JP4249729B2 - 自動利得制御方法、自動利得制御装置、自動利得制御プログラム及びこれを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
図9に、この自動利得制御方法のブロック図を示す。マイクロホン101で収音された信号について、パワー算出手段103にて長時間平均パワーPaveを求める。平均パワーは収音信号を自乗して時間積分することで得られる。ゲイン算出手段105では、パワー算出手段103で求めた長時間平均パワーPaveとあらかじめ設定した所望の送出レベルPoptに基づき、可変利得増幅器107の増幅率G1を設定する。増幅率Gは例えば次のように求められる。
マイクロホン信号から送話者までの距離に該当する情報を推測するために、本発明では2本のマイクロホンにより送話音声を収音し、収音信号中に残響音の占める比率を推定する。マイクロホンには、送話者から発せられてそのまま到達する直接音や初期反射音と、部屋の壁などに何回か反射して到達する残響音が収音される。送話者とマイクロホンの間の距離が大きいほど、収音信号に占める残響音の比率が大きくなることが知られている。
をもちい、
σ(f)=1−γ(f)
により、周波数ごとに収音信号に占める残響音の比率を推定する。ただしE[]は短時間平均をとることを意味し、*は複素共役をとることを意味する。
これから、例えば第1マイクロホンの収音信号全体に占める残響音の比率σを、
コンピュータに本発明による自動利得制御装置として機能させるためには縦続接続された第1可変利得増幅器と第2可変利得増幅器に対し、第1可変利得増幅器に対してはコンピュータは2個のマイクロホンで収音した収音信号を所定のレベルに増幅させる第1利得制御装置として制御動作し、第2可変利得増幅器に対しては第1利得制御装置で増幅した収音信号のレベルを話者(音源)とマイクロホンの距離に対応したレベルに補正する第2利得制御装置として制御動作を実行する。
第1利得制御装置100はマイクロホン1011、1012で収音されたステレオ信号について長時間平均パワーPaveを求めるパワー算出手段103と、このパワー算出手段103で算出した長時間平均パワーPaveと設定値Poptとを比較して所定の出力パワーを維持するためのゲインを求めるゲイン算出手段105と、このゲイン算出手段105で算出したゲインに従ってマイクロホン1011、1012で収音したステレオ信号を増幅する第1可変利得増幅器1071、1072とによって構成される。第1可変利得増幅器1071、1072は共通のゲインによって制御されるため、ステレオ感は保持される。
ゲイン算出手段105はパワー算出手段103で求めた長時間平均パワーPaveとあらかじめ設定した所望のパワーPoptに基づいて、一例として次のようにゲインG1を算出する。
一方、第2利得制御装置200はマイクロホン1011、1012で収音したステレオ信号の短時間スペクトルを算出する短時間スペクトル算出手段2011、2012と、この短時間スペクトル算出手段2011、2012で算出した短時間スペクトルから残響音成分の比率を推定する残響音成分比率推定手段203と、残響音成分比率推定手段203で推定した残響音成分の比率に従って補正ゲインを算出する補正ゲイン算出手段205と、この補正ゲイン算出手段205で算出した補正ゲインに従って利得が制御される第2可変利得増幅器2071、2072とによって構成される。
残響音成分比率推定手段203ではステレオ収音信号の短時間ベクトルY1(j、f),Y2(j、f)から、自乗コヒーレンスγ2(j、f)を算出する。
G2(j)=h[σ(j)]
補正ゲインG2は図2に示すように0〜1の間の任意の値を呈し、話者がマイクロホン1011、1012に近い程「1」に近づき、話者がマイクロホン1011、1012から遠ざかるに従って「0」に近い値に近づく。結果として、第1可変利得増幅器1071、1072で話者とマイクロホンとの距離に関係なく、所定のパワーに増幅した後に、第2可変利得増幅器2071、2072により遠近に対応したパワーレベルに補正する。これにより遠近感を保持しつつ、マイクロホンから離れた話者の音声を聞き取りやすく増幅して送出することを可能とする本発明の作用効果が得られる。
段の可変利得増幅器2071、2072で増幅してもよい。
