JP7106345B2 - 歯周病抑制剤およびこれを利用する口腔用組成物 - Google Patents

歯周病抑制剤およびこれを利用する口腔用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、新規な歯周病菌抑制剤および口腔用組成物に関する。
ヒトの口腔内では500~700種を超える極めて多種類の細菌が見出されており、粘膜面に恒常的に集合体、すなわち菌叢を形成している。この口腔内菌叢は、複雑な相互作用によりそのバランスが保たれており、外来性細菌に拮抗することで、その侵入感染を防止し、すなわち抵抗性を付与する機能等も担っている。
しかしながら、一方で口腔内には感染症を引き起こす歯周病菌も存在し、このものが引き起こす歯周病は、感染者数が最も多い口腔内感染症と言われている。
歯周病菌により発症する歯周病には、歯肉炎、歯周炎及び咬合性外傷などがある。また、歯周病が慢性化することで歯周病菌を原因として、呼吸器疾患、心疾患、糖尿病、早産等といった感染症を引き起こすことが知られている。
歯周病の主な原因は、歯周ポケットに蓄積する歯垢中の細菌である。通常、健常者の歯周ポケットではグラム陽性菌が大部分を占めているが、歯周病が進行するにしたがって、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphylomonas gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレアーツム(Fusobacterium nucleatum)等の、歯周病菌と呼ばれるグラム陰性菌が増加することが知られている。
歯周病菌の抑制については、これまで多数の研究が行われ、これらの菌に対して有効な抗菌性物質を配合した歯磨き剤や含嗽剤等が開発されている。例えば、歯周病菌に対する抗菌剤として、カカオマス中に含まれるココア分を有効成分としたもの(特許文献1)、コガネバナ抽出物等を抗う蝕剤としたもの(特許文献2)、アリルイソチオシアナートなどのイソチオシアナート化合物と、ミント精油またはその精油成分とを含む抗歯周病剤(特許文献3)、ケイヒ抽出物を有効成分として含有する抗歯周病剤(特許文献5)、タイム抽出物と、精油およびオレオレジン群の1種または2種以上とを含有する歯周病予防組成物(特許文献6)などが知られている。
しかしながら、今までに開発されたものは、有効性、安全性、使用感等の面で総合的に満足のゆくものが少なく、老齢化が進むなかで口腔内疾患の予防は重要な課題となっており、より優れた歯周病菌抑制剤の開発が求められている。
一方で、針葉樹に含まれるセスキテルペン類がミュータンス菌に対する抗菌効果やバイオフィルム形成を抑制するという報告がある(特許文献4及び非特許文献1)。また、1,8-シネオールがミュータンス菌に効果があるという報告もなされている(非特許文献2)。しかし、これらは歯周病菌についてのものでなく、また、歯周病菌への適用を示唆するものではない。
国際公開第2003/99304号パンフレット 特開2001-97835号公報 特開2007-308378号公報 特開2012-229191号公報 特開平4-29933号公報 特開平3-255031号公報
平成29年度第44回日本棒金防黴学会年次大会要旨P185 第57回日本化学療法学会総会学術講演会講演抄録P164
従って、本発明の課題は、有効性、安全性、使用感等の面から見て実用性の高い歯周病菌抑制剤およびこれを利用した口腔用組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため、天然物中の抗菌性成分を探索していたところ、特定の針葉樹の枝葉中に歯周病菌を顕著に抑制する効果を有する物質が存在することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、マツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物を有効成分として含有することを特徴とする歯周病菌抑制剤である。
また本発明は、有効成分としてのマツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物と口腔組成物基剤とを含有することを特徴とする口腔用組成物である。
更に、本発明は上記歯周病抑制剤または口腔用組成物を口腔内に適用することを特徴とする歯周病菌の抑制方法である。
本発明の歯周病抑制剤によれば、口腔内の歯周病菌の増殖を顕著に抑制することができるため、歯周病の治療、予防に有効なものである。
また、本発明の口腔用組成物は、日常に使用する形態の剤形でありながら、歯周病菌抑制成分を含んでいるため、特に意識することなく簡単に歯周病を予防することができるものである。
