JP7126195B2 - 金ナノ粒子担持粉体の製造方法 - Google Patents

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本願発明は、液面プラズマによる金ナノ粒子担持粉体の製造方法に関するものであり、抗菌剤や色材として化粧品分野やトイレタリー分野等に適用される。
抗菌性材料として用いられる銀ナノ粒子や銀イオンは、ナノ粒子の皮膚浸透や肺への曝露、銀イオンの溶出等により、生体への安全性が懸念され、欧州等ではその使用に制限が設けられている場合が多い。そのため、そのナノ粒子の懸念を払拭する材料形態やイオン化による溶出を抑制した材料の開発が重要である。
これらのニーズから、ナノ粒子の飛散に対しては、ナノ粒子をサブミクロンやミクロンサイズの母粉体に固着化したり、他の粉体等と共に凝集体を形成させたりすることが重要であり、イオン化による溶出には、よりイオン化し難い金属、すなわち白金や金等に代替することが考えられる。
このような状況下、イオン化し難い金のナノサイズ粒子は、バルク体の金には見られないような化学的な活性を示し、触媒やバイオセンサー等の分野で利用されていることが知られている。また、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴による発色は、赤から紫色の鮮やかな色調を呈することが知られており、色材分野における利用も行われている。
この金ナノ粒子を生成する方法としては、還元剤と分散剤を用いて金イオンの還元と生成した金粒子の保護を行う手法や、金イオンを含む水溶液中へのプラズマ放電による方法等が知られている。
金イオンの還元による方法としては、水素化ホウ素アルカリ金属塩を還元剤として用いる手法がある(非特許文献1)。しかし、凝集しやすい微粒子である金ナノ粒子を安定的に分散させるためには、金と相互作用が強く、金表面に単分子膜を形成するチオールやポリビニルピロリドン等を保護剤として用いる必要がある。また、非特許文献2のように、エタノール・水の混合溶媒中で加熱することで金イオンの還元を起こす方法もあるが、反応に長時間を要する。
一方、金イオンを含む水溶液中に一対の金属電極を配置し、プラズマ放電を行うことによって金イオンを還元し、金ナノ粒子を生成する手法も報告されている(特許文献1)。しかし、この手法も金イオン及び金ナノ粒子を分散安定化させるために界面活性剤を使用するほか、水溶液中で放電を行うことによる電極劣化の懸念がある。
金ナノ粒子を幅広い分野で応用するためには、微細な金ナノ粒子を効率よく生成する必要がある。しかし、還元剤や分散剤、保護剤などを用いれば、最終的に金ナノ粒子を取り出すときに洗浄工程などの添加剤を取り除く工程を必要とする。また、表面プラズモン発色による鮮やかな赤紫色の色材として化粧品分野等への応用を考えれば、ヒトの皮膚等に刺激のある分散剤等の添加物を使用しないこと、ナノ粒子の飛散を抑えた担持物等であること、良い発色を得るために微細で粒子径を揃える制御が必要である。
このうち、還元剤などの添加物のない条件で金属イオン水溶液に電子線を照射して金属ナノ粒子を得る電子線照射還元法も開発されているが、電子線照射装置は大掛かりであり、電子線を遮蔽する施設が必要で作業上、安全ではない(特許文献2)。
特開2016-27184 特許4069193
M.Brust, M.Walker, D.Bethell, D.J.Schiffrin, R.Whyman, J.Chem.Soc.,Chem.Commun,p801~802(1994) N.Toshima, K.Kushihashi,T.Yonezawa,H.Hirai, Chem.Lett.,18(10),p1769-1772(1989)
以上のような背景から、本願発明が解決しようとする課題は、分散剤等の除去に工程を要する添加物を使用せず、不純物の少ない金ナノ粒子担持粉体を、小規模な装置で安全に、効率良く生成することにある。
本願発明は、塩化金酸水溶液(3価の金)にアンモニア水溶液を添加した混合水溶液に母粉体である板状アルミナを加え、少なくとも二本の電極を混合水溶液の液面上部の気中に配置して、希ガス雰囲気下で電極間に電圧を印加して電極-液面間でプラズマを発生させ、金ナノ粒子担持粉体を得る方法、及び金ナノ粒子担持粉体である。図1は本発明のプラズマ処理装置の基本構成を示す。
本願発明では、図1に示されるように塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液に電極が接触することがないため、被処理液体の濃度やpH等にかかわらずプラズマ処理が可能となり、放電による電極の劣化に伴う電極由来のコンタミネーションが少ない。さらに、複数の電極-液面間においてプラズマが発生するため、電極の一方を気中とし他方を水溶液中とするプラズマ発生方式や、水溶液中で一対の電極間でプラズマを発生させる方式と比較してより効率的なプラズマ処理が可能となる。
本願発明では、図2のように電源と一対の電極を複数に増やすことにより、また、図1~図2のバッチ処理の個数を増やすことで金ナノ粒子の担持処理の効率を上げることが容易である。
