JP7147473B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、車両用の操舵装置として、モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置(EPS)が知れられている。こうしたEPSを制御対象とする操舵制御装置には、操舵機構に入力される操舵トルクの増大に基づいてより大きなアシスト力が操舵機構に付与されるようにアシスト指令値を演算するものがある(例えば、特許文献1)。
ところで、EPSでは、転舵輪が路面から受ける力である路面反力が操舵機構を介してステアリングホイールに伝達される。そして、運転者は、ステアリングホイールに伝達される路面反力の大きさや変化等から路面の摩擦係数(μ)や凹凸等の路面情報を把握することができる。このように路面反力は、路面情報を運転者に伝えることができるものの、例えば路面反力の把握には不要な振動等もステアリングホイールに伝達されることで、操舵フィーリングの低下を招くおそれがある。
そこで、例えば特許文献2には、操舵トルクに基づく第1アシスト成分と、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角を目標回転角に追従させる角度フィードバック制御の実行に基づく第2アシスト成分とに基づいてアシスト指令値を演算する操舵制御装置が開示されている。このような第2アシスト成分を含むアシスト力が操舵機構に付与されることにより、実際の転舵角が目標となる転舵角に追従するため、転舵輪からステアリングホイールに伝達される振動等を抑制でき、操舵フィーリングを向上させることができる。
また、同操舵制御装置は、目標回転角の演算にあたり、ステアリングホイールの回転に伴って回転する回転軸のトルクと回転角との関係を表すモデル(ステアリングモデル)を用いる。そして、同操舵制御装置は、路面反力に応じてステアリング操作に抗する力として転舵軸に作用する軸力を軸力センサにより検出しており、該軸力、操舵トルク及び第1アシスト成分に基づいて入力トルクを演算し、該入力トルクがモデルに入力された場合の回転角を目標回転角として演算する。これにより、路面状態に応じた軸力の変化に起因して、目標回転角、つまり第2アシスト成分が変化する。したがって、特許文献2のように入力トルクの演算に軸力を加味することで、第2アシスト成分(アシスト指令値)の変化を通じて運転者に路面情報を伝えつつ、操舵フィーリングを向上させることができる。
特開2011-111080号公報 特開2014-943号公報
ところが、上記特許文献2の構成において、例えば軸力センサに異常が生じた場合、軸力が路面反力を正確に反映した値とはならなくなり、該軸力を用いて演算されるアシスト指令値も異常な値となる。そのため、ステアリングホイールに伝わる路面反力の調整をアシスト指令値の変化を通じて適切に行うことができなくなるおそれがある。
なお、こうした問題は、角度フィードバック制御の実行に基づく第2アシスト成分を用いてアシスト指令値を演算する構成に限らず、アシスト指令値を演算する基礎として軸力を用いる場合には、同様に生じ得る。また、軸力を軸力センサにより検出する場合に限らず、操舵制御装置が取得する各種状態量に基づいて軸力を推定する構成であっても、これら各種状態量に異常が生じた場合等には、同様の問題が生じ得る。
本発明の目的は、ステアリングホイールに伝わる路面反力の調整が不適切なものとなることを抑制できる操舵制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する操舵制御装置は、モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、操舵トルクに基づいて第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、前記基礎反力に基づく反力成分を用いて、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角の目標となる目標回転角を演算する目標回転角演算部と、前記回転角及び前記目標回転角に基づく角度フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部とを備え、前記第1アシスト成分及び前記第2アシスト成分に基づくアシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御するものであって、前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する。
上記課題を解決する操舵制御装置は、モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、前記操舵機構に入力すべき操舵トルクの目標値となるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、前記操舵トルク及び前記トルク指令値に基づくトルクフィードバック制御の実行により第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、前記基礎反力に基づく反力成分及び前記第1アシスト成分を用いて、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角の目標となる目標回転角を演算する目標回転角演算部と、前記回転角及び前記目標回転角に基づく角度フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部とを備え、前記第2アシスト成分に基づくアシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御するものであって、前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する。
