JP7119943B2 - ノズルプレートの製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

ノズルプレートの製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ノズルプレートの製造方法と、その製造方法を用いたインクジェットヘッドの製造方法に関し、更に詳しくは、ノズル径の寸法精度と、ノズル内部形状を高精度で形成することができるノズルプレートの製造方法と、当該ノズルプレートを製造する各工程を有するインクジェットヘッドの製造方法に関する。
従来、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの吐出精度を向上させるため、テーパー形状のノズルの出口付近のみをストレートに加工するノズルプレートが提案されている。ノズルにストレート部を形成することにより、ノズルの加工時における孔径の寸法精度が安定するため、各ノズルにおけるインク吐出量を一定に保つ効果が期待できる。
このようなノズルプレートの製造方法が、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特許文献1には、酸化膜上にシリコン単結晶層を形成した構造のシリコンウェハであるSOI(Silicon On Insulator)基板にテーパー連通路とストレート開口部を形成した漏斗型のノズルプレートの製造方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法は、SOI基板を使用し、BOX層(熱酸化膜層)止めでICP深掘り加工し、BOX層側にストレート開口部(ノズルストレート部ともいう。)を形成し、次いで、ストレート開口部を酸化膜で保護して、例えば、ウェット異方性エッチングによりテーパー連通路(テーパー部ともいう。)を形成する方法である。特許文献1で記載の方法では、射出時のノズルストレート部はICP深掘加工の底面に形成される。ICP加工のエッチングにおけるばらつきを考慮すると、エッチング時間を長めに設定し、プロセスマージンを確保する必要がある。また、BOX層は絶縁であり、底面部(BOX層付近)では、プラズマはノッチングを起こしやすく、ノズル径精度が満足できないことが想定される。また、ストレート開口部を形成した後、テーパー連通路を形成するパターンでは、それぞれの中心線での芯ずれが生じるという問題を抱えている。
また、特許文献2には、シリコン基板を使用し、テーパー連通路とストレート開口部を形成した漏斗型のノズルプレートの製造方法が開示されている。
特許文献2で開示されている方法は、ストレート開口部はシリコン基板の上面部に形成する方法である。詳しくは、シリコン基板を使用し、ICP深堀加工で中間止め加工で、初めにストレート開口部を形成し、ストレート開口部の側面を保護膜で保護し、次いで、底面の保護膜を除去したのち、異方性ウェットエッチングでテーパー連通路を形成する方法である。
特許文献2で開示されている方法では、上記特許文献1に記載の方法で生じやすいノッチング等による影響がなくなり、ノズル径精度は向上するものと予想される。また、パターン形成は1回のみで行うため、芯ずれの問題も解決できる。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、ストレート開口部の内部に保護膜を形成した後、底面部の保護膜のみを選択的に異方エッチングすることは製造上難しく、加工精度にばらつきが生じることの懸念がある。特に、異方性エッチングの反応種は、エッジ部分や絶縁膜にチャージしやすいため、開口エッジ部の保護膜の破損や、底面部のストレート長さのばらつきが生じやすい。また、特許文献2で提案されている方法では、ストレート加工部底面の被エッチング領域が閉鎖系になっており、エッチャントの入れ替わりが起こりづらく、エッチングに多大な時間を要することが予想される。反対に、ノズル開口部に相当するストレート開口部の先端ではエッチングが比較的早く進むため、保護膜が消失しやすく、同様に加工精度のばらつきが予想される。
従って、中心軸にずれのないテーパー連通路部分を形成し、同時に、加工ばらつきを抑え、高精度にストレート開口部の形成が可能で、量産性に優れたノズルプレートの製造方法の開発が要望されている。
特許第5519263号公報 特開2011-37053号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ノズル径の寸法精度と、ノズルのテーパー連通路とストレート開口部を、中心軸のばらつきがなく、高精度で形成することができるノズルプレートの製造方法と、当該ノズルプレートを製造する各工程を有するインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、ノズルプレートの製造方法として、1回のパターン形成でテーパー連通路とストレート開口部(ノズル孔)を同時に連続して形成する形成パターンを取ることにより、テーパー連通路とストレート開口部との中心軸のばらつきを無くすことができる。さらに、ウェットエッチングによりテーパー連通路を形成した後、ノズル孔を形成するストレート開口部を形成する方法とすることにより、ウェットエッチングによるノズル先端部の形状不良を解消することができ、所望の先端形状を有するノズルを高精度で形成することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、テーパー連通路と、ノズル部を形成するストレート開口部を有するノズルプレートの製造方法であって、
少なくとも、下記工程1~工程8を経て、ノズルプレートを製造することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
工程1:表面が(100)面である単結晶シリコン基板を準備する工程、
工程2:前記単結晶シリコン基板の表面に、マスク層を一様に形成する工程、
工程3:前記マスク層に、将来的にノズル孔となる環状パターンと、その内側に多角形又は円形パターンを形成する工程、
