JP7105443B2 - 化合物、加飾材、加飾品、及びインク組成物 - Google Patents
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Description
一方、金属粉を用いた塗料は電磁波を遮蔽する等の特性を有することから、近年では、金属を含まずに、金色光沢を示す材料の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、アゾベンゼン系の有機化合物が開示されており、非特許文献1には、ピロール系の有機化合物が開示されている。
また、特許文献2には、2価の単環式炭素環基と、2価のスチルベン基もしくは2価のアゾベンゼン基とが、それぞれアニリンの窒素原子に結合した構成単位を有する高分子色素が開示されている。
特許文献1に記載されたアゾベンゼン系の有機化合物を用いて得た膜は、金色光沢を示すものの、割れやすいという性質を有する。
特許文献2に記載された高分子色素は、青色、青緑色または緑色の金属調光沢を示す色素であって、金色を示すものではない。また、特許文献1、2及び非特許文献1のいずれにおいても、柔軟性の検討は行っていない。
本発明の目的は、金色光沢を示し、かつ柔軟性を有する膜が得られる化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、金色光沢を示し、かつ柔軟性を有する膜が得られる化合物を用いた加飾材、加飾品、及びインク組成物を提供することである。
R1及びR2は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~12のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~12のアルケニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7~18のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基、
-(CH2)m1-COO-R10、
-(CH2)m2-O-R11、
-(CH2)m3-CONH-R12、
-(CH2)m4-CONH-(CH2)m5-OH、
-(CH2)m6-NR14R15、
-(CH2)m7-OH、及び
-(CH2)m8-CO-R13、からなる群から選択され、
R10~R13は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基であり、
R14及びR15は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
n1は、2以上10以下の整数であり、
m1~m8は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数であり、ただし、m4+m5は、2以上6以下の整数であり、
R1及びR2は、互いに同一または異なる。
無置換の炭素数1~8のアルキル基、
-(CH2)m1-COO-R10、
-(CH2)m2-O-R11、
-(CH2)m3-CONH-R12、
-(CH2)m4-CONH-(CH2)m5-OH、
-(CH2)m6-N(CH3)2、及び
-(CH2)m7-OH、からなる群から選択され、
R10~R12は、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
n1は、2以上8以下の整数であり、
m1~m7は、それぞれ独立に、1以上4以下の整数であり、ただし、m4+m5は、2以上4以下の整数である、上記<1>に記載の化合物。
また、本発明によれば、金色光沢を示し、かつ柔軟性を有する膜が得られる化合物を用いた加飾材、加飾品、及びインク組成物を提供することができる。
本明細書において、金色光沢とは、以下の測定条件で測定したときの全反射率が、波長領域400nm以上480nm以下において、30%以下であり、かつ波長領域580nm以上780nm以下において、50%以上であり、さらに、以下の測定条件で測定したときのL*値が60~100、a*値が-5~20、及びb*値が30~70であることを意味する。
-測定条件-
・装置:積分球(日本分光製ILN-472、光入射角5°)を装備した日本分光製V-570分光光度計
・測定温度:25℃
全反射率は、波長領域400nm以上480nm以下において、25%以下であり、かつ波長領域580nm以上780nm以下において、60%以上であることが好ましい。
〔化合物〕
本実施形態の化合物は、一般式(1)で表される化合物である。
R1及びR2は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~12のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~12のアルケニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7~18のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~18の複素環基、
-(CH2)m1-COO-R10、
-(CH2)m2-O-R11、
-(CH2)m3-CONH-R12、
-(CH2)m4-CONH-(CH2)m5-OH、
-(CH2)m6-NR14R15、
-(CH2)m7-OH、及び
-(CH2)m8-CO-R13、からなる群から選択され、
