JP7116736B2 - 操作されたヘテロ二量体タンパク質 - Google Patents
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Description
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出している配列表を含み、この配列表全体が参照より本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピー(2018年2月20日に作成した)は、名称がPAT057505-WO-PCT_SL.txtであり、サイズが201,737バイトである。
(i)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み、147位で酸性アミノ酸を含み、且つ165位で酸性アミノ酸を含み、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み、124位で塩基性アミノ酸を含み、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含む;
(ii)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み、147位で塩基性アミノ酸を含み、且つ165位で塩基性アミノ酸を含み、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み、124位で酸性アミノ酸を含み、且つ169/170位で酸性アミノ酸を含む;
(iii)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位でアミノ酸を含み得、147位で酸性アミノ酸を含み得、且つ165位で塩基性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み得、124位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で酸性アミノ酸を含み得る;
(iv)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み得、147位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ165位で酸性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み得、124位で酸性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含み得る;
(v)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み得、147位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ165位で酸性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み得、124位で酸性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含み得る;
(vi)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み得、147位で酸性アミノ酸を含み得、且つ165位で塩基性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み得、124位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で酸性アミノ酸を含み得る;
(vii)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み得、147位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ165位で酸性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み得、124位で酸性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で中性アミノ酸を含み得る;
(viii)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み得、147位で酸性アミノ酸を含み得、且つ165位で中性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み得、124位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含み得る;
又は
(ix)操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み得、147位で塩基性アミノ酸を含み得、且つ165位で中性アミノ酸を含み得、操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み得、124位で中性アミノ酸を含み得、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含み得る、
ヘテロ二量体抗体又はその断片を提供する。
i.VH及びCH1中におけるQ39D、S165D、ならびにVL中におけるQ38K、
ii.VH及びCH1中におけるQ39K、K147D、ならびにカッパVL及びカッパCL中におけるQ38D、Q124K、
iii.VH及びCH1中におけるQ39D、S165D、ならびにカッパVL及びカッパCL中におけるQ38K、Q124D、
iv.VH及びCH1中におけるQ39K、K147D、S165R、ならびにカッパVL及びカッパCL中におけるQ38D、Q124K、K169D、
v.VH及びCH1中におけるQ39D、S165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中におけるQ38K、E124D、N170K、
vi.VH及びCH1中におけるQ39D、S165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中におけるQ38K、N170R
からなる群から選択される置換を含むヘテロ二量体抗体又はその断片を提供する。
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質(例えば、免疫グロブリン鎖又はその断片)を指す。用語「抗体」は、例えば、モノクローナル抗体(例えば、免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体)を含む。ある実施形態では、抗体は、完全長抗体又は完全長免疫グロブリン鎖を含む。ある実施形態では、抗体は、完全長抗体又は完全長免疫グロブリン鎖の抗原結合断片又は機能的断片を含む。
ある実施形態では、抗体はヘテロ二量体抗体であり、例えば、この抗体は、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、この複数のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、この複数のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。ある実施形態では、第1のエピトープ及び第2のエピトープは同一の抗原上にあり、例えば、同一のタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)である。別の実施形態では、第1のエピトープ及び第2のエピトープは異なる抗原上にあり、例えば異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)である。ある実施形態では、ヘテロ二量体抗体は、第3、第4、又は第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。ある実施形態では、ヘテロ二量体抗体は、二重特異性抗体、三重特異性抗体、又は四重特異性抗体である。
