JP7149703B2 - 固形チーズ様食品用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、固形チーズ様食品用油脂組成物に関する。
チーズは、公正競争規約上、「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分類される。「ナチュラルチーズ」は、乳などを凝固させた凝乳(カード)から乳清(ホエー)の一部を除去したもの、それを熟成したもの、又はこれらに類するものと定義されている。また、「プロセスチーズ」は、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものと定義されている。
従来より、コストの削減などの観点から、乳脂肪源であるチーズの使用量を減らして、又は全くチーズを使用せずに、チーズに類似した食品(チーズ様食品)を製造することが提案されている。
チーズ様食品としては、固形状のもの(例えば、シュレッドチーズ、ダイスチーズ、スライスチーズ)、ペースト状のもの(例えば、クリームチーズ、チーズフォンデュ、チーズソース、チーズフィリング、チーズスプレッド)が挙げられる。
これらのうち、固形チーズ様食品は、冷蔵保存後そのまま食す場合もあれば、パン生地、ピザ生地、パイ生地、食パン等にトッピングして、加熱融解して食す場合もある。固形チーズ様食品は、これら両方の需要に応じた物性を有することが望ましいものの、油脂の種類によって前記物性を得るという試みはなされていない。
国際公開第2013/147280号(特許文献1)には、酸処理澱粉及びSFC(固体脂含量)が10℃で45%以上かつ20℃で20%以上である油脂を含有し、蛋白質含量が10重量%以下であるチーズ様食品が記載され、該チーズ様食品は、加熱により容易に溶融することが記載されている。
上記油脂としては、具体的には、パーム油中融点画分、精製パーム油が使用されている。しかし、これらの油脂では、冷蔵保存した固形チーズ様食品をそのまま食す場合、乳脂肪を配合したときのような良好な食感や口どけが得られない。
また、固形チーズ様食品は、フィルムで包装される場合が多い。上記油脂は、固形チーズ様食品をフィルムから剥離する際、固形チーズ様食品がフィルムに付着するという問題がある。
国際公開第2013/147280号
本発明は、加熱時に溶け広がりやすく、フィルム剥離性に優れ、かつ、乳脂肪を配合したときのような良好な食感及び口どけを有する固形チーズ様食品用油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、固形チーズ様食品用油脂組成物において、パーム系油脂のエステル交換油とパーム系油脂の非エステル交換油脂とを組み合わせることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
(1)原料チーズに配合して固形チーズ様食品を製造するための油脂組成物であって、パーム系油脂のエステル交換油脂(A)とパーム系油脂の非エステル交換油脂(B)とを含む、前記油脂組成物。
(2)エステル交換油脂(A)の原料油脂であるパーム系油脂が、上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部である、(1)記載の油脂組成物。
(3)非エステル交換油脂(B)が、上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部を含む、(1)又は(2)に記載の油脂組成物。
(4)非エステル交換油脂(B)が、上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部と他のパーム系油脂との混合油であり、前記他のパーム系油脂が、パーム油、パーム極度硬化油、上昇融点が25~35℃のパーム分別中融点部、及び上昇融点が35℃を超えるパーム分別高融点部から選択される少なくとも一種である、(1)~(3)のいずれか1項に記載の油脂組成物。
(5)5℃におけるSFC(固体脂含量)が、30~75%であり、かつ、35℃におけるSFCが、3%以下である、(1)~(4)のいずれか1項に記載の油脂組成物。
(6)エステル交換油脂(A)の非エステル交換油脂(B)に対する質量比(A/B)が、35/65~50/50である、(1)~(5)のいずれか1項に記載の油脂組成物。
(7)ラウリン系油脂を含まない、(1)~(6)のいずれか1項に記載の油脂組成物。
(8)原料チーズと(1)~(7)のいずれか1項に記載の油脂組成物とを含む、固形チーズ様食品。
なお、本明細書において、「チーズ様食品」とは、原料チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)に油脂を配合して得られる、チーズに類似した食品全般を包含する概念である。
