以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
(1)画像処理装置の構成
図1に示す本実施形態の画像処理装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクス機能などの複数の機能を備えている。印刷機能は、記録用紙35へ画像を印刷する機能である。スキャン機能は、原稿の画像を読み取り、その読み取った画像の画像データを生成する機能である。コピー機能は、スキャン機能により読み取られた画像を印刷機能により記録用紙35(図1では不図示。図2参照。)へ印刷する機能である。ファクス機能は、ファクシミリデータの送受信を行う機能である。
図1に示すように、画像処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、計時部13と、表示部14と、入力部15と、メディアインタフェース部16と、第1トレイセンサ17と、第2トレイセンサ18と、カートリッジインタフェース部19と、印刷部20と、読取部24と、温度センサ27と、湿度センサ28と、通信部29とを備え、これらがバス30を介して相互に接続されている。なお、インタフェース部のことを、以下「I/F」と略称する。
画像処理装置10は、さらに、第1トレイ3と、第2トレイ4と、インクカートリッジ5とを備える。第1トレイ3、第2トレイ4、及びインクカートリッジ5は、それぞれ、画像処理装置10の筐体(不図示)に対して着脱可能に構成されている。
第1トレイ3及び第2トレイ4には、記録用紙35が収容される。第1トレイ3及び第2トレイ4には、それぞれ、1種類以上のサイズ及び種別の記録用紙35を収容可能である。第1トレイ3に収容可能な記録用紙35のサイズは、例えば、A4、A3、B5、USレター、L判、2L判、ハガキ、ポストカード、封筒などの複数のサイズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2トレイ4に収容可能な記録用紙35のサイズについても同様である。
第1トレイ3に収容可能な記録用紙35の種別は、例えば、普通紙、インクジェット紙、光沢紙などの複数の種別のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2トレイ4に収容可能な記録用紙35の種別についても同様である。
なお、第1トレイ3と第2トレイ4とは、収容可能な記録用紙35のサイズ及び種別が異なっていてもよい。
第1トレイセンサ17は、第1トレイ3が画像処理装置10に装着されているか否かを検知する。具体的に、第1トレイセンサ17は、第1トレイ3が画像処理装置10に装着されている場合に、第1トレイ装着信号をバス30へ出力する。
第2トレイセンサ18は、第2トレイ4が画像処理装置10に装着されているか否かを検知する。具体的に、第2トレイセンサ18は、第2トレイ4が画像処理装置10に装着されている場合に、第2トレイ装着信号をバス30へ出力する。
制御部11は、バス30を介して、第1トレイ装着信号及び第2トレイ装着信号を取得可能である。
インクカートリッジ5は、記録用紙35に画像を印刷するために記録用紙35へ吐出されるインクを収容する。インクカートリッジ5には、例えば、黒色のインクが収容されている。
インクカートリッジ5には、ICチップ6が、インクカートリッジ5と一体的に設けられている。ICチップ6には、インクカートリッジ5に関する各種のカートリッジ情報が記憶される。カートリッジ情報には、例えば、製品データ、使用インク量データ、インク沈降データなどが含まれる。製品データには、インクカートリッジ5が純正品であるか否かを示す情報が含まれる。
カートリッジI/F19は、インクカートリッジ5が画像処理装置10に装着されているか否かを検知する。具体的に、カートリッジI/F19は、インクカートリッジ5が画像処理装置10に装着されている場合に、カートリッジ装着信号をバス30へ出力する。カートリッジI/F19は、さらに、画像処理装置10に装着されているインクカートリッジ5におけるICチップ6から、上述のカートリッジ情報を読み込み、バス30へ出力する。制御部11は、バス30を介して、カートリッジ装着信号及びカートリッジ情報を取得可能である。
なお、収容されるインクの色が異なる複数のインクカートリッジ5が備えられてもよい。その場合、インクカートリッジ5毎に個別にカートリッジI/F19が設けられてもよい。
制御部11はCPUを有する。記憶部12は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。即ち、画像処理装置10は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。
制御部11は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部12が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。なお、制御部11により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
計時部13は、現在時刻を示す時刻情報を出力する。時刻情報は、秒単位の情報であってもよいし、分単位の情報であってもよいし、時間単位の情報であってもよい。時刻情報には、年、月、日のうち少なくとも1つの情報が含まれていてもよい。計時部13は、例えばバッテリを備え、画像処理装置10に電源電力が供給されていないときにもバッテリから供給される電力によって動作可能であってもよい。計時部13は、例えば、いわゆるリアルタイムクロックを備えていてもよい。
表示部14は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
入力部15は、各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。入力部15が有する入力用デバイスには、タッチパネル15aが含まれる。タッチパネル15aは、表示部14の表示デバイスにおける画像が表示される画像表示領域に配置される。
また、入力部15は、ホームキー15b、戻るキー15c、その他不図示の電源キー、テンキー、停止キーなどを有する。これらの各キーは、画像処理装置10の筐体の側面においてユーザが押下操作可能に設けられている。制御部11は、ホームキー15bが押下されると、表示部14に待機画面40を表示させる。制御部11は、戻るキー15cが押下されると、表示部14に、現在表示させている画面の直前に表示させていた画面を表示させる。
タッチパネル15aは、表示部14の画像表示領域に対する、指示体による接触又は近接による指示操作を検出可能である。即ち、タッチパネル15aは、表示部14の画像表示領域に対して指示体による指示操作が行われている場合に、その指示操作が行われている位置である指示位置を示す位置情報を出力可能に構成されている。本実施形態のタッチパネル15aは、指示体により指示操作が行われている間、位置情報を連続的又は周期的に出力するよう構成されている。
なお、タッチパネル15aは、指示操作として接触のみ検出可能な構成であってもよいし、近接のみ検出可能な構成であってもよいし、接触及び近接の両方を検出可能な構成であってもよい。
制御部11は、タッチパネル15aから出力される位置情報を取得し、その取得した位置情報に基づいて、指示体の指示操作の有無、指示操作が行われている場合における指示位置、指示操作が行われている場合における指示体による少なくとも一種類の特定の操作を検出することができる。
制御部11が検出可能な特定の操作としては、少なくとも、タップ操作がある。タップ操作は、指示体により指示操作が行われた後、同じ位置で指示体が離れる操作である。指示操作を行うことが可能な指示体の具体的態様は種々考えられ、例えば指先であってもよいし、スタイラスペンなどの特定の指示用デバイスであってもよい。
メディアI/F16は、例えばUSBフラッシュメモリなどの、各種の記憶メディアが装着されるインタフェース部であり、装着された記憶メディアに対するデータの書き込み及び読み出しを制御する。
印刷部20は、インクジェット技術に基づく印刷機構を有し、シート状の記録用紙35に画像を印刷することが可能である。印刷部20は、キャリッジ21aと、記録ヘッド21と、キャリッジ駆動部22と、用紙搬送機構23とを備える。
用紙搬送機構23は、第1トレイ3又は第2トレイ4から1枚の記録用紙35を取り出して搬送路へ導くための不図示の給紙ローラと、給紙ローラにより取り出された記録用紙35を搬送路に沿って搬送させる不図示の搬送ローラと、画像が印刷された記録用紙35を不図示の排紙トレイへ排出させる不図示の排紙ローラと、給紙ローラ、搬送ローラ及び排紙ローラを駆動させるための少なくとも1つのモータと、を備える。
