JP2004148508A - 機能性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性、品質安定性に優れた機能性フィルムを提供する。
【構成】必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルム。
【選択図】なし
【構成】必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性、耐水性、耐湿性、耐熱性、耐候性等の機能を有するフィルムであって、また、無公害で安全性が高く、均一で品質安定性に優れたウレタン樹脂層が形成できる機能性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、自動車、家電及び一般工業関係の部材としてプラスチック、特にポリプロピレン樹脂成型品が広く使用されている。そしてポリプロピレン樹脂成型品に装飾、耐久性等を付与させる目的でその表面にプラスチック用塗料が塗装されている。しかしながら、プラスチック用塗料から形成される塗膜は一般的にポリプロピレン樹脂に対して付着性が悪いために付着性を改善するためにプライマーが塗装されている。
【0003】
また、このようなプラスチック成型品にプラスチック塗料を塗装する方法として塗着効率を良くするために、通常、静電スプレー塗装などにより塗装されているがプラスチック成型品に対する塗着効率がまだ充分でないために製品コストが高くなったり、曲面部に均一に塗装できないのでプラスチック塗膜の付着性や仕上がり性等が悪くなるといった問題点がある。
【0004】
このような問題点を改善する方法として、合成樹脂フィルム表面にメタリックベースコート/クリヤーコート仕上げした硬化型着色フィルムと成型用樹脂を用いて一体成型を行い、成型物品の表面にメタリック仕上げを行う自動車車体パネルなどに化粧面を設けるのに使用できるシート材を用いた造形物品およびその製造方法が、例えば、特開平8−52416号公報に記載されている。しかしながら、このようなシート材を使用したものでは、プラスチックをバンパーなどのように変形率の大きな成型品に加工した場合には、成型品の伸びが大きな3次曲面部にメタリック塗膜のワレ、剥がれ等の塗膜欠陥を生じるといった問題点が残されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィルム材として特定の水性ウレタン樹脂分散液を使用したものが、従来からの問題点を全て解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、離型性層(I)及び上記したウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、必要に応じて設けられる離型性層(I´)及び粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)を有する接合フィルムの該接合剤層表面に、上記水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装してウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムの製造方法が提供される。
【0009】
以下、本願発明の構成要件について説明する。
【0010】
本発明は、必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなる機能性フィルムである。
【0011】
必要に応じて設けられる離型性層(I´)は、機能性フィルムの貯蔵(積み重ね、巻きもの等)や取り扱いを容易にさせるために使用することができ、このものは機能性フィルムを使用するにあたっては剥離され最終的には貼付された機能性フィルムには残らないものである。この様な層としては、例えば粘着剤、接着剤が容易に剥離できるものであれば特に制限なしに従来から公知のもの、例えばポリエチレンテレフタレートシート等のプラスチックシート類や紙、布、プラスチックシートに離型剤(シリコン、ワックス、フッ素等)処理を施したものが一般的に使用できる。該離型性層の厚みは、約10〜1000μm、好ましくは約20〜500μmの範囲が好適である。
【0012】
粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)は、本発明の機能性フィルムを被着体に貼り付けるための接合剤である。かかる接着剤としては、例えば、硬化剤を含有する、ビスフェノ−ル型エポキシ樹脂、レゾ−ル型エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、(イソ)ブチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共共重合体、合成ゴム、天然ゴムなどから選ばれた1又は2種以上の樹脂を含む熱硬化性又は熱可塑性の接着剤及び粘着剤などがあげられる。さらに、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−モノソヂウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−トリソヂウムソルトなどのトリアジンチオ−ル系化合物も接着剤として使用することができる。これらの接合剤としては、種類に応じて、感圧性粘着剤、感熱接着剤、硬化タイプの接着剤として使用することができる。
【0013】
接合剤層(II)の膜厚は、通常1〜100μm、特に5〜50μmの範囲が好ましい。
【0014】
ウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲のである。
【0015】
引張り破断伸び率は、長さ200mm、幅10mm、厚み0.050mmの試料(単離フィルム)を−10℃の測定温度で引張速度200mm/分で測定したときの値である。該測定機としては、例えば、恒温槽付万能引張試験機(島津製作所オートグラフS−D型)を使用して測定することができる。
【0016】
本明細書において、引張り破断伸び率は、[(破断した時の試料の長さ(mm)−元の試料の長さ(mm))/元の試料の長さ(mm)]×100(%)を示す。
【0017】
ウレタン樹脂層(III)の引張り破断伸び率が50%未満になると、3次曲面への追従性が悪く貼付作業性が劣り、一方、1000%を超えると 少しの張力で伸びすぎて貼付作業性が劣るといった欠点がある。
【0018】
また、ウレタン樹脂層(III)は、常温(20℃)で実質的に粘着性がないことが好ましい。具体的には、ガラス転移温度が−40℃〜80℃、特に−20℃〜40℃の範囲が好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満になると、粘着性が高くなり取り扱いが困難となり、一方、ガラス転移温度が80℃超えると伸び率が低下し加工性等が劣るので好ましくない。
【0019】
ウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)により形成されたものであって、上記した塗膜物性を有するものであれば、従来から既知のものを使用することができる。
【0020】
該水性ウレタン樹脂分散液(A)として特に有用なるものとしては、種々な方法で製造され得るものである。当該水性ウレタン樹脂分散液(A)の一般的なる調製法としては、イオン性の官能基(反応性極性基)を有する化合物を、ウレタン化反応の際に、一部、共重合せしめて得られる、いわゆる親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを、水に分散せしめ、次いで、アミン類で以て鎖伸長せしめるという方法が知られている。
【0021】
用いられる上記の親水基含有イソシアネート末端プレポリマーとしては、従来公知のポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とから製造されるようなものである。
【0022】
ポリイソシアネート化合物としは、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;4・4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族ジイソシアネ−ト;キシリレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリフェニルメタンジイソシアネ−ト(以下ポリメリックMDI)などの芳香族ジイソシアネ−ト;及びこれらのイソシアヌレ−ト体やビュウレット体等の類似の化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
【0023】
イソシアネート末端プレポリマーの製造において用いられる、上記したイソシアネート基と反応し得る活性水素を含有する化合物としては、平均分子量300〜10,000、好ましくは、500〜5,000なる範囲内の、いわゆる高分子量化合物と、分子量が300以下なる、いわゆる低分子量化合物とに分けられる。
【0024】
