JP7142451B2 - 音量制御装置および放送システム - Google Patents
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Description
駅のコンコースのような暗騒音が大きな環境下においては、案内放送が暗騒音にかき消されてしまい聴き取りづらいという問題があった。また、駅ホームの案内放送は、昼夜を問わず予め設定された一定の音量で行われていたため、夜間等は比較的周囲の騒音が小さいため、一定の音量で案内放送を行うと、近隣住民等へ不快感を与えてしまうという問題があった。
一方、音声入力信号の中から無音部分を検出して検出された無音部分の出力開始タイミングから出力終了タイミングまでの間に集音手段(マイク)によって集音された音の大きさに基づいて、音声出力装置(スピーカ)から出力される再生音声の音量(再生音量)を制御するようにした音量制御装置に関する発明が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献1や2に記載されているものを含め、従来の音量制御装置は、外部騒音をマイクにより集音して計測し、集音された騒音の大きさに応じて再生音量を制御する方式であるため、マイクの近傍のいる人間の会話を拾ってしまいプライバシー保護の観点から望ましくないという課題がある。そこで、本発明者らは、外部騒音を計測するためのマイクの代わりに騒音計を用いることを検討した。しかしながら、騒音計を使用すると、放送の音声と周囲の騒音とを区別することが非常に困難になるため、再生音量の適切な音量制御が難しくなるという課題があることが明らかになった。
本発明の他の目的は、騒音計を用いて放送音を含む騒音の騒音レベルを計測することで、プライバシーの保護を図りつつ音声出力装置から出力される再生音の音量を適切に制御することが可能な音量制御装置および放送システムを提供することにある。
音源から入力される放送音信号を信号増幅部で増幅して音声出力装置へ供給して音声出力装置から出力される再生音声の音量を、前記信号増幅部の増幅率を変化させることで制御する駅のコンコースまたは駅ホームにおける音声放送のための音量制御装置において、
前記音声出力装置から出力される再生音声が届く所定箇所に配設された騒音計からの計測値を取り込む騒音レベル取得手段と、
前記音源からの放送音による再生音の音量と前記騒音計による静かな時間帯の事前計測における騒音レベルとの相関関係を表わすデータを記憶する記憶手段と、
前記音源から入力される放送音および前記信号増幅部の増幅率に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記データを参照して、前記騒音レベル取得手段により取得された騒音レベルに含まれる環境騒音のレベルを推定する騒音量推定手段と、
前記騒音量推定手段により推定された環境騒音レベルに応じて前記信号増幅部の増幅率を、前記再生音声の音量が前記推定された環境騒音レベルに対して所定の信号対雑音比を有する音量となるように設定する増幅率設定手段と、を備え、
前記増幅率設定手段は、前記音声出力装置から出力される再生音のレベルが、前記騒音量推定手段により推定された環境騒音レベルよりも8~13dB大きな音になるように前記信号増幅部の増幅率を設定するように構成したものである。
また、騒音計を用いて放送音を含む騒音の騒音レベルを計測するので、プライバシーの保護を図りつつ音声出力装置から出力される再生音の音量を適切に制御することができる。また、騒音計を使うことで、データ量がマイクによる音声データと比較して少なくなり、装置の負担が小さくなる。
かかる構成によれば、簡単な処理で比較的正確に騒音計の設置個所周囲における環境騒音のレベルを推定することができる。
前記記憶手段には、前記複数の音声出力装置から出力される再生音声が前記騒音計に到達するまでの減衰量に関わる伝達係数が記憶されており、
前記騒音量推定手段は、前記複数の音声出力装置の各再生音量とそれぞれの伝達係数とから前記音源から入力される放送音に基づく騒音レベルをそれぞれ算出し、前記騒音計により計測される騒音レベルから前記算出した騒音レベルを差し引くことにより環境騒音のレベルを推定するように構成する。