記録ヘッド21は、キャリッジ21aに一体的に設けられている。キャリッジ21aは、キャリッジ駆動部22によって移動される。具体的に、キャリッジ21aは、図2に概略的に示すように、主走査ライン7に沿って往復移動される。主走査ライン7は、記録用紙35が搬送される搬送方向に直交する。
キャリッジ21aが移動されると、キャリッジ21aに一体的に設けられている記録ヘッド21も移動される。よって、本実施形態においては、キャリッジ21aが移動されることと、記録ヘッド21が移動されることとは、同義である。
記録ヘッド21は、インクカートリッジ5に収容されているインクを吐出する。インクカートリッジ5は、キャリッジ21aに搭載されてキャリッジ21a及び記録ヘッド21と共に移動されてもよいし、キャリッジ21aとは別に設けられてもよい。
制御部11は、印刷部20を制御することにより印刷機能を実現する。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、用紙搬送機構23を駆動することによって、いずれかのトレイから記録用紙35を給紙し、所定の搬送ピッチ(例えば1.5インチ)ずつ搬送方向へ搬送させる。記録用紙35が給紙されるトレイは、ユーザが指定可能であってもよいし、制御部11により自動的に選択されてもよい。
制御部11は、記録用紙35を搬送ピッチ搬送させる毎に、記録ヘッド21を主走査ライン7に沿って片方向へ移動又は往復移動させる。制御部11は、その移動させる間に、印刷させるべき画像を示す印刷データに応じて記録ヘッド21からインクを吐出させることにより、記録用紙35へ、その印刷データが示す画像を印刷する。
記録ヘッド21は、所定の正方向起点から逆方向起点までの主走査正方向(以下、「正方向」と略称する)への移動と、逆方向起点から正方向起点までの主走査逆方向(以下、「逆方向」と略称する)への移動とが、交互に繰り返される。制御部11は、記録用紙35を搬送ピッチ搬送させる度に、記録ヘッド21を、正方向又は逆方向へ交互に移動、又は、正方向及び逆方向へ往復移動させる。
制御部11は、記録ヘッド21が主走査正方向へ移動されている間、及び主走査逆方向へ移動されている間、のそれぞれにおいて、所定の吐出タイミング毎に、記録ヘッド21からインクを吐出させることにより、記録用紙35へ画像を印刷する。
制御部11は、印刷機能を実行する際、その実行時に設定されている駆動情報に基づいて印刷部20を駆動する。設定されている駆動情報は、記憶部12に記憶されている。
駆動情報には、用紙搬送機構23を駆動するための搬送駆動情報と、記録ヘッド21を駆動するための吐出駆動情報とが含まれる。搬送駆動情報は、例えば、記録用紙35の搬送方向への搬送ピッチ及び搬送速度を示す情報を含む。搬送駆動情報は、搬送される記録用紙35のサイズ及び種別に応じて異なっていてもよい。
吐出駆動情報は、例えば、記録ヘッド21の正方向及び逆方向それぞれの移動速度を示す情報、記録ヘッド21の正方向への移動時及び逆方向への移動時のそれぞれにおける前述の吐出タイミングを示す情報、などを含む。吐出駆動情報は、搬送される記録用紙35のサイズ及び種別に応じて異なっていてもよい。
制御部11は、印刷機能を実行する際、駆動情報として設定されている搬送ピッチずつ記録用紙35を搬送させる。また、制御部11は、記録用紙35を搬送ピッチ搬送させる毎に、記録ヘッド21を往復移動させつつ、駆動情報として設定されている吐出タイミングで記録ヘッド21からインクを吐出させる。
なお、画像処理装置10においては、例えば、画像処理装置10の製造時或いは出荷時などの特定のタイミングにおいて、予めデフォルトの駆動情報が設定される。ただし、駆動情報は、ユーザの指示によって印刷品質補正機能が実行されると補正され得る。
制御部11は、印刷部20によって1つの印刷ジョブの印刷を実行させる度に、後述する図12の印刷履歴保存処理を実行することにより、印刷履歴を保存する。印刷履歴には、例えば、印刷時刻及び印刷枚数が含まれる。
なお、印刷部20は、記録用紙35の両面に画像を印刷するいわゆる両面印刷を実行可能に構成されていてもよい。
読取部24は、イメージセンサ25と、イメージセンサ駆動部26とを備える。イメージセンサ駆動部26は、イメージセンサ25を走査させる。イメージセンサ25は、不図示の原稿台に載置された原稿の画像を読み取り、読み取った画像のデータ(以下、「スキャンデータ」と称する)を生成する。
制御部11は、スキャン機能を実行する際、読取部24を制御してイメージセンサ25に原稿の画像を読み取らせ、その原稿のスキャンデータを取得する。
温度センサ27は、画像処理装置10における特定の温度検出位置に設けられ、その温度検出位置の温度を示す温度検出データをバス30へ出力する。温度検出位置は、どこであってもよい。温度センサ27は、例えば、記録ヘッド21又はその近傍の温度を検出するために、記録ヘッド21又はその近傍に設けられてもよい。例えば、温度センサ27は、画像処理装置10の周囲の温度を検出するために、画像処理装置10の筐体の側面に設けられてもよい。
湿度センサ28は、画像処理装置10における特定の湿度検出位置に設けられ、その湿度検出位置の湿度を示す湿度検出データをバス30へ出力する。湿度検出位置は、どこであってもよい。湿度センサ28は、例えば、記録ヘッド21の近傍の湿度を検出するために、記録ヘッド21又はその近傍に設けられてもよい。例えば、湿度センサ28は、画像処理装置10の周囲の湿度を検出するために、画像処理装置10の筐体の側面に設けられてもよい。
通信部29は、画像処理装置10を通信ネットワーク150に接続するための通信インタフェースである。通信ネットワーク150は、例えば、有線LAN、無線LAN、インターネット、公衆電話網などの各種ネットワークのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。画像処理装置10は、通信部29を介して、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの各種情報処理装置と有線又は無線にてデータ通信可能であってもよい。また、画像処理装置10は、通信部29を介してインターネットに接続し、インターネットを介して他の各種サーバや各種情報処理装置などとデータ通信可能であってもよい。また、画像処理装置10は、通信部29を介してファクシミリデータを送受信可能であってもよい。
記憶部12における、例えばNVRAM、フラッシュメモリなどの、電源が供給されなくても記憶状態が保持される不揮発性メモリには、図3~図6に示す各種画面のデータが記憶されている。また、不揮発性メモリには、前述の複数の機能を実現するための、図8~図11に示すメイン処理のプログラム、図12に示す印刷履歴保存処理のプログラム、及び図13に示す計時部チェック処理のプログラムが記憶されている。その他、不揮発性メモリには、前述の駆動情報、各種補正パターンのデータ、パターン印刷履歴情報、トレイ脱着情報、カートリッジ脱着情報、カートリッジ純正情報、使用インク量情報、インク沈降情報、印刷済パターン有効フラグなどが記憶される。
トレイ脱着情報は、第1トレイ3又は第2トレイ4が脱着された場合における、その脱着された時刻を含む。制御部11は、第1トレイ3又は第2トレイ4が脱着される度に、離脱されてから再び装着されるまでの期間における特定の記憶タイミングでの計時部13からの時刻情報に基づいて、トレイ脱着情報を記憶する。トレイ脱着情報は、第1トレイ3及び第2トレイ4のそれぞれに対して個別に記憶される。
カートリッジ脱着情報は、インクカートリッジ5が脱着された場合における、その脱着された時刻を含む。制御部11は、インクカートリッジ5が脱着される度に、離脱されてから再び装着されるまでの期間における特定の記憶タイミングでの計時部13からの時刻情報に基づいて、カートリッジ脱着情報を記憶する。
カートリッジ純正情報は、装着されているインクカートリッジ5が純正品又は非純正品のどちらであるかを示す。制御部11は、例えば、インクカートリッジ5が装着される度に、ICチップ6からカートリッジ情報を取得し、そのカートリッジ情報に含まれている情報に基づいてカートリッジ純正情報を記憶する。
使用インク量情報は、記録用紙35への画像の印刷に用いられたインクの累積使用量である使用インク量を示す。制御部11は、例えば、印刷機能を実行する度に、その実行後に、インクカートリッジ5におけるICチップ6からカートリッジ情報を取得し、そのカートリッジ情報に含まれている使用インク量データに基づいて使用インク量を記憶してもよい。また例えば、制御部11は、ICチップ6のカートリッジ情報を用いず、印刷機能を実行する度に使用インク量を演算して記憶してもよい。
