JP7087474B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート繊維をカーカス層の補強コードに用いた空気入りタイヤに関し、特に、操縦安定性、及びプランジャー強度が優れる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、トレッド部にタイヤの骨格を形成するカーカス層が配置され、このカーカスの外側にベルト層が配置されると共にその外側にベルト補強層が配置されている。カーカス層は左右一対のビード部に装架されている。カーカス層は、補強コードがコーティングゴムで被覆されたものである。
空気入りタイヤに要求される特性に応じて、カーカス層の補強コードが検討されており、カーカス層の補強コードとして種々のものが用いられている。
例えば、特許文献1では、ポリエステル繊維コードをカーカスプライ(カーカス層)に用いている。ポリエステル繊維コードは、繊維として極限粘度が0.75~0.97、比重が1.365~1.398、複屈折度が165×10-3~195×10-3、末端カルボキシル基数が20以下のミクロ特性を有する。また、撚り係数が0.4~0.6であり、中間伸度が4.5%以下である。
高張力処理条件では、温度が230~255℃、張力が0.15~1.0g/Dである。加硫後条件(PCI(ポストキュアインフレーション))は、張力(2g/D)における伸びΔEnが4.5以下であり、ΔEnと熱収縮率ΔSとの和が8.0%以下である。
特開平3-227606号公報
上述の特許文献1のようにポリエステル繊維コードの物性と、PCI条件により、タイヤの性能を最適化しようとすることがなされている。
しかしながら、現在、プランジャー強度の改善が望まれている。特許文献1のように剛性が高く破断伸びの小さなポリエステル繊維コードでは、プランジャー強度の改善が不十分である。
その為、現在、プランジャー強度を改善するために破断伸びが大きなカーカスコードを用いることが検討されている。破断伸びが大きなカーカスコードを用いてプランジャー強度を改善した場合、タイヤの他の特性が犠牲になることがないようにする必要がある。プランジャー強度と、所望のタイヤの特性の両立を図ったものがないのが現状である。
本発明の目的は、操縦安定性及びプランジャー強度に優れる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、左右一対のビード部間に装架されるカーカス層を有する空気入りタイヤであって、カーカス層は、補強コードとして有機繊維コードを備え、カーカス層の有機繊維コードは、ポリエチレンテレフタレート繊維のフィラメント束を撚り合わせて構成されたものであり、かつ破断伸びが20%以上であり、カーカス層は、有機繊維コードの中間伸度がサイド部>ベルト下部である、空気入りタイヤを提供するものである。
カーカス層は、ベルト下部の有機繊維コードの中間伸度が4.5%以上であることが好ましい。
本発明によれば、カーカス層に破断伸びが20%以上の有機繊維コードを用い、操縦安定性及びプランジャー強度が優れる空気入りタイヤを提供できる。
本発明の実施形態の空気入りタイヤの一例の断面形状を示す断面図である。 本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の一例を示す模式的断面図である。 (a)はカーカス層の変形を示す模式図であり、(b)はカーカス層の中間伸度を示すグラフである。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
本発明では、プランジャー強度を改善するために、破断伸びが大きな有機繊維コードをカーカスコード(補強コード)に用いた空気入りタイヤを提案する。
カーカスコード製造時及び処理時に伸びを大きくしようとする際、カーカスコードの剛性が低下し、特に高速走行時の操縦安定性が低下する。このため、本発明では、カーカスコード(補強コード)の剛性分布を適正化することにより、プランジャー強度と高速での操縦安定性の両立を可能とする空気入りタイヤを提案する。以下、空気入りタイヤについて具体的に説明する。
図1は本発明の実施形態の空気入りタイヤの一例の断面形状を示す断面図である。
図1に示す空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)10は、トレッド部12と、ショルダー部14と、サイドウォール部16と、ビード部18とを主な構成部分として有する。
なお、以下の説明において、図1中に矢印で示すように、タイヤ幅方向とは、タイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、回転軸と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。
