JP7110552B2 - 硬化性組成物および硬化膜 - Google Patents

硬化性組成物および硬化膜 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物および硬化膜に関する。
各種ディスプレイに用いられる反射防止用途などの光学フィルムには、光学特性の他にも、強度、伸度などを考慮し、透明な支持基材表面上に硬化性樹脂を用いた硬化膜を形成する。
また、この硬化膜は他の部材と貼り合わせて用いるため、全体の厚みをできるだけ薄くするために、硬化膜についても薄型化が求められ、且つ薄くても取扱いやすさ、耐久性で問題のないバランスのとれた強度、伸度の特性を求められる。
さらには近年、各種ディスプレイ機器に関してもフレキシブル化の要求が高まっており、他部材と貼り合わせ後に、屈曲した状態で使用することが想定されている。その際、使用環境により硬化膜が伸縮することで他部材から剥がれてしまうといった問題が懸念される。
特許文献1では、高強度且つ、温湿度の変化により密着性などが損なわれないコート層を提供しているが、コート層の伸縮による寸法変化については記載がなく、考慮されていない。
特開2007-268420号公報
本発明は、強度、伸度の機械特性がバランス良く発現し、使用環境による伸縮が抑えられた硬化膜を形成する硬化性組成物、およびこれを硬化させて得られる硬化膜を提供することを目的とする。
本発明に係る硬化性組成物は、少なくとも、ウレタン骨格を有する水性(メタ)アクリル樹脂、鎖状骨格としてアルキレンオキシド鎖を有する水性硬化樹脂、セルロースナノファイバーおよび(メタ)アクリルアミドとして、アクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンから少なくとも1種以上を含むことを特徴とするものである。
また前記アルキレンオキシド鎖を有する水性硬化樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレートを含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る硬化性組成物は、硬化後の硬化膜の20℃から100℃までの平均線膨張係数が10-4/K以下であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る硬化膜は、硬化性組成物が硬化したものであることを特徴とするものである。
また、本発明に係る硬化膜は、紫外線照射により硬化したものであることを特徴とするものである。
本発明の硬化性組成物により、強度、伸度の機械特性がバランス良く発現し、且つ使用
環境による伸縮が抑えられるため他部材との貼り合わせによる複合部材の製造に適した硬化膜を実現できる。
本発明の実施形態に係る硬化膜の形成形態の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る硬化性組成物の塗布工程の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る硬化膜の製造方法の一例を示す概略図である。
以下に、本発明に係る硬化性組成物およびその硬化膜、硬化膜の製造方法の一例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の硬化性組成物により支持基材10の上に形成した硬化膜20を示した図である。
図2は、本発明の硬化性組成物を支持基材10の上に塗工部51により塗布し、塗布膜30を形成する工程を示した図である。
本実施形態の硬化膜は、ウレタン骨格を有する水性(メタ)アクリル樹脂、鎖状骨格を有する水性硬化樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、セルロースナノファイバーを含む硬化性組成物を、支持基材の表面に塗布して硬化させたものである。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。例えば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
本発明の硬化性組成物に含まれるウレタン骨格を有する水性(メタ)アクリル樹脂として、硬化性組成物に含まれる、水単独または水と有機溶媒との混合溶媒(以下、水系溶媒と表記)への溶解性(以下、水溶性と表記)もしくは分散性(以下、水分散性と表記)があればよく、水分散の形態としては、コロイダルディスパージョン型、エマルジョン型、サスペンジョン型など、いずれの形態でもよい。
ウレタン骨格を有する水性(メタ)アクリル樹脂は、既知のものを用いることができるが、例えば、ジイソシアネートをはじめとするポリイソシアネートとポリオールとを反応させてウレタン結合を形成した後、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステルなどを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。ポリオールとしては、形成するウレタン(メタ)アクリレート化合物の水溶性または水分散性が担保できれば、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを用いることができる。
ポリイソシアネートとして、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを用いることができる。
ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の水系溶媒への溶解性または分散性を向上させる目的として、カルボキシ基を導入した後、その一部または全てを中和して親水性を増すことができる。カルボキシ基を導入するために、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などをジオールとして用いればよく、カルボキシ基の中和には、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類や、その他塩基性の化合物を用いることができる。
これらの方法により得られたウレタン骨格を有する(メタ)アクリル樹脂は、モノマー、オリゴマーとして得られたものを用いることができ、その分子量は水系溶媒への溶解性または分散性があれば特に制限されるものではないが、10000以下であれば、均質な硬化性組成物を調製することができる。
また、これらのウレタン骨格を有する(メタ)アクリル樹脂は、単独、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
鎖状骨格を有する水性硬化樹脂は、水系溶媒へ溶解性または分散性があれば既知の構造のものを用いることができるが、例えば、鎖状骨格として、親水性のエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)などのアルキレンオキシド鎖を有する硬化性樹脂を用いることができる。
硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレートなどの光硬化性のものを用いることができる。
これらの鎖状骨格を有する水性硬化樹脂は、単独、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどを用いることができる。
これらの(メタ)アクリルアミドは、単独、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
この(メタ)アクリルアミド樹脂は、水への溶解性または分散性が高く硬化性組成物中の組成比を上げることで凝集や不溶成分のない均一な硬化性組成物の塗液を形成することができる。そのため、硬化性組成物中の樹脂成分に対し、重量比で20%以上のアクリルアミド樹脂を含むことが好ましく、30%以上がさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂として(メタ)アクリル樹脂などの光硬化性樹脂を用いた場合は、光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤としては、紫外線などの電離放射線が照射された際にラジカルを発生するものであればよい。例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類などを用いることができる。
さらに具体的には、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、または、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンなどの光重合開始剤を併用することができる。
(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシドは、フォトブリーチング性を有しているため、塗布膜厚を厚くした場合でも内部まで紫外線が届き、塗布膜の下層部まで十分に硬化させることができる。また、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシドは、安価で、耐光性が良好で黄変しにくく、かつ、揮発性が低い。
しかしながら、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシドを単独で用い、酸素存在下で光硬化させると、酸素阻害の影響により、表面が硬化しにくくなり、表面タック性(粘着性)が強くなるという問題がある。そこで、酸素阻害の影響を受けにくい開始剤である2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンと併用することにより、酸素存在下で光硬化させても表面も内部も十分に硬化させることができる。
このことにより、ロール・ツー・ロールで可撓性基材上へ硬化膜を塗布する際にブロッキングを防止することができる。また、硬化性組成物の表面と内部とを十分に硬化できることにより、硬化収縮が表面側と裏面側とで同じになるため、カールすることを抑制することができる。また、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンは2個のヒドロキシ基を有することにより水系溶媒中での溶解性に優れ、且つ、硬化後の揮発性が低い。
本発明に用いる光重合開始剤はこれらに限定されるものではなく、また、これらを含めた中から、単独、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
また、光重合開始剤の添加量は、硬化性組成物中の光硬化性樹脂の総重量に対して0.1質量%~10質量%であればよく、好ましくは1質量%~7質量%である。