インク沈降情報は、インクカートリッジ5におけるインクの沈降レベルを示す。制御部11は、例えば、特定の情報取得タイミングで、インクカートリッジ5におけるICチップ6からカートリッジ情報を取得し、そのカートリッジ情報に含まれているインク沈降データに基づいてインク沈降情報を記憶してもよい。また例えば、制御部11は、ICチップ6のカートリッジ情報を用いず、定期的に或いは特定の更新タイミング毎に、インク沈降情報を演算して記憶してもよい。
印刷済パターン有効フラグは、後述するように、制御部11によってオン又はオフされ、そのオン又はオフの情報が記憶される。また、印刷済パターン有効フラグは、後述する補正機能の種類毎に個別に設定される。
(2)印刷品質補正機能の概要
前述の印刷品質補正機能は、印刷部20による記録用紙35への画像の印刷品質を改善する機能である。印刷品質補正機能は、より具体的には、罫線ずれ補正機能と、送り量補正機能とを含む。よって、本実施形態では、罫線ずれ補正機能及び送り量補正機能のそれぞれに対して個別に前述の印刷済パターン有効フラグが設定される。
罫線ずれ補正機能は、印刷品質の劣化の一種である罫線ずれを改善するための機能である。罫線ずれとは、印刷された画像において、主走査ライン7に平行な方向における画像のずれが生じることを示す。罫線ずれが生じる原因の1つに、記録ヘッド21が正方向に移動される間の吐出タイミングと逆方向に移動される間の吐出タイミングとの不整合が挙げられる。
正方向移動時と逆方向移動時とで吐出タイミングが整合していれば、記録用紙35において、主走査ライン7に沿う方向における、正方向移動時に各吐出タイミングで吐出されるインクが付着する各付着位置と、逆方向移動時に各吐出タイミングで吐出されるインクが付着する各付着位置とが、合致する。
一方、正方向移動時と逆方向移動時とで吐出タイミングが整合していない場合、記録用紙35において、主走査ライン7に沿う方向における、正方向移動時の上記各付着位置と、逆方向移動時の上記各付着位置とが、合致しない。この合致しないことによって、罫線ずれが生じる。
画像処理装置10に設定される吐出駆動情報は、例えば画像処理装置10の出荷前の特定のタイミングで、罫線ずれが発生しない値に調整され、その調整された値に初期設定される。しかし、例えば記録用紙35の種別、記録ヘッド21と記録用紙35との間隔の変化などの、種々の要因で、初期設定された吐出駆動情報に基づいて印刷機能が実行されると罫線ずれが生じる可能性がある。
罫線ずれ補正機能が実行されると、現在設定されている吐出駆動情報が、罫線ずれの発生が抑制されるように補正される。
より具体的には、罫線ずれ補正機能が実行されると、まず、図7に示すように罫線ずれ補正パターン210が記録用紙35に印刷される。その後、その罫線ずれ補正パターン210が印刷された記録用紙35である罫線ずれチェックシート200を原稿台に載置し、スキャン機能を実行させることをユーザに促す画面が表示される。これに対し、ユーザが罫線ずれチェックシート200の読み取りを実行させると、制御部11は、読取部24により読み取られた罫線ずれ補正パターン210のスキャンデータに基づいて、補正処理を行う。
具体的には、例えば、主走査ライン7に沿った方向における画像のずれ量を検出し、その検出したずれ量に基づいて、画像のずれが生じないようにするための吐出駆動情報の補正値(以下、「吐出補正値」と称する)を算出する。そして、例えば、算出した吐出補正値を記憶部12に記憶する。なお、吐出補正値は、例えば、吐出タイミングに対応した補正値である。
上記のように補正処理において吐出補正値を記憶するように構成されている場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている吐出駆動情報と吐出補正値とに基づいて印刷機能を実行する。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている吐出駆動情報と吐出補正値とを読み込み、吐出駆動情報を吐出補正値によって補正する。そして、補正された吐出駆動情報に基づいて印刷部20を制御することにより印刷機能を実行する。
あるいは、制御部11は、補正処理において、算出された吐出補正値を用いて現在設定されている吐出駆動情報を補正し、現在設定されている吐出駆動情報をその補正された新たな吐出駆動情報に更新するように構成されていてもよい。この場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、現在設定されている吐出駆動情報を読み込み、その読み込んだ吐出駆動情報に基づいて印刷部20を制御することにより印刷機能を実行する。
なお、罫線ずれ補正機能が実行される際、ユーザにより、罫線ずれ補正パターン210を印刷させる記録用紙35の用紙サイズ及び用紙種別が指定される。罫線ずれ補正パターン210は、用紙サイズ及び用紙種別毎に個別に用意されている。つまり、用紙サイズが異なれば罫線ずれ補正パターン210の内容も異なり、用紙種別が異なれば罫線ずれ補正パターン210の内容も異なる。
そして、制御部11は、ユーザにより指定された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙35へ、その指定された用紙サイズ及び用紙種別に対応した罫線ずれ補正パターンを印刷させる。
送り量補正機能は、印刷品質の劣化の一種である搬送ずれを改善するための機能である。搬送ずれとは、印刷された画像において、主走査ライン7に沿って伸びる筋状のラインが、搬送方向に沿って周期的に含まれることを示す。搬送ずれが生じる原因の1つに、搬送駆動情報が示す搬送ピッチ(以下、「規定搬送ピッチ」と称する)と実際の搬送量との不一致が挙げられる。
例えば、実際の搬送量が規定搬送ピッチよりも短い場合、ある搬送位置において印刷された画像の一部と、そこから搬送ピッチ搬送された次の搬送位置において印刷された画像の一部とが、重複して、黒色に近い筋状のラインが現れることがある。また例えば、実際の搬送量が規定搬送ピッチよりも長い場合、ある搬送位置において印刷された画像の一部と、そこから搬送ピッチ搬送された次の搬送位置において印刷された画像の一部との間に、インクが付着していない筋状のラインが現れることがある。
画像処理装置10に設定される搬送駆動情報は、例えば画像処理装置10の出荷前の特定のタイミングで、搬送ずれが発生しない値に調整され、その調整された値に初期設定される。しかし、例えば記録用紙35の種別、記録ヘッド21と記録用紙35との間隔の変化などの、種々の要因で、初期設定された搬送駆動情報に基づいて印刷機能が実行されると搬送ずれが生じる可能性がある。
送り量補正機能が実行されると、現在設定されている搬送駆動情報が、搬送ずれの発生が抑制されるように補正される。
より具体的には、送り量補正機能が実行されると、まず、不図示の送り量補正パターンが記録用紙35に印刷される。その後、その送り量補正パターンが印刷された記録用紙35である搬送ずれチェックシートを原稿台に載置し、スキャン機能を実行させることをユーザに促す画面が表示される。これに対し、ユーザが搬送ずれチェックシートの読み取りを実行させると、制御部11は、読取部24により読み取られた送り量補正パターンのスキャンデータに基づいて補正処理を行う。
具体的には、例えば、搬送方向における筋状のラインの色及び幅を検出し、その検出した色及び幅に基づいて、筋状のラインが生じないようにするための搬送駆動情報の補正値(以下、「搬送補正値」と称する)を算出する。そして、例えば、算出した搬送補正値を記憶部12に記憶する。なお、搬送補正値は、例えば、搬送ピッチに対応した補正値である。
上記のように補正処理において搬送補正値を記憶するように構成されている場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている搬送駆動情報と搬送補正値とに基づいて印刷機能を実行する。即ち、制御部11は、印刷機能を実行する際、初期設定されている搬送駆動情報と搬送補正値とを読み込み、搬送駆動情報を搬送補正値によって補正する。そして、補正された搬送駆動情報に基づいて印刷部20を制御することにより印刷機能を実行する。
あるいは、制御部11は、補正処理において、算出された搬送補正値を用いて現在設定されている搬送駆動情報を補正し、現在設定されている搬送駆動情報をその補正された新たな搬送駆動情報に更新するように構成されていてもよい。この場合、制御部11は、印刷機能を実行する際、現在設定されている搬送駆動情報を読み込み、その読み込んだ搬送駆動情報に基づいて印刷部20を制御することにより印刷機能を実行する。
