JP7066997B2 - 鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材に関する。
化学プラントの設備等に用いられる鋼材には、高い耐酸性が要求される。このため、MoまたはW等の高価な元素を含有させることで、鋼材の耐食性を確保することが一般的である。近年、硫酸アンモニウム混入液等のアンモニウムイオンを含む環境に晒される鋼材において、高価な元素を含有させているにもかかわらず、腐食により配管等が大きな損傷を受けることがわかってきた。
このような問題に対し、従来、種々の高耐食ステンレス鋼が提案されている。例えば、特許文献1では、Mo、Wなどを含有する、石炭焚火力発電プラント煙突内筒用耐食鋼が提案されている。
特開2001-262285号公報
W、Moなどを含有する鋼材は耐酸性に優れ、焼却施設の排ガス煙突などの腐食環境において、優れた耐食性を発揮する。しかし、本発明者らの研究により、硫酸アンモニウムが生成する環境では、MoおよびWを含有するにもかかわらず、耐食性が十分ではないことがわかってきた。
本発明は、上記の課題を解決し、耐硫酸アンモニウム混入液等のアンモニウムイオンを含む環境において、安価で長期の耐食性を備える鋼材を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、下記の鋼材を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.01~0.15%、
Si:0.05~0.50%、
Mn:0.10~2.00%、
Al:0.001~0.100%、
N:0.0020~0.10%、
Cr:0.10~9.0%、
Nb:0.001~0.10%、
Mo:0.20%以下、
W:0.20%以下、
P:0.020%以下、
S:0.015%以下、
O:0.0035%以下、
Cu:0~0.40%、
Ni:0~0.40%、
Ti:0~0.10%、
Zr:0~0.10%、
V:0~0.20%、
B:0~0.0030%、
Ca:0~0.010%、
Mg:0~0.010%、
REM:0~0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で表わされるAIの値が0~2.5であり、かつ下記(ii)式で表わされるEIの値が0~15.0である、
鋼材。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
但し、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.03~0.40%、および、
Ni:0.03~0.40%、
から選択される1種または2種を含有する、
上記(1)に記載の鋼材。
(3)前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.001~0.10%、
Zr:0.005~0.10%、および、
V:0.005~0.20%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
(4)前記化学組成が、質量%で、
B:0.0003~0.0030%、
を含有する、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼材。
(5)前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.00005~0.010%、
Mg:0.0001~0.010%、および、
REM:0.0001~0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の鋼材。
本発明によれば、化学プラントなどの硫酸アンモニウム混入液等のアンモニウムイオンを含む腐食環境において優れた耐食性を発現する鋼材を得ることが可能になる。
本発明者らは、製鉄所内で発生するコークスガスの配管で、激しく腐食が生じる原因について調査を行った。特に、腐食が激しい部位の堆積物およびドレン水の成分を調査したところ、NH およびSO 2-が多量に含まれることが判明した。
そこで、各種元素を鉄に含有させて硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムをそれぞれ含む水溶液中で分極測定を行い、腐食抑制について調査した。その結果、Crがアンモニウムイオンの還元を抑制することを見出した。また、Mo、W、Ni等の元素は、通常の耐食鋼では耐食性を向上させる有利な元素であるものの、含有量が過剰であると、硫酸アンモニウム混入液等のアンモニウムイオンを含む環境において著しく耐食性を劣化させることが明らかになった。さらに、Cの含有量によっては、耐食性が劣化することがわかった。
本発明者らによるさらなる検討の結果、Mo、W、Ni、Cの含有量のバランスが重要であり、下記(i)式で表わされる第1の耐食性指数AIを適正な範囲とすることが必要であることがわかった。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
また、さらなる耐食性を確保するためには、Cr、CuおよびNiの含有量の割合が重要であるという知見を得た。CuおよびNiはアンモニウムイオンを含む環境においては耐食性劣化元素であり、含有させない方が好ましい。しかし、例えば、母材の機械的特性または溶接性を向上させる理由等で、これらの元素を含有させる必要がある。
そして、CuおよびNiを含む場合においても、所定量のCrを含有させ、下記(ii)式で表わされる第2の耐食性指数EIを適正な範囲とすることにより、アンモニウムイオンを含む環境における耐食性を確保できることがわかった。
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
EIの値を制御することによって耐食性を確保できる理由については明らかではないが、以下の理由が考えられる。すなわち、CuおよびNiは、アンモニウムイオンを含む環境中ではアンモニウムイオンとの錯体を形成しやすいため、鋼材の腐食を助長する作用がある。一方、CrはFeと同様に、アンモニウムイオンとの錯体は形成しにくいため、耐食性を向上させる。さらに、Crは鋼表面に不動態皮膜を形成させる能力を有し、鋼中のNiおよびCuが鋼材表面でアンモニウムイオンと錯体を形成することを抑制するため、CuおよびNiによる耐食性の劣化を抑制する。
