JP6220612B2 - 化合物、組成物、有機半導体材料及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

化合物、組成物、有機半導体材料及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体材料および有機薄膜トランジスタに関する。
従来、アモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いてなる薄膜トランジスタ(TFT)が、液晶表示装置や有機EL表示装置などのスイッチング素子として広く用いられている。しかし、これらシリコンを用いたTFTは、製造設備が高価な上、高温下で成膜されるため、耐熱性に乏しいプラスチック基板には展開できない。これを解決するために、シリコン半導体に代えて、有機半導体をチャネル半導体層に用いた有機TFTが提案されている。
有機半導体は溶液とすることで、低温で印刷成膜できるため、大規模な製造設備を必要とせず、また、耐熱性の乏しいプラスチック上にも適用でき、フレキシブルディスプレイを始めとするフレキシブルエレクトロニクスを牽引すると期待されている。一方、有機半導体はシリコン半導体に比べ、キャリア移動度が低く、その結果、TFTの応答速度が遅くなることが実用化の課題であったが、近年、アモルファスシリコン同等の移動度の有機半導体が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、2,7−置換[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格(以下、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンをBTBTと略する)を有する化合物が記載されており、その置換基として、ハロゲン、C−C18アルキル、ハロゲンを有するC−C18アルキル、C−C18アルキルオキシ、C−C18アルキルチオ、もしくはアリール、又は、ハロゲン、C−C18アルキル、ハロゲンを有するC−C18アルキル、C−C18アルキルオキシ、C−C18アルキルチオの少なくとも一つを有するアリールであるものが記載されている。これら化合物の移動度(cm/Vs)は、0.17〜0.31cm/Vsであるという。
また、特許文献2には、2,7−置換BTBT骨格を有する化合物が記載されており、その置換基として、水素原子、ハロゲノ置換C−C36脂肪速炭化水素基であるものが記載されている。これら化合物の移動度(cm/Vs)は、0.12〜4.5cm/Vsであることが記載されている。
更に、特許文献3には、2−アルキル−7−アリールBTBTの高次の液晶相を介して半導体層を形成することで、移動度5cm/Vs以上に達する化合物も報告されてきた。
一方、上記のように、移動度の向上した有機半導体材料は多く報告されているものの、これらの化合物は、BTBT環に対して対称な位置に置換基を有し、溶媒溶解性が乏しいため、インキの保存安定性が悪く、また印刷時にインキを再加熱しなければならない等の問題があった。
WO2006/077888号公報 WO2008/47896号公報 WO2012/121393号公報
本発明の課題は、高い溶媒溶解性を有し、インキの保存安定性に優れ、且つ、実用的な半導体特性を示す新規化合物、及びその組成物を提供することを課題とする。また、該化合物を含有する有機半導体材料及び有機半導体インキを提供することで、高性能な有機薄膜トランジスタ及び有機半導体デバイスを実現するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物Aは、環構造に対して非対称な位置に置換基を有するため、溶媒溶解性に優れることを見出し、上記課題を解決できることを見出した。
Figure 0006220612
・・・(1)
Figure 0006220612
・・・(2)
Figure 0006220612
・・・(3)
(上記式(1)、(2)、及び(3)において、XはS原子、O原子、Se原子のいずれかを表し、
、R、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、チオール基、ハロゲン原子、または下記式(4)で表される構造のいずれかを表す。
Figure 0006220612
・・・(4)
(上記式(4)において、YはS原子、O原子、NH基のいずれかを表し、
R5は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、芳香族基、エチニルアリーレン基、脂環族基のいずれかを表し、
R6は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、芳香族基、脂環族基、水素原子のいずれかを表し、
nは0又は1を表す。但し、nが0の場合、R5は末端が水素原子で置換されている。)
また、本発明は、化合物Aを含有する組成物、および該組成物を含有する有機半導体材料または有機半導体インキを提供することで、上記課題を解決する。
更に、本発明は、該有機半導体材料を含有する半導体層を有する有機薄膜トランジスタ、及び有機半導体デバイスを提供する。
本発明の新規化合物および該化合物を含有する組成物は、様々な溶媒に対して溶媒溶解性に優れ、インキの保存安定性に優れ、且つ実用的な半導体特性を有することから、印刷法での各種半導体デバイスの製造に適している。また、該化合物を含有する有機半導体材料を提供することで、高性能な有機薄膜トランジスタ及び有機半導体デバイスを提供するものである。
ボトムコンタクト型トランジスタの模式断面図である。
〔化合物A〕
本発明は、有機半導体材料として優れる下記式(1)、(2)、または(3)で表される化合物Aを提供するものである。
Figure 0006220612
・・・(1)
Figure 0006220612
・・・(2)
Figure 0006220612
・・・(3)
(上記式(1)、(2)、及び(3)において、XはS原子、O原子、Se原子のいずれかを表し、
、R、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、チオール基、ハロゲン原子、または下記式(4)で表される構造のいずれかを表す。
Figure 0006220612
・・・(4)
(上記式(4)において、YはS原子、O原子、NH基のいずれかを表し、
は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、芳香族基、エチニルアリーレン基、アラルキレン基、脂環族基を表し、
は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、芳香族基、脂環族基、又は水素原子を表し、
nは0又は1を表す。但し、nが0の場合、Rは末端が水素原子で置換されている。)
本発明の一般式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物AのXは、O、S、又はSeであるが、移動度の高さと大気中での安定性から、Sで表されるBTBT誘導体であることが好ましい。特にBTBTの2位と6位、2位と9位、または2位と8位のBTBT環に対して非対称な位置に置換基を有する場合、従来技術である2位と7位に置換基を導入したBTBT誘導体と比較して、溶媒への溶解性が高く、使用できる溶媒の種類が多いうえに、インキとしての保存安定性に優れ、印刷法での半導体製造に好適である。
次に、本発明の化合物Aの置換基R〜Rについて説明する。
