JP7074427B2 - 風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物 - Google Patents

風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ドレッシング用油脂組成物に関し、より詳細には風味劣化が抑制されるドレッシングを得るための前記油脂組成物に関する。
ドレッシングは、サラダ等の食材にふりかけられ、あるいは食材と混ぜられて、ドレッシングの呈味と食材との組み合わせを楽しむためにある。ドレッシングの日本農林規格に基づく定義は、
1. 食用植物油脂(香味食用油を除く)及び食酢若しくはかんきつ類の果汁(必須原材料)に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状の調味料、又は分離液状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの、及び
2. 1にピクルスの細片等を加えたもの
である。ドレッシングの具体例として、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、タルタルソース、フレンチドレッシング、イタリアンドレッシング、サウザンアイランドドレッシング、シーザーサラダドレッシング、コールスロードレッシング等がある。
食用油脂は、ドレッシングに使用されるものを含み一般に、光や熱によって劣化し、風味上問題となる臭いが発生する。近年、ペットボトル、プラスチックチューブ、ガラス瓶等の無色透明容器が軽量で取り扱いやすいため、油脂及び油脂関連製品の容器として普通に用いられる。そのため、スーパーマーケット等の陳列棚において蛍光灯等の光で、油脂製品等に含まれる食用油脂が光酸化して、劣化臭を発生することがある。
家庭用途及び業務用途に製造販売されているドレッシングもまた、通常、透明又は半透明容器に詰められて市場に流通される。上記容器が蛍光灯等の光に晒されると、ドレッシング中の食用油脂が光酸化を受け、青臭さ、不快な味、酸味の低下といった風味の劣化を生じることがある。
特許文献1には、卵黄を使用しないで、かつ卵白のみを使用した系において、長期間保存後もひび割れ、離水、光沢喪失がなく、良好な乳化状態が維持され、品質の変化のない低コレステロールマヨネーズ様食品を提供することを目的として、酸味料、卵白及びレシチンを含むことを特徴とする、実質的に卵黄を含まない低コレステロールマヨネーズ様食品を開示する。この発明の特徴は、乳化機能のある卵黄レシチンを含む卵黄を用いないため、乳化剤として特定のレシチンと卵白との組み合わせを使用することにある。従って、特許文献1からは、ドレッシングの風味劣化が抑制されることは教示も示唆もされない。
特開平07-031415(マヨネーズ様食品)
本発明は、ドレッシングの風味劣化、特に明所保存時の風味の劣化を抑制する油脂組成物、及び該油脂組成物を用いたドレッシングの風味劣化の抑制方法を新規に提供することにある。
本発明者等は、上記課題を鋭意検討した結果、食用油脂にレシチンを添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、食用油脂及びレシチンを含む、風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物を提供する。
さらに、前記食用油脂の融点は、10℃以下であることが好ましい。
さらに、食用油脂として、例えば、大豆油、菜種油、コーン油及び亜麻仁油からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
さらに、前記食用油脂の前記大豆油の含有量は、16質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
さらに、前記油脂組成物に対して、大豆油を15質量%以上含むことが好ましい。
さらに、前記レシチンは、クルードレシチンであることが好ましい。
前記レシチンは、例えば、大豆レシチン、菜種レシチン及びひまわりレシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
前記レシチンの含有量は、前記油脂組成物に対して0.0005質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
本発明は、また、風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物の製造方法であって、食用油脂にレシチンを添加する工程を含むことを特徴とする、前記ドレッシング用油脂組成物の製造方法を提供する。
本発明は、また、上記風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物を含むドレッシングを提供する。
上記風味劣化抑制ドレッシングは、例えば、水中油滴型に乳化した半固体状ドレッシング、又は分離液状ドレッシングである。
本発明は、また、上記風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物をドレッシング食材に添加することを含む、ドレッシングの風味劣化の抑制方法を提供する。
