以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。また、以下の説明では、積載型トラッククレーン車10を前方から視て右方向及び左方向が定義される。
本実施形態では、図1に示される積載型トラッククレーン車10(特許請求の範囲に記載された「クレーン」の一例)が説明される。積載型トラッククレーン車10は、車体20(特許請求の範囲に記載された「走行体」の一例)と、ブーム装置30と、操作バルブ42と、レバー装置50とを備える。ブーム装置30、操作バルブ42(図2参照)、及びレバー装置50は、車体20に搭載されている。
[車体20]
図1が示すように、車体20は、エンジン21(図5参照)と、車軸に設けられたタイヤ22と、キャビン23と、荷台24とを備える。タイヤ22は、車軸を介してエンジン21によって駆動される。キャビン23は、車体20の前部に配置されている。ハンドルやクラッチやアクセルやブレーキなどの運転装置が、キャビン23に設けられている。荷台24は、キャビン23の後方に配置されている。荷台24は、上方が開放された箱状である。荷物は、ブーム装置30によって上方から荷台24に積載される。
[ブーム装置30]
図1が示すように、ブーム装置30は、車体20に架装されており、車体20の上部に配置されている。ブーム装置30は、キャビン23と荷台24との間に配置されている。図1及び図2が示すように、ブーム装置30は、支持台31と、旋回台32と、ポスト33と、ブーム34と、フック35と、タンク49と、油圧ポンプ41(図5参照)とを備える。
支持台31は、車体20に架装されている。図2が示すように、支持台31は、左右一対のアウトリガ36を備える。アウトリガ36は、張出部36Aと、ジャッキ36Bとを備える。張出部36Aは、外箱及び内箱を有し、内箱は、例えば手動により外箱に対して左右方向9に引き出され、或いは押し込まれる。左右のジャッキ36Bは、ジャッキシリンダ47、48(図5参照)により駆動される。
ジャッキ36Bは、格納状態(図2に示された状態)と、接地状態とに状態変化する。接地状態は、アウトリガ36の内箱が車体20の左右方向9に張り出し、ジャッキシリンダ47が伸長して右のジャッキ36Bが接地し、ジャッキシリンダ48が伸長して左のジャッキ36Bが接地する状態である。収納状態は、ジャッキシリンダ47、48が縮小した状態である。ジャッキ36Bは、走行時に収納状態とされ、ブーム装置30が操作される際に接地状態とされる。接地状態のジャッキ36Bは、ブーム装置30が操作される際の積載型トラッククレーン車10の姿勢を安定させる。
旋回台32は、上下方向7に沿った回動軸37周りに旋回可能に支持台31に支持されている。旋回台32は、左右方向9における車体20の中央部に位置しており、旋回台32の中心と回動軸37の中心とは一致している。旋回台32は、旋回モータ43(図5参照)によって旋回される。
ポスト33は、旋回台32から上方へ延びている。ポスト33の下端は、旋回台32に固定され、ポスト33は、旋回台32とともに旋回する。ポスト33の上端部33Aに起伏中心ピン33Bを介してブーム34が起伏可能に支持されている。
ブーム34は、テレスコピック構造を備え、伸縮シリンダ44(図5参照)を介して伸縮される。ブーム34は、ポスト33に設けられた起伏シリンダ45(図5参照)によって、倒伏状態(図1に示された状態)と、倒伏状態から起こされた起立状態(不図示)とに起伏される。
フック35は、ワイヤロープ(不図示、特許請求の範囲に記載された「ロープ」の一例)の一端に接続され、ブーム34の先端部から吊り下げられる。ワイヤロープの他端は、ポスト33に設けられたウインチ38と接続されている。ウインチ38は、ウインチモータ46(図5参照)によって回転される。ウインチ38は、ワイヤロープを繰り出してフック35を降ろし、ワイヤロープを巻き取ってフック35を上げる。
タンク49は、作動油を貯留する。図2が示すように、タンク49は、車体20の旋回台32より右方において、支持台31に支持されている。
図5が示す油圧ポンプ41は、エンジン21によって駆動されることによって、タンク49に貯留された作動油を送出する。図示されていないが、油圧ポンプ41は、支持台31の下方に位置している。