本願発明で用いる電極については、その形状は特に規定しないが、針状、中空針状、線状、平板状等が考えられ、その中でも、不平等電界が発生することで絶縁破壊電圧が低くなりプラズマを低電圧でも発生させやすくする針状のものが好ましい。また、電極の材質についても、安定した放電状態を維持できるものであれば良く、特に限定されない。白金、タングステン、銅、銅タングステン、銀、グラファイト、チタン、ステンレス、モリブデン、アルミ、鉄等の金属や合金の他、電極の性能を向上させる目的でこれらの金属・合金の表面を異種材料によって被覆しても良い。
本願発明でのプラズマ処理方法において、プラズマの発生に使用する電源には、直流電源、パルス電源、低周波・高周波交流電源、マイクロ波電源等様々な方式を用いることができ、電源に応じて整流回路を組み合わせても良い。その中でも金ナノ粒子の生成効率を考慮すると、巻線式ネオン変圧器、整流回路を組み合わせたパルス電源、整流回路を組み合わせたインバータ式ネオン変圧器が良く、安価であることや利用しやすさから巻線式ネオン変圧器が最も良い。
したがって、電子線照射方式で金ナノ粒子を得る方法よりも、安価で簡便な装置であり、電子線を遮蔽する必要もなく安全に作業することができる。
本願発明のプラズマ発生方式において、液面上部の気中に配置した電極と液面との距離、気中に配置した電極の電極-電極間距離及び印加電圧については、電極-液面間で放電が起こる条件であれば良く、特に限定しない。気中の電極-電極間で放電が起こらない条件で行う。電極―液面間で放電を発生させうる電極-電極間距離Lと電極―液面間距離Dの関係については、好ましくはL>3Dが良い(電極の数が3つ以上である場合には、最短の異極性電極間の距離をLとし、最長の電極-液面間距離をDとする。)。気中に配置した電極と液面間の距離は、通常は該電極が液面から僅かでも離れた状態であれば良く、0mmよりも大きく50mm以下の距離で行う。安定した放電状態が維持される範囲として、特にD=1~30mmが良い。また、気中に配置した各々の電極と液面の距離は、安定な放電を得るためにすべての電極のDが等しい方が好ましい。プラズマ発生に要する印加電圧は、電極の配置や電極の材質等により影響されるが、電源の経済性と安全性、電極の消耗等を考慮しながら0kVよりも大きく10kV以下で行うのが好ましい。さらには電圧の印加のし易さから1~5kVが最も好ましい。
本願発明では、プラズマ発生による塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液のpH等の変化を抑えるため、プラズマを発生させる容器内部の雰囲気は希ガスである。利用できる希ガスにはヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンが挙げられるが、経済的な観点からアルゴンが好ましい。
本願発明では塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液にプラズマを放電するが、混合水溶液中の塩化金酸濃度(金イオン濃度)としては0.01~100mM(M=mol/L)が好ましく、電源の処理能力から収量の効率や金の価格と抗菌特性を考慮したコストを考えると0.1~10mMがさらに良い。アンモニア水溶液を添加して仕込む混合水溶液中のアンモニア濃度は、仕込んだ塩化金酸濃度にも依存するが0.1~100mMが良く、さらに好ましくは1~50mMが良い。
塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液を混合することで、以上のように金とアンモニアの濃度範囲であれば混合水溶液中で金ナノ粒子生成が効率良く行うことができるが、塩化金酸とアンモニアの仕込みの濃度を限定すれば、塩化金酸とアンモニアの仕込みのモル比が、1:10~1:100の範囲で行うのが最適である。
本願発明では、塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液を用い、前述の塩化金酸とアンモニアの仕込み濃度範囲やモル比で行うが、塩化金酸よりもアンモニアが過剰にあることが母粉体上に良好な金ナノ粒子が生成する条件と考えられるので、両者の混合水溶液とした場合(プラズマ処理前)、良好な生成物が得られる混合水溶液のpHは6.0~11.0であり、さらに効率良く微細な金ナノ粒子が得られる範囲としてはpH9.0~11.0が好ましい。また、プラズマ処理による金ナノ粒子生成によりpHが低下する傾向を示すが、プラズマ処理後のpH変化が少ないことが好ましい。すなわち、プラズマ処理後のpHが3.0~11.0の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは8.5~10.5の範囲が良い。
本願発明では、プラズマを発生させる前に、塩化金酸水溶液にアンモニア水溶液を添加した混合水溶液に金ナノ粒子を担持させる母粉体を加えてプラズマ処理を行う。プラズマ処理の前に母粉体を加えることで、母粉体が金ナノ粒子生成の足場となり、金ナノ粒子の生成を促進させるとともに、金粒子同士の凝集を抑えて金ナノ粒子を母粉体に担持させることができる。