そのうち、高分子量化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオールまたはポリチオエーテルポリオールなどが、特に代表的なものである。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレンングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜6,000なる範囲内のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAまたはハイドロキノン、あるいはそれらのアルキレンオキシド付加体などのような、各種のグリコール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸または1,2−ビス(フェノキシ)エタンーp,p’−ジカルボン酸、あるいはそれらの各種ジカルボン酸の無水物類またはエステル形成性誘導体類;p−ヒドロキシ安息香酸またはp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはそれらの各種ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などのような、各種の酸成分とからの脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほかに、ε−カプロラクトンの如き、各種の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、あるいはそれらの共重合ポリエステル類などが特に代表的なものである。
【0026】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリデリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプエロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸または1,2,3−プロパントリチオールの如き、少なくとも2個の活性水素原子を有する各種の化合物の1種または2種以上を、開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランまたはシクロヘキシレンの如き、各種のモノマーの1種または2種以上をも用いて、常法により、付加重合した形のものが、特に代表的なものである。
【0027】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはジエチレングリコールの如き、各種のグリコール類と、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得られるような化合物が、特に代表的なものである。
【0028】
一方、低分子量化合物とは、分子量が300以下なる、分子内に少なくとも2個以上の活性水素を有する化合物を指称するものであって、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエステルポリオールの原料として用いた、各種のグリコール成分;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールまたはペンタエリスリトールの如き、各種のポリヒドロキシ化合物;あるいはエチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミンの如き、各種のアミン化合物などである。
【0029】
そして、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に親水基を導入せしめる方法としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素を有し、かつ、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基またはエチレンオキサイドの繰り返し単位を有する親水基含有化合物の少なくとも1種以上を、プレポリマーの製造時に、共重合せしめるという方法などが挙げられる。
【0030】
かかる親水基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸の如き、各種のスルホン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール類;2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸の如き、各種のカルボン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、さらには、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール;あるいは少なくとも30重量%以上の、エチレンオキシドの繰り返し単位を有し、かつ、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素を有する、しかも、分子量が300〜10,000なる、ポリエチレン−ポリアルキレン共重合体の如き、各種のノニオン基含有化合物類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどが特に代表的なものであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいが、本発明において、特に好ましい親水基含有化合物としては、カルボキシル基含有化合物類;あるいはその誘導体類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオールなどである。
【0031】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中の親水基の含有量としては、カルボキシル基、スルホン酸基またはスルホネート基などの親水基の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分100部当り、少なくとも0.01当量以上、好ましくは、0.01〜0.2当量なる範囲内が適切であり、また、ノニオン基含有化合物の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分当り、少なくとも3重量%以上、好ましくは、5〜30重量%なる範囲内が適切である。
【0032】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーは、従来公知の方法で製造され、たとえば、前掲した如き、各種のポリイソシアネート化合物と、活性水素含有化合物(親水基含有化合物をも含む。)とを、イソシアネート基と活性水基との当量比が、1.1:1〜3:1、好ましくは、1.2:1〜2:1となるような比率で、20〜120℃にて、好ましくは、30〜100℃にて反応せしめるというような方法に従って行われる。
【0033】
ポリアミン系鎖伸長剤として特に代表的なものとしては、エチレンジアミン、1,2ープロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチルー4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンもしくは1,4−シクロヘキサンジアミンの如き、各種のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンもしくはトリエチレンテトラミンの如き、各種のポリアミン類;ヒドラジン類;または酸ヒドラジド類;あるいは水などであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0034】
当該ポリアミン系鎖伸長剤は、水性ウレタン樹脂分散液を得るために必要なる、分散媒としての水に溶解させて使用され、また、その使用量としては、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中のイソシアネート基に対して、当量比で、0:1〜1:1なる範囲、好ましくは、0.6:1〜0.98:1なる範囲内が適切である。
【0035】
使用する水の量は、プレポリマーと水相との混合後に、O/W型の水分散体になるだけの最低限の量があればよく、ポリウレタン樹脂の固形分に対して100〜1,000重量%なる範囲内が適切である。
【0036】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーの親水基がカルボキシル基である場合には、カルボキシル基を中和するために必要な中和剤として、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンの如き、各種の三級アミン類を、カルボキシル基に対して、当量比で、0.5:1〜1.5:1なる範囲内、好ましくは、1:1〜1.3:1なる範囲内が適切であり、かかる割合で以て、上述したポリアミン系鎖伸長剤の水溶液中に含有せしめる必要がある。
【0037】
かかる中和剤は、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に、予め、添加することも出来るが、これらの三級アミン類は、ウレタン化反応の強力なる触媒でもある処から、副反応を起こし易く、加えて、プレポリマーが着色し易くなる処から、好ましくない。
【0038】
水性ウレタン樹脂分散液(A)は、通常、アミン類との鎖伸長反応が完結する前に、あるいは、この鎖伸長反応が完結してから、次の脱溶剤工程に移される。
【0039】
水性ウレタン樹脂分散液(A)としては、商品名としては、例えばスーパーフレックス410、同左420、同左600、同左150、同左126、同左107M、スーパーフレックスE―2500(以上、第1工業製薬株式会社製、商品名)などのエマルションが挙げられる。
【0040】
水性ウレタン樹脂分散液(A)には必要により補助配合剤を含有させることができる。補助配合剤としては、たとえば無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、架橋剤、着色剤、その他添加剤などが挙げられる。
【0041】
