JP7117860B2 - ロックボルト及び支保構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ロックボルト及び支保構造に関する。
トンネルといった地下空間の支保は、地下空間の周囲における地山が有する支保機能に加えて、吹付けコンクリートやロックボルトによる支保機能によって奏される。トンネルが比較的硬い地山に設けられた場合、ロックボルトには、トンネルの採掘の影響を受けていない地山領域に対して採掘の影響を受けた地山領域を縫い付ける効果が期待できる。また、トンネルが比較的柔らかい地山に設けられた場合、ロックボルトには、地山の変形を抑制することによるアーチ形成効果が期待できる。従って、ロックボルトには、地山の特性に応じて種々の応力が作用し得る。
特許第6181343号公報 特開2017―186801号公報
例えば、地山が緩んで変形すると、当該変形に起因する応力がロックボルトに作用する。この応力が大きくなりすぎる(ロックボルトの許容引張応力を越える)と、ロックボルトが破断して地山を支保する機能が損なわれてしまう。従って、ロックボルトが支保工としての機能を維持しながら、ロックボルトに作用する引張応力が大きくなりすぎないように地山の変形に追従して移動すればよい。例えば、特許文献1、2は、地山の変形に追従可能なロックボルトを開示する。
特許文献1に開示されたロックボルトは、地山の変形に伴って移動する部材と、当該部材の移動を妨げるスライド規制機構と、を備える。当該スライド規制機構は、地山の変形態様によって、互いに異なる支保機能を奏することができる。
また、特許文献2に開示されたロックボルトは、ロックボルト本体の手元側をシース管で覆うことにより、地山と定着されない部分を有する。この地山と定着されない部分は、地山の変形に応じて延びることのできる自由長部として機能する。自由長部によれば、長期的な押し出し変形を吸収することができる。
そこで、本発明は、支保工としての機能を維持しながら、地山の大きな変形にも確実に追従することによりボルトに生じ得る応力を制御できるロックボルト及び支保構造を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、地山に設けられた孔に充填された定着材に埋め込まれて、地山の変形に対応して地山を支保するロックボルトであって、孔の奥側に配置され、地山の変形に伴って孔の開口の方向に移動する第1支持部と、第1支持部よりも孔の開口側に配置され、先端が第1支持部に連結され、基端が孔の開口から突出すると共に開口を囲む地山の表面に取り付けられるボルトと、ボルトが挿通される貫通孔を有しボルトにおいて定着材が定着しない非定着領域を形成するシースと、を有する可動軸部と、を備える。
この構成によれば、第1支持部は、地山の変形に伴って、孔の開口の方向に移動する。従って、地山の変形に伴ってロックボルトに作用する応力が、ロックボルトの移動によって緩和される。そうすると、ロックボルトの支保工としての機能を喪失させるような応力の発生が抑制され、地山のより大きな変形を許容できる。そして、ボルトには、シースに覆われた部分に非定着領域が形成されており、この非定着領域では、ボルトが定着材に定着していないので、定着材との間で抵抗力が生じない。その結果、第1支持部の移動を妨げないように、ボルトを定着材に対して確実に滑らせることが可能になる。従って、ロックボルトは、支保工としての機能を喪失することなく、地山の変形をさらに許容できる。従って、地山の大きな変形にも確実に追従できる。
上記のロックボルトは、第1支持部よりも孔の奥側に配置され、基端が第1支持部に連結されると共に、定着材に対して付着する第2支持部を更に備え、第2支持部が定着材に対して付着している間に、地山の変形に伴って、ボルトが延びてもよい。この構成によれば、第2支持部が定着材に定着している間に地山が変形すると、ボルトが引っ張られるように変形する。従って、ボルトの伸びに応じて地山の変形がさらに許容される。このボルトの伸びは、地山の変形に伴ってボルトに作用する応力を緩和するので、ロックボルトは支保機能を喪失することがなく、地山を支保し続けることができる。ここで、ボルトは、シースによって形成された非定着部によって、定着材に対して確実に滑ることが可能である。その結果、第2支持部を地山に対する固定点とみなし、地山の変形に応じてボルトが確実に伸びることができる。
上記のロックボルトは、第1支持部とシースとの間に配置されて、地山の変形に伴う第1支持部の移動を阻害する第3支持部をさらに備えてもよい。この構成によれば、第3支持部は、第1支持部の移動を阻害するので、ボルトの移動及び伸びによって解放される応力を所望の態様に制御することが可能になる。
上記のロックボルトにおいて、シースは、連続した一つの非定着領域をボルトに対して形成し、非定着領域は、孔の開口から第1支持部に至ってもよい。この構成によれば、孔の開口から第1支持部に至る広範な非定着領域をボルトに形成することができる。従って、ボルトをより確実に定着材に対して滑らせることができる。
上記のロックボルトにおいて、シースは、互いに離間する複数の非定着領域と、非定着領域の間に形成され定着材に定着する定着領域と、をボルトに対して形成してもよい。この構成によれば、ロックボルトは、非定着領域と定着領域とをボルトに形成することができる。従って、ボルトの全面が定着材に定着する構成と比較して、ボルトを定着材に対して確実に滑らせることができる。さらに、この構成によれば、ロックボルトが定着材に対して定着する箇所が、第2支持部に加えて、定着領域にも形成される。従って、ロックボルトが定着した状態を確実に形成することができる。
