JP7141218B2 - 水性表面処理剤及び表皮材 - Google Patents
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Description
また、環境問題や安全性の見地から、有機溶剤の使用を極力抑えた水性表面処理剤への転換が図られている。
また、塩化ビニル系表皮材に表面処理剤を塗工後、加熱発泡させる工程で熱収縮によるしわが発生する問題も生じている。
[2] 前記ポリウレタン樹脂がシロキサン変性されている[1]に記載の水性表面処理剤。
[3] マット剤を含有する[1]又は[2]に記載の水性表面処理剤。
[4] アクリル樹脂及びポリ塩化ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する[1]~[3]のいずれかに記載の水性表面処理剤。
[5] オキサゾリン系架橋剤を含有する[1]~[4]のいずれかに記載の水性表面処理剤。
[6] 基材に、[1]~[5]のいずれかに記載の表面処理剤からなる被膜を有する表皮材。
本発明の水性表面処理剤は、100%モジュラスが6~17MPa、熱軟化点が30~55℃の範囲であるポリウレタン樹脂を含有する。
本発明では、ポリウレタン樹脂の100%モジュラスを6~17MPaとすることで耐摩耗性を良好にしているが、同時に、熱軟化点を30~55℃とすることで、耐摩耗性のさらなる向上とともに、耐寒屈曲性及び耐熱収縮性をも良好なものとしている。
なお、本発明の水性表面処理剤における「水性」とは、溶剤の主成分(例えば、70質量%以上)が水であることをいう。
以下、本発明に配合される各成分についてより詳細に説明する。
本発明の表面処理剤に使用するポリウレタン樹脂は主に、高分子ポリオールとポリイソシアネートから得られ、必要により短鎖ジオール、短鎖ジアミンなどの鎖伸長剤や、鎖伸長停止剤を使用する。また、1個以上の活性水素基を有しかつ親水性基を有する化合物等を使用する場合がある。さらに、ポリウレタン樹脂をポリシロキサン変性する際には、ポリシロキサン化合物を使用する場合がある。
高分子ポリオールとしては、以下の(1)~(6)が例示される。
(1)ポリカーボネートポリオール
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオールなどのポリカーボネートジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)および複素環式エーテル(テトラヒドロフランなど)のいずれかを重合または共重合して得られるものが挙げられる。具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコール(ブロックまたはランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびポリヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸類(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸およびアゼライン酸など)、及び芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸およびテレフタル酸など)の少なくともいずれかと、低分子量グリコール類(例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよび1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)と、を縮重合したものが挙げられる。
具体的にはポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ-3-メチルペンタンアジペートジオールおよびポリブチレンイソフタレートジオールなどが挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール及びポリ-3-メチルバレロラクトンジオールなどが挙げられる。
(5)ポリオレフィンポリオール
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエングリコールおよびポリイソプレングリコール、または、その水素化物などが挙げられる。
(6)ポリメタクリレートジオール
ポリメタクリレートジオールとしては、α,ω-ポリメチルメタクリレートジオールおよびα,ω-ポリブチルメタクリレートジオールなどが挙げられる。
なお、数平均分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量であり、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求めることができる。
