JP7108085B2 - 計時器のためのアンテナ・デバイス - Google Patents

Description

本発明は、計時器のための通信システムにおいて使用されるアンテナ・デバイスに関する。

ここ数年、時計は、携帯端末に連結されるＢｌｕｅｔｏｏｔｈ等の様々な通信ネットワークに接続し得る通信、及びＧＰＳ、Ｇｌｏｎａｓｓ又はＧａｌｉｌｅｏ等の様々な衛星測位システムに接続された地理位置を組み込む手段となっている。このため、時計は、１つ又は複数のアンテナ（複数可）を組み込む。

アンテナの最適なサイズが、送信／受信信号の波長に直接的に依存することは公知である。最適な長さのアンテナにより、全体として、全出力での信号の送信／受信を可能にする。

時計において、利用可能な空間は限られており、アンテナは、時計の中板への嵌合に適合する設計を有さなければならない。

また、時計が、（２．４ＧＨｚ又は１．５ＧＨｚ等の）無線周波数上で動作する無線通信手段を組み込む場合、製品のサイズは、波長（１２０ｍｍ及び２００ｍｍ）に対して決定的となる。

更に、他の制約条件も考慮しなければならない：
－時計は、多数の金属部分、特に金属部分の中板を含み、アンテナをこの金属部分から絶縁しなければならない。
－時計は、同じケース内に上記で指定したようないくつかの通信デバイスを組み込むことができる。時計は、特定のサイズを超える体積を有することができない（一般原則として、最大直径は５０ｍｍ）。

本発明の目的は、時計等の計時器の通信システム内での使用を目的とするアンテナ・デバイスを有することであり、この計時器は、少なくとも２つのアンテナ回路を組み込み、それぞれのアンテナ回路は、全体として、全出力で信号を送信／受信するのに最適な長さを有し、収容体積が制限される時計の中板に嵌合する。

この目的は、小型多重帯域型の放射状に広がる単一構造によって達成され、この構造は、隣接し合う材料（金属中板、サファイア・ガラス）の特性を使用する。この組み込みは、印刷技法（例えばフレックスｐｃｂ）のために、物理的な組み込み（構造）と、アンテナ形態との間を分離することによって可能になる。この多重帯域構造は、阻止フィルタ型回路を通じて電子回路に接続される。

本発明の他の特徴及び利点は、以下に列挙する添付の図面と併せて行われる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。

本発明によるアンテナ・デバイスの図である。 本発明によるアンテナ・デバイスを組み込む計時器の部分断面図である。 本発明の通信システムにおいて採用される各周波数帯域によって見られる利得を示すグラフである。 本発明のアンテナ・デバイスによって許容される周波数帯域の分離の原則を示すグラフである。

本明細書の残りにおいて、用語「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上」、「下」は、表面上の計時器ケースの水平支承面に平行な水平正中面（Ｐ）を考慮するとみなされる。

用語「外側」、「外部」、「内側」及び「内部」は、前記正中面に直交して向けられた正中軸（Ｘ）を考慮することによって理解されたい。

本発明は、通信システム内での使用を目的とするアンテナ・デバイスに関し、アンテナ・デバイスは、計時器、特に腕時計、又は更にはコネクテッド・ウォッチ若しくはコネクテッド・リストウォッチのケース内に組み込まれる。

図２を参照すると、計時器４のケースは、中板４０によって画定される収容体積部を備え、中板４０は、概して金属材料から作製され、前記正中軸の周囲に側方壁を形成し、例えばセラミック又はチタンから作製した上側ベゼル４１と共に単一部分又は２つの部分で作製される。計時器４の収容体積部は、例えばガラス４２により上方から閉鎖され、ガラス４２は、例えばサファイア・ガラスから作製され、中板４０によって支持され、適切な方法によって中板４０に封止締結される。計時器は、例えば金属製の裏壁（図では見えない）も備え、裏壁は、正中面に対してガラス４２の反対側に位置し、有利には、底部から体積部を閉鎖する封止体によって中板から絶縁される。

本発明の特定の態様によれば、計時器４は、通信システムを含み、通信システムは、
－通信アンテナ・デバイス１と、
－それ自体は当業者に公知であるデュプレクサ／阻止型フィルタ回路２０と
を主に含む。

アンテナ・デバイス１は、基板１０を含み、基板１０は、有利には、フレキシブル印刷回路（一般に「フレックス」と呼ばれる）の形態で作製される。

図１を参照すると、アンテナ・デバイス１は、２つの個別のアンテナ回路を含むという特徴を有し、計時器を２つの個別のネットワーク、より詳細にはＢｌｕｅｔｏｏｔｈ型通信ネットワーク、及び例えばＧＰＳ（全地球測位システム）、Ｇｌｏｎａｓｓ又はＧａｌｉｌｅｏ等のＧＮＳＳ（全球測位衛星システム）衛星測位ネットワークに接続することを可能にする。

