(ダイカストマシンの全体構成)
図1は、本開示の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す、一部に断面図を含む側面図である。なお、紙面上下方向は鉛直方向であり、紙面左右方向及び紙面貫通方向は水平方向である。
ダイカストマシン1は、未硬化状態の金属材料を金型101内(キャビティCa等の空間。以下同様。)へ射出し、金属材料を金型101内で凝固させることにより、ダイカスト品(成形品)を製造するものである。未硬化状態は、例えば、液状又は固液共存状態である。固液共存状態は、液状から凝固が進んだ半凝固状態、又は固体状から溶融が進んだ半溶融状態である。金属は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。なお、以下では、未硬化の金属材料として、溶湯(液状の金属材料)を例に取ることがある。
金型101は、例えば、固定金型103及び移動金型105を含んでいる。本実施形態の説明では、便宜上、固定金型103又は移動金型105の断面を1種類のハッチングで示すが、これらの金型は、直彫り式のものであってもよいし、入れ子式のものであってもよい。また、固定金型103及び移動金型105には、中子などが組み合わされてもよい。
ダイカストマシン1は、例えば、成形のための機械的動作を行うマシン本体3と、マシン本体3の動作を制御する制御ユニット5とを有している。
マシン本体3は、例えば、金型101の開閉及び型締めを行う型締装置7と、金型101内に溶湯を射出する射出装置9と、ダイカスト品を固定金型103又は移動金型105(図1では移動金型105)から押し出す押出装置11とを有している。マシン本体3において、射出装置9以外の構成(例えば型締装置7及び押出装置11の構成)は、公知の種々の構成と同様とされてよい。
成形サイクルにおいて、型締装置7は、移動金型105を固定金型103へ向かって移動させ、型閉じを行う。さらに、型締装置7は、タイバー(符号省略)の伸長量に応じた型締力を金型101に付与して型締めを行う。型締めされた金型101内には成形品と同一形状のキャビティCaが構成される。射出装置9は、そのキャビティCaへ溶湯を射出・充填する。キャビティCaに充填された溶湯は、金型101に熱を奪われて冷却され、凝固する。これにより、成形品が形成される。その後、型締装置7は、移動金型105を固定金型103から離れる方向へ移動させて型開きを行う。この際、又はその後、押出装置11は、移動金型105から成形品を押し出す。
制御ユニット5は、公知の種々の構成と同様とされてよい。例えば、制御ユニット5は、電源回路及び制御回路等を有する不図示の制御盤と、ユーザインターフェースとしての操作部(符号省略)とを有している。制御盤及び操作部の一部は、各部を制御する制御装置を構成している。また、操作部は、例えば、画像を表示する表示装置、及びオペレータの入力操作を受け付ける入力装置を有している。
(射出装置の全体構成)
射出装置9は、例えば、金型101内に通じるスリーブ21と、スリーブ21内を摺動可能なプランジャ23と、プランジャ23を駆動する射出駆動部25とを有している。なお、射出装置9の説明においては、金型101側を前方、その反対側を後方ということがある。
スリーブ21は、例えば、固定金型103に連結された筒状部材であり、上面には溶湯をスリーブ21内に受け入れるための供給口21aが開口している。プランジャ23は、例えば、特に符号を付さないが、スリーブ21内を前後方向に摺動可能なプランジャチップと、先端がプランジャチップに固定されたプランジャロッドとを有している。
なお、本開示の説明において2つの部材が固定されているという場合、特に断りがない限り、2つの部材は、一体的に形成されることによって固定されていてもよいし、互いに接合されていてもよいし、ねじなどによって分離可能に連結されていてもよい。
型締装置7による金型101の型締めが完了すると、不図示の給湯装置によって1ショット分の溶湯が供給口21aからスリーブ21内へ注がれる。そして、プランジャ23が図示の位置からスリーブ21内を前方へ摺動することにより、スリーブ21内の溶湯が金型101内に押し出される(射出される)。
射出駆動部25は、例えば、射出フレーム15に固定されている。射出フレーム15の構成は、例えば、公知の種々の構成と同様とされてよい。例えば、射出フレーム15は、いわゆるCフレームであり、図示のようにC字状に湾曲した形状とされている。そして、C字の両端は、型締装置7の、固定金型103を保持している固定ダイプレート13に対して固定されている。より具体的には、例えば、射出フレーム15は、固定ダイプレート13の型開閉方向に見て(紙面左右方向に見て)、水平方向の中央側において、固定ダイプレート13の背面(金型101とは反対側)の上下に両端が固定されている。なお、射出フレーム15は、射出装置9の一部と捉えられてもよい。
(射出駆動部の駆動系)
図2は、射出駆動部25の構成を示す模式的な断面図である。なお、図2は、図1と同一の方向に射出駆動部25を見た図となっている。すなわち、紙面上下方向は鉛直方向であり、紙面左右方向及び紙面貫通方向は水平方向である。