本発明の別の形態は、地山に設けられる支保構造であって、地山に形成された孔に充填される定着材と、孔の奥側に配置されて定着材に埋め込まれ、地山の変形に伴って孔の開口の方向に移動する第1支持部と、第1支持部よりも孔の開口側に配置され、先端が第1支持部に連結され、基端が孔の開口から突出すると共に開口を囲む地山の表面に取り付けられるボルトと、ボルトが挿通される貫通孔を有しボルトにおいて定着材が定着しない非定着領域を形成するシースと、を有する可動軸部と、孔の開口において、ボルトの基端部に設けられ、地山に対する相対的な位置を維持する定着部と、を備える。この支保構造は、上記のロックボルトを備えている。このロックボルトは、支保工としての機能を喪失することなく、地山の変形をさらに許容できる。従って、この支保構造は、地山の大きな変形にも確実に追従できる。
本発明によれば、支保工としての機能を維持しながら、地山の大きな変形にも確実に追従することによりボルトに生じ得る応力を制御できるロックボルト及び支保構造が提供される。
図1は、支保構造が適用されるトンネルを示す斜視図である。 図2は、図1に示す第1実施形態に係るロックボルトの構造を示す断面図である。 図3は、図2に示されたネジ定着部の付近における拡大図である。 図4の(a)部及び図4の(b)部は、地山の変形に伴うロックボルトの動作を示す断面図である。 図5の(a)部及び図5の(b)部は、地山の変形に伴うロックボルトの動作を示す断面図である。 図6は、変位と支保力との関係を示すグラフである。 図7は、第2実施形態に係るロックボルトを示す斜視図である。 図8の(a)部は変形例1に係るロックボルトを示す斜視図であり、図8の(b)部は同(a)部の主要部分を拡大して示す斜視図である。 図9の(a)部は変形例2に係るロックボルトを示す斜視図であり、図9の(b)部は変形例3に係るロックボルトを示す斜視図であり、図9の(c)部は変形例4に係るロックボルトを示す斜視図である。 図10の(a)部は比較例1に係るロックボルトを示す斜視図であり、図10の(b)部は比較例2に係るロックボルトを示す斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1に示すように、支保構造1は、新オーストリアトンネル工法(NATM)といった山岳トンネル工法に用いられる。当該工法では、まず、地山101にトンネル102を設ける。次に、トンネル102の掘削面にコンクリート壁103を設ける。次に、削岩機などを用いて、コンクリート壁103から地山101に延びる複数の削孔104を設ける。次に、モルタル等の定着材を準備し、ポンプなどを用いて定着材を削孔104に充填すると共に当該定着材に対してロックボルト2を埋め込む。
ロックボルト2は、トンネル102の周囲における地山101に対して放射状に配置される。それぞれのロックボルト2は、定着材によって地山101に定着されている。従って、ロックボルト2は、トンネル102の周囲における地山101と一体化しているとみなせる。例えば、ロックボルト2の先端側(地山側)は、掘削の影響が無視できる比較的硬い地山領域101aに一体化していることもある。そして、地山101とロックボルト2とが一体化した領域は、アーチ状の支保領域101bを形成し、トンネル102を支保する。
図2は、図1に示されたロックボルト2のひとつを拡大して示す。以下の説明において、説明の便宜上、ロックボルト2において削孔104の開口側に配置される側を「基端」と称する。また、ロックボルト2において削孔104の奥側に配置される側を「先端」と称する。図2では、紙面右手を基端側とし紙面左手を先端としてロックボルト2を図示する。
図2に示すように、支保構造1は、ロックボルト2と、定着材3と、を有する。支保構造1は、地山101に設けられた削孔104の定着材3に埋め込まれたロックボルト2によって地山101を支保する。
ロックボルト2は、その大部分が定着材3に埋め込まれ、基端側の一部が削孔104から突出する。ロックボルト2は、主要な構成要素として、可動軸部4と、定着ユニット6(定着部)と、スリーブ部7(第1支持部)と、リング8(第3支持部)と、ネジ定着部9(第2支持部)と、を有する。これらの構成要素は、削孔104の内部において、削孔104の奥側から削孔104の開口104aに向かう方向D1に沿って、ネジ定着部9、スリーブ部7、可動軸部4の順に配置されて、互いに連結されている。そして、削孔104から突出した可動軸部4の端部に定着ユニット6が取り付けられる。
例えば、地山101が方向D1(紙面右方向)に変形しようとすると、定着ユニット6には方向D1に沿う力が作用する。その結果、定着ユニット6に連結された可動軸部4、スリーブ部7及びネジ定着部9にも、当該力に対応する引っ張り力が作用する。このとき、それぞれの構成要素は、定着材3との付着力や、それぞれの構成要素が有する引っ張り強さによって、当該力に抵抗する。その結果、地山101の変形が抑制される。つまり、地山101が支保される。
ここで、可動軸部4、スリーブ部7及びネジ定着部9に作用する力が大きくなり、当該力が構成要素の許容強度を超えると破断が発生し、ロックボルト2は支保機能を喪失する。より具体的には、作用する力に起因する応力が構成要素の許容応力を超えたときに支保機能を喪失する。
この応力は、地山101と各構成要素との相対的な変位に応じる。例えば、ロックボルト2が地山101の変形量と同等の変形を生じる場合には、ロックボルト2に作用する応力はごく僅か(或いはゼロ)である。しかし、この場合には、ロックボルト2は地山101の変位に抵抗しないので、実質的に、ロックボルト2が支保能力を発揮している状態とは言えない。
また、ロックボルト2が地山101の変形に対して全く変形しない場合には、ロックボルト2に作用する応力は地山101の変形量に応じて大きくなる。この場合には、ロックボルト2が支保能力を発揮していると言えるが、ロックボルト2に作用する応力が許容値を超えると破断が生じる。