二重特異性抗体分子を生成するための電荷操作の使用の具体例として、例えば国際公開第07/110205号パンフレット(Merck)で説明されているSEEDヘテロ二量体形成、ならびに国際公開第09/089004号パンフレット(Amgen)、欧州特許第1870459B1号明細書(Chugai)、国際公開第10/129304号パンフレット(Oncomed)、同第14/150973号パンフレット(Eli Lilly & Co及びUniversity of North Carolina)、ならびに同第16/118742号パンフレット(Eli Lilly and & Co)で説明されている技術が挙げられる。
これまでの研究は、1個のCH1-CL界面内の天然の鎖間ジスルフィド結合の、操作された鎖間ジスルフィド結合への置き換えにより、同種のLC及びHCの対形成の増強が達成され得ることを説明している(米国特許出願公開第20140348839号明細書(MedImmune))。本発明のある実施形態では、電荷操作と、ジスルフィド結合操作との組み合わせが適用されている。天然の鎖間ジスルフィド結合は、文献で広く説明されているVH44-VL100ジスルフィド結合を安定化するFvに基づく設計を使用して、VH-VL界面内の結合に置き換えられた(Reiter et al.,(1996)Nat.Biotech.14:1239-45;Weatherill et al.,(2012)Protein Eng.Des.Sel.25(7):321-9)。そのような改変は、所望の独特のHC/LC対形成を供給結合的にロックすることを意図しており、加えて、二重特異性抗体の調製物をプロファイリングするのに必要な分析手順を容易にする。本明細書で説明された静電気的操作方法の厳密さにさらに追加する簡単な電気泳動ベースの手順を使用して、誤って構築された分子を容易に特定して定量し、正しく対形成した二重特異性抗体を達成し得る。静電気的操作により既に改変されているが、100%正しい同種の対形成を示さなかった重鎖及び軽鎖の対へのジスルフィド結合操作の追加により、誤って構築された分子を排除し得、重鎖とその同種の軽鎖との最大100%の正しい対形成を有する二重特異性抗体が得られる。
本発明は又、本明細書で説明された重鎖及び/又は軽鎖の定常ドメイン及び/又は可変ドメインをコードする核酸も包含する。本発明の核酸分子は、一本鎖の形態及び二本鎖の形態の両方のDNA及びRNA、ならびに対応する相補配列を含む。本発明の核酸分子は、完全長の遺伝子又はcDNA分子、及びこれらの断片の組み合わせを含む。本発明の核酸はヒト供給源に由来するが、本発明は、非ヒト種に由来するものを含む。
合理的な設計戦略を使用して一連のタンパク質を生成し、正しい重鎖-軽鎖の対形成等の望ましい特性を示す変異を特定した。重鎖-軽鎖の対形成の操作のための設計戦略には、代表的なFabを特定することが含まれた。代表的なFabの基準は、一般に使用されるVH及びVLのサブグループのメンバー(例えば、VH3及びVK1)であるか、又はラムダ軽鎖のメンバーであるということであった。Fab(抗c-Kit重鎖、配列番号7、及び軽鎖、配列番号21)の選択後、Fab界面のインシリコでの分析を実行して、重鎖と軽鎖との間の可能な相互作用に重要な残基を特定した。
軽鎖と、この軽鎖の同種の重鎖の正しい対形成を確実にするために、重鎖-軽鎖の構築を制御する方法を調べた。好ましいアプローチは、VH-VLドメイン及びCH1-CLドメインの電荷操作により、この構築を制御することであった。この実施例では、電荷操作の適切な位置を、人により誘導される設計により選択し、いくつかの基準を適用した。この選択したアミノ酸は、CDRと接触しないようにすべきであり、可能であれば、最も一般的な抗体ファミリ内で高度に保存されなければならない。界面の中心での位置は避けるべきであり、「クリップ効果」を達成するためにはむしろ、この位置は界面の縁であるべきである。一方のアームは荷電残基のセットを有すべきであり、他方のアームは、対応する3D位置でカウンター電荷又は中性電荷を有すべきである。操作の基準を満たした残基を下記の表1に列挙し、これらのうちのいくつかを、ヘテロ二量体抗体を作製するために調べた。エネルギーの最小化後、選択した側鎖の距離を確認するために、相同性モデリングを適用した。AMBER99力場を使用して、モデリングソフトウェアMOE(Chemical Computing Group Inc.)によりモデルを作成した。さらなる実験のために、10Å未満の側鎖距離のみを考慮した。例えば、K147DからT129Rまでの距離は10.1Åであり、この対形成をさらには追求しなかった。
重鎖及び軽鎖のDNAをGeneArt(Regensburg,Germany)で合成し、制限酵素ライゲーションをベースとするクローニング技術を使用して哺乳動物発現ベクターにクローニングした。得られたプラスミドをHEK293T細胞に共トランスフェクトした。Fabの一時的な発現のために、各操作された鎖に関して等量のベクターを、ポリエチレンイミン(PEI;カタログ番号 Polysciences,Inc.)を使用して、懸濁液適応(suspension-adapted)HEK293T細胞に共トランスフェクトした。典型的には、1ml当たり100~200万個の細胞の密度での懸濁液中の細胞100mlを、操作された重鎖をコードする発現ベクター50μgと、操作された軽鎖をコードする発現ベクター50μgとを含むDNAでトランスフェクトした。次いで、組換え発現ベクターを宿主細胞に導入し、7日の期間にわたり細胞をさらに培養して、0.1%のプルロン酸(pluronic acid)、4mMのグルタミン、及び0.25μg/mlの抗生物質を補充した培養培地(HEK、血清フリー培地)に分泌させることにより、構築物を産生させた。次いで、産生された構築物を、免疫親和性クロマトグラフィーを使用して、細胞フリー上清から精製した。ろ過した馴化培地をプロテインA樹脂(CaptivA PriMab(商標),Repligen)300μlと混合し、PBSバッファーpH7.4で平衡化した。この樹脂を15カラム容量のPBS pH7.4で3回洗浄した後、10カラム容量のプロテインA溶出バッファー(50mMのクエン酸塩、90mMのNaCl、pH2.5)でFabを溶出させた。
Fabバリアントの正しい重鎖-軽鎖の対形成の評価を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-UV-ESI-MS)により行なった。簡潔に言うと、精製済タンパク質を、スピン濃縮器(3000 MWCO、Millipore)を使用して100μLまで濃縮し、100%の水、0.05%のトリフルオロ酢酸(TFA)、及び100%のアセトニトリル、0.04%のTFAを含むUPLC(Acquity UPLC I-Class,Waters)による逆相クロマトグラフィー(カラムBEH C4 1.7μm 2.1*50mm,Waters)で分析した。5%~10%のアセトニトリル(0.2分で0.04%)の第1の勾配を適用し、次いで10%~45%のアセトニトリル(4分で0.04%)の第2の勾配を適用することにより、Fabバリアントを80℃で分離した。溶出したFabバリアントをUV(210~450nm)で検出し、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によりイオン化させた後、QTOF(Xevo G2-S QTof,Waters)により質量を分析した。最後に、注入したFab混合物の相対組成を、UVシグナルと質量強度との二重積分により決定した。