本発明は、また、風味劣化抑制ドレッシングの製造方法であって、ドレッシング食材に食用油脂とレシチンとを添加する工程を含むことを特徴とする、前記ドレッシングの製造方法を提供する。
本発明の風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物を用いたドレッシングは、風味の劣化、特に明所保存時の風味の劣化が有意に抑制される。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。本発明の風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、食用油脂、及びレシチンを含む。
前記食用油脂は、ドレッシング用に適したものであれば特に制限なく使用可能であるが、通常、精製油である。食用油脂の例には、大豆油、菜種油、コーン油、亜麻仁油、パーム油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、並びに、これらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。これらの油脂は、単独又は二種以上混合して用いることができる。食用油脂は、好ましくは大豆油、菜種油、コーン油及び亜麻仁油からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
前記食用油脂は、本発明の組成物のベース油となるものであり、好ましくは融点が10℃以下、より好ましくは0℃以下である。なお、本明細書で、融点は、上昇融点を意味する。上昇融点は、基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996に準じて測定することができる。
本発明の組成物中の食用油脂の含有量は、組成物に対して、通常、70質量%以上でよく、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。食用油脂の含有量の上限は特にないが、食用油脂とレシチンの合計が100質量%以下である。
前記食用油脂が大豆油を含む場合、その含有量は、油脂組成物に対して、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、さらに好ましくは48質量%以上である。前記大豆油の含有量の上限は特にないが、大豆油とレシチンの合計が100質量%以下である。前記大豆油は、明所保存時の風味劣化の発現が強いため、本発明の油脂組成物は、ドレッシングの明所保存下における風味劣化の抑制効果を大いに発揮する。
前記レシチンは、製造方法又はリン脂質の純度に応じて、クルードレシチン(粗製レシチンやペーストレシチンともいう)、脱油レシチン(粉末レシチンともいう)、分別レシチン(精製レシチンともいう)、及び酵素処理レシチンに分別される。
クルードレシチンは、油糧種子から精製油を製造する工程中の脱ガム工程で分離されるガム質を、通常、水分1%以下に乾燥することにより得られる。そのようなクルードレシチンは、通常、リン脂質を30~70質量%含む。
脱油レシチンは、クルードレシチンを溶剤分別にかけて、脂質及びその他の微量成分を除去することにより得られる高純度レシチンである。この脱油レシチンのアセトン可溶物含有量は、通常、10質量%以下でよく、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。そのような脱油レシチンは、通常、リン脂質を50~99質量%含む。
分別レシチンは、クルードレシチン又は脱油レシチンを、溶剤分別及びその他の分別技術により、個々のリン脂質濃度を一定以上まで高めたものである。
前記レシチンは、植物由来である限り、特に限定されず、例えば、大豆レシチン、菜種レシチン、ひまわりレシチン、綿実レシチン、とうもろこしレシチン、落花生レシチン、パームレシチン、ゴマレシチン、米レシチン、エゴマレシチン、アマニレシチン等が挙げられる。好ましくは大豆レシチン、菜種レシチン及びひまわりレシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは大豆レシチン及び菜種レシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、さらに好ましくは大豆レシチンである。
前記レシチンは、市販のものを特に制限なく使用可能である。市販のレシチンの例には、大豆クルードレシチンとして製品名:レシチンAY(株式会社J-オイルミルズ製)等が挙げられる。
前記レシチンは、一種単独でも、二種以上の併用でもよい。前記レシチンは、好ましくはクルードレシチンである。
また、前記レシチンのアセトン不溶物含量は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましく、55質量%以上70質量%以下がさらに好ましく、55質量%以上68質量%以下がさらにより好ましい。