工程4:前記環状パターン上にレジスト層を形成し、前記多角形又は円形パターンを、ドライエッチングで貫通、又は一部を深掘加工する工程、
工程5:前記環状パターン上に形成したレジスト層を除去する工程、
工程6:前記単結晶シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、前記多角形又は円形パターンから八面体形状に広がる前記テーパー連通路を形成する工程、
工程7:前記環状パターンをドライエッチングによる深掘りにより、前記テーパー連通
路まで貫通させて、ノズル孔先端となる前記ストレート開口部を形成する工程、
工程8:所定の大きさに外径寸法を整えてチップ化する工程。
2.前記工程7の後に、前記単結晶シリコン基板の前記ストレート開口部を設けた面とは反対側の面を前記テーパー連通路の中心部まで研削、研磨する工程を有することを特徴とする第1項に記載のノズルプレートの製造方法。
3.ノズル孔先端部の上部表面と、前記ストレート開口部の側面とのなす角度(θ2)を、70~90度の範囲内とすることを特徴とする第1項又は第2項に記載のノズルプレートの製造方法。
4.前記テーパー連通路及びストレート開口部の表面が、インク耐性を有する保護膜で被覆することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
5.最表面部に、撥インク層を形成することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法における工程1~工程8を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
上記の上記手段によれば、ノズル径の寸法精度と、ノズルのテーパー連通路とストレート開口部を、中心軸のばらつきがなく、高精度で形成することができるノズルプレートの製造方法と、当該ノズルプレートを製造する各工程を有するインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
本発明で規定する構成からなるノズルプレートの製造方法の技術的特徴とその効果の発現機構は、以下のとおりである。
本発明のノズルプレートの製造方法の技術的特徴は、1回のパターン形成により、テーパー連通路とストレート開口部(ノズル孔)とを、この順で連続して形成することを特徴とし、この形成パターンを取ることにより、テーパー連通路とストレート開口部との中心軸のばらつきを無くすことができる。さらに、ウェットエッチングによりテーパー連通路を形成した後、ノズル孔を形成するストレート開口部を形成する方法とすることにより、ノズル孔を形成した後、ウェットエッチングによりテーパー連通路を形成する従来の方法に対し、ウェットエッチング時に発生するアンダーカットによる先端径のずれや、それらのウエハ面内のばらつきなど、ノズル先端部の形状不良を解消することができ、所望の先端形状を有するノズルを高精度で形成することができる。
本発明のノズルプレートの製造工程の主要形成ステップの一例を示す断面図 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップ(その1)を示す断面図(実施形態1) 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップ(その2)を示す断面図(実施形態1) 図2に記載の製造ステップS-3及び製造ステップS-6における上面図 保護膜と撥インク層を形成した本発明のノズルプレートの構成の一例を示す断面図(実施形態2) 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法の他の一例(その1)を示す断面図(実施形態3) 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法の他の一例(その2)を示す断面図(実施形態3) 本発明のノズルプレートで、ノズル孔先端部の角度とテーパー連通部の角度を説明するための図 ノズルプレートに連通路プレートを接続した構成の一例を示す断面図(実施形態4) ノズルプレートにシード層を介してNi電鋳を接続した構成の一例を示す断面図(実施形態5) インクジェットヘッドの構成の一例を示す断面図
本発明のノズルプレートの製造方法は、少なくとも、テーパー連通路と、ノズル部を形成するストレート開口部を有するノズルプレートの製造方法であって、少なくとも、前記工程1~工程8を経て、ノズルプレートを製造することを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記工程7の後に、前記単結晶シリコン基板の前記ストレート開口部を設けた面とは反対側の面を前記テーパー連通路の中心部まで研削、研磨する工程を有することが好ましい形態である。
また、ノズル孔先端部の上部表面と、前記ストレート開口部の側面とのなす角度(θ2)を、70~90度の範囲内とすることが、より安定したインク出射性能を確保することができる点で好ましい。
また、テーパー連通路及びストレート開口部の表面を、インク耐性を有する保護膜で被覆することが、インクによる腐食を防止し、耐久性の高いノズルプレートを作製することができる点で好ましい。
また、最表面部に、撥インク層を形成することが、インク出射時のインクミスト等のノズルプレート表面への付着を防止することができ、長期間にわたりインク出射安定性を維持することができる点で好ましい。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、本発明のノズルプレートの製造方法における各工程を含むことを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。また、以下の説明において、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した各構成要素の符号を表す。
《ノズルプレートの製造方法》
