JP7092559B2 - マスク用耳掛け紐及びマスク - Google Patents
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Description
そこで、耳掛け部を形成する紐の途中に、その長さや強さを調整するための調整部を備えたマスクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
マスク本体の左右に備えられるマスク用耳掛け紐であって、
複数のゴム紐が編まれており、
前記ゴム紐には巻糸が巻かれており、
前記巻糸に水酸基を一つ以上含む多価アルコールが塗布され、
複数の前記ゴム紐が束ねられて形成された組が、複数編まれていることを特徴とする。
本発明によれば、マスクの密着性を低下させることなく、耳掛け部によって着用者に生じる負担を軽減できるマスク用耳掛け紐を提供することができる。
前記水酸基を一つ以上含む多価アルコールは、保湿剤であることを特徴とする。
本発明によれば、着用者の肌への保湿効果も得ることができる。
前記保湿剤は、ヒアルロン酸であることを特徴とする。
本発明によれば着用者の肌への保湿効果も得ることができる。
前記巻糸は、ポリエステルによって形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、さらに耳掛け部によって着用者に生じる負担を軽減できる。
複数のゴム紐が、前記マスク用耳掛け紐の長さ方向に対して斜めに配置されるように編まれていることを特徴とする。
本発明によれば、さらに耳掛け部によって着用者に生じる負担を軽減できる。
本発明によれば、耳掛け部によって着用者に生じる負担を軽減できるマスクを提供することができる。
なお、以下においては、図1に示すように、マスクの着用者から見た方向を基準として、前後、左右及び上下を定めて説明する。
{全体構成}
マスク100は、図1及び図2に示すように、着用者の顔面の鼻、口、顎等を覆うマスク本体1と、マスク本体1を着用者の右耳に掛止するための右耳掛け部2と、マスク本体1を着用者の左耳に掛止するための左耳掛け部3と、を備えている。なお、マスク100は、マスク本体1の後面側を着用者の顔面に向けて着用される。
マスク本体1は、図2及び図3に示すように、複数のシート材によって形成されたシート部11と、シート部11の上端部付近に取り付けられた鼻部補強部材12と、シート部11の上下方向中央部付近に取り付けられた口部補強部材13と、を備える。
シート部11は、図2に示すように正面視略矩形状に形成されたシート状の部材であり、複数のシート材を積層して形成されている。
シート部11は、左右方向に120mmから210mm、好ましくは145mmから175mm、上下方向に70mmから100mm、好ましくは80mmから90mmに形成される。
最も好適には、外面側不繊布111としてポリプロピレンスパンボンドが用いられ、着用者側不繊布113として保湿剤を塗布したナイロンスパンボンドが用いられ、これらの間に挟み込まれるフィルター112としてポリプロピレンメルトブローが用いられる。
鼻部補強部材周辺接続部11eは、正面視において鼻部補強部材12の形状と略一致するように形成されていることが望ましいが、鼻部補強部材12の周囲に若干の間隙が存在し、鼻部補強部材12を動かすことが可能であってもよい。
口部補強部材周辺接続部11fは、正面視において口部補強部材13の形状と略一致するように形成されていることが望ましいが、口部補強部材13の周囲に若干の間隙が存在し、口部補強部材13を動かすことが可能であってもよい。
また、これらの接続部は、前後にシート材が接続されていればよく、必ずしも熱・超音波等による溶着によって形成されている必要はない。
また、図1及び図2においてはこれらの接続部が実線状に形成された場合につき図示したが、これに限られず、接続部は例えば破線状に形成されていてもよい。
シート部11は、図3に示すように上下方向に折り返されており、これによって、前面側に、図1から図3に示すように、上部プリーツ11gと、下部プリーツ11h、11hとが形成されている。マスク100の着用時には、これらを上下方向に展開することによって、シート部11が外側に膨出する山型の立体形状となって、着用者の顔面の鼻、口、顎等が覆われるようになっている。
なお、プリーツの配置間隔には、上部プリーツ11gとマスク上端縁との間隔及び下部プリーツ11h,11hのうち下方に形成されたものとマスク下端縁との間隔を含むものとする。
鼻部補強部材12は、マスク本体1の上部が着用者の鼻付近の形状に沿って、隙間が生じないようにするためのものであり、図2に示すように、シート部11の上端縁に沿って備えられている。
鼻部補強部材12は、左右方向に長い可塑性を有する部材であり、シート部11の横幅よりも短く、左右方向に80から135mm、好ましくは90mmから120mmの長さを有し、上下方向に幅3mmから5mm、前後方向に厚み0.5mmから1.0mmとなるように形成されている。