更に、タイヤ内側とは、タイヤ径方向において図1中タイヤの下側、すなわちタイヤに所定の内圧を与える空洞領域Rに面するタイヤ内面側をいい、タイヤ外側とは、図1中タイヤの上側、すなわち、タイヤ内周面と反対側の、ユーザが視認できるタイヤ外面側をいう。図1の符号CLは、タイヤ赤道面のことであり、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ10の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ10のタイヤ幅の中心を通る平面である。
タイヤ10は、カーカス層20と、ベルト層22と、ベルト補助補強層24と、ビードコア28と、ビードフィラー30と、トレッド部12を構成するトレッドゴム層32と、サイドウォール部16を構成するサイドウォールゴム層34と、リムクッションゴム層36と、タイヤ内周面に設けられるインナーライナゴム層38とを主に有する。
トレッド部12には、タイヤ外側のトレッド面12aを構成する陸部12bと、トレッド面12aに形成されるトレッド溝12cとが設けられ、陸部12bは、トレッド溝12cによって区画される。トレッド溝12cは、タイヤ周方向に連続して形成される主溝とタイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝(図示せず)を有する。トレッド面12aには、トレッド溝12cと陸部12bとによりトレッドパターンが形成される。
タイヤ10のタイヤ幅方向における最大幅Wmは、タイヤサイド39のタイヤ幅方向における最大長さを示す位置である最大幅位置39a間の距離のことである。タイヤの最大幅位置39aを中心としてタイヤ径方向にタイヤ断面高さSHの±30(%)の範囲内にある領域をサイドトレッドという。
ビード部18には、カーカス層20を折り返し、タイヤ10をホイールに固定するために機能する左右一対のビードコア28と、ビードコア28に接するようにビードフィラー30が設けられている。そのため、ビードコア28及びにビードフィラー30は、カーカス層20の本体部20aと折り返し部20bとで挟み込まれている。
カーカス層20は、タイヤ幅方向に、トレッド部12に対応する部分から、ショルダー部14及びサイドウォール部16に対応する部分を経てビード部18まで延在してタイヤ10の骨格をなすものである。
カーカス層20は、補強コードとして複数本の有機繊維コードが配列され、コードコーティングゴムで被覆された構成である。カーカス層20は、左右一対のビードコア28にタイヤ内側からタイヤ外側に折り返され、サイドウォール部16の領域で端部Aを成しており、ビードコア28を境とする本体部20aと折り返し部20bとから構成されている。すなわち、カーカス層20が1層、左右一対のビード部18間に装架されている。
また、カーカス層20は、1つのシート材で構成されても、複数のシート材で構成されてもよい。複数のシート材で構成する場合、カーカス層20は継部(スプライス部)を有することになる。また、カーカス層20は、1層に限定されるものではなく、複数層の構成でもよい。しかしながら、カーカス層20は、軽量化の観点から、1層構造(1プライ)であることが好ましい。カーカス層20については後に詳細に説明する。
カーカス層20のコードコーティングゴムとしては、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)から選ばれた1種類又は複数種類のゴムが好ましく用いられる。また、これらのゴムを窒素、酸素、フッ素、塩素、ケイ素、リン、又は硫黄等の元素を含む官能基、例えば、アミン、アミド、ヒドロキシル、エステル、ケトン、シロキシ、若しくはアルキルシリル等により末端変性したもの、又はエポキシにより末端変性したものを用いることができる。
これらゴムに配合するカーボンブラックとしては、例えば、ヨウ素吸着量が20~100(g/kg)、好ましくは20~50(g/kg)であり、DBP吸収量が50~135(cm/100g)、好ましくは50~100(cm/100g)であり、かつCTAB吸着比表面積が30~90(m/g)、好ましくは30~45(m/g)であるものが用いられる。
また、使用する硫黄の量は、例えば、ゴム100質量部に対して1.5~4.0質量部であり、好ましくは2.0~3.0質量部である。
ベルト層22は、タイヤ周方向に貼り付けられ、カーカス層20を補強するための補強層である。ベルト層22はカーカス層20のタイヤ径方向の外側に設けられている。このベルト層22は、トレッド部12に対応する部分に設けられ、内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bを有する。
内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、補強コードが、例えば、スチールコードであり、上述のコードコーティングゴム等で被覆して構成されている。