上記課題を解決する操舵制御装置は、モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、前記基礎反力に基づく反力成分を用いて、前記操舵機構に入力すべき操舵トルクの目標値となるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、前記操舵トルク及び前記トルク指令値に基づくトルクフィードバック制御の実行によりアシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部とを備え、前記アシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御するものであって、前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する。
上記各構成によれば、アシスト指令値は、路面状態に応じた基礎反力(反力成分)の変化によって変化する。そして、上記構成では、軸力又はタイヤ力のいずれかが異常である場合には、基礎反力の値に対する異常な軸力又はタイヤ力の影響(寄与)が小さくなるため、アシスト指令値(アシスト力)が異常な値となることを抑制できる。したがって、ステアリングホイールに伝達される路面反力の調整をアシスト指令値の変化によって行っても、該調整が不適切なものとなることを抑制できる。
上記操舵制御装置において、前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率がゼロとなるように該基礎反力を演算することが好ましい。
上記構成によれば、基礎反力の値に対する異常な軸力又はタイヤ力の影響がなくなるため、アシスト指令値が異常な値となることを好適に抑制できる。したがって、ステアリングホイールに伝達される路面反力の調整が不適切なものとなることを好適に抑制できる。
上記操舵制御装置において、前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力以外の力の前記基礎反力に対する寄与率が高くなるように該基礎反力を演算することが好ましい。
上記構成によれば、複数種の軸力及びタイヤ力のいずれかに異常が発生する前後でアシスト指令値の大きさが変化することを抑制でき、運転者が違和感を覚えることを低減できる。
本発明によれば、ステアリングホイールに伝わる路面反力の調整が不適切なものとなることを抑制できる。
第1実施形態の電動パワーステアリング装置の概略構成図。 第1実施形態の操舵制御装置のブロック図。 第1実施形態の反力成分演算部のブロック図。 第2実施形態の反力成分演算部のブロック図。 第3実施形態のアシスト指令値演算部のブロック図。 第4実施形態の操舵制御装置のブロック図。
(第1実施形態)
以下、操舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、制御対象となる操舵装置としての電動パワーステアリング装置(EPS)1は、運転者によるステアリングホイール2の操作に基づいて転舵輪3を転舵させる操舵機構4を備えている。また、EPS1は、操舵機構4にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するアシスト機構5と、アシスト機構5の作動を制御する操舵制御装置6とを備えている。
操舵機構4は、ステアリングホイール2が固定されるステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11に連結された転舵軸としてのラック軸12と、ラック軸12が往復動可能に挿通される円筒状のラックハウジング13と、ステアリングシャフト11の回転をラック軸12の往復動に変換するラックアンドピニオン機構14とを備えている。なお、ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール2が位置する側から順にコラム軸15、中間軸16、及びピニオン軸17を連結することにより構成されている。
ラック軸12とピニオン軸17とは、ラックハウジング13内に所定の交差角をもって配置されている。ラックアンドピニオン機構14は、ラック軸12に形成されたラック歯12aとピニオン軸17に形成されたピニオン歯17aとが噛合されることにより構成されている。また、ラック軸12の両端には、その軸端部に設けられたボールジョイントからなるラックエンド18を介してタイロッド19がそれぞれ回動自在に連結されている。タイロッド19の先端は、転舵輪3が組付けられた図示しないナックルに連結されている。したがって、EPS1では、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト11の回転がラックアンドピニオン機構14によりラック軸12の軸方向移動に変換され、この軸方向移動がタイロッド19を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪3の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
アシスト機構5は、駆動源であるモータ21と、モータ21の回転を伝達する伝達機構22と、伝達機構22を介して伝達された回転をラック軸12の往復動に変換する変換機構23とを備えている。そして、アシスト機構5は、モータ21の回転を伝達機構22を介して変換機構23に伝達し、変換機構23にてラック軸12の往復動に変換することで操舵機構4にアシスト力を付与する。なお、本実施形態のモータ21には、例えば三相のブラシレスモータが採用され、伝達機構22には、例えばベルト機構が採用され、変換機構23には、例えばボールネジ機構が採用されている。
操舵制御装置6には、運転者の操舵によりステアリングシャフト11に付与された操舵トルクThを検出するトルクセンサ41が接続されている。また、操舵制御装置6には、転舵輪3をドライブシャフト(図示略)を介して回転可能に支持するハブユニット42に設けられた左前輪センサ42l及び右前輪センサ42rが接続されている。左前輪センサ42l及び右前輪センサ42rは、各転舵輪3の車輪速Vl,Vrを検出する。なお、本実施形態の操舵制御装置6は、車輪速Vl,Vrの平均値を車速Vとして検出する。また、操舵制御装置6には、モータ21のモータ角θmを360°の範囲内の相対角で検出する回転センサ43が接続されている。なお、操舵トルクTh及びモータ角θmは、一方向(本実施形態では、右)に操舵した場合に正の値、他方向(本実施形態では、左)に操舵した場合に負の値として検出する。また、操舵制御装置6には、ラック軸12に作用する軸力の検出値であるセンサ軸力Fseを取得する軸力センサ45が接続されている。なお、軸力センサ45としては、例えばラック軸12のストロークに応じた圧力変化に基づいて軸力を検出するものが採用可能である。なお、操舵制御装置6は、センサ軸力Fseをトルクの次元(N・m)で取得する。そして、操舵制御装置6は、これら各センサから入力される各状態量に基づいて、モータ21に駆動電力を供給することにより、アシスト機構5の作動、すなわち操舵機構4にラック軸12を往復動させるべく付与するアシスト力を制御する。