R10~R13は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基であり、
R14及びR15は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
n1は、2以上10以下の整数であり、
m1~m8は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数であり、ただし、m4+m5は、2以上6以下の整数であり、
R1及びR2は、互いに同一または異なる。
前述のとおり、特許文献1には、金色光沢を示す膜が得られるアゾベンゼン系の化合物が開示されている。具体的には、下記化合物C及び化合物Dが開示されている。しかし、例えば、化合物Cから得られた膜は、後述の実施例に示すように、金色光沢を示すものの、割れやすいという性質を有している。化合物Dも同様の性質を有している。
このような特有の構造を有する本実施形態の化合物においては、分子の中央に位置するPEGが、膜にしたときの柔軟性の発現に寄与し、「-(O)-C6H4-N=N-C6H4-O-」の骨格が、膜にしたときの金色の光沢性に寄与していると考えられる。
柔軟性については、「-O-C6H4-N=N-C6H4-O-」の骨格の間にPEGが導入されたことによって、上記骨格をもつ化合物Aの分子鎖が伸び、その分子鎖の伸長によって、膜に柔軟性が付与されたと考えられる。
したがって、本実施形態の化合物によれば、金色光沢を示し、さらに柔軟性を有する膜を得ることができると考えられる。
本実施形態の化合物が二量化される前の化合物の具体例については、後述する。
n1は、好ましくは2以上8以下の整数、より好ましくは2以上6以下の整数、さらに好ましくは2以上4以下の整数である。
n1が2以上の整数であると、柔軟性を有する膜が得られ易くなる。
n1が10以下の整数であると、金色の光沢性が向上し易くなる。
アルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状のいずれであってもよい。
直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基、n-ノニル基、及びn-デシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び4-メチルシクロヘキシル等が挙げられる。
一般式(1)において、R10~R13で表される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、上記R1及びR2で表されるアルキル基として例示した基のうち、炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
一般式(1)において、R14及びR15で表される炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、上記R1及びR2で表されるアルキル基として例示した基のうち、炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基は、直鎖、分岐鎖または環状のいずれであってもよい。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、及びスチリル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、及びフルオレニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、及びフェニル-t-ブチル基等が挙げられる。
環形成原子数5~18の複素環基は、好ましくは環形成原子数5~12の複素環基、より好ましくは環形成原子数5~10の複素環基である。
複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、及びピラジニル基等が挙げられる。
R10は、無置換のアルキル基であることが好ましい。
m1は、好ましくは1以上3以下の整数、より好ましくは1または2である。
R11は、無置換のアルキル基であることが好ましい。
m2は、好ましくは1以上4以下の整数、より好ましくは1以上3以下の整数、さらに好ましくは1または2である。
R12は、無置換のアルキル基であることが好ましい。
m3は、好ましくは1以上3以下の整数、より好ましくは1または2である。
一般式(1)において、m5は、好ましくは1以上4以下の整数、より好ましくは1以上3以下の整数、さらに好ましくは1または2である。m4+m5は、好ましくは2以上4以下の整数、より好ましくは2または3である。
R14及びR15は、無置換のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)において、m6は、好ましくは1以上3以下の整数、より好ましくは1または2である。
R13は、無置換のアルキル基であることが好ましい。
m8は、好ましくは1以上3以下の整数、より好ましくは1または2である。
置換基Eにおけるアルキル基及びアリール基としては、例えば、上記R1及びR2で表されるアルキル基及びアリール基として例示した基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。
一般式(1)において、R10~R13は、無置換の炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。