すなわち、ロックボルト2は、地山101の変形を妨げる支保機能を奏しながら、発生する応力が許容値を上回らないようにするため、地山101の変形に応じて移動或いは変形する。ロックボルト2は、以下に詳細に説明する構成要素によって、このような作用効果を奏することができる。
<可動軸部>
可動軸部4は、スリーブ部7よりも開口104a側に配置される。可動軸部4は、ボルト本体11(ボルト)と、シース12と、を有する。
ボルト本体11は、削孔104に配置されたとき、方向D1に沿って延びる棒体である。ボルト本体11の外周面には、らせん状に形成された突起が設けられる。ボルト本体11として、比較的剛性の高い高張力異形鋼棒が用いられる。ボルト本体11は、外径が20ミリメートル以上30ミリメートル以下であり、長さが3メートル以上6メートル以下としてよい。例えば、ボルト本体11の外径は、後述するスリーブ部7における基体部17の外径に対して、その比率が1/1.15~1/1.5であり、一例として1/1.3程度としてよい。なお、上記の外径寸法及び長さ寸法は例示であって、これらの寸法値に限定されることはなく、支保構造1に応じて適宜好適な寸法を選択してよい。また、ボルト本体11としては、ツイスト鋼、ツイストボルトの表面形状が再現されるように圧延加工した高強度軽量化ボルト、ネジ節棒鋼を含む異形棒鋼を採用してもよい。
ボルト本体11の先端11aは、スリーブ部7に連結される。先端11aを含む領域は、シース12に覆われていない露出領域R1である。この露出領域R1は、その定着力が少なくともネジ定着部9における定着力よりも小さくなるように形成される。例えば、露出領域R1の長さL11aは、ネジ定着部9の長さL9よりも短い。基端11b(基端部)は削孔104から突出する。基端11bには、雄ネジが形成されており、この雄ネジには定着ユニット6が取り付けられる。
シース12は、ボルト本体11が挿通される貫通孔を有する筒状を呈する。シース12は、連続した一つの非定着領域R2をボルト本体11に対して形成する。シース12の外周面には、必要に応じてリブ(凹凸部)を設けてもよい。シース12は、その外径がボルト本体11の外径よりも大きく、その内径もボルト本体11の外径より大きい。例えば、シース12の内周面とボルト本体11の外周面とは、互いに離間している。シース12にボルト本体11を配置したとき、ボルト本体11の一部は、シース12によって覆われる。この覆われた部分は、定着材3とは接触しない。ボルト本体11において定着材3が定着しない部分を非定着領域R2と呼ぶ。この非定着領域R2は、定着材3に対して容易に相対的に移動可能である。この移動には、ボルト本体11の全体が地山101に対して開口104a側へ動く態様と、非定着領域R2の長さが長くなる(伸びる)態様と、を含む。
この構成によれば、ボルト本体11と定着材3との縁が切れているので、ボルト本体11を確実にスライド(移動)又は伸ばすことができる。従って、地山101の大変形を許容することができる。
また、シース12の長さL12は、ボルト本体11の長さL11よりも短い。つまり、ボルト本体11の先端11a及び基端11bは、シース12に覆われない。シース12は、ボルト本体11において削孔104内に配置された部分を覆う。より詳細には、シース12は、表面101cとリング8との間におけるボルト本体11を覆う。そうすると、シース12の長さL12は、例えば、1.0メートル以上6.0メートル以下程度であり、ボルト本体11の全長における1/1.18程度を覆う。このシース12の長さL12とボルト本体11の全長との比率は、実施形態では1/1.2程度であるが、好ましくは3/4であってもよいし、最低1/2であってもよい。
シース12の先端12aには、シール部材13が設けられてもよい。このシール部材13は、シース12の内部に定着材3が浸入することを抑制する。例えは、シール部材13は、ボルト本体11に配管接続用のシールテープ等を巻きつけたものとしてもよい。このシール部材13は、ボルト本体11とシース12との相対的な移動を妨げない。つまり、シール部材13によって、ボルト本体11とシース12とは互いに固定されない。
シース12の基端12bは、例えば、定着ユニット6に接触する。ここで、可動軸部4がボルト本体11とシース12との相対的な移動を意図するものである点に注目すれば、シース12の基端12bは、定着ユニット6に対して固定されない。例えば、初期状態において基端12bは定着ユニット6に接触していても、定着ユニット6が移動すると基端12bと定着ユニット6との間には隙間が生じ得る(図4の(b)部等参照)。
このシース12によれば、ボルト本体11に非定着領域R2が形成されるので、スリーブ部7が滑った場合に、ボルト本体11がシース12の内部を円滑にスライドし、その機能を損なうことなく地山101の大変形に追従できる。また、設計仕様のロックボルトをボルト本体11に利用できるので、ロックボルト2の外径の拡大を抑制できる。その結果、地山101における削孔104の内径を大きくする必要がなくなるので、支保構造1の施工性が向上する。そのうえ、ボルト本体11は、汎用品を使用してよいので、支保構造1が施工される現場で組み立てることができ、経済性に優れる。
<定着ユニット>
定着ユニット6は、削孔104の開口において、ボルト本体11の基端11bに設けられ、地山101に対する相対的な位置を維持する。定着ユニット6は、座金14とナット16とを有する。座金14は、円板又は矩形状の板材である。座金14の面積は、開口104aの開口面積よりも大きい。座金14の中央部には貫通孔が設けられ、当該貫通孔にはボルト本体11の基端11bが挿通される。ナット16は、ボルト本体11の基端11bに設けられた雄ネジに取り付けられる。ナット16は、座金14を地山101側へ押し付ける力を生じる。
<スリーブ部>
地山101が変形したとき、スリーブ部7は、スリーブ部7とリング8との間に存在する定着材3を押しつぶす或いは定着材3を押し退けつつ方向D1に沿って移動する。