〜Rは水酸基、チオール基、ハロゲン原子、及び上記一般式(4)で表される置換基である。上記一般式(4)で表される置換基のより具体的な構造を例示すると、nが0の場合、(A−1)炭素数1〜20のアルキル基、(A−2)炭素数2〜20のアルケニル基、(A−3)炭素数2〜20のアルキニル基、(A−4)芳香族基、(A−5)アリールエチニル基、(A−6)脂環族基であり、nが1の場合は、(A−7)アルコキシアルキル基、(A−8)アルキルスルファニルアルキル基、(A−9)アルキルアミノアルキル基、(A−10)アルコキシアリール基又はアルコキシアルキルアリール基、(A−11)アルキルスルファニルアリール基又はアルキルスルファニルアルキルアリール基、(A−12)アルキルアミノアリール基又はアルキルアミノアルキルアリール基、(A−13)アルコキシアリーレンエチニル基又はアルコキシアルキルアリーレンエチニル基、(A−14)アルキルスルファニルアリーレンエチニル基又はアルキルスルファニルアルキルアリーレンエチニル基、(A−15)アルキルアミノアリーレンエチニル基又はアルキルアミノアルキルアリーレンエチニル基が挙げられる。また、上記の置換基は1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を側鎖に持つことができる。
(A−1)炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、
更に、これらの炭素数1〜20アルキレン基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピレン基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシレン基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチレン基などのハロゲン置換アルキレン基なども使用できる。
(A−2)炭素数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、メチルペンテニル基、シクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセンなどの直鎖、分岐、環状のアルケニル基が挙げられる。
(A−3)置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル(プロパルギル)基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル基、1−デセニル基、1−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、1−トリデセニル基、1−テトラデセニル基、1−ペンタデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、1−ノナデセニル基、などが挙げられる。
(A−4)芳香族基とは、炭素と水素からなる炭素数6〜24の芳香族炭化水素基や、その一部に酸素原子、窒素原子、硫黄原子などを含む構成原子数5〜24の複素芳香族基であり、これらは置換基として、炭素数1〜6のアルキル基やハロゲン原子を有しても良い。このような置換基を有しても良い芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、アセナフテニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ビフェニル基、p−ターフェニル基、クォーターフェニル基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、ジュリル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−デカフェニル基、4−ステアリルフェニル基、9,9‘−ジヘキシルフルオレニル基などのアルキル基を有する芳香族炭化水素基;4−フルオロフェニレン基、2,6−フルオロフェニレン基、4−クロロフェニレン基、2,3,4,5,6−パーフルオロフェニレン基など、前記のアリーレン基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲンで置換された芳香族炭化水素基、
また、置換基を有しても良い複素芳香族基としては、ピリジニル基、ピロール基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ジベンゾオキサゾリル基、ジベンゾチエニル基;2−メチルチエニル基、2−ブチルチエニル基、2−ヘキシルチエニル基などのアルキル基を有する複素芳香族基などが挙げられる。
(A−5)アリールエチニル基としては、フェニルエチニル基、ナフチルエチニル基、チエニルエチニル基、オキサゾリルエチニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A−6)脂環族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、4−メチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロデカニル基などが挙げられる。
(A−7)アルコキシアルキル基としては、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−n−ヘプチルオキシエチル基、2−n−テトラデシルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、12−エトキシドデシル基、シクロヘキシルオキシエチル基などが挙げられる。
(A−8)アルキルスルファニルアルキル基としては、メチルスルファニルプロピル基、2−n−ヘキシルスルファニルエチル基、3−n−デシルスルファニルプロピル基、シクロヘキシルスルファニルプロピル基、8−メチルスルファニルオクチル基、8−エチルスルファニルオクチル基、8−プロピルスルファニルオクチル基、10−エチルスルファニルデシル基などが挙げられる。
(A−9)アルキルアミノアルキル基としては、メチルアミノプロピル基、2−n−ヘキシルアミノエチル基、3−n−デシルアミノプロピル基、シクロヘキシルアミノプロピル基、8−メチルアミノオクチル基、8−エチルアミノオクチル基、8−プロピルアミノオクチル基、10−エチルアミノデシル基などが挙げられる。
(A−10)アルコキシアリール基又はアルコキシアルキルアリール基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、4−(2−エトキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘプチルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−テトラデシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(12−エトキシドデシル)フェニル基、4−(シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、エトキシナフチル基、5−(2−エトキシエチル)チエニル基、5−(2−n−テトラデシルオキシエチル)チエニル基、5−(2−シクロヘキシルオキシエチル)チエニル基、5−(12−エトキシドデシル)チエニル基などが挙げられる。