無置換の炭素数1~8のアルキル基、
-(CH2)m1-COO-R10、
-(CH2)m2-O-R11、
-(CH2)m3-CONH-R12、
-(CH2)m4-CONH-(CH2)m5-OH、
-(CH2)m6-N(CH3)2、及び
-(CH2)m7-OH、からなる群から選択され、
R10~R12は、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
nは、2以上8以下の整数であり、
m1~m7は、それぞれ独立に、1以上4以下の整数であり、ただし、m4+m5は、2以上4以下の整数であることが好ましい。
無置換の炭素数1~6のアルキル基、
-(CH2)m1-COO-R10、
-(CH2)m2-O-R11、
-(CH2)m3-CONH-R12、
-(CH2)m4-CONH-(CH2)m5-OH、
-(CH2)m6-N(CH3)2、及び
-(CH2)m7-OH、からなる群から選択され、
R10は、メチル基またはエチル基であり、
R11は、メチル基またはエチル基であり、
R12は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはイソプロピル基であり、
nは、2以上4以下の整数であり、
m1~m7は、1または2であり、ただし、m4+m5は、2または3であることが好ましい。
本実施形態の化合物(一般式(1)で表される化合物)は、例えば、後述する実施例に記載の方法により製造することができる。
本実施形態の化合物は、後述する実施例で説明する反応に基づき、目的物に応じた公知の代替反応及び原料を用いることでも製造することができる。
本実施形態の化合物の製造には、例えば、以下の化合物を用いることができる。すなわち、以下の化合物は、本実施形態の化合物が二量化される前の化合物の一例である。以下の化合物は、特許文献1に記載の上記化合物C及び化合物Dと同様に、金色光沢を示す膜を得ることのできる化合物であるが、膜にした時にいずれも割れやすいという性質を有する。
表1~表7中のR1及びR2は、一般式(1)におけるR1及びR2に対応し、表1~表7中のn1は、一般式(1)におけるn1に対応する。
また、本実施形態の化合物としては、表1~表7中の化合物におけるn1の数値「2」または「4」を、n1=3、5~10のいずれかの数値に置き換えた場合の化合物も挙げられる。
なお、本発明の化合物は、これらの具体例に限定されない。
本実施形態の化合物の分子量は、実施例の項に記載したBruker製DPX-400(400MHz)を用いて測定することができる。また、本実施形態の化合物の分子量は、実施例の項に記載した日本電子製JMS-SX102Aを用いても測定することができる。
本実施形態の化合物の用途としては、例えば、物品の加飾を目的とした加飾材及び塗布液、内装材(壁紙及び床等)の加飾を目的とした化粧材及び塗布液、顔料等の色材、インク組成物、化粧料(例えば、ネイルエナメル、アイシャドー、及び口紅等)、並びに人工爪のネイルアート用コート液等が挙げられる。
〔加飾材〕
第二実施形態の加飾材は、被加飾体を加飾する材料であり、第一実施形態の化合物(一般式(1)で表される化合物)を含む。
第二実施形態によれば、金色光沢を示し、かつ柔軟性を有する加飾材が得られる。
被加飾体の材質としては特に限定されず、例えば、合成樹脂、セラッミク、金属、木材、紙、布およびこれらの複合材料が挙げられる。
被加飾体の具体例としては、後述の第三実施形態において、基体として例示した物品(例えば筆記具等)が挙げられる。また、被加飾体は、内装材(壁紙及び床等)であってもよい。加飾材は、被加飾体全体にわたって配置されていてもよいし、被加飾体の一部に配置されていてもよい。
以下、加飾材が粉状もしくは粒状である場合を総称して「加飾粉」と称し、加飾材が膜状である場合を、「加飾膜」と称することがある。
一般式(1)で表される化合物を「式(1)の化合物」と称することがある。
一般式(1)の化合物以外の材料としては特に限定されないが、樹脂、及び公知の添加剤(例えば、帯電防止剤、界面活性剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、抗菌剤、及び防汚剤等)が挙げられる。
被加飾体への加飾材の配置方法は特に限定されない。例えば、接着剤を用いて加飾材を配置してもよいし、接着剤を用いずに加飾材を配置してもよい。また、被加飾体が、加飾材を保持し得る保持部、加飾材を収納し得る収納部もしくは空間部を有する場合には、その保持部、収容部もしくは空間部(例えば図5の空間部27)に加飾材を配置してもよい。
本実施形態の加飾材が粉状もしくは粒状である場合、
加飾粉自体が加飾材であってもよいし、他の材料(例えば、糊等の接着剤、樹脂粒子、樹脂フィルム、及び各種添加剤等)と組み合わせて加飾材としてもよい。
加飾粉は、その形状を活かして、例えば、インクの色材、ラメ剤、化粧料、及び人工爪の加飾等に好適に用いることができる。
加飾粉を樹脂粒子或いはフィルムの表面に付着させ、その加飾粉が付着した樹脂粒子或いはフィルムを、上記ラメ剤、インクの色材、化粧料、及び人工爪の加飾等に用いることもできる。
本実施形態の加飾材が膜状である場合、
加飾膜自体が加飾材であってもよいし、他の材料(例えば透明フィルム、粘着シート、及び紙等)と組み合わせて加飾材としてもよい。「透明」とは、無色透明及び有色透明の両者を含む概念であるが、本明細書において、「透明」と称した場合は、特筆しない限り、「無色透明」を意味する。