図3に示すように、スリーブ部7は、削孔104の奥側において、可動軸部4とネジ定着部9との間に設けられる。スリーブ部7は、略円柱状の形状であり、基体部17と、第1テーパ部18と、第2テーパ部19と、を有する。基体部17は、軸線方向に沿って外径が一定である。基体部17は、円柱状の形状をなし、軸線方向に延びる外周面(付着面)を有する。この外周面には、複数のふしであるリッジが設けられており、初期状態において定着材3が付着している。従って、初期状態において基体部17の移動と定着材3の移動とは一致する。換言すると、基体部17が定着材3に定着している状態では、スリーブ部7は、定着材3に対して滑らない。一方、地山101の変形が進行すると、基体部17と定着材3との間の付着が切れる。従って、この状態では、基体部17の移動と定着材3の移動とは一致せず、基体部17と定着材3との間に滑りが生じる。
第1テーパ部18及び第2テーパ部19は、軸線方向に沿って外径が変化する。第1テーパ部18は、開口104a側に設けられ、スリーブ部7の基端を含む。従って、第1テーパ部18は、可動軸部4と連結される。第2テーパ部19は、削孔104の奥側に設けられ、スリーブ部7の先端を含む。従って、第2テーパ部19は、ネジ定着部9と連結される。基体部17の外径は、ネジ定着部9の外径よりも大きい。第1テーパ部18及び第2テーパ部19のそれぞれにおいて、最大の外径は、基体部17の外径と一致する。
軸線方向に沿った基体部17の長さL17は、例えば、ロックボルト2の全長(長さL2)に対して0.01以上0.25以下(0.01≦(L17/L2)≦0.25)であってもよい。好ましくは、長さL17が、長さL2に対して0.025以上0.1以下(0.025≦(L17/L2)≦0.1)であってもよい。また、軸線方向に沿った基体部17の長さL17は、例えば、軸線方向に沿った第1テーパ部18の長さL18と同じ(L17=L18)であるか、それ以下(L17≦L18)であってもよいし、それ以上(L17≧L18)であってもよい。例えば、第1テーパ部18の長さL18は、基体部17の長さL17に対して、0.01以上2以下(0.01≦(L18/L17)≦2)であってもよい。好ましくは、長さL18が長さL17に対して、0.05以上1以下((0.05≦(L18/L17)≦1)であってもよい。さらに好ましくは、長さL18が長さL17に対して、0.125以上0.75以下(0.125≦(L18/L17)≦0.75)であってもよい。
<リング>
リング8は、スリーブ部7とシース12との間に配置されて、スリーブ部7の移動を阻害する。ボルト本体11の先端11aは、シース12の先端12aから突出し、スリーブ部7に固定される。リング8は、このシース12から突出し、スリーブ部7に固定されるまでの領域に配置される。つまり、リング8は、露出領域R1に配置される。例えば、リング8は、露出領域R1において、リング8からスリーブ部7までの距離がリング8からシース12までの距離よりも大きくなるように配置される。
リング8は、円筒状の形状であり、端面8a、8bと、貫通孔8cと、を有する。リング8の端面8aから端面8bへ貫通する貫通孔8cは、可動軸部4のボルト本体11を挿通する。リング8は、軸線方向に沿って外径が一定である。リング8の外径は、スリーブ部7の基体部17における外径より大きい。リング8の貫通孔8cの内径は、ボルト本体11の外径よりも大きい。好ましくは、内径がボルト本体11の外径よりも僅かに大きい。一方、リング8の内径は、スリーブ部7の外径よりも小さいことが好ましい。このようなリング8によれば、リング8の端面8aにスリーブ部7の第1テーパ部18が当接することができる。
<ネジ定着部>
ネジ定着部9は、ロックボルト2において削孔104の最も奥側に配置される。ネジ定着部9は、円柱状の形状を呈し、スリーブ部7に連結される。ネジ定着部9の軸線は、スリーブ部7の軸線に重複する。ネジ定着部9は、その外周面に設けられた雄ネジを有する。この雄ネジは、定着材3との定着力を発揮する。
ネジ定着部9の長さL9は、5センチメートル以上30センチメートル以下であり、一例として20センチメートルである。つまり、ネジ定着部9の長さL9は、スリーブ部7の長さL7と略同等としてよい。また、ネジ定着部9の長さL9は、ボルト本体11の長さL11よりも短い。例えば、ネジ定着部9の長さL9は、ボルト本体11の長さL11の1/11程度としてよい。さらに、例えば、ロックボルト2の全長(長さL2)に対してネジ定着部の長さL9は、0.008以上0.10以下(0.008≦(L9/L2)≦0.10)であってもよい。好ましくは、0.017以上0.05以下(0.017≦(L9/L2)≦0.05)であってもよい。
ネジ定着部9の外径は、2センチメートル以上4センチメートル以下であり、一例として、2.4センチメートルである。つまり、ネジ定着部9の外径は、スリーブ部7の外径よりも小さい。例えば、ネジ定着部9の外径は、スリーブ部7の外径の1/1.15~1/1.5であり、一例として1/1.3程度としてよい。また、ネジ定着部9の外径は、可動軸部4におけるボルト本体11の外径と略同等としてよい。
以下、地山101の変位に応じたロックボルト2の状態と、ロックボルト2の支保力(支保工作用圧)との関係について、図4、図5及び図6を参照しつつ説明する。図4及び図5は、地山の変位に応じたロックボルト2の状態を概略的に示す図である。図6はロックボルト2の変位と支保力との関係を概略的に示すグラフである。図6の横軸は地山101の変位を示し、縦軸はロックボルト2が奏する支保力を示す。支保力は、ロックボルト2に作用する力への反力であるとも言えるので、縦軸はロックボルト2へ作用する力として見てもよい。