射出駆動部25は、全電動式のものであり、回転式の電動機31と、電動機31の回転を並進運動に変換するためのねじ機構33とを有している。ねじ機構33からプランジャ23に並進運動が伝えられることによって、プランジャ23はスリーブ21内を前後進する。電動機31からねじ機構33への回転の伝達は、例えば、巻掛け伝動機構35を介してなされる。ねじ機構33とプランジャ23とは、例えば、射出ロッド37を介して連結されている。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
(電動機)
電動機31は、特に図示しないが、界磁及び電機子の一方を構成するステータと、界磁及び電機子の他方を構成し、ステータに対して回転するロータとを有している。電動機31は、適宜な形式のものとされてよく、例えば、直流電動機であってもよいし、交流電動機であってもよいし、同期電動機であってもよいし、誘導電動機であってもよいし、ブレーキ付のものであってもよいし、低慣性電動機であってもよい。
電動機31の数、配置位置及び配置の向きは適宜に設定されてよい。図示の例では、電動機31は、出力軸31aを後方に向けて、ねじ機構33に並列に配置されている。並列配置によって、射出駆動部25は、短小化が容易化されている。また、例えば、電動機31は、1台のみ、ねじ機構33の上方(下方でもよい。)に設けられている。より具体的には、例えば、両者の軸心の左右方向の位置は一致している。これにより、射出駆動部25は、幅(紙面貫通方向)を小さくしやすくなっている。
電動機31は、例えば、サーボモータとして構成されている。例えば、電動機31の位置及び速度は、プランジャ23の位置を検出する不図示の位置センサの検出値に基づいて、制御ユニット5によってフィードバック制御される(フルクローズドループの制御がなされる。)。なお、電動機31は、オープン制御がなされてもよいし、フルクローズドループに加えて、又は代えて、電動機31の回転を検出するセンサの検出値に基づくセミクローズドループの制御がなされてもよい。
(ねじ機構)
ねじ機構33は、ねじ軸39と、ねじ軸39に螺合しているナット41とを有している。ねじ軸39は、軸回りの回転が許容されているとともに軸方向の移動が規制されている。一方、ナット41は、軸回りの回転が規制されているとともに軸方向の移動が許容されている。従って、電動機31の回転がねじ軸39に伝達されると、ナット41がその軸方向に移動する。
ねじ機構33は、ねじ軸39とナット41との間にボールが介在するボールねじ機構であってもよいし、ボールが介在しないすべりねじ機構であってもよい。なお、ねじ機構33がボールねじ機構であってよいことから理解されるように、ねじ軸とナットとが螺合しているというとき、両者は直接に螺合(当接)している必要は無い。ねじ機構33は、ねじ溝が1本の1条ねじ式のものであってもよいし、ねじ溝が2本以上の多条ねじ式のものであってもよい。
ねじ軸39は、中実の軸状であってもよいし、中空状(筒状)であってもよい。ねじ軸39及びナット41において、これらの径、軸方向の長さ及びねじ溝のピッチ等は適宜に設定されてよい。図示の例では、ナット41は、軸方向に比較的長く形成されている。例えば、ナット41の軸方向の長さは、ねじ軸39の外径の3倍以上となっている。
ねじ機構33は、プランジャ23に対して同軸に配置されている。すなわち、ねじ軸39及びナット41の軸心は、概略、プランジャ23の軸心の延長上に位置している。従って、ねじ機構33の軸方向の駆動によって、プランジャ23は軸方向に移動する。
(巻掛け伝動機構)
巻掛け伝動機構35は、例えば、プーリ・ベルト機構であり、電動機31の出力軸31aに同軸に固定されている入力プーリ43と、入力プーリ43に掛けられているベルト45と、ベルト45が掛けられ、ねじ軸39に同軸に固定されている出力プーリ47とを有している。ベルト45は、例えば、歯付ベルトであってもよいし、歯が付いていないものであってもよい。
電動機31の回転は、入力プーリ43、ベルト45及び出力プーリ47へ順次伝達され、ねじ機構33(ねじ軸39)に入力される。巻掛け伝動機構35は、例えば、ねじ機構33に対する電動機31の配置の自由度を向上させることに寄与している。具体的には、例えば、巻掛け伝動機構35は、電動機31のねじ機構33に対する並列配置を可能としている。
入力プーリ43の径と出力プーリ47の径とは、同等であってもよいし、一方が他方よりも大きくてもよい。すなわち、巻掛け伝動機構35は、減速又は増速に寄与しなくてもよいし、寄与してもよい。図示の例では、出力プーリ47の径は、入力プーリ43の径よりも大きくなっている。従って、電動機31の回転は、増速されてねじ機構33に入力される。
入力プーリ43及び出力プーリ47の細部の形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、出力プーリ47は、ねじ機構33の支持構造(後述)の後端を収容する凹部を有している。これにより、出力プーリ47は、その収容分だけ前方へ位置することが可能になっている。
(射出ロッド)
射出ロッド37は、プランジャ23の後端に対して同軸に連結されているとともに(図1参照)、ナット41の前端に対して同軸に固定されている。従って、ナット41がその軸方向に移動すると、プランジャ23はその軸方向に移動する。