本実施形態の加飾膜は、柔軟性を有するので、平面状の被加飾体だけでなく、曲面を有する被加飾体、および凹凸形状を有する被加飾体にも、その形状に追従して配置することができる。これにより、被加飾体の形状を維持したまま、被加飾体の美観を向上させることができる。
加飾膜を他の材料と組み合わせて加飾材とする場合、加飾材は、加飾膜と、保護層(オーバーコート層等)とを備えることが好ましい。
保護層は、透明性を有する層であることが好ましい。保護層は、目的に応じて、半透明性を有する層または有色透明性を有する層であってもよい。保護層の材料は特に制限されず、公知のものを使用できる。また、保護層は、柔軟性を有する層であることが好ましい。
保護層の種類としては、オーバーコート層、ハードコート層及び防汚層などが挙げられる。また、保護層は、樹脂を用いたラミネートフィルムであってもよい。
保護層の形成方法は特に限定されず、公知の方法で形成することができる。保護層の厚さも限定されない。
膜厚の測定はマイクロゲージを用いて行うことができる。
本明細書において、結晶膜とは、リガク製D/teX Ultra(光源Cu-Kα線、44kV、50mA)を用いて、25℃にて測定したときに、結晶構造に起因する明瞭な回折ピークが得られる膜を意味する。
また、本実施形態の加飾膜は、後述する実施例で説明する反応に基づき、目的物に応じた公知の代替反応及び原料を用いることでも製造することができる。
第二実施形態における加飾膜を用いて、例えば、以下の方法により光輝性顔料を製造することができる。
図1(A)、(B)は、光輝性顔料の製造方法を説明するための図である。
まず、透明性を有する第一の樹脂フィルム11A及び第二の樹脂フィルム11Bを準備する。
次に、図1(A)に示すように、加飾膜10を、第一の樹脂フィルム11Aと第二の樹脂フィルム11Bとの間に挟んで、互いに貼り合わせる。これにより、図1(B)に示す積層体13を得る。積層体13は、透明性を有する樹脂フィルム11A、11Bを介して加飾膜10を視認できるので、金色光沢を示す。
次に、この積層体13を所望の大きさ及び形状に粉砕する。
以上のようにして、光輝性顔料は製造される。
樹脂フィルム11A、11Bとしては、透明フィルムとして用いることのできる樹脂が好ましい。かかる樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン等)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂及びアクリル樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第一の樹脂フィルム11A及び第二の樹脂フィルム11Bは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
積層体13を粉砕する方法としては、例えば、ローラーミル、ボールミル、ジェットミル、及びハンマーミル等の公知の粉砕機を用いることができる。
また、樹脂フィルム11A、11Bは、目的に応じて、有色透明フィルムまたは半透明フィルムであってもよい。
積層体13は、加飾膜10、樹脂フィルム11A、11B以外の材料が積層されていてもよい。
〔加飾品〕
第三実施形態の加飾品は、基体と、第二実施形態の加飾材と、を有する。
基体とは、加飾材で少なくとも一部が加飾される被加飾体をいい、具体的には、加飾材により加飾される物品をいう。物品には、当該物品の構成部品も含まれる。
基体の材質は、前述の被加飾体の材質と同様の材質が挙げられる。
基体としては特に限定されないが、例えば、筆記具、文房具、画材用具、日用品、各種フィルム、紙製品、布製品、革製品、及び玩具などが挙げられる。なお、フィルムは、シートを包含する概念である。
筆記具としては、例えば、鉛筆、シャープペンシル、万年筆、筆、ボールペン、マーキングペン、修正ペン、及び筆ペン等が挙げられる。
文房具(上記筆記具以外の文房具)としては、例えば、定規、コンパス、分度器、ファイル、タッチペン、クリップ、消しゴム、ペンケース、下敷き、はさみ、及びカッター等が挙げられる。
画材用具としては、例えば、パレット,絵筆,画筆、筆洗、筆筒、刷毛、及び画材ケース(絵の具ケース等)等が挙げられる。
日用品としては、例えば、各種カード、ケース(例えば、スマートフォンのケース等)、ワッペン、バッヂ、キーホルダー、トレー、小物入れ、化粧用具、置物、容器、バッグ、包装袋、及び眼鏡部品などが挙げられる。
図2A(A)~(C)は、加飾膜を有する加飾材を用いて、円筒状の軸を加飾する方法、及び当該方法によって加飾品を得る方法を説明するための図である。
図2Bは、図2A(C)のX-X線矢視断面図である。
加飾態様Aでは、加飾膜10を備える加飾材100を用いて、基材としての軸12を加飾する。
具体的には、図2A(A)~(C)に示すように、円筒状の軸12の外周に、加飾材100を巻きつけることにより、加飾品30を得る。軸12と加飾材100との間は、接着剤で接着されることが好ましい。
加飾材100は、第二実施形態における加飾膜10と、その上に設けられた保護層14とで構成される(図2B参照)。保護層14は、透明性を有する層であり、かつ柔軟性を有する層である。
加飾品30は、透明性を有する保護層14を介して加飾膜10を視認できるので、金色光沢を示す。