(A−11)アルキルスルファニルアリール基又はアルキルスルファニルアルキルアリール基としては、4−(メチルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)フェニル基、4−(3−n−デシルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)フェニル基、5−(メチルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)チエニル基、5−(3−n−デシルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)チエニル基などが挙げられる。
(A−12)アルキルアミノ又はアルキルアミノアルキルアリール基としては、エチルアミノフェニル基、4−(3−オクチルアミノプロピル)フェニル基、4−(3−ドデシルアミノプロピル)フェニル基、4−(ジエチルアミノエチル)フェニル基、5−(3−オクチルアミノプロピル)チエニル基、5−(3−ドデシルアミノプロピル)チエニル基、5−(ジエチルアミノエチル)チエニル基などが挙げられる。
(A−13)アルコキシ又はアルコキシアルキルアリーレンエチニル基としては、メトキシフェニルエチニル基、エトキシフェニルエチニル基、ブトキシフェニルエチニル基、4−(2−エトキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘプチルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−テトラデシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−シクロヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(12−エトキシドデシル)フェニルエチニル基、4−(シクロヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、5−(2−エトキシエチル)チエニルエチニル基、5−(2−n−テトラデシルオキシエチル)チエニルエチニル基、5−(2−シクロヘキシルオキシエチル)チエニルエチニル基、5−(12−エトキシドデシル)チエニルエチニル基などが挙げられる。
(A−14)アルキルスルファニル又はアルキルスルファニルアルキルアリーレンエチニル基としては、4−(メチルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)フェニルエチニル基、4−(3−n−デシルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、4−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、5−(メチルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)チエニルエチニル基、5−(3−n−デシルスルファニルプロピル)チエニルエチニル基、5−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)チエニルエチニル基などが挙げられる。
(A−15)アルキルアミノ又はアルキルアミノアルキルアリーレンエチニル基としては、エチルアミノフェニルエチニル基、4−(3−オクチルアミノプロピル)フェニルエチニル基、4−(3−ドデシルアミノプロピル)フェニルエチニル基、4−(ジエチルアミノエチル)フェニルエチニル基、5−(3−オクチルアミノプロピル)チエニルエチニル基、5−(3−ドデシルアミノプロピル)チエニルエチニル基、5−(ジエチルアミノエチル)チエニルエチニル基などが挙げられる。
上記置換基のなかでも、本発明の化合物AのRは、(A−1)炭素数1〜20のアルキル基、(A−7)アルコキシアルキル基、又は(A−8)アルキルスルファニルアルキル基が特に好ましく、R〜Rは、(A−4)芳香族基、(A−5)アリールエチニル基、(A−10)アルコキシアリール基又はアルコキシアルキルアリール基、(A−11)アルキルスルファニルアリール基又はアルキルスルファニルアルキルアリール基、(A−13)アルコキシアリールエチニル基又はアルコキシアルキルアリールエチニル基、(A−14)アルキルスルファニルアリールエチニル基又はアルキルスルファニルアルキルアリールエチニル基が特に好ましい。
以上説明した本発明の化合物Aの好ましい構造として、表1〜表3の化合物例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(一般式(1)で表される2,6置換体の例示)
Figure 0006220612
・・・(1)
Figure 0006220612
(下記一般式(2)で表される2,9置換体の例示)
Figure 0006220612
・・・(2)
Figure 0006220612
(下記一般式(3)で表される2,8置換体の例示)
Figure 0006220612
・・・(3)
Figure 0006220612
〔化合物Aの合成〕
本発明の化合物は、X=SであるBTBTは、Tetrahedron Letters. 2011.52. 285−288に記載される方法により、X=Oであるベンゾフロ[3,2−b][1]ベンゾフランは、Zhurnal Organicheskoi Khimii .1989.25.1764−73に記載される方法により、X=Seであるベンゾセレノフェノ[3,2−b][1]ベンゾセレノフェンは、Chemistry of Materials.2009.21. 903−912 に記載される方法により、合成することができる。これらの化合物を原料として、B−8、B−21、及びB−34を例にすると、次の公知慣用のスキームで合成することができる。
Figure 0006220612
(BTBTのアルキル化)
Liquid Crystals 31, 137−1380 (2004)などに記載の方法で、BTBTをアシルクロライドとフリーデルクラフツアシル化反応させた後、カルボニル基を還元することで、2−アルキルBTBTを得ることができる。
フリーデルクラフツアシル化反応の反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒が使用でき、また、触媒としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの金属ハロゲン化物を用いることができる。
また、アシル基の還元は、ヒドラジンを用いたウォルフ・キシュナー還元や水素による接触還元など公知慣用の還元法が適用できる。
反応温度は、特に制限はないが、−70℃〜100℃の範囲で反応することが、反応速度の点から好ましい。
(2−アルキルBTBTのニトロ化(B8−1、B21−1、B34−1))
2−アルキル化BTBTにニトロ化剤を反応し、必要に応じて、再結晶やシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製することにより、7位、又は8位、又は9位がニトロ化された化合物を得ることができる。
使用できる溶媒に特に限定はなく、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒の他、ヘキサン、ジエチルエーテルなど、反応に影響のないものであれば使用できる。
ニトロ化剤としては、硝酸、発煙硝酸、混酸などの他に、ブチルニトレートなどのエステル化合物や、硝酸銀などの硝酸塩を使用することができる。
また、反応温度に制限はないが、反応速度の点から−70℃〜100℃の範囲が好ましい。
(B8−2のアミノ・クロロ化)
上記の2−アルキル−7−ニトロBTBTを錫、亜鉛や鉄などの金属、および濃塩酸と反応することにより、6位がクロロ化され、且つ7位がアミノ化された化合物を得ることができる。