また、CrはCuに対しては同量以上含有させればよいが、Niに対しては2.5倍以上含有させる必要がある。これは、Cuに比べてNiの方が地鉄から溶解しやすいためであると考えられる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
(A)化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.01~0.15%
Cは、強度を向上させる元素であり、0.01%以上含有させる必要がある。一方、C含有量が0.15%を超えると炭化物が増加し、耐酸性が劣化するため、C含有量を0.15%以下とする。C含有量は0.02%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.10%以下であるのが好ましく、0.08%以下であるのがより好ましい。
Si:0.05~0.50%
Siは、脱酸および強度の向上に寄与する元素であり、また、酸化物の形態を制御するため、0.05%以上含有させる必要がある。一方、0.50%を超える量のSiを含有させると酸化物が増加し、耐酸性を損なうため、Si含有量を0.50%以下に制限する。Si含有量は0.07%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.40%以下であるのが好ましい。
Mn:0.10~2.00%
Mnは、強度および靭性を向上させる元素であり、0.10%以上含有させる必要がある。一方、2.00%を超える量のMnを含有させると、粗大なMnSが生成し、耐食性および機械特性が劣化するため、Mn含有量を2.00%以下とする。Mn含有量は0.60%以上であるのが好ましい。また、Mn含有量は1.50%以下であるのが好ましく、1.00%以下であるのがより好ましい。
Al:0.001~0.100%
Alは、脱酸剤であり、0.001%以上含有させる必要がある。一方、Alを過剰に含有させると、介在物の増加によって、耐酸性を損なうため、Al含有量を0.100%以下とする。Al含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.080%以下であるのが好ましい。
N:0.0020~0.10%
Nは、微細な窒化物によって圧延時のスラブ加熱におけるγ粒の粗大化抑制に有効であり、0.0020%以上含有させる必要がある。一方、Nを過剰に含有させると粗大な窒化物が形成し母材の機械特性を劣化させることから、N含有量は0.10%以下とする。高温加熱時においても窒化物のピン止め効果によるγ粒の粗大化抑制を十分作用させるためには、N含有量を0.0035%以上とすることが好ましい。
Cr:0.10~9.0%
Crは、アンモニウムイオンの還元を抑制する元素であり、0.10%以上含有させる必要がある。一方、過剰に含有させても、アンモニウムイオンを含む環境での耐食効果は飽和するため、Cr含有量は9.0%以下とする。Cr含有量は0.50%以上であるのが好ましい。また、Cr含有量は8.0%以下であるのが好ましく、7.0%以下であるのがより好ましく、6.0%以下であるのがさらに好ましい。
Nb:0.001~0.10%
Nbは、窒化物を形成する元素であり、結晶粒の微細化および強度の向上を目的として、0.001%以上含有させる。一方、0.10%を超える量のNbを含有させると、機械特性が劣化するため、Nb含有量は0.10%以下とする。Nb含有量は0.005%以上であるのが好ましい。また、Nb含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。
Mo:0.20%以下
W:0.20%以下
MoおよびWは、アンモニウムイオンを含む環境では、多量に含有させると耐食性を大きく劣化させるため、その含有量を制限する必要がある。そのため、MoおよびWの含有量はそれぞれ、0.20%以下とする。MoおよびWの含有量はそれぞれ、0.10%以下であるのが好ましく、0.05%以下であるのがより好ましい。
P:0.020%以下
Pは、不純物であり、鋼材の機械特性および生産性を低下させるため、P含有量を0.020%以下とする。P含有量の下限は限定せず、0%でもよいが、コストの観点からP含有量は0.001%以上であってもよい。
S:0.015%以下
Sは、一般に不純物として含有され、熱間加工性および鋼材の機械特性を低下させるため、S含有量を0.015%以下とする。S含有量の下限は限定せず、0%でもよい。Sは、Cuとともに含有させると、酸性環境での耐食性を向上させることから、S含有量は0.001%以上であってもよい。上記の効果を得たい場合は、S含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.010%以上であるのがより好ましい。
O:0.0035%以下
Oは、一般に不純物として含有され、酸化物を生成する元素である。酸性環境において腐食の起点となる粗大な酸化物の生成を抑制するため、O含有量を0.0035%以下とする。O含有量は0.0030%以下であるのが好ましく、0.0025%以下であるのがより好ましい。O含有量の下限は限定せず、0%でもよいが、コストの観点からO含有量は0.0005%以上であってもよい。
以下に示す元素は任意添加元素であるため、下限値は0%でもよい。
Cu:0~0.40%
Cuは、アンモニウムイオンを含む環境では耐食性を劣化させる元素である。特に、Cu含有量が0.40%を超えるとアンモニウムイオンを含む環境において耐食性が著しく低下するため、0.40%以下とする。Cu含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。但し、CuをSとともに含有させることで酸性環境での耐食性を向上させることから、Cu含有量は0.03%以上であることが好ましい。
Ni:0~0.40%
Niは、Cuと同様、アンモニウムイオンを含む環境では耐食性を劣化させる元素である。特に、Ni含有量が0.40%を超えるとアンモニウムイオンを含む環境において耐食性が著しく低下するため、0.40%以下とする。Ni含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。但し、Niは酸性環境での耐食性を向上させる効果を有するため、Ni含有量は0.03%以上であることが好ましい。
