JP7114013B1 - 治具固定用粘着シート、保護膜形成用複合シート、及び保護膜付きチップの製造方法 - Google Patents

治具固定用粘着シート、保護膜形成用複合シート、及び保護膜付きチップの製造方法 Download PDF

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Abstract

護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートに用いられる治具固定用粘着シート(1)であって、第1粘着剤層(161)と、芯材フィルム(162)と、第2粘着剤層(163)とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されており、治具固定用粘着シート(1)は、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断強度(Ah)の、130℃、2h加熱後の試験片における、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)に対する比(Ah/Bh)が1.25以上である。

Description

本発明は、治具固定用粘着シート、前記治具固定用粘着シートを用いて形成された治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シート、及び、保護膜付きチップの製造方法に関する。
本願は、2021年3月22日に、日本に出願された特願2021-047594号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を適用した半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、半導体チップの回路面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなった半導体チップの裏面には、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために、有機材料を含有する樹脂膜が形成され、保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。保護膜付き半導体チップの製造加工用に、保護膜形成フィルムとダイシングテープとが組み合わされた保護膜形成用複合シートが使用されている(例えば、特許文献1)。
例えば、図2に示される保護膜形成用複合シート101は、基材11を有する支持シート10上に保護膜形成フィルム13を備え、保護膜形成フィルム13の周縁部近傍の領域上にリングフレーム等の固定用治具に固定するための治具用粘着剤層16を備えている。保護膜形成フィルム13上及び治具用粘着剤層16上に剥離フィルム15が積層されていてもよい。また、治具用粘着剤層16は、第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層された複数層構造を有することがある。芯材フィルム162は、ポリ塩化ビニル製であることが多い(例えば、特許文献1)。
特開2016-15456号公報
保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートを用いて保護膜付きチップを製造する際には、例えば、初めに、図5A及び図5Bに示されるように、固定用治具18に保護膜形成用複合シート101中の治具用粘着剤層16を貼付するとともに、半導体ウエハ等のワーク9の裏面9bに、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13を貼付することにより、支持シート10上に、保護膜形成フィルム13及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シート501を作製する。
例えば、保護膜形成フィルム13が熱硬化性であるとき、第1積層複合シート501の周縁部を治具用粘着剤層16により固定用治具18に貼付した状態で、第1積層複合シート501を加熱する(図5C)。これにより、保護膜形成フィルム13を熱硬化させて保護膜13’を形成することにより、図5Dに示されるように、支持シート10、保護膜13’及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シート502を作製する。
次いで、第2積層複合シート502を冷却し、その後、図5Eに示されるように、支持シート10上で、第2積層複合シート502中のワーク9を分割し、保護膜13’を切断する。以上により、これら複数個の保護膜付きチップ901が支持シート10上で固定されている第3積層複合シート503を作製する。
次いで、図5Fに示されるように、第3積層複合シート503中の保護膜付きチップ901を支持シート10から引き離すことによりピックアップする。目的とするすべての保護膜付きチップ901に対して、保護膜付きチップ901のピックアップを行った後に、第3積層複合シート503から保護膜付きチップ901が引き離されて残った第4積層複合シート504は、図5Gに示されるように、治具用粘着剤層16により固定用治具18に貼付されたままである。図5Hに示されるように、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離することにより、固定用治具18は、図5Aに戻って、再度使用される。
従来の熱硬化性の保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートを用いて、保護膜形成フィルムを熱硬化させると、治具用粘着剤層16と固定用治具18との間の粘着力が強くなり、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離する際に、強い張力が加わるために、図7に示されるように、固定用治具18の側に残る治具用粘着剤層16と、第4積層複合シート504の側に剥離される治具用粘着剤層16とに別れて、治具用粘着剤層16が破断するおそれがあった。
保護膜形成フィルムが熱硬化性でない場合であっても、保護膜チップを製造する際に、第1積層複合シート501を長期間保管することがあったり、加熱処理することがあったりして、治具用粘着剤層16と固定用治具18との間の粘着力が強くなり、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離する際に、強い張力が加わるために、治具用粘着剤層16が破断するおそれがあった。治具用粘着剤層16が破断すると、図7に示されるように、第4積層複合シート504の側に剥離される治具用粘着剤層16と、固定用治具18の側に残る治具用粘着剤層16とに分かれてしまう。固定用治具18を再利用するためは、固定用治具18の側に残った治具用粘着剤層16を剥離させる必要があり、余分な負荷となる。
本発明は、芯材フィルムを有する治具固定用粘着シートであって、前記治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる治具固定用粘着シート、前記治具固定用粘着シートを用いて形成された治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シート、及び、保護膜付きチップの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の治具固定用粘着シート、保護膜形成用複合シート、及び保護膜付きチップの製造方法を提供する。
[1] 保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートに用いられる治具固定用粘着シートであって、
第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されており、
前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断強度(Ah)の、130℃、2h加熱後の試験片の、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)に対する比(Ah/Bh)が1.25以上である、治具固定用粘着シート。
[2] 前記180°引き離し粘着力(Bh)が2.0~12N/10mmである、請求項1に記載の治具固定用粘着シート。
[3] 前記破断強度(Ah)が6N/10mm以上である、[1]又は[2]に記載の治具固定用粘着シート。
[4] 前記第1粘着剤層及び第2粘着剤層は、アクリル樹脂を含有する治具用粘着剤組成物から形成され、前記アクリル樹脂の重量平均分子量が70万以上である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
[5] 前記アクリル樹脂が(メタ)アクリル酸由来の構成単位を有さない、[1]~[4]に記載の治具固定用粘着シート。
[6] 前記芯材フィルムの構成材料が直鎖低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルを含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
[7] 前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)が100%以上である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
[8] 前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)の、加熱前の試験片において引張試験から求められる破断伸度(X0)に対する比(Xh/X0)が、0.10~1.50である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
[9] 支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた保護膜形成フィルムと、前記支持シートの前記一方の面上又は前記保護膜形成フィルムの前記支持シートとは反対側の第1面上の周縁部近傍に設けられた治具用粘着剤層と、を備える保護膜形成用複合シートであって、
前記治具用粘着剤層が、[1]~[8]のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シートを用いて形成された、保護膜形成用複合シート。
[10] 前記保護膜形成フィルムが、熱硬化性である、[9]に記載の保護膜形成用複合シート。
[11] チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップの製造方法であって、
固定用治具に前記保護膜形成用複合シート中の治具用粘着剤層を貼付するとともに、ワークの裏面に、[9]又は[10]に記載の保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムを貼付することにより、前記支持シート上に、前記保護膜形成フィルム及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シートを作製する工程と、
前記支持シート上で、前記ワークを分割し、前記保護膜形成フィルム若しくは前記保護膜形成フィルムを硬化させて得られる保護膜を切断することにより、複数個の保護膜形成フィルム付きチップ若しくは保護膜付きチップが前記支持シート上で固定されている第3積層複合シートを作製する工程と、
前記第3積層複合シート中の前記保護膜形成フィルム付きチップ若しくは前記保護膜付きチップを前記支持シートから引き離すことによりピックアップする工程と、を有する保護膜付きチップの製造方法。
[12] チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップの製造方法であって、
固定用治具に前記保護膜形成用複合シート中の治具用粘着剤層を貼付するとともに、ワークの裏面に、[10]に記載の保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムを貼付することにより、前記支持シート上に、前記保護膜形成フィルム及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シートを作製する工程と、
前記第1積層複合シートの周縁部を前記固定用治具に貼付した状態で、前記第1積層複合シートを加熱して、前記保護膜形成フィルムを硬化させ前記保護膜を形成することにより、前記支持シート上に、前記保護膜及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シートを作製する工程と、
前記支持シート上で、前記第2積層複合シート中の前記ワークを分割し、前記保護膜を切断することにより、複数個の保護膜付きチップが前記支持シート上で固定されている第3積層複合シートを作製する工程と、
前記第3積層複合シート中の前記保護膜付きチップを前記支持シートから引き離すことによりピックアップする工程と、を有する保護膜付きチップの製造方法。
本発明によれば、芯材フィルムを有する治具固定用粘着シートであって、前記治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる治具固定用粘着シート、前記治具固定用粘着シートを用いて形成された治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シート、及び、保護膜付きチップの製造方法が提供される。
本発明の実施形態に係る治具固定用粘着シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シートの他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シートの、さらに他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一例の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一例の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一例の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一例の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の第二実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 本発明の第二実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の一部を模式的に説明するための断面図である。 従来の保護膜付きチップの製造方法の一例の一部を模式的に説明するための断面図である。
<<治具固定用粘着シート>>
本発明の実施形態に係る治具固定用粘着シートは、保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートに用いられる治具固定用粘着シートであって、第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている。
本実施形態の治具固定用粘着シートの例を、以下、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の治具固定用粘着シートの一例を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す治具固定用粘着シート1は、第1剥離フィルム151と、第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163と、第2剥離フィルム152とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている。
図1に示す治具固定用粘着シートは、後述するように、例えば、リング形状にくり抜くことによって、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163からなる治具用粘着剤層16を形成することができ、図2~図4に示されるような、保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シート101、保護膜形成用複合シート102、保護膜形成用複合シート104に、利用することができる。
第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成される治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断強度(Ah)[N/10mm]の、130℃、2h加熱後の試験片の、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)[N/10mm]に対する比(Ah/Bh)が1.25以上である。
本実施形態の治具固定用粘着シートは、比(Ah/Bh)が1.25以上であることにより、前記治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる。
治具固定用粘着シートは、比(Ah/Bh)が1.40以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましく、1.75以上であることが特に好ましい。
比(Ah/Bh)の上限値は限定されないが、治具固定用粘着シートの取り扱い性を良好とする観点から、6.5以下であることが好ましく、5.5以下であることがより好ましく、4.5以下であることがさらに好ましい。