次に、操舵制御装置6の構成について説明する。
図2に示すように、操舵制御装置6は、モータ制御信号Smを出力するマイコン51と、モータ制御信号Smに基づいてモータ21に駆動電力を供給する駆動回路52とを備えている。なお、本実施形態の駆動回路52には、複数のスイッチング素子(例えば、FET等)を有する周知のPWMインバータが採用されている。そして、マイコン51の出力するモータ制御信号Smは、各スイッチング素子のオンオフ状態を規定するものとなっている。これにより、モータ制御信号Smに応答して各スイッチング素子がオンオフし、各相のモータコイルへの通電パターンが切り替わることにより、車載電源53の直流電力が三相の駆動電力に変換されてモータ21へと出力される。なお、以下に示す各制御ブロックは、マイコン51が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものであり、所定のサンプリング周期(検出周期)で各状態量を検出し、所定の演算周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理が実行される。
マイコン51には、上記車速V、操舵トルクTh、モータ角θm及びセンサ軸力Fseが入力される。また、マイコン51には、駆動回路52と各相のモータコイルとの間の接続線54に設けられた電流センサ55により検出されるモータ21の各相電流値Iu,Iv,Iwが入力される。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線54及び各相の電流センサ55をそれぞれ1つにまとめて図示している。そして、マイコン51は、これら各状態量に基づいてモータ制御信号Smを出力する。
詳しくは、マイコン51は、アシスト指令値Ta*を演算するアシスト指令値演算部61と、モータ制御信号Smを演算するモータ制御信号演算部63とを備えている。
アシスト指令値演算部61は、後述するように、操舵トルクThに基づく第1アシスト成分Ta1と、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる角度フィードバック制御の実行に基づく第2アシスト成分Ta2との加算値に基づいて、操舵機構4が付与すべきアシスト力に対応したアシスト指令値Ta*を演算する。
モータ制御信号演算部63は、アシスト指令値Ta*に基づいて、モータ21に供給する駆動電流の目標値である目標電流値Id*,Iq*を演算する。目標電流値Id*,Iq*は、d/q座標系におけるd軸上の目標電流値及びq軸上の目標電流値をそれぞれ示す。モータ制御信号演算部63は、アシスト指令値Ta*の絶対値が大きくなるほど、より大きな絶対値を有するq軸目標電流値Iq*を演算する。なお、d軸目標電流値Id*は、基本的にゼロとする。そして、モータ制御信号演算部63は、目標電流値Id*,Iq*、各相電流値Iu,Iv,Iw、及びモータ21のモータ角θmに基づいてd/q座標系における電流フィードバック制御を実行することにより、制御信号を生成する。
具体的には、モータ制御信号演算部63は、モータ角θmに基づいて相電流値Iu,Iv,Iwをd/q座標上に写像することにより、d/q座標系におけるモータ21の実電流値であるd軸電流値Id及びq軸電流値Iqを演算する。そして、モータ制御信号演算部63は、d軸電流値Idをd軸目標電流値Id*に追従させるべく、またq軸電流値Iqをq軸目標電流値Iq*に追従させるべく、d軸及びq軸上の各電流偏差に基づいて目標電圧値を演算し、該目標電圧値に基づくデューティ比を有するモータ制御信号Smを演算する。なお、モータ制御信号Smを生成する過程で演算したq軸電流値Iqは、上記アシスト指令値演算部61に出力される。
このように演算されたモータ制御信号Smは、駆動回路52に出力される。これにより、モータ21には、駆動回路52からモータ制御信号Smに応じた駆動電力が供給される。そして、モータ21は、アシスト指令値Ta*に示されるアシスト力を操舵機構4に付与する。
次に、アシスト指令値演算部61の構成について説明する。
アシスト指令値演算部61には、操舵トルクTh、車速V、モータ角θm、センサ軸力Fse及びq軸電流値Iqが入力される。アシスト指令値演算部61は、これらの状態量に基づいてアシスト指令値Ta*を演算する。
詳しくは、アシスト指令値演算部61は、第1アシスト成分Ta1を演算する第1アシスト成分演算部71と、反力成分Firを演算する反力成分演算部72と、目標ピニオン角θp*を演算する目標ピニオン角演算部73と、ピニオン角θpを演算するピニオン角演算部74とを備えている。また、アシスト指令値演算部61は、実際のピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる角度フィードバック制御の実行により第2アシスト成分Ta2を演算する角度フィードバック制御部(以下、角度F/B制御部)75とを備えている。そして、アシスト指令値演算部61は、第1アシスト成分Ta1及び第2アシスト成分Ta2に基づいてアシスト指令値Ta*を演算する。
より詳しくは、第1アシスト成分演算部71には、操舵トルクTh及び車速Vが入力される。第1アシスト成分演算部71は、これらの状態量に基づいてステアリング操作を補助する力である第1アシスト成分Ta1を演算する。具体的には、第1アシスト成分演算部71は、操舵トルクThの絶対値が大きくなるほど、また車速Vが低くなるほど、より大きな絶対値を有する第1アシスト成分Ta1を演算する。このように演算された第1アシスト成分Ta1は、目標ピニオン角演算部73及び加算器76に出力される。