光重合開始剤の添加量が光硬化性樹脂の総重量に対して0.1質量%未満であった場合、後述の硬化方法により硬化性組成物が十分に硬化せず、満足な特性の硬化膜が得られない。また、10質量%を超えた場合、硬化は十分に進行するものの硬化膜中の光重合開始剤の残渣の影響により、硬化膜の機械特性が低下する。
本発明の硬化性組成物には、他の水性硬化樹脂などと均質に混合することができれば、上記以外にも熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタロール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリフェニレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ビニルアルコールなどを用いることができ、特にその材料を限定しない。また、これら材料のフッ化物、スルホン化物、窒化物など、適宜官能基を設けるなどすることもできる。
〔セルロースナノファイバーおよびその製造方法〕
本発明において用いるセルロースナノファイバーおよびその製造方法の一例を以下に示す。セルロースナノファイバーの繊維径が以下に示す範囲内にあればよく、その調製方法については特に限定されない。
すなわち短軸径において数平均短軸径が1nm以上100nm以下であればよく、好ましくは2nm以上50nm以下、より好ましくは3nm以上20nm以下である。数平均短軸径が1nm未満では、高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造をとることができず、形成する硬化膜の硬度が不十分となる。一方、数平均短軸径が100nmを超えると、透明性が損なわれるほか、良好な塗布面性が得られ難くなる。また、長軸径においては、数平均長軸径は20nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。数平均長軸径が20nm未満では、繊維の絡み合い効果が不足し、十分な延性が得られない。また、本発明の効果の向上という観点から、数平均長軸径が数平均短軸径の10倍以上であることがさらに好ましい。
セルロースナノファイバーの数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維(セルロースナノファイバー)の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、セルロースナノファイバーの数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維(セルロースナノファイバー)の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
セルロースナノファイバーの原料として用いることができるセルロースの種類も特に限定されず、例えば木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースや、さらにレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースを用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。
セルロースナノファイバーの製造方法も特に限定されないが、例えばグラインダーによる機械処理の他、TEMPOなどのN-オキシル化合物を用いた酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理などを機械処理と併用してセルロースナノファイバーを得る方法が知られている。また、バクテリアセルロースもセルロースナノファイバーとして用いることができる。
さらに、各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させたのち、電解紡糸することによって得られる再生セルロースナノファイバーを用いてもよい。特に、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位の第6位の-CHOHが高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換される。このように、結晶表面に導入されたカルボキシ基を有するセルロースナノファイバー間には静電的な反発力が働くため、ミクロフィブリル単位にまで分散したセルロースシングルナノファイバーを得ることができる。
上記セルロースシングルナノファイバー中のカルボキシ基の含有量は、該セルロースシングルナノファイバー1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲内であることが好ましく、0.5mmol以上3.0mmol以下であることがより好ましい。カルボキシ基量が0.1mmol/g以上であると、分散安定性が良好である。カルボキシ基量が5.0mmol/g以下であると、セルロースシングルナノファイバーの結晶構造が十分に保持され、形成する硬化膜の硬度が良好である。
以下、木材系天然セルロースから、N-オキシル化合物を用いた酸化反応により導入されたカルボキシ基を有するセルロースシングルナノファイバーの分散液を調製する方法の一例を説明するが、ナノファイバー調製方法としてはこの方法に限らない。この例の調製方法は、木材系天然セルロースを、N-オキシル化合物を用いて酸化して酸化セルロースを得る工程(酸化工程)と、酸化セルロースのカルボキシ基をアンモニウム塩化する工程(アンモニウム塩化工程)と、該酸化セルロースを水性媒体中で微細化してセルロースシングルナノファイバー分散液を調製する工程(微細化工程)とを含む。