無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ガラス繊維、チタン酸カリウムウイスカーなどが挙げられる。有機改質剤としてはフッ素樹脂系粉末、アクリル樹脂系粉末、シリコーン樹脂系粉末、ポリアミド樹脂系粉末、ウレタン樹脂系粉末などが挙げられる。安定剤としてはヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、燐系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。これら安定剤は耐候性の向上や耐熱劣化防止のための添加剤である。
【0042】
可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどが挙げられる。界面活性剤(整泡剤など)としてはシロキサンオキシアルキレンブロック共重合体などのシリコーン系整泡剤が挙げられる。消泡剤としてはジメチルシロキサン系などのシリコーン系のものが挙げられる。架橋剤としてはアミノ樹脂[メチロール化および/またはアルコキシ化(メチル〜ブチル)された尿素、メラミンなど]、エポキシ化合物[ビスフェノールA型グリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型グリシジルエーテル、エチレングリコール〜ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのグリシジルエーテルグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどにアルキレンオキシド(炭素数2〜3)を付加させたもののグリシジルエーテルなど]、ポリエチレン尿素化合物(ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−エチレン尿素など)、ブロックイソシアネート系(たとえばトリメチロ−ルプロパン1モルとヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはトルエンジイソシアネート3モルから合成されるアダクト体;ヘキサメチレンジイソシアネートの水変性物、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの3量化物などをフェノール、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタムなどでマスキングしたブロックイソシアネートなど)、水性ポリイソシアネート系(例えばポリオキシアルキレン[炭素数2〜4]ポリオールとポリイソシアネートとの反応物)などが挙げられる。
【0043】
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、金属錯塩染料などの染料:カ−ボンブラック、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、紺青などの無機顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系アンスラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系などの有機顔料、メタリック顔料、パール顔料などがあげられる。染料は樹脂100重量部(固形分)に対して通常0〜50重量部、好ましくは2〜20重量部、顔料は通常0〜200重量部、好ましくは2〜150重量部の範囲である。
【0044】
着色剤は、通常の攪拌だけによる混合でもよいし、分散混合装置(ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストーンミルなど)を用いて分散混合することによって得ることもできる。混合する順序はどの順序でもよい。
その他添加剤としては難燃剤、揺変剤、帯電防止剤、殺菌剤等が挙げられる。
【0045】
補助配合剤の添加量は樹脂組成物の重量固形分に対して重量基準で、無機充填剤および有機改質剤は通常0〜170%、好ましくは0〜150%、安定剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、可塑剤は通常0〜100%、好ましくは0〜50%、界面活性剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、消泡剤および、その他の添加剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、架橋剤は通常0〜50%、好ましくは0〜40%である。これらの補助配合剤は通常の攪拌だけによる混合でもよいし、分散混合装置(ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストーンミルなど)を用いて分散混合することによって得ることもできる。混合する順序はどの順序でもよい。
【0046】
水性ウレタン樹脂分散液(A)の膜厚は種々変えることが出来るが、通常5〜500μm、好ましくは10〜250μmである。塗布方法はスプレー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、ロール塗り、流し塗りおよび浸漬法ナイフコ−タ−、グラビアコ−タ−、スクリ−ン印刷、リバ−スロ−ルコ−タ−、などがある。乾燥は室温ないし加温(たとえば40〜270℃で10秒〜60分)で行うことができる。
【0047】
上記した本発明の機能性フィルムは、必要に応じて設けられる離型性層(I´)及び粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)を有する接合フィルムの該接合剤層表面に、上記水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装、乾燥することにより製造できる。
【0048】
また、特許請求の範囲の請求項2項に記載の発明は、上記した離型性層(I)及び上記したウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムである。該離型性層(I)及びウレタン樹脂層(III)は上記したと同様のものが挙げられる。 また、これらの膜厚、塗装方法なども上記したと同様の方法が提供できる。
【0049】
また、上記した本発明の機能性フィルムは、離型性層(I)表面に上記した塗装方法で水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装することにより製造できる。
【0050】
本発明の機能性フィルムは、ウレタン樹脂層(III)の表面に、硬化型、非硬化型の塗料、インキ、接着剤などの組成物を塗布することが好ましい。該組成物は無溶剤液状型、粉末状、有機溶剤型、水性、非水分散系などいずれの形態であっても構わない。また、これらの組成物により形成される層は1層であっても2種以上が積層された複層であっても構わない。
【0051】
本発明の接合剤層(II)を有する機能性フィルムは、離型性層(I)を使用した場合にはこのものを剥離した後、PVC、アクリル、ポリカーボネートをはじめとする各種プラスチックのフィルム、鋼板、板材等(以下被着体とする)に接合剤層(II)面側を加圧、加熱などにより貼り合わせることによって、耐候性、耐光性、耐湿性、耐熱性、耐汚染性、撥水性、耐沸騰水性等の機能を被着体表面に付与し、内装建材、外装建材、装飾品、包装用、保護膜、案内、掲示、マーキング、保存用、自動車サッシュ用黒テープ、サイドガーニッシュ、エンブレム、デザインストライプ、ドアモール等広範囲な用途に利用できる機能性のあるフィルムにある。
【0052】
また、本発明の接合剤層(II)を有さない機能性フィルムは、離型性層(I)を剥離した後、ウレタン樹脂層(III)面が被着体表面に面するように、熱、又は熱をかけながら圧力により接合させることができる。
【0053】
また、本発明において、機能性フィルムを、加熱により成型させながら立体面を有する被着体表面に接合させることもできる。また、加熱による成型は、例えば金型や真空成型などの成型機を使用して行うことができる。これらの成型は従来から公知の方法により行うことができる。
【0054】
成型加工温度は、機能性フィルム及びプラスチック材料の種類に応じて適した温度を設定すれば良い。
【0055】
また、成型加工は、例えば、未架橋前の機能性フィルムを接合剤(I)層面がプラスチック成型品の外面に接するように、機能性フィルムを同時に成型加工したのち、機能性フィルムを架橋させることも可能である。
【0056】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳細に説明する。なお実施例及び比較例中の「部」及び「%」は重量基準である。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1
粘着性フィルム:膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(離型紙)の表面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着性フィルムを得た。
【0058】
上記粘着性フィルムの粘着剤層表面に、水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で1分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン樹脂層を形成した。
【0059】
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0060】
ウレタン樹脂層の表面にレタンPG−80(クリヤー主剤/レタンPG80硬化剤=100/25)(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚30μmになるように塗装し140℃で1分間加熱硬化をおこない機能性フィルムを製造した。
