JP7091386B2 - 酸素バーナ - Google Patents
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Description
図5中において、ガスの流れ方向は、図5の横幅方向で右側から左側となる(図5中の矢印を参照)。図5に示すようなラバールノズルにおいては、流路断面積を収縮させることにより、速度を音速まで上昇させ、その後、流路断面積を拡大させることで、断熱膨張現象を利用して酸素の超音速流を生成する。図5に示すラバールノズルにおいて、最も流路が絞られる内径D1の位置がスロートと呼ばれ、その下流側における膨張したガスの圧力が、ノズルの出口における雰囲気圧力と等しくなる位置の径をD2とすると、このD2の位置における膨張の度合いを適正膨張と呼ぶ。そして、D1の位置の断面積をA1=πD1 2/4、D2の位置の断面積をA2=πD2 2/4とすると、各断面積の関係は、マッハ数M及び比熱比γを用いて、下記(3)式で表される。
即ち、請求項1に係る発明は、少なくとも、中心軸と同軸で配置され、下流端側に設けられた支燃性ガス噴出口から酸素を含む支燃性ガスを噴出する支燃性ガス流路と、前記支燃性ガス流路よりも外周側に、該支燃性ガス流路を取り囲むように平行に配置され、前記下流端側に設けられた燃料ガス噴出口から燃料ガスを噴出する複数の燃料ガス流路とを備える酸素バーナであって、前記支燃性ガス流路の内部に、前記支燃性ガス流路と同軸となるように配置されたプラグを有し、前記プラグは、前記支燃性ガスの噴出方向における下流側の少なくとも一部に、前記支燃性ガスの噴出方向に向かうに従って外径が漸次縮小する第1テーパ部が設けられ、前記支燃性ガス噴出口は、前記支燃性ガス流路の内面と前記プラグとの隙間からなり、且つ、前記下流端側から見た平面視形状が環状である、酸素バーナである。
従って、工業炉内を加熱する用途、例えば、鉄屑等の冷鉄源からなる原料を加熱して溶解させるプロセス等において、炉内に酸素を噴出させるか、あるいは、酸素バーナによる火炎を噴出させる際、安定した超音速噴流によって原料の加熱溶解を効果的に促進することが可能になる。
図2(a)~(e)は、それぞれ、本発明の第1実施形態である酸素バーナ1Aの構造を説明する図であり、図1に示したエアロスパイクノズル1に対し、さらに燃焼ガス流路を備えたバーナの例を示す図である。
図3は、本発明の第1実施形態において、燃焼ガス流路を備えた他の例の酸素バーナ1Bの構造を説明する断面図である。
図4(a),(b)は、本発明の第2実施形態である酸素バーナ1Cの構造を説明する図であり、さらに周囲支燃性ガス流路を備えた例の構造を示す断面図である。
以下、本発明に係る第1実施形態の酸素バーナの構成について詳述する。
以下の説明においては、まず、図2(a),(b)に示すような酸素バーナ1A内に備えられる、図1に示したエアロスパイクノズル1を参照して、本発明に係る酸素バーナで採用する、所謂エアロスパイクノズルの構成及び作用について説明する。
また、上記(2)式中、α:音速(m/s)、γ:酸素ガスの比熱比(-)、R:気体定数(J/(kg・K))、T:酸素ガス温度(K)である。
また、上記(3)式中、A1:図1中に示すA1の位置の断面積(m2)、A2:図1中に示すA2の位置の断面積(m2)、M:マッハ数(-)、γ:酸素ガスの比熱比(-)である。
また、上記(4)式中、m:質量流量(kg/s)、A1:図1中に示すA1の位置の断面積(m2)、P0:酸素ガス流入時の圧力(Pa)、R:気体定数(J/(kg・K))、T:酸素ガス温度(K)、γ:酸素ガスの比熱比(-)である。
より具体的には、プラグ3における第1テーパ部31が、中心軸Jに対してなす角度θが30°未満となるように構成されていることがより好ましい。
一方、支燃性ガス流路は、上記のような構成には限定されず、例えば、複数の孔から支燃性ガス流路を構成してもよい。この場合、プラグ3に発生する熱は、エアロスパイクノズル1における支燃性ガス流路2の無い部分を効果的に伝播してゆくので、プラグ3が劣化し難くい。