内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、ベルト層22に関し、補強コードのタイヤ周方向に対するコード角度が、例えば、24°~35°であり、好ましくは27°~33°である。これにより、高速耐久性を向上させることができる。
ベルト層22の内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、いずれも補強コードがスチールコードであることに限定されるものではなく、いずれか一方のみにスチールベルトを適用しても良いし、少なくとも一方を、ポリエステル、ナイロン、芳香族ポリアミド等からなる有機繊維コード等からなる従来公知の補強コードとしても良い。
タイヤ10には、ベルト層22の最上層である外側ベルト層22b上に、すなわち、ベルト層22のタイヤ径方向の外側に、ベルト層22の補強を行うベルト補助補強層24がタイヤ周方向に配置されている。
ベルト補助補強層24は、補強コードとして、例えば、1本又は複数本の有機繊維コードが引き揃えられ、上述のコードコーティングゴム等で被覆された帯状部材である。ベルト補助補強層24は、帯状部材をタイヤ周方向に螺旋状に巻き回すことで構成されたタイヤ周方向のベルト補助補強層である。ベルト補助補強層24は、タイヤ周方向に螺旋状に配置されている。
図1に示すベルト補助補強層24は、例えば、ベルト層22の端部22eを含め、ベルト層22をタイヤ幅方向に端から端まで覆う構成、いわゆるフルカバーと呼ばれるものである。なお、ベルト補助補強層24は、フルカバーを複数積層した構成でもよく、エッジショルダーと、フルカバーとを組み合わせた構成でもよい。
ベルト補助補強層24の有機繊維コードには、例えば、ナイロン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)繊維、アラミド繊維、アラミド繊維とナイロン66繊維とからなる複合繊維(アラミド/ナイロン66ハイブリッドコード)、PEN繊維、POK(脂肪族ポリケトン)繊維、耐熱PET繊維、及びレーヨン繊維等が用いられる。
次に、カーカス層20について詳細に説明する。図2は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の一例を示す模式的断面図である。
カーカス層20は、図2に示すように、ゴム層50と、補強コード(カーカスコード)として複数本の有機繊維コード52を有し、複数本の有機繊維コード52が引き揃えて配列されてゴム層50に被覆された帯状部材である。
図示はしないが、有機繊維コード52は緯糸ですだれ状に編まれている。複数本の有機繊維コード520が緯糸で編まれた状態でゴム層50に被覆されている。ゴム層50は上述のコードコーティングゴムで構成される。有機繊維コード52の構成は、特に限定されるものではなく、例えば、1本(単糸)でも複数本を撚ったものでもよい。
次に、有機繊維コード52について詳細に説明する。
有機繊維コード52は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のフィラメント束を撚り合わせて構成されたものであり、以下に示す特性値を有する。
なお、ポリエチレンテレフタレート繊維のフィラメント束を撚り合わせて構成されたもののことをPETコードともいう。PETコードは、紡糸等の製造条件を変えることにより、破断伸び、中間伸度等の物性値を調整することができる。
有機繊維コード52、すなわち、PETコードは、破断伸びが20%以上である。破断伸びが20%以上であれば、高いプランジャー強度を得ることができる。なお、有機繊維コード52の破断伸び、すなわち、PETコードの破断伸びの上限値としては30%であることが好ましい。
破断伸び(%)については、温度20℃で、PETコードについて強度(cN/dtex)と伸びの関係を求める際に、PETコードが破断する迄の強度を求めることにより、破断伸びを得ることができる。
PETコードは、上述の破断伸びを満たせば、中間伸度及び乾燥収縮率等の物性値は、特に限定されるものではないが、中間伸度(2.0cN/dtex)は4.5~6.0%であることが好ましく、乾熱収縮率(150℃×30分)は0.5~2.5%であることが好ましい。
カーカス層20は、有機繊維コード52、すなわち、PETコードの中間伸度がタイヤ10のサイド部C2と、ベルト下部C1とでは、サイド部C2>ベルト下部C1である。
ベルト下部C1とサイド部C2とは、ショルダー部14を示す直線E1で区画される。タイヤ10では、直線Eとタイヤ赤道面CLと直線Eとの間がベルト下部C1であり、直線Eと、トウ先部11を通る水平線Eとの間がサイド部C2である。
PETコードの中間伸度が小さいと剛性が高く、逆にPETコードの中間伸度が大きいと剛性が低くなる。
中間伸度は、単位が%であり、JIS L1017に準拠して測定された値である。2.0cN/dtexにおける値である。中間伸度(%)は、2.0cN/dtex負荷時の値である。
