症状を合併するおそれがある。これは、二次性シェーグレン症候群として知られている。
唾液腺および涙腺は、口腔および眼を保護することに極めて重要な役割を果たし、このことは、シェーグレン症候群の徴候がなぜ広範囲にわたり、厄介であり得るかの理由である。涙液は、通常、泣いたときにだけ気付かれるが、眼は常に涙液膜として知られる涙液の薄層で覆われている。涙液は、水、タンパク質、脂肪、粘液および感染と戦う細胞の混合物でできている。涙液は、いくつかの重要な機能を果たす。涙液は、眼を潤滑にし、眼を清潔に、ほこりがないよう保ち、眼を感染から守り、視覚の安定化を助ける。
唾液も、口腔および咽頭を自然に潤滑に保つこと、食物を湿らせることによって消化を助けること、ある特定のデンプンを分解できる酵素を提供すること、および天然の消毒薬として作用すること(唾液は、いくつかの一般的な細菌感染症および真菌感染症から守る抗体、酵素およびタンパク質を含有する)を含む、いくつかの重要な機能を果たす。
シェーグレン症候群は、時に、合併症につながるおそれがある。シェーグレン症候群は、リンパ節のがんである非ホジキンリンパ腫が発生するリスクを増加させる。シェーグレン症候群の女性は、子供に一時的な「ループス」紅斑または心異常がある危険が増加している。いかなる妊娠も、潜在的問題について厳密に監視しなければならない。特に、涙液の産生減少が治療されなければ、視力が永久に損なわれるおそれがある。そのうえ、シェーグレン症候群がドライアイを引き起こす場合では、好中球および他の免疫細胞を眼の患部、特に結膜および角膜に遊走させ、慢性線維性炎症を引き起こす細胞介在性免疫反応があり、これは、眼を永久に損傷するおそれがある。
シェーグレン症候群は、最も一般的には40~60歳の人々を冒し、女性が症例の約90%を占める。Arthritis Research UKは、英国内で最大50万人がシェーグレン症候群であり得ると推定している。
シェーグレン症候群は、他の症状と類似の徴候を有し、シェーグレン症候群に関する検査が1つもないので、診断が困難な場合がある。
現在のところ、シェーグレン症候群の治癒法はないが、治療が徴候の管理を助けることができる。ドライアイおよび口内乾燥は、通常、人工涙液および唾液によって改善し得る。感染を発生する危険がより高いので、眼および口内を良好な衛生状態に保つことが重要である。眼および口内をケアすることは、角膜潰瘍およびう歯などの問題の予防を助けることができる。このような治療は、通常、症候群の徴候だけを治療し、症候群の根底にある原因に影響しない。現在のところ、眼の細胞介在性炎症を予防または減少させる有効な局所治療はない。
したがって、シェーグレン症候群によって起こる眼への細胞介在性損傷を治療または予防する方法を提供する必要がある。
瘢痕性眼炎症障害
瘢痕化が、眼に対する細胞介在性損傷によって起こり、特に結膜および角膜を冒す、眼の慢性瘢痕化を引き起こすおそれがあるいくつかの他の障害がある。詳しい障害は、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎(例えばステロイド耐性アトピー性角結膜炎)である。これらには、移植片対宿主症候群性ドライアイ、乾性角結膜炎、春季カタル、眼瞼角結膜炎、通年性角結膜炎、眼性エリテマトーデス、眼型酒さ、トラコーマ、細菌性、ウイルス性または真菌性角膜炎、眼単純ヘルペスまたは帯状疱疹、遺伝性および外傷性円錐角膜、網膜色素変性症、未熟児網膜炎、ダウン症候群、骨形成不全症、アジソン病、レーバー先天黒内障、エーラス-ダンロス症候群を含むが、それに限定されない円錐角膜、地図状斑点状指紋角膜変性症、フックス角膜変性症、格子状角膜変性症、光線角膜炎、前部ぶどう膜炎、および翼状片が含まれるが、それに限定されない。これらの障害のための有効な局所治療もない。
シェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎を含む上記障害ならびに好中球および/または他の免疫系細胞などの細胞が、眼、特に結膜および角膜に遊走し、眼に瘢痕化損傷を引き起こす任意の他の障害は、本明細書において「瘢痕性眼炎症障害」と呼ばれる。
補体阻害剤
WO2004/106369(Evolutec Limited)は、補体阻害剤に関する。開示される補体阻害剤の特定のサブセットは、C5に方向づけられ、補体活性化経路のいずれかによりC5がC5aおよびC5bに開裂されるのを防止する。このようなC5開裂阻害剤の特定の例は、Ornithdoros moubata種のマダニによって産生されるタンパク質であり、このタンパク質は、WO2004/106369の図4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168からなるタンパク質である。(参照を容易にするために、WO2004/106369の図4を本出願の図2として複写する。)WO2004/106369では、このタンパク質は、名称「EV576」および「OmCIタンパク質」で知られており、より最近には、「コバーシン(Coversin)」として知られている(例えば、2016年3月28日にオンラインで公表された、Joreら、Nature Structural & Molecular Biology、Structural basis for therapeutic inhibition of complement C5 - doi:10.1038/nsmb.3196を参照されたい)。このタンパク質は、本明細書において「コバーシン」と称される。
マダニにおいて、コバーシンは、成熟コバーシンタンパク質のN末端に、WO2004/106369の図4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1~18を含むリーダー配列を有するプレタンパク質として発現する。リーダー配列は、発現後に開裂除去される。
コバーシンは、また、ロイコトリエンB4(LTB-4)活性を阻害する能力を有する。LTB-4と結合する能力は、当技術分野において公知の標準的なin vitroアッセイによって、例えば、標識LTB-4への結合を競合するコバーシンと抗LTB-4抗体との間の競合ELISAによって、等温滴定熱量測定によって、または蛍光滴定によって、実証され得る。
WO2007/028968、WO2008/029167、WO2008/029169、WO2011/083317およびWO2016/198133などの、様々な適用におけるコバーシンまたはその機能的等価物の使用に関するいくつかのさらなる特許出願がある。WO2015/185760は、コバーシンおよびその構造等価物が、C5多型の開裂を防止するのに有効であることを開示している。これらの出願のいずれにも、任意の眼症状の治療におけるコバーシンまたはその任意の機能的等価物の使用は、開示されていない。関係する全ての開示は、補体系の活性化を伴うと疑われる症状または疾患である。
Akari Therapeuticsのウェブサイト(http://akaritx.com/sjogren/)は、
「コバーシンは、60日の局所眼毒性試験を好結果で完了し、コバーシンが、眼の表面炎症に対して活性を有するという証拠がある。コバーシンの小さい分子サイズによって可能になった局所眼経路による送達は、必要な合計薬物量を減少させること、および非常に小さい局所用量が、全身補体阻害の影響を事実上打ち消すおかげで、髄膜炎感染の危険または潜在的ナイセリア感染症の予防の必要性を減少させることの両方に、相当な利点を有する。
コバーシンの特別な物理的特徴は、コバーシンをシェーグレン症候群の治療のための魅力的な候補薬にしている。シェーグレン症候群は、全身補体阻害を必要とするエクリズマブのような抗体または遺伝子療法にこの経路でアクセスできない。PNHおよびaHUSなどの全身疾患と比べて、眼用薬の開発は、潜在的に迅速であり、新薬は、典型的には対応する全身用薬よりもずっと素早く製造販売承認を獲得する」
と示している。
この開示は、眼の表面炎症を治療することに活性があり得ることを示しているだけであることが分かるであろう。しかし、このような表面炎症が影響されるメカニズムは、示されていない。シェーグレン症候群への言及は、コバーシンがこの症候群に有効であると筆者らがなぜ考えるかに関して示しておらず、この主張を裏付ける何らかのデータがあることは示していない。コバーシンは、C5開裂の阻害剤であることが公知であるので、眼の炎症は補体系の活性化が原因であり得ると筆者らが考えたと想定されるが、重ねて、このことは、データによって全く裏付けられていない。このウェブサイトが言及している活性は、ドライアイの即時徴候に対する活性であると思われる。コバーシンが任意の他の効果を有するという開示も示唆も全くされていない。したがって、依然として、シェーグレン症候群および他の瘢痕性眼炎症障害、特に、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎によって起こる眼への細胞介在性損傷を治療または予防する方法の必要性がある。
コバーシンは、瘢痕性眼炎症障害のマウスモデルにおいて徴候を軽減することが示された。コバーシンの投与は、スコア付け(以下により詳細に記載する)によって評価される、マウスモデルにおける徴候または所見(signs)の重症度に減少をもたらす。
本発明の第1の態様によると、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を治療または予防する方法であって、前記瘢痕性眼炎症障害を患う、またはその危険がある患者に、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物を含有する組成物を適用することを含む方法が、提供される。
好ましくは、組成物は、眼科的に許容される組成物であり、組成物は、患者の眼に局所適用される。
本発明の第2の態様により、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を患う患者またはその危険がある患者に組成物を適用することによって、前記瘢痕性眼炎症障害を治療または予防する方法における使用のための、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物を含有する組成物が、提供される。
好ましくは、組成物は、眼科的に許容される組成物であり、組成物は、患者の眼に局所適用するためのものである。
以下において、「コバーシン型タンパク質」という用語は、「WO2004/106369の図4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物」についての略記として使用される。
「眼科的に許容される組成物」という用語は、眼に損傷を引き起こさずに眼に適用することができる組成物を示す。このような組成物は、当業者に公知であり、それらには、例えば、コンタクトレンズ使用者によって使用される人工涙液および湿潤性溶液が含まれる。このような組成物は、水、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)のように単純であり得るが、また、1または2以上の添加剤を含有する任意の他の緩衝溶液であり得る。眼は、乳剤、軟膏、クリーム剤、エアロゾル噴霧剤、ゲル剤もしくは治療用物質の送達用のナノ粒子で、またはイオン泳動により治療され得ることも公知である。これらの組成物のいずれかが、本発明の全ての態様で使用され得る。このような眼科的に許容される組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、2012に記載されている。
コバーシン型タンパク質は、好ましくは、瘢痕性眼炎症障害の徴候の出現から3日以内に最初に患者に投与され、次に、徴候が出現した後、患者に少なくとも1日1回、最大で10日間またはより長く投与される。したがって、コバーシン型タンパク質は、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9または1~10日目またはより長く、あるいは2~5、2~6、2~7、2~8、2~9または2~10日目またはより長く、あるいは3~5、3~6、3~7、3~8、3~9または3~10日目またはより長く投与されてもよく、その際、1日目は、徴候が出現した日である。しかし、シェーグレン症候群などの遺伝性障害を患う患者について、治療は、長い期間、場合によっては生涯継続される必要があり得る。
あるいは、コバーシン型タンパク質は、瘢痕性眼炎症障害の徴候が出現した後の任意の時間に患者に投与され得る。治療は、最大でまたは少なくとも1、2、3、4、5、6週間または最大でまたは少なくとも1、2、3、4、5、6ヶ月継続し得る。
有利には、コバーシン型タンパク質は、患者に少なくとも1回、または少なくとも1日2回、好ましくは少なくとも1日3回投与される。