いくつかの好ましい変異セットを、多くのIgG1の可変領域及び定常領域に導入した。抗C-Kit抗体(配列番号29及び30)に加えて、抗HER3抗体(配列番号31及び32)ならびに抗IL-17抗体(配列番号33及び34)を使用して、IgG1設定でHC-LCの対形成を評価した。3種全ての抗体は、サブグループVH3/VK1のメンバーである。重鎖を正しく構築するために、抗体のCH3ドメインに導入された変異と共に、「ノブ・イントゥ・ホール」技術(Ridway et al.,上記参照)を使用した。下記の表4に従って、抗体の可変ドメイン、CH1ドメイン及びCLドメイン中に、さらなる変異を導入した。
抗体のFab部分に電荷を導入する効果を評価するために、カッパ軽鎖を有する抗体を、ラムダ軽鎖を含む抗体と混合した。好ましい変異セットをIgG1に導入した。抗c-Kit抗体(配列番号29及び30)に加えて、抗HER3抗体(配列番号31及び32)、抗IL-17抗体(配列番号33及び34)、抗IL-18抗体(配列番号35及び36)を使用して、IgG1設定で重鎖-軽鎖の対形成を評価した。c-Kit抗体、HER3抗体及びIL-17抗体はサブグループVH3-VK1のメンバーであり、IL-18抗体は、サブルグープVL1のメンバーである軽鎖を含む。重鎖の正しい構築を確実にするために、抗体のCH3ドメイン中に導入した変異と共に、「ノブ・イントゥ・ホール技術」(上記参照)を使用した。下記の表6に従って、抗体の可変ドメイン、CH1ドメイン、及びCLドメイン中に、さらなる変異を導入した。
操作された抗体のそれらの抗原に対する結合の特徴を明らかにするために、直接結合アッセイを実施した。速度論的結合親和性定数(Kinetic binding affinity constant)(KD)を、分析物として組換えヒト抗原を使用して、プロテインA補足タンパク質で測定した。測定を、室温でBIAcore(登録商標)T200(GE Healthcare,Glattbrugg,Switzerland)により行なった。親和性測定のために、タンパク質を、10mMのNaP、150mMのNaCl、0.05%のTween20,pH5.8で希釈し、製造業者の推奨(GE Healthcare)に従って標準的なアミンカップリング手順を使用して、CM5研究グレードセンサーチップ(GE Healthcare、ref BR-1000-14)のフローセルに固定した。参照として機能するために、1個のフローセルをブランク固定した。その後に、参照フローセル及び測定フローセルに一連の分析物希釈液を注入することにより、結合データを取得した。データ評価の最中に二重参照を可能にするために、ゼロ濃度の試料(ランニングバッファーのみ)を含めた。データ評価のために、2倍の参照センサグラム(referenced sensogram)を使用し、定常状態分析により分析して平衡解離定数(KD)を作成した。結果を表5にまとめている(欄BIAcore(登録商標)-KD(nM)。
表5(欄DSC-Tm(℃))に示すように、熱力測定を使用して、操作されたヘテロ二量体抗体、及びその親抗体の熱安定性を比較した。示差走査マイクロ熱量計(Nano DSC,TA instruments)で熱量測定を実行した。セル容積は0.5mlであり、加熱速度は1℃/分であった。全てのタンパク質を、PBS(pH7.4)中の1mg/mlの濃度で使用した。各タンパク質のモル熱容量を、タンパク質を含まない同一のバッファーを含む二重試料との比較により推定した。標準的な手順を使用して、部分モル熱容量及び融解曲線を分析した。サーモグラムをベースライン補正し、濃度を正規化した。
フレームワークが異なる抗体のFabに電荷を導入する効果を評価するために、軽鎖フレームワークVK1、VK3、VL1、VL2、VL3と、重鎖フレームワークVH1、VH2、VH3、VH5、及びVH6を有する抗体を、カッパ軽鎖VK1及び重鎖VH3を含む抗体と混合する。ヒト起源のフレームワーク領域の配列を、The Immunoglobulin Factsbook,by Marie-Paule Lefranc,Gerard Lefranc,Academic Press 2001,ISBN 012441351から入手し得る。好ましい変異セットをIgG1に導入し、対応する、操作されていない親抗体と比較した。HER2及び5種の他の抗原A~Eに対する抗体を、抗IL-17抗体と組み合わせて使用して、IgG1設定で重鎖-軽鎖の誤対形成を評価した。重鎖の正しい構築を確実にするために、「ノブ・イントゥ・ホール」技術(上記参照)を使用した。
二重特異性抗体のFabへの電荷の導入に加えて、天然のLC-HC鎖間ジスルフィド結合を二重特異性抗体の1個のFab中の操作されたVH-VLジスルフィド結合に置き換える効果を評価した。軽鎖フレームワークVL2又はVL3と、重鎖フレームワークVH1、VH2、及びVH5とを有する抗体を、カッパ軽鎖VK1及び重鎖VH3を含む抗体と混合した。ヒト起源のフレームワーク領域の配列は、The Immunoglobulin Factsbook(上記参照)から得られる。好ましい静電気的変異セットを、1個のFabへの操作されたVH-VLジスルフィド結合の付加と共にIgG1に導入した。1個のFab中に荷電残基及び非天然のジスルフィド結合を有する、これらの操作された抗体を、1個のアームのみ中に非天然のジスルフィド結合で操作された、対応する親抗体と比較した。4種の抗原(抗原F、G、H、及びI)に対する抗体を、抗IL-17抗体と組み合わせて使用し、IgG1設定で重鎖-軽鎖の誤対形成を評価した。重鎖の正しい構築を確実にするために、「ノブ・イントゥ・ホール」技術(上記参照)を使用した。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
少なくとも2個のFabを含むヘテロ二量体抗体又はその断片であって、少なくとも1個のFabは、
(a)操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)であり、39位、147位で荷電アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)と、
(b)操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)であり、38位で荷電アミノ酸を含み、124位及び169/170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含み、
前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の前記アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の前記アミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応している、
ヘテロ二量体抗体又はその断片。
[2]
液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、少なくとも95%のヘテロ二量体化が達成されている、[1]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[3]
前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み、147位で塩基性アミノ酸を含み、且つ165位で酸性アミノ酸を含み、対応する前記操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み、124位で酸性アミノ酸を含み、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含む、[1]又は[2]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[4]
前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み、147位で酸性アミノ酸を含み、且つ165位で塩基性アミノ酸を含み、対応する前記操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み、124位で塩基性アミノ酸を含み、且つ169/170位で酸性アミノ酸を含む、[1]又は[2]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[5]