射出ロッド37は、例えば、ねじ軸39を挿通可能な中空状に形成されている。換言すれば、射出ロッド37は、筒状部37aを有している。筒状部37aは、例えば、円筒形状であり、また、射出ロッド37の長さの大部分を占めている。筒状部37aの内径は、ねじ軸39の外径よりも僅かに大きく設定されている。従って、筒状部37a(射出ロッド37)とねじ軸39とは当接していない。ただし、ねじ軸39が筒状部37aを摺動するようにすることも不可能ではない。
射出ロッド37とプランジャ23との連結は適宜になされてよい。例えば、図示の例では、射出ロッド37は、筒状部37aの前端に固定された連結部37bを有している。連結部37bは、例えば、特に符号を付さないが、筒状部37aの前端を塞ぐ円盤状部分と、円盤状部分から前方へ突出する軸状部分と、軸状部分の前端に位置しているフランジとを有している。また、特に図示しないが、プランジャ23の後端部もフランジを有している形状とされている。そして、連結部37bの前端部分は、プランジャ23の後端部と、公知のカップリング(図1参照。符号省略)によって互いに固定される。
射出ロッド37とナット41との固定も適宜になされてよい。例えば、図示の例では、射出ロッド37の後端部37cは、フランジを有する形状とされている。また、ナット41の前端部もフランジを有する形状とされている。そして、後端部37cとナット41の前端部とは、不図示のボルト及びナットによって固定されている。
(射出駆動部の支持構造)
上述した電動機31から射出ロッド37までの駆動系は、適宜な構成の支持構造によって支持されてよい。例えば、射出駆動部25は、射出フレーム15から後方に延び、ねじ機構33及び射出ロッド37を収容しつつ支持している中空状(筒状)の支持部49を有している。支持部49は、より詳細には、その前端においてブシュ55を介して射出ロッド37を支持している。また、支持部49は、例えば、その後端において軸受57を介してねじ軸39を支持している。
なお、特に図示しないが、支持部49には、電動機31を支持する部分が設けられていてよい。また、特に図示しないが、支持部49には、ねじ溝によって規定される前進限へナット41が到達する少し前に、射出ロッド37に当接して前進を規制する緩衝部材が設けられていてもよい。同様に、特に図示しないが、支持部49には、ねじ溝によって規定される後退限へナット41が到達する少し前に、ナット41に当接して後退を規制する緩衝部材が設けられていてもよい。
支持部49、ブシュ55及び軸受57の構成は、例えば、以下のとおりである。
(支持部)
支持部49は、例えば、その前端において射出ロッド37を前後に移動可能に支持しているとともに、その後端においてねじ軸39を回転可能かつ軸方向に移動不可能に支持している。従って、射出ロッド37及びねじ機構33からなる駆動機構は、支持部49によって前後両端で支持され、また、支持部49を介して射出フレーム15に支持されている。
また、支持部49は、ねじ軸39を軸方向に移動不可能に支持しているから、ナット41(プランジャ23)を前進させるときにねじ軸39に加えられる後方への力は、支持部49を介して射出フレーム15に伝えられる。すなわち、支持部49は、射出力を受けることに寄与している。
なお、ねじ機構33及び射出ロッド37は、上記のように前後両端でのみ支持されているが、それ以外の位置において、ナット41又は射出ロッド37が前後に摺動可能に支持されていてもよい。また、支持部49は、射出フレーム15に加えて(又は代えて)、射出フレーム15以外の部材(例えば脚)によって支持されていてもよい。
支持部49は、適宜に複数の部材が組み合わされて構成されてよい。例えば、支持部49は、射出フレーム15に固定されている中空部材51と、中空部材51の後端に固定されている後端部材52とを有している。
(中空部材)
中空部材51は、例えば、その全体が一体形成された鋳物(換言すれば金属)からなる。中空部材51は、概略、ねじ機構33と同心状の筒状の部材であり、ねじ機構33の外周を覆っている(ねじ機構33を収容している)。より詳細には、特に符号を付さないが、中空部材51は、筒状部分だけでなく、筒状部分の前方を塞ぐ前面部を有しており、当該前面部には、射出ロッド37が挿通される孔が形成されている。中空部材51(筒状部分)の横断面の形状(内周面の形状及び/又は外周面の形状)は、円形又は矩形等の適宜な構成とされてよく、例えば、円形である。
中空部材51の各種の寸法は適宜に設定されてよい。図示の例では、中空部材51の内径は、射出ロッド37及びナット41の連結部分(最大径部分)よりも若干大きくされている。すなわち、射出ロッド37及びナット41は、中空部材51(その筒状部分)の内面を摺動しない(別の観点では中空部材51の筒状部分に支持されない。)。ただし、摺動するようにすることも可能である。また、図示の例では、中空部材51の前後方向の長さは、例えば、ねじ軸39のうちねじ溝が切られている部分の全体が収まる長さとされている。