本発明の油脂組成物を原料チーズに配合することにより、加熱時に溶け広がりやすく、フィルム剥離性に優れ、かつ、乳脂肪を配合したときのような良好な食感及び口どけ(ナチュラルチーズ又はプロセスチーズと同等の食感及び口どけ)を有する固形チーズ様食品(シュレッドチーズ、ダイスチーズ、スライスチーズなど)を提供することができる。
本発明の原料チーズに配合して固形チーズ様食品を製造するための油脂組成物(以下、「固形チーズ様食品用油脂組成物」と称する。)は、パーム系油脂のエステル交換油脂(A)とパーム系油脂の非エステル交換油脂(B)とを含んでいる。
(A)パーム系油脂のエステル交換油脂
エステル交換油脂の原料油脂であるパーム系油脂は、パーム油又はその加工油脂である限り特に制限されず、例えば、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油(部分又は極度硬化油)、これら2種以上の混合油が挙げられる。
上記パーム系油脂のうち、パーム分別油が好ましい。分別方法としては、溶剤分別法、ウインタリング法、乳化分別法、自然分別法などが一般的であるが、これらに限定されない。また、分別回数は、1回又は2回が一般的であるが、3回以上であってもよい。
上記パーム分別油は、パーム分別低融点部、パーム分別中融点部、パーム分別高融点部に分類することができる。
本明細書において、「パーム分別低融点部」とは、上昇融点が25℃未満のパーム分別油を意味し、例えば、パーム油を分別して得られる低融点画分(パームオレイン)、パームオレインを分別して得られる低融点画分(パームダブルオレイン)、これらの混合油を包含する。パーム分別低融点部のヨウ素価は、通常、50を超える(例えば、55以上の)範囲から選択される。
「パーム分別中融点部」とは、上昇融点が25~35℃のパーム分別油を意味し、例えば、パームオレインを分別して得られる高融点画分(パームミッドフラクション)を包含する。パーム分別中融点部のヨウ素価は、通常、30~50の範囲から選択される。
「パーム分別高融点部」とは、上昇融点が35℃を超えるパーム分別油を意味し、例えば、パーム油を分別して得られる高融点画分(パームステアリン)を包含する。パーム分別高融点部のヨウ素価は、通常、40未満(例えば、10~40)の範囲から選択される。
上記パーム分別油のうち、上昇融点が25℃未満(例えば、5℃以上25℃未満)のパーム分別低融点部が好ましい。該パーム分別低融点部のヨウ素価は、55~70であるのが好ましく、55~65であるのがより好ましい。例えば、ヨウ素価が55~65のパーム分別低融点部は、パーム油からヨウ素価が55~65の低融点画分を分別したものであってもよく、パーム油からヨウ素価が55~60の低融点画分を分別したものと、パーム油(又はヨウ素価が55以上のパーム油低融点画分)からヨウ素価が60~65の低融点画分を分別したものとの混合油であってもよい。
なお、上昇融点は、基準油脂分析試験法「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に記載の方法に基づいて測定される。なお、上昇融点が低い油脂の測定においては、水の代わりにエタノールを用いる場合がある。ヨウ素価は、基準油脂分析試験法「3.3.3-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に記載の方法に基づいて測定される。
パーム系油脂のエステル交換油脂は、選択的エステル交換油脂及びランダムエステル交換油脂のいずれであってもよいが、ランダムエステル交換油脂が好ましい。
パーム系油脂のエステル交換油脂の含有量は、固形チーズ様食品用油脂組成物の総質量(又は該油脂組成物中の植物油脂の総質量)に対して、例えば、15~65質量%、好ましくは20~60質量%(例えば、25~55質量%)、さらに好ましくは30~50質量%(例えば、35~45質量%)である。パーム系油脂のエステル交換油脂の含有量が少なすぎると、フィルム剥離性が低下する傾向にあり、パーム系油脂のエステル交換油脂の含有量が多すぎると、乳脂肪を配合したときのような良好な口どけを得ることが困難になる。
(B)パーム系油脂の非エステル交換油脂
パーム系油脂の非エステル交換油脂は、パーム油又はその加工油脂である限り特に制限されず、例えば、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油(部分硬化油、極度硬化油)、これら2種以上の混合油が挙げられる。