例えば、後述の口部補強部材13と同様に、外面側不繊布111は溶着されないようにして鼻部補強部材周辺接続部11eを形成し、鼻部補強部材12をシート部11に取り付けてもよい。また、例えば、鼻部補強部材12は、外面側不繊布111と、フィルター112との間に配置されていてもよい。
口部補強部材13は、マスク本体1の着用者の口元付近の形状を維持するためのものであり、図2及び図3に示すように、シート部11の、上部プリーツ11gと、下部プリーツ11h,11hのうち上方に形成されたものとの間の位置の、シート部11の上下方向中央部付近に取り付けられている。
なお、口部補強部材13の取り付け位置としては、シート部11の上下方向中央部から5mmから10mm程度下方にずれた位置に取り付けられていることが、着用者の下唇付近の空間を広く確保できるため望ましいが、マスク本体1の着用者の口元付近の形状を維持することができればよく、このような配置位置には限られない。
これによって、口部補強部材13が、フィルター112と、着用者側不繊布113とに対して固定され、フィルター112、着用者側不繊布113及び口部補強部材13が、着用者の口元付近において固定されるが、外面側不繊布111については、シート部11の四辺の端部付近以外においては、他の部材に固定されていないこととなる。
右耳掛け部2及び左耳掛け部3は、いずれも耳掛け紐200をマスク本体1に取り付けることによって形成されている。
具体的には、図1及び2に示すように、右耳掛け部2はマスク本体1の右側において、耳掛け紐200の一方の端部をシート部11の右端部の上部に熱・超音波等によって溶着させ、他方の端部をシート部11の右端部の下部に熱・超音波等によって溶着させることによって形成されている。また左耳掛け部3はマスク本体1の左側において、耳掛け紐200の一方の端部をシート部11の左端部の上部に熱・超音波等によって溶着させ、他方の端部をシート部11の左端部の下部に熱・超音波等によって溶着させることによって形成されている。
右耳掛け部2及び左耳掛け部3は、いずれも一端部から他端部までの長さが140mmから200mm、好ましくは160mmから180mmとなるように形成される。
耳掛け紐200は、図4及び図5に示すように、巻糸202が巻かれた複数のゴム紐201によって形成された組211を複数編むことによって形成されている。
ゴム紐201は、伸縮性の材料によって形成された細い紐状の部材である。ゴム紐201の材料としては、例えば、合成ゴムの場合にはポリウレタン等が用いられる。なお、ゴム紐200の材料としては、合成ゴムを用いることが好ましいが、これに限られず、例えばラテックス等の天然ゴムを用いてもよい。また、ゴム紐201としては、全て同じ太さのものを用いてもよいし、異なる太さの複数種類のものを混合して用いてもよい。
ゴム紐201の太さとしては、材料としてポリウレタンを用いる場合、10dtexから100dtexであることが好ましく、30dtexから70dtexであることがさらに好ましい。
ゴム紐201の周囲には、図4及び図5に示すように巻糸202が巻かれている。巻糸202の巻き方としては、全てのゴム紐201の周囲に、間隙が生じないように巻かれていることが好ましい。
巻糸202の材料としては、ポリエステル、ナイロン等を用いることができるが、特にポリエステルであることが好ましい。この場合、やわらかい触感を得ることができる。
巻糸202の太さとしては、40dtexから300dtexであることが好ましく、65dtexから220dtexであることがさらに好ましい。
塗布の方法としては、水酸基を一つ以上含む多価アルコールを巻糸202に塗布した上で、これをゴム紐201に巻いてもよいし、ゴム紐201に巻糸202を巻いた後に、水酸基を一つ以上含む多価アルコールを塗布してもよい。また、巻糸202が巻かれた複数のゴム紐201によって形成された組211を複数編むことによって耳掛け紐200の形状とした上で、最後に水酸基を一つ以上含む多価アルコールを塗布してもよい。
30gを下回ると摩擦を低減する効果が十分に得られない。
巻糸202が巻かれた所定数のゴム紐201を束ねることによって、図4に示すように組211が形成される。組211としては、複数のゴム紐201を束ねたのみでもよいし、これを捻る等してまとめてあってもよい。図4においては3本のゴム紐201によって組211が形成された場合につき図示したが、組211を形成するゴム紐201の数はこれに限られない。各組211を形成するゴム紐201は、全て同じ太さであってもよいし、異なる太さの複数種類のゴム紐201が混合されていてもよい。
また、耳掛け紐200は、幅5~7mm程度の扁平な帯状に形成されていることが望ましい。
例えば、上記においては、巻糸202が巻かれたゴム紐201を所定数束ねることによって、断面が扁平な帯状となる平紐となるように形成された場合につき説明したが、断面が略円形となる丸紐となるように形成されていてもよい。
(1)ゴム紐201の周りに巻糸202を巻く。