好ましくは、コバーシン型タンパク質の局所用量は、1回5から50μgの間、より好ましくは1回10から40μgの間、最も好ましくは1回20から30μgの間である。あるいは、用量は、1回50~200μg、例えば1回60~150、70~125μgまたは1回約125μgであり得る。
組成物を局所適用する際、ある特定の滴数またはある特定の長さの軟膏剤が眼に適用されることが通常指示される。眼科的に許容される組成物中のコバーシン型タンパク質の濃度を調整して、適用の指導に従った場合に正確な1日量が投与されることを保証することは、当業者に日常的な事項である。例えば、1滴は、通常、約40μlであり、したがって、0.063% w/vを含有する溶液1滴は、コバーシンを25.2μg含有する。
あるいは、組成物は、そのコバーシン型タンパク質濃度により定義される。例えば、組成物は、0.063%w/v、0.125%w/vもしくは0.25%w/vのコバーシン型タンパク質、または0.063%w/v~0.25%w/vのコバーシン型タンパク質を含み得る。組成物は、0.0125%w/v~0.5%w/vのコバーシン型タンパク質、例えば0.025%w/v~0.4%w/v、0.05%w/v~0.3%w/v、0.1%w/v~0.25%w/vのコバーシン型タンパク質を含み得る。
眼への細胞介在性損傷を予防または治療することにおけるコバーシン型タンパク質の効果が、治療の比較的後期段階に見られることが、驚くことに見出された。実験モデルでは、コバーシン型タンパク質の初回の適用が徴候に顕著な効果を有さないが、コバーシン型タンパク質の最初の投与から一般的に1~7日、より頻繁には3~5日遅れた後で、徴候に顕著な軽減があり、好中球および他の潜在炎症性または損傷性細胞の眼への遊走が阻害されることが観察された。以下によって縛られることを全く望まないものの、この効果は、C5の開裂の阻害によって起こると考えられる。しかし、結果は、MACなどの補体系活性成分による眼への即時損傷が少ないということではない。むしろ、C5の開裂の阻害は、さもなければ好中球および他の潜在炎症性または損傷性細胞を眼に動員するシグナル伝達化合物の産生を防止する。
顆粒球動員に関連する炎症、特に、眼表面炎症での炎症促進メディエーターLTB4の役割について増え続ける証拠もある(Masoudiら、Differences in Tear Film Biochemistry of Symptomatic and Asymptomatic Lens Wearers、Optom Vis Sci.2017 Sep;94(9):914~918;Leonardi、Allergy and allergic mediators in tears、Experimental Eye Research 117(2013)106~117およびSadikら、Neutrophils cascading their way to inflammation、Trends Immunol.2011 October;32(10):452~460を参照されたい)。したがって、LTB4の活性を阻害する、本発明における使用のための薬剤(コバーシン、コバーシン型タンパク質、または改変コバーシンポリペプチドなど)は、LTB4媒介炎症に関連する所見および徴候に対してプラスの効果を有し得る。
対象は、治療の結果として、徴候の発生率の減少、徴候の軽減、徴候の発生もしくは再発生の阻害もしくは遅延、またはその組合せを有し得る。好ましくは、治療は、典型的な疾患症状の徴候の減少を生じる。例えば、これは、発赤、結膜浮腫および流涙の減少として現れ得る。これは、追加的または代替的に、眼に対する細胞媒介損傷の減少、および/または眼への好中球および/または他の損傷性細胞の遊走の減少として現れ得る。
徴候は、Akpek(Akpek EK、Dart JK、Watson S、Christen W、Dursun D、Yoo S、O’Brien TP、Schein OD、Gottsch JD.A randomized trial of topical cyclosporin 0.05% in topical steroid-resistant atopic keratoconjunctivitis、Ophthalmology、2004;111:476~82)によって記載される方法を使用する臨床スコア付けにより評価され得る。
例えば、患者の来院の度に最もひどく罹患していると判断された方の眼だけ(または両眼の罹患が等しいと患者が判断した場合は右眼)をスコア付けする、5つの徴候および6つの所見の複合スコアを使用することができる。スコア付けは、0~3の等級であり得る(0は非罹患、1は軽度罹患、2は中等度罹患、3は重度罹患)。このスコア付けシステムを使用する、徴候および所見を合わせたものについての最大可能スコアは、33である。
以下の徴候をスコア付けすることができる:
1. 痒み
2. 流涙
3. 不快感(灼熱感、チクチク感または異物感)
4. 眼脂
5. 羞明
以下の所見をスコア付けすることができる:
1. 眼球結膜充血
2. 眼瞼結膜乳頭増殖
3. 点状角膜炎
4. 角膜血管新生
5. 瘢痕性結膜炎
6. 眼瞼炎
Figure 0007153669000001
好ましくは、治療は、上記表に示される1または2以上の徴候および所見のスコアに減少を生じる。好ましくは、治療は、痒み、流涙、不快感(灼熱感、チクチク感または異物感)、眼脂、羞明、眼球結膜充血、眼瞼結膜の乳頭増殖、点状角膜炎、角膜血管新生、瘢痕性結膜炎および眼瞼炎のうち任意の1または2以上(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10または11)のスコアに減少を生じる。
一実施形態では、治療は、痒みのスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、流涙のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、不快感(灼熱感、チクチク感または異物感)のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、眼脂のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、羞明のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、眼球結膜充血のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、眼瞼結膜の乳頭増殖のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、点状角膜炎のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、角膜血管新生のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、瘢痕性結膜炎のスコアに減少を生じる。一実施形態では、治療は、眼瞼炎のスコアに減少を生じる。
一部の対象は、徴候の完全消散を有し、さらなる再発を有さない。
一部の実施形態では、効果は、好中球の関与の減少または防止によって媒介され得る。
治療は、また、疾患の1または2以上のステージの開始前、または疾患ステージの進行の間の潜在期間の増加を招き得る。一部の実施形態では、水疱形成が予防され得る。
治療は、また、必要とされる第2の治療の量または期間の減少を招き得る。
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を有する患者における眼への細胞媒介損傷を減少させる方法であって、前記瘢痕性眼炎症障害を患うまたはその危険がある患者に、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物を含有する組成物を適用することを含む方法を提供する。
代替的に述べると、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物を含有する組成物であって、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を患うまたはその危険がある患者に組成物を適用することによって、前記瘢痕性眼炎症障害を有する患者における眼への細胞媒介損傷を減少させる方法における使用のための組成物が、提供される。治療が、第2の治療の量、または第2の治療による治療期間に減少を生じる場合、減少は、本発明の薬剤の非存在下で使用される第2の治療の量と比較して、最大でまたは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80%であり得る。疾患パラメーターにおける任意の減少または増加への任意の参照は、処置の非存在下で前記対象と比較される。好ましくは、パラメーターは、定量でき、この場合、増加または減少は、好ましくは統計的に有意である。例えば増加または減少は、治療の非存在下(例えば、前記治療が開始される前)のパラメーターと比較して、少なくとも3、5、10、15、20、30、40、50%であり得る。
驚くことに、より高い用量よりもより低い用量の方が、治療の有効性が大きいことも見出された。治療レジメンについて、通常は、望まれない副作用を誘導せずに患者に可能な限り多くの活性物質が与えられるので、これは、珍しいことである。コバーシンは、一般的に低い副作用を有するので、より高い用量で全身使用できることが公知である。しかし、シェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎などの瘢痕性眼炎症障害の徴候は、より高い用量を使用するよりも、より低い用量のコバーシンを使用する方が大きく軽減することが見出されている。したがって、特に、上述のように長期間にわたる使用と組み合わせて、より低い用量のコバーシン型タンパク質を使用することが好ましい。以下により、いかなる点でも縛られることを望むわけではないが、コバーシン型タンパク質が一般名でタンパク質であるのでこの効果が見られると考えられ、タンパク質は、眼に局所適用されると炎症を引き起こすおそれがあることが見出されている。したがって、より低い用量のコバーシン型タンパク質を使用することは、細胞遊走の所望の阻害と、眼の炎症における望まれない増大との均衡を保ち得る。
コバーシン型タンパク質は、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)におけるアミノ酸配列のアミノ酸19~168からなるタンパク質であるコバーシン自体、またはこのタンパク質の機能的等価物のいずれかである。
コバーシンは、マダニOrnithodoros moubataの唾液腺から単離された。コバーシンは、リポカリンファミリーの遠いメンバーであり、補体活性化を阻害することが示された最初のリポカリンファミリーのメンバーである。コバーシンは、C5に結合し、C5コンバターゼによるC5のC5aおよびC5bへの開裂を防止することによって、古典的補体経路、第二補体経路、およびレクチン補体経路を阻害することで、活性ペプチドであるC5aの産生およびMACの形成の両方を阻害する。コバーシンは、ラット、マウスおよびヒト血清中でC5に結合し、C5コンバターゼによるC5の開裂を約0.02mg/mlのIC50で防止することが実証されている。
コバーシン型タンパク質は、WO2004/106369の図4におけるアミノ酸配列のアミノ酸1~168を含むか、またはそれからなってもよい。その図4に示されるタンパク質配列の最初の18アミノ酸は、C5結合活性またはLTB-4結合活性に必要とされないシグナル配列を形成するので、これは、例えば、組換えタンパク質の産生効率に不必要な場合がある(その結果、成熟タンパク質または成熟タンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質が使用される)。
コバーシンタンパク質は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して決定された1nMのKdでC5に結合することが実証されている[Roversi、Pら、Journal of Biological Chemistry 2013、288(26)18789~18802]。コバーシンタンパク質の機能的等価物は、好ましくは、好適には360nM未満、より好適には300nM未満、最も好適には250nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは150nM未満、最も好ましくは100nM未満、さらにより好ましくは50、40、30、20、または10nM未満、有利には5nM未満のKdでC5と結合する能力を保持し、その際、前記Kdは、好ましくは[Roversi、Pら、Journal of Biological Chemistry 2013、288(26)18789~18802]に記載された方法により、表面プラズモン共鳴を使用して決定される。
