以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
電力変換装置の一例を開示する第1実施形態について図1~図8を参照しながら説明する。電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載された車載用電力変換装置に適用することができる。
図2に示すように、電力変換装置1は、積層体10と、コンデンサ3と、金属製のケース4と、加圧部材5とを備えている。積層体10は、それぞれ半導体素子20を内蔵した複数の半導体モジュール2と、半導体モジュール2を冷却する複数の冷却管11とを積層して形成されている。コンデンサ3は、通電可能に半導体モジュール2に接続されている。
加圧部材5は、積層体10を積層体10の積層方向であるX方向に加圧している。これにより、半導体モジュール2と冷却管11との接触圧を確保しつつ、積層体10をケース4内に固定している。積層体10とコンデンサ3と加圧部材5とは、ケース4に収納されている。ケース4は、外郭をなす外壁41と、ケース4内に形成されて外壁41に連結した隔壁部42とを有する。
コンデンサ3は、コンデンサ収納空間SCに収納されたコンデンサ素子30と、コンデンサ収納空間SCに充填されコンデンサ素子30を封止する封止部材31とを備える。コンデンサ3は、X方向において積層体10に隣り合う位置に設けられている。コンデンサ3は、半導体モジュール2に電気的に接続されている。コンデンサ3は、半導体モジュール2に加わる直流電圧を平滑化する平滑コンデンサとして機能する。
図1に示すように、インバータ回路200は、複数の半導体モジュール2を備えている。半導体モジュール2が備える半導体素子20(IGBT素子)をオンオフさせることにより、直流電源81から供給される直流電力を交流電力に変換している。車両は、得られた交流電力を用いて三相交流モータ82を駆動して走行する。
図3、図4に示すように、電力変換装置1は隔壁部42を備える。隔壁部42は、介在隔壁部42aと底隔壁部42bと側方隔壁部42cとを含んでいる。底隔壁部42bは、介在隔壁部42aに直交している。底隔壁部42bは、コンデンサ収納空間SCの開口部12とは反対側に設けられている。介在隔壁部42aは、積層体10とコンデンサ3との間に介在する壁部である。介在隔壁部42aには、その厚さ方向またはX方向に、加圧部材5の加圧力Fが加わっている。介在隔壁部42aは、外壁41のいずれの部位よりも厚さが薄くなっている。
側方隔壁部42cは、介在隔壁部42aと底隔壁部42bとの双方に直交している。介在隔壁部42aと底隔壁部42bと側方隔壁部42cと外壁41とによって囲まれた空間は、コンデンサ収納空間SCを構成する。介在隔壁部42aと底隔壁部42bと側方隔壁部42cとは、ケース4の外壁41のいずれの部位よりも厚さが薄くなっている。
ケース4内の空間は、隔壁部42によって、コンデンサ収納空間SCと積層体収納空間SLとに区画されている。積層体収納空間SLには、積層体10の他に、制御回路基板6や端子台16が収納されている。
図3、図4に示すように、コンデンサ3は、コンデンサ収納空間SCに収納されたコンデンサ素子30と、封止部材31と、電極板32,33とを備える。封止部材31は、コンデンサ素子30をコンデンサ収納空間SCに封止している。コンデンサ素子30は、電極板32,33に接続されている。コンデンサ素子30は、いわゆるフィルムコンデンサである。
封止部材31は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。封止部材31は、コンデンサ収納空間SCにおける、コンデンサ素子30および電極板32,33と、ケース4との間の隙間を充填されている。この構成により、封止部材31は、コンデンサ素子30および電極板32,33を封止している。電極板32,33は、コンデンサ素子30の電極面350,351に接続されている。電極板32,33の一部は、封止部材31から突出している。電極板32,33は、直流電流が流れる直流バスバ34と一体化している。
コンデンサ3を製造する際には、コンデンサ収納空間SCにコンデンサ素子30を収納し、さらに未硬化の封止部材31を注入する。そして熱を加えて封止部材31を硬化させて、コンデンサ3を製造する。
図4に示すように、X方向における積層体10と介在隔壁部42aとの間には、加圧部材5が設けられている。加圧部材5の一例は、板ばねである。加圧部材5は、積層体10をケース4の外壁41aに向けて加圧している。加圧部材5の加圧力Fは、介在隔壁部42aおよびコンデンサ3に作用している。