使用できる溶媒に限定はないが、反応選択性の点から酢酸が好ましい。また、反応温度は室温〜110℃の範囲であれば良く、好ましくは70℃〜110℃である。
(B21−2及びB34−2のアミノ化)
上記の2−アルキル−ニトロBTBTを還元することにより、8位又は9位がアミノ化された化合物を得ることができる。
この反応には、公知の還元反応が適用でき、接触還元、水素化アルミニウムリチウムや水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物による還元、錫、亜鉛や鉄などの金属と濃塩酸を使用した還元法などが挙げられる。
(B8−3の脱アミノ化)
B8−3のアミノ基を亜硝酸化合物と反応してジアゾニウム化合物とした後、加熱分解することにより、脱アミノ化した6−クロロBTBTを得ることができる。
亜硝酸化合物に特に限定はないが、亜硝酸ナトリウムや亜硝酸カリウムなどの亜硝酸塩や、亜硝酸t−ブチルなどの亜硝酸エステルなどが使用できる。
(B21−3及びB34−3のヨウ素化)
アミノ基を亜硝酸化合物とジアゾ化後、金属ヨウ化物と反応するサンドマイヤー反応により、ヨウ素化することができる。
亜硝酸化合物に特に限定はないが、亜硝酸ナトリウムや亜硝酸カリウムなどの亜硝酸塩や、亜硝酸t−ブチルなどの亜硝酸エステルなどが使用できる。亜硝酸塩を使用する場合には、一般的に水溶液中で反応し、また、亜硝酸エステルを使用する場合には、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン溶媒の他に、ヘキサンやテトラヒドロフランなど公知慣用の溶媒が使用できる。
また、金属ヨウ化物としては、ヨウ化銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化カリウムなどが挙げられるが、これらに限定されたものではない。
(カップリング反応(B8−4、B21−4、B34−4))
最後に、上記のハロゲン化物と、ホウ素化合物、アリル化合物、エチニル化合物、又はハロゲン化物などとカップリング反応することにより、本発明の化合物Aを得ることができる。クロスカップリング反応としては、鈴木−宮浦カップリング、園頭カップリング、溝呂木・ヘック反応、熊田−玉尾カップリングなど公知慣用の方法が適用でき、これらの反応条件や触媒等については、例えば、Chemical Review第95巻2457−2483頁(1995年)やChemical Review第111巻1417−1492頁(2011年)などの総説や、クロスカップリング反応−基礎と産業応用−(シーエムシー出版)などの成書に記載されている方法、条件が適用できる。
上記反応は、特に限定されることなく、公知慣用の試薬が使用でき、反応温度も公知慣用何れの温度も適用することができる。
〔組成物〕
本発明の化合物Aは、種々の用途に応用できるが、用途に応じて、他の材料を混合した組成物とすることもできる。
〔有機半導体材料〕
本発明の化合物Aは単独で使用しても有機半導体材料として使用できるが、その他の公知慣用の有機半導体化合物や有機半導体ポリマーと混合して有機半導体材料としても良い。
そのような有機半導体化合物としては、アントラセン、ペンタセン、ルブレンなどの多環芳香族炭化水素化合物;ベンゾチオフェン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾセレノフェン誘導体などのカルコゲン化合物;ピロール誘導体、カルバゾール誘導体などの含窒素化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、有機半導体ポリマーとしては、ポリパラフェニレン、ポリフルオオレンなどの芳香族炭化水素系ポリマー;ポリチオフェン、ポリベンゾチオフェンなどのチオフェン系ポリマー;ポリピロール、ポリカルバゾールなどの含窒素系ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機半導体材料中の本発明の化合物Aの含有量は、0.1〜100質量%であり、本発明の効果を得るためには、0.5〜100質量%であることが好ましい。
〔有機半導体インキ〕
本発明の化合物Aを有機溶媒に溶解することで、有機半導体インキとすることができる。
使用する有機溶媒は何を用いても構わず、また2種以上の有機溶媒を混合して用いても良い。具体的には、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカンなどの脂肪族系溶媒;シクロヘキサンなどの脂環式系溶媒;ベンゼン、トルエン、クメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、p−シメン、メシチレン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、3,5−ジメトキシトルエン、2,4−ジメチルアニソール、フェネトール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、1,5−ジメチルテトラリン、n−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、アニソール、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン系溶媒;その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミドなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
調製された液体組成物における本発明の有機半導体材料の濃度としては、0.01〜20重量%であることが好ましく、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。使用する有機溶媒は1種類でもよいが、所望の均質性の高い薄膜を得るため、複数の種類の溶媒を混合して用いてもよい。
また、化合物Aの半導体性能を損なわない範囲で、インキ特性を付与するために、フッ素系やシリコン系などのレベリング剤、およびポリスチレンやアクリル樹脂などの高分子化合物を粘度調整剤として添加することもできる。
〔有機薄膜トランジスタ〕
次に本発明の有機半導体材料を含有する有機薄膜トランジスタについて説明する。
図1に示すボトムコンタクト型(a)を一例に詳説すると、1は基板、2はゲート電極、3はゲート絶縁層、4は有機半導体、5はソース電極、6はドレイン電極である。トランジスタの種類は、例示構造に限定されず、各電極や各層の配置によって種々のタイプがあり、その種類については、アルドリッチ社の材料科学の基礎第6号「有機トランジスタの基礎」などを参照することができる。
基板としては、ガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極の電極材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等の金属電極が用いられるが、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。更に導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート絶縁層は、パリレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂;UV硬化性樹脂などの有機薄膜が好適に使用できるが、酸化シリコン膜などの無機材料も用いることができる。