コバーシンは、古典的補体経路、第二補体経路およびレクチン補体経路を阻害する。好ましくは、コバーシン型タンパク質は、C5の全体的コンフォメーションを安定化するが、C5コンバターゼ開裂部位を遮断しないように、C5に結合する。C5へのコバーシンの結合は、C5の全体的コンフォメーションの安定化を招くが、3つの活性化経路C5コンバターゼによって標的化されるC5開裂部位を直接的には遮断しない。コバーシンの機能的等価物も、好ましくはこれらの特性を共有する。
コバーシンは、LTB-4と結合することも実証されている。コバーシンの機能的等価物は、好ましくは、コバーシンと類似の親和性でLTB-4と結合する能力も保持する。しかし、コバーシン型タンパク質がC5結合能を保持する場合、これは必須ではないので、このようなコバーシン型タンパク質は、LTB-4に顕著にまたは全く結合する必要がない。C5結合能を保持するが、LTB-4結合活性を保持しないコバーシン型タンパク質は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれているWO2010/100396に開示されている。減少したLTB-4結合能を有する、またはLTB-4結合能を有さないこのようなコバーシン型タンパク質は、本発明の全ての態様に使用され得る。
コバーシンは、また、LTB-4と結合することが実証されている。コバーシンの機能的等価物は、また、コバーシンと類似の親和性でLTB-4と結合する能力を保持し得る。コバーシン型タンパク質がC5結合能を保持しない場合、このようなコバーシン型タンパク質は、顕著なLTB-4結合能を保持するはずである。C5結合能を保持しないが、LTB-4結合活性を保持するコバーシン型タンパク質は、例えば、2017年4月21日に出願された同時係属のUK特許出願GB1706406.4(出願者参照番号P070475GB)および本出願が出願されたのと同じ日に出願された国際出願PCT/EP2018/××××××(出願者参照番号P070475WO)に開示されており、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。減少したC5結合活性を有する、またはC5結合活性を有さないが、LTB-4結合能を保持するこのようなコバーシン型タンパク質は、本発明の全ての態様に使用され得る。
このようなコバーシン型タンパク質は、以下の配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。
配列番号34(GB1706406.4の配列番号5)は、配列番号4が、Met114をGlnに、Met116をGlnに、Leu117をSerに、Asp118をAsnに、Ala119をGlyに、Gly120をSerに、Gly121をAlaに、Leu122をAspに、Glu123をAspにおよびVal124をLysに変更するように改変された改変コバーシンのアミノ酸配列である。(コバーシンバリアント1)
配列番号35(GB1706406.4の配列番号6)は、配列番号4が、Ala44をAsnに、Met116をGlnに、Leu117をSerに、Gly121をAlaに、Leu122をAspに、Glu123をAlaにおよびAsp149をGlyに変更するように改変された改変コバーシンのアミノ酸配列である。(コバーシンバリアント2)
配列番号36(GB1706406.4の配列番号7)は、配列番号4が、Ala44をAsnに、Met116をGlnに、Leu122をAspにおよびAsp149をGlyに変更するように改変された改変コバーシンのアミノ酸配列である。(コバーシンバリアント3)
配列番号37(GB1706406.4の配列番号8)は、配列番号4が、Ala44をAsnに変更するように改変された改変コバーシンのアミノ酸配列である。(コバーシンバリアント4)
配列番号38(GB1706406.4の配列番号9)は、配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号2のアミノ酸位置132~142)のベータHとアルファ2との間のループのアミノ酸配列である。
配列番号39(GB1706406.4の配列番号10)は、コバーシンバリアント1における配列番号4(配列番号34)のアミノ酸位置114~124のベータHとアルファ2との間のループのアミノ酸配列である。
配列番号40(GB1706406.4の配列番号11)は、コバーシンバリアント2における配列番号4(配列番号35)のアミノ酸位置114~124のベータHとアルファ2との間のループのアミノ酸配列である。
配列番号41(GB1706406.4の配列番号12)は、コバーシンバリアント3における配列番号4(配列番号36)のアミノ酸位置114~124のベータHとアルファ2との間のループのアミノ酸配列である。
コバーシン型ポリペプチドは、改変コバーシンポリペプチド(例えば、ロイコトリエンまたはヒドロキシエイコサノイド結合活性を示し、減少したC5結合性を示すか、またはC5結合性を示さない)として記載され得る。「改変コバーシンポリペプチド」への言及は、配列番号2または配列番号4のいずれかの改変バージョン、すなわち、配列番号2のN末端に見られる18アミノ酸のシグナル配列を有するまたは有さないコバーシンポリペプチドへの言及として理解されたい。
このようなポリペプチドは、ロイコトリエンまたはヒドロキシエイコサノイド結合活性を示し、減少したC5結合性を示すか、またはC5結合性を示さなくてもよく、1~30のアミノ酸置換がなされた配列番号4、ここで
(i)配列番号4の114~124位に、以下の置換(a)~(j):
a. Met114が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThrで置換されている;
b. Met116が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThrで置換されている;
c. Leu117が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、またはProで置換されている;
d. Asp118が、Asn、Gln、Arg、Lys、Gly、Ala、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、His、またはThrで置換されている;
e. Ala119が、Gly、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHisで置換されている;
f. Gly120が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHisで置換されている;
g. Gly121が、Ala、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHisで置換されている;
h. Leu122が、Asp、Glu、Asn、Ala、Gln、Arg、Lys、Pro、またはHisで置換されている;
i. Glu123が、Asp、Ala、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Pro、His、またはThrで置換されている;
j. Val124が、Lys、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThrで置換されている
のうち1または2以上がなされており;または/および
(ii)配列番号4中のAla44が、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHisで置換されている;
または改変コバーシンポリペプチドのN末端から最大5つのアミノ酸が欠失されているその断片を含むことができる。
本明細書に使用されるLK/E結合活性は、LTB4、B4イソロイコトリエンおよびその任意のヒドロキシル化誘導体、HETE、HPETEならびにEETを含むが、それに限定されないロイコトリエンおよびヒドロキシエイコサノイドに結合する能力を表す。LTB4結合性が、特に関心対象である。
改変コバーシンポリペプチドは、以下の説明により改変された、配列番号2もしくは4からなるか、または以下の説明により改変された配列番号2もしくは4を含んでいてもよい。
配列番号2および配列番号4における未改変コバーシンポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号2のアミノ酸位置132~142)のベータHとアルファ2との間のループを特徴とする。このループは、以下に示される配列を有する:
-Met-Trp-Met-Leu-Asp-Ala-Gly-Gly-Leu-Glu-Val- (配列番号38)
最初のMetは、配列番号4の114位および配列番号2の132位にある。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、配列番号2または配列番号4のコバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換(a)~(j):
a. Met114が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnまたはAlaで置換されている;
b. Met116が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnまたはAlaで置換されている;
c. Leu117が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、またはPro、好ましくはSerまたはAlaで置換されている;
d. Asp118が、Asn、Gln、Arg、Lys、Gly、Ala、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Met Pro、His、またはThr、好ましくはAsnで置換されている;
e. Ala119が、Gly、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはGlyまたはAsnで置換されている;
f. Gly120が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはSerまたはAsnで置換されている;
g. Gly121が、Ala、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはAlaまたはAsnで置換されている;
h. Leu122が、Asp、Glu、Asn、Ala、Gln、Arg、Lys、Pro、またはHis、好ましくはAspまたはAlaで置換されている;
i. Glu123が、Asp、Ala、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Pro、His、またはThr、好ましくはAsp、Ala、GlnまたはAsnで置換されている;
j. Val124が、Lys、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはLysまたはAlaで置換されている
のうち1または2以上がなされるように改変されている。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、配列番号2または配列番号4におけるコバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換(a)~(j):
a. Met114が、Glnで置換されている;
b. Met116が、Glnで置換されている;
c. Leu117が、Serで置換されている;
d. Asp118が、Asnで置換されている;
e. Ala119が、Glyで置換されている;
f. Gly120が、Serで置換されている;
g. Gly121が、Alaで置換されている;
h. Leu122が、Aspで置換されている;
i. Glu123が、Asp、またはAlaで置換されている;
j. Val124が、Lysで置換されている
のうち1または2以上がなされるように改変することができる。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、置換(a)~(j)のうち2、3、4、5、6、7、8、9、または10が存在する。好ましくは、置換(a)~(j)のうち2つ以上、5つ以上または8つ以上が存在する。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、配列番号2または配列番号4におけるコバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換:
a. Met114が、Glnで置換されている;
b. Met116が、Glnで置換されている;