【0061】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0062】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0063】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、機能性フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0064】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、機能性フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0065】
実施例2
実施例1において、水性ウレタン樹脂エマルションに代えて下記水性ウレタン樹脂エマルション(a)を使用した以外は実施例1と同様にして機能性フィルムを得た。
【0066】
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0067】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0068】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0069】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、機能性フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0070】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、機能性フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0071】
水性ウレタン樹脂エマルション(a):
ポリエステルポリオ−ル(ブチレンアジペ−ト、分子量2000)350部、トリメチロ−ルプロパン10.1部、ポリエチレングリコ−ル35部(分子量600)、PO(プロピレンオキサイド)/EO(エチレンオキサイド)ランダム共重合ポリエ−テルポリオ−ル35部(PO/EO=30/70、分子量3400)、及び1,4−ブタンジオ−ル78.3部をメチルエチルケトン400部に添加し溶解した後、イソホロンジイソシアネート310部を系内温度50℃で添加した。その後、ジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加し、徐々に加温して系内温度75℃とした。75℃で60分間反応させた段階でさらにジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加した。その後、反応を続行して75℃/200分経過した時点で冷却し、系内温度50℃とした。50℃に冷却後のウレタンプレポリマ−の遊離イソシアネ−ト基は、2.0%(対固形分)であった。
次に、系内温度45℃にて、ジスチレン化フェノ−ルのエチレンオキサイド付加物であるポリオキシエテレンアリルフェノ−ルエ−テル型非イオン界面活性剤(HLB=15)80部添加し、10分間混合した。その後、系内内容物をホモミキサ−を用いて3000rpmで高速撹拌し、その中へ蒸留水1300部を徐々に添加し、その後、系内温度30℃にて20分間乳化を実施した。
系内温度をさらに20℃に冷却した後、エチレンジアミン10.5部を蒸留水130部に溶解したエチレンジアミン水溶液を添加した。
系内温度を20〜25℃にてコントロ−ルして、60分間ホモミキサ−を用いて3000rpmで撹拌を続行した。
次に、エバポレ−タ−により、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(a)を得た。
【0072】
実施例3
実施例1において、水性ウレタン樹脂エマルションに代えて下記水性ウレタン樹脂エマルション(b)を使用した以外は実施例1と同様にして被膜を形成した。
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0073】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0074】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0075】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、着色フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0076】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、着色フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0077】
水性ウレタン樹脂エマルション(b):
ポリカ−ボネ−トポリオ−ル(1,6ヘキサンのポリカ−ボネ−ト、分子量2000) 255部にトリメチロ−ルプロパン7.0部および1,4−ブタンジオ−ル57.0部を添加した後、メチルエチルケトン290部を添加して溶解した。
次に、これにイソホロンジイソシアネート260部及びジブチルスズジラウレート0.01部を系内温度50℃で添加し、徐々に加温し、系内温度75℃にて180分間反応を行い、遊離イソシアネート基を5.0%(対固形分)含有するウレタンプレポリマーを得た。次に、これにジメチロールプロピオン酸26.5部及びメチルエチルケトン120部を添加した後、ジブチルスズジラウレート0.07部を添加し、さらにトリエチルアミン9.9部を添加した。これを徐々に加温し、系内温度を50℃まで冷却すると遊離イソシアネート基を1.99%(対固形分)とカルボキシル基とを含有するウレタンプレポリマーが得られた。
次に、これに系内温度50℃でトリエチルアミン9.9部を追加し、残余のカルボキシル基を中和した。その後、蒸留水900部を徐々に添加し、ホモミキサーを用いて3000rpmで攪拌し、乳化操作を系内温度25℃で20分間実施した。
次にエチレンジアミン7.8部を蒸留水80部に溶解したエチレンジアミン水溶液を系内温度25℃で添加し、25℃で60分間攪拌混合した。
その後、エバポレーターにより、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(b)を得た。
【0078】
比較例1
実施例1において、ウレタン樹脂層を形成しない以外は実施例1と同様にして比較例1のフィルムを得た。
【0079】
実施例1と同様の方法で貼付加工した結果、 得られたポリプロピレン成型品は、曲面部及び平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0080】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸漬した後、フィルムが貼付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥が見られ悪かった。
【0081】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、フィルムが貼付けられた部分にシワ、フクレ、光沢低下等の欠陥がみられ耐揮発油性が劣った。
【0082】
【発明の効果】本発明の機能性フィルムは、ウレタン樹脂層(III)の表面に、硬化型、非硬化型の塗料、インキ、接着剤などの組成物を塗布したものを使用することが好ましい。
【0083】
これにより、例えば、家具,車両あるいは建造物などへの取付け面として使用されるが、この取付けに際し、該ウレタン樹脂層が屈曲性、伸びが優れるのでフィルムの取付けによるシワ等の欠陥が生じないので仕上がり外観が優れる。
【0084】
本発明のウレタン樹脂層を有するフィルムは、表面からの衝撃によるエネルギーを該層で吸収するために、例えば、チッピング(小石や砂などの外的物がぶつかった際に塗膜が剥離する現象)による抵抗性が高い。
【0085】
また、伸び率が高度に要求される成型加工(100%以上)においてもフィルムの伸び、張力、屈曲力が優れるので光沢低下やワレ、剥がれのない仕上がり外観に優れた成型加工品が得られる。
【0086】
また、接合剤層(II)表面に形成されるウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)により形成されることから、無公害で安全・衛生上問題がないこと、媒体として水を使用しているので接合剤層を膨潤や溶解させたりする恐れがないために均一な膜厚が形成できること、接合剤層と混ざり合うことがないのでそれぞれの層の性能が低下しないため品質安定性が優れるといった効果がある。
【産業上の利用分野】本発明は、加工性、耐水性、耐湿性、耐熱性、耐候性等の機能を有するフィルムであって、また、無公害で安全性が高く、均一で品質安定性に優れたウレタン樹脂層が形成できる機能性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、自動車、家電及び一般工業関係の部材としてプラスチック、特にポリプロピレン樹脂成型品が広く使用されている。そしてポリプロピレン樹脂成型品に装飾、耐久性等を付与させる目的でその表面にプラスチック用塗料が塗装されている。しかしながら、プラスチック用塗料から形成される塗膜は一般的にポリプロピレン樹脂に対して付着性が悪いために付着性を改善するためにプライマーが塗装されている。
【0003】
また、このようなプラスチック成型品にプラスチック塗料を塗装する方法として塗着効率を良くするために、通常、静電スプレー塗装などにより塗装されているがプラスチック成型品に対する塗着効率がまだ充分でないために製品コストが高くなったり、曲面部に均一に塗装できないのでプラスチック塗膜の付着性や仕上がり性等が悪くなるといった問題点がある。
【0004】