反力成分演算部72には、操舵トルクTh、車速V、センサ軸力Fse及び目標ピニオン角θp*が入力される。反力成分演算部72は、後述するようにこれらの状態量に基づいてステアリング操作に抗する力である反力成分Firを演算し、目標ピニオン角演算部73に出力する。
目標ピニオン角演算部73には、操舵トルクTh、車速V、第1アシスト成分Ta1及び反力成分Firが入力される。目標ピニオン角演算部73は、これらの状態量に基づいて転舵輪3の転舵角に換算可能な回転軸であるピニオン軸17の目標回転角として目標ピニオン角θp*を演算する。具体的には、目標ピニオン角演算部73は、第1アシスト成分Ta1に操舵トルクThを加算するとともに反力成分Firを減算した値である入力トルクTin*と目標ピニオン角θp*とを関係づけるモデル(ステアリングモデル)式を利用して、目標ピニオン角θp*を演算する。
Tin*=C・θp*’+J・θhp’’…(1)
このモデル式は、ステアリングホイール2の回転に伴って回転する回転軸のトルクと回転角との関係を定めて表したものである。そして、このモデル式は、EPS1の摩擦等をモデル化した粘性係数C、EPS1の慣性をモデル化した慣性係数Jを用いて表される。なお、粘性係数C及び慣性係数Jは、車速Vに応じて可変設定される。このように演算された目標ピニオン角θp*は、減算器77及び反力成分演算部72に出力される。
ピニオン角演算部74には、モータ角θmが入力される。ピニオン角演算部74は、モータ角θmに基づいてピニオン軸17の回転角(操舵角)を示すピニオン角θpを演算する。具体的には、ピニオン角演算部74は、例えばラック軸12が車両の直進する中立位置にある状態でのピニオン角θpを原点(ゼロ度)としてモータ21の回転数を積算(カウント)し、この回転数及びモータ角θmに基づいてピニオン角θpを360°を超える範囲を含む絶対角で演算する。このように演算されたピニオン角θpは、減算器77に出力される。
角度F/B制御部75には、減算器77において、目標ピニオン角θp*からピニオン角θpを減算した角度偏差Δθが入力される。角度F/B制御部75は、角度偏差Δθに基づき、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*にフィードバック制御するための制御量としてステアリング操作を補助する力である第2アシスト成分Ta2を演算する。具体的には、第2アシスト成分Ta2は、角度偏差Δθを入力とする比例要素、積分要素及び微分要素のそれぞれの出力値の和を、基礎反力トルクとして演算する。このように演算された第2アシスト成分Ta2は、加算器76に出力される。
そして、アシスト指令値演算部61は、加算器76において、第1アシスト成分Ta1に第2アシスト成分Ta2を加算した値をアシスト指令値Ta*として演算し、モータ制御信号演算部63に出力する。
次に、反力成分演算部72の構成について説明する。
反力成分演算部72には、車速V、センサ軸力Fse、q軸電流値Iq及び目標ピニオン角θp*が入力される。反力成分演算部72は、これらの状態量に基づいてラック軸12に作用する軸力に応じた反力成分Firを演算し、目標ピニオン角演算部73に出力する。
図3に示すように、反力成分演算部72は、入力される各状態量(信号)が異常であるか否かを判定する異常判定部81と、各状態量に基づいて反力成分Firとなる基礎反力を演算する基礎反力演算部82とを備えている。
異常判定部81には、車速V、センサ軸力Fse、q軸電流値Iq及び目標ピニオン角θp*が入力される。異常判定部81は、例えば各状態量が取り得ない値となった場合や、前回値からの変化量が予め設定される閾値を超える場合等に異常であると判定する等の方法により、入力される各状態量が異常であるか否かの判定を行う。そして、異常判定部81は、異常判定の判定結果を示す判定信号Sdeとともに、入力された車速V、センサ軸力Fse、q軸電流値Iq及び目標ピニオン角θp*をそのまま基礎反力演算部82に出力する。
基礎反力演算部82は、電流軸力(路面軸力)Ferを演算する電流軸力演算部83と、角度軸力(理想軸力)Fibを演算する角度軸力演算部84とを備えている。なお、電流軸力Fer及び角度軸力Fibは、トルクの次元(N・m)で演算される。また、基礎反力演算部82は、転舵輪3に対して路面から加えられる軸力(路面から伝達される路面情報)が反映されるように、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseを所定割合で配分した配分軸力を反力成分Fir(基礎反力)として演算する配分軸力演算部85を備えている。
電流軸力演算部83には、q軸電流値Iqが入力される。電流軸力演算部83は、転舵輪3に作用する軸力(転舵輪3に伝達される伝達力)の推定値であって、路面情報が反映された電流軸力Ferをq軸電流値Iqに基づいて演算する。具体的には、電流軸力演算部83は、モータ21からラック軸12に加えられるトルク及び操舵トルクThと、転舵輪3に対して路面から加えられる力に応じたトルクとが釣り合うとして、q軸電流値Iqの絶対値が大きくなるほど、電流軸力Ferの絶対値が大きくなるように演算する。このように演算された電流軸力Ferは、配分軸力演算部85に出力される。
角度軸力演算部84には、目標ピニオン角θp*及び車速Vが入力される。角度軸力演算部84は、転舵輪3に作用する軸力(転舵輪3に伝達される伝達力)の理想値であって、路面情報が反映されない角度軸力Fibを目標ピニオン角θp*に基づいて演算する。具体的には、角度軸力演算部84は、目標ピニオン角θp*の絶対値が大きくなるにつれて角度軸力Fibの絶対値が大きくなるように演算する。また、角度軸力演算部84は、車速Vが大きくなるにつれて角度軸力Fibの絶対値が大きくなるように演算する。このように演算された角度軸力Fibは、配分軸力演算部85に出力される。