本発明の歯周病菌抑制剤の有効成分として用いるマツ科モミ属に属する植物の蒸留物を得るために使用するマイクロ波蒸留装置の構成を模式的に示す図である。
本発明の歯周病菌抑制剤の有効成分は、マツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物(以下、「歯周病抑制成分」ということがある)である。
この歯周病抑制成分の原料となるマツ科モミ属に属する植物としては、トドマツ、モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、シラベ、バルサムファー、ミツミネモミ、ホワイトファー、アマビリスファー、アオトドマツ、カリフォルニアレッドファー、グランドファー、ノーブルファー等を挙げることができる。これらのうちトドマツが歯周病菌に対する効果に優れるため好ましく用いられる。
本発明の歯周病抑制成分の調製にあたっては、上記マツ科モミ属に属する植物の植物体全てまたはその一部(例えば、果実、種子、葉、樹皮、根茎、花など)が用いられる。これらのうち、間伐・枝打ちされる樹木の有効利用の観点や、抑制効果が高いことから、葉の部分が好適に用いられる。葉の部分は、そのまま用いても良いが、好ましくは、粉砕機や圧砕機等により粉砕・圧砕して使用される。
上記歯周病抑制成分は、マツ科モミ属に属する植物の植物体全体またはその一部からの、搾汁液、抽出物または蒸留物として得る。このうち、搾汁液の製造は、公知の圧搾機を用いて行うことができる。また、抽出物の製造も常法に従って行うことができるが、抽出溶媒として、極性溶媒を使用することが好ましく、具体的には、水、エタノール、メタノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、酢酸エチル等のカルボニル系溶媒、およびこれらの混液等が例示できる。蒸留物は、常圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等によって得ることができる。
本発明の歯周病菌抑制剤の有効成分としては、これらのうち、蒸留物が好ましく、特に減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られたものが好ましい。このものは、濃縮、精製等の手間をかけなくても、モノテルペン類を高濃度で含有し、さわやかな香気を有するため、香りの嗜好性が高く、かつ高い歯周病菌抑制性効力を有するため好ましい。
なお、蒸留にあたっての加熱は、一般のヒーター等による加熱でもかまわないが、マイクロ波による加熱が加熱効率の点で好ましく、特に水を加えずにマイクロ波を照射して加熱することが好ましい。マイクロ波を照射することにより、植物中に含まれる水分子が直接加熱されて水蒸気が生じ、これが移動相として作用して植物中の揮発性成分が蒸留されるため、この蒸留方法は、揮発性成分の沸点による減圧蒸留的な要素と、水蒸気蒸留的な要素とを包含するものと考えられる。
このようなマイクロ波照射による蒸留物は、例えば図1に示す装置を使用することにより得ることができる。図中、1はマイクロ波蒸留装置、2は蒸留槽、3はマイクロ波加熱装置、4は撹拌はね、5は気流流入管、6は蒸留物流出管、7は冷却装置、8は加熱制御装置、9は減圧ポンプ、10は圧力調整弁、11は圧力制御装置、12は蒸留対象物、13は蒸留物をそれぞれ示す。
この装置1では、蒸留対象物12となる原料のマツ科モミ属に属する植物を蒸留槽2中に入れ、撹拌はね4で撹拌しながら、蒸留槽2の上面に設けられたマイクロ波加熱装置3からマイクロ波を放射し、原料を加熱する。この蒸留槽2は、気流流入口5および蒸留物流出管6と連通されている。気流流入管5は、空気あるいは窒素ガス等の不活性ガスを蒸留槽2中に導入するものであり、この気流は、蒸留槽2の下部から導入される。また、蒸留物流出管6は、原料からの蒸留物を、蒸留槽2の上部から外に導出するものである。
上記蒸留槽2内部は、これに取り付けられた温度センサおよび圧力センサ(共に図示せず)により温度および圧力が測定されるようになっており、加熱制御装置8および圧力制御装置11、圧力調整弁10を介してそれぞれ調整されるようになっている。
また、蒸留物流出管6を介して蒸留槽2から流出した気体状の蒸留物は、冷却装置7により液体に代えられ、蒸留物13として得られる。この蒸留物13には、油性画分13aと水性画分13bが含まれるが、このうち油性画分13aが好適に用いられる。