このような問題点を改善する方法として、合成樹脂フィルム表面にメタリックベースコート/クリヤーコート仕上げした硬化型着色フィルムと成型用樹脂を用いて一体成型を行い、成型物品の表面にメタリック仕上げを行う自動車車体パネルなどに化粧面を設けるのに使用できるシート材を用いた造形物品およびその製造方法が、例えば、特開平8−52416号公報に記載されている。しかしながら、このようなシート材を使用したものでは、プラスチックをバンパーなどのように変形率の大きな成型品に加工した場合には、成型品の伸びが大きな3次曲面部にメタリック塗膜のワレ、剥がれ等の塗膜欠陥を生じるといった問題点が残されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィルム材として特定の水性ウレタン樹脂分散液を使用したものが、従来からの問題点を全て解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、離型性層(I)及び上記したウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、必要に応じて設けられる離型性層(I´)及び粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)を有する接合フィルムの該接合剤層表面に、上記水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装してウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムの製造方法が提供される。
【0009】
以下、本願発明の構成要件について説明する。
【0010】
本発明は、必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなる機能性フィルムである。
【0011】
必要に応じて設けられる離型性層(I´)は、機能性フィルムの貯蔵(積み重ね、巻きもの等)や取り扱いを容易にさせるために使用することができ、このものは機能性フィルムを使用するにあたっては剥離され最終的には貼付された機能性フィルムには残らないものである。この様な層としては、例えば粘着剤、接着剤が容易に剥離できるものであれば特に制限なしに従来から公知のもの、例えばポリエチレンテレフタレートシート等のプラスチックシート類や紙、布、プラスチックシートに離型剤(シリコン、ワックス、フッ素等)処理を施したものが一般的に使用できる。該離型性層の厚みは、約10〜1000μm、好ましくは約20〜500μmの範囲が好適である。
【0012】
粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)は、本発明の機能性フィルムを被着体に貼り付けるための接合剤である。かかる接着剤としては、例えば、硬化剤を含有する、ビスフェノ−ル型エポキシ樹脂、レゾ−ル型エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、(イソ)ブチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共共重合体、合成ゴム、天然ゴムなどから選ばれた1又は2種以上の樹脂を含む熱硬化性又は熱可塑性の接着剤及び粘着剤などがあげられる。さらに、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−モノソヂウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−トリソヂウムソルトなどのトリアジンチオ−ル系化合物も接着剤として使用することができる。これらの接合剤としては、種類に応じて、感圧性粘着剤、感熱接着剤、硬化タイプの接着剤として使用することができる。
【0013】
接合剤層(II)の膜厚は、通常1〜100μm、特に5〜50μmの範囲が好ましい。
【0014】
ウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲のである。
【0015】
引張り破断伸び率は、長さ200mm、幅10mm、厚み0.050mmの試料(単離フィルム)を−10℃の測定温度で引張速度200mm/分で測定したときの値である。該測定機としては、例えば、恒温槽付万能引張試験機(島津製作所オートグラフS−D型)を使用して測定することができる。
【0016】
本明細書において、引張り破断伸び率は、[(破断した時の試料の長さ(mm)−元の試料の長さ(mm))/元の試料の長さ(mm)]×100(%)を示す。
【0017】
ウレタン樹脂層(III)の引張り破断伸び率が50%未満になると、3次曲面への追従性が悪く貼付作業性が劣り、一方、1000%を超えると 少しの張力で伸びすぎて貼付作業性が劣るといった欠点がある。
【0018】
また、ウレタン樹脂層(III)は、常温(20℃)で実質的に粘着性がないことが好ましい。具体的には、ガラス転移温度が−40℃〜80℃、特に−20℃〜40℃の範囲が好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満になると、粘着性が高くなり取り扱いが困難となり、一方、ガラス転移温度が80℃超えると伸び率が低下し加工性等が劣るので好ましくない。
【0019】
ウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)により形成されたものであって、上記した塗膜物性を有するものであれば、従来から既知のものを使用することができる。
【0020】
該水性ウレタン樹脂分散液(A)として特に有用なるものとしては、種々な方法で製造され得るものである。当該水性ウレタン樹脂分散液(A)の一般的なる調製法としては、イオン性の官能基(反応性極性基)を有する化合物を、ウレタン化反応の際に、一部、共重合せしめて得られる、いわゆる親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを、水に分散せしめ、次いで、アミン類で以て鎖伸長せしめるという方法が知られている。
【0021】
用いられる上記の親水基含有イソシアネート末端プレポリマーとしては、従来公知のポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とから製造されるようなものである。
【0022】
ポリイソシアネート化合物としは、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;4・4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族ジイソシアネ−ト;キシリレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリフェニルメタンジイソシアネ−ト(以下ポリメリックMDI)などの芳香族ジイソシアネ−ト;及びこれらのイソシアヌレ−ト体やビュウレット体等の類似の化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
【0023】
イソシアネート末端プレポリマーの製造において用いられる、上記したイソシアネート基と反応し得る活性水素を含有する化合物としては、平均分子量300〜10,000、好ましくは、500〜5,000なる範囲内の、いわゆる高分子量化合物と、分子量が300以下なる、いわゆる低分子量化合物とに分けられる。
【0024】
そのうち、高分子量化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオールまたはポリチオエーテルポリオールなどが、特に代表的なものである。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレンングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜6,000なる範囲内のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAまたはハイドロキノン、あるいはそれらのアルキレンオキシド付加体などのような、各種のグリコール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸または1,2−ビス(フェノキシ)エタンーp,p’−ジカルボン酸、あるいはそれらの各種ジカルボン酸の無水物類またはエステル形成性誘導体類;p−ヒドロキシ安息香酸またはp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはそれらの各種ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などのような、各種の酸成分とからの脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほかに、ε−カプロラクトンの如き、各種の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、あるいはそれらの共重合ポリエステル類などが特に代表的なものである。
【0026】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリデリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプエロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸または1,2,3−プロパントリチオールの如き、少なくとも2個の活性水素原子を有する各種の化合物の1種または2種以上を、開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランまたはシクロヘキシレンの如き、各種のモノマーの1種または2種以上をも用いて、常法により、付加重合した形のものが、特に代表的なものである。