c. Leu117が、Serで置換されている;
d. Asp118が、Asnで置換されている;
e. Ala119が、Glyで置換されている;
f. Gly120が、Serで置換されている;
g. Gly121が、Alaで置換されている;
h. Leu122が、Aspで置換されている;
i. Glu123が、Aspで置換されている;
j. Val124が、Lysで置換されている
が存在するように改変することができる。
必要に応じて、上述の改変コバーシンポリペプチドにおいて、Trp115は置換されていない。好ましい改変コバーシンポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸位置114~124のベータHとアルファ2との間に、配列Gln-Trp-Gln-Ser-Asn-Gly-Ser-Ala-Asp-Asp-Lys(配列番号39)を有するループを有する。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換:
a. Met114が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnで置換されている;
b. Leu117が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、またはPro、好ましくはSerで置換されている;
c. Gly121が、Ala、Asp、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはAlaで置換されている;
d. Leu122が、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、Lys、Pro、またはHis、好ましくはAspで置換されている;
e. Glu123が、Asp、Ala、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Pro、His、またはThr、好ましくはAspで置換されている
が存在するように改変することができる。
より詳細な実施形態では;
a. Met116は、Glnで置換されている;
b. Leu117は、Serで置換されている;
c. Gly121は、Alaで置換されている;
d. Leu122は、Aspで置換されている;
e. Glu123は、Alaで置換されている。
必要に応じて、上述のこの改変コバーシンポリペプチドでは、Trp115は置換されていない。必要に応じて、この実施形態では、Met114、Trp115、Asp118、Ala119、Gly120およびVal124は、置換されていない、または本明細書の他で言及されたように保存的置換で置換されている。好ましい改変コバーシンポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸位置114~124のベータHとアルファ2との間に、配列Met-Trp-Gln-Ser-Asp-Ala-Gly-Ala-Asp-Ala-Val(配列番号40)を有するループを有する。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位で以下の置換:
a. Met116が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnで置換されている;
b. Leu122が、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、Lys、Pro、またはHis、好ましくはAspで置換されている;
が存在するように改変することができる。
より詳細な実施形態では;
a. Met116は、Glnで置換されている;
b. Leu122は、Aspで置換されている。
必要に応じて、上述のこの改変コバーシンポリペプチドにおいて、Trp115は、置換されていない。必要に応じて、この実施形態では、Met114、Trp115、Leu117、Asp118、Ala119、Gly120、Gly121、Glu123およびVal124は、置換されていない。好ましい改変コバーシンポリペプチドは、配列Met-Trp-Gln-Leu-Asp-Ala-Gly-Gly-Asp-Glu-Valを有する配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号41)のベータHとアルファ2との間にループを有する。
改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4中のAla44(配列番号2中のAla62)がAsn、Asp、Gln、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHisで置換されるように改変することができる。
好ましい実施形態では、配列番号4中のAla44は、Asnで置換されている。
配列番号4の44位(または配列番号2の62位)でのこの置換は、本明細書に記載される他の置換のいずれかと組み合わせてなされ得る。
別の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換(a)~(j):
a. Met114が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnまたはAla、例えばGlnで置換されている;
b. Met116が、Gln、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはGlnまたはAla、例えばGlnで置換されている;
c. Leu117が、Ser、Asp、Asn、Glu、Arg、Lys、Gly、Ala、またはPro、好ましくはSerまたはAla、例えばSerで置換されている;
d. Asp118が、Asn、Gln、Arg、Lys、Gly、Ala、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Met Pro、His、またはThr、好ましくはAsnで置換されている;
e. Ala119が、Gly、Asp、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはGlyまたはAsn、例えばGlyで置換されている;
f. Gly120が、Ser、Asp、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはSerまたはAsn、例えばSerで置換されている;
g. Gly121が、Ala、Asp、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはAlaまたはAsn、例えばAlaで置換されている;
h. Leu122が、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、Lys、Pro、またはHis、好ましくはAspまたはAla、例えばAspで置換されている;
i. Glu123が、Asp、Ala、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Pro、His、またはThr、好ましくはAsp、Ala、GlnまたはAsn、例えばAspまたはAlaで置換されている;
j. Val124が、Lys、Gln、Asn、Arg、Lys、Gly、Ala、Pro、His、またはThr、好ましくはLysまたはAla、例えばLysで置換されている
のうち1または2以上が存在し、かつ追加的に、配列番号4中のAla44(配列番号2中のAla62)が、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、Lys、Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、Pro、またはHis、好ましくはAsnで置換されるように改変することができる。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換:
a. Met116が、Glnで置換されている;
b. Leu117が、Serで置換されている;
c. Gly121が、Alaで置換されている;
d. Leu122が、Aspで置換されている;
e. Glu123が、Alaで置換されている
が存在し、かつ配列番号4中のAla44が、Asnで置換されるように改変することができる。
本実施形態の好ましい態様では、配列番号4の114~124位に対応するアミノ酸残基は、配列番号40に示される通りである。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換:
a. Met116が、Glnで置換されている;
b. Leu122が、Aspで置換されている
が存在し、かつ配列番号4中のAla44がAsnで置換されるように改変されている。
本実施形態の好ましい態様では、配列番号4の114~124位に対応するアミノ酸残基は、配列番号41に示される通りである。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4中のAsp149が、Gly、Gln、Asn、Ala、Met、Arg、Lys、Leu、Ser、Ile、Phe、Tyr、Pro、His、またはThrで置換されるように改変することができる。一部の実施形態では、コバーシンポリペプチドは、配列番号4のAsp149がGlyで置換されるように改変される。配列番号4の149位(配列番号2の167位)でのこの置換は、本明細書に記載される他の置換のうちいずれかと組み合わせてなされ得る。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位に以下の置換:
a. Met116が、Glnで置換されている;
b. Leu117が、Serで置換されている;
c. Gly121が、Alaで置換されている;
d. Leu122が、Aspで置換されている;
e. Glu123が、Alaで置換されている
が存在し、配列番号4中のAla44が、Asnで置換され、配列番号4のAsp149が、Gly149で置換されるように改変することができる。
本実施形態の好ましい態様では、配列番号4の114~124位に対応するアミノ酸残基は、配列番号40に示される通りである。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、コバーシンポリペプチドは、配列番号4の114~124位で以下の置換:
a. Met116が、Glnで置換されている;
b. Leu122が、Aspで置換されている
が存在し、
配列番号4中のAla44が、Asnで置換され、配列番号4のAsp149が、Gly149で置換されるように改変することができる。
本実施形態の好ましい態様では、配列番号4の114~124位に対応するアミノ酸残基は、配列番号41に示される通りである。
本開示の様々な態様および実施形態では、改変コバーシンポリペプチドは、配列番号2および配列番号4における未改変コバーシンポリペプチドと1~30のアミノ酸が異なる。配列番号2および配列番号4におけるコバーシンポリペプチドに任意の修復が行われ得るが、但し、結果として生じる改変コバーシンポリペプチドが、未改変コバーシンポリペプチドと比較してLK/E結合活性を示し、減少したC5結合性を示す、またはC5結合性を示さない。
一部の実施形態では、配列番号4の6、38、100、128、129、150位にある6つのシステインアミノ酸は、本発明の改変コバーシンポリペプチドに保持されている。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、配列番号4中のAsn60およびAsn84は、それぞれGlnで置換されている。この改変は、ポリペプチドを酵母において発現させた場合に、N結合型高グリコシル化を防止するために部位特異的変異誘発により実施することができる。
一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、配列番号4中の以下のアミノ酸:Phe18、Tyr25、Arg36、Leu39、Gly41、Pro43、Leu52、Val54、Met56、Phe58、Thr67、Trp69、Phe71、Gln87、Arg89、His99、His101、Asp103、およびTrp115のうち1または2以上が、LTB4との結合に関与すると考えられ、したがって、未改変形態で保持され得る。一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、これらのアミノ酸のうち少なくとも5、10もしくは15、または全てが、本発明の改変コバーシンポリペプチドにおいて未改変形態で保持されている。一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、これらのアミノ酸のうち1または2以上が、保存的に置換され得る。一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、これらのアミノ酸のうち最大で5、10もしくは15、または全てが、本発明の改変コバーシンポリペプチドにおいて保存的に置換されている。
