JP7109880B2 - 芳香族アミン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族アミン化合物の製造方法に関する。
芳香族ニトロ化合物を原料にして、SnCl(塩化第一スズ)を用いて還元し、芳香族アミン化合物を製造する際に、触媒として用いたSn化合物の残渣の除去方法として、以下の方法が既に知られている。
特許文献1及び非特許文献1では、反応後の反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、Sn由来の析出物をろ過する方法が記載されている。
特許文献2では、反応後に溶媒を留去し、残渣に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを約12~14にした後、酢酸エチルで生成物を抽出する方法が記載されている。
特許文献3では、反応液に水酸化ナトリウムを強塩基性になるまで加えた後、ジエチルエーテルで生成物を抽出する方法が記載されている。
特許文献4では、酢酸エチル溶液である反応液に、水酸化カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで生成物を抽出したあと、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成する方法が記載されている。
国際公開WO2013/099804号パンフレット 日本特表2012-526061 日本特表2010-530405 日本特表2008-526910
J.Org.Chem.2005年、Vol.70、63-78頁.
本発明は、芳香族ニトロ化合物をSnCl(塩化第一スズ)を用いて還元し、芳香族アミン化合物を製造する際に、生じるSn化合物を簡便、かつ、効率的に除去する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
1.下記の反応式(1)に従って、式3で表わされる芳香族ジニトロ化合物を、塩化第一スズを用いた還元反応によりで表される芳香族アミン化合物を製造する方法において、
で表わされる芳香族ニトロ化合物を還元して得られる反応液を、ベンゼン環を含む化合物と水酸化カリウム水溶液との混合液に接触させるか、又はベンゼン環を含む化合物と水酸化カリウム水溶液とに同時若しくは経時的に接触させて分液させる分液工程に供し、得られる有機層から式で表される芳香族アミン化合物を得ることを特徴とする芳香族アミン化合物を製造する方法。
Figure 0007109880000001
式3及び式6中、Ar は芳香族基を表す。)
.前記式で表される芳香族ジニトロ化合物が、式4で表される芳香族ジニトロ化合物である請求項1に記載の方法。
Figure 0007109880000002
(式4中、Rは塩化第一スズによる還元に不活性な有機基を表す。)
前記で表される芳香族ジニトロ化合物が、式5で表される芳香族ジニトロ化合物である請求項1に記載の方法。
Figure 0007109880000003
4.前記水酸化カリウム水溶液の濃度が、1~50重量%である上記1~のいずれか一項に記載の方法。
5.前記水酸化カリウムの量が、スズ原子1モルに対して、4モル倍量以上である上記1~のいずれか一項に記載の方法。
6.前記水酸化カリウム水溶液と前記ベンゼン環を含む化合物の使用量比が、質量比で50:1~1:50である上記1~のいずれか一項に記載の方法。
7.前記分液工程の温度が10~80℃である上記1~のいずれか一項に記載の方法。
8.前記水酸化カリウム水溶液と前記ベンゼン環を含む化合物の混合液中に、前記反応液を加える上記1~のいずれか一項に記載の方法。
前記ベンゼン環を含む化合物が沸点80~170℃を有する上記1~のいずれか一項に記載の方法
10前記ベンゼン環を含む化合物がトルエンである上記1~のいずれか一項に記載の方法。
11前記還元反応溶媒としてテトラヒドロフランを用いる上記1~10のいずれか一項に記載の方法。
12前記還元反応溶媒として水を用いる上記1~10のいずれか一項に記載の方法。


本発明の方法によれば、芳香族ニトロ化合物を原料にして、SnClを用いて還元して、芳香族アミン化合物を製造する方法において、反応液中のSn化合物を簡便、かつ、効率的に除去することが可能で、高純度の芳香族アミン化合物を得ることができる。
本発明の方法は、下記反応式(1)に従って、式1で表わされる芳香族ニトロ化合物を、塩化第一スズを用いて還元し、式2で表される芳香族アミン化合物を製造するものである。
Figure 0007109880000004
式1において、Arは、芳香族基を表し、NO基の数は少なくとも1つであるが、2つ以上でもよいが、好ましくは、1~4、より好ましくは1~3、特に1又は2が好ましい。NO基の数に応じて、Arである芳香族基の価数が異なることはもちろんである。芳香族基の芳香環は、アルキル基やハロゲン原子で置換されていてもよい。
本発明において使用される式1で表されるニトロ化合物の例としては、下記式1-1から1-53が挙げられる。
Figure 0007109880000005
Figure 0007109880000006
Figure 0007109880000007
Figure 0007109880000008
また、本発明において使用される式1で表されるニトロ化合物の他の例としては、国際特許出願公開WO2007-071091のP81に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP82からP88に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2007-071091のP88に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP89からP92に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2007-071091のP93に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP94からP99に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2007-071091のP101に