中空部材51の射出フレーム15に対する固定は、適宜な方法によってなされてよい。図示の例では、特に符号を付さないが、中空部材51の前端部は突部を有しており、この突部が射出フレーム15に形成された孔に嵌合される。また、射出フレーム15に挿通された雄ねじが、中空部材51の前端部のうち上記の突部の周囲部分に形成された雌ねじ部に螺合される。このようにして、中空部材51は射出フレーム15に固定されている。
(後端部材)
後端部材52は、例えば、概略、ねじ機構33と同心状の筒状の部材であり、ねじ軸39のうち、後側のねじ溝が形成されていない部分の外周を覆っている(収容している)。より詳細には、特に符号を付さないが、後端部材52は、筒状部分だけでなく、筒状部分の後方を塞ぐ後面部を有しており、当該後面部には、ねじ軸39が挿通される孔が形成されている。後端部材52(筒状部分)の横断面の形状(内周面の形状及び/又は外周面の形状)は、円形又は矩形等の適宜な構成とされてよく、例えば、円形である。
後端部材52の中空部材51に対する固定は、適宜な方法によってなされてよい。図示の例では、特に符号を付さないが、中空部材51の後端部及び後端部材52の前端部それぞれは、外側へ肉厚に形成されている。そして、後端部材52の肉厚部に挿通された雄ねじが、中空部材51の肉厚部に形成された雌ねじ部に螺合されることによって、後端部材52は中空部材51に固定されている。
(ブシュ)
ブシュ55は、概略円筒状の金属部材であり、上述した中空部材51の前端面の孔に嵌合して取り付けられている。ブシュ55には、射出ロッド37が前後方向に摺動可能に挿通されている。図示の例では、ブシュ55は、フランジ付きのものとされ、前方から中空部材51に挿通されている。ただし、挿通方向は逆であってもよいし、ブシュ55は、フランジを有さないものであってもよい。ブシュ55の中空部材51に対する固定方法は、止めねじによるもの、止め輪によるものなど、公知の適宜な方法とされてよい。
ブシュ55は、例えば、射出フレーム15に対しては直接には固定されておらず、中空部材51に固定されているだけである。また、射出ロッド37は、ブシュ55を介してのみ摺動可能に支持されている。従って、ブシュ55及び射出ロッド37の支持は、支持部49内で完結している。すなわち、本実施形態では、支持部49を射出フレーム15に固定すればよく、ブシュ等を射出フレーム15に取り付ける必要は無い。ただし、射出フレーム15にブシュが設けられても構わない。
(軸受)
軸受57は、ねじ軸39をその軸方向に移動不可能に、かつその軸回りに回転可能に支持している。また、軸受57は、後端部材52に収容されて固定されている。これにより、ねじ軸39は、支持部49に対して、軸方向に移動不可能かつ軸回りに回転可能に支持されている。軸受57の具体的な構成は、公知の種々の軸受と同様の構成とされてよい。
(ねじ機構の並進要素の回り止め)
図3は、射出駆動部25の一部を示す底面図である。
上述したように、ねじ機構33においては、ナット41の軸回りの回転が規制されていることから、ナット41に螺合しているねじ軸39が軸回りに回転すると、ナット41は軸方向に移動する。ここで、ナット41の軸回りの回転の規制は、図2及び図3に示すように、ガイド溝51aと、ガイド溝51aに案内される被ガイド部53とによって実現されている。
具体的には、ガイド溝51aは、支持部49に形成されている。すなわち、ガイド溝51aは、射出フレーム15(換言すればダイカストマシン1の固定部分)に対して移動不可能に設けられている。また、ガイド溝51aは、例えば、ねじ機構33の軸方向に延びている(長さを有している。)。一方、被ガイド部53は、射出ロッド37に支持されており、ひいては、ナット41に対して、ねじ機構33の軸方向及びねじ機構33の軸回りにおける移動が規制されている。被ガイド部53は、ガイド溝51aに挿入されている。被ガイド部53のガイド溝51aに挿入されている部分の径(幅)は、ガイド溝51aの幅よりも若干小さくされている。
このような構成において、ねじ軸39が一方向に回転されるとき、ナット41も前記一方向に回転しようとする。このとき、被ガイド部53がガイド溝51aの1対の内壁面(1対のガイド面51b)の一方に当接する。その結果、ナット41の前記一方向への回転が規制される。そして、被ガイド部53は、ガイド溝51aの長さの範囲内において軸方向における移動が許容されているから、ナット41は軸方向の一方側へ移動する(例えば前進する。)。
同様に、ねじ軸39が他方向に回転されるとき、ナット41も前記他方向に回転しようとする。このとき、被ガイド部53がガイド溝51aの1対の内壁面(1対のガイド面51b)の他方に当接する。その結果、ナット41の前記他方向への回転が規制される。そして、被ガイド部53は、ガイド溝51aの長さの範囲内において軸方向における移動が許容されているから、ナット41は軸方向の他方側へ移動する(例えば後退する。)。
ガイド溝51a(中空部材51)及び被ガイド部53の具体的な構成は、例えば、以下の通りである。
(ガイド溝)
ガイド溝51aは、例えば、中空部材51(その筒状部分)を内外へ貫通するスリットによって構成されている。なお、別の観点では、中空部材51は、被ガイド部53が当接する1対のガイド面51bを有している。1対のガイド面51bは、ねじ機構33の軸回りに互いに向かい合う方向に面しており、ねじ機構33の軸方向に長さを有している(延びている。)。