(2)ゴム紐201の周りに巻かれた巻糸202に、水酸基を一つ以上含む多価アルコールを塗布する。なお、巻糸202に水酸基を一つ以上含む多価アルコールを塗布した上で、これをゴム紐201の周りに巻いてもよい。また、(3)を経て耳掛け紐200の形状とした後に、水酸基を一つ以上含む多価アルコールを塗布してもよい。
(3)巻糸202が巻かれたゴム紐201を束ねて組211とし上で、組211を複数編み、耳掛け紐200とする。例えば、被服用の紐を製造する製紐器のボビンに糸の代わりに巻糸202が巻かれたゴム紐201を組211ごとに巻き、それを編むことで耳掛け紐200を形成する。
(4)肌から遠い面から順に、フィルター112、着用者側不繊布113の順でシート材を重ね、フィルター112と、着用者側不繊布113との間の所定の位置に、鼻部補強部材12及び口部補強部材13を配置する。
(5)フィルター112と着用者側不繊布113とを、口部補強部材13の上下及び左右において熱・超音波等を用いて前後に溶着させ、口部補強部材周辺接続部11fを形成する。
(6)口部補強部材周辺接続部11fを形成したフィルター112及び着用者側不繊布113と、外面側不織布111とを、肌から遠い面から順に、外面側不繊布111、フィルター112、着用者側不繊布113の順となるように重ねる。
(7)外面側不繊布111、フィルター112及び着用者側不繊布113を、鼻部補強部材12の上下及び左右において熱・超音波等を用いて前後に溶着させ、鼻部補強部材周辺接続部11eを形成する。
(8)重ねられたシート材を、上部プリーツ11g及び下部プリーツ11h、11hが形成されるように折り畳む。
(9)折り畳まれたシート材の上下及び左右の端部付近を、熱・超音波等を用いて前後に溶着させ、上端部接続部11a、下端部接続部11b、右端部接続部11c及び左端部接続部11dを形成する。
(10)耳掛け紐200の両端部を、シート材の右端部の上下に熱・超音波等を用いて溶着させ右耳掛け部2を形成し、耳掛け紐200の両端部を、シート材の左端部の上下に熱・超音波等を用いて溶着させ左耳掛け部3を形成する。
実施形態に係るマスク100は、右耳掛け部2及び左耳掛け部3を形成する耳掛け紐200に、水酸基を一つ以上含む多価アルコールが塗布されている。これによって、右耳掛け部2及び左耳掛け部3と、着用者の耳や頬の肌との間の摩擦が低減されることから、右耳掛け部2及び左耳掛け部3の肌触りが改善される。これによって、マスクの密着性を低下させることなく、着用者への負担を低減することができる。
また、水酸基を一つ以上含む多価アルコールであれば、これが着用者の肌に転写されても、着用者への害悪が生じることもない。
さらに、右耳掛け部2及び左耳掛け部3に何らかの別個の部品等を備えることなく上記効果を得ることができることから、生産コストの増加も最小限とすることができ、マスクの外観を損なうこともない。
また、水酸基を一つ以上含む多価アルコールがヒアルロン酸である場合、着用者の肌への保湿効果を特に高めることができる。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ33dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ83dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐を3本束ねることによって組を形成し、このような組を13組編み込むことによって平紐状に形成した。これにヒアルロン酸を、耳かけ紐1mあたり100gの塗布量となるように塗布した。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ33dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ83dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐を3本束ねることによって組を形成し、このような組を13組編み込むことによって平紐状に形成した。これにリン酸エステル(ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール)を、耳かけ紐1mあたり100gの塗布量となるように塗布した。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ66dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ198dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐3本をらせん状に組み上げることによって、丸紐状に形成した。これにヒアルロン酸を、耳かけ紐1mあたり100gの塗布量となるように塗布した。