なお、送り量補正機能が実行される際、ユーザにより、送り量補正パターンを印刷させる記録用紙35の用紙サイズ及び用紙種別が指定される。搬送罫線ずれ補正パターンは、用紙サイズ及び用紙種別毎に個別に用意されている。つまり、用紙サイズが異なれば送り量補正パターンの内容も異なり、用紙種別が異なれば送り量補正パターンの内容も異なる。
そして、制御部11は、ユーザにより指定された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙35へ、その指定された用紙サイズ及び用紙種別に対応した送り量補正パターンを印刷させる。
制御部11は、印刷品質補正機能を実行することによっていずれかの補正パターンを印刷させる度に、その印刷させた補正パターンに対応したパターン印刷履歴情報を保存、即ち記憶部12に記憶する。パターン印刷履歴情報には、例えば、補正パターン識別情報、用紙サイズ情報、用紙種別情報、補正対象情報、使用トレイ情報、印刷時刻情報、印刷時温度情報、印刷時湿度情報、が含まれる。
補正パターン識別情報は、印刷させた補正パターンを示す固有の情報である。異なる複数の補正パターン毎に異なる補正パターン識別情報が対応付けられている。
用紙サイズ情報は、補正パターンを印刷させた記録用紙35の用紙サイズを示す。用紙種別情報は、補正パターンを印刷させた記録用紙35の用紙種別を示す。
補正対象情報は、印刷させた補正パターンが罫線ずれ補正パターン及び送り量補正パターンのどちらであるかを示す情報であり、換言すれば、実行対象の補正機能を示す情報である。
使用トレイ情報は、補正パターンを印刷させた記録用紙35が収容されていたトレイを示す。
印刷時刻情報は、補正パターンを印刷させたときの時刻情報を示す。具体的に、例えば、補正パターンが実際に印刷されている実印刷期間を含む特定の印刷実行期間における、特定の情報取得タイミングにおいて、計時部13から取得した時刻情報を示す。
印刷時温度情報は、補正パターンを印刷させたときの温度を示す。具体的に、例えば、前述の情報取得タイミングにおいて温度センサ27から出力されている温度検出データが示す温度を示す。
印刷時湿度情報は、補正パターンを印刷させたときの湿度を示す。具体的に、例えば、前述の情報取得タイミングにおいて湿度センサ28から出力されている湿度検出データが示す湿度を示す。
(3)印刷品質補正機能の実行時の画面遷移例
制御部11は、不図示の電源スイッチがオンされることにより、制御部11に電源電力が供給されると起動する。制御部11は、起動すると、初期処理を実行し、表示部14に、図3に示す待機画面40を表示させる。待機画面40は、ユーザが画像処理装置10において各種機能を実行させる際の起点となる画面である。
待機画面40には、機能を実行させるための複数の機能ボタンが表示される。図3に示す待機画面40には、複数の機能ボタンとして、ファクスボタン41、コピーボタン42及びスキャンボタン43が例示されている。ファクスボタン41がタップされると、制御部11は、ファクス機能を実行する。コピーボタン42がタップされると、制御部11は、コピー機能を実行する。スキャンボタン43がタップされると、制御部11は、スキャン機能を実行する。
待機画面40には、さらに、インクメニューボタン44が表示される。インクメニューボタン44がタップされると、制御部11は、表示部14に不図示のメンテナンスメニュー画面を表示させる。メンテナンスメニュー画面には、画像処理装置10における各種のメンテナンス処理に対応した複数のボタンが表示される。その複数のボタンには、印刷品質メンテナンスボタンが含まれる。印刷品質メンテナンスボタンがタップされると、制御部11は、表示部14に、図3に示す印刷品質メニュー画面45を表示させる。
印刷品質メニュー画面45は、印刷部20によって記録用紙35へ印刷される画像の品質をチェック又は改善するための各種のメニューに対応した複数のボタンが表示される。本実施形態では、印刷品質メニュー画面45には、図3に示すように、例えば、チェックボタン46と、罫線ずれ補正ボタン47と、送り量補正ボタン48とが表示される。
チェックボタン46がタップされると、制御部11は、印刷部20を駆動させることにより、記録用紙35へ特定の品質チェック画像を印刷させる。ユーザは、印刷された品質チェック画像を見ることによって、印刷品質を確認することができる。印刷された品質チェック画像において、例えば、部分的にかすれていたり、印刷されていない部分があったりするなど、印刷品質の劣化が生じている場合は、ユーザは、記録ヘッド21のクリーニング処理を実行させることによって、印刷品質を改善させることができる。
罫線ずれ補正ボタン47がタップされると、制御部11は、前述の罫線ずれ補正機能を開始する。そして、罫線ずれ補正機能に対応した前述の印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合、制御部11は、図3に示すように、表示部14に罫線ずれ補正案内画面50を表示させる。罫線ずれ補正案内画面50には、罫線ずれ補正機能を開始することを示すメッセージと、次へボタン51とが表示される。次へボタン51がタップされると、制御部11は、表示部14に、品質確認画面60を表示させる。
印刷品質メニュー画面45において送り量補正ボタン48がタップされると、制御部11は、前述の送り量補正機能を開始する。そして、送り量補正機能に対応した前述の印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合、制御部11は、図3に示すように、表示部14に送り量補正案内画面55を表示させる。送り量補正案内画面55には、送り量補正機能を開始することを示すメッセージと、次へボタン56とが表示される。次へボタン56がタップされると、制御部11は、表示部14に、品質確認画面60を表示させる。
なお、ここからは、主に、実行対象の印刷品質補正機能(以下、「対象補正機能」と略称する)が罫線ずれ補正機能である場合の画面遷移例について説明し、対象補正機能が送り量補正機能である場合の画面遷移例については、図示を省略すると共に説明を簡略化する。図3に示す品質確認画面60は、対象補正機能が罫線ずれ補正機能である場合に表示される画面を示しており、対象補正機能が送り量補正機能である場合の品質確認画面は、図3の品質確認画面60とは一部異なる。
図3に示す品質確認画面60には、前述の品質チェック画像が正常であるかどうかをユーザに問うメッセージと、はいボタン61と、いいえボタン62とが表示される。いいえボタン62がタップされると、制御部11は、表示部14に、前述の印刷品質メニュー画面45を表示させる。はいボタン61がタップされると、制御部11は、図4に示す補正方法選択画面65を表示させる。
補正方法選択画面65には、対象補正機能を自動で実行させるか手動で実行させるかをユーザに問うメッセージと、自動ボタン66と、手動ボタン67とが表示される。手動ボタン67がタップされると、ユーザによる特定の操作を伴う特定の手動補正手順にて対象補正機能が実行される。手動補正手順による対象補正機能の具体的な内容については説明を省略する。自動ボタン66がタップされると、制御部11は、表示部14に、図4に示す用紙サイズ選択画面70を表示させる。
用紙サイズ選択画面70には、補正パターンを印刷可能な1つ以上の用紙サイズの各々に対応したボタンが表示され、ユーザはその中から何れか1つの用紙サイズを選択できる。図4においては、一例として、A4サイズに対応したA4ボタン71と、USレターサイズに対応したUSレターボタン72とが示されている。なお、選択可能な用紙サイズは、どのようなサイズであってもよい。用紙サイズ選択画面70において何れかの用紙サイズが選択されると、制御部11は、表示部14に不図示の用紙種別選択画面を表示させる。
用紙種別選択画面には、補正パターンを印刷可能な1つ以上の用紙種別の各々に対応したボタンが表示され、ユーザはその中から何れか1つの用紙種別を選択できる。選択可能な用紙種別は、どのような種別であってもよい。例えば、普通紙及び光沢紙のうちのいずれかを選択可能であってもよい。用紙種別選択画面において何れかの用紙種別が選択されると、制御部11は、表示部14に、図4に示す印刷開始画面75を表示させる。
印刷開始画面75には、上記各選択画面において選択された用紙サイズ及び用紙種別を示すメッセージと、当該用紙サイズ及び用紙種別に対応した記録用紙35を特定のトレイにセットすることをユーザに促すメッセージと、補正パターンの印刷に要する時間とが表示される。また、印刷開始画面75には、スタートボタン76が表示される。
スタートボタン76がタップされると、制御部11は、いずれかのトレイに収容されている、選択された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙35に、対象補正機能に対応した複数の補正パターンのうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した補正パターンを、現在設定されている駆動情報に基づいて印刷させる。