ポリシロキサン化合物は、ポリウレタン樹脂をポリシロキサン変性する際に用いられる。ポリシロキサン変性することで耐摩耗性を向上させることができる。ポリシロキサン化合物としては、以下の(1)~(4)の構造の化合物が使用できる。
ポリイソシアネートとしては、トルエン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネートおよび4,4’-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび1,10-デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加MDIおよび水素添加XDIなどの脂環式ジイソシアネートなど、或いはこれらのジイソシアネート化合物と低分子量のポリオールやポリアミンを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどが挙げられる。
1個以上の活性水素を有しかつ親水性基を有する化合物としては、ポリウレタン樹脂水分散体の水分散性を付与する成分として使用される公知の化合物を使用できる。
当該化合物において、活性水素とは、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応する水素原子であり、水酸基、メルカプト基、アミノ基などの水素原子が挙げられ、これらの中では水酸基の水素原子が好ましい。また、親水性基は、水分散性を付与するための官能基であり、アニオン性、カチオン性のいずれでもよいが、アニオン性であることが好ましい。アニオン性の親水性基としては、カルボキシル基、スルホ基、燐酸基などが挙げられ、これらの中ではカルボキシル基が好ましい。
これらの中では、2価アルコールのカルボン酸化合物、特にジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸を用いることが好ましい。
なお、上記で例示したアルカノールアミンは鎖伸長停止剤として使用することもできる。
短鎖ジオールとしては、数平均分子量が500未満の化合物であり、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコールおよびネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンおよび2-メチル-1,1-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式系グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、キシリレングリコールなどの芳香族グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、ビスフェノールA、チオビスフェノールおよびスルホンビスフェノールなどのビスフェノール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、およびC1~C18のアルキルジエタノールアミンなどのアルキルジアルカノールアミン類などの化合物が挙げられる。
短鎖ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン化合物、フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルおよび4,4’-ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン化合物、シクロペンタンジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4-ジアミノシクロヘキサンおよびイソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン化合物、ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類などが挙げられる。
本発明に係るポリウレタン樹脂の製造方法については特に限定されず、従来公知のポリウレタンの製造方法を用いることができる。すなわち、高分子ポリオールと、必要に応じて添加される短鎖ジオールと、ポリイソシアネートと、1個以上の活性水素基を有しかつ親水性基を有する化合物と反応させ、その後、中和剤、短鎖ジアミンなどの鎖伸長剤や鎖伸長停止剤を反応させて製造することができる。
表皮材となる被膜を艶消し調とする場合は水性表面処理剤にマット剤を含有させることが好ましい。マット剤としては、樹脂粒子やシリカ粒子、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナシリケート、モレキュラーシーブ、カオリン、雲母、マイカなどが挙げられる。