また、加飾材100は、柔軟性を有する加飾膜10及び保護層14を備えるので、円筒状の軸12の表面形状に沿って加飾材100を配置することができる。これにより、軸12の形状をそのまま維持することができ、美観に優れた加飾品30が得られる。
さらに、加飾品30は、最表層が保護層14で覆われた加飾材100を備えるので、表面への汚れ及び傷が生じにくい。これにより、加飾材100の金色の光沢性を長期にわたり保持することができる。
加飾品30は、例えば、筆記具の軸筒(例えば、前軸及び後軸等)に好適に用いることができる。
軸12への加飾材100の配置は、公知の手段で行うことができる。
保護層14は、有色透明の層または半透明性の層であってもよい。軸12の形状は、円筒状でなくてもよい。加飾材100は、加飾膜10及び保護層14以外の層が積層されていてもよい。
図3A(A)~(C)は、加飾膜からなる加飾材を用いて、円筒状の軸を加飾する方法、及び当該方法によって加飾品を得る方法を説明するための図である。
図3Bは、図3A(B)のY-Y線矢視断面図である。
加飾態様Bでは、加飾膜10からなる加飾材100Aを用いて、基材としての軸12を加飾する。
具体的には、まず、図3A(A)、(B)に示すように、円筒状の軸12の外周に、加飾材100A(すなわち加飾膜10)を巻きつけることにより、加飾軸30Aを得る。加飾材100Aは、接着剤等を用いずに、軸12に巻かれている。
次に、図3A(C)に示すように、この加飾軸30Aの周りに、さらに外軸16を配置することにより、加飾品30Bを得る。外軸16は透明部材で構成され、外軸16の内径は、軸12の外径よりも大きく設計されている。
加飾品30Bは、透明部材である外軸16を介して加飾材100Aを視認できるので、金色光沢を示す。
また、加飾材100Aは、柔軟性を有する加飾膜10から構成されるので、円筒状の軸12の表面形状に沿って加飾材100Aを配置することができる。これにより、軸12の形状をそのまま維持することができ、美観に優れた加飾品30Bが得られる。
さらに、加飾品30Bは、加飾材100Aを覆う外軸16を備えるので、加飾材100Aの表面への汚れ及び傷がより生じにくい。これにより、加飾材100Aの金色の光沢性を長期にわたり保持することができる。
加飾品30Bは、加飾態様Aと同様に、筆記具の軸筒に好適に用いることができる。
軸12への加飾材100Aの配置は、接着剤等を用いて行ってもよい。
外軸16は、有色透明部材または半透明部材であってもよい。軸12の形状は、円筒状でなくてもよい。
図4は、第三実施形態に係る加飾品の一例である筆記具の概略図である。
図5は、図4におけるZ-Z線矢視断面図である。
筆記具200は、いわゆるノック式筆記具である。
前述の加飾態様Bの加飾品30Bは、筆記具200に装着して用いることができる。
その場合、加飾品30Bは、図4中、後軸21に相当する。また、加飾態様Bの軸12は、図4中、後軸21の内筒部211に相当し、加飾態様Bの外軸16は、図4中、後軸21の外筒部212に相当する。また、加飾態様Bの加飾材100Aは、図4中、加飾膜10と同義である。
以下、筆記具200について説明する。
筆記具200は、軸筒2を備える。軸筒2の内部には、筆記体としてのリフィル(不図示)が収容される収容部28を有する。なお、リフィルは、図4、5において図示を省略する。軸筒2は、先軸が先細りした円筒形状の前軸20と、前軸20の後端と螺合する円筒形状の後軸21とを備える。前軸20は、筒部22とテーパ部23とを有する。
筒部22の後端には、軸方向に形成された孔を有する尾栓26と、前軸20方向に延びるクリップ24と、尾栓26の孔内に配置されたノック部材25とが装着されている。
本実施形態の筆記具200は、後軸21が透明部材で形成されており、後軸21は、外筒部212と内筒部211とを備える二重構造となっている。外筒部212及び内筒部211は、同軸上に設けられ、内筒部211の外径は、外筒部212の外径よりも小さくなっている。
筆記具200は、外筒部212と内筒部211との間に、空間部27が設けられており、この空間部27に、加飾膜10からなる加飾材が配置されている。加飾膜10は接着剤等を用いずに内筒部211の外周に巻かれている。
筆記具200は、外部から外筒部212を通して、加飾膜10が視認できるように構成されている。
本実施形態の筆記具200によれば、金色光沢を示す加飾膜10を備えるので、美観を向上させることができる。これにより、筆記具200の高級感を高めることができる。
さらに、本実施形態の筆記具200は、加飾膜10が外筒部212で覆われるので、表面への汚れ及び傷が生じにくい。その結果、長期にわたり美観を保持することができる。
加飾膜10の配置位置も特に限定されない。例えば、後軸21または前軸20の任意の部分に、接着剤等で加飾膜10を配置してもよいし、空間部を設け、その空間部に加飾膜10を配置してもよい。
〔インク組成物〕
第四実施形態のインク組成物は、第一実施形態の化合物(一般式(1)で表される化合物)を含む。
第四実施形態によれば、光沢のある金色を示すインク組成物が得られる。また、従来用いられる金属の色材と比べて比重が小さいので、色材の分散安定性に優れたインク組成物が得られる。
本実施形態のインク組成物は、水性インク組成物であっても、油性インク組成物であってもよい。
インク組成物が水性インク組成物の場合、インク組成物には、溶剤として少なくとも水が含有される。
インク組成物が油性インク組成物の場合、インク組成物には、溶剤として少なくとも有機溶剤が含有される。