前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片の、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)が2.0~12N/10mmであることが好ましい。前記180°引き離し粘着力(Bh)は2.0N/10mm以上であることが好ましく、2.4N/10mm以上であることがより好ましく、2.8N/10mm以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いるとき、加熱プロセス中、又は、加熱プロセス後に、固定用治具からの浮きが生じるおそれを低減できる。
前記治具固定用粘着シートは、前記180°引き離し粘着力(Bh)が12N/10mm以下であることが好ましく、10N/10mm以下であることがさらに好ましく、9.2N/10mm以下であることが特に好ましい。前記上限値以下にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いるとき、固定用治具の側に糊残りが生じにくく固定用治具から容易に剥離できる。
前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片の、前記破断強度(Ah)が6N/10mm以上であることが好ましく、8N/10mm以上であることがより好ましく、10N/10mm以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具からより容易に剥離できる。
前記破断強度(Ah)は、100N/10mm以下であることが好ましく、60N/10mm以下であることがより好ましく、40N/10mm以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下にすることにより、治具固定用粘着シートを取り扱い易くすることができる。
前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)が100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましく、400%以上であることが特に好ましい。前記下限値以上にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具からより容易に剥離できる。
前記治具固定用粘着シートは、加熱前の試験片において引張試験から求められる破断伸度(X0)が100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いたとき、保護膜形成用複合シートのワークへの貼り付け不具合があった場合に、ワークを剥がして、ワークを再度使えるようにする(リワーク)の工程の際にも、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる。
前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)の、加熱前の試験片において引張試験から求められる破断伸度(X0)に対する比(Xh/X0)が、0.10~1.50であることが好ましく、0.30~1.30であることがより好ましい。前記数値範囲にすることにより、治具固定用粘着シートを用いて治具用粘着剤層を備える保護膜形成用複合シートを形成し、保護膜付きチップの製造に用いるとき、加熱するプロセスと加熱しないプロセスの両方で兼用し易い。例えば、同じ装置を用いて、治具固定用粘着シートを固定用治具から剥離しようとした場合に、わざわざ条件を変えることなく、リワーク工程の際(すなわち、加熱前)でも、保護膜付きチップを製造した後(すなわち、加熱後)でも、同一の条件設定で容易に剥離することができる。
(加熱後の破断強度(Ah)、及び、加熱後の破断伸度(Xh)の測定方法)
治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ80mmの短冊形状に切断し、130℃、2h加熱し、放冷する。治具固定用粘着シートが、第1剥離フィルム151と、第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163と、第2剥離フィルム152とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されているときには、第2粘着剤層163から第2剥離フィルム152を剥離し、さらに、第1粘着剤層161から第1剥離フィルム151を剥離する。第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている治具固定用粘着シートの試験片について、23℃、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を実施し、破断強度(Ah)[N/10mm]、及び、破断伸度(Xh)[%]を求める。
(加熱後の180°引き離し粘着力(Bh)の測定方法)
治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ250mmの短冊形状に切断し、固定用治具に貼付する側の第1粘着剤層161を露出させ、露出した治具固定用粘着シートの第1粘着剤層161を、♯1200HL(ヘアライン)研磨仕上げされたSUS304の板の♯1200HL研磨仕上げされた面に2kgローラーを1往復することにより貼付する。130℃、2h加熱し、放冷し、23℃、50%RHの環境下で、JIS Z0237に準拠して、180°引き離し粘着力(Bh)を300mm/minの速さで測定する。
治具固定用粘着シートの180°引き離し粘着力は、治具固定用粘着シートの第1粘着剤層161を露出させて、治具固定用粘着シートの第1粘着剤層161の側の180°引き離し粘着力を測定してもよいし、第2粘着剤層163を露出させて、治具固定用粘着シートの第2粘着剤層163の側の180°引き離し粘着力を測定してもよい。治具固定用粘着シートの第1粘着剤層161の側の180°引き離し粘着力又は第2粘着剤層163の側の180°引き離し粘着力のいずれか一方が、上記の範囲であればよく、治具固定用粘着シートの第1粘着剤層161の側の180°引き離し粘着力及び第2粘着剤層163の側の180°引き離し粘着力の両方が、上記の範囲であることが好ましい。
(比(Ah/Bh)の計算方法)
130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断強度(Ah)の、130℃、2h加熱後の試験片の、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)に対する比(Ah/Bh)は、前記破断強度(Ah)を前記180°引き離し粘着力(Bh)で割り算することにより計算することができる。
(加熱前の破断伸度(X0)の測定方法)
治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ80mmの短冊形状に切断する。治具固定用粘着シートが、第1剥離フィルム151と、第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163と、第2剥離フィルム152とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されているときには、第2粘着剤層163から第2剥離フィルム152を剥離し、さらに、第1粘着剤層161から第1剥離フィルム151を剥離する。第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている治具固定用粘着シートの試験片について、23℃、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を実施し、加熱前の破断伸度(X0)[%]を求める。
(比(Xh/X0)の計算方法)
130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)の、加熱前の試験片において引張試験から求められる破断伸度(X0)に対する比(Xh/X0)は、前記破断伸度(Xh)を前記破断伸度(X0)で割り算することにより計算することができる。
次に、治具固定用粘着シートを構成する各層について、さらに詳細に説明する。
<芯材フィルム>
前記芯材フィルムの構成材料としては、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-プロピレンゴム等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン;ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
前記芯材フィルムの構成材料は、これらの中でも、前記治具固定用粘着シートの前記破断伸度(X0)、破断強度(Ah)及び破断伸度(Xh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる点から、ポリオレフィン又はポリ塩化ビニルを含むことが好ましい。また、直鎖低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルを含むことがより好ましい。
芯材フィルムを構成する樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
芯材フィルムは1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
芯材フィルムの厚さは、5~140μmであってもよく、16~100μmであることが好ましく、20~80μmであることがより好ましく、40~60μmであることがさらに好ましい。芯材フィルムの厚さがこのような範囲であることにより、治具固定用粘着シートの可撓性が向上し、前記治具固定用粘着シートを用いた保護膜形成用複合シートの皺発生を防止できる。
ただし、前記破断強度(Ah)を調整するために、むやみに、芯材フィルムの厚さを厚くすることはできない。特に、芯材フィルムの厚さが前記上限値以下であることにより、芯材フィルムの高さの関係から、マウンタのラミネートロールの押圧がリングフレーム部だけに集中することによるマウンタでの貼付性不良を防ぐことができ、保護膜形成用複合シートをロール形態で保管した際のトンネリングを防ぐことができ、また、抜き加工時の切断性低下を防ぐことができる。
ここで、「芯材フィルムの厚さ」とは、芯材フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる芯材フィルムの厚さとは、芯材フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
芯材フィルムは、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
芯材フィルムは、透明であることが好ましく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
芯材フィルムは、その両面に設けられる第1粘着剤層及び第1粘着剤層との密着性を調節するために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理;親油処理;親水処理等が表面に施されていてもよい。また、芯材フィルムは、表面がプライマー処理されていてもよい。
芯材フィルムは、特定範囲の成分(例えば、樹脂等)を含有することにより、少なくとも一方の面において、粘着性を有するものであってもよい。
○芯材フィルムの製造方法
芯材フィルムは、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する芯材フィルムは、前記芯材フィルムを含有する樹脂組成物を成形することにより製造できる。
<第1粘着剤層及び第2粘着剤層>
第1粘着剤層及び第2粘着剤層は、前記引き離し粘着力の条件を満たすものであり、非エネルギー線硬化性であってもよく、エネルギー線硬化性であってもよく、非エネルギー線硬化性であることが好ましい。
本明細書において、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。これとは逆にエネルギー線を照射することにより硬化する性質を「エネルギー線硬化性」と称する。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることにより照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
第1粘着剤層及び第2粘着剤層の厚さは、前記180°引き離し粘着力を適切に調整できることから、それぞれ、2~15μmであることが好ましく、3~12μmであることがより好ましく、4~10μmであることが特に好ましい。
第1粘着剤層、芯材フィルム及び第2粘着剤層の合計の厚さは、10~170μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましく、30~70μmであることがさらに好ましく、35~60μmであることが特に好ましい。前記下限値以上であることにより、前記180°引き離し粘着力を適切に調整でき、前記上限値以下であることにより、治具固定用粘着シートの可撓性が向上し、前記治具固定用粘着シートを用いた保護膜形成用複合シートの皺発生を防止できる。
前記第1粘着剤層及び第2粘着剤層は、粘着剤を含有する治具用粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、第1粘着剤層の形成対象面に治具用粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることにより、目的とする部位に第1粘着剤層を形成できる。第2粘着剤層の形成対象面に治具用粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることにより、目的とする部位に第2粘着剤層を形成できる。第1粘着剤層及び第2粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。治具用粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
治具用粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
治具用粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、治具用粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で乾燥させることが好ましい。
前記第1粘着剤層及び第2粘着剤層を形成するための治具用粘着剤組成物としては、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物、又は、後述するエネルギー線硬化性の粘着剤組成物が挙げられ、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物であることが好ましい。
ここで、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む樹脂)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂)、ポリビニルエーテル、又はポリカーボネート等の粘着性樹脂(以下、「粘着性樹脂(i)」と称する)を含有するものが挙げられる。
(粘着性樹脂(i))
前記粘着性樹脂(i)の中でも、リングフレーム等の固定用治具18との密着性が高く、ダイシング工程等にて固定用治具18から保護膜形成用複合シートが剥がれることを効果的に抑制することのできるアクリル樹脂が好ましい。
粘着性樹脂(i)における前記アクリル樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル重合体が挙げられる。
前記アクリル樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1~20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
第1粘着剤層及び第2粘着剤層の粘着力が向上する点では、前記アクリル重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することにより架橋の起点となったり、前記官能基が不飽和基含有化合物中のイソシアネート基、グリシジル基等の官能基と反応したりすることにより、アクリル重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。架橋反応が容易になることから、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル又は(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましく、アクリル酸4-ヒドロキシブチル又はアクリル酸2-ヒドロキシエチルがより好ましく、アクリル酸4-ヒドロキシブチルが特に好ましい。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
粘着性樹脂(i)における前記アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位及び水酸基含有モノマー由来の構成単位を有するアクリル重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、水酸基含有モノマー由来の構成単位、及び、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を有するアクリル重合体であってもよい。前記アクリル樹脂は(メタ)アクリル酸由来の構成単位を有さないことが好ましい。