本発明のノズルプレートの製造方法は、少なくとも、テーパー連通路と、ノズル部を形成するストレート開口部を有するノズルプレートの製造方法であって、
少なくとも、下記工程1~工程8を経て、ノズルプレートを製造することを特徴とする。
工程1:表面が(100)面である単結晶シリコン基板を準備する工程、
工程2:前記単結晶シリコン基板の表面に、マスク層を一様に形成する工程、
工程3:前記マスク層に、将来的にノズル孔となる環状パターンと、その内側に矩形パターンを形成する工程、
工程4:前記環状パターン上にレジスト層を形成し、前記矩形パターン部を、ドライエッチングで貫通、又は一部を深掘加工する工程、
工程5:前記環状パターン上に形成したレジスト層を除去する工程、
工程6:前記単結晶シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、矩形パターンから八面体形状に広がる前記テーパー連通路を形成する工程、
工程7:前記環状パターンをドライエッチングによる深掘りにより、前記テーパー連通路まで貫通させて、ノズル孔先端となる前記ストレート開口部を形成する工程、
工程8:所定の大きさに外径寸法を整えてチップ化する工程。
〔ノズルプレートの製造方法の主要な特徴点〕
本発明のノズルプレートの製造方法の主要な特徴は、単結晶シリコン基板を用い、第1ステップとして、異方性ウェットエッチングを用いて八面体形状に広がるテーパー連通路を形成した後、第2ステップとして、ドライエッチングによる深掘りにより、ノズル孔先端となるストレート開口部を形成することを特徴とし、このようなノズル部の形成方法により、ノズル径の寸法精度と、ノズルのテーパー連通路とストレート開口部との中心軸のばらつきがなく、高精度な構造を有するノズルプレートを製造することができる。
図1は、本発明のノズルプレートの製造方法における主要工程であるテーパー連通路とストレート開口部の作製ステップを示した概略断面図である。
図1の(a)に記載の作製ステップは、後述の図3に記載のステップS-7で示す、上記工程4に係る「前記環状パターン上にレジスト層を形成し、前記多角形又は円形パターンを、ドライエッチングで貫通、又は一部を深掘加工する工程」を示すものであり、シリコン基板(1)の両面部に第1マスク層(2)が形成され、表面側の第1マスク層(2)の上に、第2マスク層(3)と、レジスト層2(7)とが形成され、前記多角形又は円形パターン(6B、深堀用導坑形成部)に対し、ドライエッチング(DE2)により深堀用導路(8)を形成する。
次いで、図1の(b)に記載の作製ステップは、後述の図3に記載のステップS-8で示す、工程6に係る「上記前記単結晶シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、多角形又は円形パターンから八面体形状に広がるテーパー連通路を形成する工程」を示すものであり、異方性ウェットエッチングで、シリコン基板をエッチングして、八面体のテーパー連通路(9)を形成する。
次いで、図1の(c)に記載の作製ステップは、後述の図3に記載のステップS-9で示す、上記工程7に係る「前記環状パターンをドライエッチングにより深掘り、テーパー連通路まで貫通させて、ノズル孔先端となるストレート開口部を形成する工程」を示すものであり、環状パターンであるノズル孔形成部(5B)に対しドライエッチングによる深掘りを行って、ノズル孔であるストレート開口部(10)を形成する。
このようにテーパー連通路を形成した後、ストレート開口部を、一貫して形成することによる図1の(a)で記載の中心軸1(C1)、図1の(b)に記載の中心軸2(C2)及び図1の(c)に記載の中心軸3(C3)のそれぞれの中心軸のばらつきの発生がなく、高精度なノズルパターンを形成することができる。また、はじめにテーパー連通路を形成し、次いでストレート開口部を形成する方法であり、ストレート開口部であるノズル部におけるエッチング等による形状破損を受けることがないため、安定した形状のノズル部を形成することができる。
〔実施形態1:ノズルプレートの製造方法1〕
次いで、本発明のノズルプレートの製造方法の具体的な構成について、図を交えて説明する。
図2及び図3は、本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップ(その1)を示す断面図(実施形態1)である。
(工程1:単結晶シリコン基板の準備)
図2のステップS-1で示す工程は、本発明で規定する、「工程1:表面が(100)面である単結晶シリコン基板を準備する工程」であり、ノズルプレートの基板である表面が(100)面である単結晶のシリコン基板(1)を準備する工程である。
本発明に適用可能な表面が(100)面である単結晶のシリコン基板(1)としては、厚さが100~200μm程度のシリコンからなる板状部材である。ノズル基板の基材としてシリコン基板(1)を用いることで、高精度にノズルプレートの加工を行うことができ、位置の誤差や形状のばらつきの少ないノズルプレートを形成することができる。シリコン基板としては、酸化膜上にシリコン単結晶層を形成した構造のシリコンウェハであるSOI(Silicon On Insulator)であることが好ましい。
(工程2:マスク層の形成)
図2のステップS-2で示す工程は、本発明で規定する、「工程2:前記単結晶シリコン基板の表面に、マスク材料より構成されるマスク層を一様に形成する工程」である。
はじめに、シリコン基板(1)の両面に、SiOCから構成される第1マスク層(2)を形成した後、ノズル開口部を形成する面側の第1マスク層(2)の表面に、SiOから構成されている第2マスク層(3)を形成する。
本発明において、マスク層を形成する材料としては、特に制限はないが、例えば、炭化ケイ素(SiC)、炭化酸化ケイ素(SiOC)及び酸化ケイ素(SiO)の他、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)及び酸化タンタル(Ta)といった金属酸化膜や、金属酸化膜にシリコンを含有させた金属シリケート膜(タンタルシリケート(TaSiO)等)などを用いることができる。各マスク層の厚さは、特に制限はないが、例えば、50~500nmの範囲内とすることが望ましい。