配分軸力演算部85には、判定信号Sde、電流軸力Fer及び角度軸力Fibに加え、センサ軸力Fseが入力される。配分軸力演算部85には、電流軸力Ferの配分比率を示す電流配分ゲインGer、角度軸力Fibの配分比率を示す角度配分ゲインGib、及びセンサ軸力Fseの配分比率を示すセンサ配分ゲインGseが、実験等により予め設定されている。なお、電流配分ゲインGer、角度配分ゲインGib及びセンサ配分ゲインGseは、車速Vに応じて可変設定されている。そして、配分軸力演算部85は、角度軸力Fibに角度配分ゲインGibを乗算した値、電流軸力Ferに電流配分ゲインGerを乗算した値、及びセンサ軸力Fseにセンサ配分ゲインGseを乗算した値を足し合わせることにより、反力成分Firを演算する。つまり、本実施形態の基礎反力演算部82は、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseの3つの軸力を取得し、これら3つの軸力に基づいて反力成分Fir(基礎反力)を演算する。
このように構成された操舵制御装置6では、入力トルクTin*に反力成分Fir(軸力)が加味されて目標ピニオン角θp*が演算され、該目標ピニオン角θp*にピニオン角θpを追従させるための第2アシスト成分Ta2がアシスト指令値Ta*に含まれる。そのため、路面状態に応じた第2アシスト成分Ta2(アシスト指令値Ta*)の変化を通じて、ステアリングホイール2に伝達される路面反力を調整でき、運転者に路面情報を伝えつつ、振動等を抑制して操舵フィーリングの向上を図ることが可能となっている。しかし、例えば軸力センサ45に異常が生じた場合、該センサ軸力Fseに基づく反力成分Fir、ひいてはアシスト指令値Ta*が異常な値となるおそれがある。
この点、本実施形態では、各配分ゲインGer,Gib,Gseは、判定信号Sdeに示される判定結果に応じて異なる値が設定される。詳しくは、取得した状態量に異常がある場合には、該異常のある状態量に基づく軸力に乗算される配分ゲインが、異常のない場合に比べて小さくなるとともに、異常のない各状態量に基づく軸力に乗算される配分ゲインが大きくなるように設定されている。つまり、本実施形態の基礎反力演算部82は、軸力を演算する状態量に異常がある場合に、該軸力が異常であると判定する。そして、各配分ゲインGer,Gib,Gseは、取得した各状態量に異常がある場合には、該異常がある状態量に基づく軸力(異常な軸力)の反力成分Firに対する寄与率が低くなるとともに、異常のない各状態量に基づく軸力(正常な軸力)の反力成分Firに対する寄与率が高くなるように設定されている。
一例として、電流配分ゲインGerは、各状態量が正常である場合には「0.3」、q軸電流値Iqが異常である場合には「0」、q軸電流値Iq以外(目標ピニオン角θp*、車速V及びセンサ軸力Fseの少なくとも一方)が異常である場合には「0.45」とされる。また、角度配分ゲインGibは、各状態量が正常である場合には「0.45」、目標ピニオン角θp*及び車速Vの少なくとも一方が異常である場合には「0」、目標ピニオン角θp*及び車速V以外(q軸電流値Iq及びセンサ軸力Fseの少なくとも一方)が異常である場合には「0.6」とされる。また、センサ配分ゲインGseは、各状態量が正常である場合には「0.7」、センサ軸力Fseが異常である場合には「0」、センサ軸力Fse以外(目標ピニオン角θp*、車速V及びq軸電流値Iqの少なくとも一方)が異常である場合には「0.9」とされる。なお、各配分ゲインGer,Gib,Gseの値は適宜変更可能であり、これらの和が「1」となるように設定してもよく、「1」より大きく又は小さくなるように設定してもよい。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)基礎反力演算部82は、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseのいずれかが異常である場合には、該異常がある軸力に乗算する配分ゲインGer,Gib,Gseをゼロにすることで、該異常な軸力の反力成分Fir(基礎反力)に対する寄与率をゼロにするようにした。具体的には、基礎反力演算部82は、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseに異常がない場合には、電流軸力Ferを30%、角度軸力Fibを45%、センサ軸力Fseを70%の割合で配分して反力成分Firを演算する。ここで、例えばセンサ軸力Fseの値が異常となる場合を想定すると、基礎反力演算部82は、電流軸力Ferを45%、角度軸力Fibを60%、センサ軸力Fseを0%の割合で配分して反力成分Firを演算する。これにより、反力成分Firの値に対する異常な軸力の影響(寄与)がなくなるため、アシスト指令値Ta*が異常な値となることを好適に抑制できる。したがって、ステアリングホイール2に伝達される路面反力の調整をアシスト指令値Ta*の変化によって行っても、該調整が不適切なものとなることを好適に抑制できる。
(2)基礎反力演算部82は、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseのいずれかが異常である場合には、該異常な軸力以外の軸力に乗算する配分ゲインGer,Gib,Gseを大きくすることで、該異常な軸力以外の軸力の反力成分Firに対する寄与率を高くするようにした。これにより、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseのいずれかに異常が発生する前後で操舵反力の大きさが変化することを抑制でき、運転者が違和感を覚えることを低減できる。
(第2実施形態)
次に、操舵制御装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の反力成分演算部72には、目標ピニオン角θp*、車速V、q軸電流値Iq及びタイヤ力Ftが入力され、センサ軸力Fseは入力されない。なお、タイヤ力Ftは、ハブユニット42(図1参照)により検出される車両前後方向(x方向)の荷重、車両左右方向(y方向)の荷重、車両上下方向(z方向)の荷重、x軸周りのモーメント、y軸周りのモーメント及びz軸周りのモーメントの少なくとも1つに基づく値(単位:ニュートン)である。
本実施形態の異常判定部81には、車速V、q軸電流値Iq、目標ピニオン角θp*及びタイヤ力Ftが入力される。そして、異常判定部81は、上記第1実施形態と同様に各状態量の異常判定を行い、その判定結果を示す判定信号Sdeとともに、入力された車速V、q軸電流値Iq、目標ピニオン角θp*及びタイヤ力Ftをそのまま基礎反力演算部82に出力する。