図5に示すように、X方向に隣り合う2つの冷却管11は、冷却管11の長手方向であるY方向の両端部において連結管17によって連結されている。複数の冷却管11のうち、X方向の一端に位置する端部冷却管11aには、冷媒15を導入するための導入管13と、冷媒15を導出するための導出管14とが接続されている。導入管13から冷媒15を導入すると、冷媒15は、連結管17を通って全ての冷却管11を流れ導出管14から導出する。この冷媒流れにより、半導体モジュール2を冷却している。
半導体モジュール2は、半導体素子20を内蔵した本体部21と、本体部21から突出したパワー端子22と、制御端子23とを備える。パワー端子22は、直流電圧が加わる直流端子22pおよび直流端子22nと、三相交流モータ82に接続されている交流端子22cとを含む。直流端子22pと直流端子22nは、直流バスバ34を介してコンデンサ3に接続されている。
制御端子23は、制御回路基板6に接続されている。半導体素子20のオンオフ動作は、制御回路基板6によって制御される。この制御により、直流電源81から供給される直流電力を交流電力に変換している。
図2に示すように、電力変換装置1は、直流電源81からの電力が供給される入力端子71と、三相交流モータ82側に電力を出力する出力端子72とを備える。電力変換装置1は、外部側の端子である入力コネクタ端子181とコンデンサ3側の端子である入力端子71とを連結するバスバ9を備える。入力端子71は、コンデンサ3に通電可能に接続されている。入力端子71は、バスバ9を介して、直流電源81側の端子である入力コネクタ端子181に電気的に接続されている。半導体モジュール2の交流端子22cは、交流バスバ720に接続されている。交流バスバ720の端部は出力端子72を構成する。
図2、図5に示すように、ケース4内には、入力端子71と出力端子72とを載置する端子台16が収納されている。端子台16は樹脂製である。端子台16は、Y方向についてコンデンサ3に隣り合う位置に設けられている。
図2、図6に示すように、ケース4の外壁41には、コネクタ挿入孔49が形成されている。コネクタ挿入孔49はY方向に貫通している。コネクタ挿入孔49には、コネクタ18が挿入されている。コネクタ18の入力コネクタ端子181は、電源入力用のバスバ9に接続されている。コネクタ18の出力コネクタ端子182は、出力端子72に接続されている。電力変換装置1は、コネクタ18を介して、直流電源81と三相交流モータ82とに電気的に接続されている。
図2、図3に示すように、ケース4は、積層体10とコンデンサ3を収納するケース本体401と、ケース本体401に装着されたカバー402,403とを備える。カバー402、カバー403は、ケース4の外壁41の一部である。
図2、図3、図6に示すように、ケース本体401には、隔壁部42の他に、複数の補強壁43が形成されている。補強壁43は、ケース4の剛性を高めている。これにより、補強壁43は、加圧部材5の加圧力Fによってケース4が変形にくい効果を奏する。
ケース4の外壁41のうち、外壁部41aは、導入管13および導出管14が設けられている。外壁部41aは、第1外壁部411と第2外壁部412とを重ねた二重構造になっている。第1外壁部411はケース4の内側に位置し、第2外壁部412はケース4の外側に位置している。第1外壁部411には、X方向に貫通した貫通穴44が形成されている。第2外壁部412は、外側から貫通穴44を塞いでいる。第2外壁部412は、ボルト48等の螺子によって、第1外壁部411に固定されている。
図3に示すように、隣り合う2枚の補強壁部43aと補強壁部43bとに係るY方向の間隔Lは、冷却管11のY方向長さよりも短い。このため、電力変換装置1を製造する際に、2枚の補強壁部43aと補強壁部43bとの隙間Gから、冷却管11をケース4内に入れることはできない。したがって、電力変換装置1においては、冷却管11を貫通穴44からケース4内に入れるようにしている。
図2、図4、図5に示すように、封止部材31はコンデンサ収納空間SCに充填されているため、封止部材31を隔壁部42や外壁41に接触させることができる。これにより、コンデンサ素子30から発生した熱は、封止部材31を介して金属製のケース4に伝わりやすい。このため、コンデンサ素子30からケース4までの熱抵抗を小さくできるので、コンデンサ3の冷却効率を高めることができる。
隔壁部42のうち、コンデンサ3と積層体10との間に介在する介在隔壁部42aは、外壁41のいずれの部位よりも薄く構成されている。これによれば、ケース4を小型化でき、かつ軽量化することができる。さらに封止部材31によってコンデンサ収納空間SCを充填しているため、封止部材31を介在隔壁部42aに接触させることができる。したがって、封止部材31と介在隔壁部42aとの隙間がなく、介在隔壁部42aに加わった加圧部材5の加圧力Fを封止部材31によって受け止めることができる。この効果により、介在隔壁部42aを薄くすることができ、ケース4の小型化および軽量化が図れる。