ガイド溝51a(1対のガイド面51b)は、例えば、ねじ機構33の軸方向に対して平行に延びている。この場合、別の観点では、1対のガイド面51bは、互いに平行に延びている。さらに別の観点では、ガイド溝51a(1対のガイド面51b)は、直線状に延びている。
ねじ機構33の軸回りの方向において、ガイド溝51aの数及び位置は適宜に設定されてよい。図示の例では、ガイド溝51aは、1本のみ設けられ、ねじ機構33の下方に位置している。より詳細には、例えば、ガイド溝51aの中心線は、ねじ機構33の軸心の真下に位置している。また、例えば、平面透視したときに、ガイド溝51aは、ねじ機構33又はねじ軸39の幅に収まっている。
ガイド溝51aの長さは、例えば、ガイド溝51a及び被ガイド部53によってねじ機構33の駆動範囲を規制しない長さとされている。すなわち、被ガイド部53がガイド溝51a内を移動可能な距離は、ナット41がねじ軸39に対して移動可能な距離よりも長くされている。
なお、ここでいうナット41がねじ軸39に対して移動可能な距離(前進限から後退限までの距離)は、ねじ機構33自体(例えばねじ溝の配置範囲)によって規定される距離であってもよいし、支持部49に設けられたストッパによって規定される距離であってもよい。また、ガイド溝51a及び被ガイド部53によって、ねじ機構33の駆動範囲を規定することも不可能ではない。
中空部材51は、例えば、ガイド溝51aの側方両側に、ガイド溝51aに沿って延びるリブ51cを有している。これにより、例えば、ガイド溝51aを形成したことによる中空部材51の強度の低下が補償されている。なお、リブ51cは、例えば、ガイド溝51aの側方両側の位置以外には設けられていない。ガイド溝51aとリブ51cとの距離は、例えば、ガイド溝51aの幅以下である。
(被ガイド部)
被ガイド部53は、例えば、軸体59と、軸体59に支持されている回転体61とを有している。
軸体59は、ナット41(射出ロッド37)に対する、ねじ機構33の軸方向及びねじ機構33の軸回りの移動が規制されている。また、軸体59の軸方向は、ねじ機構33の軸方向に対して交差する方向(具体的にはねじ機構33の半径方向)とされている。一方、回転体61は、ナット41に対して、軸体59の軸回りに回転可能に軸体59に支持されている。また、回転体61は、ねじ機構33の径方向の位置がガイド溝51aと同等とされており、ねじ機構33の軸回りにおいて1対のガイド面51bに当接可能となっている。
従って、上述したように被ガイド部53がガイド面51bに案内されるとき、回転体61はガイド面51bを転がる。具体的には、ナット41が前進するとき、被ガイド部53は、1対のガイド面51bの一方を転がり、軸体59の軸回りの一方向へ回転する。また、被ガイド部53が後退するとき、被ガイド部53は、1対のガイド面51bの他方を転がり、軸体59の軸回りの前記一方向へ回転する。
ここで、仮に回転体61がガイド溝51aに嵌合して、1対のガイド面51bの双方に当接していると、回転体61が一方のガイド面51bを転がる動作は、他方のガイド面51bの摩擦抵抗によって阻害される。しかし、回転体61の径がガイド溝51aの幅よりも小さいことにより、このような不都合は解消されている。回転体61の径とガイド溝51aの幅との差は、小さくてよく、例えば、0.1mm以下である。
軸体59及び回転体61の構成は適宜なものとされてよい。例えば、回転体61は、ローラフォロア(別の観点ではベアリング)によって構成されている。特に図示しないが、ローラフォロアは、例えば、内輪と、外輪と、これらの間に介在している複数の針状コロと、複数の針状コロを保持している保持器とを有している。また、軸体59は、例えば、ナット41(直接には射出ロッド37の後端部37c)及び前記内輪に固定されるローラ軸とされている。
上記のローラフォロアを用いる例では、回転体61が軸体59に対してその軸回りに回転することによって、回転体61は、ナット41に対して軸体59の軸回りに回転する。なお、この例では、厳密にいえば、ローラフォロアの外輪がガイド面51bを転がる回転体である。
(ねじ機構への潤滑油の供給)
図2に示すように、射出駆動部25は、例えば、支持部49(中空部材51)の外部からガイド溝51aを介してナット41へ延びている1以上(図示の例では4本)のホース63を有している。ホース63は、例えば、潤滑油をナット41とねじ軸39との間に供給することに利用されている。
具体的には、ホース63は、可撓性の管状部材である。ホース63の一端は、ナット41の内周面から外周面へ貫通する孔(符号省略)に接続されている。また、ホース63の他端は、不図示の潤滑油供給部に接続されている。潤滑油供給部は、ポンプ又は重力等を利用して潤滑油をホース63に供給する。
ナット41のホース63が取り付けられる位置は、例えば、被ガイド部53よりも後方(別の観点では軸方向の一方)に位置している。そして、ホース63は、被ガイド部53よりも後方において、ガイド溝51aに通されている。ナット41が前後進すると、ホース63のうちナット41に接続されている部分等も前後進し、ひいては、ホース63がガイド溝51a内を前後方向に移動する。