なお、支燃性ガス流路2(支燃性ガス噴出口21)の数、口径及び配置形態は、エアロスパイクノズルが備えられる酸素バーナのサイズ等に応じて適宜決定すればよい。
一方、本実施形態では、図示例のように、プラグ3として、支燃性ガスG2の噴出方向における下流側に第1テーパ部31が設けられるとともに、さらに、支燃性ガスG2の噴出方向における上流側に、下流側に向かうに従って外径が漸次拡大する第2テーパ部33が設けられ、第1テーパ部31と第2テーパ部33との間が、外径が一定の直胴部34とされたものを採用することがより好ましい。このような構成を採用することにより、上述したようなエアロスパイクノズル構造による、支燃性ガスG2の流量や雰囲気圧力の変化に影響を受けることなく、超音速噴流で支燃性ガスG2を噴出できる効果がより顕著に得られる。
さらに、図示例のエアロスパイクノズル1は、支燃性ガス流路2とプラグ3とが、縮径部23と第1テーパ部31とが対向するように配置されるとともに、拡径部25と第2テーパ部33とが対向するように配置され、さらに、大径部と直胴部34とが対向するように配置されている。
本実施形態のエアロスパイクノズル1は、上記構成を採用することで、上述したエアロスパイクノズル構造によって得られる効果がさらに顕著となる。
図2(a),(b)に示す酸素バーナ1Aは、図1に示したエアロスパイクノズル1、即ち、酸素を含む支燃性ガスG2を超音速噴流で噴出するエアロスパイクノズル構造を、火炎を生成する酸素バーナに適用したものである。
図示例の酸素バーナ1Aは、上記構成を備えることにより、下流端1a側に設けられた支燃性ガス噴出口21から支燃性ガスG2を噴出するとともに、複数の燃料ガス噴出口41から燃料ガスG1を噴出することで、火炎を形成させる。
なお、燃料ガス流路4(燃料ガス噴出口41)の数、口径及び配置形態は、酸素バーナのサイズ等に応じて適宜決定すればよい。
また、図2(c)に示す例では、フランジ状とされた他端35に、支燃性ガスG2を流通させるための孔部35aが複数で設けられている。
例えば、図2(d)に示すプラグ3Aのように、表面3aが凹むような断面円弧状の曲面からなる第1テーパ部31Aを有した形状であってもよい。あるいは、図2(e)に示すプラグ3Bのように、表面3aが膨らむような断面円弧状の曲面からなる第1テーパ部31Bを有した形状であってもよい。
中でも、図2(d)に示す表面形状のプラグ3Aだと、支燃性ガスG2の噴流がプラグ3Aの表面3aから流れ出すときに、噴流の向きが軸方向に揃うと考えられることから、特に好ましい。
一般的に、本実施形態で説明するような酸素バーナを、例えば、電気炉等の補助熱源として設置する場合、電気炉の熱源(電極)からの一定の距離を確保しながら酸素バーナを設置する必要がある。図3に示す酸素バーナ1Bのように、プラグ3Cの先端32Cが平坦であると、先端が鋭利な形状である場合に比べて軸方向の寸法が短いため、炉内における設置自由性が高められるというメリットがある。
以下、本発明に係る第2実施形態の酸素バーナの構成について、主として図4(a),(b)を参照しながら詳述する。
図示例の酸素バーナ1Cは、上記構成を備えることにより、下流端1a側に設けられた支燃性ガス噴出口21から支燃性ガスG2を噴出するとともに、複数の燃料ガス噴出口41から燃料ガスG1を噴出し、さらに、複数の周囲支燃性ガス噴出口51から支燃性ガスG2を噴出することで、火炎を形成させる。
冷却ジャケット6は、図示例においては円筒状とされており、上述した周囲支燃性ガス流路5を、環状空間を介して覆う二重管構造とされている。そして、この環状空間は、冷却水Wが通水される冷却水流路6aとされており、冷却水Wの通水によって酸素バーナ1C全体を冷却可能に構成されている。
冷却ジャケット6は、例えば、溶銑又は溶鋼からの輻射熱等の負荷の大きさを考慮して設けられるものであり、この輻射熱や、火炎による高温雰囲気から酸素バーナ1Cの各構成部品を保護するとともに、形成される火炎による過渡な加熱を抑制する。