配列番号4中の以下の位置:5、6、11、13~15、20~21、24~27、29~32、35~41、45、47~48、50、52~60、64、66、69~81、83、84、86、90~94、97~104、112~113、115、125~129、132~139、145、148、および150のアミノ酸は、コバーシンとTSGP2およびTSGP3との間で高度に保存されている。
配列番号4中の以下の位置:5、6、11、13~15、18、20~21、24~27、29~32、35~41、43、45、47~48、50、52~60、64、66、67、69~81、83、84、86、87、89、90~94、97~104、112~113、115、125~129、132~139、145、148、および150のアミノ酸は、LTB4への結合に関与すると考えられ、および/またはコバーシンとTSGP2およびTSGP3との間で高度に保存されている。
配列番号4中の以下の位置:5、6、11、13~15、18、20~21、24~25、27、30~32、35~41、43、47~48、50、52~60、64、66、67、69~81、83、84、86、87、89、90~94、98、100、102~104、112~113、115、126、128~129、132~139、145、148、および150のアミノ酸は、LTB4への結合に関与すると考えられ、および/またはコバーシンとTSGP2およびTSGP3との間で高度に保存されている。
したがって、一部の改変コバーシンポリペプチドにおいて、上記アミノ酸は、未改変形態で保持されている。一部の実施形態では、これらのアミノ酸のうち少なくとも5、10もしくは15、または全てが、本発明の改変コバーシンポリペプチドにおいて未改変形態で保持されている。一部の実施形態では、これらのアミノ酸のうち1または2以上が、保存的に置換され得る。一部の実施形態では、これらのアミノ酸のうち最大で5、10もしくは15、20、25、30、40、50または全てが、本発明の改変コバーシンポリペプチドにおいて保存的に置換されている。
本明細書に記載される改変コバーシンポリペプチドは、典型的には、配列番号2または配列番号4と1~30、好ましくは2~25、より好ましくは3~20、さらにより好ましくは4~15のアミノ酸が異なる。典型的には、差異は、5~12、または6~10のアミノ酸変化である。例えば、1~30、または2~25、3~30、4~15、5~12、または6~10のアミノ酸置換が、配列番号2または配列番号4になされ得る。
配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号2のアミノ酸位置132~142)のベータHとアルファ2との間に配列番号39に示されるようなループを有する改変コバーシンポリペプチドは、このループが存在する結果として配列番号4と比較して10のアミノ酸置換を有する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される改変コバーシンポリペプチドは、好ましくは、配列番号34に示される置換以外に配列番号4と比較して(例えば配列番号39のループ中に)1~15、2~10、3~5、または最大で2、3、4もしくは5の追加的な置換を有する。
配列番号40に示されるような、配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号2のアミノ酸位置132~142)のベータHとアルファ2との間にループを有する改変コバーシンポリペプチドは、このループが存在する結果として配列番号4と比較して5のアミノ酸置換を有する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される改変コバーシンポリペプチドは、好ましくは、配列番号35に示される置換以外に配列番号4と比較して(例えば、配列番号40のループ中に)1~20、2~15、3~10、または最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10の追加的な置換を有する。追加的な置換には、好ましくは、本明細書の他の箇所に示されるような44位および149位の置換が含まれる。
配列番号41に示されるように配列番号4のアミノ酸位置114~124(配列番号2のアミノ酸位置132~142)のベータHとアルファ2との間にループを有する改変コバーシンポリペプチドは、このループが存在する結果として配列番号4と比較して2つのアミノ酸置換を有する。したがって、一部の実施形態では、改変コバーシンポリペプチドは、好ましくは、配列番号36に示される置換以外に配列番号4と比較して1~25、2~12、3~15、または最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の追加的な置換(例えば、配列番号41のループ中の置換)を有する。追加的な置換には、好ましくは、本明細書の他の箇所に示されるような44位および149位の置換が含まれる。
本明細書の他の箇所に示されるように配列番号4の44位に置換を有する改変コバーシンポリペプチドは、好ましくは、配列番号4と比較して、1~25、2~12、3~15、または最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の追加的な置換を有する。
上で明確に述べられる置換以外の置換は、好ましくは、例えば次の表による保存的置換である。第2列の同じブロック内にあり、好ましくは第3列の同じ行にあるアミノ酸は、相互に置換され得る。
Figure 0007153669000002
好ましい改変コバーシンポリペプチドは、配列番号34、35、36、37のうち1つに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。
本発明は、また、上述の改変コバーシンポリペプチドの断片であって、改変コバーシンポリペプチドのN末端から最大で5つのアミノ酸が欠失されている断片の使用を包含する。断片は、改変コバーシンポリペプチドのN末端からの1、2、3、4または5つの欠失に対応し得る。配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列における他の位置からの欠失は、また、結果として生じるポリペプチドが改変コバーシンのLK/E結合活性を保持し、減少した補体阻害剤活性を有する、または補体阻害剤活性を有さないならば、本発明の一部を形成すると考えられる。
RaCIタンパク質もC5に結合し、このような結合によってC5のC5aおよびC5bへの変換を阻害し得ることが実証されている。RaCIタンパク質は、上で引用されるその全内容が参照により本明細書に組み込まれているJoreの論文に記載されている。このようなタンパク質は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれているWO2015/185945に、より詳細に記載されている。
WO2015/185945に示されるように、第1の態様では、WO2015/185945の発明は、
(a)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のうち任意の1つのアミノ酸配列;
(b)(a)と少なくとも60%の配列同一性を有するバリアントアミノ酸配列;
(c)(a)と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(d)少なくとも40、50、60、65、70または75アミノ酸長である、(a)、(b)または(c)の活性断片
を含むか、またはそれからなる単離ポリペプチドを提供し、その際、配列同一性の数および配列同一性の決定は、WO2015/185945に開示される通りである。これらのポリペプチドのうち任意のものが、本発明の全態様に使用され得る。
参照を容易にするために、WO2015/185945で参照された配列を本出願において下記の配列番号で示す。
Figure 0007153669000003
C5に結合し、その開裂を阻害するモノクローナル抗体および小分子は、様々な疾患、特にPNH、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび移植片拒絶を治療するために開発済みおよび開発中である(Ricklin D & Lambris J、Nature Biotechnology、25:1265~1275(2007))。これらのモノクローナル抗体および小分子のいずれかは、また、本発明の全態様に使用され得る。しかし、これらのモノクローナル抗体の一部は、ある特定のC5多型を有する対象からのC5に結合せず、したがって、これらの対象には無効である(Nishimura、Jら、New Engl J.Med.、30;7:632~639(2014))。好ましくは、コバーシン型タンパク質は、抗体ではなく、野生型C5だけでなく、C5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にする、またはエクリズマブによる治療の効力を減少させるC5多型)を有する対象からのC5にも結合し、その開裂を阻害するタンパク質である。「C5多型」という用語は、野生型C5と比較して、どれも1または2以上であり得る挿入、欠失、アミノ酸置換、フレームシフト、短縮化、またはこれらの変化の1または2以上の組合せによって変化された任意のバージョンのC5を含む。ヒト対象において、野生型C5は、受託番号NP_001726.2;バージョンGI:38016947のC5タンパク質である。C5多型の例には、モノクローナル抗体エクリズマブの有効性を減少させる、885位での多型、例えば、Arg885Cys(c.2653C>Tによりコードされる)、p.Arg885His(c.2654G>Aによってコードされる)およびArg885Serが含まれる[Nishimura、Jら、New Engl J.Med.、30;7:632~639(2014)。
コバーシン型タンパク質が、C5多型を有する対象からのC5を含むC5と結合する能力は、当技術分野において公知の標準的なin vitroアッセイにより、例えば表面プラズモン共鳴により、または標識C5を有するゲル上でのタンパク質のインキュベーション後のウエスタンブロットにより、決定され得る。
C5多型、例えば、エクリズマブによる治療を無効にする、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型を有する対象からのC5を含むC5と結合する薬剤の能力は、当技術分野において公知の標準的なin vitroアッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴、またはタンパク質をゲル上で標識C5と共にインキュベーションした後のウエスタンブロットにより決定され得る。好ましくは、コバーシン型タンパク質は、野生型C5および/またはC5多型、例えば、エクリズマブによる治療を無効にする、もしくはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型を有する対象からのC5のいずれかのC5と、360nM未満、より好適には300nM未満、最も好適には250nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは150nM未満、最も好ましくは100nM未満、さらにより好ましくは50、40、30、20、または10nM未満、有利には5nM未満のKdで結合し、その際、前記Kdは、表面プラズモン共鳴を使用して、好ましくは[Roversiら、上記]に記載される方法により、決定される。
これは、野生型C5およびC5多型、例えばエクリズマブによる治療を無効にする、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型を有する対象からのC5に対して、より高い、より低いまたは同じ親和性を示し得る。
コバーシン型タンパク質が補体活性化を阻害する能力は、それが血清中の補体活性化を阻害する能力を測定することによって決定され得る。例えば、血清中の補体の活性は、当技術分野において公知または本明細書に記載される任意の手段によって測定することができる。