図4の例では、対象補正機能が罫線ずれ補正機能であることから、複数の罫線ずれ補正パターン210のうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した罫線ずれ補正パターン210が印刷される。対象補正機能が送り量補正機能である場合は、複数の送り量補正パターンのうち選択された用紙サイズ及び用紙種別に対応した送り量補正パターンが印刷される。
制御部11は、印刷実行期間における特定の履歴記憶タイミング(例えば前述の情報取得タイミング)で、現在実行している対象補正機能に対応した前述のパターン印刷履歴情報を保存する。
制御部11は、補正パターンの印刷中、表示部14に、図4に示す印刷中画面80を表示させる。補正パターンの印刷が完了すると、制御部11は、表示部14に、図5に示すスキャン指示画面85を表示させる。スキャン指示画面85には、印刷された補正パターンを読取部24に読み取らせることをユーザに促すメッセージと、スタートボタン86とが含まれる。補正パターンが印刷された記録用紙35である補正用チェックシート(罫線ずれチェックシート及び搬送ずれチェックシートのいずれか)がユーザにより原稿台に載置され、スタートボタン86がタップされると、制御部11は、補正用チェックシートに印刷されている画像の読み取りを開始する。
なお、制御部11は、スタートボタン86がタップされると、画像の読み取りを開始する前に、特定の複数のスキャン前エラーのうちのいずれかが発生している場合は、読み取りを行わず、スキャン前エラーが発生していることを示すスキャン前エラーメッセージを表示部14に表示させる。そして、スキャン前エラーメッセージを表示させた後の特定の画面復帰タイミングで、表示部14に再びスキャン指示画面85を表示させる。
なお、スキャン前エラーは、どのようなエラーであってもよい。スキャン前エラーの1つは、例えば、原稿台を覆う不図示のカバーが開いた状態であること、であってもよい。また例えば、印刷部20によって現に印刷が実行されている最中であること、であってもよい。
制御部11は、スタートボタン86がタップされることに応じて画像の読み取りを開始すると、読み取りを行っている間、表示部14に、図5に示すスキャン中画面90を表示させる。制御部11は、画像の読み取りを完了すると、読み取った画像のスキャンデータに基づいて、対象補正機能に対応した補正処理を実行する。制御部11は、補正処理の実行中は、表示部14に、図5に示す補正処理中画面95を表示させる。
制御部11は、補正処理の実行中、特定の複数のスキャン後エラーのうちのいずれかが発生しているか否か判断する。複数のスキャン後エラーは、第1エラーと第2エラーとに大別できる。第1エラーは、今回得られたスキャンデータからは補正処理を正常に行えないものの、印刷された補正用チェックシートを再利用可能なエラーである。即ち、第1エラーは、印刷された補正用チェックシートを再度スキャンさせることによって補正処理を行うことが可能なエラーである。第2エラーは、印刷された補正用チェックシートでは補正処理を行うことができず、補正パターンを印刷し直す必要があるエラーである。
第1エラーには、例えば、補正用チェックシートが原稿台に対して正しい向きで載置されなかったことが原因で生じるエラーである。この場合、補正用チェックシート自体に問題は無く、補正用チェックシートが正しい向きで原稿台に載置されて再びスキャンされれば、補正処理を正常に行うことが可能である。制御部11は、スキャンデータに基づいて、補正用チェックシートが正しい向きで載置されたか否かを判断可能であり、その判断結果に応じて、第1エラーの有無を判断する。
制御部11は、補正処理の実行中、第1エラーが発生していると判断した場合は、図5に示すように、その第1エラーに対応した第1エラー画面105を表示部14に表示させる。第1エラー画面105には、第1エラーが発生したこと及びその第1エラーの具体的内容を示すメッセージと、リトライボタン106と、中止ボタン107とが表示される。
中止ボタン107がタップされた場合は、制御部11は、表示部14に、図3に示す印刷品質メニュー画面45を表示させる。リトライボタン106がタップされた場合は、制御部11は、表示部14に、スキャン指示画面85を表示させる。この場合、ユーザは、既に印刷されている補正用チェックシートを再度スキャンさせて補正処理を実行させることができる。
制御部11は、補正処理の実行中、第2エラーが発生していると判断した場合は、表示部14に、図3に示す印刷品質メニュー画面45を表示させる。
制御部11は、補正処理を正常に完了した場合は、表示部14に、図5に示す補正完了画面100を表示させる。制御部11は、補正完了画面100を一定時間継続して表示させた後、表示部14に、前述のメンテナンスメニュー画面(不図示)を表示させる。
図5に示すスキャン指示画面85が表示された後、特定の待機解除条件が成立した場合は、制御部11は、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグをオンに設定して、表示部14の画面を切り替える。本実施形態では、例えば、待機画面40を表示させる。待機解除条件は、本実施形態では、例えば無操作タイムアウトが発生することである。無操作タイムアウトとは、スタートボタン86がタップされることなく特定の無操作時間が経過することである。
ところで、印刷品質メニュー画面45において何れかの補正機能が選択された場合に、その選択された補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、前述の画面遷移とは異なり、補正パターンの印刷が省略され得る。
具体的に、図6に示すように、罫線ずれ補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合に、印刷品質メニュー画面45において罫線ずれ補正ボタン47がタップされると、制御部11は、罫線ずれ補正機能を開始する。この場合、制御部11は、図6に示すように、表示部14にスキャン移行確認画面120を表示させる。スキャン移行確認画面120には、前回印刷した補正用チェックシートがスキャンされていないこと及びその補正用チェックシートを用いて補正処理を実行させるか否かをユーザに問うメッセージが表示される。さらに、スキャン移行確認画面120には、はいボタン121といいえボタン122とが表示される。
いいえボタン122がタップされた場合、制御部11は、図6に示すように、前述の、印刷済パターンフラグがオフに設定されている場合と同様の画面遷移を実行する。
はいボタン121がタップされた場合、制御部11は、図6に示すように、補正パターンを印刷することなく、スキャン指示画面85を表示させる。スキャン指示画面85からの画面遷移は、図5を用いて説明した画面遷移と同様である。
スキャン指示画面85が表示された後、特定の待機解除条件が成立した場合は、前述の通り、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定される。そのため、基本的には、その後に補正機能を実行させる際には、補正パターンの印刷を省いて補正機能を実行させることができる。
しかし、印刷済パターン有効フラグがオンに設定された後、補正パターンのスキャンが行われることなく、特定の情報解除条件が成立した場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。
情報解除条件は、本実施形態では、後述する図9のフラグ適正化処理における、S640、S660、S680及びS700で肯定判定されること、及び、後述する図13の計時部チェック処理におけるS920で肯定判定されること、を含む。
(4)メイン処理
上述した画面遷移及び各補正機能を実現するために制御部11が実行するメイン処理について、図8~図10を用いて説明する。制御部11は、電源電力が供給されることにより起動すると、記憶部12からメイン処理のプログラムを読み込んで実行する。
制御部11は、メイン処理を開始すると、S100で、表示部14に待機画面40を表示させる。S110では、待機画面40におけるインクメニューボタン44がタップされたか否か判断する。
インクメニューボタン44がタップされることとは異なるイベントが発生した場合は、S115で、その発生したイベントに対応した他の処理を実行する。そして、他の処理が完了したら、S100に移行する。他の処理には、例えば、待機画面40に表示されている各機能ボタン41~43のいずれかがタップされることに基づく、そのタップされた機能ボタンに対応した機能を実行すること、が含まれる。