介在隔壁部42aの他に、底隔壁部42bおよび側方隔壁部42cも、外壁41のいずれの部位よりも厚さを薄く形成されている。このため、ケース4をより軽量化することができ、かつ小型化することができる。したがって、電力変換装置1を軽量化および小型化することに寄与する。
外壁41は、X方向においてコンデンサ3よりも積層体10から遠い位置に配された支持外壁部41dを含んでいる。封止部材31は支持外壁部41dに接触している。この構成によれば、封止部材31に加わった加圧部材5の加圧力Fを、隔壁部42よりも厚い支持外壁部41dによって受け止めることができる。
加圧部材5は、積層体10と外壁部41aとの間に設けるように構成してもよい。この場合、加圧部材5によって積層体10を介在隔壁部42aに向けて加圧することになる。
バスバ9について図2、図7、図8を参照して説明する。バスバ9は電源等の外部からの電流が流れる導電性部材であるため、バスバ9には異常な大電流が瞬間的に流れることがある。バスバ9は、導電性を有する板材を曲げ加工、切断加工、またはプレス加工によって形状を形作ることにより製造可能である。バスバ9は全体として板状をなしている。
バスバ9は、第1板状部91と、第2板状部92と、第1板状部91と第2板状部92をつなぐ第1曲がり部914とを少なくとも含む部材である。第1板状部91と第2板状部92は、バスバ9の長手方向に沿うように並んでいる。電力変換装置1は、複数のバスバ9を備えている。複数のバスバ9は、高電位である第1バスバと、第1バスバよりも低電位である第2バスバとを含んでいる。第1バスバの第1板状部91と第2バスバの第1板状部91は、対向するように並んでいる。第1バスバの第2板状部92と第2バスバの第2板状部92は、対向するように並んでいる。
第1板状部91は、バスバ9の長手方向に長い形状である。第1板状部91は、バスバ9においてコンデンサ3側に位置している。第1板状部91は、入力端子71に接続されている。第1板状部91は、ボルト911等の螺子によって入力端子71に螺合接続されている。第1板状部91は、コンデンサ3側の端部に、螺子が挿通可能な貫通穴915を有している。第1板状部91は、貫通穴915の周縁部に設けられた螺合接続部を有している。第1板状部91は、入力端子71に対してリベットによってリベット接続されているリベット接続部を有する構成でもよい。この場合、貫通穴915は、リベットの軸部が挿通可能なように形成されている。
第2板状部92は、バスバ9において外部の電源側に位置している。第2板状部92は、バスバ9の長手方向に長い形状である。第2板状部92は、第2曲がり部932を介して第3板状部93に連結されている。第2板状部92は、コンデンサ3側の端部に曲げ基板部921を備えている。第1曲がり部914は、曲げ基板部921の根元部分ともいえる。曲げ基板部921は、第1曲がり部914から短幅方向に延びる部分である。第2板状部92は、曲げ基板部921から長手方向に延びている。
第2板状部92は、電源側の端部に曲げ基板部922を備えている。第2曲がり部932は、曲げ基板部922の根元部分ともいえる。曲げ基板部922は、第2曲がり部932から短幅方向に延びる部分である。第2板状部92は、曲げ基板部922から曲げ基板部921まで長手方向に延びている。第2曲がり部932は、第1曲がり部914と同様の加工方法によって形成することができる。
第2板状部92と第3板状部93とは、第2曲がり部932を境界として互いに直交するようにバスバ9に設けられている。第1板状部91と第3板状部93は、互いに平行な姿勢であり、第2板状部92に対して交差または直交する関係にある。第1板状部91は、第2板状部92に対して、一方側に短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。第3板状部93は、第2板状部92に対して、第1板状部91とは反対側である他方側に短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。第3板状部93は、第2曲がり部932から短幅方向に延びる部分である。第2曲がり部932は、バスバ9の長手方向に沿う曲がり線を有している。この曲がり線は、第2曲がり部932の稜線に相当する。