このように、エコー消去部401、402とノイズ抑圧部403を配置することにより、エコー成分(残響成分)及びノイズ成分の影響を抑えて送話成分の自動利得制御を行うことが可能となる。
図5に本発明による第3の実施例の構成を示す。ここでは、話者Aと話者Bは2本のマイクロホン6011、6012から異なる距離に存在し、話者Aの方が2本のマイクロホン6011、6012に近いとする。
マイクロホン6011による収音信号をX1(n)、マイクロホン6012による収音信号をX2(n)とする。ここで、nは時刻である。収音信号X1(n)を総合ゲイン算出手段602と調整ゲイン算出手段603と増幅器6041に送る。収音信号をX2(n)を総合ゲイン算出手段602と調整ゲイン算出手段603と増幅器6042に送る。
図6に総合ゲイン算出手段602の構成を示す。総合ゲイン算出手段602は、パワー算出手段103、ゲイン算出手段105、短時間スペクトル算出手段2011、2012、残響成分比率推定手段203、補正ゲイン算出手段205、乗算器701で構成する。
図7に調整ゲイン算出手段603の動作フローを示す。X1(n)、X2(n)、総合ゲインをGを入力する(S801)。収音信号X1(n)、X2(n)を一定区間のフレームに分割する(S802)。転送されてきた総合ゲインGをX1(n)、X2(n)の絶対値|X1(n)|、|X2(n)|に乗じ、処理フレーム内での最大値Xm=max{G|X1(n)|、G|X2(n)|}を算出する(S803)。あらかじめ設定した許容値1mと最大値Xmを比較する(S804)。
最大値Xmが許容値1mより小さい(Xm<=1m)時、カウンタCの値を調べる(S809)。カウンタC>0の時、リリース処理を行なう。すなわち、調整ゲインGc=G+(Gs−G)(C/Cr)を算出(S810)して、カウンタCを1つ減じる(S811)。そして、調整ゲインGcを増幅器6041、6042に送る(S812)。
増幅器6041、6042では、調整ゲインGcを収音信号に乗じて、ゲイン制御を行なう。増幅器6041では、調整ゲインGc、収音信号X1(n)を入力とし、信号Y1(n)=GcX1(n)を出力する。増幅器6042では、調整ゲインGc、収音信号X2(n)を入力とし、信号Y2(n)=GcX2(n)を出力する。
以上説明した本発明による自動利得制御装置は第1可変利得増幅器1011、1012と第2可変利得増幅器2071、2072を含む全ての構成をハードウェアにより構成することは可能であるが、それより、むしろ第1可変利得増幅器1011、1012と第2可変利得増幅器2071、2072を除く、パワー算出手段103とゲイン算出手段105及び短時間スペクトル算出手段2011、2012、残響音成分比率推定手段203、補正ゲイン算出手段205は本発明による自動利得制御プログラムをコンピュータにインストールし、コンピュータを自動利得制御プログラムに記述された制御命令に従って動作させることにより自動利得制御装置として機能させる実施形態が最も望ましい実施形態である。
1011、1012 マイクロホン
103 パワー算出手段
1071、1072 第1可変利得増幅器
200 第2利得制御装置
2011、2012 短時間スペクトル算出手段
203 残響音成分比率推定手段
205 補正ゲイン算出手段
2071、2072 第2可変利得増幅器
600 自動利得制御装置
6011、6012 マイクロホン
602 総合ゲイン算出手段
603 調整ゲイン算出手段
6041、6042 増幅器
701 乗算器
Claims (12)
- マイクロホンで得られる収音信号レベルが、あらかじめ設定した所望レベルになるように増幅率を求め、この増幅率で収音信号を所望のレベルに増幅する自動利得制御方法において、
上記マイクロホンは共通の音場内に2個配置され、これら2個のマイクロホンで収音した各収音信号の短時間スペクトルを求め、これら短時間スペクトルから周波数帯域ごとに収音信号に占める残響音成分の比率を推定し、周波数帯域ごとの上記比率の重み付け平均値を当該収音信号全体に占める残響音成分の比率として推定し、当該収音信号全体に占める残響音成分の比率から補正ゲインを算出し、上記所望のレベルに増幅した収音信号のレベルを補正ゲインで補正することを特徴とする自動利得制御方法。 - マイクロホンで得られる収音信号レベルが、あらかじめ設定した所望レベルになるように増幅率を求め、この増幅率で収音信号を所望のレベルに増幅する自動利得制御方法において、