本実施形態の基礎反力演算部82は、電流軸力演算部83、角度軸力演算部84及び配分軸力演算部85に加え、トルク換算部91及び出力切替部92を備えている。電流軸力演算部83及び角度軸力演算部84は、上記第1実施形態と同様に、それぞれ電流軸力Fer及び角度軸力Fibを演算し、配分軸力演算部85に出力する。
配分軸力演算部85は、車速Vに基づいて電流配分ゲインGer及び角度配分ゲインGibを演算する配分ゲイン演算部101を備えている。本実施形態の配分ゲイン演算部101は、車速Vと配分ゲインGer,Gibとの関係を定めたマップを備えており、同マップを参照することにより車速Vに応じた配分ゲインGer,Gibを演算する。電流配分ゲインGerは車速Vが大きい場合に小さい場合よりも値が大きくなり、角度配分ゲインGibは車速Vが大きい場合に小さい場合よりも値が小さくなる。なお、本実施形態では、配分ゲインGer,Gibの和が「1」となるように値が設定されている。このように演算された電流配分ゲインGerは乗算器102に出力され、角度配分ゲインGibは乗算器103に出力される。
乗算器102には電流軸力Ferが入力され、乗算器103には角度軸力Fibが入力される。そして、配分軸力演算部85は、乗算器102において電流軸力Ferに電流配分ゲインGerを乗算するとともに、乗算器103において角度軸力Fibに角度配分ゲインGibを乗算し、加算器104においてこれらの値を足し合わせて配分軸力Fdを演算する。このように演算された配分軸力Fdは、出力切替部92に出力される。
トルク換算部91には、タイヤ力Ftが入力される。トルク換算部91は、ラックアンドピニオン機構14の回転速度比に基づく換算係数Kpをタイヤ力Ftに乗算することで、ピニオン軸17周りのタイヤトルクTtを演算する。このように演算されたタイヤトルクTtは、出力切替部92に出力される。
出力切替部92には、配分軸力Fd及びタイヤトルクTtに加えて、判定信号Sdeが入力される。出力切替部92は、判定信号Sdeに基づいて、配分軸力Fdの基礎となる各状態量に異常がない場合には、配分軸力Fdを反力成分Firとして出力し、同各状態量の少なくとも1つに異常がある場合には、タイヤトルクTtを反力成分Firとして出力する。つまり、本実施形態の基礎反力演算部82は、電流軸力Fer及び角度軸力Fibと、タイヤ力Ftとの3つの力を取得し、電流軸力Fer及び角度軸力Fibに基づく配分軸力Fd、又はタイヤ力Ftに基づくタイヤトルクTtを反力成分Firとして出力する。また、基礎反力演算部82は、配分軸力Fdの基礎となる各状態量に異常がある場合に、タイヤトルクTtに切り替えることで、異常な軸力の反力成分Firに対する寄与率を低く(ゼロ)して該反力成分Firを演算する。
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1)の作用及び効果と同様の作用及び効果を有する。
(第3実施形態)
次に、操舵制御装置の第3実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の第1アシスト成分演算部71は、トルク指令値Th1*を演算するトルク指令値演算部111と、トルクフィードバック演算の実行により第1アシスト成分Ta1を演算するトルクフィードバック制御部(以下、トルクF/B制御部)112とを備えている。
詳しくは、トルク指令値演算部111には、加算器113において操舵トルクThに第1アシスト成分Ta1が足し合わされた駆動トルクTcが入力される。トルク指令値演算部111は、駆動トルクTcに基づいて、該駆動トルクTc対して運転者が入力すべき操舵トルクThの目標値であるトルク指令値Th1*を演算する。具体的には、トルク指令値演算部111は、駆動トルクTcの絶対値が大きいほど、より大きな絶対値となるトルク指令値Th1*を演算する。
トルクF/B制御部112には、減算器114において操舵トルクThからトルク指令値Th1*が差し引かれたトルク偏差ΔT1が入力される。そして、トルクF/B制御部112は、トルク偏差ΔT1に基づき、操舵トルクThをトルク指令値Th1*にフィードバック制御するための制御量として第1アシスト成分Ta1を演算する。具体的には、トルクF/B制御部112は、トルク偏差ΔT1を入力とする比例要素、積分要素及び微分要素のそれぞれの出力値の和を、第1アシスト成分Ta1として演算する。
このように演算された第1アシスト成分Ta1は、上記第1実施形態と同様に目標ピニオン角演算部73及び加算器76に出力されるとともに、加算器113に出力される。これにより、上記第1実施形態と同様に、目標ピニオン角演算部73において目標ピニオン角θp*が演算される。また、加算器76において第1アシスト成分Ta1と第2アシスト成分Ta2とが加算されることにより、アシスト指令値Ta*が演算される。
そして、反力成分演算部72は、上記第1実施形態と同様に、状態量に異常がある場合には、該異常のある状態量に基づく軸力の反力成分Fir(基礎反力)に対する寄与率が低くなるように該反力成分Firを演算する。
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1),(2)の作用及び効果と同様の作用及び効果を有する。
(第4実施形態)
次に、操舵制御装置の第4実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のアシスト指令値演算部61は、反力成分演算部72、ピニオン角演算部74、トルク指令値演算部121及びトルクF/B制御部122を備えており、第1アシスト成分演算部71及び目標ピニオン角演算部73を備えていない。ピニオン角演算部74は、上記第1実施形態と同様にピニオン角θpを演算する。
反力成分演算部72には、車速V、センサ軸力Fse、q軸電流値Iq及びピニオン角θpが入力される。つまり、本実施形態の反力成分演算部72には、目標ピニオン角θp*に代えてピニオン角θpが入力される。そして、反力成分演算部72は、角度軸力演算部84が目標ピニオン角θp*に代えてピニオン角θpに基づいて角度軸力Fibを演算すること以外は、上記第1実施形態と同様に反力成分Firを演算する。