図5が示すように、旋回台32を旋回させる旋回モータ43と、ブーム34を伸縮させる伸縮シリンダ44と、ブーム34を起伏させる起伏シリンダ45と、ウインチ38を回転させるウインチモータ46と、ジャッキ36Bを動作させるジャッキシリンダ47、48とは、油圧ポンプ41から供給される作動油によって駆動する。旋回モータ43、伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、及びジャッキシリンダ47、48は、特許請求の範囲に記載された「油圧アクチュエータ」の一例である。
[操作バルブ42]
図5が示す操作バルブ42は、油圧ポンプ41によってタンク49から送出された作動油の方向及び流量を調整する。
図2が示すように、操作バルブ42は、旋回台32より左方に配置され、支持台31に支持されている。
操作バルブ42は、本体84(図2参照)と、スプール85A~85F(図5及び図9参照)と、連結アダプタ86(図3、図4、図8、及び図9参照)とを備える。
図6及び図7が示すように、本体84の内部に、流路89が形成されている。流路89は、作動油の通路を形成するものである。流路89は、以下に説明する第1ポート91、第2ポート92、第3ポート、及び第4ポートを連通している。
図6及び図7が示すように、本体84のうち、右方を向く右面84Aに、第1ポート91及び第2ポート92が設けられている。第1ポート91及び第2ポート92は、それぞれ、各油圧アクチュエータ(旋回モータ43、伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、及びジャッキシリンダ47、48の各々)に対応して設けられている。つまり、第1ポート91及び第2ポート92は、それぞれ油圧アクチュエータと同数設けられている。第1ポート91には、ホース87によって、旋回モータ43、伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、及びジャッキシリンダ47、48のいずれかが接続されている。また、第2ポート92にも、ホース90によって、旋回モータ43、伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、及びジャッキシリンダ47、48のいずれかが接続されている。
図示されていないが、本体84は、第1ポート91及び第2ポート92の他に第3ポート及び第4ポートを備えている。第3ポートは、図示しないホースによって油圧ポンプ41と接続されている。第4ポートは、ホース88(図2参照)によってタンク49と接続されている。
なお、第1ポート91及び第2ポート92などの各ポートと、モータ、シリンダ、及びタンクなどとを接続するのは、ホースに限らず、例えば鋼管により配管されていてもよい。
油圧ポンプ41によってタンク49から送出された作動油は、第3ポートを介して流路89へ流通する。流路89内の作動油は、第1ポート91を介して操作バルブ42から当該第1ポート91に対応する油圧アクチュエータへ送られる。油圧アクチュエータへ送られた作動油は、第2ポート92を介して油圧アクチュエータから操作バルブ42へ戻る。操作バルブ42へ戻ってきた作動油は、第4ポートを介してタンク49へ戻る。
図5及び図9が示すように、操作バルブ42は、流路89に6個のスプール85A~85Fを備えている。なお、以下では、スプール85A~85Fを区別しない場合、「スプール85」と記載して説明がされる。
スプール85A、85B、85C、85D、85E、85Fは、それぞれ、旋回モータ43、伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、ジャッキシリンダ47、ジャッキシリンダ48に対応して設けられている。
図6及び図7が示すように、スプール85は、流路89内を前後方向8(特許請求の範囲に記載された「所定方向」の一例)にスライドすることにより、第1ポート91及び第2ポート92の開閉の切替や開かれた部分の面積の変更を行う。第1ポート91及び第2ポート92の開閉の切替によって、作動油の方向と流量が切り替えられる。例えば、第1ポート91が開かれ、第2ポート92が閉じられている場合、作動油は操作バルブ42から対応する油圧アクチュエータへ送られる。
