JP7063830B2 - 燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法 - Google Patents

燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法、より詳細には、実物により近い、カーボン積層構造の生成、アイオノマーの配置及び触媒活性が異なる白金の配置を表現することができる燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法に関する。
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池として固体高分子型燃料電池がエネルギー源として注目されている。固体高分子型燃料電池は、室温作動が可能であり、出力密度も高いため、自動車用途などに適した形態として、活発に研究されている。
燃料電池を構成する部材は高価であることから、燃料電池の設計、製造の際には、シミュレーション(模擬)技術が広く活用されている。燃料電池の性能予測シミュレーションでは、実物と同等の触媒層モデルが必要である。
例えば、特許文献1は、触媒層の幾何形状及び特性データから触媒層のモデル化を行うモデル作成手段を開示している。
特許文献2は、気孔率及び気孔サイズ分布などの気孔に関する情報に基づいて複数の粒状体からなる骨格を含む多孔体モデルを作成する方法を開示している。特許文献2では、割り当て数を算出した気孔の気孔サイズが、気孔と粒状体との界面に形成されるアイオノマーの厚さに基づいて補正される。
特許文献3は、電解質膜の両主面に触媒層を配置した燃料電池の前記触媒層の性能を算出する燃料電池のシミュレーション方法であって、前記触媒層の物質輸送を記述するボルツマン方程式のモデル方程式の解を格子ボルツマン法を用いて、前記触媒層の実構造に基づく前記触媒層の性能を算出する、燃料電池のシミュレーション方法を開示している。
また、非特許文献1は、DLVOポテンシャルに基づいたカーボン配置を開示しており、そのカーボンの形状は、球体の連なりから形成された仮想的な形状である。
特開2009-193672号公報 特開2010-128746号公報 特開2017-139158号公報
G.Inoue及びM.Kawase、「Understanding formation mechanism of heterogeneous porous structure of catalyst layer in polymer electrolyte fuel cell」、International Journal of Hydrogen Energy、41(46)、pp.21352-21365、2016年
しかしながら、特許文献1~3には、触媒層の3D立体幾何形状を具体的にモデル化する方法は開示されていない。また、非特許文献1においても、触媒層の実形状に基づく立体干渉の影響が3D立体構造に反映されていない。
例えば、図1に、非特許文献1に記載の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法を示す。図1では、黒はカーボンを示し、グレーはアイオノマーを示す。図1では、カーボンの形状を球体の連なりから仮想的に生成しているため、その形状からなるカーボンを積層してカーボン積層構造を形成させ、そこにアイオノマーを配置(付着)させたとしても、実際の触媒層の構造と同等の構造を生成することができない。
つまり、従来の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法では、実際の触媒層において使用される内部に空孔(空隙部)を有するカーボンを表現すること(例えば、カーボン径よりも小さい空隙部を任意の位置に設定すること)が困難であり、得られるカーボン積層構造は、実物と異なる形状を有し得る。
さらに、カーボンとして内部に空隙部を有するカーボンのモデルを使用したとしても、カーボンの空隙部にアイオノマーが詰まることがあり、アイオノマーの配置が実物と相違する場合がある。
実際の触媒層では、中空内部の触媒(空隙部内の触媒、例えば空隙部内の白金(Pt))は他の位置の触媒(空隙部外の触媒、例えば空隙部外の白金(Pt))よりも高活性であり、これは、アイオノマーに被覆されていない触媒が触媒被毒を免れて高活性になっているためと推察される。図2に、触媒層における空隙部の内外に白金を有するカーボンを模式的に示す。図2では、黒はカーボンを示し、グレーはアイオノマーを示し、白丸は空隙部外の低活性な白金(Pt)を示し、白三角は、空隙部内の高活性な白金(Pt)を示す。よって、カーボン内部の空隙部がアイオノマーによって詰まらない形状を有し、触媒層中の白金が配置される場所によって異なる触媒活性を示すモデルを作成する必要がある。
したがって、本発明は、実物により近い、カーボン積層構造の生成、触媒活性が異なる白金の配置及びアイオノマーの配置を表現することができる燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法を提供することを課題とする。
触媒層構造は、触媒を担持したカーボン凝集体の積層構造(本明細書等では、「カーボン積層構造」ともいう)と、その構造内に配置されるアイオノマーとから成り立っており、ミクロレベルであり、且つ複雑である。したがって、その触媒層構造をシミュレーションするためには、一般的なCADソフトウェアではなく、専用のソフトウェアを用いることになる。その際、ニーズに合わせた構造生成手法が用意されていないことが多いため、独自で開発を進める必要がある。
本発明者らは、前記課題を解決するために、図3に示すように、非特許文献1に記載の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法において、仮想的に生成したカーボンの形状を、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られる3D画像(3D-TEM像)に置き換える方法(方法A)を開発した。
しかしながら、方法Aでは、カーボンの形状が中空構造の場合、アイオノマーを配置する際に、アイオノマーがカーボンの空隙部に詰まるという、実際の触媒層構造には見られない構造を生成してしまうことがわかった。図4に、方法Aにより作成された触媒層構造の断面図を示す。図4では、色の濃い方から順に、空隙(黒)、カーボン、アイオノマーを示す。
そこで、本発明者らは、さらに前記課題を解決するために、燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法において、第1に透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得し、第2に3D-TEM像により表されるカーボンが中空構造である場合に、中空構造における空隙部を後に取り除かれる物質Xにより置換し、第3にカーボンを積層してカーボン積層構造を作成し、第4に物質Xの内側表面及びカーボン積層構造の空隙(カーボン間の空隙)におけるカーボンの表面に白金を配置させ、第5にアイオノマーを配置させ、第6に物質Xを取り除いて再度空隙部を出現させることによって、実物により近いカーボン積層構造に、実物により近い状態でアイオノマーを配置させた燃料電池用触媒層を表現することができる方法(方法B)を開発した。
