JP2008308458A - ピリジンカルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、農薬中間体として有用な式(4):
従来、ピリジンカルボニル化合物(4)の製造方法としては、式(1):
本発明者は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)として2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンを原料に用い、従来法に従ってピリジンカルボニル化合物(4)の製造を試みたところ、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンと濃硫酸との混合物を加熱中に、反応器上部及び冷却器部に2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンが析出する知見を得た。こうした現象は、収率を低下させる懸念があり、かつ工業的規模においては反応終了後の反応器の洗浄等が煩雑となるため、従来法は工業的に実施するには未だ満足し得るものではない。
従って、本発明の課題は、原料であるクロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)を析出させることなく、工業的に従来法と同程度の収率でピリジンカルボニル化合物(4)を製造できる方法を提供することにある。
従って、本発明の課題は、原料であるクロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)を析出させることなく、工業的に従来法と同程度の収率でピリジンカルボニル化合物(4)を製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンと濃硫酸との混合物を、溶媒中で加熱すれば上述の析出は起こらないことを見出した。しかし、例えばo−キシレン、メシチレン、テトラヒドロナフタレン等の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基が置換された芳香族炭化水素系溶媒を用いた場合、反応終了後の反応混合物が黒色に着色しており精製の困難性が予想された。そこでさらに検討を重ねた結果、式(2):
即ち、本発明は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)と濃硫酸との混合物を、溶媒である芳香族炭化水素化合物(2)中で加熱した後、得られた中間生成物を水又は式(3):
R3−OH (3)
(式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるアルコール(以下、アルコール(3)という。)と反応せしめることを特徴とするピリジンカルボニル化合物(4)の製造方法に関する。
本発明の製造方法によって、従来法と比べてクロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)を析出させることなく、工業的容易に従来と同程度の収率でピリジンカルボニル化合物(4)を容易に得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
式(2)中、R1は電子吸引性基を表し、好ましくはニトロ基又はアシル基であり、特に好ましくはニトロ基である。アシル基としては、例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が挙げられ、好ましくはアセチル基である。R2で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。
式(2)中、R1は電子吸引性基を表し、好ましくはニトロ基又はアシル基であり、特に好ましくはニトロ基である。アシル基としては、例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が挙げられ、好ましくはアセチル基である。R2で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。
式(3)中、R3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上述のR2で表される炭素数1〜4のアルキル基と同じアルキル基が挙げられる。
式(4)中、R4で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上述のR2で表される炭素数1〜4のアルキル基と同種のアルキル基が挙げられる。
クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)の具体例としては、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、3−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、4−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン及び5−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンが挙げられ、好ましくは2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンである。
芳香族炭化水素化合物(2)の具体例としては、ニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、3’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン等が挙げられる。
アルコール(3)の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール及びtert−ブタノールが挙げられる。
ピリジンカルボニル化合物(4)の具体例としては、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸メチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸メチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸メチル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸メチル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸エチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸エチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸エチル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸エチル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸プロピル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸プロピル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸プロピル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸プロピル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソプロピル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソプロピル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソプロピル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソプロピル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸ブチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸ブチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸ブチル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸ブチル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソブチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソブチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソブチル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸イソブチル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸sec−ブチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸sec−ブチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸sec−ブチル、5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸sec−ブチル、2−クロロ−6−ピリジンカルボン酸tert−ブチル、3−クロロ−6−ピリジンカルボン酸tert−ブチル、4−クロロ−6−ピリジンカルボン酸tert−ブチル及び5−クロロ−6−ピリジンカルボン酸tert−ブチルが挙げられる。
本発明の製造方法は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)の芳香族炭化水素化合物(2)溶液を反応温度まで加熱した後、濃硫酸をゆっくり滴下し、その後同温度で反応して生成物を得た後、得られた中間生成物を、通常30℃以下に冷却した水又はアルコール(3)に加えることで実施される。本発明に用いられる濃硫酸は、通常95重量%〜98重量%の濃硫酸である。かかる濃硫酸の使用量は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)1モルに対して、通常1.0モル以上、好ましくは1.0〜3.0モル、特に好ましくは1.1〜2.0モルである。また濃硫酸の滴下速度及び滴下時間は、反応原料、反応スケール等によって、適宜決定すればよい。
芳香族炭化水素化合物(2)の使用量は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)1重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは0.6〜3.0重量部である。
加熱温度は、通常100℃〜160℃、好ましくは120℃〜140℃である。
上述の方法により得られる中間生成物は、特許文献1(特開平11−130752号公報)に記載の中間生成物であると推測される。
水又はアルコール(3)は、それぞれ単独で用いることもできるが、反応に不活性な溶媒と混合して用いることもできる。反応に不活性な溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。水又はアルコール(3)の使用量は、クロロ(トリクロロメチル)ピリジン化合物(1)1重量部に対して、通常1重量部以上、好ましくは2〜10重量部である。
こうして得られたピリジンカルボニル化合物(4)を含む反応混合物から、ピリジンカルボニル化合物(4)を単離するには、例えば下記の方法が一例として挙げられる。
生成物を水に加えて得られた反応混合物からピリジンカルボニル化合物(4)を単離する場合は、得られた反応混合物を例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の塩基水溶液を用いてpH10〜12の範囲に調整した後、分液して得られた水層を塩酸等の酸水溶液を用いてpH1〜3の範囲に調整すればピリジンカルボニル化合物(4)が析出するので、濾過、乾燥等、所望の単離操作により単離すればピリジンカルボニル化合物(4)を得ることができる。
生成物をアルコール(3)に加えて得られた反応混合物からピリジンカルボニル化合物(4)を単離する場合は、濃縮して過剰のアルコール(3)を除去した後、ピリジンカルボニル化合物(4)を溶解しかつ水に不溶の有機溶媒(例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒)と水との混合溶媒に加えて分液した後、得られた有機層を濃縮すればピリジンカルボニル化合物(4)を得ることができる。
生成物を水に加えて得られた反応混合物からピリジンカルボニル化合物(4)を単離する場合は、得られた反応混合物を例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の塩基水溶液を用いてpH10〜12の範囲に調整した後、分液して得られた水層を塩酸等の酸水溶液を用いてpH1〜3の範囲に調整すればピリジンカルボニル化合物(4)が析出するので、濾過、乾燥等、所望の単離操作により単離すればピリジンカルボニル化合物(4)を得ることができる。
生成物をアルコール(3)に加えて得られた反応混合物からピリジンカルボニル化合物(4)を単離する場合は、濃縮して過剰のアルコール(3)を除去した後、ピリジンカルボニル化合物(4)を溶解しかつ水に不溶の有機溶媒(例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒)と水との混合溶媒に加えて分液した後、得られた有機層を濃縮すればピリジンカルボニル化合物(4)を得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
2−クロロ−6−トリクロロピリジン100g(0.433モル)及びニトロベンゼン100gの混合物に95重量%濃硫酸58.1g(0.563モル)を135℃、1時間で滴下した。滴下後、135℃で2時間反応した。反応終了後の溶液色は淡黄色であった。得られた生成物を80℃まで冷却後、0℃の水500mLに1時間かけて加えた。得られた反応混合物に48重量%水酸化ナトリウム水溶液加えてpHを11に調整し、トルエン100mLを加えて分液後に得られた水層に、濃塩酸を加えてpH2〜3になるように調整した。析出する白色結晶を濾過し、水及びトルエンで洗浄した後、減圧下に乾燥して6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸56g(収率82%)を白色固体として得た。