S115で実行される他の処理が、印刷部20により記録用紙35へ画像を印刷させる印刷処理を含む場合、制御部11は、その印刷処理において、現在設定されている駆動情報を用いて印刷部20を駆動させることにより、記録用紙35へ画像を印刷させる。
また、S115における他の処理には、図12に示す印刷履歴保存処理が含まれる。印刷履歴保存処理は、印刷が実行される毎に印刷履歴を保存する処理である。制御部11は、例えば、メイン処理とは別に、印刷履歴保存処理を周期的に繰り返し実行する。
制御部11は、図12に示す印刷履歴保存処理を開始すると、S810で、印刷が実行されたか否か判断する。この判断は、例えば、記録用紙35の1枚単位で行ってもよいし、印刷ジョブ単位で行ってもよい。印刷が実行されていない場合は、印刷履歴保存処理を終了する。
印刷が実行された場合は、S820で、当該実行された印刷に基づく印刷履歴を保存、即ち記憶部12に記憶する。本実施形態では、印刷履歴として、印刷枚数及び印刷時刻を保存する。印刷時刻は、計時部13から取得してもよい。S820で印刷履歴を保存した後、印刷履歴保存処理を終了する。
図8に戻って説明を続ける。S110で、待機画面40におけるインクメニューボタン44がタップされた場合、S120で、表示部14に前述のメンテナンスメニュー画面を表示させる。メンテナンスメニュー画面における印刷品質メンテナンスボタンがタップされると、S130で、表示部14に印刷品質メニュー画面45を表示させる。
S140では、印刷品質メニュー画面45における複数のボタン46,47,48のうちどれがタップされたかを判断する。チェックボタン46がタップされた場合は、S150に移行して品質チェック処理を実行する。具体的に、前述の通り、記録用紙35へ特定の品質チェック画像を印刷させる。
罫線ずれ補正ボタン47又は送り量補正ボタン48がタップされた場合は、タップされたボタンに対応した補正機能、即ち対象補正機能を実行する処理に進む。具体的に、S160で、フラグ適正化処理を実行する。このフラグ適正化処理は、印刷済パターン有効フラグがオンにされている場合に、情報解除条件が成立しているか否かを判断し、情報解除条件が成立している場合には印刷済パターン有効フラグをオフに変更する処理である。このフラグ適正化処理の詳細は後述する。
S170では、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。なお、印刷済パターン有効フラグは、画像処理装置10の工場出荷時などの初期状態においてはデフォルトでオフに設定されていてもよい。
印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S410で、表示部14に、対象補正機能に対応した補正案内画面、つまり罫線ずれ補正案内画面50又は送り量補正案内画面55を表示させる。そして、表示されている補正案内画面における次へボタンがタップされた場合、S420に移行する。
S420では、ユーザに対し、品質チェックシートが正常であるか否かを問う。具体的には、表示部14に品質確認画面60を表示させる。なお、品質チェックシートとは、品質チェック画像が印刷された記録用紙35を示す。品質確認画面60においていいえボタン62がタップされた場合、即ち品質チェックシートが正常ではないとのユーザ入力が行われた場合は、S460で、不図示のチェック推奨画面を表示させて、S130に移行する。
品質確認画面60において、はいボタン61がタップされた場合、即ち品質チェックシートが正常であるとのユーザ入力が行われた場合は、S430で、ユーザに、補正方法が自動又は手動のどちらであるかを問う。具体的には、表示部14に補正方法選択画面65を表示させて、ユーザ入力を受け付ける。
補正方法選択画面65において手動ボタン67がタップされた場合は、S470で、手動補正処理を実行する。即ち、前述の通り特定の手動補正手順にて対象補正機能を実行する。手動補正処理の実行後は、S310(図11参照)へ移行する。
補正方法選択画面65において自動ボタン66がタップされた場合は、S440で、補正パターンを印刷させる記録用紙35の用紙サイズ及び用紙種別の選択を受け付ける。具体的に、用紙サイズ選択画面70及び用紙種別選択画面(不図示)を順次表示させることによって、ユーザに用紙サイズ及び用紙種別を選択させる。
S450では、S440で選択された用紙サイズ及び用紙種別の記録用紙35に、対象補正機能に対応した補正パターンを、現在設定されている駆動情報を用いて印刷させる。印刷中は、表示部14に印刷中画面80を表示させる。さらに、前述の通り、対象補正機能に対応したパターン印刷履歴情報を保存する。補正パターンの印刷が完了すると、S200(図9参照)に移行する。なお、図8では図示を省略したが、印刷を開始する前には、図4に示した印刷開始画面75を表示させる。
S170で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S180で、表示部14にスキャン移行確認画面120(図6参照)を表示させる。S190では、前回印刷した補正用チェックシートを再利用するか否かのユーザの指示、具体的にはスキャン移行確認画面120に対するユーザ入力を受け付ける。
スキャン移行確認画面120において、いいえボタン122がタップされた場合は、S410に移行する。スキャン移行確認画面120において、はいボタン121がタップされた場合は、S200(図10参照)へ移行する。
S200では、表示部14にスキャン指示画面85を表示させる。S210では、スキャン指示画面85を表示させている間におけるイベントの発生を判断する。
スキャン指示画面85を表示させている間に、戻るキー15cがタップされた場合は、S550で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、不図示のスピーカから拒否音を鳴動させて、S200に移行する。つまりこの場合は戻るキー15cの操作を無効とする。印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S180(図8参照)へ移行する。
スキャン指示画面85を表示させている間に、ホームキー15bがタップされた場合は、S570で、不図示の補正キャンセル確認画面を表示させる。この補正キャンセル確認画面は、ユーザに対し、補正機能の実行をキャンセルするか否かを問う画面である。S580では、ユーザにより補正機能のキャンセルを指示するキャンセル指示操作が行われたか否か判断する。キャンセル指示操作が行われなかった場合は、S200に移行する。キャンセル指示操作が行われた場合は、S100に移行し、待機画面40を表示させる。
スキャン指示画面85を表示させている間に、前述の無操作タイムアウトが発生した場合は、S590で、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグをオンに設定して、S100に移行する。つまり、スタートボタン86がタップされることなく特定の無操作時間が経過した場合は、印刷済パターン有効フラグをオンに設定して、表示部14に表示させる画面を待機画面40に切り替える。
スキャン指示画面85を表示させている間に、スタートボタン86がタップされた場合は、S220(図11参照)に移行する。なお、このとき、スタートボタン86がタップされる前に、ユーザにより、対象補正機能に対応した補正用チェックシートが原稿台に載置されていることを想定する。
S220では、スキャン前エラーが発生したか否か判断する。スキャン前エラーが発生している場合は、S400で、発生しているスキャン前エラーの種類に対応した不図示のスキャン不可画面を表示部14に表示させる。スキャン不可画面には、前述のスキャン前エラーメッセージが表示される。そして、前述の画面復帰タイミングで、S200に移行して表示部14にスキャン指示画面85を表示させる。
S220で、スキャン前エラーが発生していない場合は、S230で、表示部14にスキャン中画面90を表示させる。S240では、前回印刷した補正用チェックシートを利用するか否かを判断する。具体的に、S190の処理が実行されて、且つ、その処理において、スキャン移行確認画面120における、はいボタン121がタップされた場合は、前回印刷した補正用チェックシートを利用すると判断して、S250に移行する。
S250では、原稿台に載置されている補正用チェックシートの画像、即ち補正パターンを、前回印刷した対象補正機能に対応した補正用チェックシートの用紙サイズに基づいて読み取る。つまり、前回印刷した補正用チェックシートの用紙サイズを読み取り範囲として読み取る。