(酸化工程)
木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプなど、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。N-オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-エトキシ-
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシルなど、が挙げられる。その中でも、TEMPOが好ましい。N-オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01~5.0質量%程度である。
N-オキシル化合物を用いた酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、該オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
上記共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~200質量%程度である。
上記N-オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。該化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。該化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4~50℃が好ましく、10~40℃がより好ましい。反応温度が4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。一方、反応温度が50℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化し、増粘性の低下を引き起こす。酸化処理の反応時間は、反応温度や所望のカルボキシ基量などを考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常1~5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは、9~11が好ましい。pHが9以上であると反応を効率よく進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。上記酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9~11に保つことが好ましい。
反応系のpHを9~11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなど、が挙げられる。
N-オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは9~11に保つことが好ましい。添加す
るアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、N-オキシル化合物などの触媒や不純物などを除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄する。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過などの公知の方法により実施できる。また、酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては、酸化反応時のpHをコントロールする際にアルカリ化されたカルボルキシル基を一旦酸性化するため、塩酸、蒸留水の順で洗浄するのが好ましい。
(アンモニウム塩化工程)
その後、作製するセルロースシングルナノファイバーと電離放射線硬化型樹脂組成物との親和性を高めるために、回収したセルロースシングルナノファイバーを蒸留水などに分散させた後、四級アルキルアンモニウム塩を加える。このときの四級アルキルアンモニウム塩としては、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルモノメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定しない。
(微細化工程)
続いてセルロースシングルナノファイバー分散液に物理的解繊処理を施して、酸化セルロースを微細化する。物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。
このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中の酸化セルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーの分散液を得ることができる。このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られるセルロースシングルナノファイバー分散液に含まれるセルロースシングルナノファイバーの数平均短軸径および数平均長軸径を調整できる。
このようにして微細化したセルロースシングルナノファイバー分散液を各種水性硬化樹脂、光重合開始剤、および必要に応じて添加剤などと混合し、硬化性組成物が完成する。