樹脂粒子としては架橋された樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン変性ウレタン系樹脂微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、反応性シロキサンなどが挙げられる。なかでも、ポリウレタン樹脂が良好な触感が得られる点で好ましい。
当該ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂を、ジオール、ジアミン、ジカルボン酸などのような2個以上の活性水素をもつ低分子量化合物により鎖伸長したポリウレタン樹脂や、酸性基を有するポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂製の樹脂粒子としては、例えば、ダイミックビーズ(大日精化工業(株)製)やアートパール(根上工業(株)製)などを使用することができる。
本明細書における体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA(日機装)を用いて測定した50%累積平均値により求めることができる。
シリカ粒子は、天産品、合成品いずれにも特に限定されないが、合成品であれば、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、乾式シリカが挙げられる。なかでも、沈降法シリカ、乾式シリカが好ましい。
本発明の表面処理剤は、必要に応じて他の樹脂(添加樹脂)を添加できる。
当該樹脂は水分散体であることが好ましく、アクリル樹脂やポリ塩化ビニル樹脂は耐摩耗性を向上させることができる点で好ましい。
アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂等が例示される。なお、「(メタ)アクリル」とはメタクリルまたはアクリルを意味する。
アクリル樹脂の市販品としては、ジャパンコーティングレジン(株)製モビニール6530、ビニブラン2684(日信化学工業(株)製)、サイビノールEK-61(サイデン化学(株)製)などが挙げられる。使用されるアクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が10~40℃が好ましく、20~35℃がより好ましい。Tgの測定方法としては、例えば、示差走査熱量計((株)リガク製)を使用した熱分析により測定することができる。
ポリ塩化ビニル樹脂の市販品としては、日信化学工業(株)製ビニブラン278、Vycar460X119(Lubrizol社製)などが挙げられる。使用されるポリ塩化ビニル樹脂はTgが10~40℃が好ましく、20~35℃がより好ましい。
本発明の表面処理剤に架橋剤が配合されることにより、耐久性がさらに向上した被膜を得ることができる。
架橋剤としては、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などの架橋剤を用いることができる。これらの架橋剤のなかでも、オキサゾリン化合物が耐寒屈曲性、耐熱収縮性の観点から好ましい。また、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量(mmol/g、solid)は1~8であることが好ましい。
架橋剤として用いることのできるオキサゾリン化合物の市販品としては、「エポクロス」(日本触媒(株)製)などを挙げることができる。
本発明においては、粘度を調整するなどの目的で溶剤を混合してよい。当該溶剤としては、水が環境の面から好ましい。溶剤中の水は70質量%以上であることが好ましい。
本発明の水性表面処理剤には、本発明の効果に影響のない範囲で、スリップ剤、顔料、シランカップリング剤、着色剤、防黴剤、難燃剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、各種界面活性剤、湿潤剤、分散剤、成膜助剤、可塑剤、防腐剤、防かび剤、防藻剤、殺菌剤、帯電防止剤などを添加することができる。
被膜のグロスは、実施例に記載の方法により側定することができる。
本発明の表皮材は、基材に本発明の表面処理剤からなる被膜を有する。ここで本明細書において「被膜」とは、水性表面処理剤を塗布して得られた未乾燥の「塗膜」を、乾燥して得られた膜をいう。
本発明の表皮材における基材としては下記のような樹脂を用いたフィルムや合成皮革が挙げられる。また、基材が発泡基材であってもよい。
樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエン系樹脂、スチレンアクリロニトリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エンジニアプラスチック、生分解性プラスチックなどが挙げられる。
特に自動車用の内装材用としては、ポリ塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
また、基材が発泡基材である場合、塩化ビニル樹脂のような基材を使用することができる。