前記操作された重鎖可変ドメインは、VH1サブタイプ、VH2サブタイプ、VH3サブタイプ、VH5サブタイプ、又はVH6サブタイプに由来する、[1]~[4]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[6]
前記操作された軽鎖可変ドメインは、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び169位で荷電アミノ酸を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[7]
前記操作された軽鎖可変ドメインは、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び170位で荷電アミノ酸を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[8]
Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリの操作された軽鎖可変ドメインと、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリの操作された軽鎖可変ドメインとを含む[1]~[7]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[9]
IgG Fc領域を含む[1]~[8]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[10]
前記IgG Fc領域は、336位で置換を有する第1のCH3領域と、336位、368位、及び407位で置換を有する第2のCH3領域とを含む、[9]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[11]
前記IgG Fc領域は、336位及び354位で置換を有する第1のCH3領域と、336位、368位、407位、及び349位で置換を有する第2のCH3領域とを含む、[9]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[12]
前記第1のCH3領域は、置換T336W及びS354Cを含み、前記第2のCH3領域は、置換T366S、L368A、Y407A、及びY349Cを含む、[11]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[13]
i.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記VL中のQ38K;
ii.前記VH及びCH1中のQ39K及びK147D、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38D及びQ124K;
iii.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;
iv.前記VH及びCH1中のQ39K、K147D、及びS165R、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38D、Q124K、及びK169D;
v.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170K;
ならびに
vi.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R
からなる群から選択される置換を含む[1]~[12]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[14]
液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、最大100%のヘテロ二量体化が達成されている、[1]~[13]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[15]
追加のFabは、
操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)であって、39位、147位で荷電アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)と、
操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)であって、38位で荷電アミノ酸を含み、且つ124位及び169/170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む、操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含み、
前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の前記アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の前記アミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応し、
1個のFabの前記操作されたVH中の39位、147位、及び165位のそれぞれでの電荷は、前記追加のFabの前記操作されたVH中の39位、147位、及び165位のそれぞれでの電荷と異なる、
[1]~[14]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[16]
1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D及びS165Dを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;(ii)前記ラムダVL中のQ38K;(iii)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R、又は(iv)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170Kから選択される置換を含む、[15]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[17]
前記追加のFab中の鎖間ジスルフィド結合は、操作されたVH-VL鎖間ジスルフィド結合に置き換えられている、[15]又は[16]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[18]
1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D、G44C、S165D、及びC220Aを含み、且つ前記VL及びCL中に、(i)前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K、Q100C、Q124D、及びC214A;(ii)前記ラムダVL中のQ38K、G100C、及びC214A;(iii)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C N170R、及びC214A;又は(iv)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C、E124D、N170K、及びC214Aから選択される置換を含む、[17]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片。
[19]