スプール85Aが第1ポート91を開くと、作動油は、旋回モータ43に供給され、旋回モータ43が回転する。同様に、スプール85B、85C、85D、85E、85Fが対応する第1ポート91を開くと、対応する油圧アクチュエータ(伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、ジャッキシリンダ47、ジャッキシリンダ48)が駆動する。
図6、図7、及び図9が示すように、スプール85の前端部80は、本体84の前面から本体84の外部へ突出している。当該前端部80は、後述する第2レバー62と連結されている。詳細には、図8及び図9が示すように、スプール85の前端部80に、貫通孔80Aが形成されている。この貫通孔80Aと、後述の第2基台65に設けられた長孔65B(図6及び図7参照)とに、不図示のピンが挿入される。これにより、前端部80と第2レバー62とが連結される。
図8及び図9が示すように、連結アダプタ86は、本体84に設けられている。連結アダプタ86は、本体84の前面に取り付けられている。なお、連結アダプタ86は、本体84と別部材であってもよいし、本体84と一体成形されていてもよい。連結アダプタ86は、スプール85A~85Fの各々に対応して設けられている。つまり、本実施形態において、連結アダプタ86は、6つ設けられている。6つの連結アダプタ86は、上下に並んで配置されている(図3参照)。なお、図9において、スプール85A、85Fのみに、連結アダプタ86が取り付けられており、スプール85B、85C、85D、85Eには、連結アダプタ86が取り付けられていない。以下、図9において、スプール85Fに取り付けられた連結アダプタ86が参照されつつ、連結アダプタ86の構成が説明される。
連結アダプタ86は、本体95と、支持部93と、支持部94とを備えている。本体95と支持部93、94とは一体成形されている。なお、本体95、支持部93、及び支持部94は、個別の部材で、これらが組み合わされることによって連結アダプタ86が構成されてもよい。支持部93は、特許請求の範囲に記載された「一部の支持部」、「第1支持部」に相当する。支持部94は、特許請求の範囲に記載された「他の支持部」、「第2支持部」に相当する。
本体95は、上下方向7及び左右方向9に拡がる板形状である。本体95の左右方向9の中央部95Aに、前後方向8に貫通する貫通孔81が形成されている。本体84の前面から突出したスプール85が、貫通孔81を挿通している。中央部95Aは、本体95の左端部95B及び右端部95Cよりも上下に長い。左端部95Bは、中央部95Aの下部から左方へ延びている。右端部95Cは、中央部95Aの上部から右方へ延びている。
支持部93は、本体95の左端部95Bの下端から前方へ延びている。支持部93は、スプール85の前端部80の左方に位置している。支持部93の先端部は、左方へ膨らんでいる。この膨らんだ部分(支持部93の先端部)に、貫通孔93Aが形成されている。貫通孔93Aは、支持部93を上下方向7に貫通している。
図6が示すように、支持部93の下方に、第2基台65が位置する。当該第2基台65の下方に、別の第2基台65(図3参照)に対応する連結アダプタ86の支持部93が位置する。つまり、図3が示すように、6つの支持部93及び6つの第2基台65は、支持部93を上にして上下方向7に交互に配置されている。
後述するように、各第2基台65は、上下方向7に貫通する貫通孔65Aを備えている(図6参照)。貫通孔93Aと貫通孔65Aとが上下に重なるように(図6参照)、各連結アダプタ86及び各第2基台65が配置される(図3参照)。図6が示すように、貫通孔93A及び貫通孔65Aに、軸棒68が挿入される。図3が示すように、軸棒68の上端及び下端に、留め具82が、支持部93及び第2基台65を挟み込むようにして嵌められている。なお、図3において、軸棒68の下端に留められた留め具82は、現れていない。これにより、支持部93及び第2基台65の軸棒68から抜けが防止される。
以上のようにして、支持部93は、軸棒68を中心として回動可能に第2基台65(及び第2基台65に接続された第2レバー62)を支持する。