マスク層の形成方法としては、例えば、SiOから構成される第2マスク層(3)の形成に関しては、熱酸化法やCVD法(chemical vaper deposition,化学蒸着、化学気相成長法)を適用することができ、SiNから構成されるマスク層の形成に関しては、CVD法やLPCVD法(low puressureCVD法、低圧気相成長法)を適用でき、SiOCから構成される第1マスク層(2)の形成に関しては、CVD法を適用することができる。
マスク層は、単層であっても、図2に示すよな2層構成であっても、シリコン基板の裏面側にも形成する構成であってもよい。
(工程3:第1レジスト層の形成と、環状パターンと多角形又は円形パターンの形成)
図2のステップS-3で示す工程は、本発明で規定する、「工程3:前記マスク層に、将来的にノズル孔となる環状パターンと、その内側に多角形又は円形パターンを形成する工程」であり、初めに、第2マスク層(3)の上に、レジスト層1(4)を形成する。
レジスト層の形成には、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストを用いることができる。ポジ型フォトレジスト及びネガ型フォトレジストとしては、公知の材料を用いることができる。例えば、ネガ型フォトレジストとしては、日本ゼオン社製のZPN-1150-90を用いることができる。また、ポジ型フォトレジストとしては、東京応化工業社製のOFPR-800LB、同OEBR-CAP112PMを用いることができる。
レジスト層はスピンコーター等を用いて、所定の厚みになるように塗布して形成する。その後、110度で90秒等の条件でプリベーク処理を行う。
密着性向上のため、レジスト塗布の前に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を施してもよい。HMDS処理とは、ヘキサメチルジシラザンと呼ばれる有機材料で、例えば、東京応化社製のOAP(ヘキサメチルジシラザン)などが使用できる。レジスト塗布同様、スピンコーターで塗布しても良いし、ヘキサメチルジシラザン蒸気に曝しても密着性向上の効果が期待できる。
所定のマスクを使用し、アライナー等で露光する。例えば、コンタクトアライナーの場合、約50mJ/cmの光量で行う。その後、現像液(例えば、東京応化製 NMD-3に60~90秒)に浸漬し、上記レジストの感光部を除去することにより、マスク層の上に、図3のステップS-3や図4の(a)で示すようなレジストパターンを有するレジスト層を形成する。
具体的なマスクパターンとしては、図4の(a)で示すように、将来的にノズル孔となる環状パターン(5)が、例えば、環状の外径が20~30μmの範囲内で、溝幅が1~5μmの範囲内となるように、レジスト層(4)上に形成されている。
また、環状パターン(5)の内側で同軸の位置に、多角形又は円形パターン(6)が形成されている。多角形又は円形パターンの大きさは1辺が5~10μmとなっている。また、正方形の1辺がシリコン基板のオリエンテーションフラット(011)面と並行になっている。
次いで、図2のステップS-4で示すように、ウェットエッチング耐性を有する第1マスク層(2)及び第2マスク層(3)に対しドライエッチングを行って、深掘りした環状パターンであるノズル孔形成部(5B)と、深掘りした正方形の深掘用導坑形成部(6B)を形成する。
ステップS-4で適用するドライエッチング1(DE1)としては、深掘りRIE(Deep Reactive Ion Etching)を行うRIE装置や、放電形式に誘導結合方式を採用したドライエッチング装置であるICP(Inductively Coupled Plasma)-RIEエッチング装置等のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、プロセスガスとして、CHFやCFなどを用い、垂直方向へのドライエッチングとを繰り返し行うボッシュプロセスによって垂直性に優れたエッチング加工を行うことができる。
一例としては、サムコ社製のドライエッチング装置 RIE-100Cを用い、CHFガス流量を80sccm、圧力を3Pa、RFパワーを90Wの条件で、所定の時間でエッチングすることにより、ノズル孔形成部(5B)と深掘用導坑形成部(6B)を形成することができる。
次いで、図2のステップS-5で示す工程では、上記ステップS-4及びステップS-5で形成したレジスト層1を除去し、第1マスク層(2)及び第2マスク層(3)のパターンを露出させる工程である。
レジスト層1を除去方法としては、例えば、アセトンやアルカリ溶液を用いたウェットプロセスや、酸素プラズマを用いたドライプロセスにより除去することができる。
(工程4:レジスト層2の形成と、多角形又は円形パターンの深掘り)
図3のステップS-6で示す工程は、本発明で規定する、「工程4:前記環状パターン上にレジスト層を形成する工程」であり、上記第1マスク層(2)及び第2マスク層(3)で形成した円形のノズル孔形成部(5B)を、レジスト層2(7)で被覆する工程である。レジスト層2の形成に用いるレジストとしては、前記レジスト層1の形成で用いた材料や方法を適用することができる。
図4の(b)は、上記説明したステップS-6における上面図であり、ノズル孔形成部(5B)の上面をレジスト層2(7)で被覆し、深掘用導坑形成部(6B)を露出させた構成となっている。
次いで、図3のステップS-7で示す工程により、本発明で規定する、「工程4の残りの工程である、前記多角形又は円形パターンを、ドライエッチングで貫通、又は一部を深掘加工する工程」である。上記のように環状パターン上にレジスト層2(7)を形成した後、前記正方形の深掘用導坑形成部(6B)をドライエッチング(DE2)で貫通、又は一部を深掘加工して、深掘導抗(8)を形成する。