界面を形成するように対応している、操作されたVHドメイン及びCH1ドメインならびに操作されたVLドメイン及びCLドメインを含むヘテロ二量体抗体又はその断片を調製する方法であって、前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の少なくとも2個のアミノ酸を置換し、その結果、前記操作されたドメインは、39位、147位及び165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む、置換すること、ならびに前記VLドメイン及びCLドメイン中のアミノ酸を置換し、その結果、前記操作されたドメインは、38位、124位、及び169/170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む、置換することを含み、前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の前記荷電アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の前記界面の対応するアミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成している、方法。
[20]
液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、少なくとも95%のヘテロ二量体化が達成されている、[19]に記載の方法。
[21]
前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み、147位で塩基性アミノ酸を含み、且つ165位で酸性アミノ酸を含み、前記操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み、124位で酸性アミノ酸を含み、且つ169/170位で塩基性アミノ酸を含む、[19]又は[20]に記載の方法。
[22]
前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインは、39位で塩基性アミノ酸を含み、147位で酸性アミノ酸を含み、且つ165位で塩基性アミノ酸を含み、前記操作されたVLドメイン及びCLドメインは、38位で酸性アミノ酸を含み、124位で塩基性アミノ酸を含み、且つ169/170位で酸性アミノ酸を含む、[19]又は[20]に記載の方法。
[23]
前記操作された重鎖可変ドメインは、VH1サブタイプ、VH2サブタイプ、VH3サブタイプ、VH5サブタイプ、又はVH6サブタイプに由来する、[19]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
前記操作された軽鎖可変ドメインは、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び169位で荷電アミノ酸を含む、[19]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
前記操作された軽鎖可変ドメインは、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び170位で荷電アミノ酸を含む、[19]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[26]
前記ヘテロ二量体抗体又はその断片は、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリの操作された軽鎖可変ドメインと、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリの操作された軽鎖可変ドメインとを含む、[19]~[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記ヘテロ二量体抗体又はその断片はIgG Fc領域を含む、[19]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記IgG Fc領域は、336位で置換を有する第1のCH3領域と、336位、368位、及び407位で置換を有する第2のCH3領域とを含む、[27]に記載の方法。
[29]
前記IgG Fc領域は、336位及び354位で置換を有する第1のCH3領域と、336位、368位、407位、及び349位で置換を有する第2のCH3領域とを含む、[27]に記載の方法。
[30]
前記第1のCH3領域は、置換T366W及びS354Cを含み、且つ前記第2のCH3領域は、置換T366S、L368A、Y407A、及びY349Cを含む、[29]に記載の方法。
[31]
前記ヘテロ二量体抗体又はその断片は、
i.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記VL及びCL中のQ38K;
ii.前記VH及びCH1中のQ39K及びK147D、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38D及びQ124K;
iii.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;
iv.前記VH及びCH1中のQ39K、K147D、及びS165R、ならびに前記カッパVL及びカッパCL中のQ38D、Q124K、及びK169D;
v.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170K;
ならびに
vi.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R
からなる群から選択される置換を含む、[19]~[30]のいずれか一項に記載の方法。
[32]
液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、最大100%のヘテロ二量体化が達成されている、[19]~[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記ヘテロ二量体抗体又はその断片は追加のFabを含み、前記追加のFabは、
操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)であって、39位、147位で荷電アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む操作された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)と、
操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)であって、38位で荷電アミノ酸を含み、且つ124位及び169/170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む操作された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含み、
前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の前記アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の前記アミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応し、
1個のFabの前記操作されたVH中の39位、147位及び165位のそれぞれでの電荷は、前記追加のFabの前記操作されたVH中の39位、147位及び165位のそれぞれでの電荷と異なる、
[19]~[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34]
1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D及びS165Dを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;(ii)前記ラムダVL中のQ38K;(iii)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R、又は(iv)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D及びN170Kから選択される置換を含む、[33]に記載の方法。