図8及び図9が示すように、支持部94は、本体95の右端部95Cの下端から前方へ延びている。ここで、本体95の右端部95Cは、本体95の左端部95Bより上方に位置している。よって、支持部94は、支持部93よりも上方に位置している。支持部94は、スプール85の前端部80の右方に位置している。支持部94の先端部は、左方へ膨らんでいる。この膨らんだ部分(支持部94の先端部)に、貫通孔94Aが形成されている。貫通孔94Aは、支持部94を上下方向7に貫通している。
図6及び図7が示すように、支持部94と第2基台65との配置は、支持部93と第2基台65との配置と同様である。つまり、各支持部94及び各第2基台65は、支持部64を上にして上下方向7に交互に配置されている(図4参照)。そして、支持部94は、軸棒68を中心として回動可能に第2基台65を支持している。但し、本実施形態では、6つの第2基台65のうち、上側3つの第2基台65のみが支持部94に支持され、下側3つの第2基台65は支持部93に支持されている。
以上のようにして、連結アダプタ86は、第2レバー62を回動自在に支持する。
図8が示すように、貫通孔94Aの中心とスプール85の前端部80との距離L1は、貫通孔93Aの中心とスプール85の前端部80との距離L2よりも長い。なお、距離L1は、距離L2以下の長さであってもよい。
連結アダプタ86及び第2レバー62の動作は、後述される。
[レバー装置50]
図2が示すように、レバー装置50は、旋回台32、操作バルブ42の本体84、及びタンク49の前方に配置されている。レバー装置50は、スプール85(図6及び図7参照)を操作するためのものである。レバー装置50は、スプール85A~85F(図5参照)の各々に対応して6つ設けられている。
図3及び図4が示すように、各レバー装置50は、第1レバー61と、第2レバー62(特許請求の範囲に記載された「レバー」の一例)と、連結機構63とを備えている。
スプール85Aに連結されたレバー装置50の第1レバー61及び第2レバー62が操作されることによって、スプール85Aがスライドして、旋回モータ43が回転する。
同様に、スプール85B、85C、85D、85E、85Fの各々に連結された第1レバー61及び第2レバー62が操作されることによって、対応するスプール85B、85C、85D、85E、85Fがスライドして、対応する油圧アクチュエータ(伸縮シリンダ44、起伏シリンダ45、ウインチモータ46、ジャッキシリンダ47、ジャッキシリンダ48)が駆動する。
6つのレバー装置50は、上下に積み重ねられた状態で、連結アダプタ86及び支持部材83によって支持されている。支持部材83は、車体20の旋回台32より右方において、支持台31に支持されている。連結アダプタ86が設けられている操作バルブ42は、上述したように、車体20の旋回台32より左方において、支持台31に支持されている。よって、各レバー装置50は、右部を支持部材83によって支持され、左部を連結アダプタ86によって支持されている。
6つのレバー装置50の各々の構成は同様であるから、以下、一のレバー装置50について説明がされる。
図2が示すように、第1レバー61は、車体20の旋回台32より右方に位置している。図6及び図7が示すように、第1レバー61は、連結機構63との連結位置61Aから右方へ延びている。同様に、第2レバー62は、車体20の旋回台32より左方に位置しており、連結機構63との連結位置62Aから左方へ延びている。
図8が示すように、連結アダプタ86の支持部93は、左右方向9において、スプール85の前端部80と第2レバー62の回動先端62Bとの間にレイアウトされている。連結アダプタ86の支持部94は、スプール85の前端部80に対して第2レバー62の回動先端62Bの反対側にレイアウトされている。
連結機構63は、第1レバー61及び第2レバー62の間に位置し、第1レバー61及び第2レバー62を連結する。連結機構63は、第1基台64と、第2基台65と、ロッド66とを備えている。
第1基台64に、第1レバー61が固定されている。第1基台64の一端部に、貫通孔64Aが形成されている。貫通孔64Aに、支持部材83の軸棒67(特許請求の範囲に記載された「回動軸」の一例)が挿入される。これにより、第1基台64及び第1レバー61は、軸棒67を中心として一体に回動可能である。第1基台64の他端部に、ロッド66が連結されている。なお、上記の軸棒68と同様に、軸棒67の上端及び下端に、留め具82が嵌められている。