減少したC5結合活性を有する、またはC5結合活性を有さないが、LTB-4結合能を保持する改変コバーシンポリペプチドが使用される場合、C5結合性は、例えば、配列番号2または4における未改変コバーシンポリペプチドによって示される結合性と比べて少なくとも2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、50分の1、100分の1に減少または消失し得る。C5結合性は、例えば、配列番号2または4における未改変コバーシンポリペプチドと比べて少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%減少し得る。改変コバーシンポリペプチドは、Roversiら(2013)J Biol Chem.288、18789~18802に記載される、またはGB1706406.4の実施例2に示される方法に従って表面プラズマ共鳴(Surface Plasma Resonance)によって決定されるとき、1マイクロモル濃度よりも大きいKDでC5と結合し得る。
コバーシン型タンパク質は、また、エイコサノイド活性を阻害する機能を有し得る。
コバーシン型タンパク質は、LTB-4活性を阻害し得る、これは必要なわけではない。特に、コバーシン型タンパク質は、LTB-4に結合し得る。コバーシン型タンパク質がLTB-4に結合する能力は、当技術分野において公知の標準的なin vitroアッセイ、例えば、標識LTB-4への結合を競合するコバーシンと抗LTB-4抗体との間の競合ELISA、等温滴定熱量測定または蛍光滴定によって決定され得る。
蛍光滴定を使用して得られるデータは、コバーシンがLTB4に、200から300pMの間のKdで結合することを示している。例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)中のLTB4(Caymen Chemicals、Ann Arbor、MI、USA)に対する結合活性は、分光蛍光計、例えば、LS 50 B分光蛍光計(Perkin-Elmer、Norwalk、CT、USA)で定量することができる。これは、以下のように実施され得る。
PBS2mL中の100nM精製コバーシン溶液を、磁器スターラーを備える石英キュベット(10mm経路長;Hellma、Muhlheim、Germany)中に加えた。温度を20℃に調整し、平衡に達した後、タンパク質のTyr/Trpの蛍光を280nmで励起させた(スリット幅:15nm)。最大発光に対応する蛍光発光を340nmで測定した(スリット幅:16nm)。PBS中の30μM LTB4リガンド溶液を、最大体積20μL(全試料体積の1%)まで段階的に添加し、30秒インキュベーション後に定常状態の蛍光を測定した。KD値の計算のために、初期蛍光強度100%に対してデータを規準化し、3μM N-アセチル-トリプトファンアミド溶液の滴定を使用してインナーフィルター効果を補正し、対応するリガンド濃度に対してデータをプロットした。次に、二分子複合体の形成に関する質量作用の法則に基づく非線形最小二乗回帰を使用して、公表された式(Breustedtら、2006:Comparative ligand-binding analysis of ten human lipocalins.Biochim Biophys Acta 1764(2):161~173)を用いてOriginソフトウェアバージョン8.5(OriginLab、Northampton、MA、USA)によりデータをフィットした。
コバーシンは、1nM未満、より好適には0.9nM未満、最も好適には0.8nM未満、好ましくは0.7nM未満、より好ましくは0.6nM未満、最も好ましくは0.5nM未満、さらにより好ましくは0.4nM未満、有利には0.3nM未満のKdでLTB4と結合してもよく、その際、前記Kdは、蛍光滴定を使用して、好ましくは上記方法により決定される。コバーシン型タンパク質は、好ましくはこれらの特性を共有する。ある特定の実施形態では、コバーシン型タンパク質は、野生型C5と、C5多型、例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型を有する対象からのC5との両方およびLTB-4に結合する。他の実施形態では、コバーシン型タンパク質は、例えば本明細書に記載のように、減少したC5結合性を有する、またはC5結合性を有さないが、LTB4に結合する、上記の改変コバーシンポリペプチドである。
コバーシン型タンパク質(例えば、減少したC5結合活性を有する、またはC5結合活性を有さないが、LTB-4結合能を保持する改変コバーシンポリペプチド)は、例えば、5nM未満、2nM未満または1nM未満、より好適には0.9nM未満、最も好適には0.8nM未満、好ましくは0.7nM未満、より好ましくは0.6nM未満、最も好ましくは0.5nM未満、さらにより好ましくは0.4nM未満、有利には0.3nM未満のKdでLTB4と結合してもよく、その際、前記Kdは、蛍光滴定を使用して、好ましくは上記方法により決定される。
したがって、コバーシン型タンパク質は、C5コンバターゼによるC5の補体C5aおよび補体C5bへの開裂を防止し、ならびにLTB-4活性も阻害するように作用し得るか、あるいは、例えば本明細書に記載のように、減少したC5結合性を有するか、またはC5結合性を有さないが、LTB4に結合する、上記の改変コバーシンポリペプチドであり得る。
C5およびLTB-4の両方に結合するコバーシン型タンパク質を使用することが特に有利である。以下に提示したデータに基づき、本発明者らは、この考慮事項に縛られることなく、C5およびエイコサノイド経路が、両方とも、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎における観察された病状の原因になると考える。したがって、補体介在性疾患および障害の炎症作用に関与する複数の経路を阻害する単一のコバーシン型タンパク質を使用することによって、補体介在性疾患および障害の炎症作用に関与する単一経路だけを阻害する薬剤を使用することと比較して増強した効果を達成することができる。そのうえ、単一の分子を投与することに関連する実用上の利点がある。
好ましくは、コバーシン型タンパク質は、吸血性節足動物に由来する。「吸血性節足動物」という用語は、適切な宿主から餌として血を吸う、昆虫、マダニ、シラミ、ノミおよびダニなどの全ての節足動物を含む。好ましくは、コバーシン型タンパク質は、マダニ、好ましくは、マダニOrnithodoros moubataに由来する。
コバーシンの機能的等価物は、それが野生型C5、またはC5多型、例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型を有する対象からのC5のいずれかのC5に結合する能力、ならびにC5コンバターゼによるC5のC5aおよびC5bへの開裂を防止する能力を保持する、コバーシンの相同体または断片であり得る。相同体または断片は、LTB-4と結合する能力も保持し得る。これは、LTB-4と結合する能力を保持するが、C5に結合する能力を保持しなくてもよい。
コバーシンの機能的等価物は、特に、野生型C5またはC5多型を有する対象からのC5のいずれかであるC5、および/またはLTB-4に結合するコバーシンの1もしくは2以上の活性部位の環境において、コバーシンと構造的に類似であるか、または類似もしくは同一の三次構造を含有する、合成分子などの分子でもあり得る。C5およびLTB-4への結合に必要とされるコバーシン中の正確なアミノ酸残基は、上で示されるJoreらの参考文献に示されている。
相同体は、例えば、Rhipicephalus appendiculatus、R.sanguineus、R.bursa、A.americanum、A.cajennense、A.hebraeum、Boophilus microplus、B.annulatus、B.decoloratus、Dermacentor reticulatus、D.andersoni、D.marginatus、D.variabilis、Haemaphysalis inermis、Ha.leachii、Ha.punctata、Hyalomma anatolicum anatolicum、Hy.dromedarii、Hy.marginatum marginatum、Ixodes ricinus、I.persulcatus、I.scapularis、I.hexagonus、Argas persicus、A.reflexus、Ornithodoros erraticus、O.moubata moubata、O.m.porcinus、およびO.savignyiを含む他のマダニ種からのコバーシンタンパク質を含む、WO2004/106369の図4に明白に特定されるコバーシンのパラログおよびオルソログを含む。
相同体は、また、イエカ属(Culex)、ハマダラカ属(Anopheles)およびヤブカ属(Aedes)の種、特にCulex quinquefasciatus、Aedes aegyptiおよびAnopheles gambiaeを含むカ種;ノミ種、例えばCtenocephalides felis(ネコノミ)、アブ、スナバエ、ブユ、ツェツェバエ、シラミ、ダニ、ヒルおよび扁虫からの、コバーシンと等価の機能を有するタンパク質を含む。相同体は、また、O.moubataに存在する約18kDaの3つの他の形態のコバーシンを含む。
コバーシンの相同体を同定する方法は、当業者に明らかであろう。例えば、相同体は、公的および非公的の両方の配列データベースの相同性検索によって同定され得る。好適には、公的に入手可能なデータベースが使用される。とはいえ、非公的または商業的に利用可能なデータベースは、特に、それらが公的データベースに表されていないデータを含むならば、等しく有用である。一次データベースは、一次ヌクレオチド配列または一次アミノ酸配列データの寄託サイトであり、公的または商業的に利用可能であり得る。公的に利用可能な一次データベースの例には、GenBankデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)、EMBLデータベース(http://www.ebi.ac.uk/)、DDBJデータベース(http://www.ddbj.nig.ac.jp/)、SWISS-PROTタンパク質データベース(http://expasy.hcuge.ch/)、PIRデータベース(http://pir.georgetown.edu/)、TrEMBLデータベース(http://www.ebi.ac.uk/)、TIGRデータベース(http://www.tigr.org/tdb/index.html参照)、NRL-3Dデータベース(http://www.nbrfa.georgetown.edu)、Protein Data Base(http://www.rcsb.org/pdb)、NRDBデータベース(ftp://ncbi.nlm.nih.gov/pub/nrdb/README)、およびOWLデータベース(http://www.biochem.ucl.ac.uk/bsm/dbbrowser/OWL/)が含まれる。公的に利用可能な二次データベースの例は、PROSITEデータベース(http://expasy.hcuge.ch/sprot/prosite.html)、PRINTSデータベース(http://iupab.leeds.ac.uk/bmb5dp/prints.html)、Profilesデータベース(http://ulrec3.unil.ch/software/PFSCAN_form.html)、Pfamデータベース(http://www.sanger.ac.uk/software/pfam)、Identifyデータベース(http://dna.stanford.edu/identify/)およびBlocksデータベース(http://www.blocks.fhcrc.org)である。商業的に利用可能なデータベースまたは非公的データベースの例には、PatoGenome(Genome Therapeutics Inc.)およびPathoSeq(以前はIncyte Pharmaceuticals Inc.のもの)が含まれる。
典型的には、2つのポリペプチドの間の(好ましくは、活性部位などの特定領域にわたる)30%よりも大きい同一性は、機能的等価性の指標、したがって、2つのタンパク質が相同である指標であると考えられる。好ましくは、相同体であるタンパク質は、コバーシンと60%よりも大きい配列同一度を有する。より好ましい相同体は、コバーシンと70%、80%、90%、95%、98%または99%よりも大きい同一度を有する。本明細書において言及される同一性パーセンテージは、BLASTバージョン2.1.3を使用して、NCBI(the National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって明示されるデフォルトパラメーター[Blosum 62行列;ギャップ開始ペナルティー=11およびギャップ伸長ペナルティー=1]を使用して決定されるものである。%同一性は、関連参照配列(例えば、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2のアミノ酸19~168)またはWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のアミノ酸1~168の完全長にわたり得る。