ドライエッチングによる深掘加工により正方形の深掘導抗(8)を形成するが、この深掘導抗(8)は貫通しても良く、そのような構成をとることにより、後工程で用いるウェットエッチングの液周りが効率的に行われ、望ましい。
ドライエッチング(DE2)は、放電形式に誘導結合方式(Inductively Coupled Plasma)を採用したICP-RIEエッチング装置を用いて行うことができる。
また、プロセスガスには、SF、C、Oなどを用い、成膜とエッチングをサイクル的に繰り返す、ボッシュプロセスを使用することで、高精度で垂直な深掘導抗(8)を形成することができる。
(工程5:レジスト層の除去)
図3のステップS-7に記載した構成に対し、本発明で規定する、「工程5:前記環状パターン上に形成したレジスト層を除去する工程」により、レジスト層2を除去する。ステップS-7に記載したレジスト層2(7)は、上記レジスト層1の除去と同様に、例えば、アセトンやアルカリ溶液を用いたウェットプロセスや、酸素プラズマを用いたドライプロセスにより除去する。
(工程6:テーパー連通路の形成)
次いで、図3のステップS-8で示す工程により、本発明で規定する、「工程6:前記単結晶シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、多角形又は円形パターンから八面体形状に広がる前記テーパー連通路を形成する工程」により、テーパー連通路を形成する。
具体的には、レジスト層2(7)を除去した後、単結晶シリコン基板(1)を異方性ウェットエッチングして、多角形又は円形パターンから八面体形状に広がるテーパー連通路(9)を形成する。
ステップS-6で形成したレジスト層2(7)を、上記レジスト層1の除去と同様に、例えば、アセトンやアルカリ溶液を用いたウェットプロセスや、酸素プラズマを用いたドライプロセスにより除去する。
次いで、ウェットエッチング(WE)により、シリコン基板(1)に対し異方性エッチングを実施する。
ウェットエッチング液は、一般的なものを使用することができ、例えば、KOH溶液を使用すれば、シリコンの結晶面選択性が良好であり、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を使用すれば、マスク層とシリコン基材との選択性が良好となり、好ましい。
例えば、KOHの40質量%水溶液を用い、70℃でウェットエッチングを行うことにより、図3のS-8で示すような八面体形状のテーパー連通路(9)のような形状が形成することができる。
正方形である深掘導孔(8)は、KOH水溶液に浸漬すると、シリコン基板(1)において。(111)面が出現するようにエッチングが進む。
すなわち、シリコン基板(1)の表面から見ると、逆テーパーにエッチングが開始され、シリコン基板(あるいはエッチング)底面からも逆テーパーにエッチングが開始され、両側のエッチングが進んで八面体形状が形成されたところでエッチングがストップする。
ノズル孔形成部(5B)も、同様に(111)面が出現するようにエッチングが進むが、シリコン基板側から順テーパー側にエッチングされ、その断面が三角形になった段階でエッチングがストップする。その結果、図3のS-8で示すような断面形状を有するテーパー連通路(9)が形成される。
(工程7:ストレート開口部の形成)
図3のステップS-9で示す工程は、本発明で規定する、「工程7:前記環状パターンをドライエッチングによる深掘りにより、前記テーパー連通路まで貫通させて、ノズル孔先端となる前記ストレート開口部を形成する工程」である。
詳しくは、環状パターンであるノズル孔形成部(5B)をドライエッチング(DE2)による深掘りを行い、テーパー連通路まで貫通させて、ノズル孔先端となるストレート開口部(10)を形成する。
上記ステップS-8でウェットエッチングを行った後、シリコン基板を流水、洗浄を行った後、前述のステップS-7で用いたのと同様のドライエッチング(DE2)により、ノズル孔形成部(5B)を更に深掘りを進め、テーパー連通路(9)とつながったところでエッチングを止める。
この方法では、ノズル孔形成部(5B)の外径とノズル径(R)とが同一な、ノズル先端部を精度よく形成することができる。
次いで、テーパー連通路(9)とストレート開口部(10)を形成した後、ステップS-10で示すように、前記単結晶シリコン基板の前記ストレート開口部を設けた面とは反対側の面を前記テーパー連通路の中心部まで研削、研磨する工程により、所定の厚みのノズルプレート(NP)を作製する。
(工程8:ノズルプレートのチップ化)
最後に、本発明で規定する、工程8により、所定の大きさに外径寸法を整えてチップ化して、ノズルプレートの外径に合わせて、ダイシング等でカットして、所定のサイズのノズルプレート(NP)を作製する。
〔実施形態2:ノズルプレートの製造例2〕
本発明のノズルプレートの製造方法においては、テーパー連通路及びストレート開口部の表面が、インク耐性を有する保護膜で被覆すること、又は最表面部に撥インク層を形成する構成とすることが、耐久性及び出射安定性を備えたノズルプレートを形成することができる点で好ましい。
図5には、シリコン基板(1)に、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)を有し、表面に第1マスク層(2)を有する構成において、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)の表面に保護膜(11)を形成し、最表面部に撥インク層(12)を有するノズルプレート(NP)の構成を示してある。
保護膜(11)としては、インクとの接触により溶解しない材質のもの、例えば、金属酸化膜(五酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等)や、金属酸化膜にシリコンを含有させた金属シリケート膜(タンタルシリケート、ハフニウムシリケート、ニオブシリケート、チタンシリケート、ジルコニウムシリケート等)や前記マスク層の形成に用いた材料を選択して用いることができる。また、保護膜(11)として、ポリイミド、ポリアミド、パリレン等の有機膜を用いても良い。保護膜(11)の厚さは、特には限られないが、例えば1~数十μmとすることができる。