上述のカーカス層20のPETコードの中間伸度がサイド部C2>ベルト下部C1である場合、図1に示すように、ベルト下部C1ではタイヤ赤道面CLからショルダー部14に向う引張力Stが作用し、サイド部C2では圧縮力Scが作用する。
この場合、加硫後に、図3(a)に示すように、ベルト層22はタイヤ周方向に収縮し、タイヤ幅方向に延伸されて、ベルト層22はタイヤ幅方向の幅が広くなる。これにより、カーカス層20のPETコードの中間伸度は、図3(b)に示す折線62のように、タイヤのセンタ(ベルト下部C1)のPETコードの中間伸度が低く、サイド部C2のPETコードの中間伸度が高くなる。すなわち、タイヤのセンタ(ベルト下部C1)の剛性が、サイド部C2の剛性よりも高くなる。
図3(b)の折線62に示すカーカス層20のPETコードの中間伸度の分布は、図1に示す構成のタイヤを製造する際に、加硫後にPCI(ポストキュアインフレーション)を実施しないことにより実現できる。なお、PCI(ポストキュアインフレーション)とは、加硫後の放冷中のコード収縮によるタイヤ変形を防止するためタイヤに使用時程度の内圧を充填して所定温度に冷却するまで放置する処理である。
ベルト下部C1のカーカス層の剛性が高いことにより、タイヤのグリップ限界付近でのベルト層の面外へのバックリングが抑制される、これにより、タイヤのグリップ限界付近でのコーナリングフォース(CF)低下が抑制されて高速操縦安定性を改善することができる。なお、ベルト層22のPETコードは破断伸び20%以上と大きいため、PETコードの中間伸度がベルト下部C1<サイド部C2であっても、プランジャー強度は高い状態が維持される。
このように、カーカス層20の各位置におけるPETコード(補強コード)の剛性を制御して、剛性分布を適正化することにより、プランジャー強度と高速操縦安定性とが両立したタイヤ10を得ることができる。
図3(b)に示す折線60は、加硫後にPCIを実施した場合におけるカーカス層のPETコードの中間伸度の分布を示している。PCIを実施した場合、タイヤのセンタ(タイヤ赤道面CL)のPETコードの中間伸度が高く、サイド部のPETコードの中間伸度が低くなる。すなわち、タイヤのセンタの剛性が、サイド部の剛性よりも低くなる。
カーカス層20は、ベルト下部C1の中間伸度が4.5%以上であることが好ましい。
ベルト下部C1のPETコードの中間伸度が低すぎると、ベルト下部C1の剛性が高すぎ、プランジャー強度の改善効果を十分に得にくくなる。
有機繊維コード52の総繊度は、特に限定されるものではなく、例えば、1400~7000dtexである。
また、有機繊維コード52は、撚り係数Kも、特に限定されるものではなく、例えば、1500~2200である。
撚り係数Kは、K=N×D1/2で表されるものである。ここで、Nは撚り数(回/10cm)、Dは総繊度(dtex)である。
カーカス層20の有機繊維コード52は、タイヤ周方向に対するコード角度が80°~88°であることが好ましい。
上述のコード角度が80°未満であると高速耐久性が不十分になる可能性があり、一方、上述のコード角度が88°を超えると操縦安定性に代表される運動性能が不十分になる可能性がある。特に、高速耐久性を重視する場合、上述のように、カーカス層20の有機繊維コード52のコード角度は80°~88°にすることが好ましい。
タイヤ10の構成は、図1に示す構成に特に限定されるものではなく、カーカス層20がターンアップされてサイド部19で積層されている、ハーフラジアルと呼ばれる構造でもよい。ハーフラジアル構造では、カーカス層20は、1層構造であり、折り返し部20bの端部Aが、最大幅位置39aよりもトレッド面12a側にあり、例えば、ショルダー部14にある。カーカス層20はサイド部19で重なっており、サイド部19で2層構造になる。
折り返し部20bの端部Aは、上述のように、ショルダー部14にある必要は必ずしもなく、サイド部19にカーカス層20の折り返し部20bの端部Aがあればよい。
ここで、タイヤ10のサイド部19とは、ビード部18からサイドウォール部16までの領域のことである。
ハーフラジアル構造とすることにより、サイド部19の剛性を高くすることができる。
また、カーカス層20は2層構造でもよい。2層構造のカーカス層では、各カーカス層の有機繊維コード52が層間で互いに交差するように配置することにより、タイヤ10の剛性を高くすることができる。
2層構造のカーカス層とした場合でも、上述のように、折り返し部40bの端部Aをサイド部19に位置させて、サイド部19でカーカス層を重ねて多層構造としてもよい。すなわち、ハーフラジアル構造でもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の空気入りタイヤの実施例について実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、複数本の有機繊維コードが配置されたカーカス層を1層有する、下記表1に示す構成の実施例1、2、従来例1及び比較例1、2の空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)を作製した。実施例1、2、従来例1及び比較例1、2の各タイヤについて、高速操縦安定性及びプランジャー強度を評価した。高速操縦安定性及びプランジャー強度の評価結果を下記表1に示す。