したがって、コバーシン型タンパク質は、参照配列、例えばWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のアミノ酸19~168またはWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のアミノ酸1~168に対するある特定のアミノ酸配列同一性%への参照により、例えば、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のアミノ酸19~168またはWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のアミノ酸1~168と少なくとも60%,70%、80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有する配列を含むまたはそれからなるタンパク質として記載することができる。コバーシン型タンパク質が前記配列を含む場合、コバーシン型タンパク質は、融合タンパク質(例えば別のタンパク質、例えば異種タンパク質との)であり得る。適切な第2のタンパク質を以下に述べる。
コバーシンのいくつかの機能的等価物を図2aに示され、このような変異体が、野生型C5および/またはC5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型)を有する対象からのC5および/またはLTB-4と結合する能力を保持する限り、野生型配列と比べて、例えば、1、2、3、4、5、7、10もしくはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸置換、挿入または欠失(例えば、NまたはC末端からの欠失)を含む変異体を包含する。これは、関連する参照配列(すなわち、WO2004/106369の図4(本出願の図2)のアミノ酸19~168または前記図4(本出願の図2)のアミノ酸1~168)と比較したものである。変異体は、タンパク質の機能または活性に不利に影響しない保存的アミノ酸置換を含むタンパク質を含み得る。コバーシンの機能的等価物は、また、天然生物学的バリアント(例えば、コバーシンが由来する種内の対立遺伝子バリアントまたは地理的変異)を含む。野生型C5および/またはC5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型)を有する対象からのC5および/またはLTB-4と結合する改善された能力を有する変異体は、また、コバーシン配列中の特定の残基の系統的または定方向変異により設計され得る。
コバーシンの機能的等価物には、このような断片が、野生型C5および/またはC5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型)を有する対象からのC5および/またはLTB-4と結合する能力を保持する限り、コバーシンタンパク質の断片および相同体が含まれる。断片は、例えば、150アミノ酸未満、145、140、135、130、125、100、75、50、もしくはさらに25アミノ酸未満、またはそれ以下、コバーシンまたはコバーシン相同体由来のポリペプチドを含み得るが、但し、これらの断片は、野生型C5および/またはC5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にする、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型)を有する対象からのC5および/またはLTB-4と結合する能力を保持する。断片には、例えば、少なくとも150アミノ酸、少なくとも145アミノ酸であるコバーシンタンパク質配列(または相同体)に由来するポリペプチドが含まれ得るが、但し、これらの断片は、補体野生型C5および/またはC5多型(例えば、エクリズマブによる治療を無効にするか、またはエクリズマブによる治療の有効性を減少させるC5多型)を有する対象からのC5および/またはLTB4と結合する能力を保持する。
コバーシンの任意の機能的等価物は、好ましくは、コバーシン中に見出されるシステイン残基のパターンを保持する。例えば、前記機能的等価物は、好ましくはWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に示される配列のアミノ末端からカルボキシル末端に配列したときに32アミノ酸離れた、62アミノ酸離れた、28アミノ酸離れた、1アミノ酸離れたおよび21アミノ酸離れた距離で相互に間隔が空いた6つのシステイン残基を含む。コバーシンタンパク質の例示的な断片は、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14に開示されている。対応する断片をコードするDNAは、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13に開示されている。
コバーシンの機能的等価物には、本明細書においてWO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)に明示的に特定されるO.moubataコバーシンの断片だけでなく、上記のようなこのタンパク質の相同体の断片も含まれる。相同体のこのような断片は、典型的には、コバーシンの断片と60%よりも大きい同一性を有するが、相同体のより好ましい断片は、WO2004/106369の図4(本出願の図2、配列番号2)のコバーシンの断片と70%、80%、90%、95%、98%または99%よりも大きい同一性を示す。好ましくは、このような断片は、上述のシステイン間隔を保持する。改善された特性を有する断片は、もちろん、野生型配列の系統的変異または断片化に続く適切な活性アッセイにより合理的に設計され得る。断片は、コバーシンとしてC5の野生型もしくは多型バリアントの一方または両方のC5、および/またはLTB-4に対して類似またはより大きい親和性を示し得る。これらの断片は、コバーシンの断片について上記されたサイズであり得る。
機能的等価物は、また、例えば異種タンパク質配列についてのコード配列のフレーム内に、コバーシンまたはその機能的等価物をコードするポリヌクレオチドをクローニングすることによって得られる融合タンパク質であり得る。本明細書に使用される「異種」という用語は、コバーシンタンパク質またはその機能的等価物以外の任意のポリペプチドを表すことが意図される。可溶性融合タンパク質のN末端またはC末端のいずれかに含まれ得る異種配列の例は、以下の通りである:膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、PASもしくはXTENもしくは類似の構造不定のポリペプチド、多量体化ドメイン、細胞外タンパク質のドメイン、シグナル配列、搬出配列、またはアフィニティークロマトグラフィーによる精製を可能にする配列。これらの異種配列の多くは、発現プラスミドに挿入して市販されており、それは、これらの配列と融合されたタンパク質の特異的生物学的活性を顕著に損なうことなく追加的な特性を提供するために、これらの配列が一般的に融合タンパク質に含まれるからである(Terpe K、Appl Microbiol Biotechnol、60:523~33、2003)。このような追加的な特性の例は、体液中により長く持続する半減期、組織標的化、細胞外局在、またはヒスチジン、GST、FLAG、アビジンもしくはHAタグなどのタグによって可能になるような、より簡単な精製である。融合タンパク質は、追加的に、リンカー配列(例えば1~50アミノ酸長)を含有してもよく、それにより、構成成分がこのリンカーによって分離される。しかし、本発明のいずれの態様にも、融合タンパク質を使用しないことが好ましい。
このように、融合タンパク質は、コバーシン様タンパク質を含むタンパク質の例であり、これらには、具体例としてPAS配列およびコバーシン型タンパク質配列を含むタンパク質が含まれる。PAS配列は、例えば、Schlapschy Mら、Protein Eng Des Sel.2013 Aug;26(8):489~501、およびEP08773567.6に記載されており、PAS化コバーシン分子は、Kuhnら、Bioconjugate Chem.、2016、27(10)、2359~2371ページに記載されている。PAS化は、タンパク質と、アミノ酸Pro、Ala、および/またはSerから構成されるコンフォメーション的に無秩序なポリペプチド配列との遺伝的融合を説明している。これは、XL Protein(http://xl-protein.com/)によって開発された技法であり、溶媒和したランダム鎖を大きな流体力学的体積で、それと融合されるタンパク質に結合させる簡単な方法を提供する。ポリペプチド配列は、かさ高いランダムコイル構造をとる。したがって、結果として生じる融合タンパク質のサイズは、それが融合されるタンパク質よりもずっと大きい。これは、生体システム中のクリアランスを減少させることが示されている。適切なPAS配列は、EP08773567.6および上記のSchlapschyの参考文献に記載されている。任意の適切なPAS配列が、融合タンパク質に使用され得る。例えば、ランダムコイルコンフォメーションを形成し、アラニン、セリンおよびプロリン残基からなる(またはプロリンおよびアラニン残基からなる)少なくとも約100のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列が含まれる。これは、複数のアミノ酸リピートを含んでいてもよく、その際、前記リピートは、Ala、Ser、およびPro残基(またはプロリンおよびアラニン残基)からなり、同一アミノ酸残基の連続は、6つ以下である。プロリン残基は、配列のアミノ酸の4%よりも大きく40%未満を構成し得る。配列は、
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号15)、
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号16)、
APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号17)、
SAPSSPSPSAPSSPSPASPS(配列番号18)、
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号19)、
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号20)および
ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号21)
または、これらの配列の全体もしくは部分としてのこれらの配列の環状並び替えバージョンもしくは多量体から選択されるアミノ酸配列を含み得る。例えば、PAS配列中に存在するリピートのうち1つの5~40、10~30、15~25、18~20、好ましくは、20~30または30コピー、すなわち配列番号15~21のうち1つ、好ましくは15が存在し得る。好ましくは、PAS配列は、配列番号15の30コピーを含むか、またはそれからなる。好ましくは、PAS配列は、コバーシン型タンパク質のN末端と(直接またはリンカー配列を介して)融合され、ある特定の好ましい実施形態では、コバーシン型タンパク質は、配列番号2のアミノ酸19~168または配列番号34もしくは配列番号35を含むか、またはそれからなっていてもよい。例えば、融合タンパク質は、(a)配列番号15の30コピーを含むか、またはそれからなるPAS配列および(b)(i)配列番号2のアミノ酸19~168、(ii)配列番号34、または(iii)配列番号35を含み、その際、(a)は、(b)のN末端に直接またはリンカー配列を介して融合されている)。
融合タンパク質は、追加的にリンカー配列(例えば1~50、2~30、3~20、5~10アミノ酸長)を含んでいてもよく、それにより、構成成分は、このリンカーによって分離される。一実施形態では、リンカー配列は、単一のアラニン残基であり得る。
PAS配列を含む融合タンパク質の組成物は、同タンパク質の非PAS化バージョンを含む組成物と比較して増加した粘性を有し得る。状況によっては、この増加した粘性は、不利であり得る。しかし、本発明による眼治療(例えば局所眼治療)においては、増加した粘性は、利点を提供し得る。
コバーシンおよびその機能的等価物は、宿主細胞における発現により組換え形態として調製され得る。このような発現方法は、当業者に公知であり、Sambrookら(2000)およびFernandez & Hoeffler(1998)によって詳細に記載されている。コバーシンおよびその機能的等価物の組換え形態は、好ましくは、グリコシル化されていない。好ましくは、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)である。