また、撥インク層(12)の形成材料としては、フッ素系化合物を含有し、当該フッ素系化合物が、(1)少なくともアルコキシシリル基、ホスホン酸基若しくはヒドロキシ基を含有するパーフルオロアルキル基を有する化合物、又はアルコキシシリル基、ホスホン酸基若しくはヒドロキシ基を含有するパーフルオロポリエーテル基を有する化合物、又は、(2)パーフルオロアルキル基を有する化合物を含む混合物、又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を含む混合物であることが好ましい。
フッ素系化合物は、市販品としても入手が可能であり、例えば、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学工業(株)、ダイキン工業(株)(例えば、オプツールDSX)、旭ガラス社(例えば、サイトップ)、また、(株)セコ(例えば、Top CleanSafe(登録商標))、(株)フロロテクノジー(例えば、フロロサーフ)、Gelest Inc.ソルベイ ソレクシス(株)(例えば、Fluorolink S10)等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750~755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341~2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889~892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58-122979号、特開平7-242675号、特開平9-61605号、同11-29585号、特開2000-64348号、同2000-144097号の各公報等に記載の合成方法、又はこれに準じた合成方法により製造することができる。
〔実施形態3:ストレート連通部を有するノズルプレートの製造例〕
本発明のノズルプレートの製造方法として、上記図2及び図3で説明した実施形態1の製造方法の他に、下記図6及び図7で説明するようなテーパー連接部に隣接して、ストレート連通部を有するノズルプレートの製造方法(実施形態3)も好ましい。
図6及び図7は、本発明の代表的なノズルプレートの製造方法の他の一例を示す断面図(実施形態3)である。
実施形態3において、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)を形成するまでの工程は、前記実施形態1で詳細に説明したステップS-1からS-9までと同工程である。
(ステップS-11:第1マスク層の除去)
前記ステップS-9までで形成した、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)と両面に第1マスク層(2)を有するシリコン基板(1)に対し、前述のステップS-4等で用いたのと同様のドライエッチングにより、表面に形成されているでSiOCで構成されている第1マスク層(2)を除去する。
ドライエッチングはフッ素系ガス、例えば、CF、CHF等を用いる。エッチング条件としては、例えば、CF、CHF等のガス流量を80sccm、圧力を3Pa、RFパワーを90Wとし、所定の時間でエッチングすることにより、除去することができる。
(ステップS-12:ノズルプレート表面に酸化膜を形成)
ステップS-12では、シリコン基板(1)の全面に、熱酸化処理によりSiOから構成される酸化膜(13)を形成する。
熱酸化処理としては、酸素ガスを使うドライ酸化と、水蒸気を使うウェット酸化方式があり、熱酸化として、いずれの方式も採用することができる。加熱温度は、ドライ酸化の場合で900~1200℃程度であり、ウェット酸化の場合で800~1100℃程度である。例えば、ウェット酸化を用いた場合、1000℃、4時間程度の加熱によって、シリコン基板の全面に、厚さ1μmの熱酸化膜(13)を形成することができる。
(ステップS-13:レジスト層を形成)
次いで、ステップS-12に記載の構成を、上下逆とした配置に変更した後、表面にレジスト層3(14)を、テーパー連通路(9)の幅(長辺部)以外を被覆する形状で形成した。
この構成とすることにより、ステップS-16で形成する連通路(9B)となるパターンを形成する。連通路(9B)の形状は、円形、正方形、長方形等のいずれの構成でも用いることができる。1辺長又は直径としては、50~200μmの範囲内である。
(ステップS-14:表面の酸化膜の除去)
次いで、ステップS-12で形成した表面の酸化膜(13)を、前記と同様のドライエッチングにより除去する。
(ステップS-15:シリコン基板の深掘りエッチング)
次いで、表面側より、実施形態1のステップS-7、S-9で用いたのと同様のドライエッチング(DE2)を用い、テーパー連通路(9)の両端部に到達するまで、シリコン深掘りを行った。
(ステップS-16:レジスト層、熱酸化膜の除去)
最後に、レジスト層3(14)と熱酸化膜(12)を前述と同様の方法で除去し、実施形態3に係る製造方法でノズルプレート(NP)を作製した。
〔ノズルプレートの形状〕
本発明に係るノズルプレートにおいては、ノズル孔先端部の上部表面と、ストレート開口部の側面とのなす角度(θ2)を、70~90度の範囲内とすることが好ましい。
図8は、本発明のノズルプレートで、ノズル孔先端部の上部表面とストレート開口部の側面とのなす角度(θ2)と、テーパー連通部が形成する角度(θ1)を説明するための断面図である。
図8に示すように、テーパー連通部(9)の角度(θ1)は、シリコンの結晶方位の影響により、必ず、55度となる。これに対し、ノズル孔先端部の上部表面(Sa)とストレート開口部の側面(Sb)とのなす角度(θ2)としては、インク出射安定性を得る観点から、70~90度の範囲内に設定することが好ましい。
〔その他のノズルプレートの構成〕