ナット41を後退限と前進限との間で移動させたとき、ホース63の移動範囲は、その一部(図示の例では前方部分)が被ガイド部53の移動範囲の一部(図示の例では後方部分)と重複する。別の観点では、ねじ機構33を一方(図示の例では後方)の駆動限に到達するまで、被ガイド部53を前記一方へ移動させても、被ガイド部53よりも前記一方にホース63を通すことが可能な長さがガイド溝51aに確保されている。
ホース63の本数及びホース63のナット41に対する取付位置等は、適宜に設定されてよい。図示の例では、複数(4本)のホース63の取付位置がナット41のガイド溝51a側にガイド溝51aに沿って均等に配列されている。また、被ガイド部53がホース63側の駆動限(図示の例では後退限。ねじ機構33の駆動限によって規定される。)に位置しているとき、例えば、複数の取付位置のうち一部はガイド溝51aの長さの範囲内にあり、残りはガイド溝51aの長さの範囲外に位置している。なお、全ての取付位置が上記の長さの範囲内又は範囲外に位置していてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、金型101内に通じるスリーブ21内を摺動可能なプランジャ23を前後進させる射出装置9は、ねじ機構33と、電動機31と、1対のガイド面51bと、被ガイド部53とを有している。ねじ機構33は、ねじ軸39及び当該ねじ軸39に螺合しているナット41を有している。ナット41は、プランジャ23に対して同軸に連結可能である。ねじ軸39は、その軸方向への移動が規制されている。電動機31は、ねじ軸39を回転させる駆動力を生じる。1対のガイド面51bは、ねじ機構33の軸回りに互いに向かい合う方向に面しており、ねじ機構33の軸方向に長さを有している。被ガイド部53は、ナット41に対するねじ機構33の軸方向及びねじ機構33の軸回りの移動が規制されているとともに、前記ねじ機構33側から1対のガイド面51b間に挿入されている。
従って、既述のように、被ガイド部53が、ねじ機構33の軸回りに1対のガイド面51bに当接することによって、ナット41のその軸回りの回転が規制される。ねじ機構33側においては、被ガイド部53を突出させるだけでよいので、構成の簡素化及び/又は小型化が容易である。
また、本実施形態では、被ガイド部53は、軸体59と、回転体61とを有している。軸体59は、ナット41に対するねじ機構33の軸方向及びねじ機構33の軸回りの移動が規制されており、ねじ機構33の軸方向に交差する方向を軸方向としている。回転体61は、ナット41に対して軸体59の軸回りに回転可能に軸体59に支持されており、1対のガイド面51b間の距離よりも径が小さく、1対のガイド面51b間に位置している。
従って、既述のように、被ガイド部53は、各ガイド面51bに案内されるときに回転体61が転がる。これにより、摺動抵抗が低減される。摺動抵抗の低減により、例えば、電動機31によるプランジャ23の駆動制御の精度が向上する。又は、ガイド面51b等の寿命が長くなる。
また、本実施形態では、射出装置9は、ねじ機構33の軸方向に延びている支持部49(あるいは中空部材51)を更に有している。支持部49にねじ機構33の軸方向に延びるガイド溝51aが形成され、ガイド溝51aの1対の内壁面によって1対のガイド面51bが構成されている。
従って、例えば、1対のレールを設けて1対のガイド面51bを構成する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、ガイド溝51aを形成した1つの部材を配置したり、又はねじ機構33周辺に必然的に配置される部材にガイド溝51aを形成したりすればよく、構成の簡素化及び/又は小型化が容易である。
また、本実施形態では、支持部49(又は中空部材51)は、ねじ機構33の外周を覆っている中空状の部材である。
従って、支持部49は、ねじ機構33を保護する部材と、被ガイド部53を案内する部材とを兼ねることになる。別の観点では、ねじ機構33を保護する部材に溝を形成するだけで、被ガイド部53を案内することができる。その結果、例えば、構成の簡素化及び/又は小型化が容易である。
また、本実施形態では、ガイド溝51aは、支持部49(又は中空部材51)を内側から外側へ貫通している。射出装置9は、支持部49の外部からガイド溝51aを介してナット41へ延びているホース63を更に有している。ナット41の後退限から前進限までの移動範囲に対応する、被ガイド部53の移動範囲とホース63の移動範囲とは一部同士が重複している。
従って、まず、ガイド溝51aは、貫通溝であることから、凹溝である態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、その形成が容易である。また、被ガイド部53は、支持部49よりも外側まで突出してよいから、被ガイド部53の設計の自由度も向上する。さらに、ガイド溝51aは、被ガイド部53の案内だけでなく、ホース63を支持部49の内部から外部へ延び出させることに兼用される。その結果、例えば、構成の簡素化及び/又は小型化が図られる。