ゲート絶縁層はスピンコート法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、反転印刷法、マイクロコンタクトプリント法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、ディスペンス法等の公知の湿式成膜方法により薄膜を作製することが可能であり、必要に応じフォトリソグラフ法で必要な形状にパターニングしても良い。
有機半導体層は、真空蒸着法等の公知慣用の製造方法で製造することができるが、組成物を有機半導体材料用インクとし、印刷法で簡便に有機半導体層を形成できる。
印刷法の一例を挙げると、スピンコート法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、反転印刷法、マイクロコンタクトプリント法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、ディスペンス法等の公知の湿式成膜方法により薄膜を作製することが可能である。また、キャスト法などによっては平板状結晶や厚膜状態の形態をとることも可能である。
本発明の有機トランジスタは、ディスプレイを構成する画素のスイッチング用トランジスタ、信号ドライバー回路素子、メモリ回路素子、信号処理回路素子等として好適に使用できる。ディスプレイの例としては、液晶ディスプレイ、分散型液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、粒子回転型表示素子、エレクトロクロミックディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。
有機薄膜トランジスタの動作の確認
実施例に示すように、FETを作製し、その特性を評価することにより本発明の有機半導体材料が、有機トランジスタとして使用可能であることを確認可能である。
このような方法による半導体デバイス動作確認の詳細に関しては、例えば文献 S. F.Nelsona,Y.−Y.Lin,D.J.Gundlach,and T. N.Jackson、Temperature−independent transport in high−mobility pentacene transistors,Appl.Phys.Lett.,72,No.15 1854−1856(1998)を参照することができる。
〔有機半導体デバイス〕
本発明の有機半導体材料の薄膜、厚膜、或いは結晶は、上記の有機薄膜トランジスタの半導体層だけでなく、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として用いることもできる。
適用可能な有機半導体デバイスとしては、ダイオード、有機トランジスタ、メモリ、フォトダイオード、発光ダイオード、発光トランジスタや、ガスセンサー、バイオセンサー、血液センサー、免疫センサー、人工網膜、味覚センサーなどのセンサー類、RFID等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて詳細に説明する。
〔実施例1〕 化合物B−21の合成
Figure 0006220612
まず、BTBT(0.6g, 0.25mmol)をジクロロメタン(30mL)に加え、窒素ガス雰囲気下で−10℃になるまで攪拌した。次にAlCl(1.35g, 10.1mmol)を加え、−70℃まで降温した。−70℃到達後、Decanoyl Chloride(0.48 g, 2.5mmol)を20分かけて滴下し、3.5時間撹拌した。反応液を水(60g)に添加した後、CHClを(20g)加え、分液ロートへ移送した。下層を水(30g)で2回分液洗浄した後、有機層を濃縮した。析出物をトルエン(30g)に加熱溶解後、室温で再結晶して、2−(デシル‐1−オン)−BTBTの黄色結晶、0.84g得た(収率85%)。
次いで、2−(デシル‐1−オン)−BTBT(0.8g, 2.0mmol)、85.5%水酸化カリウム(0.35g, 5.3mmol)、ヒドラジン一水和物(0.65 g, 12.4mmol)をジエチレングリコール(30mL)に加え、窒素雰囲気下で攪拌し、100℃まで昇温し、1時間後撹拌した。その後、170℃まで昇温させ、デカンターを用いて反応系から水分を除去し、4時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液中に析出した固形物をろ過して回収し、水、エタノールの順に洗浄した。洗浄後の固形物を70度で真空乾燥して、2−デシル−BTBT 0.76g得た(収率98%)。
さらに、2−デシル−BTBT 4.96g(13mmol)を320mLのジクロロメタンに溶解後−50℃に冷却し、発煙硝酸の1.2Mジクロロメタン溶液24mLを30分かけて滴下した。−50℃で更に2時間撹拌した後、26mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を停止した。分液して下層を取り、10%食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮乾固して粗製固体を得た。この固体を2‐ブタノンで洗浄した後、洗浄液を濃縮して得た固体を高速液体クロマトグラフィーで精製して、2−デシル−9−ニトロBTBTの黄色結晶、367mg得た(収率、7%)。
その後、2−デシル−9−ニトロBTBT 2.56g(6mmol)、錫粉末1.84gを酢酸30mLに懸濁し、約70℃で加熱、撹拌下、濃塩酸5.4mLをゆっくりと滴下した。さらに100℃で1時間反応後、10℃以下に冷却し固体を濾取した。この固体をクロロホルム約100mLに分散し、濃アンモニア水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し粗製固体を得た。この固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1、1%トリエチルアミンを添加)で分離精製し、石油ベンジンから再結晶して、2−デシル−9−アミノBTBT 1.72g(収率、72%)得た。
そして、2−デシル−9−アミノBTBT1.58g(4mmol)にジクロロメタン60mLを加え、−15℃冷却下、トリフルオロボレート・エーテル錯体864mg、亜硝酸t‐ブチル504mgを滴下した。約1時間で反応温度を5℃まで上げた後、沃素1.6g、沃化カリウム1.32g、沃化テトラブチルアンモニウム100mgのジクロロメタン−THF混液(1:2)12mLの溶液を加えた。加熱環流下、8時間反応した後、クロロホルムで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム、5M水酸化ナトリウム、10%食塩水で順次洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。得られた濃褐色の粗製固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1)で精製し、クロロホルム−メタノールから結晶化した。次いでリグロインから再結晶し、2−デシル−9−ヨードBTBT 912mg得た(収率、45%)。
最後に、2−デシル−9−ヨードBTBT 253mg(0.5mmol)にヨウ化銅0.11g(0.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.08g(0.1mmol)、トリエチルアミン36mLを加え、25度下で窒素ガスを15分間バブリングした。窒素雰囲気下でエチニルベンゼン0.56g(5.4mmol)を加え、35度に昇温後、30分間加熱撹拌した。その後、85度まで昇温後、40時間加熱拡販した。室温まで冷却した後、反応液を水250mLに加えた。さらに、生成した固形物をアセトン100mLで洗浄した。固形物を50度に加熱したシクロヘキサン500mLに溶解後、この溶液にシリカゲル2gおよび金属スカベンジャー2gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、化合物B−21として、2−デシル−9−エチニルベンゼンBTBTの白色結晶、161mg(収率、67%)を得た。