または、上述のようなアンモニウム塩化工程および微細化工程を踏まず、酸化工程までを行った後、各種水性硬化樹脂、光重合開始剤、四級アンモニウム塩、添加剤を加え、上記の物理的解繊処理を施しても構わない。処理条件により、セルロースシングルナノファイバーの数平均短軸径および数平均長軸径を調整できる。
本発明におけるセルロースシングルナノファイバーの添加量は、硬化性組成物中の固形分総重量に対して0.1質量%以上40質量%以下が好ましい。添加量が0.1質量%以下では、添加する効果が現れず、添加量が40質量%以上では、硬化膜の透明性と平滑性が失われる。
本発明の硬化性組成物中の溶媒としては、水を主として水性樹脂を溶解または分散させるが、水と混和する有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などを用いることができる。これらの溶媒は単独、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
硬化性組成物の粘度は、後述の選択する塗布方法にも依存するが、30~2000mPa・s程度がよい。2000mPa・sを超えると、塗布膜表面の平坦性が担保できない上、塗液のフィルタリングや、脱泡処理に困難が生じる。また、塗布できた場合でも、その塗布方法が限定されてしまい、大面積での塗布膜は形成できなくなる。一方、30mPa・sを下回ると、塗布直後の膜の流動性が大きく塗布の平坦性が確保できなくなる。さらには50~800mPa・s程度が好ましい。
本発明の硬化性組成物の脱泡処理方法としては、静置処理、遠心分離、膜透過、多軸押出機による脱泡などを用いることができるが、特に限定しない。
本発明における硬化性組成物の支持基材への塗布方法としては、適宜公知の塗布方法の中からウェットコーティング法と総称される方法を用いることができる。例えば、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、アプリケータコーティング法などを用いることができる。中でも、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、ロールコーティング法などの塗布方法では、広い範囲の粘度の硬化性組成物について均一な塗布膜を形成できる。
上記の塗布方法により、支持基材の少なくとも片面上に硬化性組成物を塗布することにより塗布膜を形成することができる。この際、乾燥後の硬化膜の膜厚は10μm以上100μm以下程度であればよく、好ましくは25μm以上80μm以下程度である。硬化膜の膜厚が10μm未満では機械的強度が低くなり取り扱い難い。また、硬化膜の膜厚が100μmより厚い場合、巻き取りや硬化性組成物の均一な塗布が困難となる。
本発明の硬化膜は、複数の塗布層を積層して形成することができる。例えば、二層の塗布層を積層して形成する場合、一層目を支持基材に対して塗布乾燥硬化させた後、二層目をそれぞれ塗布、乾燥、硬化させる方式と、一、二層目を同時に重層塗工させた後、同時に乾燥および硬化させる方式とがあるが、いずれの方式を用いても構わない。
層ごとに塗布、乾燥、硬化させる場合は、一層目乃至二層目を硬化させる場合、半硬化させると層間の界面の密着性が向上する。多層化する場合は層によって機能性を変化させることができる。例えば、層毎にセルロースナノファイバーの添加量を変化させ硬度を調整したり、最表層にのみ四級アルキルアミンなどの帯電防止剤を増加させたり、などすることができる。
また、本発明による硬化膜は、引張強度および破断伸び特性に優れており、光学フィルム以外の用途にも展開することができる。例えば、表面にSiO膜を形成することによりガスバリア性を持たせることができる。また、表面に透明導電膜を形成することにより、透明導電フィルムとして使用することができる。
本発明に使用する支持基材としては、硬化性組成物中に含まれる各成分に溶解せず、硬化性組成物を塗布した後、乾燥、硬化などの各工程において支持基材が変形しないものであれば、一般的な材料を用いることができる。
なかでも、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトンなどの各種樹脂からなるフィルム状の可撓性基材、もしくはロール状の金属体などを挙げることができる。
本発明では、上記のような可撓性基材を支持基材として用いることにより、ロール・ツー・ロール方式で安価に製造可能であり、硬化膜の表面から下層部まで均一な硬化進行度が得られ、カールやブロッキングが抑えられた硬化膜を提供することができる。
可撓性基材は基材搬送装置により連続的に搬送できる厚さがあれば良い。具体的には、厚さ25μm以上200μm以下程度であればよく、好ましくは40μm以上100μm以下が好ましい。25μmより薄い場合、可撓性基材にかかる張力により破断する可能性があり、また200μmより厚い場合、硬化膜の形成工程において熱や光を減衰させる要因となる可能性がある。ただし、可撓性基材の厚さは上記範囲に限定されるものではない。
支持基材上に形成した硬化膜を剥離することで自立したフィルムとして使用する場合、支持基材の硬化性組成物の塗布面に離型性を付与することができる。離型性を付与する方法としては、上記の支持基材の表面にシリコーンオイル、シリコーンワニスに代表される離型剤を塗っても良いし、あるいはシリコーンゴムの薄膜層を形成してもよい。また同じ目的でフッ素系樹脂、フッ素系ゴムも利用されうるし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは、普通のゴムに混ぜて離型性を出すなどの使い方をしてもよい。支持基材への硬化性組成物の均一な塗布、硬化膜の形成が可能であれば、いずれの方法を用いることができる。