上記パーム系油脂は、乳脂肪を配合したときのような良好な口どけを得る点から、上昇融点が25℃未満(例えば、5℃以上25℃未満)のパーム分別低融点部を含むことが好ましい。該パーム分別低融点部のヨウ素価は、55~70であるのが好ましく、55~65であるのがより好ましい。
上記パーム系油脂は、乳脂肪を配合したときのような食感(硬さ)に調整する点から、上記パーム分別低融点部と他のパーム系油脂との混合油であってもよい。他のパーム系油脂としては、パーム油、パーム極度硬化油、上昇融点が25~35℃のパーム分別中融点部、上昇融点が35℃を超える(例えば、35℃を超えて50℃以下の)パーム分別高融点部から選択される少なくとも一種であるのが好ましい。他のパーム系油脂の含有量は、油脂の種類によっても異なるが、上記混合油の総質量に対して、0.1~60質量%(例えば、0.5~50質量%)であってもよい。具体的には、上記パーム油又はパーム分別中融点部の含有量は、上記混合油の総質量に対して、5~55質量%であるのが好ましく、10~50質量%であるのがより好ましい。上記パーム極度硬化油又はパーム分別高融点部の含有量は、上記混合油の総質量に対して、0.1~5質量%であるのが好ましく、0.1~2質量%であるのがより好ましい。他のパーム系油脂の含有量が多すぎると、乳脂肪を配合したときよりも硬すぎる食感になる。
パーム系油脂の非エステル交換油脂の含有量は、固形チーズ様食品用油脂組成物の総質量(又は該油脂組成物中の植物油脂の総質量)に対して、例えば、35~85質量%、好ましくは40~80質量%(例えば、45~75質量%)、さらに好ましくは50~70質量%(例えば、55~65質量%)である。パーム系油脂の非エステル交換油脂の含有量が少なすぎると、乳脂肪を配合したときのような良好な口どけを得ることが困難になり、パーム系油脂の非エステル交換油脂の含有量が多すぎると、フィルム剥離性が低下する傾向にある。
エステル交換油脂(A)の非エステル交換油脂(B)に対する質量比(A/B)は、特に制限されないが、フィルム剥離性、食感及び口どけのバランスの点から、例えば、15/85~65/35であり、20/80~60/40(例えば、25/75~55/45)であるのが好ましく、30/70~50/50(例えば、35/65~50/50)であるのがより好ましい。
本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物は、エステル交換油脂(A)及び非エステル交換油脂(B)のみで構成してもよいが、さらに、その他の油脂を含んでいてもよい。その他の油脂としては、パーム系油脂以外の植物油脂(例えば、ヤシ油、パーム核油、これらの混合油、分別油、硬化油(部分又は極度硬化油)などのラウリン系油脂;液状油脂(大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、紅花油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、亜麻仁油、胡麻油、これらの混合油など)又はその硬化油(部分又は極度硬化油)など)、動物油脂(例えば、ラード、牛脂、乳脂肪、魚油など)が挙げられる。
その他の油脂のうち、パーム系油脂以外の植物油脂の含有量は、固形チーズ様食品用油脂組成物の総質量(又は該油脂組成物中の植物油脂の総質量)に対して、例えば、10質量%以下であってもよく、5質量%以下(例えば、0.1~1質量%)であってもよい。加熱時の溶け広がりやすさ及びコスト削減の観点からは、少なくともラウリン系油脂を含まないことが好ましく、パーム系油脂以外の植物油脂を含まないことも好ましい。
また、その他の油脂のうち、動物油脂の含有量は、固形チーズ様食品用油脂組成物の総質量(又は該油脂組成物中の植物油脂の総質量)に対して、例えば、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、0.5~5質量%)である。本発明では、エステル交換油脂(A)と非エステル交換油脂(B)の組み合わせにより、乳脂肪を配合したときのような食感及び口どけが得られるため、乳脂肪の代替として使用することができる。
本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物は、さらに種々の添加剤、例えば、乳化剤(レシチンなど)、酸化防止剤(トコフェロールなど)、香料などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の含有量は、特に制限されず、固形チーズ様食品用油脂組成物の総質量に対して、例えば、0.01~2質量%である。
本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物の5℃におけるSFC(固体脂含量)は、特に制限されないが、乳脂肪を配合したときのような良好な食感を得る点から、30~75%(例えば、35~70%)であるのが好ましく、40~60%(例えば、45~55%)であるのがさらに好ましい。