前記レシチンのアセトン不溶物含量は、食品添加物公定法分析試験法により測定できる。具体的には、以下のような測定により求められる、アセトン不溶物換算値である。レシチン約2gの質量(A)を精密に量り、これを50mL目盛付共栓遠心管に入れ、石油エーテル3mLを加えて溶かし、アセトン15mLを加えてよくかき混ぜた後、氷水中に15分間放置する。これにあらかじめ0~5℃に冷却したアセトンを加えて50mLとし、よくかき混ぜ、氷水中に15分間放置した後、毎分約3000回転で10分間遠心分離し、上層液をフラスコに採る。さらに共栓遠心管の沈殿物に0~5℃のアセトンを加えて50mLとし、氷水中で冷却しながらよくかき混ぜた後、同様に遠心分離する。この上層液を先のフラスコに合わせ、水浴上で蒸留し、残留物を105℃で1時間乾燥し、その質量(B)を精密に量る。
この測定により、レシチン中のアセトン不溶物含量が、以下の数式により算出される。
Figure 0007074427000001
前記レシチンの含有量は、通常、0.0005質量%以上3質量%以下でよく、好ましくは0.0008質量%以上1.5質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以上0.8質量%以下であり、さらにより好ましくは0.008質量%以上0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下であり、最も好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。本発明の組成物において、レシチンの含有量を所定量とすることで、レシチン由来の異風味が少なく、風味劣化の抑制効果を得ることができる。
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない限り、油脂組成物に使用されている汎用の助剤を添加可能である。そのような助剤の例は、トコフェロール等の抗酸化剤;香料;着色剤;シリコーン;乳化剤等が挙げられる。
本発明は、また、風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物の製造方法であって、食用油脂にレシチンを添加する工程を含むことを特徴とする、前記ドレッシング用油脂組成物の製造方法を提供する。前記食用油脂は、通常、精製油である。
前記食用油脂の前記大豆油の含有量は、好ましくは16質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは18質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは42質量%以上100質量%以下であり、さらにより好ましくは48質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
本発明は、また、風味劣化抑制ドレッシング用油脂組成物をドレッシング食材に添加することを含む、ドレッシングの風味劣化の抑制方法を提供する。前記風味劣化は、例えば、明所保存時の風味劣化である。
本発明は、また、風味劣化抑制ドレッシングの製造方法であって、ドレッシング食材に食用油脂とレシチンとを添加する工程を含むことを特徴とする、前記ドレッシングの製造方法を提供する。
本発明は、また、上記ドレッシング用油脂組成物を含むドレッシングを提供する。ドレッシングは、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状である。半固体状ドレッシングの粘度は、通常、30Pa・s以上(室温)である。乳化液状ドレッシングの粘度は、通常、30Pa・s未満(室温)である。本発明のドレッシングは、好ましくは水中油滴型に乳化した半固体状ドレッシング、又は分離液状ドレッシングからなる一種であり、より好ましくは分離液状ドレッシングである。
ドレッシングに含まれる本発明の油脂組成物の含有量は、特に限定されないが、ドレッシングの合計量に対して、好ましくは10質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上95質量%以下であり、さらにより好ましくは50質量%以上90質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
前記ドレッシングの製造方法及び前記ドレッシングに使用するドレッシング食材は、ドレッシングの食用油脂以外の原材料となるもののことであり、例えば食酢若しくは柑橘類の果汁を必須に含み、食塩、砂糖類、香辛料等の調味料、及び副原料を適宜含む。
上記食酢を、製造方法による分類によって例示すると、醸造酢、合成酢、及び黒酢がある。上記食酢を、原料による分類によって例示すると、穀物酢(小麦等)、きび酢、米酢、玄米酢、りんご酢、柿酢、梅酢、ワインビネガー等がある。
上記柑橘類の果汁の例には、レモン、ライム、シトロン、ゆず、かぼす、すだち、シークワーサー等の果汁が含まれる。
上記副原料は、ドレッシング製品に応じて、ピクルス、ニンジン、たまねぎ、にんにく、ハーブ(バジル等)、しょうが、らっきょう、トマト、パプリカ、マッシュルーム、ゴマ、チーズ、味噌等の副原料を添加してもよい。
ドレッシングの製造は、具体的には、上記ドレッシング食材、並びに食用油脂及びレシチンを混合、攪拌することを含む。ドレッシングは、通常、室温以下の温度で製造されるものである。したがって、本発明の組成物もまた、通常、室温以下、好ましくは1~10℃で使用される。
水中油滴型に乳化した半固体状ドレッシングの一種であるマヨネーズは、卵黄、食酢(例えば醸造酢)、食用油脂(本発明の油脂組成物)、及び調味料(食塩、砂糖類、はちみつ、香辛料、アミノ酸等)を含む原材料を攪拌し、乳化することで得られる。油脂組成物以外の原料を混合した後、油脂組成物を添加・攪拌することにより乳化させてもよい。