第3板状部93は、入力コネクタ端子181に接続されている。第3板状部93は、ボルト931等の螺子によって入力コネクタ端子181に螺合接続されている。第3板状部93は、入力コネクタ端子181側の端部に、螺子が挿通可能な貫通穴933を有している。第3板状部93は、貫通穴933の周縁部に設けられた螺合接続部を有している。第3板状部93は、入力コネクタ端子181に対してリベットによってリベット接続されているリベット接続部を有する構成でもよい。この場合、貫通穴933は、リベットの軸部が挿通可能なように形成されている。また、バスバ9は、第3板状部93を備えない構成でもよい。この場合、バスバ9は、第2曲がり部932を備えず、第2板状部92の端部が入力コネクタ端子181に接続されることになる。
第1板状部91と第2板状部92とは、第1曲がり部914によって面の向きが変化している。第1曲がり部914はバスバ9における曲げ部の一つである。第1板状部91と第2板状部92とは、第1曲がり部914を境界として互いに交差するようにバスバ9に設けられている。バスバ9は、例えば第1板状部91と第2板状部92とが第1曲がり部914を境界として互いに直交するように面の向きが変化する形状を有する。第1曲がり部914は、長手方向に沿う曲がり線を有している。この曲がり線は、第1曲がり部914の稜線に相当する。
第1板状部91には、第1板状部91における外周縁の一部として窪み部913が形成されている。窪み部913は、細長い矩形状の第1板状部91の外周縁において、長手方向に対して交差または直交する方向に窪んだ部分である。窪み部913は、第1曲がり部914よりも、コンデンサ3側の入力端子71に近い位置に設けられている。窪み部913は、第1板状部91において、長手方向に対して直交する方向である短幅方向の長さを他の部分よりも短くする機能をもつ。長手方向はY方向に相当し、短幅方向はX方向に相当する。バスバ9は、窪み部913を備えることによって、他の部分よりも横断面積が小さい部分を有することになる。この明細書および特許請求の範囲におけるバスバ9に関する横断面積は、バスバ9の長手方向に直交する断面の面積を意味する。
窪み部913は、第1板状部91において短幅方向の一端に形成された開口端部913aと、短幅方向の他端側において閉じる閉端部913bとを含んで形成されている。窪み部913は、開口端部913aから閉端部913bまで窪む窪み形状を形成している。開口端部913aは、窪み形状の開口を形成している。閉端部913bは、窪み形状の底部を形成している。窪み形状には、例えば、スリット状の開口、半トラック状の開口、矩形状の開口、楔状の開口を採用することができる。窪み部913は、バスバ9における、切り欠き部、打ち抜き部と称することもできる。窪み部913は、プレス加工、切断加工等によって形成することができる。
図7、図8に示すように、開口端部913aは、第1曲がり部914における長手方向の両端部のうち、コンデンサ3側である一方の端部に位置している。開口端部913aは、第1曲がり部914における長手方向の両端部の一部でもある。第1板状部91は、第1曲がり部914から短幅方向に延びる曲げ基板部91bを備えている。第1曲がり部914は、曲げ基板部91bの根元部分ともいえる。曲げ基板部91bは、第1曲がり部914から短幅方向に延びる部分である。第1板状部91は、曲げ基板部91bから狭小部91aを介して長手方向に延びている。開口端部913aは、曲げ基板部91bの根元部分における一方側端部に相当する。開口端部913aは、この位置に設けられていることにより、第1曲がり部914を形成する加工する際に、応力の分散に寄与している。
第1板状部91は、一端の開口端部913aとは反対側に位置する他端から、閉端部913bに至る部分である狭小部91aを備える。開口端部913aから閉端部913bまでの深さ寸法は、狭小部91aにおける他端から閉端部913bまでの長さ寸法に対して同等または大きく設定されている。曲げ基板部91bの短幅方向長さは、狭小部91aの短幅方向長さの2倍以上に設定されている。曲げ基板部91bの短幅方向長さは、窪み部913の深さ寸法と狭小部91aの短幅方向長さとの合計値と同等に設定されている。
狭小部91aは、第1板状部91の短幅方向長さが窪み部913の存在によって小さく形成された部分である。狭小部91aは、窪み部913の存在によって、第1板状部91において最も横断面積が小さい部分である。狭小部91aは、第1板状部91において最も電流密度が大きくなる部分である。異常時に定格を超える大電流がバスバ9に流れた場合に、狭小部91aの溶断によって回路を開くことにより、電気回路の保護が図れる。
狭小部91aは、バスバ9において最も横断面積が小さい部分となるように形成することが好ましい。この構成を採用する場合、狭小部91aは、バスバ9において最も電流密度が大きくなる部分になる。バスバ9には、第1板状部91を厚さ方向に貫通する貫通穴部912が設けられている。貫通穴部912は、窪み部913の周辺に位置していることが好ましい。貫通穴部912は、第1板状部91における肉抜きまたは肉盗みともいえる。また、貫通穴部912は、バスバ9を所定の位置に設置するために、ケース等に設けられた位置決め用の突起部が嵌る穴部として活用してもよい。