[35]
前記追加のFabの天然のLC-HC鎖間ジスルフィド結合は、操作されたVH-VL鎖間ジスルフィド結合に置き換えられている、[33]又は[34]に記載の方法。
[36]
1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D、G44C、S165D、及びC220Aを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)前記カッパVL及びカッパCL中のQ38K、Q100C、Q124D、及びC214A;(ii)前記ラムダVL中のQ38K、G100C、及びC214A;(iii)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C N170R、及びC214A、又は(iv)前記ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C、E124D、N170K、及びC214Aから選択される置換を含む、[35]に記載の方法。
[37]
[1]~[16]のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片を調製する方法であって、
(a)前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインのポリペプチドをコードする核酸と、前記操作されたVLドメイン及びCLドメインのポリペプチドを含む核酸とを含む宿主細胞を培養する工程であり、前記培養された宿主細胞は、前記操作されたポリペプチドを発現する、培養する工程、
ならびに
(b)前記宿主細胞の培養物から前記ヘテロ二量体抗体又はその断片を回収する工程
を含む方法。
[38]
[17]又は[18]に記載のヘテロ二量体抗体又はその断片を調製する方法であって、
(a)前記操作されたVHドメイン及びCH1ドメインのポリペプチドをコードする核酸と、前記操作されたVLドメイン及びCLドメインのポリペプチドを含む核酸とを含む宿主細胞を培養する工程であり、前記培養された宿主細胞は、前記操作されたポリペプチドを発現する、培養する工程、
(b)前記宿主細胞の培養物から前記ヘテロ二量体抗体又はその断片を回収する工程、
ならびに
(c)電気泳動システムを使用して、正しい重鎖-軽鎖の対形成を決定する工程
を含む方法。
Claims (34)
- 少なくとも2個のFabを含むヘテロ二量体抗体またはその抗原結合断片であって、少なくとも1個のFabは、
(a)静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)および重鎖定常ドメイン1(CH1)であり、39位で酸性アミノ酸を含み、147位で塩基性アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で酸性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)および重鎖定常ドメイン1(CH1)と、静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)および軽鎖定常ドメイン(CL)であり、38位で塩基性アミノ酸を含み、124位で酸性アミノ酸を含み、且つ169位または170位(EUナンバリング)で塩基性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)および軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含むか、または
(b)静電気的操作によって改変されたVHドメインおよびCH1ドメインであり、39位で塩基性アミノ酸を含み、147位で酸性アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で塩基性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変されたVHドメインおよびCH1ドメインと、静電気的操作によって改変されたVLドメインおよびCLドメインであり、38位で酸性アミノ酸を含み、124位で塩基性アミノ酸を含み、且つ169位または170位(EUナンバリング)で酸性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変されたVLドメインおよびCLドメインと
を含み、
前記VHドメインおよびCH1ドメイン中の複数の前記アミノ酸と、前記VLドメインおよびCLドメイン中の複数の前記アミノ酸とは一対で電荷が相反しており、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応している、
ヘテロ二量体抗体またはその抗原結合断片。 - 液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、少なくとも95%のヘテロ二量体化が達成されている、請求項1に記載のヘテロ二量体抗体またはその抗原結合断片。
- 前記静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメインは、VH1サブタイプ、VH2サブタイプ、VH3サブタイプ、VH5サブタイプ、またはVH6サブタイプに由来する、請求項1または2に記載のヘテロ二量体抗体またはその抗原結合断片。
- 前記静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインは、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び169位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 前記静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインは、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリの静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインと、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリの静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインとを含む請求項1~5のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- IgG Fc領域を含む請求項1~6のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 前記IgG Fc領域は、366位で置換を有する第1のCH3領域と、366位、368位、及び407位(EUナンバリング)で置換を有する第2のCH3領域とを含む、請求項7に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 前記IgG Fc領域は、366位及び354位で置換を有する第1のCH3領域と、366位、368位、407位、及び349位(EUナンバリング)で置換を有する第2のCH3領域とを含む、請求項7に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 前記第1のCH3領域は、置換T366W及びS354Cを含み、前記第2のCH3領域は、置換T366S、L368A、Y407A、及びY349C(EUナンバリング)を含む、請求項9に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- i.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記VL中のQ38K;