S240で、前回印刷した補正用チェックシートを利用すると判断しなかった場合は、S260に移行する。S260では、原稿台に載置されている補正用チェックシートの画像を、今回S450で印刷した補正用チェックシートの用紙サイズに基づいて読み取る。つまり、今回印刷した補正用チェックシートの用紙サイズを読み取り範囲として読み取る。
S270では、表示部14に補正処理中画面95を表示させる。S280では、読み取った画像のスキャンデータを解析して、対象補正機能に対応した駆動情報の補正値、つまり前述の吐出補正値又は搬送補正値を算出する。
S290では、前述のスキャン後エラーが発生しているか否か判断する。スキャン後エラーが発生している場合は、S340に移行する。S340では、発生しているスキャン後エラーが前述の第1エラーであるか否か判断する。第1エラーではない場合、即ち第2エラーである場合は、S360で、第2エラー画面110を表示させる。そして、第2エラー画面110において、閉じるボタン111がタップされたら、S380に移行する。
S340で、発生したスキャン後エラーが第1エラーである場合は、S350で、第1エラー画面105を表示させる。S370では、スキャンをリトライするか否か判断する。具体的には、第1エラー画面105においてリトライボタン106がタップされたか否か判断する。リトライボタン106がタップされた場合は、印刷済パターン有効フラグがオンされている状態を保持しつつ、S200(図10参照)へ移行してスキャン指示画面85を表示させる。これにより、ユーザは、補正用チェックシートを再度スキャンさせて補正機能を続行させることができる。第1エラー画面105において中止ボタン107がタップされた場合は、S380に移行する。
S380では、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S130(図8参照)に移行する。印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S390で印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、S130に移行する。
S290で、スキャン後エラーが発生していない場合は、S300に移行する。S300では、S280で算出された、対象補正機能に対応した駆動情報の補正値を反映させる。具体的に、前述の通り、算出した補正値を記憶部12に保存するか、あるいは、現在設定されている駆動情報を、今回算出された補正値によって補正してその補正後の駆動情報に更新する。
S310では、補正完了画面100を一定時間継続して表示させた後、前述のメンテナンスメニュー画面(不図示)を表示させる。
S320では、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S120(図8参照)に移行する。印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S330で印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、S120に移行する。
次に、S160(図8参照)のフラグ適正化処理について、図9を参照して具体的に説明する。フラグ適正化処理の処理対象は、対象補正機能である。即ち、対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグ及びパターン印刷履歴情報などに基づいてフラグ適正化処理が実行される。
制御部11は、フラグ適正化処理を開始すると、S610で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、S620で、そのオフに設定されている状態を維持して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
S610で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、情報解除条件が成立しているか否かを判断することを含むS630以降の処理に進む。即ち、S630では、判定基準時刻から現在までの経過時間Tpを算出する。
判定基準時刻は、対象補正機能に対応した補正パターンが前回印刷されたときの時刻を示すものであり、例えば、前述の印刷実行期間内における特定の時刻であってもよい。より具体的に、判定基準時刻は、例えば、パターン印刷履歴情報に含まれている印刷時刻情報が示す時刻であってもよい。制御部11は、S630で、計時部13から現在時刻を取得し、判定基準時刻からその取得した現在時刻までの時間を経過時間Tpとして算出してもよい。
S640では、S630で算出した経過時間Tpが、特定の時間閾値Tpx以上であるか否か判断する。経過時間Tpが時間閾値Tp以上である場合は、S720で、印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
経過時間Tpが時間閾値Tpx未満である場合は、S650に移行する。S650では、判定基準時刻から現在までの印刷枚数Ppを算出する。具体的に、例えば、記憶部12に保存されている印刷履歴に基づき、判定基準時刻から現在までの各印刷履歴が示す印刷枚数を加算することにより、印刷枚数Ppを算出してもよい。
S660では、S650で算出した印刷枚数Ppが、特定の枚数閾値Ppx以上であるか否か判断する。印刷枚数Ppが枚数閾値Ppx以上である場合は、S720で、印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
印刷枚数Ppが枚数閾値Ppx未満である場合は、S670に移行する。S670では、判定基準温度と現在温度との温度差ΔThを算出する。現在温度は、例えば、温度センサ27から出力される温度検出データに基づいて取得してもよい。
判定基準温度は、対象補正機能に対応した補正パターンが前回印刷されたときの画像処理装置10又はその周囲の温度を示すものであり、例えば、前述の印刷実行期間内に温度センサ27により検出された温度であってもよい。より具体的に、判定基準温度は、例えば、パターン印刷履歴情報に含まれている印刷時温度情報が示す温度であってもよい。
S680では、S670で算出した温度差ΔThが、特定の温度差閾値Thx以上であるか否か判断する。温度差ΔThが温度差閾値Thx以上である場合は、S720で、印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
温度差ΔThが温度差閾値Thx未満である場合は、S690に移行する。S690では、判定基準湿度と現在湿度との湿度差ΔHuを算出する。現在湿度は、例えば、湿度センサ28から出力される湿度検出データに基づいて取得してもよい。
判定基準湿度は、対象補正機能に対応した補正パターンが前回印刷されたときの画像処理装置10又はその周囲の湿度を示すものであり、例えば、前述の印刷実行期間内に湿度センサ28により検出された湿度であってもよい。より具体的に、判定基準湿度は、例えば、パターン印刷履歴情報に含まれている印刷時湿度情報が示す湿度であってもよい。
S700では、S690で算出した湿度差ΔHuが、特定の湿度差閾値Hux以上であるか否か判断する。湿度差ΔHuが湿度差閾値Hux以上である場合は、S720で、印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
S700で、湿度差ΔHuが湿度差閾値Hux未満である場合は、S710で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている状態をそのまま維持して、フラグ適正化処理を終了し、S170に移行する。
次に、図13に示す計時部チェック処理について説明する。計時部チェック処理は、計時部13の動作状態を監視し、その動作状態に基づいて、印刷済パターン有効フラグをオンからオフに変更する処理である。
制御部11は、起動後、図13の計時部チェック処理を、周期的に繰り返し実行する。制御部11は、計時部チェック処理を開始すると、S910で、計時部13の動作状態を確認する。S920では、計時部13に異常が生じているか否か、換言すれば計時部13が正常に動作しているか否かを判断する。
計時部13に異常がなく正常に動作している場合は、計時部チェック処理を終了する。計時部13に異常が生じている場合は、S930で、印刷済パターン有効フラグがオンに設定されているか否か判断する。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されている場合は、計時部チェック処理を終了する。印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、S940で印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、計時部チェック処理を終了する。