また、支持基材として可撓性基材を用いる場合、予め表層に離型層が構成されている汎用の離型フィルムを用いることができる。
支持基材から剥離する際に発生する硬化膜への帯電を防ぐために、支持基材の塗布面に帯電防止層を形成することができる。
支持基材への帯電防止層の形成方法として、例えば、低分子界面活性剤を用いることができる。低分子界面活性剤として、具体的には、アルキル硫酸塩などのアニオン系、アルキルアンモニウム塩、四級アンモニウム塩などのカチオン系、ポリオキシエチル、アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなど非イオン系を用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤を用いることができる。具体的には、ポリスチレンスルホン酸型などのアニオン系、四級アンモニウム塩基含有のアクリレート型などのカチオン系、ポリエーテルエステル型、ポリエーテルエステルアミド型などの非イオンを用いることができる。
上記の低分子界面活性剤や高分子帯電防止剤により支持基材上に帯電防止層を付与する方法として、上記の硬化性組成物の塗布方法や、支持基材への離型性の付与方法と同様の方法を用いることができる。
支持基材上に形成した塗布膜中の溶剤を除去するために乾燥を行う。乾燥は、加熱、送風、熱風など、適宜公知の手法を用いて行うことができる。
乾燥させた塗布膜を大気下で硬化させて硬化膜を形成する硬化方法としては、適宜公知の硬化方法を用いることができる。例えば、紫外線照射、電子線放射などを用いることができる。硬化膜を形成する硬化方法として、紫外線照射の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、などの光源を採用できる。また、電子線硬化の場合、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型、などの各種電子線加速器から放出される電子線などを用いることができる。用いる電子線は、50KeV以上1000KeV以下程度のエネルギーを有するのが好ましく、100KeV以上300KeV以下程度のエネルギーを有する電子線がより好ましい。
支持基材上に形成した硬化膜を自立したフィルムとして使用する場合、硬化膜を支持基材から剥離する工程を行う。支持基材から剥離した硬化膜は、使用方法に応じて、そのまま巻き取ることもできるし、断裁してシート状にすることもできる。
図3は、本発明の可撓性基材を指示機材として用いたロール・ツー・ロール方式による硬化膜の製造工程を示した図である。巻き出し部41より搬送された支持基材10の表面に硬化膜20を形成するためには、搬送パス中に硬化膜形成ユニット42を設けることができる。硬化膜形成ユニット42を構成する要素として、支持基材の巻き出し部に近い側から、塗工部51、乾燥部52、紫外線照射部53を設けることができる。
上記のように硬化膜形成ユニット42により支持基材10の上に形成された硬化膜20は、支持基材から剥離することにより、硬化膜単体として硬化膜巻き取り部43により巻き取ることができる。
硬化膜20から剥離した支持基材10は、支持基材巻き取り部44により巻き取ることができ、その後、必要に応じて硬化膜を形成した表面を洗浄し、支持基材巻き出し部41に付け替えることで再度、硬化膜の製造に使用することができる。繰り返し使用することで、原料コストを削減することができ、より安価に硬化膜を製造することができる。特に、可撓性基材を支持基材として用いてロール・ツー・ロール方式で製造をする場合、連続的に歩留まり良く硬化膜を製造することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
実施例で用いるセルロースナノファイバーは、以下の方法により酸化セルロースの形態として調製した。
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.00mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて1mol/Lの塩酸で洗浄を行い、蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化セルロースを得た。
[引張強度・破断伸び]
得られた硬化膜について、15mm幅、70mm長さの短冊状に切り出し、恒温恒湿槽
付き引張試験機「TE-7001」(テスター産業社製)を用いてチャック間隔50mm、試験速度5mm/minにて温度23℃、相対湿度30%の環境下で引張強度(MPa)及び破断伸び(%)を測定した。なお、測定に用いた硬化膜は、測定前に予め2日間上記測定環境にて保管した。
[線膨張係数]
得られた硬化膜について、4mm幅、25mm長さの短冊状に切り出し、熱機械的分析装置「TMA/SS6100」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて15℃から120℃まで昇温速度5℃/分、荷重20mN、酸素雰囲気下で昇温し、伸びを測定した。20℃から100℃の間の測定結果より、平均線熱膨張係数(/K)を算出した。
<実施例1>