ii.前記VH及びCH1中のQ39K及びK147D、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38D及びQ124K;
iii.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;
iv.前記VH及びCH1中のQ39K、K147D、及びS165R、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38D、Q124K、及びK169D;
v.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170K;
ならびに
vi.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R
からなる群から選択される置換(EUナンバリング)を含む請求項1~10のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。 - 液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、95から100%の間のヘテロ二量体化が達成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 追加のFabは、
静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)であって、39位、147位で荷電アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)と、
静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)であって、38位で荷電アミノ酸を含み、且つ124位及び169位または170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む、静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含み、
前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の複数の前記アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の複数の前記アミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応し、
1個のFabの前記静電気的操作によって改変されたVH中の39位、147位、及び165位(EUナンバリング)のそれぞれでの電荷は、前記追加のFabの前記静電気的操作によって改変されたVH中の39位、147位、及び165位(EUナンバリング)のそれぞれでの電荷と異なる、
請求項1~12のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。 - 1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169D(EUナンバリング)を含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D及びS165Dを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;(ii)ラムダVL中のQ38K;(iii)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R、又は(iv)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170Kから選択される置換(EUナンバリング)を含む、請求項13に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 前記追加のFab中の鎖間ジスルフィド結合は、前記VH及びCH1ドメインに置換G44CおよびC220A(EUナンバリング)を、前記VL及びCLドメインに置換Q100CおよびC124A(EUナンバリング)をそれぞれ含む、改変されたVH-VL鎖間ジスルフィド結合に置き換えられている、請求項13又は14に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165R(EUナンバリング)を含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169D(EUナンバリング)を含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D、G44C、S165D、及びC220A(EUナンバリング)を含み、且つ前記VL及びCL中に、(i)カッパVL及びカッパCL中のQ38K、Q100C、Q124D、及びC214A;(ii)ラムダVL中のQ38K、G100C、及びC214A;(iii)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C、N170R、及びC214A;又は(iv)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C、E124D、N170K、及びC214Aから選択される置換(EUナンバリング)を含む、請求項15に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片。
- 界面を形成するように対応している、静電気的操作によって改変されたVHドメインおよびCH1ドメインならびに静電気的操作によって改変されたVLドメインおよびCLドメインを含むヘテロ二量体抗体またはその抗原結合断片を調製する方法であって、前記VHドメインおよびCH1ドメイン中の少なくとも2個のアミノ酸を置換し、その結果、前記静電気的操作によって改変されたドメインは、39位で酸性アミノ酸を含み、147位で塩基性アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で酸性アミノ酸を含む、置換すること、ならびに前記VLドメインおよびCLドメイン中のアミノ酸を置換し、その結果、前記静電気的操作によって改変されたドメインは、38位で塩基性アミノ酸を含み、124位で酸性アミノ酸を含み、且つ169位または170位(EUナンバリング)で塩基性アミノ酸を含む、置換することを含み、前記VHドメインおよびCH1ドメイン中の複数の前記アミノ酸と、前記VLドメインおよびCLドメイン中の前記界面の対応する複数のアミノ酸とは一対で電荷が相反しており、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成している、方法。
- 液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、少なくとも95%のヘテロ二量体化が達成されている、請求項17に記載の方法。
- 前記静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメインは、VH1サブタイプ、VH2サブタイプ、VH3サブタイプ、VH5サブタイプ、又はVH6サブタイプに由来する、請求項17又は18に記載の方法。