2−クロロ−6−トリクロロピリジン100g(0.433モル)及びニトロベンゼン100gの混合物に95重量%濃硫酸58.1g(0.563モル)を135℃、1時間で滴下した。滴下後、135℃で2時間反応した。反応終了後の溶液色は淡黄色であった。得られた生成物を80℃まで冷却後、0℃の水500mLに1時間かけて加えた。得られた反応混合物に48重量%水酸化ナトリウム水溶液加えてpHを11に調整し、トルエン100mLを加えて分液後に得られた水層に、濃塩酸を加えてpH2〜3になるように調整した。析出する白色結晶を濾過し、水及びトルエンで洗浄した後、減圧下に乾燥して6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸56g(収率82%)を白色固体として得た。
実施例2
2−クロロ−6−トリクロロピリジン100g(0.433モル)及びニトロベンゼン80gの混合物に95重量%濃硫酸71.5g(0.693モル)を135℃、30分で滴下した。滴下後、135℃で3時間反応し、得られた生成物を80℃まで冷却後、20℃のエタノール250gに1時間かけて加えた。得られた反応混合物を濃縮して過剰のエタノールを除去し、水及びトルエンを加えて抽出、分液後、得られた有機層を濃縮して濃縮残渣を得た。かかる濃縮残渣を蒸留により精製し、6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸エチル64g(収率80%)を白色固体として得た。
2−クロロ−6−トリクロロピリジン100g(0.433モル)及びニトロベンゼン80gの混合物に95重量%濃硫酸71.5g(0.693モル)を135℃、30分で滴下した。滴下後、135℃で3時間反応し、得られた生成物を80℃まで冷却後、20℃のエタノール250gに1時間かけて加えた。得られた反応混合物を濃縮して過剰のエタノールを除去し、水及びトルエンを加えて抽出、分液後、得られた有機層を濃縮して濃縮残渣を得た。かかる濃縮残渣を蒸留により精製し、6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸エチル64g(収率80%)を白色固体として得た。
比較例1
特開平11−130752号公報に記載の方法に従って、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン10g(0.0433モル)及び95重量%濃硫酸5.81g(0.0563モル)の混合物を135℃に加熱したところ、加熱中に反応器上部及び冷却器部に白色固体が析出した。この白色固体をNMR分析した結果、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMR値と一致した。かかる白色固体の重量は1.3g(5.6ミリモル)であった。以下に白色結晶と2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMR分析結果を示す。
特開平11−130752号公報に記載の方法に従って、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン10g(0.0433モル)及び95重量%濃硫酸5.81g(0.0563モル)の混合物を135℃に加熱したところ、加熱中に反応器上部及び冷却器部に白色固体が析出した。この白色固体をNMR分析した結果、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMR値と一致した。かかる白色固体の重量は1.3g(5.6ミリモル)であった。以下に白色結晶と2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMR分析結果を示す。
白色結晶のNMRスペクトル値
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.42(1H,d,J=7.8Hz),7.80(1H,t,J=7.8Hz),7.95(1H,d,J=7.8Hz)
2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMRスペクトル値
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.42(1H,d,J=7.8Hz),7.80(1H,t,J=7.8Hz),7.95(1H,d,J=7.8Hz)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.42(1H,d,J=7.8Hz),7.80(1H,t,J=7.8Hz),7.95(1H,d,J=7.8Hz)
2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンのNMRスペクトル値
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.42(1H,d,J=7.8Hz),7.80(1H,t,J=7.8Hz),7.95(1H,d,J=7.8Hz)
反応終了後に得られた反応混合物を実施例1に従って後処理を行い、6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸4.8g(収率70%)を得た。
実験例1〜3
実施例1のニトロベンゼンを表1に示す芳香族炭化水素化合物(2)に代えた以外は実施例1と同様にして反応を行った。かかる溶媒を用いた場合、95重量%濃硫酸の投入初期から反応液が暗茶色を帯び、濃硫酸全量投入後に反応液が黒色となった。
実施例1のニトロベンゼンを表1に示す芳香族炭化水素化合物(2)に代えた以外は実施例1と同様にして反応を行った。かかる溶媒を用いた場合、95重量%濃硫酸の投入初期から反応液が暗茶色を帯び、濃硫酸全量投入後に反応液が黒色となった。
Claims (1)
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JP2007159331A JP2008308458A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | ピリジンカルボニル化合物の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103450125A (zh) * | 2013-07-18 | 2013-12-18 | 嘉兴中科化学有限公司 | 一种5-取代苯丙呋喃-2-羧酸及其衍生物的合成方法 |
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2007
- 2007-06-15 JP JP2007159331A patent/JP2008308458A/ja active Pending
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CN103450125A (zh) * | 2013-07-18 | 2013-12-18 | 嘉兴中科化学有限公司 | 一种5-取代苯丙呋喃-2-羧酸及其衍生物的合成方法 |
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