図6において、グラフG1はロックボルト2の特性を示す。また、グラフG2は比較例1に係るロックボルトの特性を示し、グラフG3は比較例2に係るロックボルトの特性を示す。なお、グラフG4は高地圧を有する地山101の特性を示し、グラフG5はグラフG4よりも低い地圧を有する地山101の特性を示す。
図4の(a)部は、ロックボルト2の初期状態を示す。初期状態では、地山101の変位はゼロであり、ロックボルト2の支保力もゼロである。
図4の(b)部は、初期状態から地山101が長さV1だけ変位した第2状態を示す。図4の(b)部において、仮想線K1は、初期状態における地山101の表面101cを示す。第2状態では、ロックボルト2は、ネジ定着部9、スリーブ部7、ボルト本体11の露出領域R1及びシース12が定着材3に定着している。一方、ボルト本体11の非定着領域R2は定着材3に定着していない。
この状態において、地山101の変位に伴って定着ユニット6が方向D1に移動する。そうすると、ロックボルト2において、ネジ定着部9がアンカーとなり、ネジ定着部9及びスリーブ部7の移動及び変形は生じない。一方、地山101の変位(V1)は、ボルト本体11における非定着領域R2に伸び(E1)をもたらす。地山101の変位(V1)が大きいほど、非定着領域R2に作用する力も大きくなり、当該力に対抗するので、ボルト本体11が奏する反力(支保力)も大きくなる(グラフG1の初期載荷部G1a参照)。ボルト本体11の非定着領域R2における支保力は、ボルト本体11の弾性係数(ヤング率)及びボルト本体11の断面積に基づくフックの法則により示すことができる。この状態において、ロックボルト2には地山101の変位に応じた力が作用するが、非定着領域R2の伸び(E1)によって応力は低減される。
ここで、ロックボルト2では、ネジ定着部9が定着材3に定着している間に、地山101が変形するとボルト本体11が引っ張られるように変形する。従って、ボルト本体11の伸び(E1)に応じて地山101の変形が許容される。このボルト本体11の伸び(E1)は、地山101の変形(V1)に伴ってボルト本体11に作用する応力を緩和するので、ロックボルト2は支保機能を喪失することがなく、地山101を支保し続けることができる。そして、ボルト本体11は、シース12によって形成された非定着領域R2によって、定着材3に対して確実に滑ることが可能である。その結果、ネジ定着部9が地山101に対する固定点(アンカー)となるので、ボルト本体11は、地山101の変形(V1)に応じて確実に伸びる(E1)。
そして、グラフG1における点P1の付近において、ネジ定着部9における付着状態が切れるとする。ネジ定着部9の定着力は、その外周面に形成された雄ネジの形状などによる。従って、雄ネジが形成されていないスリーブ部7やボルト本体11の露出領域R1の定着力は、ネジ定着部9の定着力よりも低い。そうすると、ネジ定着部9の付着状態が切れたとき、スリーブ部7及びボルト本体11の露出領域R1における定着は、すでに切れていると想定することが妥当である。
図5の(a)部は、地山101がさらにV2だけ変位した第3状態を示す。図5の(a)部において、仮想線K2は、第2状態における地山101の表面101cを示す。第2状態では、上述したようにネジ定着部9、スリーブ部7及びボルト本体11の露出領域R1における定着は切れており、リング8及びシース12が定着材3に定着しているだけである。この状態において、地山101の変位に伴って定着ユニット6が方向D1に移動する。
そうすると、ネジ定着部9、スリーブ部7及びボルト本体11は、地山101の変位(V2)に伴って開口104a側へ滑る。つまり、ネジ定着部9、スリーブ部7及びボルト本体11は、定着材3に対して相対的に移動する。図5の(a)部では、これらの移動を代表してネジ定着部9の先端9aの移動(M1)として示す。つまり、第2状態から第3状態へは、ネジ定着部9、スリーブ部7及びボルト本体11に実質的な伸びが生じることなく、これらが方向D1に向かって一様に移動する。この移動(M1)に際し、ロックボルト2は、初期状態から第2状態へ移行するまでの支保力の態様(初期載荷部G1a)とは異なる態様(変形追従部G1b)の支保力を発揮する。このネジ定着部9、スリーブ部7及びボルト本体11の移動は、スリーブ部7がリング8に当接するまで継続することがある。
上述したように、スリーブ部7は、定着材3を押しつぶす或いは定着材3を押し退けつつ削孔104の開口104aの方向に移動する。つまり、スリーブ部7は、スリーブ部7とリング8との間に存在する定着材3に妨げられながら、方向D1に沿って移動する。従って、支保力は、軸方向に直交する仮想面への第1テーパ部18(図3参照)の投影面積、第1テーパ部18の角度、定着材3の材料特性などにより制御できる。第2状態から第3状態へ移行する間の変位と支保力との関係は、グラフG1における変形追従部G1bに示す。変形追従部G1bの傾きは、初期載荷部G1aにおける傾きよりも小さい。
要するに、実施形態に係るロックボルト2では、スリーブ部7が、地山101の変形に伴って、削孔104の開口104aの方向に移動(M1)する。従って、地山101の変形に伴ってロックボルト2に作用する応力が、ロックボルト2の移動によって緩和される。そうすると、ロックボルト2の支保工としての機能を喪失させるような応力の発生が抑制され、地山101のより大きな変形を許容できる。そして、ボルト本体11には、シース12に覆われた部分に非定着領域R2が形成されており、この非定着領域R2では、ボルト本体11が定着材3に定着していないので、定着材3との間で抵抗力が生じない。その結果、スリーブ部7の移動を妨げないように、ボルト本体11を定着材3に対して確実に滑らせることが可能になる。従って、ロックボルト2は、支保工としての機能を喪失することなく、地山101の変形をさらに許容できる。従って、地山101の大きな変形にも確実に追従できる。