蒸留にあたっては、上記蒸留槽2内の圧力を、3ないし95キロパスカル、好ましくは、3ないし40キロパスカル、さらに好ましくは3ないし20キロパスカル程度として行なえば良く、その際の蒸気温度は40℃から100℃になる。圧力が3キロパスカル以下では植物中の揮散性成分の蒸気圧上昇が抑制され、また、水蒸気蒸留的要素より、各成分の沸点による減圧蒸留的要素が主となり、沸点の低いものから順に流出してしまうため、水よりも沸点の高い成分の抽出が効率的に行われないという点及び忌避効率が低くかつ香りの嗜好性で劣る高沸点成分が多く抽出されてしまう点で好ましくない。また、95キロパスカル以上では、原料の温度が高くなるため、エネルギーロスが大きく、原料の酸化も促進されてしまうという点で好ましくない。
また、蒸留時間は、0.2ないし8時間程度、好ましくは、0.4ないし6時間程度とすれば良い。0.2時間以下では植物中の未抽出成分が多く残存してしまい、8時間以上では原料が乾固に近い状態となってしまうため、抽出効率が低下するという点で好ましくない。
更に、蒸留槽2内に導入する気体としては、空気でもかまわないが、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましく、その流量としては、1分当たりの流量が、蒸留槽2の0.001ないし0.1容量倍程度とすれば良い。
本発明の歯周病菌抑制成分は、以上のようにして得られたマツ科モミ属に属する植物の搾汁液、抽出物または蒸留物をそのまま用いることもできるが、必要に応じて、常法により、更に濃縮したり、精製して使用してもよい。
本発明の歯周病抑制剤は、上記の歯周病菌抑制成分をその状態で使用してもよいが、さらに適当な溶剤と組み合わせて使用しても良い。
本発明の歯周病抑制剤において使用される溶剤としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンアルコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
溶剤を使用して歯周病抑制剤とする場合の、歯周病抑制成分の配合量は、0.01質量 %(以下、単に「%」と示す)ないし99%程度の濃度であり、好ましくは、0.1%ないし20%である。
本発明の歯周病菌抑制剤における歯周病抑制成分の配合量は、効果が確認できる範囲であれば特に制限はないが、例えばトドマツ抽出物を使用する場合の好ましい量としては、一般的には製剤中、0.001mg/g~200mg/gの範囲に設定され、好ましくは0.05mg/g~20mg/gの範囲である。
なお本発明の歯周病菌抑制剤には、他の従来公知の歯周病菌抑制成分を配合しても良く、これによりさらに優れた歯周病菌抑制効果を発揮することができる。これらの他の歯周病菌抑制成分の例としては、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、ラウロイルサルコシン塩、クロルヘキシジン、トラネキサム酸、テトラサイクリン、ミノサイクリン、レモングラス・マステッィクオイル、カミツレチンキ、ラタニアチンキ、ヒノキチオール、ビャクダン、カッシャ、シンナモン、グアヤック、パチュリ精油、没食子酸、カテキン類、赤霊芝、黒霊芝、黄杞葉、緑茶、ヨモギ、カリン、刺梨、ギムネマ、ルイボス茶、サンザシ、ウコン、ラカンカ、シリマリン、枸杞子、紫玄米、エレウテロコック、月桃葉、ドクダミ、大棗、霊芝、ニンニク、チンピ、カンゾウ、カミツレ、シャゼンソウ、キキョウ、ケイヒ、ウイキョウ、ホップ、カノコソウ、オウゴン、シコン、セ-ジ、イチョウ、竹、ソウハクヒ、レイシ、アカシショウガ、コメ抽出物等を挙げることができ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の歯周病菌抑制剤は、公知の口腔組成物基剤と組み合わせた口腔用組成物とすることもできる。この口腔用組成物は、液状、固形状、粉末状、ペースト状等のいずれの形状でも良く、本発明を実施する上で最適な剤型を任意に選択することが可能である。
具体的な口腔用組成物としては、粉歯磨、練歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤、うがい用錠剤、義歯用洗浄剤、含嗽剤、トローチ、チューインガム等の各種剤型を挙げることができる。
本発明の口腔用組成物の調製に使用される口腔組成物基剤としては、本発明の効果を損なわない種類および範囲内のものであれば、公知の研磨剤、界面活性剤、増粘剤、甘味料等の成分や添加剤が挙げられ、これらを選択、併用することができる。
このうち、研磨剤としては、例えば無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、リン酸水素カルシウム、第二リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン、合成樹脂等が必要に応じて好適に使用される。これら研磨剤は1種又は2種以上を混合して配合することができる。