また、本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物の35℃におけるSFCは、特に制限されないが、乳脂肪を配合したときのような良好な口どけを得る点から、3%以下(例えば、2.5%以下)であるのが好ましく、2%以下(例えば、1.5%以下)であるのがより好ましく、1%以下であるのが特に好ましい。
さらに、本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物のSFCは、例えば、5℃~35℃の範囲で、乳脂肪のSFCと類似しているのが好ましく、両者のSFCの差は±10%以内であるのが好ましく、±5%以内であるのがより好ましい。
なお、SFCは、後述の実施例に記載のように、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」(2013年)に記載の「2.2.9固体脂含量(NMR法)」に準拠して測定することができる。
本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物は、加熱時に溶け広がりやすいため、加熱(又は加熱溶融)用(例えば、電子レンジ、オーブンレンジ、オーブントースターでの加熱用)の固形チーズ様食品(例えば、70℃以上に加熱される固形チーズ様食品)を製造するための油脂組成物として好適に使用することができる。
また、本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物は、冷蔵保存したものをそのまま食す場合の食感及び口どけに優れるため、非加熱用の固形チーズ様食品を製造するための油脂組成物としても好適に使用することができる。
さらに、本発明の固形チーズ様食品用油脂組成物は、フィルム剥離性に優れるため、フィルムで包装される固形チーズ様食品を製造するための油脂組成物としても好適に使用することができる。
[固形チーズ様食品]
本発明の固形チーズ様食品は、原料チーズと、上記固形チーズ様食品用油脂組成物とを含んでいる。原料チーズは、ナチュラルチーズ及びプロセスチーズのいずれであってもよい。ナチュラルチーズとしては、軟質チーズ(例えば、モッツァレラ、マスカルポーネなどの非熟成タイプ、カマンベールなどの熟成タイプ)、半硬質チーズ(例えば、ゴルゴンゾーラ、ゴーダなどの熟成タイプ)、硬質チーズ(例えば、エメンタール、チェダーなどの熟成タイプ)、超硬質チーズ(例えば、パルミジャーノ・レッジャーノなどの熟成タイプ)が例示できる。プロセスチーズとしては、前記例示の1種又は2種以上のナチュラルチーズを加熱溶融して乳化したものが挙げられる。これらの原料チーズは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
原料チーズの含有量は、特に制限されず、固形チーズ様食品の総質量に対して、例えば、5~90質量%の範囲から適宜選択できる。
固形チーズ様食品用油脂組成物の含有量は、固形チーズ様食品の総質量に対して、例えば、5~30質量%、好ましくは10~25質量%である。固形チーズ様食品用油脂組成物の含有量が多すぎると、固形チーズ様食品のチーズ風味が弱くなる傾向にある。
本発明の固形チーズ様食品は、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、溶融塩、乳蛋白、加工澱粉が挙げられる。
溶融塩としては、例えば、リン酸塩(例えば、ポリリン酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸三ナトリウム)が挙げられる。溶融塩の含有量は、特に制限されず、例えば、固形チーズ様食品の総質量に対して、0.1~5質量%である。
乳蛋白としては、例えば、カゼインナトリウムが挙げられる。乳蛋白の含有量は、特に制限されず、例えば、固形チーズ様食品の総質量に対して、1~10質量%である。
加工澱粉としては、例えば、酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉が挙げられる。加工澱粉の含有量は、特に制限されず、例えば、固形チーズ様食品の総質量に対して、0.1~5質量%である。
固形チーズ様食品の具体例としては、短冊状(又は細切り状)のシュレッドチーズ、サイコロ状のダイスチーズ、シート状のスライスチーズなどが例示できる。
[固形チーズ様食品の製造方法]
本発明の固形チーズ様食品は、慣用の方法、例えば、原料チーズと、本発明の油脂組成物と、必要により添加剤と、水とを加熱混合する工程、及び、加熱混合物を冷却する工程を含む方法により、製造することができる。