本願発明での金ナノ粒子を担持させる母粉体には金属酸化物、金属水酸化物、金属オキシ水酸化物、粘土鉱物が利用できる。中でもアルミナ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、セリサイト、タルクが好ましく、特に、本願発明のプラズマを用いた手法によって生成する金ナノ粒子の表面特性からアルミナ、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛が良く、さらには金ナノ粒子の赤紫色の発色を生かすことを考慮すれば、アルミナ、酸化チタンが特に好ましく、アルミナが最も良い。また、これら粉体の形状としても、板状の粉体がより金ナノ粒子を担持しやすい。
また、本願発明のプラズマを用いた手法によって得られる金ナノ粒子の表面電荷は、マイナスである。
金ナノ粒子を担持させる母粉体の仕込み濃度としては、塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液の重量に対して、0.5~20重量%であり、良好な分散状態で金ナノ粒子を担持させることや良好な抗菌性を得るためには1~10重量%が好ましい。
また、生成する金ナノ粒子の凝集抑制や母粉体の混合水溶液中での分散を行うために、機械的攪拌力を併用するのが好ましい。例えば、超音波分散機、マグネチックスターラー、プロペラ撹拌機、ディスパーミキサー、ホモミキサー等が利用できる。
本願発明により製造される金ナノ粒子担持粉体は、添加物や不純物が少なく、これら不要成分の除去も容易である。そのため、安全で低価格の抗菌素材の開発に貢献できる。さらに、母粉体を同時に添加して金ナノ粒子生成と母粉体への金ナノ粒子の担持をプラズマ処理によりワンステップで行うことができるため、工程が少なく製造コストの点でメリットがあり、さらには製造設備の簡便さや安全管理においても有利な製造方法といえる。
図1は、プラズマ処理装置の基本構成の概略図である。 図2は、電極を4対に増設したときのプラズマ処理装置の基本構成の概略図である。
次に、本願発明の金ナノ粒子担持粉体を得る方法、及び金ナノ粒子担持粉体について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1で表わされるプラズマ発生装置を用いて下記の条件にてプラズマ処理することで金ナノ粒子担持粉体を調製した。
<金ナノ粒子担持処理に用いる混合水溶液>
塩化金酸(3価)濃度(金濃度):0.2mM(M=mol/L)、アンモニア濃度:4mM、混合水溶液量:0.25L
<母粉体>
アルミナ(Merck社製RonaFlair White Sapphire、板状粉体):混合水溶液全量に対し1重量%(混合水溶液0.25Lを約250gとしアルミナ2.5gを投入)
<反応容器>
セパラブルフラスコ、セパラブルカバーを使用
<プラズマ処理条件>
電源:巻線式ネオン変圧器(60Hz、レシップエルエスピー製)
電極:タングステン線(針状、直径0.7mm)、電極-液面間の距離を約5mm、電極-電極間の距離を約50mmとして気中に一対の電極を配置
印加電圧:3kV
機械的攪拌力:プロペラ撹拌、プラズマ処理前に10分間の予備的撹拌を実施
<処理時間>60分
<液温>25℃
<雰囲気>アルゴン雰囲気、容器内に1L/minでアルゴンガスを供給
なお、プラズマ処理における金ナノ粒子の生成効率を調べる観点からプラズマ処理前後のpHを測定した。
以上の条件で、プラズマ処理を行い、処理後の外観観察、金担持率用の試料採取を行った後、処理液をろ過、イオン交換水による洗浄、乾燥の工程を経て金ナノ粒子担持粉体を得た。
(比較例1)
実施例1においてアンモニアを添加せず、その他は同様にしてプラズマ処理を行った。
実施例1ではプラズマ処理前の溶液は母粉体により白濁していたが、プラズマ処理直後から徐々に赤紫色に変色し始めた。処理時間とともに懸濁液の色が濃くなっていき、60分の処理で赤紫色の懸濁液となった。この懸濁液は撹拌を止めて静置すると着色した粒子がすぐに沈降し始め、30分の静置で上澄みは無色透明になった。一方、比較例1では、60分のプラズマ処理後、若干の赤味を帯びたものの、ほぼ白濁状態であった。
これらの懸濁液中から粉体をろ過して取り出し電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、実施例1では10nm前後の微細粒子が観察されたのに対し、比較例1では、100nmよりも大きな金の粗大粒子が点在していた。
<金担持率の評価>
金初期濃度[Au,ini.]は母粉体を加える前の溶液を採取し、それを希硝酸で希釈したのちICP発光分光分析を行うことにより決定した。また、懸濁液中の金濃度[Au]は、懸濁液をシリンジフィルター(孔径0.8μm)によりろ過し、そのろ液を希硝酸で希釈したのちICP発光分光分析を行うことにより決定した。これらの金濃度の値を用い、母粉体への金担持率(次式)、及び母粉体1g当たりの金担持量を求めた。
担持率[%]=100×(1-[Au]/[Au,ini.])