また、界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル基の炭素数が8~18である高級アルキル硫酸エステルの水溶性塩、ラウリルモノグリセライドスルホン酸ナトリウム、ココナッツモノグリセライドスルホン酸ナトリウム等の脂肪酸基の炭素数が10~18である高級脂肪酸モノグリセライドスルホン酸の水溶性塩、オレフィンスルホン酸、パラフィンスルホン酸や、その他のアニオン活性剤、ステアリルモノグリセライド、ショ糖モノ及びジラウレート等の脂肪酸基の炭素数が12~18であるショ糖脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、エチレングリコ-ル約60モルが付加したソルビタンモノステアレート縮合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの重合物及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノラウリルエステル等の誘導体といったノニオン活性剤、ベタイン型、アミノ酸型等の両性活性剤等の界面活性剤が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を混合して配合することができる。
更に、増粘剤としては、例えばカラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム等のアルカリ金属アルギネート、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成増粘剤、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ、ビーガム、ラポナイト等の無機増粘剤等を挙げることができ、これらの1種以上を配合することができる。
更にまた、粘稠剤としては、例えばソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等の1種以上を配合することができる。
また更に、甘味剤としては、例えばサッカリンナトリウム、ステピオサイド、キシリトール、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド、サイクラミン酸ナトリウム等を、防腐剤としては、例えばp-ヒドロキシメチルベンゾイックアシド、p-ヒドロキシエチルベンゾイックアシド、p-ヒドロキシプロピルベンゾイックアシド、p-ヒドロキシブチルベンゾイックアシド、安息香酸ナトリウム、低級脂肪酸モノグリセライド等を、香料としては、例えばウインターグリーン油、スペアミント油、ペパーミント油、サッサフラス油、丁字油、ユーカリ油をそれぞれ挙げることができ、これらを必要に応じて配合することができる。
またその他に、ゼラチン、ペプトン、アルブミン、増白剤、シリコーン、色素等の他種成分や、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物、イプシロンアミノカプロン酸、デキストラナーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、リテックエンザイム等の酵素、クロルヘキシジン塩類、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸、カロペプタイド、ビタミン類、抗菌剤、硝酸カリウム等の知覚過敏症鈍麻剤等の他種薬効成分を1種以上配合することもできる。
本発明の口腔用組成物のpHは、口腔内及び人体に安全性上問題ない範囲であれば、特に限定されるものではないが、望ましくはpH6~9であり、更に望ましくは7~9である。尚、必要に応じて、pH調整剤として、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等を適量配合することができる。
本発明の口腔用組成物の好ましい実施態様の例としては、歯磨きの剤形のもので、口腔組成物基剤として、リン酸水素カルシウム、グリセリン及び水を含有するものを挙げることができる。
また、別の好ましい実施態様の例としては、洗口剤の剤形で、口腔組成物基剤として、エタノール及び水を含有するものを挙げることができる。
更に、別の好ましい実施態様の例としては、口腔内保湿剤の剤形で、口腔組成物基剤として、グリセリン及び水を含有するものを挙げることができる。