本発明のドレッシングは、明所保存時の風味劣化を抑制することができる。したがって、本発明のドレッシングは、透明または半透明のガラス製やプラスチック製のボトル、チューブ等の容器に充填及び保存される際に、その効果をより明確に発揮する。
以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例2
1.ドレッシング用油脂組成物の調製
ベース油としての大豆油(製品名:大豆白絞油NS、株式会社J-オイルミルズ製)と表1に示す大豆由来のクルードレシチン(製品名:レシチンAY、株式会社J-オイルミルズ製、アセトン不溶物含量:66質量%、以下、「大豆クルードレシチン」ともいう)とを表1に示す割合で混合することにより、ドレッシング用油脂組成物を調製した。大豆クルードレシチンを添加しない大豆油を本発明の対照として用意した。
2.ドレッシングの調製
以下の手順で、ドレッシングとしてマヨネーズを調製した。全卵20g、穀物酢10g、及び食塩2gを混合し、この混合物に上記油脂組成物168gを徐々に加えながら攪拌することにより、200gのマヨネーズを調製した。
3.ドレッシングの明所保存下における風味劣化の抑制試験(風味試験)
調製したマヨネーズ25gを、透明ガラスバイアル瓶(容量 50mL)に入れ、蓋を閉めた後、24℃の温度で1000Luxの蛍光灯照射下に7日間放置した。放置後のマヨネーズを4名のパネラーが食して、その風味劣化を以下の基準で評価した。評価結果は、パネラーの合意に基づく。結果を表1に示す。
≪評価基準≫
×: 風味劣化が対照と同等若しくは強い
△: 風味劣化が対照よりやや改善されている
○: 風味劣化が対照より改善されている
◎: 風味劣化が対照よりかなり改善されている
Figure 0007074427000002
表1から以下のことがわかる。比較例1のように大豆油のみからなる油脂を使用した場合は、光照射により風味劣化を生じる。本発明に従う実施例2のように、大豆クルードレシチンを添加した場合、ドレッシングの明所保存下における風味劣化は、比較例1よりも有意に抑制された。
〔実施例4~5〕分離液状ドレッシングでの評価
以下の手順で、分離液状ドレッシングを調製した。具体的には、表2に示した油脂組成物のいずれかを32.5g、穀物酢15g、食塩0.5g、及び砂糖2.0gを混合することにより、50gの分離液状ドレッシングを調製した。
次に、分離液状ドレッシングの明所保存下における風味劣化の抑制試験(風味試験)を以下の手順で実施した。調製した分離液状ドレッシング25gを透明ガラスバイアル瓶(容量 50mL)に入れ、蓋を閉めた後、1000Luxの蛍光灯照射下に7日間放置した。放置後の分離液状ドレッシングを4名のパネラーが食して、その風味を以下の基準で評価した。評価結果は、パネラーの合意に基づく。結果を表2に示す。
≪風味評価基準≫
×: 風味劣化が対照と同等若しくは強い
△: 風味劣化が対照よりやや改善されている
○: 風味劣化が対照より改善されている
◎: 風味劣化が対照よりかなり改善されている
Figure 0007074427000003
表2に示すように、本発明のドレッシング用油脂組成物は、マヨネーズのみならず分離液状ドレッシングにおいても、風味劣化の抑制効果があることが確認できた。また、上記風味試験で蛍光灯照射後に得られた分離液状ドレッシングをサラダに付けて食したところ、実施例5では風味劣化がかなり弱く、実際に食する形態でも、本発明の効果を確認することができた。
表2から、ベース油としての大豆油にレシチン添加した本発明のドレッシング用油脂組成物は、レシチンの添加量が油脂組成物に対して0.001質量%~1.0質量%において、明所保存下における風味劣化を抑制できることがわかる。なお、1.0質量%添加した場合、異風味が若干あった。よって、ドレッシング用油脂組成物のベース油が大豆油の場合、ドレッシングの明所保存下における風味劣化を抑制するために、レシチンの含有量は、0.001質量%超1質量%未満が好ましく、さらに0.01質量%以上0.1質量%以下が好ましい。
〔実施例8〕レシチンの原料の変更試験
比較例10又は実施例4において、レシチンを大豆クルードレシチンから菜種由来のレシチン(社内調製品、アセトン不溶物含量:95質量%、以下、「菜種レシチン」ともいう)に変更した以外は、比較例10又は実施例4と同一の手順で、ドレッシング用油脂組成物を調製した。得られたドレッシング用油脂組成物を用いて、比較例10と同一の手順で分離液状ドレッシングを調製し、その明所保存下における風味劣化の抑制試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007074427000004
表3から、菜種レシチンを添加した本発明のドレッシング用油脂組成物によっても、明所保存下におけるドレッシングの風味劣化を抑制できることがわかる。
〔実施例9~10〕ベース油の変更試験