実施例1で得られた懸濁液について金担持率、及び母粉体1g当たりの金担持量を求めた。担持率は100%と極めて高効率であり、溶液中の塩化金のほぼ全量を金ナノ粒子として回収できることがわかった。粉体1gあたりの金担持量は3.8mg/gであった。(表1参照)。
Figure 0007126195000001
(比較例2)
実施例1において、母粉体のアルミナを添加せず、その他は同様にしてプラズマ処理を行った。
プラズマ放電開始後、5分程度経過した時点から、水面上に黒ずんだ金色の薄膜が浮かび始めた。60分後には黒ずんだ金色の箔状の物質が浮かんでいた。金の生成物であったが、ナノサイズに粒子径が制御されず析出物として存在していた。
したがって、良好な金ナノ粒子がアルミナ上に担持され、鮮やかな赤紫色の色材を得るためには、処理前に、塩化金酸水溶液にアンモニア水溶液を添加してpHを10前後に調整することや、金ナノ粒子析出の足場となるアルミナのような母粉体を添加しておくことが必要である。
<放電方式によるコンタミネーションの違い>
(比較例3)
続いて、実施例1における一対のタングステン線電極を、電極間距離1mmで水中に配置し、電源をインバータ式ネオン変圧器に変更して4.8kVの電圧で同様にプラズマ処理を行った。
<コンタミネーション評価>
得られた金ナノ粒子担持粉体のコンタミネーションを確認するため、実施例1で用いた母粉体のアルミナ、実施例1で調製した金ナノ粒子担持粉体について蛍光X線測定を行った。測定は波長分散型の蛍光X線分析装置(リガク製RIX2000、Rh管球、管電圧50kV、管電流50mA)を用い、直径30mm、厚さ約2mmの形状に加圧成形したものを用いた。
蛍光X線測定より、実施例1の金ナノ粒子担持粉体からは金と母粉体由来に含まれる成分以外の元素は検出されなかった。一方、比較例3ではタングステンが微量検出されて、本願発明における電極由来のコンタミネーションに関する優位性が証明された。
実施例2として、実施例1のプラズマ処理条件の電源と電極を、図2のように電源4台、電極を4対に増設して、処理時間30分とし、他の条件は同様にして実験を行った。
電極を4対に増設したことによって、金ナノ粒子担持粉体の生成速度が確実に速くなった。最終の30分経過後の結果を表2に示すが、15分経過後には担持率98.2%、30分後には100%に達し、電極1対の実施例1よりも確実に生成速度が向上した。外観観察では鮮やかな赤紫色の外観を呈し、SEM観察においても10nm前後の微細な金ナノ粒子がアルミナに担持されていた。
<pHによる生成の違い>
塩化金酸濃度を0.20mMとし、アンモニアの濃度を変化させて金ナノ粒子の担持の検討を行った。実施例3として、アンモニア濃度を1mMとした以外は実施例2と同様にプラズマ処理を行った。
アンモニア濃度を8mMとした以外は実施例2と同様にプラズマ処理を行った。
アンモニア濃度を16mMとした以外は実施例2と同様にプラズマ処理を行った。
実施例2~5の金ナノ粒子担持の結果を表2に示す。
Figure 0007126195000002
塩化金酸濃度を0.20mMとし、アンモニア水溶液の濃度を変化させて、金ナノ粒子の生成条件を確認した。実施例1、実施例2、実施例4、実施例5から、プラズマ処理する前に塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液を混合したときのpHを9.0~11.0に設定することで、最も好ましく数十nmの微細な金ナノ粒子が担持された粉体が得られる。すなわち、微細な金ナノ粒子を担持させるためには、酸性である塩化金酸よりも過剰なアンモニアが存在するpH領域に水溶液のpHを設定する。
<抗菌性の確認>