以上説明した歯周病抑制剤は、例えば、有効量の歯周病抑制成分を含有する液状製剤を、1日1~3回程度口に含んで、洗口、含嗽すれば良い。また、口腔用組成物は、有効量の歯周病抑制成分を含有する組成物をその剤型に対応した通常の用法で使用すればよい。
以下に製造例、実施例及び製剤例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
製 造 例 1
原料として、トドマツの葉を用い、以下のようにしてトドマツ精油を得た。すなわち、トドマツ葉を圧砕式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したもの約50kgを、図1に示すようなマイクロ波蒸留装置の蒸留槽に投入し、攪拌しながら蒸留槽内の圧力を、約20KPaの減圧条件下に保持し、(蒸気温度は約67℃)1時間マイクロ波照射し精油を蒸留した。得られた精油の量は180mLであり、投入試料に対する精油の割合は、0.34%であった。
製 造 例 2
製造例1と同じトドマツの葉を用い、以下の水蒸気蒸留法により、トドマツ精油を得た。すなわち、圧搾式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したトドマツ葉約101gをパイレックス(登録商標)ガラス製フラスコに入れ、5~8倍量の水を加えた後、当該フラスコを湯浴中で90~100℃に加熱し沸騰させた。精油採取管には加熱前に基準線まで水を入れておいた。6時間煮沸を続けて精油を蒸留したところ、精油を0.8mLが得られた。投入試料に対する精油の割合は、0.79%であった。
実 施 例 1
歯周病菌抑制剤の調製:
下記表1の処方に示した割合で各成分を取り、これらを混合して本発明品の歯周病抑制剤を調製した。また、比較品1~3として、トドマツ精油に代え、一般的に歯周病菌に対して効果があるといわれているユーカリプタスオイル、ティーツリーオイルまたはチャ抽出物を配合したものを、更に対照品として、界面活性剤を水-エタノール混液に溶解したもの(対照品1)及び水-エタノール混液のみのもの(対照品2)を調製した。
< 処 方 >
Figure 0007106345000001
実 施 例 2
歯周病菌抑制効果試験:
実施例1の組成で調製した各試料10gを利用し、以下の試験方法により、本発明の歯周病抑制剤(本発明品)及び各比較品、対照品の歯周病菌を含む口腔内微生物に対する抗菌作用を調べた。
< 試験方法 >
96穴プレートのウェルに、被検微生物に対応した仕様培地をそれぞれ取り、ここに31.25~4000ppmに倍数希釈した本発明品、各比較品及び各対照品の溶液を加えた。
次いで、それぞれ前培養した下記表2の菌を各ウェルに接種し、被検微生物に対応す培養温度、培養条件で、48時間培養した。培養終了後、目視による菌増殖の有無を確認し、生育が認められない最小濃度を最小発育阻止濃度(MIC)とした。この結果を表3に示す。
Figure 0007106345000002
Figure 0007106345000003
以上の結果より、本発明品は2種の歯周病菌(P.gingivalis及びF.nucleatum)に対し、顕著な抑制作用を有することが確認できた。これは、従来より歯周病菌に効果があるとされている、ユーカリプタスオイル、ティーツリーオイル、チャ抽出物に比べてもより強い抗菌活性であった。一方で本発明品はう餌原因菌(グラム陽性菌)やカンジダ菌などの真菌に対しては効果を示さなかった。
製 剤 例 1
練り歯磨き:
( 成 分 ) 質 量 %
1. リン酸水素カルシウム 40.0
2. グリセリン 20.0
3. カラギナン 1.0
4. ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
5. サッカリン 0.2
6. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
7. クロルヘキシジンジグルコネート 0.1
8. 防腐剤(パラオキシ安息香酸ブチル) 適 量
9. 香料(レモン水) 適 量
10. 着色剤 適 量
11. 精製水 残 部
製 剤 例 2
練り歯磨き
( 成 分 ) 質 量 %
1. リン酸水素カルシウム 30.0
2. グリセリン 20.0
3. 塩化セチルピリジニウム 0.2
4. ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
5. サッカリンナトリウム 0.1
6. 製造例2のトドマツ抽出液 2.0
7. モノフルオロリン酸ナトリウム 4.0
8. 防腐剤(メチルパラベン) 適 量
9. 香料(オレンジ水) 適 量
10. 着色剤 適 量
11. 精製水 残 部
製 剤 例 3
洗 口 剤 :
( 成 分 ) 質 量 %