得られた化合物B−21について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl) : δ 8.02(d,1H,BTBT環)、7.91(d,1H,BTBT環),7.53(d,1H,BTBT環),7.45(t,1H,BTBT環),7.59〜7.41(3H,BTBT環およびフェニル),7.31〜7.28(3H,フェニル), 7.36(d,1H,BTBT環),2.77(t,2H,ArCH),1.70(q,2H,ArCH CH ),1.2〜1.4(m,14H,−CH−),0.88(t,3H,CH
得られた化合物A−1について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を下記方法にて行った。
〈有機半導体材料用インク1の調製〉
上記で得られた化合物を、キシレンに0.5wt%の濃度で溶解させ、有機半導体材料用インクとした。
〈有機薄膜トランジスタの作製〉
熱酸化膜付シリコンウエハー(ヘビードープp型シリコン(P+−Si)、熱酸化膜(SiO2)厚さ:300nm)を20×25mmに切断後、この切断したシリコンウエハー(こののち基板と略す)を中性洗剤、超純水、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン、IPAの順に超音波洗浄を行った。次に、上記で作成した実施例1〜4の有機半導体材料インクを基板上に塗布し、基板を回転(約3000rpm、30秒)させ、有機半導体層を形成した。
更に、有機半導体層を塗布した基板に、真空蒸着法(2×10−6Torr)を用いて、金をメタルマスクを介してパターン蒸着することにより、ソース・ドレイン電極を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。(チャネル長:チャネル幅=75μm:3000μm)。
〔評価〕
(1)溶解性の評価
得られた化合物を40℃で2質量%溶解させ、室温で1時間放置したときの溶液外観を目視で観察した。
○;析出物なく完全に溶解
×;析出物あり
(2)有機半導体インクの保存安定性評価
上記有機半導体インクを室温で1週間遮光保存し、インク内の析出物の有無を観察した。
○:析出物なし
×:析出物あり
(3)有機薄膜トランジスタ特性評価
上記有機薄膜トランジスタの評価は、通常の大気雰囲気下において、2電源のソース・メジャーメントユニットを用いて、ソース電極、ドレイン電極間に流れる電流を、ゲート電極(P+−Si)に電圧をスイープ印加(Vsg:+40〜−60V)しながら測定(伝達特性)することによりおこなった(ソース電極、ドレイン電極間電圧Vsd:−80V)。移動度は、該伝達特性における、√Id−Vgの傾きから、飽和特性の式を用いた周知の方法により算出した。また、オンオフ比は、ゲート電圧が−100Vをオン、0Vをオフとして、流れた各電流に基づいて算出した。
〔実施例2〕 化合物B−14の合成
Figure 0006220612
実施例1に記載の合成方法で得た2−デシル−9−ヨードBTBT253mg(0.5mmol)にリン酸カリウム1.0g(4.6mmol)、フェニルボロン酸0.5g(4.1mmol)、ジメチルスルホキシド58mLを加え、25度下で窒素ガスを15分間バブリングした。窒素雰囲気下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3gを加えて、80度まで昇温後、5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水375mLに加えて懸濁液を調製し、さらにこの懸濁液にクロロホルム100mLを加え、混合液を調製した。混合液を分液ロートに移した後、クロロホルム層を水100mLで3回洗浄した。クロロホルム層に硫酸マグネシウム3gを加え、室温で1時間撹拌して乾燥した後、濃縮して固形物を得た。この固形物を50度に加熱したシクロヘキサン500mLに溶解後、この溶液にシリカゲル2gおよび金属スカベンジャー2gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、化合物B−14として、2−デシル−9−フェニルBTBTの白色結晶、148mg(収率、65%)を得た。
得られた化合物B−14について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl3 ) : δ 8.02(d,1H,BTBT環)、7.91(d,1H,BTBT環),7.53(d,1H,BTBT環),7.45(t,1H,BTBT環),7.69〜7.59(7H,BTBT環およびフェニル),7.45〜7.38(3H,フェニル), 7.29(d,1H,BTBT環),2.77(t,2H,ArCH),1.70(q,2H,ArCH CH ),1.2〜1.4(m,14H,−CH−),0.88(t,3H,CH
得られた化合物B−14について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を、実施例1と同様に行った。
〔実施例3〕 化合物B−8の合成
Figure 0006220612
実施例1記載の方法で得た2−デシル−BTBT 4.96g(13mmol)を320mLのジクロロメタンに溶解後−50℃に冷却し、発煙硝酸の1.2Mジクロロメタン溶液24mLを30分かけて滴下した。−50℃で更に2時間撹拌した後、26mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を停止した。分液して下層を取り、10%食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮乾固して粗製固体を得た。この固体を2‐ブタノンから再結晶し、2−デシル−7−ニトロBTBTの黄色結晶、3.72g(収率、67%)を得た。
次いで、2−デシル−7−ニトロBTBT 2.56g(6mmol)、錫粉末1.86gを酢酸90mLに懸濁し、約70℃で加熱、撹拌下、濃塩酸20.3gをゆっくりと滴下した。さらに100℃で1時間反応後、10℃以下に冷却し固体を濾取した。この固体をクロロホルム約100mLに分散し、濃アンモニア水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し粗製固体を得た。この固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1、1%トリエチルアミンを添加)で分離精製し、石油ベンジンから再結晶して微赤色の2−デシル−6−クロロ−7−アミノBTBT 1.13g(収率、44%)を得た。
更に、2−デシル−6−クロロ−7−アミノBTBT(4mmol)にジクロロメタン60mLを加え、−15℃冷却下、トリフルオロボレート・エーテル錯体864mg、亜硝酸t‐ブチル504mgを滴下した。約1時間で反応温度を25℃まで上げた後、加熱環流下、3時間反応した後、クロロホルムで希釈し10%食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗製固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1)で精製し、シクロヘキサンから再結晶し、2−デシル−6−クロロBTBTを2.27g得た(収率、91%)。