基材の厚さは0.2~0.8mmであることが好ましく、基材が発泡基材であって、これを発泡させる場合の発泡後の厚さは0.3~4.5mmであることが好ましい。
本発明の表皮材は、本発明の水性表面処理剤を基材に塗布し、80~140℃で乾燥、及び必要により架橋することで被膜が形成して製造される。
基材が発泡基材の場合、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂基材シートの場合、加熱により、塩化ビニル発泡層組成物中の発泡剤を発泡させ、塩化ビニル発泡層を形成する工程(発泡工程)が含まれる。例えば、この工程の前に基材シート上に本発明の水性表面処理剤をスプレー塗装やグラビア塗装などにより塗工して塗膜を形成する。その後、80~140℃で1~3分間乾燥して被膜とした後、130~230℃で発泡処理を施す。さらに、意匠性を付与するために、この表面処理層側に紋形状が彫刻されているエンボスロールを、表面が加熱(100~190℃)されている状態で押し当てることにより、表面に紋模様が形成された合成樹脂表皮材(例えば、自動車用の座席シート)とされる(紋模様形成工程)。
なお、接着性の劣る熱可塑性樹脂基材に本発明の水性表面処理剤を塗布する場合には、塗料との密着性を高めるため、プライマー処理をしたりしてもよい。
また、発泡工程及び紋模様形成工程のそれぞれは、塗膜を形成する工程に先立って行ってもよく、表面処理層形成工程の後に行ってもよい。すなわち、発泡前の基材に表面処理剤を塗布した後、加熱発泡させる方法と、発泡後の基材に表面処理剤を塗布する方法があるが、表面処理層の均一塗工性及び接着強度向上の理由により表面処理剤を塗布後発泡させる方法が好ましい。
上記のようにして形成される被膜の膜厚は2~30μmが好ましい。
続いて、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)を所定量(NCO/OH=1.4)の当量比で加えて80℃で反応を行い、NCO%が1.5となるまで反応を行い、溶液濃度を60%に希釈し、50℃に冷却し、固形分に対し20%となるイオン交換水と、中和剤(トリエチルアミン)を所定量(親水基-COOHと当量となる量)加え、系内を均一に乳化させ、エチレンジアミンおよびジエタノールアミン(残存NCO%と当量となる量)を投入して鎖伸長、および停止した。最後に、系内のアセトンを真空脱気し、ポリウレタン樹脂およびシロキサン変性ポリウレタン樹脂の水分散体PUD1~8を得た。
(1)PCジオール:ポリカーボネートジオール
(2)1,3BD:1,3-ブタンジオール
(3)Siジオール:下記化合物a(nは整数、数平均分子量1,900)
(5)水添MDI:メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)
(6)EDA:エチレンジアミン
まず、離型紙上にポリウレタン水分散体を塗布して130℃で2分間乾燥させて被膜を形成し、厚さ50μm、長さ60mm、幅10mmの試験片を作製した。この試験片の両端部をチャックではさみ、引張り試験機オートグラフAGS-J(株式会社島津製作所製)を用いて、23℃、湿度50%の環境下で、クロスヘッドスピード300mm/minで引張り、試験片の100%モジュラスを測定した。この時の標線間距離は20mm、チャック間距離は20mmとした。結果を下記表2に示す。
熱軟化点はJIS-K7196-1991に準拠し、具体的には下記のようにして求めた。
100%モジュラスの試験で作製した試験片を5mm角にカットし、これについて熱機械分析装置TMA SS7100(SII Nano Technology Inc社製)を用いて熱軟化点を測定した。23℃、湿度50%の環境下で、条件は20~170℃まで5℃/minで昇温し、圧子は針入を使用し、圧子への荷重は100mNとした。結果を下記表2に示す。
PUD1~PUD9のそれぞれとマット剤と架橋剤とを下記表3に示す割合で、イオン交換水中で配合し、それぞれ固形分20%の実施例1~6、比較例1~3の水性表面処理剤を得た。これらの水性表面処理剤を用いて、グロス、耐熱収縮性、平面摩耗、耐寒屈曲試験を下記のとおり行った。結果については下記表3に示す。
(7)マット剤
・ポリウレタン樹脂粒子:アートパールC-400透明(根上工業(株)製、体積平均粒子径15μm、Tg=-13℃)
・シリカ粒子:ACEMATT TS-100(エボニック社製、体積平均粒子径9.5μm)
・エポクロスWS-500((株)日本触媒製、オキサゾリン系架橋剤、Tg=16℃、オキサゾリン基当量=220)
各実施例、比較例で得られた水性表面処理剤をレネタチャートシート(レネタカンパニー社製)にバーコータを用いて塗布し、120℃の乾燥機で1分乾燥させ、被膜厚さ10μmの試験シート(1)を作製した。
直読ヘーズコンピューターHGM-2DP(スガ試験機株式会社製)を使用し、試験シート(1)の被膜面のグロス(60°入射光/60°反射光)を測定した。結果を下記表3に示す。