図5の(b)部は、地山101がさらにV3だけ変位した第4状態を示す。図5の(b)部において、仮想線K3は、第3状態における地山101の表面101cを示す。第4状態では、スリーブ部7がリング8に当接している。この状態において、地山101の変位に伴って定着ユニット6が方向D1に移動すると、リング8がスリーブ部7の移動を妨げる。従って、スリーブ部7及びリング8がアンカーとなり、スリーブ部7などの方向D1へ沿う移動は、実質的に生じないと仮定してよい。その結果、地山101の変位に起因する力は、再びボルト本体11の非定着領域R2に伸び(E2)をもたらす。つまり、地山101の変位(V3)が大きいほど、非定着領域R2に作用する力も大きくなり、当該力に対抗するので、ボルト本体11が奏する反力(支保力)も大きくなる(グラフG1の変形制御部G1c参照)。
なお、第3状態から第4状態へ移行する際の支保力は、リング8の抵抗力を考慮してもよい。上記の説明では、地山101の変位に応じてスリーブ部7及びリング8は移動しないものとした。しかし、リング8の形状や定着材3の材料特性によっては、地山101の変位に応じてリング8も開口104a側に移動する場合もあり得る。その場合には、抵抗力は、リング8が定着材3の抵抗力に逆らって移動するときに生じる力と、上記のボルト本体11における力との合力であるとしてもよい。そして、支保力が力(F3)に達したとき、ロックボルト2はその支保機能を喪失するとする。
そうすると、実施形態に係るロックボルト2は、地山101の変位(T2)において力(F2)までの支保力を奏することができる。
<比較例1>
ここで、比較例1に係るロックボルトについて説明する。図10の(a)部に示すように、比較例1に係るロックボルト201は、定着材3に埋め込まれた部分の全体が定着材3に付着する。この構成によれば、ロックボルト201はその軸方向に延びたり、移動したりすることが実質的にできない。そうすると、地山101の変位に起因してロックボルト201に作用する応力は、ロックボルト201の伸び及び移動により低減されることがない。従って、図6のグラフG2に示すように、ロックボルト201は、ロックボルト201の弾性係数と断面積とに従って伸びる。ここで、比較例1に係るロックボルト201は伸び及び移動により応力が低減されることがないので、グラフG2の傾きは、グラフG1の傾きよりも大きくなる。そして、ロックボルト201の許容応力(F2)に達したときにその支保機能を喪失する。従って、比較例1に係るロックボルト201は、発揮し得る支保力の最大値(F2)は、実施形態に係るロックボルト2と同程度とし得るが、対応可能な変位量(T1)が実施形態に係るロックボルト2に比較して狭い。
<比較例2>
さらに、比較例2に係るロックボルトについて説明する。図10の(b)部に示すように、比較例2に係るロックボルト301は、定着材3に対する定着力が強いアンカー302と、当該アンカー302よりも定着力が弱いスムース303と、を有する。この構成によれば、スムース303の付着が切れ、且つ、アンカー302の付着が保たれているとき、ロックボルト301の伸びにより応力が低減されつつロックボルト301が変形する状態(図6のグラフG3における符号G3a参照)が生じる。その後、さらにアンカー302の付着が切れると、ロックボルト301はそれ以上の支保力(F3)を生じることができず、地山101の変位の増加によらず、一定の支保力(F3)を生じる状態(グラフG3における符号G3b参照)となる。従って、比較例2に係るロックボルト301は、対応可能な変位量は実施形態に係るロックボルト2と同程度或いはそれ以上とし得るが、発揮し得る支保力の最大値(F3)が実施形態に係るロックボルト2に比較して低い。
<第2実施形態>
次に、図7に示す第2実施形態に係るロックボルト2Aについて説明する。ロックボルト2Aは、主要な構成要素として、スリーブ部7と、可動軸部4Aと、リング8と、ネジ定着部9と、定着ユニット6と、を有する。上記の構成要素において、定着ユニット6、スリーブ部7、リング8及びネジ定着部9は、第1実施形態に係るロックボルト2と同様であるので、詳細な説明を省略する。以下、可動軸部4Aについて詳細に説明する。
可動軸部4Aは、ボルト本体11と、第1のシース21と、第2のシース22と、を有する。すなわち、第2実施形態に係るロックボルト2Aは、第1のシース21及び第2のシース22を有する点で、第1実施形態に係るロックボルト2と相違する。第1のシース21は、ボルト本体11に非定着領域R3aを形成する。第2のシース22は、ボルト本体11に非定着領域R3bを形成する。また、第1のシース21及び第2のシース22において、その外径及び内径は、第1実施形態に係るシース12と同様である。一方、第2実施形態に係る第1のシース21及び第2のシース22は、所定の方向D1における長さが、第1実施形態に係るシース12と相違する。具体的には、第1のシース21及び第2のシース22は、シース12よりも短い。さらには、第1のシース21の長さL21と第2のシース22の長さL22を足し合わせた合計長さ(L21+L22)は、シース12の長さL12よりも短い(L21+L22<L12)。
第1のシース21は、リング8側(スリーブ部7側或いはネジ定着部9側)に配置される。例えば、第1のシース21の先端21aは、リング8の近傍に配置してよい。つまり、先端21aは、第1実施形態に係るシース12の先端12aと同じ位置に配置される。
また、第2のシース22は、定着ユニット6側に配置される。このとき、第2のシース22の基端22bは、定着ユニット6に接触してよい。つまり、基端22bは、第1実施形態に係るシース12の基端12bと同じ位置に配置される。