上記マイクロホンは共通の音場内に2個配置され、複数サンプルからなるフレーム単位で、これら2個のマイクロホンで収音した各収音信号の短時間スペクトルY 1 (f)、Y 2 (f)を求め、これら短時間スペクトルとこれら短時間スペクトルから求まる周波数帯域ごとのコヒーレンスγ(f)を用いて、収音信号全体に占める残響音成分の比率σを
により推定し、当該収音信号全体に占める残響音成分σの比率から補正ゲインを算出し、上記所望のレベルに増幅した収音信号のレベルを補正ゲインで補正することを特徴とする自動利得制御方法。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の自動利得制御方法において、上記残響音成分の比率σから単調減少の関数をもちいて補正ゲインを求めることを特徴とする自動利得制御方法。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の自動利得制御方法において、上記所望レベルに増幅する利得と、補正利得とを掛け合わせた総合利得を求め、この総合利得を収音信号に乗じて収音信号を増幅した場合に、その増幅した信号が許容最大レベルを超えると判定した場合は、上記総合利得を減衰させた調整利得を計算し、調整利得を信号に乗じて増幅することを特徴とする自動利得制御方法。
- 共通の音場内に配置された2個のマイクロホンと、
これら2個のマイクロホンで収音した収音信号のそれぞれを予め設定した所望のレベルに増幅する第1可変利得増幅器を備える第1利得制御装置と、
共通の音場内に配置された2個のマイクロホンで得られる各収音信号の短時間スペクトルを求める短時間スペクトル算出手段と、
上記短時間スペクトルから周波数帯域ごとに上記収音信号に占める残響音成分の比率を推定し、周波数帯域ごとの上記比率の重み付け平均値を当該収音信号全体に占める残響音成分の比率として推定する残響音成分比率推定手段と、
当該収音信号全体に占める残響音成分の比率から補正ゲインを求める補正ゲイン算出手段と、
この補正ゲイン算出手段が算出した補正ゲインに従って上記第1利得制御装置が増幅した収音信号のレベルを補正する第2可変利得増幅器と、によって構成することを特徴とする自動利得制御装置。 - 共通の音場内に配置された2個のマイクロホンと、
これら2個のマイクロホンで収音した収音信号のそれぞれを予め設定した所望のレベルに増幅する第1可変利得増幅器を備える第1利得制御装置と、
複数サンプルからなるフレーム単位で、共通の音場内に配置された2個のマイクロホンで得られる各収音信号の短時間スペクトルY 1 (f)、Y 2 (f)を求める短時間スペクトル算出手段と、
これら短時間スペクトルとこれら短時間スペクトルから求まる周波数帯域ごとのコヒーレンスγ(f)を用いて、収音信号全体に占める残響音成分の比率σを
により推定する残響音成分比率推定手段と、
当該収音信号全体に占める残響音成分の比率から補正ゲインを求める補正ゲイン算出手段と、
この補正ゲイン算出手段が算出した補正ゲインに従って上記第1利得制御装置が増幅した収音信号のレベルを補正する第2可変利得増幅器と、によって構成することを特徴とする自動利得制御装置。 - 請求項6乃至8の何れかに記載の自動利得制御装置において、上記補正ゲイン算出手段は上記残響音成分の比率σから単調減少の関数をもちいて補正ゲインを求めることを特徴とする自動利得制御装置。
- 請求項6乃至9の何れかに記載の自動利得制御装置において、第1利得制御装置の利得と第2利得制御装置の利得を掛け合わせた総合利得を求める総合利得算出手段と、この総合利得算出手段が算出した総合利得を信号に乗じて許容最大レベルを超える場合には上記総合利得を減衰させた調整利得を計算する調整利得計算手段と、この調整利得計算手段で計算した調整利得を信号に乗じる増幅手段を有することを特徴とする自動利得制御装置。
- コンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述され、コンピュータに請求項6乃至10の何れかに記載の自動利得制御装置として機能させる自動利得制御プログラム。
- コンピュータが読み取り可能な記録媒体によって構成され、この記録媒体に請求項11記載の自動利得制御プログラムを記録した記録媒体。
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