以上説明したように、本実施形態の酸素バーナ1A,1B,1Cによれば、支燃性ガス流路2の内部に、支燃性ガスG2の噴出方向に向かうに従って外径が漸次縮小する第1テーパ部31を有するプラグ3を配置し、支燃性ガス流路2の内面22とプラグ3との隙間からなる支燃性ガス噴出口21から支燃性ガスG2を噴出する構成を採用している。これにより、超音速で酸素を含む支燃性ガスG2噴出させる際、設計値とは異なるガスの流量や圧力で運転条件が変動した場合であっても、従来のラバーノズルを使用した場合と比較して、エネルギーロスを抑制しながら超音速噴流を達成できる。また、エネルギーロスを抑制することで、噴流速度が減衰することも抑制できる。
従って、工業炉内を加熱する用途、例えば、鉄屑等の冷鉄源からなる原料を加熱して溶解させるプロセス等において、炉内に酸素を噴出させるか、あるいは、酸素バーナによる火炎を噴出させる際、安定した超音速噴流によって原料の加熱溶解を効果的に促進することが可能になる。
本実施例においては、図4に示すような、支燃性ガス流路2と、支燃性ガス流路の内部に配置され、第1テーパ部31が設けられたプラグ3と、支燃性ガス流路2を取り囲むように配置された複数の燃料ガス流路4と、燃料ガス流路4を取り囲むように配置された複数の周囲支燃性ガス流路5と、火炎の熱からバーナノズルを保護する冷却ジャケット6とを有する、本発明に係る構成を備えた酸素バーナ1Cを準備し、以下に示す条件で燃焼試験を行った。ここで、プラグ3の第1テーパ部31と中心軸Jとの角度θは20°とした。また、この酸素バーナ1Cの定格噴出速度はマッハ2である。
なお、火炎の安定性については、定常的に燃焼が継続するか、又は、火炎が安定して保持し続ける状態が「安定」と定義され、また、運転を継続した際に失火するか、又は、バーナが損傷するおそれがある状態が「不安定」と定義される。
上記に基づき、本実施例では、下記表1において、火炎の安定性について以下の定義に基づいて示した。
(1)安定:火炎面のゆらぎ及び酸素バーナ内部での燃焼等がほとんど見えない。
(2)不安定:火炎面のゆらぎ及び酸素バーナ内部での燃焼等が見える。
(3)失火:火炎が消える。
また、支燃性ガスG2として酸素ガスを用いた。
この際、燃料ガスG1の流量は、支燃性ガスG2に含まれる酸素に比例するように調整し、上記、支燃性ガスG2の流量の1/10となるように調整した。
また、燃焼に供される酸素を含む支燃性ガスG2の流量は、支燃性ガス流路2の定格流量に対して2.5%の流量で常時一定とした。
比較例においては、図6に示すような構造のラバールノズル130を有する従来の構成の酸素バーナ100を用い、実施例と同様の条件で燃焼試験を実施して火炎の挙動を観察し、結果を下記表1に示した。
これとともに、比較例における、酸素バーナ100の各噴出口からの距離をノズルの口径で除した値と、支燃性ガスのマッハ数との関係についても、図7のグラフに示した。
なお、比較例で用いた酸素バーナ100は、中央の支燃性ガス流路がラバールノズル構造とされている点を除き、図4に示した酸素バーナ1Cと同様の構造を有するものである。
プラグの第1テーパ部と中心軸Jとの角度θを下記表2に示す角度とした点を除き、実施例と同様の構成を有する酸素バーナを用い、実施例と同様に燃焼試験を実施した。即ち、参考例1,2においては、支燃性ガスの流量を定格流量の条件から段階的に減らし、80%、60%、50%、45%、40%、35%、30%及び25%としたときの燃焼状態を観察し、このときの支燃性ガスの流量と火炎長との関係を図8のグラフに示した。
表1及び図7のグラフに示すように、従来のラバールノズル構造からなる酸素バーナを用いた比較例においては、流量が定格の45%以下になると、中央の支燃性ガス流路からの支燃性ガス(酸素ガス)の流れが不安定となり、また、燃焼状態も不安定になった。また、流量が定格の40%以下では失火してしまうことから、それ以下の試験は未実施であった。
また、図7のグラフに示すように、実施例と比較例は、支燃性ガスの流量が定格流量に対して100%の流量の場合には、ほぼ互角のマッハ数分布を示しているが、定格流量に対して50%の流量の場合には、実施例は、比較例に比べて高速噴流を維持できることが確認できた。