前記アクリル重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、0.5~12質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることがより好ましく、1.0~5.0質量%であることが特に好ましい。
前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリル重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着性樹脂(i)における前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、70万以上であることが好ましく、80万以上であることがより好ましい。前記下限値以上であることにより、前記治具固定用粘着シートの前記180°引き離し粘着力(Bh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる。
粘着性樹脂(i)における前記アクリル樹脂の重量平均分子量は1000万以下であることが好ましく、500万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下であることにより、前記破断強度(Ah)、及び、前記治具固定用粘着シートの前記180°引き離し粘着力(Bh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
粘着性樹脂(i)におけるアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-70~30℃であることが好ましく、-65~-5℃であることがより好ましく、-60~-20℃であることがさらに好ましく、-55~-40℃であることが特に好ましい。アクリル樹脂のTgが前記範囲にあることにより、保護膜付きチップの製造に用いるとき、加熱後に、固定用治具からの浮きが生じにくく、かつ、固定用治具の側に糊残りを生じさせることが少ない、治具固定用粘着シートをより容易に得ることができる。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下に示すFoxの式を用いて計算から求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)(式中、Tgはアクリル樹脂のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,…Tgmはアクリル樹脂の原料となる各単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、W1、W2、…Wmは各単量体の質量分率である。ただし、W1+W2+…+Wm=1である。)
前記Foxの式における各単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、高分子データ・ハンドブック、粘着ハンドブック又はPolymer Handbook等に記載の値を用いることができる。例えば、メチルアクリレートホモポリマーのTgは10℃、2-ヒドロキシエチルアクリレートホモポリマーのTgは-15℃、n-ブチルアクリレートホモポリマーのTgは-54℃、エチルアクリレートホモポリマーのTgは-24℃、4-ヒドロキシブチルアクリレートホモポリマーのTgは-32℃、N,N-ジメチルアクリルアミドホモポリマーのTgは119℃、アクリロイルモルホリンホモポリマーのTgは145℃、グリシジルメタクリレートホモポリマーのTgは41℃である。
前記アクリル重合体以外の粘着性樹脂(i)も、前記アクリル重合体と同様に、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
治具用粘着剤組成物が含有する粘着性樹脂(i)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
治具用粘着剤組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、粘着性樹脂(i)の含有量の割合(すなわち、粘着剤層の粘着性樹脂(i)の含有量)は60~99質量%であることが好ましく、70~98質量%であることがより好ましく、80~96質量%であることが特に好ましい。粘着性樹脂(i)の含有量の前記割合がこのような範囲であることにより、前記治具固定用粘着シートの前記180°引き離し粘着力(Bh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる。
(架橋剤(ii))
治具用粘着剤組成物は、架橋剤(ii)を含有することが好ましい。
架橋剤(ii)は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(i)同士を架橋するものである。
架橋剤(ii)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて前記治具固定用粘着シートの前記180°引き離し粘着力(Bh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤(ii)はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
治具用粘着剤組成物が含有する架橋剤(ii)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
治具用粘着剤組成物が架橋剤(ii)を含有する場合、治具用粘着剤組成物において、架橋剤(ii)の含有量は、粘着性樹脂(i)の含有量100質量部に対して、0.02~4.0質量部であることが好ましく、0.03~2.0質量部であることがより好ましく、0.04~1.0質量部であることがさらに好ましく、0.04~0.3質量部であることが特に好ましい。架橋剤(ii)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、架橋剤(ii)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(ii)の前記含有量が前記範囲であることにより、前記治具固定用粘着シートの前記180°引き離し粘着力(Bh)を、前記数値範囲に調整することがより容易になる。
(その他の添加剤)
治具用粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、治具用粘着剤組成物中に混入している触媒の作用によって、保存中の治具用粘着剤組成物において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
治具用粘着剤組成物が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
治具用粘着剤組成物において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
治具用粘着剤組成物は、溶媒を含有していてもよい。治具用粘着剤組成物は、溶媒を含有していることにより、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(i)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(i)から取り除かずに、そのまま治具用粘着剤組成物において用いてもよいし、粘着性樹脂(i)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、治具用粘着剤組成物の製造時に別途添加してもよい。
治具用粘着剤組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
治具用粘着剤組成物において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
[治具用粘着剤組成物の製造方法]
治具用粘着剤組成物は、これを構成するための各成分を配合することにより得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことにより用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することにより用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
<第1剥離フィルム及び第2剥離フィルム>
前記治具固定用粘着シートは、第1粘着剤層及び第2粘着剤層の外側の両面に、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムが積層されている形態で、供給することができる。
第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムとしては、特に限定されず、市販の剥離フィルムを使用することができ、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
第1剥離フィルムの第1粘着剤層に接する面及び第2剥離フィルムの第2粘着剤層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が比較的低い剥離フィルムは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また剥離フィルムの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことにより得ることもできる。第1剥離フィルムの第1粘着剤層に接する面及び第2剥離フィルムの第2粘着剤層に接する面の表面張力は、同じであってもよく、例えば、第1剥離フィルムの第1粘着剤層に接する面が重剥離面となるように、異ならせることが好ましい。
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系、ゴム系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された剥離フィルムを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成させればよい。
第1剥離フィルムの第1粘着剤層に接する面及び第2剥離フィルムの第2粘着剤層に接する面の表面粗さ(Ra)としては、10~100nmが好ましく、15~60nmが好ましく、20~50nmが好ましい。
第1剥離フィルムの第1粘着剤層に接する面及び第2剥離フィルムの第2粘着剤層に接する面の表面粗さ(Ra)は同じであってもよく、異なっていてもよい。
<治具固定用粘着シートの製造方法>
治具固定用粘着シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することにより製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、第1剥離フィルムの剥離処理面に第1粘着剤層の治具用粘着剤組成物を塗工し、第1剥離フィルムの剥離処理面上に第1粘着剤層を形成する。芯材フィルムの一方の第1面に第1粘着剤層の露出面を貼合する。第2剥離フィルムの剥離処理面に第2粘着剤層の治具用粘着剤組成物を塗工し、第2剥離フィルムの剥離処理面上に第2粘着剤層を形成する。芯材フィルムの他方の第2面に第2粘着剤層の露出面を貼合することにより、第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成された治具固定用粘着シートを製造することができる。
<<保護膜形成用複合シート>>
本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シートは、支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた保護膜形成フィルムと、前記支持シートの前記一方の面上又は前記保護膜形成フィルムの前記支持シートとは反対側の第1面上の周縁部近傍に設けられた治具用粘着剤層と、を備える保護膜形成用複合シートであって、前記治具用粘着剤層が、上述の本発明の実施形態に係る治具固定用粘着シートを用いて形成されている。
本実施形態の保護膜形成用複合シートの例を、以下、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態の保護膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す保護膜形成用複合シート101は、支持シート10と、支持シート10の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10a上に設けられた保護膜形成フィルム13と、を備えて構成されている。
支持シート10は、基材11と、基材11の一方の面(第1面)11a上に設けられた粘着剤層12と、を備えて構成されている。保護膜形成用複合シート101中、粘着剤層12は、基材11と保護膜形成フィルム13との間に配置されている。
すなわち、基材11及び粘着剤層12からなる支持シート10と、支持シート10の粘着剤層12の面上に設けられた保護膜形成フィルム13と、保護膜形成フィルム13の支持シート10とは反対側の第1面上の周縁部近傍に設けられた治具用粘着剤層16と、を備える。
支持シート10の第1面10aは、粘着剤層12の基材11側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)12aと同じである。
保護膜形成用複合シート101は、さらに保護膜形成フィルム13上に、治具用粘着剤層16及び剥離フィルム15を備えている。
保護膜形成用複合シート101においては、粘着剤層12の第1面12aの全面又はほぼ全面に、保護膜形成フィルム13が積層され、保護膜形成フィルム13の粘着剤層12側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に、治具用粘着剤層16が積層されている。さらに、保護膜形成フィルム13の第1面13aのうち、治具用粘着剤層16が積層されていない領域と、治具用粘着剤層16の保護膜形成フィルム13側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)16aに、剥離フィルム15が積層されている。保護膜形成フィルム13の第1面13aとは反対側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)13bには、支持シート10が設けられている。
保護膜形成用複合シート101の場合に限らず、本実施形態の保護膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムは任意の構成であり、本実施形態の保護膜形成用複合シートは、剥離フィルムを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
保護膜形成用複合シート101は、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、保護膜形成フィルム13の第1面13aにワークの裏面が貼付され、さらに、治具用粘着剤層16の第1面16aが、リングフレーム等の固定用治具18に貼付されて、使用される。
図3は、本実施形態の保護膜形成用複合シートの他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す保護膜形成用複合シート102は、保護膜形成フィルムの形状及び大きさが異なり、治具用粘着剤層が保護膜形成フィルムの第1面ではなく、粘着剤層の第1面に積層されている点以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート101と同じである。
より具体的には、保護膜形成用複合シート102において、保護膜形成フィルム23は、粘着剤層12の第1面12aの一部の領域、すなわち、粘着剤層12の幅方向(図3における左右方向)における中央側の領域に、積層されている。さらに、粘着剤層12の第1面12aのうち、保護膜形成フィルム23が積層されていない領域に、保護膜形成フィルム23をその幅方向の外側から非接触で取り囲むように、治具用粘着剤層16が積層されている。そして、保護膜形成フィルム23の粘着剤層12側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)23aと、治具用粘着剤層16の第1面16aとに、剥離フィルム15が積層されている。保護膜形成フィルム23の第1面23aとは反対側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)23bには、支持シート10が設けられている。
図4は、本実施形態の保護膜形成用複合シートの、さらに他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す保護膜形成用複合シート104は、支持シート10に代えて支持シート20を備えて構成されている点以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート101と同じである。
支持シート20は、基材11のみからなる。
すなわち、保護膜形成用複合シート104は、基材11及び保護膜形成フィルム13が、これらの厚さ方向において積層されて構成されている。基材11のみからなる支持シート20と、支持シート20の一方の面上に設けられた保護膜形成フィルム13と、支持シート10の前記一方の面上の周縁部近傍に設けられた治具用粘着剤層16と、を備える
支持シート20の保護膜形成フィルム13側の面(第1面)20aは、基材11の第1面11aと同じである。