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ66dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ198dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐3本をらせん状に組み上げることによって、丸紐状に形成した。これにリン酸エステル(ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール)を、耳かけ紐1mあたり100gの塗布量となるように塗布した。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ33dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ83dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐を3本束ねることによって組を形成し、このような組を13組編み込むことによって平紐状に形成した。水酸基を一つ以上含む多価アルコールの塗布はなし。
ゴム紐:材料ポリウレタン、太さ66dtex。
巻糸:材料ポリエステル、太さ198dtex。
構成:巻糸を間隙が生じないようにゴム紐に巻いた上で、巻糸が巻かれたゴム紐3本をらせん状に組み上げることによって、丸紐状に形成した。水酸基を一つ以上含む多価アルコールの塗布はなし。
摩擦試験機としてカトーテック社製KES-SEを用い、測定端子が直線上に動いた時の平均摩擦係数(MIU)を測定した。
実施例及び比較例の耳掛け紐につき、チャック間距離50mm、速度300mm/分で、長さ方向に200%(100mm)伸ばした時の強度を測定した。なお、引張試験機としては、AND社のTENSILON RTG-1210を用いた。
実施例及び比較例の耳掛け紐につき、マスク本体1に取り付けて、10人の評価者が実際に2時間着用し、耳の痛み及び締め付け感について評価した。
具体的には、外面側不繊布111として秤量17gsmのポリプロピレンスパンボンド、フィルター112として秤量20gsmのポリプロピレンメルトブロー、着用者側不繊布113として秤量20gsmのナイロンスパンボンドを用い、左右方向175mm、上下方向90mmに形成されたシート部11に、鼻部補強部材12及び口部補強部材13を備えたマスク本体1を用い、その左右に、長さ160mmの耳掛け紐を取り付けて右耳掛け部2及び左耳掛け部3を形成し、実使用評価に用いるマスクを作成した。
なお、試験結果は、耳の痛みにつき、生じなかった場合に◎、少し生じた場合に○、かなり生じた場合に×と評価した。
また、締め付け感につき、変化しなかった場合に○、着用者の感じる締め付け感が時間経過と共に強くなった場合に×と評価した。
実施例及び比較例の耳掛け紐につき、上記実使用評価と同様の条件でマスク本体1に取付けて10人の評価者に実際に着用させ、マスク着用前後で重量測定を行い、使用前よりも使用後で減少している場合、肌に転写されたと評価した。
なお、耳掛け紐の重量減少量(g)の10人の平均値を肌への転写量とした。
実施例1から4と、比較例1及び2との比較により、巻糸に水酸基を一つ以上含む多価アルコール(リン酸エステル又はヒアルロン酸)を塗布することで、耳への痛み、締め付け感を改善できることが分かる。
また、実施例1及び3と、実施例2及び4との比較により、水酸基を一つ以上含む多価アルコールとしてヒアルロン酸を用いた場合に、リン酸エステルを用いた場合と比較して、さらに表面の滑らかさ及び保湿剤の肌への転写量を向上させることができることが分かる。
また、水酸基を一つ以上含む多価アルコールの塗布によって、僅かに引張強度が低下しているものの、大きな低下はもたらさないことが分かる。
1 マスク本体
200 耳掛け紐(マスク用耳掛け紐)
201 ゴム紐
202 巻糸
211 組
Claims (6)
- マスク本体の左右に備えられるマスク用耳掛け紐であって、
複数のゴム紐が編まれており、
前記ゴム紐には巻糸が巻かれており、
前記巻糸に水酸基を一つ以上含む多価アルコールが塗布され、
複数の前記ゴム紐が束ねられて形成された組が、複数編まれていることを特徴とするマスク用耳掛け紐。 - 前記水酸基を一つ以上含む多価アルコールは、保湿剤であることを特徴とする請求項1に記載のマスク用耳掛け紐。
- 前記保湿剤は、ヒアルロン酸であることを特徴とする請求項2に記載のマスク用耳掛け紐。
- 前記巻糸は、ポリエステルによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマスク用耳掛け紐。
- 複数のゴム紐が、前記マスク用耳掛け紐の長さ方向に対して斜めに配置されるように編まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク用耳掛け紐。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のマスク用耳掛け紐を備えたマスク。
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