Ti:0~0.10%
Tiは、Nbと同様に窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.10%を超える量のTiを含有させると、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化することがあるため、Ti含有量は0.10%以下とする。Ti含有量は0.080%以下であるのが好ましく、0.050%以下であるのがより好ましく、0.040%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
Zr:0~0.10%
Zrは、Nb、Tiと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrは高価な元素であり、また、過剰に含有させると、機械特性が劣化するため、Zr含有量は0.10%以下とする。Zr含有量は0.080%以下であるのが好ましく、0.050%以下であるのがより好ましく、0.040%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Zr含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
V:0~0.20%
Vは、Nb、Ti、Zrと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると、機械特性が劣化するため、V含有量は0.20%以下とする。V含有量は0.15%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましく、0.050%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、V含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
B:0~0.0030%
Bは、焼入性を向上させ、強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.0030%を超える量のBを含有させても、効果が飽和し、母材、HAZの靭性が低下するため、B含有量は0.0030%以下とする。B含有量は0.0020%以下であるのが好ましく、0.0010%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
Ca:0~0.010%
Caは、主に硫化物の形態の制御に用いられる元素であり、また、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.010%を超える量のCaを含有させると機械特性が損なわれるため、Ca含有量は0.010%以下とする。Ca含有量は0.005%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ca含有量は0.00005%以上であるのが好ましく、0.0001%以上であるのがより好ましく、0.00015%以上であるのがさらに好ましい。
Mg:0~0.010%
Mgは、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、製造コストの観点から、Mg含有量は0.010%以下とする。Mg含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Mg含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
REM:0~0.010%
REM(希土類元素)は、主に脱酸に用いられる元素であり、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、製造コストの観点から、REM含有量は0.010%以下とする。REM含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、REM含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称である。これらの17元素のうちの1種以上を鋼材に含有することができ、REM含有量は、これらの元素の合計含有量を意味する。
本発明の鋼材の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明においては、上述の化学組成を有することに加えて、以下に示す耐食性指数AIおよびEIが所定の条件を満足する必要がある。
AI:0~2.5
第1の耐食性指数AIは、下記(i)式で表わされる値であり、Mo原子、W原子およびNi原子の数の合計と、炭素原子の数との比である。鋼材表面で腐食起点となりやすい炭化物を抑制するため、AIの値を適正な範囲にする必要がある。MoおよびWは、特に耐酸性の向上に有効であるものの、含有量が過剰であると腐食の起点となる炭化物を形成しやすく耐食性を大きく劣化させる原因となるため、耐酸性を顕著に向上させるには、耐食性指数AIを2.5以下にする必要がある。AIの値は、2.0以下であるのが好ましく、1.5以下であるのがより好ましい。下限値は0である。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
EI:0~15.0
第2の耐食性指数EIは、下記(ii)式で表わされる値である。上述のように、CuおよびNiによる耐食性の劣化を抑制するためには、CuおよびNiの含有量に対して、Crを所定量含有させる必要があり、耐食性指数EIを0以上とする必要がある。一方、CuおよびNiを含有させずにCrを7.5%以上含有させると、母材の機械特性、製造性および加工性が低下するため、EIは15.0以下とする。下限値は0である。
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
(B)用途
本発明に係る鋼材の用途について、特に制限を設ける必要はないが、上述のように、アンモニウムイオンを含む環境で用いるのに好適である。具体的には、本発明に係る鋼材は、硫酸アンモニウムに晒される化学工場の設備等で使用される材料として好適である。