印刷済パターン有効フラグがオンに設定された後に、計時部13に異常が生じると、その後のS630及びS650の処理において経過時間Tp及び印刷枚数Ppが精度良く算出されなくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、計時部13に異常が生じた場合には、印刷済パターン有効フラグをオフに設定することにより、その後補正機能が実行される際に補正パターンが印刷されるようにしている。
(5)本実施形態の効果
以上説明した本実施形態によれば、以下の(a)~(e)の効果を奏する。
(a)本実施形態の画像処理装置10では、対象補正機能の補正パターンが印刷されてスキャン指示画面85が表示された後、スタートボタン86がタップされることなく無操作タイムアウトが発生した場合は、表示部14に表示される画面が待機画面40に切り替わる。
しかし、その後再び同じ対象補正機能の実行が指示され、その対象補正機能に対応した印刷済パターン有効フラグがオンに設定されている場合は、図6に示すように、スキャン移行確認画面120が表示される。そして、スキャン移行確認画面120において、はいボタン121がタップされた場合は、補正パターンを印刷することなく、スキャン指示画面85が表示される。
そのため、ユーザは、補正パターンを印刷させた後に無操作タイムアウトが生じても、その後、既に印刷された補正パターンを用いて補正機能を実行させることができる。よって、画像処理装置10における、駆動情報を自動的に補正する機能の使い勝手が向上する。
さらに、本実施形態では、印刷済パターン有効フラグがオンに設定された後、特定の情報解除条件が成立した場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。印刷済パターン有効フラグがオフに設定されると、その後に補正機能が実行される場合には新たに補正パターンが印刷される。そのため、情報解除条件が成立した後は、新たに印刷された補正パターンに基づいて精度良く補正処理を実行させることができる。
(b)情報解除条件の1つに、S640で肯定判定されること、が含まれる。これにより、前回補正パターンが印刷されてから時間閾値Tpx以上の時間が経過した場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。そのため、印刷されてから時間閾値Tpx以上経過した補正パターンに基づいて補正処理が行われることを抑制でき、補正処理の精度を適正に維持することができる。
(c)情報解除条件の1つに、S660で肯定判定されること、が含まれる。これにより、前回補正パターンが印刷されてから枚数閾値Ppx以上の印刷が実行された場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。補正パターンが印刷された後に枚数閾値Ppx以上の印刷が行われると、補正パターンが印刷されたときの印刷部20の状態と、現在の印刷部20の状態とが、比較的大きく変化している可能性がある。そこで、そのような場合には印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、その後補正処理を実行する際には新たに補正パターンを印刷するようにすることで、補正処理の精度を適正に維持することができる。
(d)情報解除条件の1つに、S680で肯定判定されること、が含まれる。これにより、前回補正パターンが印刷されたときの温度と現在の温度との温度差ΔThが温度差閾値Thx以上になった場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。補正パターンが印刷された後、温度が大きく変化すると、印刷部20の状態が大きく変化している可能性がある。そこで、そのような場合には印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、その後補正処理を実行する際には新たに補正パターンを印刷するようにすることで、補正処理の精度を適正に維持することができる。
(e)情報解除条件の1つに、S700で肯定判定されること、が含まれる。これにより、前回補正パターンが印刷されたときの湿度と現在の湿度との湿度差ΔHuが湿度差閾値Hux以上になった場合は、印刷済パターン有効フラグがオフに設定される。補正ターンが印刷された後、湿度が大きく変化すると、印刷部20の状態が大きく変化している可能性がある。そこで、そのような場合には印刷済パターン有効フラグをオフに設定して、その後補正処理を実行する際には新たに補正パターンを印刷するようにすることで、補正処理の精度を適正に維持することができる。
なお、本実施形態において、記録用紙35は被印刷媒体の一例に相当する。用紙搬送機構23は搬送部の一例に相当する。記録ヘッド21は吐出部の一例に相当する。計時部13は時刻情報出力部の一例に相当する。温度センサ27は温度検出部の一例に相当する。湿度センサ28は湿度検出部の一例に相当する。オンに設定された印刷済パターン有効フラグは未完了情報の一例に相当する。スキャン指示画面85は読取通知画面の一例に相当する。判定基準時刻即ち情報取得タイミングは、計時開始タイミング、枚数計測タイミング、測温タイミング、及び測湿タイミングの一例に相当する。
なお、上記実施形態において、S115の処理は通常印刷処理の一例に相当する。S450の処理はパターン印刷処理の一例に相当する。S200の処理は通知表示処理の一例に相当する。S210の処理は読取要求受付処理の一例に相当する。S250及びS260の処理は画像読取処理の一例に相当する。S280及びS300の処理は補正処理の一例に相当する。S590の処理は情報設定処理の一例に相当する。S590からS100へ遷移する処理は画面切替処理の一例に相当する。S180及びS190の処理は要否受付処理の一例に相当する。S720及びS940の処理は情報解除処理の一例に相当する。S630の処理は経過時間検出処理の一例に相当する。S450の処理は、時刻情報記憶処理、温度記憶処理、及び湿度記憶処理の一例に相当する。S910の処理は動作判断処理の一例に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)S650における印刷枚数Ppの算出方法は、どのような方法であってもよい。例えば、印刷が実行される度に印刷枚数が累積的に加算されるように構成されていてもよい。そして、補正パターンが印刷されたときの印刷枚数の累積値を判定基準累積値として保存しておき、S650の処理において、その処理時における印刷枚数の累積値と、保存されている判定基準累積値との差を、印刷枚数Ppとして算出してもよい。
(2)S630における経過時間Tpの算出方法、S670の温度差ΔThの算出方法、及びS690の湿度差ΔHuの算出方法についても、それぞれどのような方法であってもよい。
経過時間Tpについては、前回補正パターンが印刷されたときから現在までの時間を適正に示すものであればどのような方法で算出されてもよい。温度差ΔThについても、前回補正パターンが印刷されたときの温度と現在の温度との差を適正に示すものであればどのような方法で算出されてもよい。湿度差ΔHuについても、前回補正パターンが印刷されたときの湿度と現在の湿度との差を適正に示すものであればどのような方法で算出されてもよい。
(3)補正パターンを印刷する場合におけるパターン印刷履歴情報の保存タイミングは、どのようなタイミングであってもよい。例えば、印刷開始前の特定の第1タイミング、印刷開始と同時、印刷実行中の特定の第2タイミング、印刷完了と同時、印刷完了後の特定の第3タイミング、のいずれかであってもよい。
(4)図5~図8に示した各画面の内容はあくまでも一例であり、各画面はどのような内容であってもよい。
(5)罫線ずれ補正パターン及び送り量補正パターンのいずれも、用紙サイズ及び用紙種別毎に異ならせることは必須ではない。例えば、同じ用紙サイズであれば用紙種別にかかわらず同じ補正パターンが用いられてもよい。また例えば、複数の用紙サイズのうち特定の2つ以上の用紙サイズに対して共通の補正パターンが用いられてもよい。
(6)図7に示した罫線ずれ補正パターン210はあくまでも一例であり、罫線ずれ補正パターンはどのような画像であってもよい。送り量補正パターンについても同様である。
(7)印刷部20は、インクジェット技術に基づく構成とは異なる構成であってもよい。例えば、印刷部20は、電子写真方式に基づく構成、即ちいわゆるページプリンタとして構成されていてもよい。そして、ページプリンタにより印刷される画像の品質劣化を抑制するために本発明が適用されてもよい。
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。