ベース油を大豆油から表4に示す配合油に変更した以外は実施例4と同一の手順で、油脂組成物を調製し、その明所保存下における風味劣化の抑制試験を行った。結果を表4に示す。油脂組成物の対照として、大豆クルードレシチンを添加しない配合油も用意した。上記配合油に用いた食用油脂(精製油)として、菜種油(製品名:AJINOMOTOさらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製)、及びコーン油(製品名:AJINOMOTO胚芽の恵みコーン油、株式会社J-オイルミルズ製)、及び亜麻仁油(太田油脂株式会社製)を用いた。また、表4に記載のベース油の融点は、いずれも0℃以下であった。
Figure 0007074427000005
表4から、実施例4及び実施例9~10に示すいずれの油脂組成物においても、レシチンを含まない対照に比べドレッシングの明所保存下における風味劣化が改善されたことがわかる。特に、食用油脂に含まれる大豆油の含有量が50質量%以上であるとその改善効果が顕著であった。

Claims (12)

  1. 食用油脂及び植物由来のクルードレシチンを含む、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状のドレッシングの明所保存時の風味劣化を抑制するための油脂組成物(レシチン含有油脂を70℃以上160℃以下の温度で加熱処理して得られる油脂、並びに水相成分20~50重量%と油層成分80~50重量%からなる水中油型乳化油脂組成物において、イ)乳化剤として、HLB値が10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルおよびレシチンを併用し、ロ)多価アルコールを5~45重量%含有することを特徴とする水中油型乳化油脂組成物を除く。)であって、
    前記食用油脂に大豆油を含み、
    前記大豆油の含有量が前記食用油脂に対して50質量%以上であり、
    前記クルードレシチンの含有量が前記油脂組成物に対して0.008質量%以上0.5質量%以下である、前記油脂組成物。
  2. 前記食用油脂の融点が10℃以下である、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記食用油脂として、菜種油、コーン油及び亜麻仁油からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 前記クルードレシチンのアセトン不溶物含有量が50質量%以上100質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  5. 前記油脂組成物に対して、前記大豆油を45質量%以上含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  6. 前記クルードレシチンが、大豆レシチン、菜種レシチン及びひまわりレシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  7. 透明又は半透明の容器に充填又は保存されるための請求項1~6のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  8. 水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状のドレッシングの明所保存時の風味劣化を抑制するための油脂組成物(水相成分20~50重量%と油層成分80~50重量%からなる水中油型乳化油脂組成物において、イ)乳化剤として、HLB値が10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルおよびレシチンを併用し、ロ)多価アルコールを5~45重量%含有することを特徴とする水中油型乳化油脂組成物を除く。)の製造方法であって、
    食用油脂に植物由来のクルードレシチンを添加する工程を含み、
    前記食用油脂に大豆油を含み、
    前記大豆油の含有量が前記食用油脂に対して50質量%以上であり、
    前記クルードレシチンの含有量が前記油脂組成物に対して0.008質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする、前記油脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の油脂組成物を含む、風味劣化を抑制しながら明所保存するための水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状のドレッシング。
  10. 水中油滴型に乳化した半固体状ドレッシング、又は分離液状ドレッシングである、請求項9に記載のドレッシング。
  11. 請求項1~7のいずれか1項に記載の油脂組成物をドレッシング食材に添加することを含む、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状のドレッシングの明所保存時の風味劣化の抑制方法。
  12. 請求項1~7のいずれか1項に記載の油脂組成物をドレッシング食材に添加する工程を含む、明所保存時の風味劣化が抑制される水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状、又は分離液状のドレッシングの製造方法。
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