【0027】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはジエチレングリコールの如き、各種のグリコール類と、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得られるような化合物が、特に代表的なものである。
【0028】
一方、低分子量化合物とは、分子量が300以下なる、分子内に少なくとも2個以上の活性水素を有する化合物を指称するものであって、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエステルポリオールの原料として用いた、各種のグリコール成分;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールまたはペンタエリスリトールの如き、各種のポリヒドロキシ化合物;あるいはエチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミンの如き、各種のアミン化合物などである。
【0029】
そして、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に親水基を導入せしめる方法としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素を有し、かつ、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基またはエチレンオキサイドの繰り返し単位を有する親水基含有化合物の少なくとも1種以上を、プレポリマーの製造時に、共重合せしめるという方法などが挙げられる。
【0030】
かかる親水基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸の如き、各種のスルホン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール類;2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸の如き、各種のカルボン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、さらには、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール;あるいは少なくとも30重量%以上の、エチレンオキシドの繰り返し単位を有し、かつ、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素を有する、しかも、分子量が300〜10,000なる、ポリエチレン−ポリアルキレン共重合体の如き、各種のノニオン基含有化合物類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどが特に代表的なものであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいが、本発明において、特に好ましい親水基含有化合物としては、カルボキシル基含有化合物類;あるいはその誘導体類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオールなどである。
【0031】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中の親水基の含有量としては、カルボキシル基、スルホン酸基またはスルホネート基などの親水基の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分100部当り、少なくとも0.01当量以上、好ましくは、0.01〜0.2当量なる範囲内が適切であり、また、ノニオン基含有化合物の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分当り、少なくとも3重量%以上、好ましくは、5〜30重量%なる範囲内が適切である。
【0032】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーは、従来公知の方法で製造され、たとえば、前掲した如き、各種のポリイソシアネート化合物と、活性水素含有化合物(親水基含有化合物をも含む。)とを、イソシアネート基と活性水基との当量比が、1.1:1〜3:1、好ましくは、1.2:1〜2:1となるような比率で、20〜120℃にて、好ましくは、30〜100℃にて反応せしめるというような方法に従って行われる。
【0033】
ポリアミン系鎖伸長剤として特に代表的なものとしては、エチレンジアミン、1,2ープロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチルー4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンもしくは1,4−シクロヘキサンジアミンの如き、各種のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンもしくはトリエチレンテトラミンの如き、各種のポリアミン類;ヒドラジン類;または酸ヒドラジド類;あるいは水などであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0034】
当該ポリアミン系鎖伸長剤は、水性ウレタン樹脂分散液を得るために必要なる、分散媒としての水に溶解させて使用され、また、その使用量としては、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中のイソシアネート基に対して、当量比で、0:1〜1:1なる範囲、好ましくは、0.6:1〜0.98:1なる範囲内が適切である。
【0035】
使用する水の量は、プレポリマーと水相との混合後に、O/W型の水分散体になるだけの最低限の量があればよく、ポリウレタン樹脂の固形分に対して100〜1,000重量%なる範囲内が適切である。
【0036】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーの親水基がカルボキシル基である場合には、カルボキシル基を中和するために必要な中和剤として、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンの如き、各種の三級アミン類を、カルボキシル基に対して、当量比で、0.5:1〜1.5:1なる範囲内、好ましくは、1:1〜1.3:1なる範囲内が適切であり、かかる割合で以て、上述したポリアミン系鎖伸長剤の水溶液中に含有せしめる必要がある。
【0037】
かかる中和剤は、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に、予め、添加することも出来るが、これらの三級アミン類は、ウレタン化反応の強力なる触媒でもある処から、副反応を起こし易く、加えて、プレポリマーが着色し易くなる処から、好ましくない。
【0038】
水性ウレタン樹脂分散液(A)は、通常、アミン類との鎖伸長反応が完結する前に、あるいは、この鎖伸長反応が完結してから、次の脱溶剤工程に移される。
【0039】
水性ウレタン樹脂分散液(A)としては、商品名としては、例えばスーパーフレックス410、同左420、同左600、同左150、同左126、同左107M、スーパーフレックスE―2500(以上、第1工業製薬株式会社製、商品名)などのエマルションが挙げられる。
【0040】
水性ウレタン樹脂分散液(A)には必要により補助配合剤を含有させることができる。補助配合剤としては、たとえば無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、架橋剤、着色剤、その他添加剤などが挙げられる。
【0041】
無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ガラス繊維、チタン酸カリウムウイスカーなどが挙げられる。有機改質剤としてはフッ素樹脂系粉末、アクリル樹脂系粉末、シリコーン樹脂系粉末、ポリアミド樹脂系粉末、ウレタン樹脂系粉末などが挙げられる。安定剤としてはヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、燐系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。これら安定剤は耐候性の向上や耐熱劣化防止のための添加剤である。
【0042】
可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどが挙げられる。界面活性剤(整泡剤など)としてはシロキサンオキシアルキレンブロック共重合体などのシリコーン系整泡剤が挙げられる。消泡剤としてはジメチルシロキサン系などのシリコーン系のものが挙げられる。架橋剤としてはアミノ樹脂[メチロール化および/またはアルコキシ化(メチル〜ブチル)された尿素、メラミンなど]、エポキシ化合物[ビスフェノールA型グリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型グリシジルエーテル、エチレングリコール〜ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのグリシジルエーテルグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどにアルキレンオキシド(炭素数2〜3)を付加させたもののグリシジルエーテルなど]、ポリエチレン尿素化合物(ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−エチレン尿素など)、ブロックイソシアネート系(たとえばトリメチロ−ルプロパン1モルとヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはトルエンジイソシアネート3モルから合成されるアダクト体;ヘキサメチレンジイソシアネートの水変性物、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの3量化物などをフェノール、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタムなどでマスキングしたブロックイソシアネートなど)、水性ポリイソシアネート系(例えばポリオキシアルキレン[炭素数2〜4]ポリオールとポリイソシアネートとの反応物)などが挙げられる。