第1実施形態の電力変換装置1がもたらす作用効果について説明する。電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、半導体モジュール2と通電可能に接続されているコンデンサ3と、バスバ9とを備える。バスバ9は、外部側の端子とコンデンサ3側の端子とを連結する導電性部材である。バスバ9は、第1板状部91と、第2板状部92と、第1板状部91と第2板状部92とをつなぐ曲がり部とを備える。第1板状部91は、第1板状部91の外周縁の一部をなす窪み部を備える。窪み部913は、開口端部913aから閉端部913bまで窪む窪み形状を形成する。窪み部913における開口端部913aは、曲がり部における両端部のうち一方の端部に位置するように第1板状部91に設けられている。
この電力変換装置1は、曲がり部の端部に開口端部913aが設けられているため、曲がり部の形成時に板状部を曲げ加工しやすい効果を奏する。この効果によれば、曲がり部にかかる過度の応力や負荷が抑えられ、曲がり部の割れを抑制することに貢献できる。したがって、バスバ9の品質向上が図れる。さらに第1板状部91は窪み部913が形成された外周縁を備えるため、窪み部913によって他の部分よりも横断面積が狭くなる部位を形成することができる。他の部分よりも横断面積が狭くなる部位は、バスバ9に異常な大電流が流れた時に、他の部分よりも溶断しやすいため、電流遮断部として機能させることができる。以上のように、電力変換装置1は、曲がり部の割れを抑制する効果とヒューズ機能とを併せ持つバスバ9を提供できる。
第1板状部91は、第1板状部91の外周縁のうち一端の開口端部913aとは反対側に位置する他端から、閉端部913bに至る部分である狭小部91aを備える。窪み部913は、開口端部913aから閉端部913bまでの深さ寸法が狭小部91aにおける他端から閉端部913bまでの長さ寸法よりも大きくなるように形成されている。
この構成によれば、窪み部913の存在によって狭小部91aの横断面積を、第1板状部91の他の部位の横断面積よりも半分以下に設定することができる。これにより、バスバ9に異常な大電流が流れた場合に、狭小部91aを、より確実に電流遮断部として機能させることができる。
狭小部91aは、バスバ9において最も横断面積が小さい部分である。この構成によれば、バスバ9に異常な大電流が流れた場合にバスバ9全体において狭小部91aの電流密度が最大になるので、最も早く溶断させることができる。
窪み部913は、曲がり部よりもコンデンサ3側の端子に近い位置に設けられている。この構成によれば、コンデンサ3からの放熱を利用して、バスバ9における窪み部913周辺を温度上昇させやすい構成を提供できる。これにより、異常な大電流時に第1板状部91において溶断を起こしやすいバスバ9を提供できる。
バスバ9は、窪み部913の周辺において第1板状部91を貫通する貫通穴部912を備えている。この構成によれば、窪み部913の周辺に貫通穴部912を設けることによって、窪み部913の周辺における表面積を小さくできる。これにより、窪み部913の周辺におけるバスバ表面からの放熱量を抑制できるので、異常な大電流時に第1板状部91において溶断を起こしやすいバスバ9を提供できる。
バスバ9は、外部側の端子とコンデンサ3側の端子とのそれぞれに対して、螺子によって螺合接続されている螺合接続部を備える。またはバスバ9は、外部側の端子とコンデンサ3側の端子とのそれぞれに対して、リベットによってリベット接続されているリベット接続部を備える。この構成によれば、バスバ9が両端側において螺合接続部またはリベット接続部を有するので、外力等の負荷がかかった場合に溶接結合よりも応力の分散が図れる。これにより、バスバ9において強度が低い窪み部913付近の応力集中を抑えることができるので、外力等の負荷によるバスバ9の破損を抑制でき、強度の確保が図れる。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図9および図10を参照して説明する。第2実施形態の電力変換装置1は、第1実施形態に対して、バスバ109が相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