加熱混合工程において、各成分の配合量は、固形チーズ様食品中の含有量に応じて適宜選択される。加熱温度は、例えば、60~100℃程度である。加熱混合の間、必要により脱気を行ってもよい。
冷却工程において、加熱混合物は、例えば、1~10℃程度に冷却される。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[固形チーズ様食品用油脂組成物の評価方法]
<SFC(固体脂含量)>
試料のSFCは、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」(2013年)に記載の「2.2.9固体脂含量(NMR法)」に準拠して測定した。具体的には、試料を70℃の恒温槽で加熱し、均一にして試験管に入れた。試験管に入れた試料を60.0±0.2℃で30分間保持した。この試料を0±0.2℃に30分間保持し、さらに25±0.2℃に移し30分間保持した。再び0±0.2℃に30分間保持した後、測定温度(T±0.2℃)に30分間保持して、試料のNMRシグナルを測定した。測定後は試料を次の測定温度に移し、30分間保持した後、試料のNMRシグナルを測定した。以下、同様の操作を繰り返した。測定温度は5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃であり、低温から順に測定した。
[固形チーズ様食品の評価方法]
<加熱時の溶け広がり>
プラスチックカップから取り出したチーズ様食品を、ダイス状(1cm角)にカットし、120℃に予熱したオーブンで2分加熱した。溶け広がりを、以下の基準で評価した。
5:溶け広がりが非常に大きい
4:溶け広がりが大きい
3:溶け広がりが小さいが、許容できるレベルである
2:溶け広がりが殆どない
1:溶け広がりが全くない
<フィルム剥離性>
ナイロンポリ袋(福助工業株式会社製、ナイロンポリ袋Kタイプ)に充填したチーズ様食品を、麺棒で延ばしてシート状(約12cm×12cm)にし、5℃で一晩冷蔵した。ナイロンポリ袋からチーズ様食品を剥がした際のチーズ様食品の付着量を、以下の基準で評価した。
5:チーズ様食品の付着が全く又は殆どない
4:チーズ様食品の付着が少ない
3:チーズ様食品が付着しているが、許容できるレベルである
2:チーズ様食品の付着が多い
1:チーズ様食品の付着がかなり多い
<食感>
プラスチックカップから取り出したチーズ様食品をダイス状(1cm角)にカットし、カットしたチーズ様食品の食感を8名のパネラーの協議により、以下の基準で評価した。
5:乳脂肪を配合した場合と同等の硬さである
4:乳脂肪を配合した場合よりもやや硬い又はやや軟らかい
3:乳脂肪を配合した場合よりも硬い又は軟らかいが、許容できるレベルである
2:乳脂肪を配合した場合よりも硬すぎる又は軟らかすぎる
1:乳脂肪を配合した場合よりも非常に硬い又は非常に軟らかい
<口どけ>
プラスチックカップから取り出したチーズ様食品をダイス状(1cm角)にカットし、カットしたチーズ様食品の食感を8名のパネラーの協議により、以下の基準で評価した。
5:乳脂肪を配合した場合と同等の口どけである
4:乳脂肪を配合した場合よりもやや口どけが劣る
3:乳脂肪を配合した場合よりも口どけが劣るが、許容できるレベルである
2:乳脂肪を配合した場合よりも口どけが悪い
1:乳脂肪を配合した場合よりも口どけが非常に悪い
[固形チーズ様食品の調製]
実施例及び比較例の固形チーズ様食品の処方を以下の表1に示す。
Figure 0007149703000001
実施例及び比較例の固形チーズ様食品は、以下の方法により調製した。
表1の処方となるように、10Lミキサー(株式会社イズミフードマシナリ製)に、ナチュラルチーズ、油脂組成物、カゼインナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(松谷化学工業株式会社製、ファリネックスVA70WM)、クエン酸三ナトリウム、水を投入し、1200rpmで撹拌しながら蒸気を直接吹き込み、85℃まで加熱し乳化した。加熱混合中、65~75℃の間は真空ポンプを用いて脱気を行った。乳化後、プラスチックカップ及びナイロンポリ袋(福助工業株式会社製、ナイロンポリ袋Kタイプ)に充填し、5℃の冷蔵庫で16時間以上冷却することにより、固形チーズ様食品を得た。
なお、油脂組成物として乳脂肪を使用する比較例は、油脂組成物の代わりにバターオイルを使用する以外、上記と同様にして固形チーズ様食品を得た。
[予備実験]
本発明者らは、本発明の課題を解決すべく油脂の種類について鋭意検討を重ねたところ、パーム系油脂をエステル交換することにより、固形チーズ様食品の加熱時の溶け広がり、フィルム剥離性、及び食感(特にフィルム剥離性)が改善することを見出した。