【0043】
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、金属錯塩染料などの染料:カ−ボンブラック、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、紺青などの無機顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系アンスラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系などの有機顔料、メタリック顔料、パール顔料などがあげられる。染料は樹脂100重量部(固形分)に対して通常0〜50重量部、好ましくは2〜20重量部、顔料は通常0〜200重量部、好ましくは2〜150重量部の範囲である。
【0044】
着色剤は、通常の攪拌だけによる混合でもよいし、分散混合装置(ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストーンミルなど)を用いて分散混合することによって得ることもできる。混合する順序はどの順序でもよい。
その他添加剤としては難燃剤、揺変剤、帯電防止剤、殺菌剤等が挙げられる。
【0045】
補助配合剤の添加量は樹脂組成物の重量固形分に対して重量基準で、無機充填剤および有機改質剤は通常0〜170%、好ましくは0〜150%、安定剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、可塑剤は通常0〜100%、好ましくは0〜50%、界面活性剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、消泡剤および、その他の添加剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、架橋剤は通常0〜50%、好ましくは0〜40%である。これらの補助配合剤は通常の攪拌だけによる混合でもよいし、分散混合装置(ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストーンミルなど)を用いて分散混合することによって得ることもできる。混合する順序はどの順序でもよい。
【0046】
水性ウレタン樹脂分散液(A)の膜厚は種々変えることが出来るが、通常5〜500μm、好ましくは10〜250μmである。塗布方法はスプレー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、ロール塗り、流し塗りおよび浸漬法ナイフコ−タ−、グラビアコ−タ−、スクリ−ン印刷、リバ−スロ−ルコ−タ−、などがある。乾燥は室温ないし加温(たとえば40〜270℃で10秒〜60分)で行うことができる。
【0047】
上記した本発明の機能性フィルムは、必要に応じて設けられる離型性層(I´)及び粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)を有する接合フィルムの該接合剤層表面に、上記水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装、乾燥することにより製造できる。
【0048】
また、特許請求の範囲の請求項2項に記載の発明は、上記した離型性層(I)及び上記したウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムである。該離型性層(I)及びウレタン樹脂層(III)は上記したと同様のものが挙げられる。 また、これらの膜厚、塗装方法なども上記したと同様の方法が提供できる。
【0049】
また、上記した本発明の機能性フィルムは、離型性層(I)表面に上記した塗装方法で水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装することにより製造できる。
【0050】
本発明の機能性フィルムは、ウレタン樹脂層(III)の表面に、硬化型、非硬化型の塗料、インキ、接着剤などの組成物を塗布することが好ましい。該組成物は無溶剤液状型、粉末状、有機溶剤型、水性、非水分散系などいずれの形態であっても構わない。また、これらの組成物により形成される層は1層であっても2種以上が積層された複層であっても構わない。
【0051】
本発明の接合剤層(II)を有する機能性フィルムは、離型性層(I)を使用した場合にはこのものを剥離した後、PVC、アクリル、ポリカーボネートをはじめとする各種プラスチックのフィルム、鋼板、板材等(以下被着体とする)に接合剤層(II)面側を加圧、加熱などにより貼り合わせることによって、耐候性、耐光性、耐湿性、耐熱性、耐汚染性、撥水性、耐沸騰水性等の機能を被着体表面に付与し、内装建材、外装建材、装飾品、包装用、保護膜、案内、掲示、マーキング、保存用、自動車サッシュ用黒テープ、サイドガーニッシュ、エンブレム、デザインストライプ、ドアモール等広範囲な用途に利用できる機能性のあるフィルムにある。
【0052】
また、本発明の接合剤層(II)を有さない機能性フィルムは、離型性層(I)を剥離した後、ウレタン樹脂層(III)面が被着体表面に面するように、熱、又は熱をかけながら圧力により接合させることができる。
【0053】
また、本発明において、機能性フィルムを、加熱により成型させながら立体面を有する被着体表面に接合させることもできる。また、加熱による成型は、例えば金型や真空成型などの成型機を使用して行うことができる。これらの成型は従来から公知の方法により行うことができる。
【0054】
成型加工温度は、機能性フィルム及びプラスチック材料の種類に応じて適した温度を設定すれば良い。
【0055】
また、成型加工は、例えば、未架橋前の機能性フィルムを接合剤(I)層面がプラスチック成型品の外面に接するように、機能性フィルムを同時に成型加工したのち、機能性フィルムを架橋させることも可能である。
【0056】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳細に説明する。なお実施例及び比較例中の「部」及び「%」は重量基準である。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1
粘着性フィルム:膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(離型紙)の表面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着性フィルムを得た。
【0058】
上記粘着性フィルムの粘着剤層表面に、水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で1分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン樹脂層を形成した。
【0059】
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0060】
ウレタン樹脂層の表面にレタンPG−80(クリヤー主剤/レタンPG80硬化剤=100/25)(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚30μmになるように塗装し140℃で1分間加熱硬化をおこない機能性フィルムを製造した。
【0061】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0062】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0063】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、機能性フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0064】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、機能性フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0065】
実施例2
実施例1において、水性ウレタン樹脂エマルションに代えて下記水性ウレタン樹脂エマルション(a)を使用した以外は実施例1と同様にして機能性フィルムを得た。
【0066】
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0067】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0068】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0069】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、機能性フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0070】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、機能性フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0071】