- 前記静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインは、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び169位で荷電アミノ酸を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインは、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリに由来し、且つ38位、124位及び170位で荷電アミノ酸を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片は、Vκ1サブファミリ又はVκ3サブファミリの静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインと、Vλ1サブファミリ、Vλ2サブファミリ、又はVλ3サブファミリの静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメインとを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片はIgG Fc領域を含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IgG Fc領域は、366位で置換を有する第1のCH3領域と、366位、368位、及び407位(EUナンバリング)で置換を有する第2のCH3領域とを含む、請求項23に記載の方法。
- 前記IgG Fc領域は、366位及び354位で置換を有する第1のCH3領域と、366位、368位、407位、及び349位(EUナンバリング)で置換を有する第2のCH3領域とを含む、請求項23に記載の方法。
- 前記第1のCH3領域は、置換T366W及びS354Cを含み、且つ前記第2のCH3領域は、置換T366S、L368A、Y407A、及びY349Cを含む、請求項25に記載の方法。
- 前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片は、
i.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびに前記VL中のQ38K;
ii.前記VH及びCH1中のQ39K及びK147D、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38D及びQ124K;
iii.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;
iv.前記VH及びCH1中のQ39K、K147D、及びS165R、ならびにカッパVL及びカッパCL中のQ38D、Q124K、及びK169D;
v.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D、及びN170K;
ならびに
vi.前記VH及びCH1中のQ39D及びS165D、ならびにラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R
からなる群から選択される置換を含む、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。 - 液体クロマトグラフィー質量分析により決定した場合に、95から100%の間のヘテロ二量体化が達成されている、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片は追加のFabを含み、前記追加のFabは、
静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)であって、39位、147位で荷電アミノ酸を含み、且つ165位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変された重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン1(CH1)と、
静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)であって、38位で荷電アミノ酸を含み、且つ124位及び169位または170位(EUナンバリング)で荷電アミノ酸又は中性アミノ酸を含む静電気的操作によって改変された軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)と
を含み、
前記VHドメイン及びCH1ドメイン中の前記アミノ酸と、前記VLドメイン及びCLドメイン中の前記アミノ酸とは一対で、電荷が相反しているか、又は荷電しており/中性であり、且つヘテロ二量体化に静電気的に有利な界面を形成するように対応し、
1個のFabの前記静電気的操作によって改変されたVH中の39位、147位及び165位のそれぞれでの電荷は、前記追加のFabの前記静電気的操作によって改変されたVH中の39位、147位及び165位のそれぞれでの電荷と異なる、
請求項17~28のいずれか一項に記載の方法。 - 1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D及びS165Dを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)カッパVL及びカッパCL中のQ38K及びQ124D;(ii)ラムダVL中のQ38K;(iii)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K及びN170R、又は(iv)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、E124D及びN170Kから選択される置換を含む、請求項29に記載の方法。
- 前記追加のFabの天然のLC-HC鎖間ジスルフィド結合は、前記VH及びCH1ドメインに置換G44CおよびC220A(EUナンバリング)を、前記VL及びCLドメインに置換Q100CおよびC124A(EUナンバリング)をそれぞれ含む、改変されたVH-VL鎖間ジスルフィド結合に置き換えられている、請求項29又は30に記載の方法。
- 1個のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39K、K147D、及びS165Rを含み、且つ前記VL及びCL中に置換Q38D、Q124K、及びK169Dを含み、前記追加のFabは、前記VH及びCH1中に置換Q39D、G44C、S165D、及びC220Aを含み、且つ前記VH及びCL中に、(i)カッパVL及びカッパCL中のQ38K、Q100C、Q124D、及びC214A;(ii)ラムダVL中のQ38K、G100C、及びC214A;(iii)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C N170R、及びC214A、又は(iv)ラムダVL及びラムダCL中のQ38K、G100C、E124D、N170K、及びC214Aから選択される置換を含む、請求項31に記載の方法。
- 請求項1~14のいずれか一項に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片を調製する方法であって、
(a)前記静電気的操作によって改変されたVHドメイン及びCH1ドメインのポリペプチドをコードする核酸と、前記静電気的操作によって改変されたVLドメイン及びCLドメインのポリペプチドを含む核酸とを含む宿主細胞を培養する工程であり、前記培養された宿主細胞は、前記静電気的操作によって改変されたポリペプチドを発現する、培養する工程、
ならびに
(b)前記宿主細胞の培養物から前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片を回収する工程を含む方法。 - 請求項15又は16に記載のヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片を調製する方法であって、
(a)前記静電気的操作によって改変されたVHドメイン及びCH1ドメインのポリペプチドをコードする核酸と、前記静電気的操作によって改変されたVLドメイン及びCLドメインのポリペプチドを含む核酸とを含む宿主細胞を培養する工程であり、前記培養された宿主細胞は、前記静電気的操作によって改変されたポリペプチドを発現する、培養する工程、
(b)前記宿主細胞の培養物から前記ヘテロ二量体抗体又はその抗原結合断片を回収する工程、ならびに
(c)電気泳動システムを使用して、正しい重鎖-軽鎖の対形成を決定する工程
を含む方法。
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