具体的には、油脂組成物として、パーム分別低融点部、そのエステル交換油脂、又は乳脂肪(コントロール)を使用し、固形チーズ様食品を調製したところ、以下の表2に示す結果が得られた。
Figure 0007149703000002
(1) パーム分別低融点部1のエステル交換油:パーム分別低融点部1に対して、0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、ランダムエステル交換反応を行い、脱色、脱臭することにより得た。
(2) パーム分別低融点部1:パームオレイン(ヨウ素価60、上昇融点20.0℃)
表2の結果から明らかなように、パーム系油脂をエステル交換することにより、加熱時に溶け広がりやすくなり、フィルム剥離性が向上し、乳脂肪を配合したときのような良好な食感が得られた。
[本実験]
しかし、パーム系油脂のエステル交換油脂(A)単独では、乳脂肪を配合したときのような良好な口どけが得られなかった。そこで、本発明者らは、以下の表3に示す油脂組成物を用いて、固形チーズ様食品を調製し、加熱時の溶け広がり、フィルム剥離性、食感、及び口どけの各物性について評価した。
Figure 0007149703000003
(3) パーム分別中融点部:パームミッドフラクション(ヨウ素価45、上昇融点27.5℃)
(4) パーム分別低融点部2:パームオレイン(ヨウ素価56、上昇融点22.5℃)
(5) パーム分別低融点部3:パームダブルオレイン(ヨウ素価64、上昇融点15℃以下)
Figure 0007149703000004
表3~4の結果から明らかなように、パーム系油脂のエステル交換油脂(A)とパーム系油脂の非エステル交換油脂(B)とを組み合わせることにより、加熱時の溶け広がり、フィルム剥離性、食感、及び口どけのバランスに優れた固形チーズ様食品が得られた。
本発明の油脂組成物は、原料チーズに配合して、固形チーズ様食品(シュレッドチーズ、ダイスチーズ、スライスチーズなど)を製造するのに好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. 原料チーズに配合して固形チーズ様食品を製造するための油脂組成物であって、
    パーム系油脂のエステル交換油脂(A)15~65質量%と、パーム系油脂の非エステル交換油脂(B)35~85質量%とからなり
    エステル交換油脂(A)の原料油脂であるパーム系油脂が、ヨウ素価が55~65でありかつ上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部であり、
    非エステル交換油脂(B)が、
    (B-1)ヨウ素価が50を超え70以下でありかつ上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部からなるか、または
    (B-2)ヨウ素価が50を超え70以下でありかつ上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部とヨウ素価が30~50でありかつ上昇融点が25~35℃のパーム分別中融点部とからなる混合油であり、前記パーム分別低融点部を前記油脂組成物の質量に対し35~75質量%の範囲で含む
    前記油脂組成物。
  2. 非エステル交換油脂(B)が、(B-1)ヨウ素価が50を超え70以下でありかつ上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部からなる、請求項1記載の油脂組成物。
  3. 非エステル交換油脂(B)が、(B-2)ヨウ素価が50を超え70以下でありかつ上昇融点が25℃未満のパーム分別低融点部とヨウ素価が30~50でありかつ上昇融点が25~35℃のパーム分別中融点部とからなる混合油であり、前記パーム分別低融点部を前記油脂組成物の質量に対し35~75質量%の範囲で含む、請求項1記載の油脂組成物。
  4. 5℃におけるSFC(固体脂含量)が、30~75%であり、かつ、35℃におけるSFCが、3%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  5. エステル交換油脂(A)の非エステル交換油脂(B)に対する質量比(A/B)が、35/65~50/50である、請求項1~のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  6. 原料チーズと請求項1~のいずれか1項に記載の油脂組成物とを含む、固形チーズ様食品。
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