前記図6及び図7を用いて、ストレート開口部(10)とテーパー連通路(9)の他に、一連の製造工程により、ストレート連通部(9B)を形成する方法について説明したが、以下に説明するように、独立した工程でストレート連通部(9B)を形成する製造方法も挙げることができる。
〔実施形態4:連通路プレートによるストレート連通部の形成〕
図9は、ノズルプレートに連通路プレートを接続した構成の一例を示す断面図(実施形態4)である。
実施形態4において、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)を形成するまでの工程は、前記実施形態1で図2及び図3を用いて詳細に説明したステップS-1からS-9までと同工程である。
図9で示すように、図3に記載したステップS-10で作製したノズルプレート(NP)のテーパー連通路(9)の底面部に、接着層(15)を介して、別途作製した連通路プレート(16)を接合させて、ストレート連通路(9B)を形成する方法である。
連通路プレート(16)の形成材料としてはシリコン部材が望ましいが、SUS、Niなどの金属、ポリイミドなどの樹脂を用いて形成してもよい。
また、接着層(15)を構成する材料としては、エポキシ樹脂等の接着剤で接合してもよい。また、連通路プレートがシリコンであれば、Si-Si、あるいはSi-SiO-Siの活性化接合が利用でき、接着剤を使わない接合も可能で、この方法を適用することが、接着層における強度が優れる点で好ましい。また、Au-Si接合など金属を介しての接合方法も可能である。
〔実施形態5:Ni電鋳によるストレート連通部の形成〕
図10は、ノズルプレートにNi電鋳によるストレート連通部を形成したノズルプレートの構成の一例を示す断面図(実施形態5)である。
実施形態5において、テーパー連通路(9)及びストレート開口部(10)を形成するまでの工程は、前記実施形態1で図2及び図3を用いて詳細に説明したステップS-1からS-9までと同工程である。
図10で示すように、図3に記載したステップS-10で作製したノズルプレート(NP)のテーパー連通路(9)の底面部に、シード層(17)を介して、Ni電鋳等で、ストレート連通路(9B)を形成する方法である。
はじめに、図3に記載したステップS-10で作製したノズルプレート(NP)のテーパー連通路(9)の底面部に、Ni等によるシード層(17)を形成する。次いで,Ni電鋳(厚付け型電気鋳造)により、ストレート連通路(9B)を形成する。
《インクジェットヘッド》
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、上記説明した本発明のノズルプレートの製造方法における各製造工程を含むことを特徴とする。
〔インクジェットヘッドの構成〕
本発明のノズルプレートの製造方法により製造したノズルプレートを具備させることができるインクジェットヘッドの詳細について説明する。
図11は、本発明に係るノズルプレートを具備したインクジェットヘッドの構成の一例を示す断面図である。
図11は、インクジェットヘッド(101)を側面側(-X方向側)から見た断面図である。図11には、4つのノズル列に含まれる4つのノズル(N)を含む面でのインクジェットヘッド(101)の断面を示している。
インクジェットヘッド(101)は、ヘッドチップ(102)と、共通インク室(170)と、支持基板(180)と、配線部材(103)と、駆動部(104)などから構成されている。
ヘッドチップ(102)は、ノズル(N)からインクを吐出させるための構成であり、複数、図11では4枚の板状の基板が積層形成されている。ヘッドチップ(102)における最下方の基板は、ノズルプレート(110、ノズル形成部材)である。ノズルプレート(110)には本発明に係る構造を有する複数のノズル(N)が設けられて、当該ノズル(N)の開口部からノズルプレート(110)の露出面(インク吐出面(101a))に対して略垂直にインクが吐出可能とされる。ノズルプレート(110)のインク吐出面(101a)とは反対側には、上方(図11のZ方向)に向かって順番に圧力室基板(120、チャンバープレート)、スペーサー基板(140)及び配線基板(150)が接着されて積層されている。以下では、これらノズルプレート(110)、圧力室基板(120)、スペーサー基板(140)及び配線基板(150)の各基板を、各々積層基板(110、120、140、150)などとも記す。
これらの積層基板(110、120、140、150)には、ノズル(N)に連通するインク流路が設けられており、配線基板(150)の露出される側(+Z方向側)の面で開口されている。この配線基板(150)の露出面上には、全ての開口を覆うように共通インク室(170)が設けられている。共通インク室(170)のインク室形成部材(不図示)内に貯留されるインクは、配線基板(150)の開口から各ノズル(N)へ供給される。
なお、図11に記載のノズルプレート(110)においては、本発明の特徴であるノズル(N)におけるテーパー連通路とストレート開口部の詳細な記載は省略してある。
インク流路の途中には、圧力室(121、インク貯留部)が設けられている。圧力室(121)は、圧力室基板(120)を上下方向(Z方向)に貫通して設けられており、圧力室(121)の上面は、圧力室基板(120)とスペーサー基板(140)との間に設けられた振動板(130)により構成されている。圧力室(121)内のインクには、振動板(130)を介して圧力室(121)と隣り合って設けられている格納部(141)内の圧電素子(160)の変位(変形)によって振動板(130)及び圧力室(121)が変形することで、圧力変化が付与される。圧力室(121)内のインクに適切な圧力変化が付与されることで、圧力室(121)に連通するノズル(N)からインク流路内のインクが液滴として吐出される。