最後に、2−デシル−6−クロロBTBT300mg(0.5mmol)にジオキサン8mL、炭酸カリウム198mg、4−(フェニルエチニル)フェニルホウ酸ピナコールエステル115mg、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド33mgを加え、アルゴンガスを20分間バブリングした後、80℃で22時間加熱撹拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、10%食塩水で洗い、下層を濃縮乾固して粗製固体を得た。この固形物を50度に加熱したシクロヘキサン500mLに溶解後、この溶液にシリカゲル2gおよび金属スカベンジャー2gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、化合物B−8として、2−デシル−6−エチニルベンゼンBTBT147mg(収率、64%)を得た。
得られた化合物B−8について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl ) : δ 8.02(d,1H,BTBT環)、7.98(d,1H,BTBT環),7.53(d,1H,BTBT環),7.48(t,1H,BTBT環),7.59〜7.41(3H,BTBT環およびフェニル),7.31〜7.28(3H,フェニル), 7.36(d,1H,BTBT環),2.77(t,2H,ArCH),1.70(q,2H,ArCH CH ),1.2〜1.4(m,14H,−CH−),0.88(t,3H,CH
得られた化合物B−8について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を、実施例1と同様に行った。
〔実施例4〕 化合物B−1の合成

Figure 0006220612
実施例3に記載の合成方法で得た2−デシル−6−クロロBTBT253mg(0.5mmol)にジオキサン8mL、炭酸カリウム198mg、4−フェニルホウ酸70mg、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド33mgを加え、アルゴンガスを20分間バブリングした後、80℃で22時間加熱撹拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、10%食塩水で洗い、下層を濃縮乾固して粗製固体を得た。この固形物を50度に加熱したシクロヘキサン500mLに溶解後、この溶液にシリカゲル2gおよび金属スカベンジャー2gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、化合物B−21として、2−デシル−6−フェニルBTBT180mg(収率、78%)を得た。
得られた化合物A−4について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl3 ) : δ 8.20(d,1H,BTBT環),8.02(d,1H,BTBT環)、7.91(d,1H,BTBT環),7.45(t,1H,BTBT環),7.69〜7.59(7H,BTBT環およびフェニル),7.45〜7.38(3H,フェニル), 7.29(d,1H,BTBT環),2.77(t,2H,ArCH),1.70(q,2H,ArCH CH ),1.2〜1.4(m,14H,−CH−),0.88(t,3H,CH
得られた化合物B−21について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を、実施例1と同様に行った。
〔比較例1〕比較例1の合成
Figure 0006220612
BTBT 12.3g(51.2mmol)を700mLのジクロロメタンに溶解後0℃に冷却し、発煙硝酸の1.2Mジクロロメタン溶液100mLを60分かけて滴下した。0℃で更に6時間撹拌した後、濃硫酸4.4mLを加えて、さらに2時間撹拌した。150mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を停止した。分液して下層を取り、10%食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮乾固して粗製固体を得た。この固体をトルエンから再結晶して、2,7−ジニトロBTBTの橙色結晶、1.7g得た(収率、10%)。
その後、2,7−ジニトロBTBT 1.7g(5.1mmol)、錫粉末1.84gを酢酸30mLに懸濁し、約70℃で加熱、撹拌下、濃塩酸5.4mLをゆっくりと滴下した。さらに100℃で1時間反応後、10℃以下に冷却し固体を濾取した。この固体をクロロホルム約100mLに分散し、濃アンモニア水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し粗製固体を得た。この固体を石油ベンジンから再結晶して2,7−ジアミノBTBT 1.1g(収率、82%)を得た。
そして、2,7−ジアミノBTBT1.13g(4.2mmol)にジクロロメタン60mLを加え、−15℃冷却下、トリフルオロボレート・エーテル錯体1.62g、亜硝酸t‐ブチル1.01gを滴下した。約1時間で反応温度を5℃まで上げた後、沃素3.2g、沃化カリウム1.32g、沃化テトラブチルアンモニウム100mgのジクロロメタン−THF混液(1:2)24mLの溶液を加えた。加熱環流下、8時間反応した後、クロロホルムで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム、5M水酸化ナトリウム、10%食塩水で順次洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。得られた濃褐色の粗製固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1)で精製し、クロロホルム−メタノールから結晶化した。次いでリグロインから再結晶し、2,7−ジヨードBTBTを889mg得た(収率、43%)。
最後に、2,7−ジヨードBTBT 889mg(1.8mmol)にリン酸カリウム4.0g(184mmol)、フェニルボロン酸4.0g(32mmol)、ジメチルスルホキシド240mLを加え、25度下で窒素ガスを15分間バブリングした。窒素雰囲気下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2gを加えて、80度まで昇温後、5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水1Lに加えて懸濁液を調製し、さらにこの懸濁液にクロロホルム500mLを加え、混合液を調製した。混合液を分液ロートに移した後、クロロホルム層を水300mLで3回洗浄した。クロロホルム層に硫酸マグネシウム10gを加え、室温で1時間撹拌して乾燥した後、濃縮して固形物を得た。この固形物を50度に加熱したシクロヘキサン1Lに溶解後、この溶液にシリカゲル10gおよび金属スカベンジャー10gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、2,7−ジフェニルBTBTの白色結晶、459mg(収率、65%)を得た。
得られた化合物について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl): δ 8.09(d,2H,BTBT環)、7.91(d,2H,BTBT環),7.69(d,2H,BTBT環),7.67(t,4H,フェニル),7.46(t,4H,フェニル),7.35(t,2H,フェニル).