本実施形態の保護膜形成用複合シートは、図2~図4に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図2~図4に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
次に、保護膜形成用複合シートを構成する各層について、さらに詳細に説明する。
○支持シート
前記支持シートは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
支持シートは、透明であることが好ましく、目的に応じて着色されていてもよい。
保護膜形成フィルムがエネルギー線硬化性を有するとき、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
支持シートとしては、例えば、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えたもの;基材のみからなるもの;等が挙げられる。支持シートが粘着剤層を備えている場合、粘着剤層は、保護膜形成用複合シートにおいては、基材と保護膜形成フィルムとの間に配置される。
基材及び粘着剤層を備えた支持シートを用いた場合には、保護膜形成用複合シートにおいて、支持シートと保護膜形成フィルムとの間の、密着性及び剥離性を容易に調節できる。
基材のみからなる支持シートを用いた場合には、低コストで保護膜形成用複合シートを製造できる。
○基材
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
前記基材の構成材料は、ポリオレフィン樹脂を含有することが好ましく、これらの中でも、ポリエチレン以外のポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
基材を構成する樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、50~300μmであることが好ましく、60~100μmであることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることにより、支持シート及び保護膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ等のワークへの貼付適性がより向上する。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材は、透明であることが好ましく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
基材は、その上に設けられる粘着剤層又は保護膜形成フィルムとの接着性を調節するために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理;親油処理;親水処理等が表面に施されていてもよい。また、基材は、表面がプライマー処理されていてもよい。
基材は、特定範囲の成分(例えば、樹脂等)を含有することにより、少なくとも一方の面において、粘着性を有するものであってもよい。
○粘着剤層
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられる。
本明細書において、「粘着性樹脂」には、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方が包含される。例えば、前記粘着性樹脂には、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含まれる。
粘着剤層は1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、1~100μmであることが好ましく、1~60μmであることがより好ましく、1~30μmであることが特に好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
粘着剤層は、透明であることが好ましく、目的に応じて着色されていてもよい。
保護膜形成フィルムがエネルギー線硬化性を有するとき、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤層は、その硬化前及び硬化後での物性を調節できる。例えば、後述する保護膜付きチップのピックアップ前に、エネルギー線硬化性の粘着剤層を硬化させることにより、この保護膜付きチップをより容易にピックアップできる。
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることにより、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤組成物における、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層における前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
粘着剤組成物の塗工及び乾燥は、例えば、上述の治具用粘着剤組成物の塗工及び乾燥の場合と同じ方法で行うことができる。
粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、水酸基を有し、非エネルギー線硬化性であって粘着性のアクリル樹脂(I-1a)(以下、「粘着性樹脂(I-1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I-1);非エネルギー線硬化性の前記粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)(以下、「粘着性樹脂(I-2a)」と略記することがある)を含有する粘着剤組成物(I-2);前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I-3)等が挙げられる。
粘着剤層が非エネルギー線硬化性である場合、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の前記粘着性樹脂(I-1a)を含有する粘着剤組成物(I-4)等が挙げられる。
[非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)]
前記粘着性樹脂(I-1a)は、水酸基を有するアクリル樹脂である。
前記アクリル樹脂としては、例えば、水酸基含有モノマー由来の構成単位、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル重合体が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1~20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
前記アクリル重合体は、水酸基含有モノマー由来の構成単位、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、水酸基含有モノマー以外の官能基含有モノマー由来の構成単位を有していてもよい。
水酸基含有モノマーを含めて官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することにより架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中のイソシアネート基、グリシジル基等の官能基と反応したりすることにより、アクリル重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマーの他、例えば、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
前記粘着剤組成物(I-1)、粘着剤組成物(I-2)、粘着剤組成物(I-3)及び粘着剤組成物(I-4)(以下、これら粘着剤組成物を包括して、「粘着剤組成物(I-1)~(I-4)」と略記する)において、前記アクリル重合体等の前記アクリル樹脂が有する構成単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル重合体において、構成単位の全量に対する、官能基含有モノマー由来の構成単位の量の割合は、1~35質量%であることが好ましい。
粘着剤組成物(I-1)又は粘着剤組成物(I-4)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-1)又は粘着剤組成物(I-4)から形成される粘着剤層において、前記粘着剤層の総質量に対する、粘着性樹脂(I-1a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましく、例えば、25~98質量%、45~97質量%、及び65~96質量%のいずれかであってもよい。
[エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)]
前記粘着性樹脂(I-2a)は、例えば、前記粘着性樹脂(I-1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることにより得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と反応することにより、粘着性樹脂(I-1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
粘着剤組成物(I-2)又は(I-3)が含有する粘着性樹脂(I-2a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)又は(I-3)から形成される粘着剤層において、前記粘着剤層の総質量に対する、粘着性樹脂(I-2a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
前記粘着剤組成物(I-1)又は(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーの重合体であるオリゴマー等が挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)又は(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-1)又は(I-3)から形成される粘着剤層において、前記粘着剤層の総質量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量の割合は、1~50質量%であることが好ましい。
[架橋剤]
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)は、さらに、イソシアネート系架橋剤を含有してもよい。
前記架橋剤は、前記水酸基と反応して、粘着性樹脂(I-1a)同士又は粘着性樹脂(I-2a)同士を架橋する。
前記粘着剤組成物(I-1)~(I-4)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-1a)又は粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、例えば、1~40質量部、5~35質量部、及び10~30質量部のいずれかであってもよい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I-1)、(I-2)及び(I-3)(以下、これら粘着剤組成物を包括して、「粘着剤組成物(I-1)~(I-3)」と略記する)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-1)~(I-3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2-ジフェニルメタン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ-クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)~(I-3)が含有する光重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましい。
粘着剤組成物(I-2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましい。
粘着剤組成物(I-3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)及び前記エネルギー線硬化性化合物の総含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I-1)~(I-4)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I-1)~(I-4)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制する成分である。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)が含有するその他の添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)のその他の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I-1)~(I-4)は、溶媒を含有していることにより、その塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
○粘着剤組成物の製造方法
粘着剤組成物(I-1)~(I-4)等の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することにより得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
◇支持シートの製造方法
基材上に粘着剤層を設けるときには、例えば、基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。また、例えば、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることにより、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の表面と貼合することにより、基材上に粘着剤層を積層してもよい。この場合の剥離フィルムは、保護膜形成用複合シートの製造過程又は使用過程のいずれかのタイミングで、取り除けばよい。
○保護膜形成フィルム
前記保護膜形成フィルムは、保護膜付きチップの製造方法において、半導体ウエハ等のワークの裏面に貼付して用いられるものである。保護膜形成フィルムは、ワーク又は前記ワークを分割して得られるチップの裏面を保護するために用いられる。
前記保護膜形成用複合シートを用いることにより、後述する保護膜付きチップの製造方法により、チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップを製造できる。
さらに、前記保護膜付きチップを用いることにより、基板装置を製造できる。
本明細書において、「基板装置」とは、保護膜付きチップが、その回路面上の突状電極において、回路基板上の接続パッドにフリップチップ接続されて、構成されたものを意味する。例えば、ワークとして半導体ウエハを用いた場合であれば、基板装置としては、保護膜付き半導体チップを搭載した半導体装置が挙げられる。
前記保護膜形成フィルムは、硬化性であってもよく、非硬化性であってもよい。前記保護膜形成フィルムは、硬化性であることが好ましい。
前記保護膜形成フィルムが硬化性であるとき、前記保護膜形成フィルムは、熱硬化性保護膜形成フィルムであってもよく、エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムであってもよい。前記保護膜形成フィルムは、熱硬化性保護膜形成フィルムであることがより好ましい。
本明細書において、常温の保護膜形成フィルムを、常温を超える温度になるまで加熱し、次いで常温になるまで冷却することにより、加熱・冷却後の保護膜形成フィルムとし、加熱・冷却後の樹脂膜形成フィルムの硬さと、加熱前の樹脂膜形成フィルムの硬さと、を同じ温度で比較したとき、加熱・冷却後の樹脂膜形成フィルムの方が硬い場合には、この保護膜形成フィルムは、熱硬化性である。
保護膜形成フィルムが硬化性であるとき、半導体ウエハ等のワーク又はワークを分割して得られたチップに貼付された保護膜形成フィルムを硬化することにより、保護膜形成フィルムは保護膜となる。
保護膜形成フィルムが非硬化性であるとき、半導体ウエハ等のワークを分割して得られたチップを、チップに貼付された保護膜形成フィルムと共にピックアップすることにより、保護膜形成フィルムは保護膜になったものとみなす。
熱硬化性保護膜形成フィルムは、以下に説明する熱硬化性保護膜形成用組成物(III-1)を用いて形成できる。
<保護膜形成用組成物(III-1)>
熱硬化性保護膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性保護膜形成用組成物(III-1)(本明細書においては、「保護膜形成用組成物(III-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[重合体成分(A)]
重合体成分(A)は、熱硬化性保護膜形成フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、アクリル樹脂が好ましい。
前記アクリル樹脂は、モノマーである(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む樹脂である。ここでいう「由来する」とは、前記モノマーが重合するのに必要な構造の変化を受けたことを意味する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