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP102からP104に記載の化合物(但し、アミノはニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2007-071091のP104に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP107に記載のジニトロ化合物国際特許出願公開WO2007-071091のP109からP110に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2007-071091のP111に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2007-071091のP112からP115に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2008-145225のP87に及びP88に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP89からP93に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2008-145225のP93に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP95からP106に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2008-145225のP106に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP108からP135に記載の化合物(但し、ジアミノはジニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2008-145225のP137に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP139からP141に記載の化合物(但し、アミノはニトロに読み替えるものとする)、国際特許出願公開WO2008-145225のP143に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP145に記載のジニトロ化合物、国際特許出願公開WO2008-145225のP146からP153に記載の化合物(但し、アミノはニトロに読み替えるものとする)、及び国際特許出願公開WO2013099804公報のP51、P55、P58、P60、P63、P65、P68、P71及びP74記載のジニトロ化合物が挙げられる。
式1で表されるニトロ化合物のうち、NO基の数が2つの場合は、下記の式3で表される。
Figure 0007109880000009
かかる式3で表されるニトロ化合物は、例えば、下記式4で表されるジニトロ化合物が挙げられる。式4では、2つのNO基は、メタ位に存在するが、オルト位又はパラ位に存在していてもよいが、メタ位が好ましい。
Figure 0007109880000010

式4中、Rは塩化第一スズによる還元に不活性な有機基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビシクロヘキシル基等のビシクロアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1または2または3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、α-スチリル基、β-スチリル基等のアルケニル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルシクロヘキシル基等のアラルキル基、であり、なかでも、ビニル基又はβ-スチリル基が好ましい。
なお、これらの有機基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、リン酸エステル基、エステル基、カルボキシル基、リン酸基、チオエステル基、アミド基、オルガノオキシ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、オルガノアミノ基、カルバミン酸エステル基、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などで置換されていてもよい。また、これらは環状構造であってもよい。
式4で表されるニトロ化合物としては、例えば、下記式5で表されるジニトロ化合物が挙げられる。
Figure 0007109880000011
上記還元反応は、反応溶媒を用いても、用いなくても実施することが可能であるが、反応溶媒を用いて行うことが好ましい。
反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定はされない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄非プロトン性極性溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン類;水;等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、これらのうちの2種類以上を混合して用いてもよい。好ましくは、テトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサンから選ばれる溶媒と、水との混合溶媒であり、さらに好ましくは、テトラヒドロフランと水との混合溶媒である。
水と有機溶媒の混合溶媒を使用する場合、有機溶媒と水との混合比率は、質量比で1:50~50:1、好ましくは1:10~10:1である。
反応溶媒の使用量(濃度)は特に限定されないが、式1で表される芳香族ニトロ化合物1質量部に対し、1~100質量倍の反応溶媒を用いることができる。好ましくは1.5~50質量倍であり、さらに好ましくは2.5~10質量倍である。
反応温度は特に限定されないが、例えば、-90~200℃、好ましくは0~150℃、さらに好ましくは10~120℃である。反応時間は、通常、0.05~200時間、好ましくは0.5~100時間である。