得られた化合物について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を実施例1と同様に行った。
〔比較例2〕
比較例2の合成
Figure 0006220612
実施例3記載の方法で得た2−デシル−7−ニトロBTBT 2.56g(6.0mmol)、錫粉末0.9gを酢酸90mLに懸濁し、約70℃で加熱、撹拌下、濃塩酸10.1gをゆっくりと滴下した。さらに100℃で1時間反応後、10℃以下に冷却し固体を濾取した。この固体をクロロホルム約100mLに分散し、濃アンモニア水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し粗製固体を得た。この固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1、1%トリエチルアミンを添加)で分離精製し、石油ベンジンから再結晶して微赤色の2−デシル−7−アミノBTBT 1.76g(収率、74%)を得た。
そして、2−デシル−7−アミノBTBT1.76g(4.45mmol)にジクロロメタン60mLを加え、−15℃冷却下、トリフルオロボレート・エーテル錯体864mg、亜硝酸t‐ブチル504mgを滴下した。約1時間で反応温度を5℃まで上げた後、沃素1.6g、沃化カリウム1.32g、沃化テトラブチルアンモニウム100mgのジクロロメタン−THF混液(1:2)12mLの溶液を加えた。加熱環流下、8時間反応した後、クロロホルムで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム、5M水酸化ナトリウム、10%食塩水で順次洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。得られた濃褐色の粗製固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1)で精製し、クロロホルム−メタノールから結晶化した。次いでリグロインから再結晶し、2−デシル−7−ヨードBTBTを969mg得た(収率、43%)。
2−デシル−7−ヨードBTBT 969mg(1.9mmol)にリン酸カリウム4.0g(18.2mmol)、フェニルボロン酸2.0g(16.4mmol)、ジメチルスルホキシド240mLを加え、25度下で窒素ガスを15分間バブリングした。窒素雰囲気下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2gを加えて、80度まで昇温後、5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水600mLに加えて懸濁液を調製し、さらにこの懸濁液にクロロホルム300mLを加え、混合液を調製した。混合液を分液ロートに移した後、クロロホルム層を水300mLで3回洗浄した。クロロホルム層に硫酸マグネシウム10gを加え、室温で1時間撹拌して乾燥した後、濃縮して固形物を得た。この固形物を50度に加熱したシクロヘキサン1000mLに溶解後、この溶液にシリカゲル10gおよび金属スカベンジャー10gを加えてスラリーを調製した。スラリーを50度で1時間撹拌後、シリカゲルおよび金属スカベンジャーをろ別除去し、ろ液から再結晶することで、2−デシル−7−フェニルBTBTの白色結晶、567mg(収率、65%)を得た。
得られた化合物について、1H−NMRで構造解析を行った。
1H−NMR(300MHz,CDCl ) : δ 8.12(d,1H,BTBT環),7.92(d,1H,BTBT環),7.79(d,1H,BTBT環),7.73(s,1H,BTBT環),7.69(d x 2, 3H,BTBT環およびフェニル),7.49(t,2H,フェニル),7.38(tt, 1H,BTBT環),7.29(dd,1H,BTBT環),2.77(t,2H,ArCH),1.70(q,2H,ArCH CH ),1.2〜1.4(m,14H,−CH−),0.88(t,3H,CH
得られた化合物について、各種溶媒に対する25℃での溶解性、有機半導体材料用インクの作製、有機トランジスタの作製、およびトランジスタ特性の測定を、実施例1と同様に行った。
Figure 0006220612
上記表1より、本発明の有機半導体材料は優れた溶媒溶解性およびインキ保存安定性に加え、実用的なTFT性能を示す。これに対し、比較例の材料は実用的なTFT特性を示すものの、溶媒溶解性が低く、インキ保存安定性が低い。
本発明の化合物は有機半導体としての利用が可能であり、該有機半導体材料を有機半導体層として用いる有機薄膜トランジスタへの利用が可能である。
1. 基板
2. ゲート電極
3. ゲート絶縁膜
4. 有機半導体
5. ソース電極
6. ドレイン電極

Claims (8)

  1. 下記式(1)、(2)のいずれかで表される化合物A。
    Figure 0006220612
    ・・・(1)
    Figure 0006220612
    ・・・(2)
    (上記式(1)、(2)において、XはS原子を表し、
    、R、Rはそれぞれ独立してハロゲン原子、置換基を有してもよいフェニルエチニル基、ナフチルエチニル基、置換基を有してもよいチエニルエチニル基、オキサゾリルエチニル基、または下記式(4)で表される構造のいずれかを表す。
    Figure 0006220612
    ・・・(4)
    (上記式(4)において、YはS原子、O原子のいずれかを表し、
    は炭素数1〜20のアルキレン基、芳香族基のいずれかを表し、
    は炭素数1〜20のアルキル基を表し、
    nは0又は1を表す。但し、nが0の場合、Rは末端が水素原子で置換されている。)
  2. 請求項1に記載の化合物Aを含有する組成物。
  3. 請求項1に記載の化合物Aを含有する有機半導体材料。
  4. 請求項1に記載の化合物Aを含有する有機半導体インキ。
  5. 請求項1に記載の化合物Aを含有する膜。
  6. 請求項1に記載の化合物Aを含有する有機半導体膜。
  7. 請求項1に記載の化合物Aを含有する半導体層を有する有機薄膜トランジスタ。
  8. 請求項1に記載の化合物Aを含有する有機半導体デバイス。
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