支持基板(180)は、ヘッドチップ2の上面に接合されており、共通インク室(170)のインク室形成部材(不図示)を保持している。支持基板(180)には、インク室形成部材(不図示)の下面の開口とほぼ同じ大きさ及び形状の開口が設けられており、共通インク室(170)内のインクは、インク室形成部材の下面の開口、及び支持基板(180)の開口を通ってヘッドチップ(102)の上面に供給される。
配線部材(103)は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)などであり、配線基板(150)の配線に接続されている。この配線を介して格納部(141)内の配線(151)及び接続部(152、導電部材)に伝えられる駆動信号により圧電素子(160)が変位動作する。配線部材(103)は、支持基板(180)を貫通して引き出されて駆動部(104)に接続される。
駆動部(104)は、インクジェット記録装置の制御部からの制御信号や、電力供給部からの電力供給などを受けて、各ノズルNからのインク吐出動作や非吐出動作に応じて、圧電素子(160)の適切な駆動信号を配線部材(103)に出力する。駆動部(104)は、IC(Integrated Circuit)などで構成されている。
上記のような構成からなるインクジェットヘッドは、本発明のノズルプレートの製造方法で製造したノズルプレートを具備して製造することができる。
本発明に係るノズル径の寸法精度と、ノズルのテーパー連通路とストレート開口部を、中心軸のばらつきがなく、高精度で形成することができるノズルプレートの製造方法により製造したノズルプレートをインクジェットヘッドに具備して製造することにより、上記特徴を備えたノズルプレートを構成するテーパー連通路により、インクジェットヘッドのインク吐出時における圧力室の圧力変動やインクメニスカス位置の変動に対しても、安定して高精度なインク射出特性を得ることができる。
また、本発明のノズルプレートの製造方法の特徴である、ウェットエッチングによりテーパー連通路を形成した後、ストレート開口部(ノズル孔)を形成するため、ノズル孔先端部における欠損等の製造不良の発生がなく、その結果、高精度なインク射出が可能となる。また、ノズル孔形成部(5)とテーパー連通路を形成するための深掘用導抗形成部(6)は、共通のパターン形成用材料(レジスト層1)を用い、同じ露光操作でパターンが形成されるため、それぞれにより形成するテーパー連通路とストレート開口部の中心線の擦れの発生がなく、インク射出時のインク曲り等の発生がなく、安定したインク射出特性を得ることができる。
1 シリコン基板
2 第1マスク層
3 第2マスク層
4 レジスト層1
5 環状パターン
5B ノズル孔形成部
6 多角形又は円形パターン
6B 深掘用導抗形成部
7 レジスト層2
8 深掘導坑
9 テーパー連通路
9B ストレート連通部
10 ストレート開口部(ノズル孔)
11 保護膜
12 撥インク層
13 酸化膜
14 レジスト層3
15 接着層
16 連通路プレート
17 シード層
18 Ni電鋳
101 インクジェットヘッド
101a インク吐出面
102 ヘッドチップ
103 配線部材
104 駆動部
110 ノズルプレート
120 圧力室基板
121 圧力室
130 振動板
140 スペーサー基板
150 配線基板
160 圧電素子
170 共通インク室
180 支持基板
C1、C2、C3 中心軸
DE1、DE2 ドライエッチング
N ノズル
NP ノズルプレート
R ノズル径
Sa ノズル先端部の上部表面
Sb ストレート開口部の側面
WE ウェットエッチング
θ1 ノズル孔先端部角度
θ2 デーパー連通路の角度

Claims (6)

  1. 少なくとも、テーパー連通路と、ノズル部を形成するストレート開口部を有するノズルプレートの製造方法であって、
    少なくとも、下記工程1~工程8を経て、ノズルプレートを製造することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
    工程1:表面が(100)面である単結晶シリコン基板を準備する工程、
    工程2:前記単結晶シリコン基板の表面に、マスク層を一様に形成する工程、
    工程3:前記マスク層に、将来的にノズル孔となる環状パターンと、その内側に多角形又は円形パターンを形成する工程、
    工程4:前記環状パターン上にレジスト層を形成し、前記多角形又は円形パターンを、ドライエッチングで貫通、又は一部を深掘加工する工程、
    工程5:前記環状パターン上に形成したレジスト層を除去する工程、
    工程6:前記単結晶シリコン基板を異方性ウェットエッチングして、前記多角形又は円形パターンから八面体形状に広がる前記テーパー連通路を形成する工程、
    工程7:前記環状パターンをドライエッチングによる深掘りにより、前記テーパー連通路まで貫通させて、ノズル孔先端となる前記ストレート開口部を形成する工程、
    工程8:所定の大きさに外径寸法を整えてチップ化する工程。
  2. 前記工程7の後に、前記単結晶シリコン基板の前記ストレート開口部を設けた面とは反対側の面を前記テーパー連通路の中心部まで研削、研磨する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のノズルプレートの製造方法。
  3. ノズル孔先端部の上部表面と、前記ストレート開口部の側面とのなす角度(θ2)を、70~90度の範囲内とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記テーパー連通路及びストレート開口部の表面が、インク耐性を有する保護膜で被覆することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 最表面部に、撥インク層を形成することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法における工程1~工程8を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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