２つのアンテナ回路は、印刷回路の分野で使用される標準的な方法によって同じ基板上に作製される。

本発明の特定の態様によれば、
－第１のアンテナ回路１１は、第１の要素１１０と第２の要素１１１とを有し、第１の要素１１０及び第２の要素１１１はそれぞれ、近位端と遠位端とを有し、近位端と遠位端との間を平行に延在し、第１の要素及び第２の要素は、近位端１１２によって接続され、遠位端で離間する。
－第２のアンテナ回路１２は、第３の要素１２０と第４の要素１２１とを有し、第３の要素１２０及び第４の要素１２１はそれぞれ、近位端と遠位端とを有し、近位端と遠位端との間を平行に延在し、第３の要素及び第４の要素は、遠位端１２２によって接続され、近位端で離間する。

電気接続路１３により、第１の要素１１０の近位端、第２の要素１１の近位端及び第３の要素１２０の近位端の接続を可能にする。この電気接続路１３は、前記フィルタ回路２が接続される単一接続点１３０を含む。したがって、単一接続点１３０は、第１のアンテナ回路１１及び第２のアンテナ回路１２の選択的な使用による通信を可能にする。

第１のアンテナ回路１１の２つの平行要素を有する構成により、例えばＢｌｕｅｔｏｏｔｈ型通信ネットワーク（２．４ＧＨｚ）上での通信に必要な周波数帯域（１００ＭＨｚ）を広げることを可能にする。

（例えば衛星測位回路専用の）第２のアンテナ回路１２の場合、アンテナは、電流ノード上で給電され、アンテナの長さ部は折り畳まれ、インピーダンス整合の向上を可能にする。

平行な２つのアンテナ回路１１、１２に対する単一接続点１３０により、計時器４の収容体積部内へのアンテナ・デバイスの機械的な組み込みの促進、及びアンテナ部分と電子部分との間の設計の独立を可能にする。実際、これらアンテナ回路の支持板を構造内に機械的に組み込むことの調節には十分であり、その後、アンテナ回路のパターンは、前記機械的な組み込みに疑問を呈さない標準的なエッチング方法によって作製される。２つの要素が一続きに連結された第２のアンテナ回路１２により、衛星測位ネットワーク（例えばＧＰＳ）上での通信に使用されるより狭い周波数帯域上、例えば、１．５ＧＨｚでの通信を可能にする。

この構成において、各アンテナ回路１１、１２は、本質的に、２つの要素１１０、１１１、１２０、１２１を含めることによって円弧軌道に沿って延在し、この経路を辿る２つの要素１１０、１１１、１２０、１２１は、基板１０上に平行に配置される。

例として、各アンテナ回路１１、１２は、このアンテナ回路１１、１２が形成する円弧を画定する角度区分の角度に対して、７０から８０°の間に含まれる角度範囲にわたり、電気連結路の両側に作製することができる。アンテナ回路１１、１２の軌道は、１６から２２ｍｍの間に含まれる半径に沿って作製したこの円弧を辿ることができる。２つの要素１１０、１１１、１２０、１２１は、１から２ｍｍの間に含まれる距離だけ互いに離間することができる。

基板１０は、円弧、有利には半円に作製された外形を有する第１の板の形態である。この構成は、特に衛星アンテナのための円偏波を得るのに大幅に役立つ。この構成は、生活空間等の閉鎖された場所で電波を伝搬するため、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈプロトコルの実装にも役立つ。２つのアンテナ回路は、板の同じ面、即ち上側面上に印刷され、それぞれ、分離部分の両側に延在し、分離部分は、２つのアンテナ回路１１、１２を接合する電気接続部１３を支持する。この分離部分は、有利には、正中であり、基板を２つの円弧に分離し、２つの円弧は、実質的に等しい寸法であるか、更には等しい寸法であるか、又は厳密に等しい寸法である。

アンテナ・デバイスは、板の突起の形態である接続部分１００を更に含む。

基板１０を計時器４の中板４０に組み込む間、基板１０の接続部分１００は、第１の板に対して、軸（Ｘ）に直交し平面（Ｐ）に平行な軸回りに屈曲されることを意図する。

この接続部分１００は、１つ又は複数の導電性接続部（複数可）を含み、デュプレクサ／阻止型フィルタ回路２０を支持する電子制御回路２に（電気接続部１３で）アンテナ回路１１、１２を接続することを可能にする。接続部分１００は、これら導電性接続部に対する電磁遮蔽部を含み、外部に放出しないようにし、接続部分１００がアンテナ回路１１、１２のインピーダンスに影響を及ぼさないようにすることを可能にする。したがって、例として、遮蔽部は、いくつかの重ね合わせた層、即ち、遮蔽下位層、絶縁体層、導電性接続部を組み込んだ層、次いで、新たな絶縁体層、及び新たな遮蔽上位層を組み立てることによって達成することができる。