次に本願発明により調製した金ナノ粒子担持粉体のうち、実施例1、実施例2、比較例1の抗菌性評価を行った。試験菌種には化粧品の保存効力試験で使用される標準菌株である大腸菌と、ヒト皮膚常在菌であるアクネ菌を用いた。評価用の試料は試験菌液1mL(接種菌数:1.0×10CFU/mL)に金ナノ粒子担持粉体0.1gを添加して調製し、ブランク試料は試験菌液のみ1mLとした。所定時間後に定法により生菌数を測定し、菌の生存率から抗菌性を評価した。
大腸菌については、実施例1及び2は6時間後に生存率0%であったのに対し、比較例1は菌が増えて100%以上であった。アクネ菌では、実施例1及び2は、1週間後にはアクネ菌は生存率0%となったが、比較例1は10~20%程度の菌が生存していた。したがって、抗菌性を発揮するには、粗大な粒子ではなく数十nmの微細な金ナノ粒子が母粉体のアルミナ粉体に担持される必要がある。
(比較例4)
実施例2において、母粉体のアルミナを添加せず、他の条件は同様にしたものを比較例4とした。
実施例2から、母粉体を塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液の重量に対して1重量%から10重量%とし、他の条件は同様にしたものを実施例6とした。
実施例2から、母粉体を塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液の混合水溶液の重量に対して1重量%から20重量%とし、他の条件は同様にしたものを実施例7とした。
母粉体の有無と量を検討した比較例4、実施例6及び7の結果を、表3に示す。
Figure 0007126195000003
比較例4の結果より、電極を4対で増設した条件でも、母粉体のアルミナがない場合には金ナノ粒子は生成せず、箔状の片や粗大粒子が浮遊することが確認できた。したがって、アルミナ母粉体は、金ナノ粒子を担持させる場所として重要であり、母粉体が無い場合は、金ナノ粒子の担持する場所が無いために生成した金ナノ粒子が互いに凝集して大きな粗大粒子となることが改めて確認された。
母粉体の量が多くなった実施例6と7は、担持率が低下するために赤紫色の色味低下と抗菌性の低下が生じる。実施例7までになると赤味がかなり低下して、抗菌性もアクネ菌に対して顕著に低下し始めた。したがって、良好な分散状態で金ナノ粒子を担持させ赤紫色の担持粉体を得ることや良好な抗菌性を得るためには1~10重量%が好ましい。
本願発明を用いることにより、不純物の少ない金ナノ粒子担持粉体を効率良く生成することができる。また、金ナノ粒子の生成と母粉体への担持をワンステップで行うため、製造工程が少なくなり、コスト面でもメリットがある。本願発明の技術は金属酸化物等の粉体に対する金ナノ粒子の担持処理のほか、セラミックス成形品に対する金属ナノ粒子の担持処理による触媒性能の付与が想定され、化粧品だけでなく幅広い分野に利用可能である。
1 被処理液体を入れる貯留槽
2 被処理液体
3 電源
4 液面上部の気中に設置した電極
5 絶縁管
6 プラズマ
7 アルゴンガス
8 恒温水
9 水槽
10 攪拌機

Claims (3)

  1. 塩化金酸水溶液にアンモニア水溶液を添加した混合水溶液に、金ナノ粒子を担持させる母粉体として板状アルミナを1~10重量%となるように加え、少なくとも二本の電極を混合水溶液の液面上部の気中に配置して、希ガスの雰囲気下で電極間に電圧を印加して電極-液面間でプラズマを発生させることにより得られる抗菌性を有する金ナノ粒子担持粉体の製造方法。
  2. 希ガスがアルゴンである請求項1記載の金ナノ粒子担持粉体の製造方法。
  3. プラズマ処理する前の塩化金酸水溶液とアンモニア水溶液との混合水溶液のpHが9.0~11.0である請求項1又は2記載の金ナノ粒子担持粉体の製造方法。
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