還元反応における塩化第一スズの使用量は、特に制限はないが、式1で表される芳香族ニトロ化合物のニトロ基1モルに対して、好ましくは1~10モル倍量であり、さらに好ましくは2~5モル倍量である。例えば、式1で表される芳香族ニトロ化合物が2つのニトロ基を有する場合には、芳香族ニトロ化合物に対して、好ましくは2~20モル倍量であり、さらに好ましくは4~10モル倍量である。
具体的な還元反応は、好ましくは下記のようにして実施される。すなわち、反応器中に、出発原料である芳香族ニトロ化合物、塩化第一スズ、及び反応溶媒、例えば、テトラヒドロフラン及び水を仕込み、好ましくは10~120℃にて、好ましくは1~20時間撹拌する。
出発原料の仕込み順は、反応中間体の副反応を避けるため、塩化第一スズ、及び反応溶媒の混合物中に、芳香族ニトロ化合物を分割して添加するか、又は反応溶媒に芳香族ニトロ化合物を溶かして添加する方法が好ましい。反応の終点は、薄層クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどによって確認できる。
上記のようにして、式1で表される芳香族ニトロ化合物は還元され、式2で表される芳香族アミンが生成し、かかる芳香族アミン、未反応の原料、及びSn化合物を含む反応液が得られる。
次に、得られた反応液を、ベンゼン環を含む化合物と水酸化カリウム水溶液との混合液を使用する分液工程に供する。ベンゼン環を含む化合物は、分液後に濃縮が容易であるため、沸点が好ましくは80~170℃、より好ましくは80~150℃を有する。かかるベンゼン環を含む化合物としては、ベンゼン、トルエン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどが挙げられるが、比較的毒性が低く、留去および乾燥がしやすいことから、トルエンが特に好ましい。
反応液からSn化合物を分離し、目的物を得る分液工程としては、例えばベンゼン環を含む化合物としてトルエンを用いる場合には、以下の4方法が挙げられる。
(方法1)反応液に水酸化カリウム水溶液を添加した後、トルエンを加えて分液し、有機層から目的物を得る。
(方法2)反応液にトルエンを添加し、水酸化カリウム水溶液で洗浄し、分液して、有機層から目的物を得る。
(方法3)トルエンと水酸化カリウム水溶液の入った容器に、反応液を添加し、分液して、有機層から目的物を得る。
(方法4)反応液にトルエンと水酸化カリウム水溶液を一度に加えて分液し、有機層から目的物を得る。
本発明では、これらの方法のいずれも使用できるが、水酸化カリウム水溶液と混合する際に、温度を一定に制御でき、且つ、混合中に目的物やSn化合物の析出による撹拌不良が起こらず、また、混合後にSn化合物の析出が起こらず、2層の界面が判別しやすいという点からして、上記の(方法3)が特に好ましい。
分液工程で使用される水酸化カリウム水溶液中の水酸化カリウムの量は、反応液中のSn化合物を、水溶性の高いヘキサヒドロスズ酸カリウムにするための量にするのが好ましく、スズ原子1モルに対して3モル倍以上が好ましく、より好ましくは、3~10モル倍、特に好ましくは3~6モル倍である。
使用される水酸化カリウム水溶液の濃度には、特に制限はないが、目的物が分解しなければ、濃度が濃いほど、少ない使用量の水酸化カリウム水溶液で処理を行えるという点で好ましい。目的物が分解する場合には、水酸化カリウムの濃度を低くすることで実施できる。そのため、水酸化カリウム水溶液の濃度は、1~50重量%が好ましく、10~50重量%がより好ましい。
また、水酸化カリウム水溶液とベンゼン環を含む化合物の使用量の比率は、分液時の界面が分離しやすく、且つ、容積効率をよくするという点から、質量比で100:1~1:100が好ましく、75:1~1:75がよりに好ましく、50:1~1:50が特に好ましい。
分液における温度は、目的物が分解せず、溶解する温度であれば特に制限はなく、10~80℃が好ましく、温度制御が容易であるという点で、10~60℃がより好ましい。分液に要する時間は、の点から、0.01~4時間、好ましくは0.02~1時間である。
上記の分液により得られる有機層であるベンゼン環を含む化合物層には、目的物である芳香族アミン化合物が含まれるが、この有機層はそのまま濃縮して目的物を分離回収してもよい。また、該溶有機層に、目的物を晶析するために貧溶媒を添加し、晶析により芳香族アミン化合物を回収することもできる。この場合の貧溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素、エタノール、メタノール、i-プロピルアルコール等のアルコールなどが好ましく使用される。また、目的物の純度をより高めるために、再結晶等の精製処理を行ってもよい。
一方、上記の分液による水層には、還元反応にした使用された塩化第一スズから生じる溶解性の高いヘキサヒドロスズ酸カリウムなどが含有されるが、かかる水層はそのまま廃棄してもよいが、必要により、これらのスズ化合物は回収することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例によって本発明の解釈が限定されるものではない。なお、実施例にて採用した分析装置及び分析条件は、下記のとおりである。
HPLC分析
装置:LC-20Aシステム(島津製作所社製)
カラム:Inertsil ODS-3(4.6mmΦ×250mm、ジーエルサイエンス社製)
検出器:UV検出(波長254nm)
溶離液:アセトニトリル/0.1wt%酢酸水溶液(70/30、v/v)
実施例1
Figure 0007109880000012
THF(テトラヒドロフラン)(45.0g)及び水(75.0g)の混合反応溶媒に、塩化第一スズ(43.2g、228mmol)を溶解し、(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジニトロフェニル)エチル)エステル(15.0g、28.5mmol)をTHF(27.0g)に溶解した溶液を、18~25℃で1時間かけて滴下した。その後、25時間撹拌して、(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジアミノフェニル)エチル)エステルを含む反応混合物を得た。