コバーシン型タンパク質は、好ましくは、例えば、それを発現させた宿主細胞および/または細胞増殖培地の少なくとも1つの成分から分離された、単離形態である。一部の実施形態では、コバーシン型タンパク質は、例えば、電気泳動またはクロマトグラフィーによって決定される、少なくとも90%、95%、または99%の純度に精製される。コバーシン型タンパク質は、また、タンパク質化学の通例の技法を使用して調製することができる。例えば、タンパク質断片は、化学合成によって調製され得る。融合タンパク質を生成する方法は、当技術分野において標準的であり、熟練の読者に公知である。例えば、大部分の一般分子生物学、微生物学、組換えDNA技法および免疫学的技法は、Sambrookら(2000)またはAusubelら(1991)に見出すことができる。
好ましくは、コバーシン型タンパク質は、抗体でも融合タンパク質でもない。
コバーシン型タンパク質が、あらゆる多型形態のC5と、LTB-4との両方に結合できることが、さらに好ましい。
コバーシン型タンパク質は、抗ヒスタミン薬、例えばレボカバスチン(levocablastine)、ケトチフェンまたはロドキサミドなどの、眼の障害の治療に有用な他の医薬品と組み合わせて使用され得る。したがって、コバーシン型タンパク質が1または2以上の他の治療と組み合わせて使用される場合、これは、第2の治療を併用して、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を治療または予防する方法における使用のためのコバーシン型タンパク質(例えば、図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質)またはこのタンパク質の機能的等価物とともに、あるいは、第2の治療としての、瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡またはアトピー性角結膜炎を治療または予防する方法における使用のためのコバーシン型タンパク質(例えば図2におけるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質)またはこのタンパク質の機能的等価物として記載することができる。
本発明の全ての態様において、治療または予防を必要とする対象は、主としてヒト対象であると考えられる。しかし、本発明の全ての態様は、哺乳動物対象、特に家畜哺乳動物または農用哺乳動物などの、他の対象に関連して使用することができる。
薬剤は、治療または予防有効量で投与され得る。「治療有効量」という用語は、瘢痕性眼炎症障害を治療するために必要な薬剤の量を表す。これに関連して、「治療すること」は、障害の重症度を減少させることを含む。
本明細書に使用される「予防有効量」という用語は、瘢痕性眼炎症障害を予防するために必要な薬剤の量を表す。これに関連して、「予防すること」は、例えば、薬剤の投与が開始される前には障害の存在が検出されない場合に、障害の重症度を減少させることを含む。
減少または改善は、投与を行わず、本明細書に記載の薬剤もない場合の結果に対するものである。結果は、このような患者を評価するために使用される標準的な基準により評価される。これを定量できる範囲で、上記の相対スコア付け基準における少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%の減少または改善がある。
古典的補体経路および第二補体経路を示す。 コバーシンについての配列(配列番号1は、ヌクレオチド配列であり、配列番号2は、アミノ酸配列である)を示す。 いくつかのコバーシン変異体(配列番号4、6、8、10、12、14、対応する断片をコードするDNA配列は、それぞれ配列番号3、5、7、9、11および13である)を示す。 全ての眼からの合計としてスコア付けした、卵白アルブミンおよび多様な他の薬剤で処置されたマウスについてのEICスコア付けを示す。 全ての眼からの合計としてスコア付けした、卵白アルブミンおよび多様な他の薬剤で処置されたマウスについてのEICスコア付けを示す。 任意の所与の動物での両眼の平均としてスコア付けした、卵白アルブミンおよび多様な他の薬剤で処置されたマウスについてのEICスコア付けを示す。 任意の所与の動物での両眼の平均としてスコア付けした、卵白アルブミンおよび多様な他の薬剤で処置されたマウスについてのEICスコア付けを示す。 減少したC5結合活性を有する、またはC5結合活性を有さないが、LTB-4結合能を保持する、ある特定の改変コバーシンポリペプチドの配列を示す図である。
本出願に参照される配列は、以下の通りである:
配列番号1は、図2Aに示されるヌクレオチド配列である。配列番号2は、成熟タンパク質にはない18アミノ酸のシグナル配列を含む、図2Aに示されるコバーシンのアミノ酸配列である。
配列番号3は、配列番号4をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号4は、成熟コバーシンアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸19~168)である。
配列番号5は、配列番号6をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号6は、成熟コバーシンアミノ酸配列の149アミノ酸の断片(配列番号2のアミノ酸20~168)である。
配列番号7は、配列番号8をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号8は、成熟コバーシンアミノ酸配列の148アミノ酸の断片(配列番号2のアミノ酸21~168)である。
配列番号9は、配列番号10をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号10は、成熟コバーシンアミノ酸配列の147アミノ酸の断片(配列番号2のアミノ酸22~168)である。
配列番号11は、配列番号12をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号12は、成熟コバーシンアミノ酸配列の146アミノ酸の断片(配列番号2のアミノ酸23~168)である。
配列番号13は、配列番号12をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号14は、成熟コバーシンアミノ酸配列の145アミノ酸の断片(配列番号2のアミノ酸24~168)である。
配列番号15~21は、PAS配列である。
配列番号22~33は、WO2015/185945の配列番号1~12である。
配列番号34~41は、ある特定の改変コバーシンポリペプチドを定義するために使用される配列である。
以下に、あくまで例として、本発明をより詳細に説明する。
マウス研究は、Ahadome S.D.らによって、JCI Insight、2016 Aug 4;1(12).pii:e87012に記載されたプロトコールにより行った。このプロトコールでは、マウスに最初に卵白アルブミンを14日間全身注射し、次に、15日目以降は、マウスの眼に局所的に卵白アルブミンを投与する。18日目以降は、様々な量のコバーシン型タンパク質または対照を含有する眼科的に許容される溶液でマウスの眼を処置する。
マウスを7群に分けた。群1(EIC+PBS)の各々の眼にPBSも投与した。群2(EIC+0.063% コバーシン)には、0.063%(w/v)コバーシンを含有するPBSも投与した。これは、各々の眼への適用についてはコバーシン25.2μgに対応する。群3(EIC+0.125% コバーシン)には、0.125%(w/v)コバーシンを含有するPBSも投与した。これは、各々の眼への適用についてはコバーシン50.4μgに対応する。群4(EIC+0.25% コバーシン)には、0.25%(w/v)コバーシンを含有するPBSも投与した。これは、各々の眼への適用についてはコバーシン100.8μgに対応する。また、群5(EIC+0.5% コバーシン)には、0.5%(w/v)コバーシンを含有するPBSも投与した。これは、各々の眼への適用についてはコバーシン201.6μgに対応する。群6(EIC+EV131)には、EV131を含有するPBSも投与した。群7(EIC=EV131+コバーシン 0.25%)には、EV131および0.25%(w/v)コバーシンを含有するPBSも投与した。
全てのマウスを熟練の観察者が検査し、観察者は、各マウスの各々の眼の症状の重症度を等級付けし、眼を0~10のスケールにスコア付けした(0が無徴候を表し、10が最も重度の徴候を表す)。
研究の結果を図3および4にグラフとして示す。図3では、各々の眼のスコアを記録した。図4では、各マウスの左眼および右眼の組合せについての平均スコアを記録した。コバーシンがマウスのスコアを減少させ、最良の減少がより低い用量で長期治療後に見られたことが分かる(0.063%~0.25%コバーシン、6日目)。
このことは、コバーシン型タンパク質を用いた瘢痕性眼炎症障害、特にシェーグレン症候群、粘膜類天疱瘡およびアトピー性角結膜炎の罹患対象における眼の局所治療が、徴候を成功裏に軽減させるであろうことを明らかに示している。
例としてのみ、本発明を上記で説明したが、本発明は、上述の特定の研究に限定されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。

Claims (8)

  1. 患者におけるアトピー性角結膜炎治療または予防するための組成物であって、前記組成物が、図2に示されるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質またはその機能的等価物を含有し、
    前記機能的等価物が配列番号2のアミノ酸19~168の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むタンパク質であり、
    前記機能的等価物が、C5と結合して、コンバターゼによる補体C5の補体C5aおよび補体C5bへの開裂を防止する、およびLTB4と結合する、前記組成物。
  2. 眼科的に許容される組成物であり、患者の眼に局所適用するためのものである、請求項に記載の組成物。
  3. 従来の抗ヒスタミン薬と組み合わせて使用される、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 患者が、ヒトである、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  5. 図2に示されるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質の機能的等価物が、配列番号2のアミノ酸19~168の配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むタンパク質であり、
    前記機能的等価物が、C5と結合して、コンバターゼによる補体C5の補体C5aおよび補体C5bへの開裂を防止し、およびLTB4と結合する、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  6. 図2に示されるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質の機能的等価物が、配列番号2のアミノ酸19~168の配列において、最大で10のアミノ酸置換、挿入または欠失がなされた当該配列を含むタンパク質であり、
    前記機能的等価物が、C5と結合して、コンバターゼによる補体C5の補体C5aおよび補体C5bへの開裂を防止し、およびLTB4と結合する、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  7. 図2に示されるアミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸19~168を含むタンパク質の機能的等価物が、(a)配列番号2のアミノ酸19~168の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、および(b)第2の配列を含む融合タンパク質であり、
    前記機能的等価物が、C5と結合して、コンバターゼによる補体C5の補体C5aおよび補体C5bへの開裂を防止し、およびLTB4と結合する、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記第2の配列が、PAS配列である、請求項に記載の組成物。
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