同様に、第2基台65に、第2レバー62が固定されており、第2基台65の一端部に、貫通孔65Aが形成されている。第2基台65の他端部に軸棒68を介してロッド66が連結されている。第2基台65及び第2レバー62は、軸棒68を中心として一体に回動可能である。
なお、第1基台64及び第1レバー61と、第2基台65及び第2レバー62とは、それぞれ一体成形されていてもよい。
ロッド66は、概ね左右方向9に延びている。ロッド66の右端66Aは、第1基台64と連結されている。ロッド66の左端66Bは、第2基台65と連結されている。
第1レバー61及び第1基台64が回動すると、当該回動に連動してロッド66が左右方向9に移動し、ロッド66の移動に連動して第2レバー62及び第2基台65が回動する。第2レバー62及び第2基台65の回動によって、スプール85がスライドされて油圧アクチュエータが作動する。
第2レバー62及び第2基台65が回動すると、当該回動に連動してスプール85がスライドされて油圧アクチュエータが駆動する。また、当該回動に連動してロッド66が左右方向9に移動し、ロッド66の移動に連動して第1レバー61及び第1基台64が回動する。
[操作バルブ42及びレバー装置50の仕様及び動作]
積載型トラッククレーン車10には、様々な仕様のレバー装置50が搭載可能である。以下、このようなレバー装置50の一例として、2種類のレバー装置50が説明される。なお、以下において、2種類のレバー装置50の一方はレバー装置50Aと称され、他方はレバー装置50Bと称される。レバー装置50Aは、図3及び図6に示されている。レバー装置50Bは、図4及び図7に示されている。
本実施形態では、スプール85A、85B、85Cに、2つの仕様のレバー装置50Aまたは50Bのうちいずれか一方が選択的に連結される。
なお、レバー装置50の仕様の種類は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。また、複数の仕様のレバー装置50が選択的に連結されるのは、スプール85A、85B、85Cに限らない。例えば、6つのスプール85の全て(スプール85A、85B、85C、85D、85E、85F)に、複数の仕様のレバー装置50が選択的に連結されてもよいし、1つのスプール85(例えばスプール85A)のみに、複数の仕様のレバー装置50が選択的に連結されてもよい。
図6が示すように、レバー装置50Aの貫通孔64Aは、第1基台64の前端部に形成されている。この第1基台64の後端部は、ロッド66の右端66Aと連結している。
レバー装置50Aの貫通孔65Aは、第2基台65の後端部に形成されている。この第2基台65の前端部は、ロッド66の左端66Bと連結している。上記貫通孔65Aは上記支持部93(図8参照)の貫通孔93Aと重なるように配置されている。軸棒68が貫通孔65A及び貫通孔93Aを貫通しており、レバー装置50Aの第2レバー62及び第2基台65は、軸棒68を中心に回動する。
以上のように構成されていることにより、レバー装置50A及びスプール85は、以下のように動作する。
図6が示すように、第1レバー61が矢印71に沿って後方に回動すると、ロッド66は、第1基台64に押されて左方へ移動する。これにより、第2レバー62は、矢印72に沿って後方に回動し、スプール85は、第2レバー62に引っ張られて前方へスライドする。
一方、第1レバー61が矢印73に沿って前方に回動すると、ロッド66は、第1基台64に引っ張られて右方へ移動する。これにより、第2レバー62が矢印74に沿って前方に回動し、スプール85は、第2レバー62に押されて後方へスライドする。
つまり、レバー装置50Aでは、第1レバー61または第2レバー62が後方に回動されることによって、スプール85は前方へスライドされる。また、レバー装置50Aでは、第1レバー61または第2レバー62が前方に回動されることによって、スプール85は後方へスライドされる。
以上より、支持部93は、第2レバー62と協働してスプール85の前端部80を作用点とする梃子を形成し、軸棒68は第2レバー62を支持する支点を構成している。また、支持部93は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと反対向きに変位するようにレイアウトされている。