重合体成分(A)における前記アクリル樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~2000000であることが好ましく、100000~1500000であることがより好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることにより、被着体の凹凸面へ熱硬化性保護膜形成フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性保護膜形成フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-60~70℃であることが好ましく、-30~50℃であることがより好ましい。アクリル樹脂のTgが前記下限値以上であることにより、保護膜と支持シートとの密着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。また、アクリル樹脂のTgが前記上限値以下であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルム及び保護膜の被着体との接着力が向上する。
アクリル樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することにより、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
保護膜形成用組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成フィルムにおける、熱硬化性保護膜形成フィルムの総質量に対する重合体成分(A)の含有量の割合)は、重合体成分(A)の種類によらず、1質量%以上85質量%未満であることが好ましく、2質量%以上65質量%未満であることが好ましく、3質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、4質量%以上40質量%未満であることがさらに好ましく、5質量%以上35質量%未満であることが特に好ましく、10質量%以上30質量%未満であることが特に好ましい。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本明細書においては、保護膜形成用組成物(III-1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、保護膜形成用組成物(III-1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[熱硬化性成分(B)]
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性を有し、熱硬化性保護膜形成フィルムを硬化させて、硬質の保護膜を形成するための成分である。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂(エポキシ基を有する熱硬化性樹脂)、熱硬化性ポリイミド樹脂(イミド結合を有する熱硬化性樹脂)、熱硬化性不飽和ポリエステル系樹脂(エステル結合と、炭素原子間の不飽和結合と、を有する熱硬化性樹脂)等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。本明細書において、熱硬化性ポリイミド樹脂とは、熱硬化することによってポリイミド樹脂を形成する、ポリイミド前駆体と、熱硬化性ポリイミドと、の総称である。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、分子内にエポキシ基を有するものであってよく、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、分子内に2以上のエポキシ基を有する2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
熱硬化剤(B2)は、常温では固形で、かつエポキシ樹脂(B1)に対して硬化活性を示さず、一方で、加熱によって溶解し、かつエポキシ樹脂(B1)に対して硬化活性を示す熱硬化剤(以下、「熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤」と略記することがある)であることが好ましい。
前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤は、常温では熱硬化性保護膜形成フィルムにおいて、エポキシ樹脂(B1)中に安定して分散しているが、加熱によってエポキシ樹脂(B1)と相溶し、エポキシ樹脂(B1)と反応する。前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤を用いることにより、保護膜形成用複合シートの保存安定性が顕著に向上する。例えば、熱硬化性保護膜形成フィルムから隣接する支持シート又は治具用粘着剤層へのこの硬化剤の移動が抑制され、熱硬化性保護膜形成フィルムの熱硬化性の低下が効果的に抑制される。そして、熱硬化性保護膜形成フィルムの加熱による熱硬化性がより高くなるため、後述する保護膜付きチップのピックアップ性がより向上する。
前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、オニウム塩、二塩基酸ヒドラジド、ジシアンジアミド、硬化剤のアミン付加物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましく、1~50質量部であることがさらに好ましく、1~10質量部であることが特に好ましい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの吸湿率が低減されて、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
保護膜形成用組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する熱硬化性成分(B)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成フィルムにおける、熱硬化性保護膜形成フィルムの総質量に対する熱硬化性成分(B)の含有量の割合)は、熱硬化性成分(B)の種類によらず、1質量%以上75質量%未満であることが好ましく、2質量%以上60質量%未満であることが好ましく、3質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、4質量%以上40質量%未満であることがさらに好ましく、5質量%以上35質量%未満であることが特に好ましく、6質量%以上30質量%未満であることが特に好ましい。
実施形態の熱硬化性保護膜形成フィルムは、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有し、前記重合体成分(A)が、アクリル樹脂であり、熱硬化性成分(B)が、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなるエポキシ系熱硬化性樹脂であるものを例示できる。
[硬化促進剤(C)]
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、保護膜形成用組成物(III-1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることにより、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性保護膜形成フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
[充填材(D)]
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性保護膜形成フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性保護膜形成フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することにより、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性保護膜形成フィルムが充填材(D)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成フィルムにおける、熱硬化性保護膜形成フィルムの総質量に対する、充填材(D)の含有量の割合)は、5質量%よりも大きく85質量%未満であることが好ましく、20質量%よりも大きく85質量%未満であることが好ましく、30質量%よりも大きく80質量%未満であることがより好ましく、45質量%よりも大きく80質量%未満であることがさらに好ましく、46質量%よりも大きく75質量%未満であることが特に好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることにより、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(E)]
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性保護膜形成フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることにより、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(F)]
重合体成分(A)として、上述のアクリル樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)を用いて架橋することにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの貯蔵弾性率E’を、好適な範囲へと容易に調整可能である。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)系、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系、キシリレンジイソシアネート(XDI)系、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(すなわち、イソシアネート基を2つ以上有する架橋剤)が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性保護膜形成フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの支持シートとの密着力や、熱硬化性保護膜形成フィルムのワーク又はチップとの接着力が、過度に低下することが抑制される。
[エネルギー線硬化性化合物(G)]
保護膜形成用組成物(III-1)は、エネルギー線硬化性化合物(G)を含有していてもよい。熱硬化性保護膜形成フィルムは、エネルギー線硬化性化合物(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
保護膜形成用組成物(III-1)におけるエネルギー線硬化性化合物(G)としては、粘着剤組成物(I-1)におけるエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)が含有するエネルギー線硬化性化合物(G)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性化合物(G)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III-1)において、保護膜形成用組成物(III-1)の総質量に対する、エネルギー線硬化性化合物(G)の含有量の割合は、1~50質量%であることが好ましく、2~40質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることが特に好ましい。
[光重合開始剤(H)]
保護膜形成用組成物(III-1)は、エネルギー線硬化性化合物(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性化合物(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
保護膜形成用組成物(III-1)における光重合開始剤(H)としては、粘着剤組成物(I-1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)が含有する光重合開始剤(H)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III-1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性化合物(G)の含有量100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、2~5質量部であることが特に好ましい。
[着色剤(I)]
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する着色剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(I)を用いる場合、熱硬化性保護膜形成フィルムの着色剤(I)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、保護膜はレーザー照射により印字が施される場合があり、熱硬化性保護膜形成フィルムの着色剤(I)の含有量を調節し、保護膜の光透過性を調節することにより、印字視認性を調節できる。また、熱硬化性保護膜形成フィルムの着色剤(I)の含有量を調節することにより、保護膜の意匠性を向上させたり、ウエハの裏面の研削痕を見えにくくすることもできる。これの点を考慮すると、保護膜形成用組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(I)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成フィルムにおける、熱硬化性保護膜形成フィルムの総質量に対する着色剤(I)の含有量の割合)は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.1~7.5質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることが特に好ましい。着色剤(I)の前記含有量が前記下限値以上であることにより、着色剤(I)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(I)の前記含有量が前記上限値以下であることにより、熱硬化性保護膜形成フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
[汎用添加剤(J)]
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムが含有する汎用添加剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III-1)及び熱硬化性保護膜形成フィルムの汎用添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
保護膜形成用組成物(III-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(III-1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III-1)が含有する溶媒は、保護膜形成用組成物(III-1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
○熱硬化性保護膜形成用組成物の製造方法
保護膜形成用組成物(III-1)等の保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することにより得られる。
熱硬化性保護膜形成用組成物の製造方法は、例えば、配合成分の種類が異なる点以外は、先に説明した粘着剤組成物の製造方法の場合と同じ方法で製造できる。
○治具用粘着剤層
治具用粘着剤層16は、リングフレーム等の固定用治具18に、保護膜形成用複合シート101を固定するために用いる。
治具用粘着剤層16は、上述の本発明の実施形態に係る治具固定用粘着シートを用いて形成されており、第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている。
治具用粘着剤層16はリング形状であることが好ましい。
○治具用粘着剤層の製造方法
リング形状の第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163からなる治具用粘着剤層16は、例えば、図1に示される治具固定用粘着シートを用いて、次の様に作製することができる。
図1に示される治具固定用粘着シートから軽面剥離フィルムとなる第2剥離フィルム152を剥離して取り除く。次に、第2粘着剤層163の側から円形の抜き刃を当てて、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163の内周縁をカットし、内側の円形部分を除去する。次に、第2粘着剤層163の側から同心円状に、円形の抜き刃を当てて、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163の外周縁をカットし、外側部分を除去する。