また、図8のグラフに示すように、実施例においては、支燃性ガスの流量に関わらず、一定の長さ以上の火炎長が得られることが確認できた。
図8のグラフに示した結果より、参考例2のように上記の角度θが大きすぎると、支燃性ガスがプラグの表面に沿って断熱膨張する際に、断面積の変化が急峻となるため、不安定な状態となることが要因として考えられる。
また、上記の角度θが大きすぎると、酸素バーナの組立時に誤差が生じた場合に、図1中に示すA1の断面積の設計値からのずれが大きくなることも要因として考えられる。従って、プラグの第1テーパ部の角を適切な範囲におさめることがより好ましいことが確認できた。
1…エアロスパイクノズル
1a…下流端
1b…上流端
2…支燃性ガス流路
21…支燃性ガス噴出口
22…内面
23…縮径部
24…大径部
25…拡径部
3…プラグ
31…第1テーパ部
32…先端
33…第2テーパ部
34…直胴部
35…他端
4…燃料ガス流路
41…燃料ガス噴出口
5…周囲支燃性ガス流路
51…周囲支燃性ガス噴出口
6…冷却ジャケット
6a…冷却水流路
61…入口
62…出口
J…中心軸
G1…燃料ガス
G2…支燃性ガス
W…冷却水
Claims (7)
- 少なくとも、中心軸と同軸で配置され、下流端側に設けられた支燃性ガス噴出口から酸素を含む支燃性ガスを噴出する支燃性ガス流路と、前記支燃性ガス流路よりも外周側に、該支燃性ガス流路を取り囲むように平行に配置され、前記下流端側に設けられた燃料ガス噴出口から燃料ガスを噴出する複数の燃料ガス流路とを備える酸素バーナであって、
前記支燃性ガス流路の内部に、前記支燃性ガス流路と同軸となるように配置されたプラグを有し、
前記プラグには、前記支燃性ガスの噴出方向における下流側の少なくとも一部に位置し、前記支燃性ガスの噴出方向に向かうに従って外径が漸次縮小する第1テーパ部と、
前記第1テーパ部の上流側に位置し、前記支燃性ガスの噴出方向に向かうに従って外径が漸次拡大する第2テーパ部と、
前記第1テーパ部と前記第2テーパ部との間に位置し、外径が一定の直胴部と、が設けられ、
前記支燃性ガス噴出口は、前記支燃性ガス流路の内面と前記プラグとの隙間からなり、且つ、前記下流端側から見た平面視形状が環状である、酸素バーナ。 - 前記支燃性ガス流路における内面は、前記支燃性ガスの噴出方向における下流側が、該下流側に向かうに従って内径が漸次縮小する縮径部とされるとともに、前記支燃性ガスの噴出方向における上流側が、下流側に向かうに従って内径が漸次拡大する拡径部とされ、さらに、前記縮径部と前記拡径部との間が、内径が一定の大径部とされている、請求項1に記載の酸素バーナ。
- 前記支燃性ガス流路と前記プラグとは、前記縮径部と前記第1テーパ部とが対向するように配置されるとともに、前記拡径部と前記第2テーパ部とが対向するように配置され、さらに、前記大径部と前記直胴部とが対向するように配置されている、請求項2に記載の酸素バーナ。
- 前記支燃性ガス噴出口は、前記支燃性ガスを超音速で噴出する、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の酸素バーナ。
- 前記燃料ガス噴出口は、前記下流端側から見た平面視で前記支燃性ガス噴出口を取り囲むように複数で配置されている、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の酸素バーナ。
- さらに、前記複数の燃料ガス流路よりも外周側に、該複数の燃料ガス流路を取り囲むように平行に配置され、前記下流端側に設けられた周囲支燃性ガス噴出口から前記支燃性ガスを噴出する複数の周囲支燃性ガス流路を備え、
前記周囲支燃性ガス噴出口は、前記下流端側から見た平面視で前記燃料ガス噴出口を取り囲むように複数で配置されている、請求項5に記載の酸素バーナ。 - 前記プラグは、前記第1テーパ部が前記中心軸に対してなす角度θが30°未満である、請求項1~請求項6の何れか一項に記載の酸素バーナ。
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