図9、図10に示すように、バスバ109は、バスバ9に対して窪み部923を備える点が相違する。バスバ109の第2板状部192には、第2板状部192における外周縁の一部として窪み部923が形成されている。窪み部923は、細長い矩形状の第2板状部192の外周縁において、長手方向に対して交差または直交する方向に窪んだ部分である。窪み部923は、第1曲がり部914よりも、電源側の入力コネクタ端子181に近い位置に設けられている。窪み部923は、第1板状部91において、短幅方向の長さを他の部分よりも短くする機能をもつ。バスバ109は、窪み部923を備えることによって、第2板状部192の他の部分よりも横断面積が小さい部分を有することになる。
窪み部923は、第2板状部192において短幅方向の一端に形成された開口端部と、短幅方向の他端側において閉じる閉端部とを含んで形成されている。窪み部923の開口端部は、窪み形状の開口を形成している。窪み部923の閉端部は、窪み形状の底部を形成している。窪み部923の窪み形状には、例えば、スリット状の開口、半トラック状の開口、矩形状の開口、楔状の開口を採用することができる。窪み部923は、バスバ109における、切り欠き部、打ち抜き部と称することもできる。窪み部923は、プレス加工、切断加工等によって形成することができる。
第2板状部92は、窪み部923の開口端部とは反対側に位置する他端から、窪み部923の閉端部に至る部分である狭小部を備える。この狭小部は、横断面積に関して、狭小部91aと同様の構成を有し、同様の作用を奏する。
第2実施形態によれば、第2板状部192は、第2板状部192における外周縁の一部をなす窪み部923を備える。窪み部923は、開口端部から閉端部まで窪む窪み形状を形成している。この構成によれば、第2板状部192にも窪み部923が形成された外周縁を備えるため、窪み部923によって他の部分よりも横断面積が狭くなる部位を形成できる。バスバ109は、他の部分よりも横断面積が狭くなる狭小部を少なくとも2箇所備える。このため、異常な大電流が流れた時に、電流遮断機能を確実に発揮する電力変換装置1を提供できる。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図11を参照して説明する。第3実施形態の電力変換装置1は、第1実施形態に対して、バスバ209とバスバ309を備える点が相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
図11に示すように、電力変換装置1は、バスバ209とバスバ309とを備える。バスバ209とバスバ309は、高電位である第1バスバと、第1バスバよりも低電位である第2バスバとに相当する。
バスバ209は、バスバ9に対して以下の構成が相違している。バスバ209の第1板状部91は、第2板状部92に対して、第3板状部93と同じ側である他方側に短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。第1板状部91と第3板状部93は、第2板状部92に対して、同じ側に短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。
バスバ309は、バスバ9に対して以下の構成が相違している。バスバ309の第3板状部93は、第2板状部92に対して、第1板状部91と同じ側である他方側に短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。第1板状部91と第3板状部93は、バスバ209の第1板状部91と第3板状部93とは反対の側に、短幅方向長さ突出するように折れ曲がっている。
図11に示すように、バスバ209の第1板状部91とバスバ309の第1板状部91は、対向するように並んでいる。バスバ209の第2板状部92とバスバ309の第2板状部92は、対向するように並んでいる。バスバ209とバスバ309とは、一方の窪み部913の開口端部と他方の窪み部913の開口端部とが向かい合うように設置されている。つまり、バスバ209における開口端部はバスバ309側に開口しており、バスバ309における開口端部はバスバ209側に開口している。
第3実施形態の電力変換装置1によれば、第1バスバにおける第1板状部と第2バスバにおける第1板状部とは、対向する位置関係となるように設けられている。第1バスバの窪み部における開口端部と第2バスバの窪み部における開口端部は、向かい合っている。
この構成によれば、第1バスバと第2バスバとにおいて、隣接する2つの窪み部913によって、一方の狭小部と他方の狭小部とが隣接しない。このため、隣接するバスバの狭小部からの放熱の影響を抑えることができるので、想定外の電流値で狭小部が溶断する事態を回避できる。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図12を参照して説明する。第4実施形態の電力変換装置1は、第1実施形態や第3実施形態に対して、バスバ9とバスバ209を備える点が相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