図7が示すように、レバー装置50Bの貫通孔64Aは、レバー装置50Aとは逆に、第1基台64の後端部に形成されている。また、レバー装置50Aとは逆に、上記第1基台64の前端部は、ロッド66の右端66Aと連結されている。
他のレバー装置50Bの構成は、レバー装置50Aと同様である。つまり、レバー装置50Bにおいて、貫通孔65Aは第2基台65の後端部に形成されており、第2基台65の前端部は、ロッド66の左端66Bと連結している。また、第2基台65は、貫通孔65Aが貫通孔94Aと重なるように配置されており、軸棒68が、貫通孔65A、94Aを貫通している。これにより、レバー装置50Bの第2レバー62及び第2基台65は、貫通孔94Aの中心を回動軸として回動する。
以上のように構成されていることにより、レバー装置50Bと、レバー装置50Bによってスライドされるスプール85は、以下のように動作する。
図7が示すように、第1レバー61が矢印75に沿って後方に回動すると、ロッド66は、第1基台64に引っ張られて右方へ移動する。これにより、第2レバー62は矢印76に沿って前方に回動し、スプール85は、第2レバー62に引っ張られて前方へスライドする。
一方、第2レバー62が矢印77に沿って前方に回動すると、ロッド66は、第1基台64に押されて左方へ移動する。これにより、第2レバー62が矢印78に沿って後方に回動し、スプール85は、第2レバー62に押されて後方へスライドする。
つまり、レバー装置50Bでは、第1レバー61が後方に回動されることによって、または、第2レバー62が前方に回動されることによって、スプール85は前方へスライドされる。また、レバー装置50Bでは、第1レバー61が前方に回動されることによって、または、第2レバー62が後方に回動されることによって、スプール85は後方へスライドされる。
以上より、支持部94は、第2レバー62と協働してスプール85の前端部80を作用点とする梃子を形成し、軸棒68は第2レバー62を支持する支点を構成している。また、支持部94は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと同じ向きに変位するようにレイアウトされている。
図6及び図7が示すように、レバー装置50Bの第1レバー61の回動中心と第1基台64及びロッド66の連結位置との設定距離L3(図7参照)は、レバー装置50Aの第1レバー61の回動中心と第1基台64及びロッド66の連結位置との設定距離L4(図6参照)よりも短い。なお、設定距離L3は、設定距離L4以上の長さであってもよい。
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、第2レバー62が支持部93または支持部94に支持されることにより、スプール85のスライドの向きが変わる。例えば、第1の連結パターンとして、図6が示すように、第2レバー62を、スプール85及び支持部93と連結することができる。また、第2の連結パターンとして、図7が示すように、第2レバー62を、スプール85及び支持部94と連結することができる。そして、第1の連結パターンと第2の連結パターンとで連結パターンを変えることによって、積載型トラッククレーン車10の仕様に応じて第2レバー62の操作の向きとスプール85のスライドの向きとを適宜合わせることができる。その結果、積載型トラッククレーン車10の仕様毎(操作バルブ42のレイアウトごと)に第2レバー62の操作の向きが異なるという問題が生じることを防止できる。
また、本実施形態によれば、ある仕様の積載型トラッククレーン車10と別の仕様の積載型トラッククレーン車10とで、ブーム34に同じ動作をさせるための第2レバー62の回動向きが逆である場合でも、スプール85を同一向きにスライドさせることができる。このような効果を、操作バルブ42に連結アダプタ86を設けるという簡単な構成で実現することができる。
また、本実施形態によれば、第1レバー61が車体20の右部に設けられており、第2レバー62が車体20の左部に設けられている積載型トラッククレーン車10において、上述した効果を奏することができる。