本実施形態のインク組成物は、式(1)の化合物を着色剤として含有することが好ましい。
本実施形態のインク組成物中における式(1)の化合物の含有量及び大きさは、目的に応じて、適宜調整することが好ましい。
本実施形態のインク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、式(1)の化合物と、溶剤と、必要に応じて、他の成分とを所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得ることができる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
本実施形態のインク組成物は、筆記具用インク組成物またはインクジェット用インク組成物であることが好ましい。
また、本実施形態のインク組成物は、含有される成分及び粘度等を調整することにより、例えば、物品を加飾するための塗布液、内装材(壁紙及び床等)を加飾するための塗布液、並びに人工爪等のネイルアート用コート液等としても用いることができる。
本実施形態のインク組成物が筆記具用インク組成物である場合、ボールペンチップ、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン先部を備えたボールペン及びマーキングペン等に搭載されることが好ましい。
ボールペン及びマーキングペンの構造は特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に本実施形態のインク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペン及びマーキングペンであってもよい。
〔塗布液〕
第五実施形態の塗布液は、第一実施形態の化合物(一般式(1)で表される化合物)を含む。
第五実施形態によれば、光沢のある金色を示す塗布液が得られる。本実施形態の塗布液を用いることにより、物品、内装材及び人工爪等を金色に加飾することができる。
塗布液としては、物品を加飾するための塗布液、内装材(壁紙及び床等)を加飾するための塗布液、及び人工爪等のネイルアート用コート液が挙げられる。
以上に説明した実施形態において、加飾膜に代えて加飾粉を含む層を用いて、被加飾体を加飾してもよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれる。
実施例で作製した化合物1~4は、1H-NMR及びマススペクトル(イオン化法:高速原子衝撃法)を用いて構造を同定した。また、中間体A-1~A-7は、1H-NMRを用いて構造を同定した。測定条件は以下のとおりである。
・装置 :Bruker製DPX-400(400MHz)
・測定温度:30℃
・溶媒 :CDCl3
・分析計 :日本電子製JMS-SX102A
・イオン化法:高速原子衝撃法(FAB)
〔実施例1〕
(1)合成実施例1:化合物1の合成
(1-1)中間体A-1の合成
化合物1は新規化合物であることが確認された。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.98(d,12H),1.71(q,4H),1.85(m,2H),3.72(dt,8H),3.89(t,4H),4.06(t,4H),4.20(t,4H),6.99(dd,8H),7.88(dd,8H).
MS(FAB+;m/z) obsd.727.4072([M+H]+),calcd.727.4065
(2)合成実施例2:化合物2の合成
(2-1)中間体A-5の合成
次いで、化合物1の合成において、Spacer4(中間体A-4)に代えて、Spacer3(中間体A-5)0.220g(0.80mmol)を用いたこと以外、化合物1と同様にして、実施例2の黄色残渣Sp3-DCazo(化合物2)を得た。収率は、60.5%であった。1H-NMR(CDCl3)及びマススペクトル(イオン化法:FAB+)により化合物2と同定した。
化合物2は新規化合物であることが確認された。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.98(d,12H),1.71(q,4H),1.85(m,2H),3.78(singlet(s),4H),3.91(t,4H),4.06(t,4H),4.21(t,4H),6.98(d,4H),7.01(d,4H),7.88(dd,8H).
MS(FAB+;m/z) obsd.683.3810([M+H]+),calcd.683.3803
(3)合成実施例3:化合物3の合成
(3-1)中間体A-6の合成
次いで、化合物1の合成において、Spacer4(中間体A-4)に代えて、Spacer2(中間体A-6)0.185g(0.80mmol)を用いたこと以外、化合物1と同様にして、実施例3の黄色残渣Sp2-DCazo(化合物3)を得た。収率は、62.5%であった。1H-NMR(CDCl3)及びマススペクトル(イオン化法:FAB+)により化合物3と同定した。
化合物3は新規化合物であることが確認された。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.98(doublet(d),12H),1.72(qualtet(q),4H),1.86(multiplet(m),2H),3.99(triplet(t),4H),4.07(t,4H)、4.25(t,4H),6.99(d,4H),7.02(d,4H),7.88(dd,8H).