より具体的には、本発明に係る鋼材は、(1)硫酸とアンモニアとの中和合成による医薬品、試薬等の製造工場の設備、(2)コークス炉ガスから副産硫酸アンモニウムを回収する工場の設備、(3)ナイロンの原料であるカプロラクタムの合成設備、(4)アクリルアミドの合成設備、(5)石炭ボイラーの排ガス設備、(6)粉末消火薬剤の再生設備(リン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウム使用)、(7)窒素酸化物の還元設備、(8)ウレタン生成設備、等の化学プラントで使用される材料として好適である。
(C)形状・寸法
本発明に係る鋼材の形状および寸法についても特に制限は設けない。鋼材には例えば、鋼板、形鋼、鋼管が含まれる。鋼板として用いる場合には、板厚が3mm以上であるのが好ましく、6mm以上であるのがより好ましい。また、鋼管として用いる場合にも同様に、肉厚が3mm以上であるのが好ましく、6mm以上であるのがより好ましい。
(D)製造方法
本発明に係る鋼材の製造条件について特に制限はないが、例えば、以下に示す方法により、製造することができる。
鋼板を製造する場合は、まず、上述の化学組成を有する鋼を常法で溶製し、鋳造して鋼片とする。続いて得られた鋼片を熱間圧延し、さらに必要に応じて冷間圧延を施す。熱間圧延後は、そのまま水冷するか、または空冷した後、再加熱して焼入れてもよい。熱間圧延後は、コイル状に巻き取ってもよい。熱間圧延後、冷間圧延して、さらに熱処理を施してもよい。
鋼管を製造する場合は、上記の方法で得られた鋼板を管状に成形して溶接してもよく、UO鋼管、電縫鋼管、鍛接鋼管、スパイラル鋼管などにすることができる。または、鋼片に熱間押出または穿孔圧延を施してシームレス鋼管としてもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、鋼塊を1150℃で2時間加熱後、厚さが20mmとなるように熱間圧延し、その後、空冷して鋼板を製造した。
Figure 0007066997000001
得られた鋼板から長さ50mm、幅25mm、厚さ3mmの試験片を板幅中央部、板厚1/4t部から採取し、湿式#600研磨で仕上げ、耐食性評価用の試験片とした。耐食性の評価は硫酸アンモニウム浸漬試験によって行った。硫酸アンモニウム水溶液の濃度を1モル、液温を80℃に加熱して1週間浸漬させた後、腐食減量を測定した。そして、上記の腐食減量を指標として、耐食性を評価した。比液量は20mL/cmとした。
耐食性の評価においては、比較例の試験No.27を基準として、腐食減量が50%以下に低下したものを◎、50%超70%以下に低下したものを○、70%超であるものを×とした。結果を表2に示す。
Figure 0007066997000002
表2から明らかなように、本発明で規定される化学組成を満たす試験No.1~26の鋼材は、良好な耐食性を有していることがわかる。これに対して、本発明の規定から外れる比較例の試験No.28~33の鋼材は、耐食性が劣る結果となった。
本発明によれば、化学プラントなどの硫酸アンモニウム混入液等のアンモニウムイオンを含む腐食環境において優れた耐食性を発現する鋼材を得ることが可能になる。

Claims (5)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.01~0.15%、
    Si:0.05~0.40%、
    Mn:0.50~2.00%、
    Al:0.001~0.100%、
    N:0.0020~0.10%(但し、0.0130%以上を除く。)
    Cr:0.10~9.0%(但し、0.30%以下を除く。)
    Nb:0.001~0.10%、
    Mo:0.20%以下、
    W:0.20%以下、
    P:0.020%以下、
    S:0.0020%以上0.015%以下、
    O:0.0035%以下、
    Cu:0~0.40%、
    Ni:0~0.40%、
    Ti:0~0.10%、
    Zr:0~0.10%、
    V:0~0.20%、
    B:0~0.0030%、
    Ca:0~0.010%、
    Mg:0~0.010%、
    REM:0~0.010%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式で表わされるAIの値が0~2.5(但し、0を除く。)であり、かつ下記(ii)式で表わされるEIの値が0~15.0(但し、0.0を除く。)である、
    鋼材。
    AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
    EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
    但し、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.03~0.40%、および、
    Ni:0.03~0.40%、
    から選択される1種または2種を含有する、
    請求項1に記載の鋼材。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    Ti:0.001~0.10%、
    Zr:0.005~0.10%、および、
    V:0.005~0.20%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項1または請求項2に記載の鋼材。
  4. 前記化学組成が、質量%で、
    B:0.0003~0.0030%、
    を含有する、
    請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼材。
  5. 前記化学組成が、質量%で、
    Ca:0.00005~0.010%、
    Mg:0.0001~0.010%、および、
    REM:0.0001~0.010%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項1から請求項4までのいずれかに記載の鋼材。
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