また、本実施形態のように 車体20の左部に操作バルブ42が配置されている場合、操作バルブ42の右方のスペースに余裕がある。また、操作バルブ42の第1ポート91及び第2ポート92が本体84の右面84Aに形成されている。そのため、操作バルブ42の右方において第1ポート91及び第2ポート92に接続されるホース87の配管を行うことができる。また、スプール85は本体84から前方へ突出しており、レバー装置50は操作バルブ42の前方に位置している。そのため、スプール85と第2レバー62との連結が容易である。
また、図3及び図6を参照して、仮に、車体20の右部に上記構成のような操作バルブ42が配置されるとしたならば、操作バルブ42の第1ポート91及び第2ポート92が本体84の後面に形成され、スプール85が本体84から右方へ突出するように、操作バルブ42を配置することができる。操作バルブ42の後方のスペースは、前方のスペースに比べて余裕がある。また、操作バルブ42の右方には、レバー装置50の第1レバー61の配置が容易である。よって、第1ポート91及び第2ポート92に接続されるホース87の配管が容易であり、スプール85と第1レバー61との連結が容易である。以上より、車体20の右部及び左部の何れの側に操作バルブ42が配置される場合であっても、同じ操作バルブ42が使用される。
[変形例]
上記実施形態において、連結アダプタ86は、2つの支持部93、94を備えていた(図8参照)。しかし、連結アダプタ86は、3つ以上の支持部を備えていてもよい。例えば、連結アダプタ86が、第1支持部93及び第2支持部94に加えて、第2支持部94の右方に位置する第3支持部を備えている場合、3つの支持部のうち一部の支持部(第1支持部)は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと反対向きに変位するようにレイアウトされており、3つの支持部のうち他の支持部(第2支持部及び第3支持部)は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと同じ向きに変位するようにレイアウトされている。
上記実施形態において、第1レバー61は車体20の右方に位置しており、第2レバー62及び操作バルブ42は、車体20の左方に位置していた(図6及び図7参照)。しかし、第1レバー61が車体20の左方に位置しており、第2レバー62及び操作バルブ42が、車体20の右方に位置していてもよい。この場合、第1レバー61、第2レバー62、及び操作バルブ42の位置関係は、上記実施形態と左右対称となる。
上記実施形態では、第1レバー61及び第2レバー62は、概ね左右方向9へ延びていたが、左右方向9以外に延びていてもよい。例えば、第1レバー61及び第2レバー62は、前後方向8へ延びていてもよい。この場合、支持部93、94のスプール85の前端部80に対する位置関係は、上記実施形態と異なる位置関係となる。但し、支持部93は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと反対向きに変位するようにレイアウトされる。また、支持部94は、第2レバー62の操作向きに対して、スプール85の前端部80が当該操作向きと同じ向きに変位するようにレイアウトされる。
上記実施形態では、操作バルブ42の本体84は、レバー装置50の前方に位置していたが、本体84は、レバー装置50の後方に位置していてもよい。
上記実施形態では、操作バルブ42の本体84は、第1ポート91及び第2ポート92が形成された面が右面となるように配置されていたが、本体84の配置向きはこれに限らない。例えば、操作バルブ42の本体84は、第1ポート91及び第2ポート92が形成された面が後面となるように配置されていてもよい。
上記実施形態では、スプール85のスライド方向、つまり所定方向は、前後方向8であった。また、スプール85は、本体84から前方へ突出していた。しかし、所定方向は、前後方向8に限らない。また、スプール85の本体84からの突出向きは、後方に限らない。例えば、スプール85は、本体84の流路89内を左右方向9にスライドすることにより、当該スプール85が対応する油圧アクチュエータと接続された第1ポート91及び第2ポート92の開閉の切替や開かれた部分の面積の変更を行ってもよい。また、スプール85は、本体84から右方または左方へ突出していてもよい。
上記実施形態では、レバー装置50及び連結アダプタ86は、それぞれ6つずつ設けられていたが、レバー装置50及び連結アダプタ86の数は、6つ以外でもよい。