ウレタン骨格を有する硬化性樹脂「UV-W2A」(新中村化学工業社製)35質量部、鎖状骨格を有する硬化性樹脂「ライトアクリレート9EG-A」(共栄社化学社製)15質量部、「アクリロイルモルホリン」50質量部、光重合開始剤「1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン」5質量部、上記酸化セルロース30質量部を、水とイソプロパノールを質量比7:3の混合溶媒と混合、攪拌し、固形分比が8質量%となる硬化性組成物を調製した。
次に上記硬化性組成物を、アプリケータを用いて乾燥後の膜厚が50μmになるように、可撓性基材「ルミラー75T60」(東レ社製)の上に塗布し、塗布膜を120℃のオーブンにて10分間乾燥させた後、高圧水銀灯により300mJ/cmの紫外線を照射することにより、乾燥させた塗布膜を硬化させて、大気下にて硬化膜を形成した。
得られた硬化膜を可撓性の支持基材から剥離、単離した硬化膜の引張強度、破断伸び、線膨張係数を各種測定により評価したところ、引張強度70MPa、破断伸び6%、20℃~100℃の平均線膨張係数1.3×10-5/Kとなり、単離フィルムとして取り扱える引張強度、破断伸びのバランスを有し、且つ低い線膨張係数のフィルムが得られた。
<比較例1>
ウレタン骨格を有する硬化性樹脂「UV-W2A」(新中村化学工業社製)70質量部、鎖状骨格を有する硬化性樹脂「ライトアクリレート9EG-A」(共栄社化学社製)30質量部、光重合開始剤「1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン」5質量部、上記酸化セルロース30質量部を、水とイソプロパノールを質量比7:3の混合溶媒と混合、攪拌し、固形分比が8質量%となる硬化性組成物を調製した。
実施例1と同様の方法により硬化膜を形成したところ、引張強度60MPa、破断伸び7%、20℃~100℃の平均線膨張係数1.5×10-5/Kとなり、単離フィルムとして取り扱える引張強度、破断伸びのバランス、線膨張係数とも不十分であった。
<比較例2>
ウレタン骨格を有する硬化性樹脂「UV-W2A」(新中村化学工業社製)70質量部、鎖状骨格を有する硬化性樹脂「ライトアクリレート9EG-A」(共栄社化学社製)30質量部、光重合開始剤「1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン」5質量部を混合、攪拌し、硬化性組成物を調製した。
次に上記硬化性組成物を、アプリケータを用いて乾燥後の膜厚が50μmになるように、可撓性基材「ルミラー75T60」(東レ社製)の上に塗布し、高圧水銀灯により300mJ/cmの紫外線を照射することにより、乾燥させた塗布膜を硬化させて、大気下にて硬化膜を形成した。
得られた硬化膜を可撓性の支持基材から剥離、単離した硬化膜の引張強度、破断伸び、線膨張係数を各種測定により評価したところ、引張強度10MPa、破断伸び70%、20℃~100℃の平均線膨張係数1.5×10-2/Kとなり、引張強度が低く柔らかいため自立フィルムとして取扱い難く、また線膨張係数は汎用のプラスチックフィルムと変わらない高い値であった。
<比較例3>
ウレタン骨格を有する硬化性樹脂「UV-W2A」(新中村化学工業社製)100質量部、光重合開始剤「1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン」5質量部、上記酸化セルロース30質量部を、水とイソプロパノールを質量比7:3の混合溶媒と混合、攪拌し、固形分比が8質量%となる硬化性組成物を調製したところ、酸化セルロースが分散せず凝集してしまい均一な硬化性組成物と得られなかったため、塗布により膜厚の均一な硬化膜を形成することができなかった。
本発明の硬化性組成物により形成される硬化膜は、各種ディスプレイに用いられる光学フィルムなど、他部材と貼り合せて使用する際に、強度、熱伸縮性の抑制に優れ安定して利用できる。
10・・・・・支持基材
20・・・・・硬化膜
30・・・・・塗布膜
41・・・・・支持基材巻き出し部
42・・・・・硬化膜形成ユニット
43・・・・・硬化膜巻き取り部
44・・・・・支持基材巻き取り部
51・・・・・塗工部
52・・・・・乾燥部
53・・・・・紫外線照射部

Claims (5)

  1. 少なくとも、ウレタン骨格を有する水性(メタ)アクリル樹脂、鎖状骨格としてアルキレンオキシド鎖を有する(メタ)アクリレート樹脂、セルロースナノファイバーおよび(メタ)アクリルアミドとして、アクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンからなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記アルキレンオキシド鎖を有する水性硬化樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレートを含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 硬化後の硬化膜の20℃から100℃までの平均線膨張係数が10-4/K以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物が硬化したものであることを特徴とする硬化膜。
  5. 紫外線照射により硬化したものであることを特徴とする請求項記載の硬化膜。
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