第1のシース21及び第2のシース22の合計長さ(L21+L22)と、第1のシース21及び第2のシース22の配置によれば、第1のシース21と第2のシース22との間には、隙間が形成される。この隙間からは、ボルト本体11の一部(定着領域R4)が露出する。第1のシース21の長さL21が第2のシース22の長さL22と等しい(L21=L22)とすれば、定着領域R4は、ボルト本体11の略中央に形成される。
定着領域R4は、定着材3と直接に接触し、定着領域R4には定着材3が定着する。つまり、可動軸部4Aは、意図的にボルト本体11の一部を第1のシース21及び第2のシース22から露出させ、定着材3を付着させることにより、アンカーとなり得る箇所を形成する。従って、定着領域R4の長さL11bは、アンカーとしての機能を確実に発揮するため、第2のシース22とスリーブ部7との間に形成される露出領域R1の長さL11aよりも長い。
この構成によれば、ロックボルト2Aは、非定着領域R3a、R3bをボルト本体11に形成することができる。従って、ボルト本体11の全面が定着材3に定着する構成と比較して、確実にボルト本体11を定着材3に対して滑らせることができる。さらに、この構成によれば、ロックボルト2Aは、定着領域R4をボルト本体11に形成することができる。従って、ボルト本体11が定着材3に対して定着する箇所を、ネジ定着部9に加えて、さらに増やすことができる。その結果、ボルト本体11が定着した状態を確実に形成することができる。
なお、第2実施形態に係るロックボルト2Aの可動軸部4Aでは、第1のシース21の長さL21は、第2のシース22の長さL22と異なっていてもよい。これらの長さL21、L22を適宜選択することにより、ボルト本体11における定着領域R4の位置及びその長さを設定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施してよい。
例えば、第1支持部の構成は、スリーブ部7に限定されず、地山101の変位に対応した支保力を発揮できる構成を採用してよい。例えば、図8に示すように、変形例1に係るロックボルト2Bは、第1支持部としてのスライド部24を有する。スライド部24は、ネジ定着部9に対するボルト本体11の移動可能な範囲を規制する。
スライド部24は、円筒状のシリンダケース25を有する。シリンダケース25は、可動軸部4のボルト本体11及びネジ定着部9との位置関係において、一方を他方に対して相対的に移動可能に連結する。また、シリンダケース25は、ボルト本体11及びネジ定着部9との位置関係において、一方に対して他方が移動可能な範囲を規定する。
シリンダケース25の先端25aには、ネジ定着部9が固定される。つまり、先端25aは、削孔104の底面と対面する。シリンダケース25の内部には、ピストン26が収容される。シリンダケース25の内径は、ピストン26の外径よりもわずかに大きい。要するに、シリンダケース25に対してピストン26が摺動可能であればよい。ピストン26には、ボルト本体11の先端11aが固定される。シリンダケース25の基端25bは、貫通孔を有する。貫通孔には、ボルト本体11が挿通される。貫通孔の中心軸線は、シリンダケース25の中心軸線と重複する。貫通孔の内径は、ボルト本体11の外径よりもわずかに大きい。
シリンダケース25には、圧縮バネ27が収容される。圧縮バネ27は、ピストン26と基端25bの間に配置される。圧縮バネ27は、ネジ定着部9に対してボルト本体11が開口104a側へ移動するときに、移動方向とは逆方向の力を発生させる。
この構成によれば、地山101が変位すると、ロックボルト2Bは、まず、スライド部24の変形が生じる。つまり、地山101の変位に基づく力に応じて、ボルト本体11が引っ張られる。従って、ピストン26が圧縮バネ27を圧縮しつつ、開口104a側へ移動する形態が生じる(第1支保形態)。このとき、ボルト本体11には非定着領域R2が形成されているので、ボルト本体11は、定着材3に起因する付着力の影響を実質的に無視した状態で、移動することができる。次に、圧縮バネ27が最小長さまで縮むと、それ以後は、ネジ定着部9をアンカーとして、ボルト本体11が伸びる形態(第2支保形態)が生じる。この形態においても、非定着領域R2により、ボルト本体11は、定着材3に起因する付着力の影響を実質的に無視した状態で、伸びることができる。第1支保形態と第2支保形態とでは、地山101の変位と支保力との関係が異なる。従って、多様な地山特性に対して好適に対応することができる。
また、例えば、ロックボルトは、ネジ定着部9を備えていなくともよい。図9の(a)部に示すように、変形例2に係るロックボルト2Cは、第1実施形態に係るロックボルト2に対してネジ定着部9を備えない点で相違する。その他のスリーブ部7、可動軸部4の構成は、第1実施形態に係るロックボルト2と同様である。同様に、図9の(b)部に示すように、変形例3に係るロックボルト2Dは、第2実施形態に係るロックボルト2Aに対してネジ定着部9を備えない点で相違する。その他のスリーブ部7、可動軸部4Aの構成は、第2実施形態に係るロックボルト2Aと同様である。さらに同様に、図9の(c)部に示すように、変形例4に係るロックボルト2Eは、変形例1に係るロックボルト2Bに対してネジ定着部9を備えない点で相違する。その他のスリーブ部7、可動軸部4の構成は、変形例1に係るロックボルト2Bと同様である。
1…支保構造、2,2A,2C,2D,2E…ロックボルト、3…定着材、4…可動軸部、6…定着ユニット(定着部)、7…スリーブ部(第1支持部)、8…リング、9…ネジ定着部(第2支持部)、11…ボルト本体(ボルト)、12…シース、13…シール部材、14…座金、16…ナット、17…基体部、18…第1テーパ部、19…第2テーパ部、21…第1のシース、22…第2のシース、24…スライド部、25…シリンダケース、26…ピストン、27…圧縮バネ、101…地山、102…トンネル、103…コンクリート壁、104…削孔、201、301…ロックボルト、302…アンカー、303…スムース、R1…露出領域、R2,R3a,R3b…非定着領域、R4…定着領域。