これにより、第1剥離フィルム151上に、リング形状の第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163がこの順に積層して構成される、治具用粘着剤層16を作製することができる。
本実施形態の治具用粘着剤を備える保護膜形成用複合シートは、後述する保護膜付きチップの製造方法に好適に用いることができる。
◇保護膜形成用複合シートの製造方法
前記保護膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように積層し、必要に応じて、一部又はすべての層の形状を調節することにより、製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
基材上に積層済みの粘着剤層の上に、さらに保護膜形成用組成物を塗工して、保護膜形成フィルムを直接形成することが可能である。このように、基材上に積層済みのいずれかの層(以下、「第1層」と略記する)上に、新たな層(以下、「第2層」と略記する)を形成して、連続する2層の積層構造(換言すると、第1層及び第2層の積層構造)を形成する場合には、前記第1層上に、前記第2層を形成するための組成物を塗工して、必要に応じて乾燥させる方法が適用できる。
ただし、第2層は、これを形成するための組成物を用いて、剥離フィルム上にあらかじめ形成しておき、この形成済みの第2層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、第1層の露出面と貼合することにより、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
例えば、次の手順で図2に示される保護膜形成用複合シート101を作製することができる。
基材11上に積層済みの粘着剤層12を備える支持シート10、及び、剥離フィルム上に保護膜形成フィルム13を作製し、支持シート10の粘着剤層12と、保護膜形成フィルム13とを貼合して、基材11及び粘着剤層12からなる支持シート10と、保護膜形成フィルム13と、剥離フィルムとを備える第3積層体を作製する。
前記第3積層体から、剥離フィルムを取り除く。
前述の治具用粘着剤層の製造方法に沿って、第1剥離フィルム151上に、リング形状の第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163がこの順に積層して構成される治具用粘着剤層16を作製し、剥離フィルムが取り除かれた前記第3積層体の保護膜形成フィルム13と、治具用粘着剤層16とを貼合する。
次の手順でも、図2に示される保護膜形成用複合シート101を作製することができる。
基材11及び粘着剤層12からなる支持シート10と、保護膜形成フィルム13と、剥離フィルムとを備える第3積層体を作製する。
図1に示される治具固定用粘着シート1から第2剥離フィルム152を剥離して取り除く。次に、第2粘着剤層163の側から円形の抜き刃を当てて、第1剥離フィルム151を残して、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163の内周縁をカットし、内側の円形部分を除去して、第1剥離フィルム151上に、内側の円形部分が除去された第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163が、この順に積層された第4積層体を作製する。
第3積層体から剥離フィルムを剥離し、露出した保護膜形成フィルム13と、第4積層体の、内側の円形部分が除去されて、露出している第2粘着剤層163とを、貼合する。その後、基材11の側から、内側の円形と同心円状に外側に円形の抜き刃を当てて、第1剥離フィルム151を残して、基材11及び粘着剤層12からなる支持シート10、保護膜形成フィルム13、第2粘着剤層163、芯材フィルム162、並びに、第1粘着剤層161の外周縁をカットし、外側の部分を除去する。
ここでは、粘着剤層上に保護膜形成フィルム及びリング形状の治具用粘着剤層を、この順に積層する場合を例に挙げたが、例えば、粘着剤層上に保護膜形成フィルム及びリング形状ではない(例えば、矩形フレーム形状の)治具用粘着剤層を積層する場合など、対象となる積層構造は、任意に選択できる。
このように、保護膜形成用複合シートを構成する基材以外の層はいずれも、剥離フィルム上にあらかじめ形成しておき、目的とする層の表面に貼合する方法で積層できるため、必要に応じてこのような工程を採用する層を適宜選択して、保護膜形成用複合シートを製造すればよい。
前記保護膜形成用複合シートは、枚葉状であってもよく、ロール状であることが好ましい。
<<保護膜付きチップの製造方法>>
上述の本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シートは、チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップの製造方法に用いることができる。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法は、固定用治具に前記保護膜形成用複合シート中の治具用粘着剤層を貼付するとともに、ワークの裏面に、上述の本発明の実施形態に係る保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムを貼付することにより、前記支持シート上に、前記保護膜形成フィルム及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シートを作製する工程と、前記第1積層複合シートの周縁部を前記固定用治具に貼付した状態で、前記第1積層複合シートを加熱して、前記保護膜形成フィルムを硬化させ前記保護膜を形成することにより、前記支持シート上に、前記保護膜及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シートを作製する工程と、前記支持シート上で、前記ワークを分割し、前記保護膜形成フィルム若しくは前記保護膜形成フィルムを硬化させて得られる保護膜を切断することにより、複数個の保護膜形成フィルム付きチップ若しくは保護膜付きチップが前記支持シート上で固定されている第3積層複合シートを作製する工程と、前記第3積層複合シート中の前記保護膜形成フィルム付きチップ若しくは前記保護膜付きチップを前記支持シートから引き離すことによりピックアップする工程と、を有する。
本明細書において、「ワーク」とは、ウエハ又は半導体装置パネルを云う。
「ウエハ」としては、シリコン、ゲルマニウム、セレン等の元素半導体や、GaAs、GaP、InP、CdTe、ZnSe、SiC等の化合物半導体、で構成される半導体ウエハ;サファイア、ガラス等の絶縁体で構成される絶縁体ウエハが挙げられる。
「半導体装置パネル」とは、少なくとも一個の電子部品が封止樹脂層で封止された複数の半導体装置が、平面的に並んで配置された集合体を云う。
これらワークの一方の面上には、回路が形成されており、本明細書においては、このように回路が形成されている側のワークの面を「回路面」と称する。そして、ワークの回路面とは反対側の面を「裏面」と称する。
ワークは、ダイシング等の手段により分割され、チップとなる。本明細書においては、ワークの場合と同様に、回路が形成されている側のチップの面を「回路面」と称し、チップの回路面とは反対側の面を「裏面」と称する。
ワークの回路面とチップの回路面には、いずれもバンプ、ピラー等の突状電極が設けられていることが好ましい。突状電極は、はんだで構成されていることが好ましい。
<第一実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法>
図5A~図5Hは、第一実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法を模式的に説明するための断面図である。ここでは、保護膜形成フィルム13が熱硬化性であるときの、図2に示す保護膜形成用複合シート101を用いた場合を例に挙げて、保護膜付きチップの製造方法について説明する。
第一実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法は、チップ90と、チップ90の裏面90bに設けられた保護膜130’と、を備える保護膜付きチップ901の製造方法であって、
固定用治具18に保護膜形成用複合シート101中の治具用粘着剤層16を貼付するとともに、ワーク9の裏面9bに、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13を貼付することにより、支持シート10上に、保護膜形成フィルム13及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シート501を作製する工程と、
第1積層複合シート501の周縁部を固定用治具18に貼付した状態で、第1積層複合シート501を加熱して、保護膜形成フィルム13を硬化させ保護膜13’を形成することにより、支持シート10上に、保護膜13’及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シート502を作製する工程と、
支持シート10上で、第2積層複合シート502中のワーク9を分割し、保護膜13’を切断することにより、複数個の保護膜付きチップ901が支持シート10上で固定されている第3積層複合シート503を作製する工程と、
第3積層複合シート503中の保護膜付きチップ901を支持シート10から引き離すことによりピックアップする工程と、を有する。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の前記第1積層複合シートを作製する工程においては、図5A及び図5Bに示されるように、固定用治具18に保護膜形成用複合シート101中の治具用粘着剤層16を貼付するとともに、ワーク9の裏面9bに、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13を貼付することにより、支持シート10上に、保護膜形成フィルム13及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シート501を作製する。図5Bにおいて、ワーク9の裏面9bには、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13の第1面13aが貼付されている。第1積層複合シート501の周縁部は、治具用粘着剤層16により固定用治具18に貼付されている。ワーク9として、その回路面にバックグラインドテープが設けられているものを用いる場合であれば、ワーク9の回路面からバックグラインドテープを取り除く。
保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13のワーク9への貼付は、公知の方法で行うことができる。例えば、保護膜形成フィルム13は、加熱しながらワーク9へ貼付してもよい。
次いで、前記第2積層複合シートを作製する工程においては、第1積層複合シート501の周縁部を固定用治具18に貼付した状態で、第1積層複合シート501を加熱する(図5C)。これにより、保護膜形成フィルム13を硬化させて保護膜13’を形成することにより、図5Dに示されるように、支持シート10、保護膜13’及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シート502を作製する。
符号13a’は、保護膜13’のうち、保護膜形成フィルム13の第1面13aであった面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)を示している。符号13b’は、保護膜13’のうち、保護膜形成フィルム13の第2面13bであった面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示している。
図5Bに示す保護膜形成フィルム13に対して、支持シート10越しに(支持シート10を透過させて)レーザー照射してレーザーマーキングしてもよく、又は、図5Dに示す保護膜13’に対して、支持シート10越しに(支持シート10を透過させて)レーザー照射してレーザーマーキングしてもよい。
次いで、前記第3積層複合シートを作製する工程においては、第2積層複合シート502を冷却し、その後、図5Eに示されるように、支持シート10上で、第2積層複合シート502中のワーク9を分割し、保護膜13’を切断する。ワーク9は、分割により個片化され、複数個のチップ90となる。
ワーク9の分割と、保護膜13’の切断は、公知の方法で行えばよい。例えば、ブレードダイシング、レーザー照射によるレーザーダイシング、又は研磨剤を含む水の吹き付けによるウォーターダイシング等の各ダイシングによって、ワーク9の分割と、保護膜13’の切断を、連続的に行うことができる。
保護膜13’は、その切断方法によらず、チップ90の外周に沿って切断される。
このように、ワーク9を分割し、保護膜13’を切断することにより、チップ90と、チップ90の裏面90bに設けられた切断後の保護膜(本明細書においては、単に「保護膜」と称することがある)130’と、を備える、複数個の保護膜付きチップ901が得られる。符号130b’は、切断後の保護膜130’のうち、保護膜13’の第2面13b’であった面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示している。
前記第3積層複合シートを作製する工程においては、以上により、これら複数個の保護膜付きチップ901が支持シート10上で固定されている第3積層複合シート503を作製する。
次いで、前記ピックアップする工程においては、図5Fに示されるように、第3積層複合シート503中の保護膜付きチップ901を支持シート10から引き離すことによりピックアップする。
前記ピックアップする工程においては、保護膜付きチップ901中の保護膜130’の第2面130b’と、支持シート10中の粘着剤層12の第1面12aと、の間で剥離が生じる。
ここでは、真空コレット等の引き離し手段7を用いて、保護膜付きチップ901を矢印P方向に引き離す場合を示している。なお、ここでは、引き離し手段7の断面表示を省略している。
保護膜付きチップ901は、公知の方法でピックアップできる。
前記ピックアップする工程においては、このような保護膜付きチップ901のピックアップを、目的とするすべての保護膜付きチップ901に対して行う。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法においては、前記ピックアップする工程までを行うことにより、目的とする保護膜付きチップ901が得られる。
前記ピックアップする工程の後、第3積層複合シート503から保護膜付きチップ901が引き離されて残った第4積層複合シート504は、図5Gに示されるように、治具用粘着剤層16により固定用治具18に貼付されている。図5Hに示されるように、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離することにより、固定用治具18は、図5Aに戻って、再度使用することができる。
第一実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法においては、第1積層複合シート501を加熱して、保護膜形成フィルム13を硬化させ保護膜13’を形成することにより、第2積層複合シート502を作製し、次いで、第2積層複合シート502中のワーク9を分割し、保護膜13’を切断することにより、複数個の保護膜付きチップ901を作製した。保護膜形成フィルム13が熱硬化性であるときの本実施形態の保護膜付きチップの製造方法はこれに限定されず、第1積層複合シート501を加熱することなく、図6Aに示されるように、支持シート10上で、第1積層複合シート501中のワーク9を分割し、保護膜形成フィルム13を切断することにより、第3積層複合シート503を作製し、図6Bに示されるように、得られた保護膜形成フィルム付きチップ902をピックアップしてから、保護膜形成フィルムを熱硬化させて、保護膜付きチップ901にしてもよい。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法において、治具用粘着剤層16が上述の実施形態に係る治具固定用粘着シートを用いて形成されているので、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離した際に、治具用粘着剤層16が破断することなく固定用治具18から容易に剥離できる。
<第二実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法>
図5A~図5B、図6A~図6B、図5G~図5Hを用いて、図2に示す保護膜形成用複合シート101の保護膜形成フィルム13が非硬化性であるときの、第二実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法について説明する。
第二実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法は、チップ90と、チップ90の裏面90bに設けられた保護膜130’と、を備える保護膜付きチップ901の製造方法であって、
固定用治具18に保護膜形成用複合シート101中の治具用粘着剤層16を貼付するとともに、ワーク9の裏面9bに、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13を貼付することにより、支持シート10上に、保護膜形成フィルム13及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シート501を作製する工程と、