電子制御回路２を支持する制御カードは、計時器４のケースの底部内に配置することができる（制御回路２は、例えば１つ又は複数のＲＦ送信／受信回路を支持し、設計自体は公知のものである）。

アンテナ・デバイス１は、接続部分１００によって、導電性接続部（複数可）を介して制御カードに接続される。

図２を参照すると、計時器４は、有利には金属から作製した文字板４３を組み込むことができ、文字板４３は、収容体積部内の裏壁の上に位置する。この文字板には、計時器のガラスを通して見える美観的な表示を載せることができる。文字板は、有利には円板形状を有する。

計時器は、文字板上に配置されるくさび４４を組み込むことができる。このくさび４４は、水平支持面を画定し、アンテナ回路を支持する基板１０を支持することを目的とする。このくさびは、円形状又は半円形状を有することができ、文字板の上で決定される一定の厚さを画定する。

アンテナ・デバイス１の基板１０は、くさび４４上に配置されるように構成し、第１の板は、くさびによって形成される支承面に接して支承する。接続部分１００は、主平面（Ｐ）を横断する平面に沿って垂直に配置されるように屈曲する。

例えば絶縁発泡体から作製される第１のくさび要素４５は、基板と、中板の上に置かれるベゼルとの間に配置することができる。

例えば絶縁プラスチックから作製され、例えば半円形状の第２の要素４６は、基板１０の上面に接して支承する上側部分と、文字板まで下方に延在する垂直部分と、文字板に接して支承する下側部分とを含む。

例えば静電容量式のタッチ・スクリーン４７は、ガラス表面の主要部分上で、空気によって前記第２の要素４６から分離する状態で、ガラス４２の下に締結することができる。

バンドを締結するため、計時器は、それぞれがベルトの個別の要素を締結するように構成した２つのかん４８を中板の両側に含む。

アンテナ・デバイスは、少なくとも２つの通信回路で動作する多重帯域であり、周波数、偏波、利得及びインピーダンスの点で異なる特性を有する。

インピーダンスに関し、電子制御回路２は、無線周波デュプレクサ／阻止フィルタ２０を含むことができる。

利得及び偏波に関し、各アンテナ回路１１、１２がこれらのパラメータの管理を可能にするパターンである。

デュプレクサ／阻止フィルタの使用により、２つの通信回路（例えばＢｌｕｅｔｏｏｔｈ及びＧＰＳ）の分離を可能にする。

例として、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ型通信回路は、直線偏波を必要とする一方で、ＧＰＳ型通信回路は、円偏波を必要とすることに留意されたい。ＧＰＳシステムには、特に、左旋円偏波と呼ばれる偏波がかかる。

更に、本発明の解決策は、計時器４が金属材料から作製した中板４０を含むことを考慮することを可能にする。

本発明の特定の態様によれば、アンテナ・デバイス１は、ユーザの目から依然として隠したままで、計時器のケース内で可能な限り高く置く、即ち、可能な限り窓の付近に置くことを意図する。

更に、計時器のケース内へのアンテナ・デバイス１の配置により、アンテナ・デバイス１が計時器の金属中板４０を通じて放射波を放出することができるという利益を計時器の金属中板４０から得ることを可能にする。セラミック型材料から作製し得るベゼル４１は、特に側方で放射波に損害を与えないように、高誘電材料を追加することによって、アンテナの電気的な長さの増大、したがって、アンテナの物理的サイズに対する効率を向上させることを可能にする。

アンテナ・デバイス１は、やはり金属製である文字板４３の上に置かれるため、アンテナ・デバイスの上の、主に空気で満たされた体積部から利益を得られる（したがって、アンテナの効率を向上させる）。この金属文字板４３は、画面としても働き、アンテナ・デバイス１に関連して、この文字板の下の構造に対するあらゆる部分的な変更が透過的に行われる。

図３は、本発明の通信システムの使用による、周波数帯域、ＩＳＭ帯域（産業科学医療帯域－Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ等のネットワークによって使用される周波数帯域に対応する）、及びＧＮＳＳ周波数帯域（全球測位衛星システム）のそれぞれで見られる利得の点での性能を示す。