1. エタノール 20.0
2. サッカリンナトリウム 0.1
3. フッ化ナトリウム 0.1
4. アスコルビン酸 0.1
5. ナトリウムピリチオン 0.5
6. 塩化ベンゼトニウム 0.1
7. 界面活性剤 (ショ糖脂肪酸エステル) 3.0
8. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
9. 防腐剤(メチルパラベン) 適 量
10. 香料(ミント水) 適 量
11. 着色剤 適 量
12. 精製水 残 部
製 剤 例 4
口中清涼剤:
( 成 分 ) 質 量 %
1. エタノール 20.0
2. グリセリン 15.0
3. ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
4. サッカリン 0.2
5. クロロヘキシジン 0.01
6. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
7. 界面活性剤(ノイゲンHC-600) 3.0
8. 防腐剤(メチルパラベン) 適 量
9. 着色剤 適 量
10. 精製水 残 部
製 剤 例 5
チューインガム:
( 成 分 ) 質 量 %
1. 板ガムベース 24.0
2. 水飴 13.0
3. 粉糖 60.0
4. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
5. 防腐剤(メチルパラベン) 適 量
6. 香料(レモン水) 適 量
7. 精製水 残 部
製 剤 例 6
キャンディー:
( 成 分 ) 質 量 %
1. グラニュー糖 45.0
2. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
3. 防腐剤(メチルパラベン) 適 量
4. 香料(アップル水) 適 量
5. 精製水 残 部
製 剤 例 7
口腔内保湿剤:
( 成 分 ) 質 量 %
1. グリセリン 30.0
2. 製造例1のトドマツ抽出液 1.0
3. キタンサンガム 適 量
4. キシリトール 適 量
5.香料(ミント) 適 量
6. 精製水 残 部
本発明は、特定の針葉樹の枝葉中に有する、歯周病菌を顕著に抑制する物質を利用した歯周病菌抑制剤や、口腔用組成物であるが、成分の起源が天然物であるため、安全性の高いものである。
そして、この成分が、各種の歯周病菌に対して高い有効性があるので、医薬部外品や、日常使用する歯磨き、洗口剤、含嗽剤等として、一般に広く利用することができるものである。
1 … … マイクロ波蒸留装置
2 … … 蒸留槽
3 … … マイクロ波加熱装置
4 … … 撹拌はね
5 … … 気流流入管
6 … … 蒸留物流出管
7 … … 冷却装置
8 … … 加熱制御装置
9 … … 減圧ポンプ
10 … … 圧力調整弁
11 … … 圧力制御装置
12 … … 蒸留対象物

Claims (9)

  1. トドマツを減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られる蒸留物の油性画分を有効成分として含有することを特徴とする歯周病菌抑制剤。
  2. 加熱が、マイクロ波加熱により行われるものである請求項に記載の歯周病菌抑制剤。
  3. ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphylomonas gingivalis)またはフゾバクテリウム・ヌクレアーツム(Fusobacterium nucleatum)の歯周病菌のうち、少なくとも1種以上に対して抑制作用を有する請求項1または2記載の歯周病菌抑制剤。
  4. 有効成分としてのトドマツを減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られる蒸留物の油性画分と口腔組成物基剤とを含有することを特徴とする口腔用組成物。
  5. 歯磨きの剤形であり、口腔組成物基剤として、リン酸水素カルシウム、グリセリン及び水を含有する請求項記載の口腔用組成物。
  6. 洗口剤の剤形であり、口腔組成物基剤として、エタノール及び水を含有する請求項記載の口腔用組成物。
  7. 口腔内保湿剤の剤形であり、口腔組成物基剤として、グリセリン及び水を含有する請求項記載の口腔用組成物。
  8. 請求項1ないしの何れかの項に記載の歯周病抑制剤を口腔内に適用することを特徴とする歯周病菌の抑制方法。
  9. 請求項4ないしの何れかの項に記載の口腔用組成物を口腔内に適用することを特徴とする歯周病菌の抑制方法。
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