図12に示すように、電力変換装置1は、バスバ9とバスバ209とを備える。バスバ9とバスバ209は、高電位である第1バスバと、第1バスバよりも低電位である第2バスバとに相当する。バスバ9の構成については、第1実施形態の開示を援用する。バスバ209の構成については、第3実施形態の開示を援用する。
図12に示すように、バスバ9の第1板状部91とバスバ209の第1板状部91は、対向するように並んでいる。バスバ9の第2板状部92とバスバ209の第2板状部92は、対向するように並んでいる。バスバ9とバスバ209とは、一方の狭小部91aと他方の狭小部91aとが向かい合うように隣接して設置されている。バスバ9における窪み部913の開口端部は、隣接するバスバ209とは反対側に向かって開口している。バスバ209における窪み部913の開口端部は、隣接するバスバ9とは反対側に向かって開口している。
第4実施形態の電力変換装置1によれば、第1バスバにおける第1板状部と第2バスバにおける第1板状部とは、対向する位置関係となるように設けられている。第1バスバの窪み部における開口端部と第2バスバの窪み部における開口端部は、背中合わせに配置されている。
この構成によれば、第1バスバと第2バスバとにおいて、隣接する2つの窪み部913によって、一方の狭小部と他方の狭小部とが隣接して接近するようになる。このため、狭小部は、ジュール熱による自身の発熱に加え、隣接するバスバの狭小部からの放熱を受けて温度上昇する。これにより、異常時に大電流が流れた場合に、狭小部が溶断する電流遮断機能をより確実に発揮させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について、図13を参照して説明する。第5実施形態の電力変換装置1は、前述の実施形態に対して、バスバ9とバスバ309を備える点が相違する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
図13に示すように、電力変換装置1は、バスバ9とバスバ309とを備える。バスバ9とバスバ309は、高電位である第1バスバと、第1バスバよりも低電位である第2バスバとに相当する。バスバ9の構成については第1実施形態の開示を援用し、バスバ309の構成については第3実施形態の開示を援用する。
図12に示すように、バスバ9の第1板状部91とバスバ309の第1板状部91は、対向するように並んでいる。バスバ9の第2板状部92とバスバ309の第2板状部92は、対向するように並んでいる。バスバ9とバスバ309とは、一方の窪み部913の開口端部913aと他方の窪み部913の開口端部913aとが同じ方向に向かって開口するように設置されている。バスバ9における狭小部91aは、バスバ309における窪み部913の開口端部に向かいあるように隣接している。
第4実施形態によれば、第1バスバにおける第1板状部と第2バスバにおける第1板状部とは、対向する位置関係となるように設けられている。第1バスバの窪み部における開口端部と第2バスバの窪み部における開口端部は、同じ側を向いている。
第1バスバの開口端部と第2バスバの開口端部とが向かい合う場合は、第1バスバと第2バスバとにおいて、電流が隣接して長手方向に並走する部分が減少する。このため、第1バスバと第2バスバとにおいてインダクタンスの打ち消し作用が小さくなり、インダクタンスが増加するという効果を奏する。一方、第1バスバの開口端部と第2バスバの開口端部とが背中合わせになる場合は、一方のバスバの狭小部と他方のバスバの狭小部とが隣接して接近する。この構成の場合、第4実施形態と同様に、狭小部の電流遮断機能をより確実に発揮させることができるという効果を奏する。第4実施形態の電力変換装置1によれば、第1バスバの開口端部と第2バスバの開口端部が同じ側を向いているため、両方の効果をバランスよく享受することができる。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書に開示の目的を達成可能な電力変換装置1は、バスバにおいて、第1曲がり部914の長手方向両端部のうち少なくとも一方の端部に位置する開口端部913aを備える。バスバは、第1曲がり部914の長手方向両端部のそれぞれに位置する開口端部913aを備える構成でもよい。
第3実施形態~第5実施形態におけるバスバ209、バスバ309は、第2実施形態のように、第2板状部に窪み部923を備える構成としてもよい。