トルク指令値演算部121は、反力成分Firの絶対値が大きいほど、より大きな絶対値となるトルク指令値Th2*を演算する。トルクF/B制御部122には、減算器123において操舵トルクThからトルク指令値Th2*が差し引かれたトルク偏差ΔT2が入力される。そして、トルクF/B制御部122は、トルク偏差ΔT2に基づき、操舵トルクThをトルク指令値Th2*にフィードバック制御するための制御量としてアシスト指令値Ta*を演算する。具体的には、トルクF/B制御部122は、トルク偏差ΔT2を入力とする比例要素、積分要素及び微分要素のそれぞれの出力値の和を、アシスト指令値Ta*として演算する。
そして、反力成分演算部72は、上記第1実施形態と同様に、状態量に異常がある場合には、該異常のある状態量に基づく軸力の反力成分Fir(基礎反力)に対する寄与率が低くなるように該反力成分Firを演算する。
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1),(2)の作用及び効果と同様の作用及び効果を有する。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第3実施形態では、第1アシスト成分Ta1と第2アシスト成分Ta2とを加算することによりアシスト指令値Ta*を演算したが、これに限らず、例えば第2アシスト成分Ta2をそのままアシスト指令値Ta*として演算してもよい。
・上記第1、第3、第4実施形態では、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseに基づいて反力成分Firを演算したが、これに限らず、これらの軸力に加えて又は代えて、他の状態量に基づいて推定される軸力を用いて反力成分Firを演算してもよい。こうした他の軸力としては、例えばヨーレート及び横加速度に基づいて演算される車両状態量軸力や、タイヤ力Ftに基づいて演算されるタイヤ軸力等がある。同様に、上記第2実施形態において、他の状態量を用いて配分軸力Fdを演算してもよい。
・上記第2実施形態では、異常判定の結果に応じて配分軸力Fd又はタイヤトルクTtを反力成分Firとして出力した。しかし、判定結果に応じて出力を切り替える構成としてはこれに限らず、例えば出力切替部92に角度軸力Fib及び電流軸力Ferを入力し、正常時には電流軸力Fer及び角度軸力Fibのいずれか一方を出力し、該一方の基礎となる状態量の異常時には、他方を出力する構成としてもよい。
・上記第1、第3、第4実施形態では、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseのいずれかが異常である場合には、該異常な軸力に乗算する配分ゲインGer,Gib,Gseをゼロにしたが、これに限らず、異常でない場合より小さければ配分ゲインGer,Gib,Gseをゼロよりも大きな値としてもよい。これにより、反力成分Firの値に対する異常な軸力の影響が小さくなるため、アシスト指令値Ta*が異常な値となることを抑制できる。
・上記第1、第3、第4実施形態では、電流軸力Fer、角度軸力Fib及びセンサ軸力Fseのいずれかが異常である場合には、該異常な軸力以外の軸力に乗算する配分ゲインGer,Gib,Gseを大きくしたが、これに限らず、該異常な軸力以外の軸力に乗算する配分ゲインGer,Gib,Gseを変更しなくともよい。
・上記各実施形態では、異常判定部81が各状態量の値自体の異常を判定し、軸力を演算する状態量に異常がある場合に、該軸力が異常であると判定した。しかし、これに限らず、同判定に加えて又は代えて、例えば演算処理(例えばq軸電流値Iqに基づいて電流軸力Ferを演算する電流軸力演算部83の演算処理)の異常を判定し、同判定結果に基づいて軸力が異常であるか否かの判定を行ってもよく、異常判定の方法は適宜変更可能である。
・上記各実施形態では、電流軸力Ferをq軸電流値Iqに基づいて演算したが、これに限らず、例えばq軸目標電流値Iq*に基づいて演算してもよい。
・上記第1~第3実施形態では、角度軸力Fibを目標ピニオン角θp*及び車速Vに基づいて演算したが、これに限らず、目標ピニオン角θp*のみに基づいて演算してもよい。同様に、上記第4実施形態において、角度軸力Fibをピニオン角θpのみに基づいて演算してもよい。さらに、例えば操舵トルクThや車速V等、他のパラメータを加味する等、他の方法で角度軸力Fibを演算してもよい。
・上記第2実施形態において、配分軸力演算部85が車速V以外のパラメータを加味して配分ゲインGer,Gibを演算してもよい。例えば車載のエンジン等の制御パターンの設定状態を示すドライブモードを複数の中から選択可能な車両において、該ドライブモードを配分ゲインGer,Gibを設定するためのパラメータとしてもよい。この場合、配分軸力演算部85がドライブモード毎に車速Vに対する傾向が異なる複数のマップを備え、同マップを参照することにより、配分ゲインGer,Gibを演算する構成を採用できる。
・上記各実施形態において、反力成分演算部72が配分軸力Fd又はタイヤトルクTt以外の他の反力を加味した値を反力成分Firとして演算してもよい。こうした反力として、例えばステアリングホイール2の操舵角の絶対値が舵角閾値に近づく場合に、更なる切り込み操舵が行われるのに抗する反力であるエンド反力を採用することができる。なお、舵角閾値としては、例えばラックエンド18がラックハウジング13に当接することでラック軸12の軸方向移動が規制される機械的なラックエンド位置よりも中立位置側に設定される仮想ラックエンド位置でのピニオン角θpを用いることができる。
・上記各実施形態において、目標ピニオン角演算部73がサスペンションやホイールアライメント等の仕様によって決定されるバネ係数Kを用いた、所謂バネ項を追加してモデル化したモデル式を利用して目標ピニオン角θp*を演算してもよい。
・上記各実施形態では、操舵制御装置6は、アシスト機構5が伝達機構22及び変換機構23を介してラック軸12にアシスト力を付与する形式のEPS1を制御対象としたが、これに限らず、例えば減速機構を介してコラム軸15にモータトルクを付与する形式の操舵装置を制御対象としてもよい。