このように構成することで、放送対象エリアに複数の音声出力装置(スピーカ)が設置されていて複数のスピーカからの音声による騒音が騒音計により計測される場合に、正確に環境騒音のレベルを推定して音声出力装置から出力される再生音の音量を適切に制御することが可能となる。
このように構成することで、放送音を聞き取り易いように音声出力装置(スピーカ)から出力される音声の音量をより適切に制御しかつスピーカの再生音が利用者に不快感を与えるほど大きくなり過ぎるのを回避することができるようになる。
上記のような発明によれば、騒音計を用いて放送音を含む騒音の騒音レベルを計測するので、プライバシーの保護を図りつつ音声出力装置から出力される音声の音量を適切に制御することができるとともに、放送エリアに複数の音声出力装置(スピーカ)が設置されていて複数のスピーカからの音声による騒音が騒音計により計測される場合に、正確に環境騒音のレベルを推定して音声出力装置から出力される再生音の音量を適切に制御することが可能な放送システムを実現することができる。
前記騒音量推定手段は、前記複数の騒音計により計測される騒音レベルに基づいて各騒音計の設置個所における環境騒音のレベルを推定するように構成され、
前記増幅率設定手段は、前記複数の信号増幅部の増幅率を、前記騒音量推定手段により推定された騒音量に応じてそれぞれ設定するように構成する。
上記のように構成することで、放送エリアに複数の音声出力装置(スピーカ)が設置されている場合に、スピーカごとに適切な音量の音声をそれぞれ出力させることが可能となる。
(第1実施例)
図1は、本発明に係る音量制御装置をコンコースのような喧騒感の高い空間において案内放送を流す音声放送システムに適用するのに好適な実施形態の概略構成を示すシステム構成図、図2は本実施形態の音声放送システムの構成を機能的に示す機能ブロック図である。
図2に示す音量制御装置15は、騒音計12からの信号に基づいて騒音レベルを取得する騒音レベル取得部51と、予め調べておいた放送音によるスピーカ11の再生音量と騒音レベルとの相関関係を表わすデータ(テーブルまたは式)を記憶する相関記憶部52を備える。
増幅率算出部54は、騒音量推定部53により推定された騒音量に対して、スピーカより出力させる再生音声が所定のSN比(信号対雑音比)を有する音量となるように増幅率Gを算出し設定する。具体的には、スピーカの再生音が、推定された騒音量よりも8~13dB大きな音になるようにアンプ14の増幅率Gを設定する。
図3(A)は相関記憶部52に記憶される放送音の再生音量と騒音計で計測した騒音レベル(静寂環境放送音騒音レベル)との相関関係の例をグラフで表したものである。相関記憶部52には、図3(A)のグラフに対応したテーブルデータまたは式が、計測ポイントすなわち騒音計12の設置個所ごとに計測され記憶される。
騒音量推定部53は、図3(B)のグラフから図3(A)の放送音騒音部分を差し引くことで、環境騒音(ハッチング部分)を推定する機能を有している。
続いて、放送音が環境騒音に対して所定のSN比で再生されるアンプ14の増幅率Gを算出し(ステップS5)、スピーカ11の再生音量が予め設定した上限値を超えるか否か判定する(ステップS6)。そして、再生音量が予め設定した上限値を超える(Yes)と判定するとステップS7へ移行して、再生音量が予め設定した上限値以下となるようにアンプの増幅率Gを修正してステップS8へ進む。
上記のような手順に従った音量制御を実行することによって、騒音の大きな喧騒環境下においても、内容を聞き取りやすい音量で放送音をスピーカ11より出力させることができる。
次に、音量制御装置15の第2の実施例について、図5を用いて説明する。
第2実施例の音量制御装置15は、1つの放送エリア内に配設された複数の騒音計に複数のスピーカからの再生音が入る場合に、その部位における騒音は複数のスピーカ11からの再生音が重なった大きさとなる。そのため、第1の実施例の音量制御装置では、複数のスピーカ11からの再生音の大きさを変えるつまりアンプ14の増幅率をスピーカごとに異ならせる制御を実行すると、適切な音量制御が行えなくなるという課題がある。そこで、第2の実施例は、そのような課題を克服できるようにしたものである。