次に、トルエン(75.0g)と40質量%水酸化カリウム水溶液(105g)の混合溶液に、上記反応混合物を滴下した。この際、滴下中に析出物はなく、良好に撹拌できた。その後、10分間撹拌して、水層を廃棄し、得られた有機層を6質量%水酸化カリウム水溶液(75g)に加えて、撹拌した後、水層を廃棄した。その後、水(75g)を加えて撹拌し、水層を廃棄する、という操作を5回繰り返した。次いで、有機層を濃縮し、全量が90.6gとなるようにトルエンを加え、50℃で析出物を溶解した。その後、0℃に冷却して、析出した固体をろ過し、乾燥(40℃)することにより、目的物である(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジニトロフェニル)エチル)エステルを得た(薄茶色固体、収量:11.0g、収率:83%、Sn含量:70ppm)。
さらに、上記で得られた固体(1.00g)をトルエン(7.00g)に50℃で溶解し、活性炭0.1g(特製白鷺)日本エンバイロケミカル社製)を加えて、30分間撹拌した。その後、活性炭をろ過で除き、ろ液を濃縮した結果、目的物中のSn含量は1ppm未満となった。
比較例1
実施例1において、原料の(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジニトロフェニル)エチル)エステルの量を1.0gとし、その他の原料を実施例1と同様の比率にした以外は、実施例1と同様に実施した。目的物である(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジアミノフェニル)エチル)エステルを含む反応混合物に対して、酢酸エチル5gを加えた後、さらに炭酸水素ナトリウム(2.4g)を加えた結果、白色の析出物が大量に生成し、撹拌不能となった。
比較例2
比較例1と同様にして実施し、得られた、(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジアミノフェニル)エチル)エステルを含む反応混合物の3分の1の量である7.2gを採取し、これに対して、酢酸エチル3.3gを加え、さらに40質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下したところ、1.3gを滴下した時点で、白色の析出物が大量に生成し、撹拌不能となった。さらに、1.9gの40質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下したところ、析出物は溶解したが、その後3日静置したところ、析出物が発生した。
比較例3
比較例1と同様に実施し、得られた、(E)-4-(6―(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)桂皮酸(2-(2,4-ジアミノフェニル)エチル)エステルを含む反応混合物に対して、酢酸エチル5.0gを加え、さらに40質量%水酸化カリウム水溶液(7.0g)を滴下した。滴下中、白色の析出物が生成し、撹拌性が悪化したが、全量滴下終了後は、析出物は溶解した。その後、数日静置したところ、析出物が、再び発生した。
本発明の方法は、芳香族ニトロ化合物を塩化第一スズを用いて還元して、芳香族アミン化合物を製造する方法において、Sn化合物を簡便、かつ、効率的に除去が可能であり、高純度で芳香族アミン化合物を得ることができ、工業的に有用である。
なお、2015年1月13日に出願された日本特許出願2015-004365号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. 下記の反応式(1)に従って、式3で表わされる芳香族ジニトロ化合物を、塩化第一スズを用いた還元反応によりで表される芳香族アミン化合物を製造する方法において、
    で表わされる芳香族ニトロ化合物を還元して得られる反応液を、ベンゼン環を含む化合物と水酸化カリウム水溶液との混合液に接触させるか、又はベンゼン環を含む化合物と水酸化カリウム水溶液とに同時若しくは経時的に接触させて分液させる分液工程に供し、得られる有機層から式で表される芳香族アミン化合物を得ることを特徴とする芳香族アミン化合物を製造する方法。
    Figure 0007109880000013
    式3及び式6中、Ar は芳香族基を表す。)
  2. 前記式で表される芳香族ジニトロ化合物が、式4で表される芳香族ジニトロ化合物である請求項1に記載の方法。
    Figure 0007109880000014
    (式4中、Rは塩化第一スズによる還元に不活性な有機基を表す。)
  3. 前記で表される芳香族ジニトロ化合物が、式5で表される芳香族ジニトロ化合物である請求項1に記載の方法。
    Figure 0007109880000015
  4. 前記水酸化カリウム水溶液の濃度が、1~50重量%である請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記水酸化カリウムの量が、スズ原子1モルに対して、4モル倍量以上である請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記水酸化カリウム水溶液と前記ベンゼン環を含む化合物の使用量比が、質量比で50:1~1:50である請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記分液工程の温度が10~80℃である請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記水酸化カリウム水溶液と前記ベンゼン環を含む化合物の混合液中に、前記反応液を加える請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ベンゼン環を含む化合物が沸点80~170℃を有する請求項1~のいずれか一項に記載の方法
  10. 前記ベンゼン環を含む化合物がトルエンである請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記還元反応溶媒としてテトラヒドロフランを用いる請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記還元反応溶媒として水を用いる請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
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