支持シート10上で、ワーク9を分割し、保護膜形成フィルム13を切断することにより、複数個の保護膜形成フィルム付きチップ902が支持シート10上で固定されている第3積層複合シート503を作製する工程と、
第3積層複合シート503中の保護膜形成フィルム付きチップ902を支持シート10から引き離すことによりピックアップする工程と、を有する。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の前記第1積層複合シートを作製する工程においては、第一実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法と同じく、図5A及び図5Bに示されるように、固定用治具18に保護膜形成用複合シート101中の治具用粘着剤層16を貼付するとともに、ワーク9の裏面9bに、保護膜形成用複合シート101中の保護膜形成フィルム13を貼付することにより、支持シート10上に、保護膜形成フィルム13及びワーク9がこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シート501を作製する。
図5Bに示す保護膜形成フィルム13に対して、支持シート10越しに(支持シート10を透過させて)レーザー照射してレーザーマーキングしてもよい。
次いで、前記第3積層複合シートを作製する工程においては、図6Aに示されるように、支持シート10上で、第1積層複合シート501中のワーク9を分割し、保護膜形成フィルム13を切断する。ワーク9は、分割により個片化され、複数個のチップ90となる。
ワーク9の分割と、保護膜形成フィルム13の切断は、公知の方法で行えばよい。例えば、ブレードダイシング、レーザー照射によるレーザーダイシング、又は研磨剤を含む水の吹き付けによるウォーターダイシング等の各ダイシングによって、ワーク9の分割と、保護膜形成フィルム13の切断を、連続的に行うことができる。
保護膜形成フィルム13は、その切断方法によらず、チップ90の外周に沿って切断される。
このように、ワーク9を分割し、保護膜形成フィルム13を切断することにより、チップ90と、チップ90の裏面90bに設けられた切断後の保護膜形成フィルム130と、を備える、複数個の保護膜形成フィルム付きチップ902が得られる。符号130bは、切断後の保護膜形成フィルム130のうち、保護膜形成フィルム13の第2面13bであった面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示している。
前記第3積層複合シートを作製する工程においては、以上により、これら複数個の保護膜形成フィルム付きチップ902が支持シート10上で固定されている第3積層複合シート503を作製する。
次いで、前記ピックアップする工程においては、図6Bに示されるように、第3積層複合シート503中の保護膜形成フィルム付きチップ902を支持シート10から引き離すことによりピックアップする。保護膜形成フィルムが非硬化性であるとき、保護膜形成フィルム付きチップ902をピックアップすることにより、保護膜形成フィルム130は保護膜130’となる。
前記ピックアップする工程においては、保護膜形成フィルム付きチップ902中の保護膜形成フィルム130の第2面130b’と、支持シート10中の粘着剤層12の第1面12aと、の間で剥離が生じる。
ここでは、真空コレット等の引き離し手段7を用いて、保護膜形成フィルム付きチップ902を矢印P方向に引き離す場合を示している。なお、ここでは、引き離し手段7の断面表示を省略している。
前記ピックアップする工程においては、このような保護膜形成フィルム付きチップ902のピックアップを、目的とするすべての保護膜形成フィルム付きチップ902に対して行う。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法においては、前記ピックアップする工程までを行うことにより、目的とする保護膜付きチップ901が得られる。
前記ピックアップする工程の後、第3積層複合シート503から保護膜形成フィルム付きチップ902が引き離されて残った第4積層複合シート504は、図5Gに示されるように、治具用粘着剤層16により固定用治具18に貼付されている。図5Hに示されるように、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離することにより、固定用治具18は、図5Aに戻って、再度使用することができる。
本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法において、治具用粘着剤層16が上述の実施形態に係る治具固定用粘着シートを用いて形成されているので、第4積層複合シート504を固定用治具18から剥離した際に、治具用粘着剤層16が破断することなく固定用治具18から容易に剥離できる。
ここまでの本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法の説明は、図2に示す保護膜形成用複合シート101を用いた場合の本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法について説明したが、本実施形態に係る保護膜付きチップの製造方法においては、図3~図4に示す保護膜形成用複合シート102又は保護膜形成用複合シート104など、保護膜形成用複合シート101以外の本実施形態の保護膜形成用複合シートを用いてもよい。
◇基板装置の製造方法(保護膜付きチップの使用方法)
上述の製造方法により保護膜付きチップを得た後は、従来の保護膜付きチップに代えて、この保護膜付きチップを用いる点を除けば、従来の基板装置の製造方法と同じ方法で、基板装置を製造できる。
例えば、前記保護膜形成フィルムを用いて得られた保護膜付きチップが支持シートからピックアップされ、保護膜付きチップ上の突状電極を、回路基板上の接続パッドに接触させることにより、前記突状電極と、前記回路基板上の接続パッドと、を電気的に接続するフリップチップ接続工程を有する製造方法が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。なお、以下に示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
(治具用粘着剤組成物1)
粘着性樹脂(i)として、アクリル酸ブチル(BA、88質量部)、アクリル酸エチル(EA、10質量部)及びアクリル酸-4-ヒドロキシブチル(4HBA、2質量部)を共重合してなるアクリル重合体(重量平均分子量1300000、ガラス転移温度Tg:-51℃)(15質量部)と、架橋剤(ii)として、キシリレンジイソシアナート(XDI)系架橋剤(綜研化学株式会社製、商品名「TD-75」)(0.01質量部)と、顔料としてカーボンブラック含有樹脂(「マルチラック(登録商標)A-903ブラック」、トーヨーカラー株式会社製、2.82質量部(うち顔料0.704質量部))と、溶媒としてメチルエチルケトンとを撹拌し、固形分濃度20質量%の治具用粘着剤組成物1を調製した。
(治具用粘着剤組成物2)
粘着性樹脂(i)として、アクリル酸ブチル(BA、89質量部)、アクリル酸-4-ヒドロキシブチル(4HBA、1質量部)及びアクリロイルモルホリン(ACMO、10質量部)を共重合してなるアクリル重合体(重量平均分子量800000、ガラス転移温度Tg:-43℃)(34.3質量部)と、架橋剤(ii)として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」、0.05質量部)と、顔料としてカーボンブラック含有樹脂(「マルチラック(登録商標)A-903ブラック」、トーヨーカラー株式会社製、2.82質量部(うち顔料0.704質量部))と、溶媒としてメチルエチルケトンとを撹拌し、固形分濃度20質量%の治具用粘着剤組成物2を調製した。
(治具用粘着剤組成物3)
粘着性樹脂(i)として、アクリル酸ブチル(BA、95質量部)及びアクリル酸-4-ヒドロキシブチル(4HBA、5質量部)を共重合してなるアクリル重合体(重量平均分子量900000、ガラス転移温度Tg:-53℃)(33.4質量部)と、架橋剤(ii)として、キシリレンジイソシアナート(XDI)系架橋剤(綜研化学株式会社製、商品名「TD-75」)(0.13質量部)と、顔料としてカーボンブラック含有樹脂(「マルチラック(登録商標)A-903ブラック」、トーヨーカラー株式会社製、2.82質量部(うち顔料0.704質量部))と、溶媒としてメチルエチルケトンとを撹拌し、固形分濃度20質量%の治具用粘着剤組成物3を調製した。
(治具用粘着剤組成物4)
粘着性樹脂(i)として、アクリル酸ブチル(BA、89質量部)、アクリル酸-4-ヒドロキシブチル(4HBA、1質量部)及びジメチルアクリルアミド(10質量部)を共重合してなるアクリル重合体(重量平均分子量900000、ガラス転移温度Tg:-44℃)(37.4質量部)と、架橋剤(ii)として、キシリレンジイソシアナート(XDI)系架橋剤(綜研化学株式会社製、商品名「TD-75」)(0.13質量部)と、顔料としてカーボンブラック含有樹脂(「マルチラック(登録商標)A-903ブラック」、トーヨーカラー株式会社製、2.82質量部(うち顔料0.704質量部))と、溶媒としてメチルエチルケトンとを撹拌し、固形分濃度20質量%の治具用粘着剤組成物4を調製した。
(治具用粘着剤組成物5)
粘着性樹脂(i)として、アクリル酸ブチル(BA、69.5質量部)、アクリル酸メチル(MA、30質量部)及びアクリル酸-2-ヒドロキシエチル(2HEA、0.5質量部)を共重合してなるアクリル重合体(重量平均分子量500000、ガラス転移温度Tg:-38℃)(100質量部)と、架橋剤(ii)として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製「コロネートL」、5質量部)と、溶媒としてメチルエチルケトンとを撹拌し、固形分濃度20質量%の治具用粘着剤組成物5を調製した。
[実施例1]
実施例1では、以下のようにして、図1に示す治具固定用粘着シート1、及び、図2に示す保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シート101を製造した。
(1)治具固定用粘着シートの作製
第1剥離フィルムとして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離フィルム(リンテック株式会社製SP-PET381031)の剥離処理面に、上記で得られた治具用粘着剤組成物1を塗工し、115℃で3分間加熱乾燥させることにより、第1剥離フィルムの剥離処理面上に厚さ5μmの第1粘着剤層を形成した。芯材フィルムとして両面コロナ処理を施した無延伸ポリプロピレン製フィルム(サン・トックス株式会社製、商品名「TP02」、厚さ40μm、以下、「芯材フィルムA」という。)の一方の第1面に第1粘着剤層の露出面を貼合した。その後、第2剥離フィルムとして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離フィルム(リンテック株式会社製,製品名「SP-PET381130」)の剥離処理面に同じく上記で得られた治具用粘着剤組成物1を塗工し、115℃で3分間加熱乾燥させることにより、第2剥離フィルムの剥離処理面上に厚さ5μmの第2粘着剤層を形成した。芯材フィルムAの他方の第2面に第2粘着剤層の露出面を貼合することにより、第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成された実施例1の治具固定用粘着シートを作製した。実施例1の治具固定用粘着シートは、第1剥離フィルム、第1粘着剤層、芯材フィルムA、第2粘着剤層及び第2剥離フィルムがこの順に積層されて形成されている。
(2)保護膜形成フィルムを含む第1積層体の作製
次の(a)~(g)の成分を混合し、固形分濃度が50質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈して、保護膜形成用組成物を調製した。
(a)重合体成分:(メタ)アクリル酸エステル共重合体(n-ブチルアクリレート20質量部、メチルアクリレート50質量部、グリシジルメタクリレート15質量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得た共重合体,重量平均分子量:80万,ガラス転移温度:-5.6℃)120質量部(固形分換算,以下同じ)
(b-1)熱硬化性成分:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,製品名「jER828」,エポキシ当量184~194g/eq)75質量部
(b-2)熱硬化性成分:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,製品名「jER1055」,エポキシ当量800~900g/eq)25質量部
(c)熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤:ジシアンジアミド(株式会社ADEKA製:アデカハ-ドナーEH3636AS,活性水素量21g/eq)3質量部
(d)硬化促進剤:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製,製品名「キュアゾール2PHZ」)3質量部
(e)フィラー:シリカフィラー(株式会社アドマテックス製,製品名「SC2050MA」平均粒径:0.5μm)290質量部
(f)着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製,製品名「#MA650」,平均粒径:28nm)1.2質量部
(g)シランカップリング剤:(信越化学工業株式会社製,製品名「KBM-403」)2質量部
第3剥離フィルムとして、剥離フィルム(リンテック株式会社製,製品名「SP-PET381031」)を用意した。第4剥離フィルムとして、剥離フィルム(リンテック株式会社製,製品名「SP-PET381130」)を用意した。
最初に、第3剥離フィルムの剥離面上に、前述の保護膜形成用組成物を、最終的に得られる保護膜形成フィルムの厚さが25μmとなるように、ナイフコーターにて塗布し、乾燥させて、保護膜形成フィルムを形成した。その後、保護膜形成フィルムに第4剥離フィルムの剥離面を重ねて両者を貼合し、第3剥離フィルムと、保護膜形成フィルム(厚さ:25μm)と、第4剥離フィルムとからなる第1積層体を得た。
(3)支持シートを含む第2積層体の作製
次の(h)および(i)の成分を混合し、固形分濃度が25質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈して、粘着剤組成物を調製した。
(h)粘着主剤:(メタ)アクリル酸エステル共重合体(2-エチルヘキシルアクリレート60質量部、メタクリル酸メチル30質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル10質量部を共重合して得た共重合体,重量平均分子量:60万)100質量部
(i)架橋剤:トリメチロールプロパンのキシレンジイソシアネート付加物(三井武田ケミカル株式会社製,製品名「タケネートD110N」)20質量部
第5剥離フィルムとして、厚さ38μmのPETフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離フィルム(リンテック株式会社製,製品名「SP-PET381031」)を用意した。
第5剥離フィルムの剥離面上に、前述の粘着剤組成物を、最終的に得られる粘着剤層の厚さが5μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。その後、粘着剤層に基材としてポリプロピレンフィルム(厚さ:80μm)を貼合し、基材及び粘着剤層からなる支持シートと、第5剥離フィルムとからなる第2積層体を得た。
(4)第3積層体の作製
上記(2)で得られた第1積層体から第4剥離フィルムを剥離し、保護膜形成フィルムを露出させた。一方、上記(3)で得られた第2積層体から第5剥離フィルムを剥離して、粘着剤層を露出させた。露出した粘着剤層に、露出した保護膜形成フィルムが接触するように、第1積層体と第2積層体とを、0.5m/minで貼合し、基材及び粘着剤層からなる支持シートと、保護膜形成フィルムと、第3剥離フィルムとが積層されてなる第3積層体を得た。
(5)保護膜形成用複合シートの作製
実施例1の治具固定用粘着シート1から第2剥離フィルム152を剥離して取り除いた。次に、第2粘着剤層163の側から円形の抜き刃を当てて、第1剥離フィルム151を残して、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163の内周縁をカットし、内側の円形部分を除去して、第1剥離フィルム151上に、内側の円形部分が除去された第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163が、この順に積層された第4積層体を作製した。このとき、第1粘着剤層161、芯材フィルム162及び第2粘着剤層163の内周縁の直径は185mmとした。
第3積層体から第3剥離フィルムを剥離し、露出した保護膜形成フィルム13と、第4積層体の、内側の円形部分が除去されて露出している第2粘着剤層163とを、0.5m/minで貼合した。その後、基材11の側から、内側の円形と同心円状に外側に円形の抜き刃を当てて、治具固定用粘着シート1における第1剥離フィルム151を残して、基材11及び粘着剤層12からなる支持シート10、保護膜形成フィルム13、第2粘着剤層163、芯材フィルム162、並びに、第1粘着剤層161の外周縁を抜き加工し、外側の部分を除去して、実施例1の保護膜形成用複合シート101を作製した。このとき、治具用粘着剤層16を有する実施例1の保護膜形成用複合シート101の外周縁の直径は210mmとした。