各実施例、比較例で得られた表面処理剤をPVCシートにバーコータを用いて塗布し、120℃の乾燥機で1分間乾燥させ、被膜厚さ10μmの試験シート(2)を作製した。
PVC基材上に各実施例、比較例で得られた表面処理剤を、バーコータを用いて塗布し、120℃の乾燥機で1分間乾燥後、220℃の乾燥機で1分間乾燥させた時の外観を確認した。評価指標は下記のとおりとした。
A:目視で熱収縮によるしわが100mm×100mmの試験片で0本以上3本未満
B:目視で熱収縮によるしわが100mm×100mmの試験片で3本以上10本未満
C:目視で熱収縮によるしわが100mm×100mmの試験片で10本以上
JASO M 403/88/シ-ト表皮用布材料の平面摩耗試験機(B法、株式会社大栄科学精器製作所)を用いて測定した。測定方法は、幅70mm、長さ300mmの試験シート(2)を縦及び横の方向から1枚ずつ取り、試験機の平面摩耗台に、クッション材を置き更にその上に試験シート(2)の表面を上にしてしわのないように置きクランプで固定した。次にJIS L 3102(綿帆布)の6号綿帆布を取り付けた試験シート(2)の上にのせた。摩擦子を含めて押圧荷重を9.81N(1kgf)、ストロ-クを140mm、速度を60±10往復/min.として10000往復の試験を行った。評価指標は下記のとおりとした。
A:外観に変化なし
B:確認できる傷が1本以上10本未満
C:確認できる傷が10本以上
デマッチャ試験機を用い、幅50mm、長さ150mmの試験シート(2)を用いて、屈曲ストローク100mmで、低温時(-10℃)の屈曲試験を行った。評価指標は下記のとおりとした。
A:10000回で白化がなく、割れなし
B:5000回以上10000回未満で白化若しくは割れが発生
C:5000回未満で白化若しくは割れが発生
PUD2の固形分100部を、PUD2の固形分80部及びアクリル樹脂(モビニール6530(ジャパンコーティングレジン(株)製、固形分44%、Tg=30℃))20部に変更した以外は実施例2と同様にして、水性表面処理剤を得た。この水性表面処理剤を用いて、実施例2と同様に、グロスの測定、耐熱収縮性の評価、平面摩耗試験、耐寒屈曲試験を行った。また、下記の平面摩耗IIの試験も行った。結果を下記表4に示す。
実施例1で行った平面摩耗試験の条件を以下に変更して試験した。
擦子を含めて押圧荷重を9.81N(1kgf),ストロ-クを140mm、速度を60±10往復/min.として30000往復の試験を行った。評価指標は下記のとおりとした。
A:外観に変化なし
B:確認できる傷が1本以上10本未満
C:確認できる傷が10本以上
なお、比較のため、実施例2についても平面摩耗IIの試験を行った。
ポリウレタン樹脂粒子(アートパールC-400透明)を、ポリウレタン樹脂粒子(アートパールC-800透明(根上工業社製、体積平均粒子径6μm、Tg=-13℃))に変更した以外は実施例2と同様にして、水性表面処理剤を得た。この水性表面処理剤を用いて、実施例7と同様に、グロスの測定、耐熱収縮性の評価、平面摩耗試験、平面摩耗II試験、耐寒屈曲試験を行った。結果を下記表4に示す。
オキサゾリン架橋剤を、カルボジイミド架橋剤(カルボジライトV-02(日清紡ケミカル(株)製)に変更した以外は実施例2と同様にして、水性表面処理剤を得た。この水性表面処理剤を用いて、実施例7と同様に、グロスの測定、耐熱収縮性の評価、平面摩耗試験、平面摩耗II試験、耐寒屈曲試験を行った。結果を下記表4に示す。
PUD2の固形分100部を、PUD2の固形分80部及びポリ塩化ビニル樹脂(ビニブラン278(日信化学(株)製、固形分43%、Tg=30℃))20部に変更した以外は実施例2と同様にして、水性表面処理剤を得た。この水性表面処理剤を用いて、実施例7と同様に、グロスの測定、耐熱収縮性の評価、平面摩耗試験、平面摩耗II試験、耐寒屈曲試験を行った。結果を下記表4に示す。
Claims (5)
- 23℃、湿度50%で測定した100%モジュラスが6~17MPa、23℃、湿度50%で測定した熱軟化点が30~55℃の範囲であるポリウレタン樹脂を含有し、前記ポリウレタン樹脂がシロキサン変性されている水性表面処理剤。
- マット剤を含有する請求項1に記載の水性表面処理剤。
- アクリル樹脂及びポリ塩化ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の水性表面処理剤。
- オキサゾリン系架橋剤を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の水性表面処理剤。
- 基材に、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理剤からなる被膜を有する表皮材。
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