MS(FAB+;m/z) obsd.639.3548([M+H]+),calcd.639.3541
(4)合成実施例4:化合物4の合成
(4-1)中間体A-7の合成
次いで、化合物1の合成において、Spacer4(中間体A-4)に代えて、Spacer6(中間体A-7)0.326g(0.80mmol)を用いたこと以外、化合物1と同様にして、実施例4の黄色残渣Sp6-DCazo(化合物4)を得た。収率は、65.3%であった。1H-NMR(CDCl3)及びマススペクトル(イオン化法:FAB+)により化合物4と同定した。
化合物4は新規化合物であることが確認された。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.98(d,12H),1.72(q,4H),1.86(m,2H),3.66(s,8H),3.70(dt,4H),3.88(t,4H),4.06(t,4H),4.19(t,4H),6.99(dd,8H),7.86(dd,8H).
MS(FAB+;m/z) obsd.815.4583([M+H]+),calcd.815.4590
〔実施例5〕
クロロホルム6mLとメタノール9.6mLとの混合溶媒に、化合物1(Sp4-DCazo)30mgを加え、撹拌しながら化合物1が完全に溶解するまで加熱した。溶解後、溶液を室温(25℃)で24時間放置し、徐冷した。化合物1の細かな結晶を含む溶液を、円形ろ紙(Φ=21mm)を用いて吸引ろ過し、細かな結晶を円形ろ紙の上に堆積させた。これにより、加飾材として、直径が21mmの加飾膜(5)を作製した。
加飾膜(5)の中心部分の膜厚は、107μmであった。加飾膜(5)の膜厚は、マイクロゲージを用いて測定した。以下に得られた加飾膜についても同様の方法で膜厚を測定した。
加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、テトラヒドロフラン3.6mLとメタノール5mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、実施例6の加飾膜(6)を得た。加飾膜(6)の中心部分の膜厚は、101μmであった。
加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、テトラヒドロフラン3.6mLとエタノール5mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、実施例7の加飾膜(7)を得た。加飾膜(7)の中心部分の膜厚は、108μmであった。
加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、アセトン15mLを用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、実施例8の加飾膜(8)を得た。加飾膜(8)の中心部分の膜厚は、112μmであった。
加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、酢酸エチル10mLを用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、実施例9の加飾膜(9)を得た。加飾膜(9)の中心部分の膜厚は、98μmであった。
加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、テトラヒドロフラン3.6mLと水1.8mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、実施例10の加飾膜(10)を得た。加飾膜(10)の中心部分の膜厚は、104μmであった。
アセトン35mLに、化合物3(Sp2-DCazo)30mgを加え、撹拌しながら化合物3が完全に溶解するまで加熱した。溶解後、溶液を室温(25℃)で24時間放置し、徐冷した。化合物3の細かな結晶を含む溶液を、円形ろ紙(Φ=21mm)を用いて吸引ろ過し、細かな結晶を円形ろ紙の上に堆積させた。これにより、加飾材として、直径が21mmの加飾膜(11)を作製した。
加飾膜(11)の作製において、アセトン35mLに代えて、テトラヒドロフラン24mLと水12mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(11)と同様にして、実施例12の加飾膜(12)を得た。加飾膜(12)の中心部分の膜厚は、86μmであった。
特開2018-35239号公報に記載の方法で、下記化合物C(DCazo)を作製した。
次いで、加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、水8mLとアセトン20mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、比較例1の膜(13)を得た。
特開2018-35239号公報に記載の方法で、下記化合物D(DNazo)を作製した。
次いで、加飾膜(5)の作製において、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒に代えて、水100mLとアセトン60mLとの混合溶媒を用いたこと以外、加飾膜(5)と同様にして、比較例2の膜(14)を得た。
<膜の結晶性>
実施例5で作製した加飾膜(5)を用いて、X線回折(XRD)スペクトルを測定した。