実施例1の保護膜形成用複合シート101は、基材11の上に粘着剤層12(厚さ:5μm)が積層されてなる粘着シート(すなわち支持シート10)と、粘着シートの粘着剤層12側に積層された保護膜形成フィルム13と、保護膜形成フィルム13における粘着シートとは反対側の周縁部に積層された環状の治具用粘着剤層16と、治具用粘着剤層16における保護膜形成フィルム13とは反対側に積層された第1剥離フィルム151とからなる。実施例1の保護膜形成用複合シート101は、剥離フィルム15を有する図2の構成体に相当する。
[実施例2]
実施例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、両面コロナ処理を施した直鎖低密度ポリエチレン製フィルム(株式会社アイセロ製、商品名「N-606」、厚さ40μm、以下、「芯材フィルムB」という。)に変更したこと以外は、実施例1の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例2の治具固定用粘着シートを作製した。
[実施例3]
実施例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、両面コロナ処理を施した無延伸ポリプロピレン製フィルム(日本マタイ株式会社製、商品名「MK12」、厚さ40μm、以下、「芯材フィルムC」という。)に変更したこと以外は、実施例1の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例3の治具固定用粘着シートを作製した。
[実施例4]
実施例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、両面コロナ処理を施した無延伸ポリプロピレン製フィルム(厚さ50μm、23℃におけるヤング率460MPa及びF-5値(5%引っ張り時の応力)20MPaのフィルム、以下、「芯材フィルムD」という。)に変更したこと以外は、実施例1の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例4の治具固定用粘着シートを作製した。
[実施例5]
実施例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、ポリ塩化ビニル製フィルム(オカモト株式会社製、商品名「OSGP42B-D23」、厚さ50μm、以下、「芯材フィルムE」という。)に変更したこと以外は、実施例1の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例5の治具固定用粘着シートを作製した。
[実施例6]
実施例5の治具固定用粘着シートにおいて、治具用粘着剤組成物1を、治具用粘着剤組成物2に変更したこと以外は、実施例5の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例6の治具固定用粘着シートを作製した。
[実施例7]
実施例5の治具固定用粘着シートにおいて、治具用粘着剤組成物1を、治具用粘着剤組成物3に変更したこと以外は、実施例5の治具固定用粘着シートと同様にして、実施例7の治具固定用粘着シートを作製した。
実施例1の保護膜形成用複合シートにおいて、実施例1の治具固定用粘着シートを、実施例2~7の治具固定用粘着シートに変更したこと以外は、実施例1の保護膜形成用複合シートと同様にして、実施例2~7の保護膜形成用複合シートを作製した。
[比較例1]
実施例4の治具固定用粘着シートにおいて、治具用粘着剤組成物1を、治具用粘着剤組成物4に変更したこと以外は、実施例2の治具固定用粘着シートと同様にして、比較例1の治具固定用粘着シートを作製した。
[比較例2]
比較例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、前記芯材フィルムBに変更したこと以外は、比較例1の治具固定用粘着シートと同様にして、比較例2の治具固定用粘着シートを作製した。
[比較例3]
比較例1の治具固定用粘着シートにおいて、芯材フィルムを、前記芯材フィルムEに変更したこと以外は、比較例1の治具固定用粘着シートと同様にして、比較例3の治具固定用粘着シートを作製した。
[比較例4]
比較例1の治具固定用粘着シートにおいて、治具用粘着剤組成物4を、治具用粘着剤組成物5に変更し、芯材フィルムを、芯材フィルムEとは可塑剤種が異なるポリ塩化ビニル製フィルム(オカモト株式会社製、商品名「OSGP42B」、厚さ50μm、以下、「芯材フィルムI」という。)に変更したこと以外は、比較例1の治具固定用粘着シートと同様にして、比較例4の治具固定用粘着シートを作製した。
実施例1の保護膜形成用複合シートにおいて、実施例1の治具固定用粘着シートを、比較例1~4の治具固定用粘着シートに変更したこと以外は、実施例1の保護膜形成用複合シートと同様にして、比較例1~4の保護膜形成用複合シートを作製した。
<加熱前の引張試験>
実施例1~7、及び比較例1~4の治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ80mmの短冊形状に切断した。第2粘着剤層163から第2剥離フィルム152を剥離し、さらに、第1粘着剤層161から第1剥離フィルム151を剥離した。第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている治具固定用粘着シートの加熱前の試験片について、万能引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ」)を用いて、23℃、50%RHの環境下で、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を実施し、加熱前の破断伸度(X0)[%]を求めた。結果を表1に示す。
<加熱後の引張試験>
実施例1~7、及び比較例1~4の治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ80mmの短冊形状に切断し、130℃、2h加熱し、放冷した。第2粘着剤層163から第2剥離フィルム152を剥離し、さらに、第1粘着剤層161から第1剥離フィルム151を剥離した。第1粘着剤層161と、芯材フィルム162と、第2粘着剤層163とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている治具固定用粘着シートの加熱後の試験片について、万能引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ」)を用いて、23℃、50%RHの環境下で、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を実施し、加熱後の破断強度(Ah)[N/10mm]、及び、加熱後の破断伸度(Xh)[%]を求めた。結果を表1に示す。
<加熱後の180°引き離し粘着力(Bh)測定>
実施例1~7、及び比較例1~4の治具固定用粘着シートを、幅10mm、長さ250mmの短冊形状に切断し、固定用治具に貼付する側の第1粘着剤層161を露出させた。SUS304の板(パルテック社製「SUS304 ♯1200HL(ヘアライン)、厚さ1000μm、サイズ70mm×150mm」)の♯1200HL研磨仕上げされた面に、それぞれ、実施例1~7、及び比較例1~4の加熱前の試験片の露出した第1粘着剤層を、2kgローラーを1往復することにより貼合し、130℃、2h加熱した。室温(23℃)になるまで、放冷した後に、万能引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ」)を用いて、23℃、50%RHの環境下で、加熱前の試験片の第1粘着剤層及びSUS304の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minでSUS304から加熱前の試験片を引き剥がし、このときの、加熱前の試験片の第1粘着剤層及びSUS304の間の剥離力を測定した。加熱前の試験片を長さ50mmに渡って剥がしたときの測定値のうち、最初に長さ5mm分だけ剥がしたとき、及び、最後に長さ5mm分だけ剥がしたときを、それぞれの除外した測定値の平均を、加熱後のSUSに対する180°引き離し粘着力(Bh)(N/10mm)とした。結果を表1に示す。
(比(Ah/Bh)の計算)
実施例1~7、及び比較例1~4の治具固定用粘着シートについて、比(Ah/Bh)を、前記破断強度(Ah)を前記180°引き離し粘着力(Bh)で割り算することにより計算して求めた。結果を表1に示す。
(比(Xh/X0)の計算)
実施例1~7、及び比較例1~4の治具固定用粘着シートについて、比(Xh/X0)を、前記破断伸度(Xh)を前記破断伸度(X0)で割り算することにより計算して求めた。結果を表1に示す。
(治具固定用粘着シートの剥離性の評価)
実施例1~7、及び比較例1~4の保護膜形成用複合シートから、それぞれ、第1剥離フィルムを剥がし、露出した保護膜形成フィルムの中央部をシリコンウエハ(直径6インチ、厚さ350μm、♯2000)に貼付するとともに、露出した治具固定用粘着シートの第1粘着剤層を、ダイシング用リングフレームに載せ、ラミネーターに、70℃、0.3m/minで通して圧着し、20分間放置した。
治具固定用粘着シートの第1粘着剤層がダイシング用リングフレームに貼付された状態で、130℃、2h加熱し、熱硬化性保護膜形成フィルムを硬化させ、その後、室温(23℃)になるまで放冷した。次いで、シリコンウエハ及びシリコンウエハに接着した部分の保護膜を支持シートから剥がすことで除去し、実施例1~7、及び比較例1~4の保護膜形成用複合シートを、リングフレームから、互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度11mm/s及び23mm/sの条件で剥離した。
剥離した後の、治具固定用粘着シートの様子を観察した。次の基準で、治具固定用粘着シートの剥離性を評価した。結果を表1に示す。
A:剥離時に、治具用粘着剤層の破断がなかった。
B:剥離時に、治具用粘着剤層の破断がなかったが、亀裂が発生した。
C:剥離時に、治具用粘着剤層が破断した。


Figure 0007114013000001
実施例1~7の治具固定用粘着シート、及び、これらを用いて形成された実施例1~7の保護膜形成用複合シートは、保護膜付きチップの製造に用いるとき、治具用粘着剤層が破断することなく、固定用治具から容易に剥離できる。
実施例1~7の治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において、破断強度(Ah)、180°引き離し粘着力(Bh)、及び、比(Ah/Bh)が、所定の数値範囲内にあるので、保護膜形成フィルムが熱硬化性のときに加熱工程を経た後だけでなく、保護膜形成フィルムがエネルギー線硬化性のときにも、保護膜形成フィルムが非硬化性のときにも、保護膜付きチップの製造に用いたとき、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる。さらに、保護膜形成用複合シートのワークへの貼り付け不具合があった場合に、ワークを剥がして、ワークを再度使えるようにする(リワーク)の工程の際にも、治具用粘着剤層が破断することなく固定用治具から容易に剥離できる。
本発明は、半導体装置をはじめとする各種基板装置の製造に利用可能である。
1…治具固定用粘着シート、
10,20…支持シート、10a…支持シートの一方の面(第1面)、11…基材、12…粘着剤層、13,23…保護膜形成フィルム、13’…保護膜、13a’…保護膜の一方の面(第1面)、13b’…保護膜の他方の面(第2面)、130’…切断後の保護膜、
101,102,104…保護膜形成用複合シート、15…剥離フィルム、151…第1剥離フィルム、152…第2剥離フィルム、16…治具用粘着剤層、161…第1粘着剤層、163…第2粘着剤層、162…芯材フィルム、18…固定用治具、
501…第1積層複合シート、502…第2積層複合シート、503…第3積層複合シート、504…第4積層複合シート、
9…ワーク、9b…ワークの裏面、90…チップ、90b…チップの裏面、901…保護膜付きチップ、902…保護膜形成フィルム付きチップ

Claims (12)

  1. 保護膜形成フィルムを備える保護膜形成用複合シートに用いられる治具固定用粘着シートであって、
    第1粘着剤層と、芯材フィルムと、第2粘着剤層とが、この順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されており、
    前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断強度(Ah)の、130℃、2h加熱後の試験片の、SUS304に対する180°引き離し粘着力(Bh)に対する比(Ah/Bh)が1.25以上である、治具固定用粘着シート。
  2. 前記180°引き離し粘着力(Bh)が2.0~12N/10mmである、請求項1に記載の治具固定用粘着シート。
  3. 前記破断強度(Ah)が6N/10mm以上である、請求項1又は2に記載の治具固定用粘着シート。
  4. 前記第1粘着剤層及び第2粘着剤層は、アクリル樹脂を含有する治具用粘着剤組成物から形成され、前記アクリル樹脂の重量平均分子量が70万以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
  5. 前記アクリル樹脂が(メタ)アクリル酸由来の構成単位を有さない、請求項4に記載の治具固定用粘着シート。
  6. 前記芯材フィルムの構成材料が直鎖低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
  7. 前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)が100%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
  8. 前記治具固定用粘着シートは、130℃、2h加熱後の試験片において引張試験から求められる破断伸度(Xh)の、加熱前の試験片において引張試験から求められる破断伸度(X0)に対する比(Xh/X0)が、0.10~1.50である、請求項1~7のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シート。
  9. 支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた保護膜形成フィルムと、前記支持シートの前記一方の面上又は前記保護膜形成フィルムの前記支持シートとは反対側の第1面上の周縁部近傍に設けられた治具用粘着剤層と、を備える保護膜形成用複合シートであって、
    前記治具用粘着剤層が、請求項1~8のいずれか一項に記載の治具固定用粘着シートを用いて形成された、保護膜形成用複合シート。
  10. 前記保護膜形成フィルムが、熱硬化性である、請求項9に記載の保護膜形成用複合シート。
  11. チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップの製造方法であって、
    固定用治具に前記保護膜形成用複合シート中の治具用粘着剤層を貼付するとともに、ワークの裏面に、請求項9又は10に記載の保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムを貼付することにより、前記支持シート上に、前記保護膜形成フィルム及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シートを作製する工程と、
    前記支持シート上で、前記ワークを分割し、前記保護膜形成フィルム若しくは前記保護膜形成フィルムを硬化させて得られる保護膜を切断することにより、複数個の保護膜形成フィルム付きチップ若しくは保護膜付きチップが前記支持シート上で固定されている第3積層複合シートを作製する工程と、
    前記第3積層複合シート中の前記保護膜形成フィルム付きチップ若しくは前記保護膜付きチップを前記支持シートから引き離すことによりピックアップする工程と、を有する保護膜付きチップの製造方法。
  12. チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備える保護膜付きチップの製造方法であって、
    固定用治具に前記保護膜形成用複合シート中の治具用粘着剤層を貼付するとともに、ワークの裏面に、請求項10に記載の保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムを貼付することにより、前記支持シート上に、前記保護膜形成フィルム及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第1積層複合シートを作製する工程と、
    前記第1積層複合シートの周縁部を前記固定用治具に貼付した状態で、前記第1積層複合シートを加熱して、前記保護膜形成フィルムを硬化させ前記保護膜を形成することにより、前記支持シート上に、前記保護膜及び前記ワークがこの順に、これらの厚さ方向に積層されて構成されている第2積層複合シートを作製する工程と、
    前記支持シート上で、前記第2積層複合シート中の前記ワークを分割し、前記保護膜を切断することにより、複数個の保護膜付きチップが前記支持シート上で固定されている第3積層複合シートを作製する工程と、
    前記第3積層複合シート中の前記保護膜付きチップを前記支持シートから引き離すことによりピックアップする工程と、を有する保護膜付きチップの製造方法。
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