Claims (7)

  1. 地山に設けられた孔に充填された定着材に埋め込まれて、前記地山の変形に対応して地山を支保する棒体を備えるロックボルトであって、
    前記孔の奥側に配置され、前記地山の変形に伴って前記孔の開口の方向に移動する前記棒体より外径の大きい第1支持部と、
    前記第1支持部よりも前記孔の開口側に配置され、先端が前記第1支持部に連結され、基端が前記孔の開口から突出すると共に前記開口を囲む前記地山の表面に取り付けられる前記棒体と、前記棒体が挿通される貫通孔を有し前記棒体において前記定着材が定着しない非定着領域を形成するシースと、を有する可動軸部と、を備え、
    前記地山の変形に対応して、前記第1支持部が前記定着材に付着して滑らず、前記非定着領域が伸びる第1の形態と、
    前記第1の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さを維持しながら、前記第1支持部が前記定着材に対して相対的に移動する第2の形態と、
    前記第2の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記第1支持部の移動が阻害されると共に、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さからさらに伸びる第3の形態と、を取る、ロックボルト。
  2. 地山に設けられた孔に充填された定着材に埋め込まれて、前記地山の変形に対応して地山を支保する棒体を備えるロックボルトであって、
    前記孔の奥側に配置され、前記地山の変形に伴って前記孔の開口の方向に移動する前記棒体より外径の大きいスリーブ部と、
    前記スリーブ部よりも前記孔の開口側に配置され、先端が前記スリーブ部に連結され、基端が前記孔の開口から突出すると共に前記開口を囲む前記地山の表面に取り付けられる前記棒体と、前記棒体が挿通される貫通孔を有し前記棒体において前記定着材が定着しない非定着領域を形成するシースと、を有する可動軸部と、
    前記スリーブ部と前記シースとの間に配置されて、前記棒体が挿通される部分と、前記地山の変形に伴って移動した前記スリーブ部が当接可能である部分とを含み、当接した前記スリーブ部の移動を阻害する規制部材と、を備える、ロックボルト。
  3. 前記地山の変形に対応して、前記スリーブ部が前記定着材に付着して滑らず、前記非定着領域が伸びる第1の形態と、
    前記第1の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さを維持しながら、前記スリーブ部が前記規制部材に近づくように前記定着材に対して相対的に移動する第2の形態と、
    前記第2の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記スリーブ部が前記規制部材に当接することによって、前記スリーブ部の移動が阻害されると共に、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さからさらに伸びる形態と、を取る、請求項2に記載のロックボルト。
  4. 前記スリーブ部よりも前記孔の奥側に配置され、基端が前記スリーブ部に連結されると共に、前記定着材に対して付着する定着部を更に備える、請求項2に記載のロックボルト。
  5. 前記地山の変形に対応して、前記定着部の前記定着材への定着によって前記スリーブ部が前記定着材に付着して滑らず、前記非定着領域が伸びる第1の形態と、
    前記第1の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記定着部の前記定着材への定着が切れることによって、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さを維持しながら、前記スリーブ部が前記規制部材に近づくように前記定着材に対して相対的に移動する第2の形態と、
    前記第2の形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記スリーブ部が前記規制部材に当接することによって前記スリーブ部の移動が阻害されると共に、前記非定着領域が前記第1の形態で伸びた長さからさらに伸びる第3の形態と、を取る、請求項4に記載のロックボルト。
  6. 地山に設けられた孔に充填された定着材に埋め込まれて、前記地山の変形に対応して地山を支保する棒体を備えるロックボルトであって、
    前記孔の奥側に配置され、前記地山の変形に伴って前記孔の開口の方向に移動する前記棒体より外径の大きい第1支持部と、
    前記第1支持部よりも前記孔の開口側に配置され、先端が前記第1支持部に連結され、基端が前記孔の開口から突出すると共に前記開口を囲む前記地山の表面に取り付けられる前記棒体と、前記棒体が挿通される貫通孔を有し前記棒体において前記定着材が定着しない非定着領域を形成するシースと、を有する可動軸部と、を備え、
    前記地山の変形に対応して、前記棒体が引っ張られることにより前記第1支持部が前記棒体の移動を妨げる力を発生する形態と、
    前記棒体の移動を妨げる力を発生する形態からさらに前記地山が変形した場合に対応して、前記第1支持部が前記定着材に付着して滑らず、前記非定着領域が伸びる形態と、を取る、ロックボルト。
  7. 地山に設けられる支保構造であって、
    前記地山に形成された孔に充填される定着材と、
    請求項1~の何れか一項に記載の前記ロックボルトと、を備える、支保構造。
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