具体的には、リガク製D/teX Ultra(光源Cu-Kα線、44kV、50mA)を用いて、25℃にて測定した。結果を図6に示す。
図6は、実施例5の加飾膜のXRDスペクトルである。
図6に示すように、加飾膜(5)において、鋭いピーク(2θ=3.38°、6.66°、9.98°及び13.2°)が観測された。
したがって、加飾膜(5)は、結晶膜であることが推測され、化合物1(Sp4-DCazo)が、結晶膜中で規則正しく配列していることが確認された。
実施例5、11で作製した加飾膜(5)、(11)並びに比較例1で作製した膜(13)を用いて、既述の方法により、各膜の全反射率(%)を測定した。比較対象として、金色折り紙の全反射率も測定した。
結果を図7に示す。
図7は、実施例5、11の加飾膜及び比較例1の膜並びに金色折り紙における、波長と全反射率との関係を示すグラフである。
図7に示すように、化合物1(Sp4-DCazo)を用いて作製した加飾膜(5)及び化合物3(Sp2-DCazo)を用いて作製した加飾膜(11)は、金色折り紙よりも、全反射率が高い値を示している。
さらに、実施例5、11の加飾膜(5)、(11)は、比較例1の化合物C(DCazo)を用いて作製した膜(13)に比べ、全反射率が高い値を示している。
したがって、加飾膜(5)、(11)は、金色の光沢性に優れた金色膜であることがわかる。
実施例5で作製した加飾膜(5)を用いて、以下の方法で膜のCIE L*a*b*(CIELAB)色空間を測定した。また、比較対象として、金色折り紙及び本物の金(Au)の板(Au被覆顕微鏡用スライド(Spectra―tech社製・米国コネチカット州))についても同様の方法で上記色空間を測定した。
具体的には、積分球(日本分光製ILN-472、光入射角5°)を装備した日本分光製V-570分光光度計を用いて、25℃にて測定した。
結果は以下のとおりであった。また、結果を図8に示す。
・加飾膜(5):(L*,a*,b*)=(87.04,4.63,53.48)
・金色折り紙:(L*,a*,b*)=(84.28,2.97,64.93)
・金の板:(L*,a*,b*)=(89.16,4.65,40.51)
・膜(13):(L*,a*,b*)=(79.37,9.43,51.37)
図8に示すように、実施例5の加飾膜(5)は、a*値、b*値及びL*値が、金色折り紙及び金の板のa*値、b*値及びL*値と近似していることがわかる。
実施例で作製した加飾膜及び比較例で作製した膜を用いて、目視により、金色の光沢の度合いを評価した。結果を表1に示す。判定基準は以下のとおりである。
-基準-
A:ツヤ感の強い金色光沢を示す。
B:ツヤ感がやや弱い金属光沢を示す。
C:マット調の金色光沢を示す。
実施例5~実施例12で作製した加飾膜及び比較例1及び比較例2で作製した膜を用いて、柔軟性の評価を行った。
具体的には、ピンセットを用いて、膜を半分に折りたたんだ時に、膜の形成面に対して、膜が割れたときの角度を測定した。結果を表1に示す。判定基準は以下のとおりである。
-基準-
A:180度折りたたんでも、膜が割れなかった。
B:150度まで折りたたむことができた。
C:折りたたみ始めてすぐに割れた。
評価した膜のうち、実施例5の加飾膜(5)については、図9(A)~(F)に示すように、半分に折りたたみ、さらにその半分に折りたたみ(つまり、膜を四つ折りにし)、その後、始めの大きさまで膜を開いても割れが生じなかった。
一方、比較例1、2の膜(13)~(14)は、図10に示すように、折りたたみ始めてすぐに割れてしまった。
「PEG単位数」は、一般式(1)中のn1に相当し、PEGの繰り返し単位の数を表す。
また、実施例5~12の加飾膜(5)~(12)及び比較例1、2の膜(13)~(14)は、いずれも金色光沢を示す膜であった。
したがって、前記一般式(1)で表される化合物によれば、金色光沢を示し、柔軟性を有する加飾膜を得ることができる。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表される化合物。
(前記一般式(1)において、
R1及びR2は、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1~8のアルキル基、
-(CH 2 ) m1 -COO-R 10 、
-(CH 2 ) m2 -O-R 11 、
-(CH 2 ) m3 -CONH-R 12 、
-(CH 2 ) m4 -CONH-(CH 2 ) m5 -OH、
-(CH 2 ) m6 -N(CH 3 ) 2 、及び
-(CH 2 ) m7 -OH、からなる群から選択され、
R 10 ~R 12 は、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
n 1 は、2以上8以下の整数であり、
m 1 ~m 7 は、それぞれ独立に、1以上4以下の整数であり、ただし、m 4 +m 5 は、2以上4以下の整数であり、
R1及びR2は、互いに同一または異なる。) - 前記一般式(1)において、R1及びR2は、互いに同一の基である、請求項1に記載の化合物。
- 請求項1または請求項2に記載の化合物を含む加飾材。
- 膜状、粒状もしくは粉状である、請求項3に記載の加飾材。
- 基体と、
請求項3または請求項4に記載の加飾材と、を有する加飾品。 - 請求項1または請求項2に記載の化合物を含むインク組成物。
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