次に、上記各実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記基礎反力演算部は、前記複数種の軸力をそれぞれ個別に設定される配分比率で合算した配分軸力又は前記タイヤ力を前記基礎反力として演算する操舵制御装置。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリングホイール、3…転舵輪、4…操舵機構、5…アシスト機構、6…操舵制御装置、11…ステアリングシャフト、12…ラック軸(転舵軸)、17…ピニオン軸(回転軸)、21…モータ、51…マイコン、61…アシスト指令値演算部、71…第1アシスト成分演算部、72…反力成分演算部、73…目標ピニオン角演算部(目標回転角演算部)、74…ピニオン角演算部、75…角度F/B制御部(アシスト成分演算部)、81…異常判定部、82…基礎反力演算部、83…電流軸力演算部、84…角度軸力演算部、85…配分軸力演算部、91…トルク換算部、92…出力切替部、101…配分ゲイン演算部、111,121…トルク指令値演算部、112,122…トルクF/B制御部、Fd…配分軸力、Ft…タイヤ力、Fer…電流軸力、Fib…角度軸力、Fir…反力成分(基礎反力)、Fse…センサ軸力、Ger…電流配分ゲイン、Gib…角度配分ゲイン、Gse…センサ配分ゲイン、Sde…判定信号、Ta*…アシスト指令値、Ta1…第1アシスト成分、Ta2…第2アシスト成分、Th…操舵トルク、Th*…トルク指令値、Tt…タイヤトルク、θp…ピニオン角(回転角)、θp*…目標ピニオン角(目標回転角)。

Claims (5)

  1. モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、
    操舵トルクに基づいて第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、
    転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、
    前記基礎反力に基づく反力成分を用いて、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角の目標となる目標回転角を演算する目標回転角演算部と、
    前記回転角及び前記目標回転角に基づく角度フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部とを備え、
    前記第1アシスト成分及び前記第2アシスト成分に基づくアシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御する操舵制御装置であって、
    前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する操舵制御装置。
  2. モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、
    前記操舵機構に入力すべき操舵トルクの目標値となるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、
    前記操舵トルク及び前記トルク指令値に基づくトルクフィードバック制御の実行により第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、
    転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、
    前記基礎反力に基づく反力成分及び前記第1アシスト成分を用いて、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角の目標となる目標回転角を演算する目標回転角演算部と、
    前記回転角及び前記目標回転角に基づく角度フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部とを備え、
    前記第2アシスト成分に基づくアシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御する操舵制御装置であって、
    前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する操舵制御装置。
  3. モータを駆動源とするアシスト機構により操舵機構にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵装置を制御対象とし、
    転舵輪が連結される転舵軸に作用する複数種の軸力及び前記転舵輪に作用するタイヤ力の少なくとも1つを含む基礎反力を演算する基礎反力演算部と、
    前記基礎反力に基づく反力成分を用いて、前記操舵機構に入力すべき操舵トルクの目標値となるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、
    前記操舵トルク及び前記トルク指令値に基づくトルクフィードバック制御の実行によりアシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部とを備え、
    前記アシスト指令値に応じたアシスト力が発生するように前記モータの作動を制御する操舵制御装置であって、
    前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率が低くなるように該基礎反力を演算する操舵制御装置。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の操舵制御装置において、
    前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、該異常な力の前記基礎反力に対する寄与率がゼロとなるように該基礎反力を演算する操舵制御装置。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の操舵制御装置において、
    前記基礎反力演算部は、取得した前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常である場合には、前記複数種の軸力及び前記タイヤ力のいずれかが異常でない場合に比べ、該異常な力以外の力の前記基礎反力に対する寄与率が高くなるように該基礎反力を演算する操舵制御装置。
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