水性ウレタン樹脂エマルション(a):
ポリエステルポリオ−ル(ブチレンアジペ−ト、分子量2000)350部、トリメチロ−ルプロパン10.1部、ポリエチレングリコ−ル35部(分子量600)、PO(プロピレンオキサイド)/EO(エチレンオキサイド)ランダム共重合ポリエ−テルポリオ−ル35部(PO/EO=30/70、分子量3400)、及び1,4−ブタンジオ−ル78.3部をメチルエチルケトン400部に添加し溶解した後、イソホロンジイソシアネート310部を系内温度50℃で添加した。その後、ジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加し、徐々に加温して系内温度75℃とした。75℃で60分間反応させた段階でさらにジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加した。その後、反応を続行して75℃/200分経過した時点で冷却し、系内温度50℃とした。50℃に冷却後のウレタンプレポリマ−の遊離イソシアネ−ト基は、2.0%(対固形分)であった。
次に、系内温度45℃にて、ジスチレン化フェノ−ルのエチレンオキサイド付加物であるポリオキシエテレンアリルフェノ−ルエ−テル型非イオン界面活性剤(HLB=15)80部添加し、10分間混合した。その後、系内内容物をホモミキサ−を用いて3000rpmで高速撹拌し、その中へ蒸留水1300部を徐々に添加し、その後、系内温度30℃にて20分間乳化を実施した。
系内温度をさらに20℃に冷却した後、エチレンジアミン10.5部を蒸留水130部に溶解したエチレンジアミン水溶液を添加した。
系内温度を20〜25℃にてコントロ−ルして、60分間ホモミキサ−を用いて3000rpmで撹拌を続行した。
次に、エバポレ−タ−により、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(a)を得た。
【0072】
実施例3
実施例1において、水性ウレタン樹脂エマルションに代えて下記水性ウレタン樹脂エマルション(b)を使用した以外は実施例1と同様にして被膜を形成した。
ウレタン樹脂層の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0073】
得られた機能性フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0074】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0075】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、着色フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0076】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、着色フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0077】
水性ウレタン樹脂エマルション(b):
ポリカ−ボネ−トポリオ−ル(1,6ヘキサンのポリカ−ボネ−ト、分子量2000) 255部にトリメチロ−ルプロパン7.0部および1,4−ブタンジオ−ル57.0部を添加した後、メチルエチルケトン290部を添加して溶解した。
次に、これにイソホロンジイソシアネート260部及びジブチルスズジラウレート0.01部を系内温度50℃で添加し、徐々に加温し、系内温度75℃にて180分間反応を行い、遊離イソシアネート基を5.0%(対固形分)含有するウレタンプレポリマーを得た。次に、これにジメチロールプロピオン酸26.5部及びメチルエチルケトン120部を添加した後、ジブチルスズジラウレート0.07部を添加し、さらにトリエチルアミン9.9部を添加した。これを徐々に加温し、系内温度を50℃まで冷却すると遊離イソシアネート基を1.99%(対固形分)とカルボキシル基とを含有するウレタンプレポリマーが得られた。
次に、これに系内温度50℃でトリエチルアミン9.9部を追加し、残余のカルボキシル基を中和した。その後、蒸留水900部を徐々に添加し、ホモミキサーを用いて3000rpmで攪拌し、乳化操作を系内温度25℃で20分間実施した。
次にエチレンジアミン7.8部を蒸留水80部に溶解したエチレンジアミン水溶液を系内温度25℃で添加し、25℃で60分間攪拌混合した。
その後、エバポレーターにより、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(b)を得た。
【0078】
比較例1
実施例1において、ウレタン樹脂層を形成しない以外は実施例1と同様にして比較例1のフィルムを得た。
【0079】
実施例1と同様の方法で貼付加工した結果、 得られたポリプロピレン成型品は、曲面部及び平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0080】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸漬した後、フィルムが貼付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥が見られ悪かった。
【0081】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、フィルムが貼付けられた部分にシワ、フクレ、光沢低下等の欠陥がみられ耐揮発油性が劣った。
【0082】
【発明の効果】本発明の機能性フィルムは、ウレタン樹脂層(III)の表面に、硬化型、非硬化型の塗料、インキ、接着剤などの組成物を塗布したものを使用することが好ましい。
【0083】
これにより、例えば、家具,車両あるいは建造物などへの取付け面として使用されるが、この取付けに際し、該ウレタン樹脂層が屈曲性、伸びが優れるのでフィルムの取付けによるシワ等の欠陥が生じないので仕上がり外観が優れる。
【0084】
本発明のウレタン樹脂層を有するフィルムは、表面からの衝撃によるエネルギーを該層で吸収するために、例えば、チッピング(小石や砂などの外的物がぶつかった際に塗膜が剥離する現象)による抵抗性が高い。
【0085】
また、伸び率が高度に要求される成型加工(100%以上)においてもフィルムの伸び、張力、屈曲力が優れるので光沢低下やワレ、剥がれのない仕上がり外観に優れた成型加工品が得られる。
【0086】
また、接合剤層(II)表面に形成されるウレタン樹脂層(III)は、水性ウレタン樹脂分散液(A)により形成されることから、無公害で安全・衛生上問題がないこと、媒体として水を使用しているので接合剤層を膨潤や溶解させたりする恐れがないために均一な膜厚が形成できること、接合剤層と混ざり合うことがないのでそれぞれの層の性能が低下しないため品質安定性が優れるといった効果がある。
Claims (4)
- 必要に応じて設けられる離型性層(I´)、粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)、水性ウレタン樹脂分散液(A)で形成され、そして形成された層が、それ自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲であるウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルム。
- 離型性層(I)及び上記したウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルム。
- 水性ウレタン樹脂分散液(A)が、ポリイソシアネート化合物と、該ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とを反応させて親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを製造し、次いでこのものを水に分散せしめ、更に、アミン類で以て鎖伸長せしめてなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性フィルム。
- 必要に応じて設けられる離型性層(I´)及び粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(II)を有する接合フィルムの該接合剤層表面に、上記水性ウレタン樹脂分散液(A)を塗装してウレタン樹脂層(III)を順次積層してなることを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
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KR101065847B1 (ko) | 2008-12-02 | 2011-09-20 | 헨켈코리아 유한회사 | 차체 하부 섀시의 도장면 보호용 테이프 |
WO2019198823A1 (ja) | 2018-04-13 | 2019-10-17 | 株式会社クラレ | 多層フィルムおよびそれを備える成形体 |
-
2000
- 2000-08-03 JP JP2000236176A patent/JP2004148508A/ja active Pending
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KR101065847B1 (ko) | 2008-12-02 | 2011-09-20 | 헨켈코리아 유한회사 | 차체 하부 섀시의 도장면 보호용 테이프 |
WO2019198823A1 (ja) | 2018-04-13 | 2019-10-17 | 株式会社クラレ | 多層フィルムおよびそれを備える成形体 |
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