また、本実施形態では、ねじ機構33の軸方向は水平方向であり、支持部49(中空部材51)の下方のみにおいて、支持部49を内側から外側へ貫通しているガイド溝51aが設けられている。
この場合、例えば、ガイド溝51aを側方に形成した態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、射出駆動部25の幅を小さくすることが容易である。射出駆動部25の幅が小さくなることにより、例えば、炉及び/又は周辺設備を配置するスペースの確保が容易化される。また、例えば、ガイド溝51aを上方に形成した態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、塵等がガイド溝51aを介して支持部49内に侵入するおそれが低減される。
また、本実施形態では、支持部49は、ねじ機構33を覆う中空状に一体形成されている中空部材51を含んでいる。中空部材51は、一端が射出フレーム15に固定されており、他端がねじ軸39をその軸方向に移動不可能に支持している部材(後端部材52。別の観点では軸受57の固定部分。)に固定されている。
従って、支持部49は、ねじ機構33の保護及び被ガイド部53の案内に加えて、射出力を受けることに兼用される。その結果、例えば、構成の簡素化及び/又は小型化が容易化される。中空部材51は、被ガイド部53を案内するための構成として、ガイド溝51aを形成するだけでよいから(リニアガイドのレールを設けたりする必要は無いから)、被ガイド部53を案内するための構成を含めて一体形成が容易である。そして、一体形成されていることから、中空部材51は、射出力を受ける強度を確保することが容易である。
また、本実施形態では、射出装置9は、プランジャ23とナット41との間に介在してこれらを連結している射出ロッド37を更に有している。射出ロッド37は、ねじ軸39のナット41よりもプランジャ23側の部分を覆っている筒状部37aを有している。中空部材51は、筒状部37aをその軸方向に移動可能に支持している。
従って、例えば、射出ロッド37は、射出フレーム15に摺動可能に支持される必要は無い。従って、射出駆動部25の射出フレーム15に対する取り付けに際しては、中空部材51を射出フレーム15に取り付ければよく、作業性が高い。また、油圧式の射出駆動部(射出シリンダ)を取り付け可能な射出フレーム15に射出駆動部25を取り付けることも容易化される。別の観点では、電動式の射出駆動部25と、油圧式の射出駆動部との互換性も向上する。
なお、以上の実施形態において、ダイカストマシン1は成形機の一例である。ナット41は並進要素の一例である。ねじ軸39は回転要素の一例である。支持部49又は中空部材51は延在部材の一例である。
本開示に係る技術は、上述した実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、樹脂を成形する射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出、縦型締横射出であってもよい。
ねじ軸及びナットのうち、いずれが並進要素又は回転要素であるかは、実施形態と逆であってもよい。すなわち、ナットが回転要素とされ、ねじ軸が並進要素とされてよい。この場合、ナットは、軸方向に移動不可能かつ軸回りに回転可能とされる。ねじ軸は、軸方向に移動可能とされる。電動機により、ナットが回転される。被ガイド部は、ねじ軸に対して、ねじ機構の軸方向及びねじ機構の軸回りの移動が規制され、ねじ軸の回り止めに寄与する。
1対のガイド面は、実施形態の説明でも言及したように、ガイド溝の1対の内壁面によって構成されるものに限定されない。例えば、1対のガイド面は、ねじ機構の軸回りにおいて互いに離れて配置された2つの部材(典型的には2つのレール)によって構成されていてもよい。
また、実施形態の説明でも言及したように、1対のガイド面がガイド溝の1対の内壁面によって構成される場合において、ガイド溝は、ねじ機構の外周を覆う延在部材(支持部49又は中空部材51)に形成されるものに限定されない。別の観点では、射出装置は、ねじ機構を覆う中空状の延在部材を有している必要は無い。
また、実施形態の説明でも言及したように、1対のガイド面(別の観点ではガイド溝)は、下方に限らず、ねじ機構の軸回りの任意の位置に設けられてよい。また、ねじ機構の軸回りの複数位置に1対のガイド面と被ガイド部との組み合わせが設けられてもよい。
1対のガイド面は、ねじ機構の軸回りにおいて互いに向かい合う方向に面していればよい。換言すれば、1対のガイド面は、ねじ機構を中心とする円周の接線方向において互いに対向している必要は無い。従って、例えば、ねじ機構の軸回りの角度に関して、1対のガイド面間の角度は、比較的大きくされてもよい。例えば、当該角度は、45°以上、90°以上、180°以上又は270°以上とされても構わない。