なお、実施例1、2、従来例1及び比較例1、2の各タイヤは、タイヤサイズを245/40R18とし、カーカス層の有機繊維コードの配置は全て同じとした。
なお、下記表1に示すPCIの欄の「180kPa×20分」は内圧が180kPaで20分間、ポストキュアインフレーション(PCI)を実施したことを示す。
下記表1の「高伸度PET」と「PET」は、いずれもポリエチレンテレフタレート繊維のことである。PETに比して、高伸度PETの方が、中間伸度、乾燥収縮率及び破断伸びが大きい。
下記表1の「乾燥収縮率(%)」は、以下のようにして測定した値である。
一定長さ(L)の有機繊維コードをオーブン中に150℃、30分無荷重の状態で放置し、その後、有機繊維コードの長さを測定し、測定した有機繊維コードの長さ(L)から、以下の式を用いて乾熱収縮率(%)を求めた。
(乾熱収縮率)=(L-L)/L×100(%)
高速操縦安定性は、以下のようにして測定して評価した。
タイヤを、リムサイズ18×8.0Jのリムに内圧230kPaで組んだ後、各試験タイヤを排気量2000ccの四輪駆動乗用車(4WD)に装着し、訓練された5名のドライバーにてテストコースを走行してフィーリングを評価した。なお、高速操縦安定性の評価では、2名乗車相当とした。
結果は、比較例1との相対比較にて、以下の判定基準をもとに5点法で採点し、平均点で表した。下記表1に示す「高速操縦安定性」の欄の数値は、3.0が基準(従来例1)であり、5.0に近い程、高速操縦安定性が優れていることを意味する。
判定基準
5:すばらしい、4:優れる、3.5:やや優れる、3:基準同等、2.5:やや劣る(実用下限)、2:劣る、1:大きく劣る
プランジャー強度は、以下のようにして測定して、評価した。
各タイヤをリムサイズ18×8.0Jのリムに組み付けて空気圧230kPaとし、先端が半球状の鋼製丸棒をトレッド中央部に所定の速さで押し付けて、タイヤの破壊エネルギーを測定した。
プランジャー強度の評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。なお、下記表1に示す「プランジャー強度」の欄の数値は、数値が大きい程、プランジャー強度が優れていることを意味する。
Figure 0007087474000001
上記表1に示す実施例1、2は、PCIを実施しておらず、従来例1、比較例1及び比較例2に比して、プランジャー強度を維持しつつ、高速操縦安定性に優れており、高速操縦安定性とプランジャー強度の両立を図ることができた。
従来例1と比較例1はPCIを実施しており、中間伸度がサイド部<ベルト下部の関係にある。従来例1は高速操縦安定性が悪かった。比較例1は、破断伸びが20%を超えているが、中間伸度がサイド部<ベルト下部の関係にあることにより、高速操縦安定性が悪かった。
比較例2は、中間伸度がサイド部>ベルト下部の関係にあるが、破断伸びが小さく、ベルト下部の中間伸度が4.5%未満であるため、プランジャー強度が低かった。
実施例2は、ベルト下部の中間伸度が4.5%未満であり、ベルト下部の剛性が高くなり、プランジャー強度が実施例1に比して低かった。
10 空気入りタイヤ(タイヤ)
12 トレッド部
14 ショルダー部
16 サイドウォール部
18 ビード部
20 カーカス層
21 ターンナップ部
22 ベルト層
24 ベルト補助補強層
28 ビードコア
30 ビードフィラー
32 トレッドゴム層
34 サイドウォールゴム層
36 リムクッションゴム層
38 インナーライナゴム層
50 ゴム層
52 有機繊維コード
60、62 折線
A 端部
C1 ベルト下部
C2 サイド部

Claims (2)

  1. 左右一対のビード部間に装架されるカーカス層を有する空気入りタイヤであって、
    前記カーカス層は、補強コードとして有機繊維コードを備え、
    前記カーカス層の前記有機繊維コードは、ポリエチレンテレフタレート繊維のフィラメント束を撚り合わせて構成されたものであり、かつ加硫後の破断伸びが20%以上であり、
    前記カーカス層は、前記有機繊維コードの加硫後の中間伸度がサイド部>ベルト下部である、空気入りタイヤ。
  2. 前記カーカス層は、前記ベルト下部の前記有機繊維コードの前記中間伸度が4.5%以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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