図４は、本発明によるアンテナ・デバイスの使用により可能になる周波数帯域の分離を示す２つの曲線を示す。ＩＳＭ帯域は、ＧＮＳＳ周波数帯域から良好に分離されることが見られる。

本発明は、たった今説明してきた実施形態に限定されるものではなく、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び単純な変形形態を考慮し得ることは言うまでもない。

１ アンテナ・デバイス
１０ 基板
１１ 第１のアンテナ回路
１２ 第２のアンテナ回路
１３ 電気連結路
１００ 接続部分
１１０ 第１の要素
１１１ 第２の要素
１２０ 第３の要
１２１ 第４の要素

Claims (14)

1. 計時器の通信システム内で使用することを目的とするアンテナ・デバイス（１）であって、前記デバイスは、
   －基板（１０）と、
   －前記基板上に作製し、第１の要素（１１０）及び第２の要素（１１１）を有する第１のアンテナ回路（１１）であって、前記第１の要素（１１０）及び前記第２の要素（１１１）は、近位端及び遠位端を有し、前記近位端と前記遠位端との間で平行に延在し、前記第１の要素及び前記第２の要素は、前記近位端によって接続し、前記遠位端で離間する、第１のアンテナ回路（１１）と、
   －前記基板（１０）上に作製し、第３の要素（１２０）及び第４の要素（１２１）を有する第２のアンテナ回路（１２）であって、前記第３の要素（１２０）及び前記第４の要素（１２１）は、近位端及び遠位端を有し、前記近位端と前記遠位端との間で平行に延在し、前記第３の要素及び前記第４の要素は、前記遠位端によって接続し、前記近位端で離間する、第２のアンテナ回路（１２）と、
   －前記第１の要素及び前記第３の要素の前記近位端を接合する電気連結路（１３）と、
   －接続部分（１００）と
   を含み、前記接続部分（１００）は、前記電気連結路に対して屈曲するように構成し、導電性接続部を含み、前記導電性接続部は、前記電気連結路（１３）に接続し、前記導電性接続部の電磁遮蔽部を含むことを特徴とする、アンテナ・デバイス（１）。
2. 前記要素（１１０、１１１、１２０、１２１）は湾曲していることを特徴とする、請求項１に記載のデバイス。
3. 前記基板（１０）は可撓性プラスチック基板であることを特徴とする、請求項１又は２に記載のデバイス。
4. 前記基板（１０）は、２つのアンテナ回路を上に作製した面を有する第１の板から構成し、前記接続部分（１００）は、前記第１の板に対して屈曲するように構成することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載のデバイス。
5. 前記基板の前記第１の板は、円弧形状外形を有することを特徴とする、請求項４に記載のデバイス。
6. 前記第１のアンテナ回路（１１）及び前記第２のアンテナ回路（１２）は、前記電気連結路（１３）の両側に配設することを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載のデバイス。
7. 計時器のための遠隔通信システムであって、
   －請求項１から６のいずれか一項に記載のアンテナ・デバイス（１）と、
   －前記接続部分（１００）の前記導電性接続部を介して前記電気連結路に接続するデュプレクサ／阻止回路（２０）と
   を備えることを特徴とする、遠隔通信システム。
8. 前記デュプレクサ／阻止回路（２０）は、前記第１のアンテナ回路及び前記第２のアンテナ回路のそれぞれを介する、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ型プロトコルに従って通信するように構成した第１の通信回路と、衛星測位ネットワーク上で通信するように構成した第２の通信回路とを含むことを特徴とする、請求項７に記載の通信システム。
9. 中板（４０）から形成したケースと、上側ガラス（４１）と、裏壁とを備える計時器（４）において、前記計時器（４）は、フランジと、請求項７又は８に記載の通信システムとを含み、前記基板（１０）は、前記計時器の前記フランジ内に配設することを特徴とする、計時器（４）。
10. 上側ガラスを備え、前記第１のアンテナ回路（１１）及び前記第２のアンテナ回路（１２）は、前記上側ガラス（４１）の反対側に配置する、請求項９に記載の計時器（４）。
11. 前記計時器（４）は、前記ケースの内側に置かれる金属文字板（４３）を含み、前記アンテナ・デバイス（１）は、前記金属文字板の上に配置することを特徴とする、請求項９又は１０に記載の計時器（４）。
12. 前記デュプレクサ／阻止回路（２０）は、前記金属文字板（４３）の下に配置することを特徴とする、請求項１１に記載の計時器（４）。
13. 前記計時器（４）はコネクテッド・ウォッチであることを特徴とする、請求項９から１２のいずれか一項に記載の計時器（４）。
14. 前記計時器はコネクテッド・リストウォッチであることを特徴とする、請求項９から１３のいずれか一項に記載の計時器。

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