騒音レベルN=V0×G1×c1+V0×G2×c2+V0×G3×c3
で表わされる。
また、3個のスピーカ11A,11B,11Cから異なる放送音(音量V1,V2,V3)を出力する場合、対応するアンプの増幅率をG1,G2,G3とすると、
騒音レベルN=V1×G1×c1+V2×G2×c2+V3×G3×c3
で表わされる。
12 騒音計
13 放送音源(マイク)
14 信号増幅部
15 音量制御装置
51 騒音レベル取得部
52 相関記憶部
53 騒音量推定部
54 増幅率算出部(増幅率設定手段)
Claims (6)
- 音源から入力される放送音信号を信号増幅部で増幅して音声出力装置へ供給して音声出力装置から出力される再生音声の音量を、前記信号増幅部の増幅率を変化させることで制御する駅のコンコースまたは駅ホームにおける音声放送のための音量制御装置において、
前記音声出力装置から出力される再生音声が届く所定箇所に配設された騒音計からの計測値を取り込む騒音レベル取得手段と、
前記音源からの放送音による再生音の音量と前記騒音計による静かな時間帯の事前計測における騒音レベルとの相関関係を表わすデータを記憶する記憶手段と、
前記音源から入力される放送音および前記信号増幅部の増幅率に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記データを参照して、前記騒音レベル取得手段により取得された騒音レベルに含まれる環境騒音のレベルを推定する騒音量推定手段と、
前記騒音量推定手段により推定された環境騒音レベルに応じて前記信号増幅部の増幅率を、前記再生音声の音量が前記推定された環境騒音レベルに対して所定の信号対雑音比を有する音量となるように設定する増幅率設定手段と、を備え、
前記増幅率設定手段は、前記音声出力装置から出力される再生音のレベルが、前記騒音量推定手段により推定された環境騒音レベルよりも8~13dB大きな音になるように前記信号増幅部の増幅率を設定することを特徴とする音量制御装置。 - 前記騒音量推定手段は、前記騒音計により計測される騒音レベルから前記音源から入力される放送音に基づく騒音レベルを差し引くことにより環境騒音のレベルを推定することを特徴とする請求項1に記載の音量制御装置。
- 前記増幅率設定手段は、複数の音声出力装置に対応された複数の前記信号増幅部の増幅率を個別に設定可能に構成され、
前記記憶手段には、前記複数の音声出力装置から出力される再生音声が前記騒音計に到達するまでの減衰量に関わる伝達係数が記憶されており、
前記騒音量推定手段は、前記複数の音声出力装置の各再生音量とそれぞれの伝達係数とから前記音源から入力される放送音に基づく騒音レベルをそれぞれ算出し、前記騒音計により計測される騒音レベルから前記算出した騒音レベルを差し引くことにより環境騒音のレベルを推定することを特徴とする請求項2に記載の音量制御装置。 - 前記増幅率設定手段は、前記音声出力装置から出力される再生音声の音量が予め設定された上限値を超えないように、前記信号増幅部の増幅率を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の音量制御装置。
- 請求項1から4の何れかに記載の音量制御装置と、所定のエリアに設置された複数の音声出力装置と、前記所定のエリア内の所定個所に設置された騒音計と、前記複数の音声出力装置に対応された複数の信号増幅部と、を備え、
前記騒音レベル取得手段は、前記騒音計からの計測値を取り込み可能に構成されていることを特徴とする放送システム。 - 前記所定のエリア内の前記複数の音声出力装置に対応された所定個所に設置された複数の騒音計を備え、
前記騒音量推定手段は、前記複数の騒音計により計測される騒音レベルに基づいて各騒音計の設置個所における環境騒音のレベルを推定するように構成され、
前記増幅率設定手段は、前記複数の信号増幅部の増幅率を、前記騒音量推定手段により推定された騒音量に応じてそれぞれ設定するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の放送システム。
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