実施形態の説明で述べたように、被ガイド部は、前進時には一方のガイド面に案内され、後退時には他方のガイド面に案内される。従って、被ガイド部の大きさに対して、1対のガイド面間の角度が大きい場合においては、ねじ機構の軸回りの位置に関して、前進時の被ガイド部の位置と、後退時の被ガイド部の位置とは大きく異なることになる。ひいては、並進要素(ナット又はねじ軸)、射出ロッド及びプランジャの軸回りの位置も、前進時と後退時とで異なることになる。一方、これらの部材は、重力等の影響によって摺動抵抗の大きさが軸回りの位置によって異なる。以上のことから、例えば、1対のガイド面間の角度を適宜に設定すれば、摩耗の程度を軸回りにおいて均等にすることが可能である。
なお、実施形態のように1対のガイド面間の角度が小さい態様(例えば、1つのガイド面間における被ガイド部の遊びが1cm以下、1mm以下又は0.1mm以下)においては、例えば、前進開始時又は後退開始時に並進要素等が殆ど回転しないことから、電動機31の回転を無駄なく並進運動に変換することができる。また、外力によって生じる意図していない回転(当接すべきガイド面から被ガイド部が離れてしまうような回転)も小さい。その結果、エネルギーの節約及び/又は駆動制御の精度向上が容易である。また、中空部材にガイド溝を形成する場合においては、ガイド溝が細いことにより、中空部材の強度を確保することが容易である。
また、1対のガイド面は、ねじ機構の軸方向に長さを有していればよく、軸方向に平行に延びている必要は無い。例えば、1対のガイド面の少なくとも一方は、中空部材を軸方向に沿って切って中空部材を平面状に展開したときに、軸方向に対して傾斜していたり、蛇行していたりしてもよい。
上記のような態様においては、被ガイド部は、ガイド面に案内されつつ、ねじ機構の軸回りの位置を変化させる。ひいては、並進要素(ナット又はねじ軸)、射出ロッド及びプランジャは、前進及び/又は後退の際に、軸回りの位置を変化させる。上記のように、これらの部材は、重力等の影響によって摺動抵抗の大きさが軸回りの位置によって異なる。従って、例えば、摩耗が軸回りの特定の位置において進行するおそれを低減することができる。
なお、実施形態のように1対のガイド面間がねじ機構の軸に平行に延びている態様においては、例えば、前進中及び/又は後退中に並進要素等が殆ど回転しないことから、電動機31の回転を無駄なく並進運動に変換することができる。その結果、エネルギーの節約及び/又は駆動制御の精度向上が容易である。また、中空部材にガイド溝を形成する場合においては、軸回りの一部の位置のみにガイド溝が位置することになるから(ガイド溝によって中空部材の一部が前後に分断されないから)、中空部材の軸方向の強度を確保することが容易である。
被ガイド部は、実施形態においても言及したように、ガイド面を摺動する部材であってもよい。なお、被ガイド部が摺動部材である場合においては、被ガイド部の幅は、1対のガイド面間の距離よりも小さくされる必要は無い。換言すれば、被ガイド部は、1対のガイド面間に嵌合してもよい。
被ガイド部が軸体及び回転体を有する場合において、被ガイド部は、ローラフォロアを含んで構成されるものに限定されない。例えば、軸体と回転体とは互いに固定されており、軸体が並進要素に対して軸体の軸回りに回転可能に支持されていることにより、回転体が並進要素に対して軸体の軸回りに回転可能とされていてもよい。
軸体の軸方向(別の観点では被ガイド部の突出方向)は、ねじ機構の軸方向に交差していればよい。例えば、軸体の軸心を延長したときにねじ機構の軸心を通過する必要は無い。また、ねじ機構の側方から見たときに、軸体の軸方向は、ねじ軸の軸方向に対して直交している必要な無い。ただし、直交していた方が、回転体の回転は滑らかである。
1対のガイド面(1つのガイド溝)に対して、2以上の被ガイド部が設けられてもよい。例えば、2以上の被ガイド部が、ねじ機構の軸方向の互いに異なる位置、かつねじ機構の軸回りの同一位置に設けられてよい。また、例えば、2以上の被ガイド部が、ねじ機構の軸方向の同一又は互いに異なる位置に配置され、かつ互いに別のガイド面に当接していてもよい。例えば、2以上の被ガイド部全体として、1対のガイド面の間に嵌合していてもよい。
被ガイド部は、ねじ機構の並進要素に対してねじ機構の軸方向及びねじ機構の軸回りの移動が規制されればよい。従って、実施形態のように並進要素(実施形態ではナット41)に固定された射出ロッドに支持されていてもよいし、実施形態とは異なり、並進要素に直接に支持されていてもよい。
並進要素とプランジャとの間に介在してこれらを連結する部材(実施形態では射出ロッド)は、筒状のものに限定されない。例えば、並進要素がねじ軸である場合においては、中実の軸状部材によって射出ロッドを構成したり、射出ロッドに代えて軸状ではない部材を利用したりしてよい。
ガイド溝にホースが通される場合において、ホースは、被ガイド部の後方ではなく、被ガイド部の前方に位置していてもよい。例えば、実施形態において、被ガイド部をナット41の後端に設け、これに合わせてガイド溝等を形成してもよい。
電動機の回転をねじ機構へ伝達する伝達機構(実施形態では巻掛け伝動機構35)は設けられなくてもよい。すなわち、電動機の出力軸と、ねじ機構の回転要素とが直接に連結されてもよい。また、伝達機構が設けられる場合において、伝達機構は、巻掛け伝動機構に代えて、又は加えて、歯車機構等の他の形式のものを含んでいてもよい。また、巻掛け伝動機構は、スプロケット・チェーン機構のように、プーリ・ベルト機構以外の他の形式のものとされてもよい。