図5に、方法Bの一例を模式的に示し、図6に、方法Bにより作成された触媒層構造の断面図を示す。図5では、黒はカーボンを示し、カーボン形状の穴埋めにおけるグレーは物質Xを示し、Pt付着における白は白金を示し、アイオノマー付着におけるグレーはアイオノマーを示す。図6では、色の濃い方から順に、空隙(黒)、カーボン、アイオノマーを示す。
図5及び6より、方法Bにより、カーボン内部に空隙部が存在し、カーボン内部の空隙部がアイオノマーにより詰まっていない、実物により近いカーボン積層構造及びアイオノマーの配置を有する燃料電池用触媒層を表現できることがわかる。
しかしながら、方法Bでは、白金が配置場所に基づいて異なる触媒活性を有するという情報が与えられていないため、空隙部の内外の白金、すなわち物質Xの内側表面に配置された白金と、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に配置された白金とが区別されず、それぞれの白金は同じ触媒活性を有するよう設定される。したがって、方法Bでは、空隙部内の触媒、すなわち物質Xの内側表面に配置された白金が、空隙部外の触媒、すなわちカーボン間の空隙におけるカーボンの表面に配置された白金よりも高活性であるという実際の触媒層において起こり得る現象を再現できていない。
そこで、本発明者らは、さらに前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法において、第1に透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得し、第2に3D-TEM像により表されるカーボンが中空構造である場合に、中空構造における空隙部を後に取り除かれる物質Xにより置換し、第3にカーボンを積層してカーボン積層構造を作成し、第4に物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置させ、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置させ、第5にアイオノマーを配置させ、第6に物質Xを取り除いて再度空隙部を出現させることによって、実物により近いカーボン積層構造に、実物により近い状態で触媒活性が異なる白金及びアイオノマーを配置させた燃料電池用触媒層を表現することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法であって、
(i)透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得するステップ、
(ii)(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換するステップ、
(iii)(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンを積層してカーボン積層構造を作成するステップ、
(iv)(iii)で作成したカーボン積層構造において、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置し、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置するステップ、
(v)(iv)で触媒活性が異なる白金を配置したカーボン積層構造にアイオノマーを配置するステップ、及び
(vi)(v)でアイオノマーを配置したカーボン積層構造から物質Xを取り除くステップ
を含む、シミュレーションモデル作成方法。
(2)(ii)のステップにおいて、8nm以下の大きさの空隙部を、物質Xに置換する、(1)に記載のシミュレーションモデル作成方法。
本発明により、実物により近い、カーボン積層構造の生成、触媒活性が異なる白金の配置及びアイオノマーの配置を表現することができる燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法が提供される。
非特許文献1に記載の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法を模式的に示す図である。 触媒層における空隙部の内外にPtを有するカーボンを模式的に示す図である。 方法Aの一例を示す図である。 方法Aにより作成された触媒層構造の断面図を示す図である。 方法Bの一例を模式的に示す図である。 方法Bにより作成された触媒層構造の断面図を示す図である。 本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例を模式的に示す図である。 従来の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例により作成された触媒層構造の断面図(A)と、本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例により作成された触媒層構造の断面図(B)を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法は、(i)透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得するステップ、(ii)カーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換するステップ、(iii)カーボンを積層してカーボン積層構造を作成するステップ、(iv)白金を配置するステップ、(v)アイオノマーを配置するステップ、及び(vi)物質Xを取り除くステップを含む。
以下に、(i)~(vi)のステップについて詳細を示す。
(i)透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得するステップ
(i)のステップでは、透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得する。
本発明において、原料であるカーボンの3D-TEM像は、当該技術分野において公知である透過型電子顕微鏡により取得することができ、縦が、通常150nm~250nmであり、横が、通常100nm~200nmであり、奥行が、通常80nm~150nmである大きさ、例えば縦が200nmであり、横が150nmであり、奥行が100nmである大きさの範囲の3D-TEM像である。
原料であるカーボンの3D-TEM像は、1画像取得しても、複数画像、例えば2画像~触媒層を構成するカーボンの数の画像を取得してもよい。
(i)のステップにおいて、透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得することにより、(iii)のステップにおいて、実物により近いカーボン積層構造を作成することができる。
(ii)カーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換するステップ
(ii)のステップでは、(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換する。
燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xは、(vi)のステップにおいて取り除かれるため、燃料電池用触媒層に存在する物質(例えば、カーボン、アイオノマー、及び白金)以外の物質であれば限定されない。
(ii)のステップにおいて、(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換することで、(v)のステップにおいてアイオノマーを配置する際に、カーボン内部の空隙部がアイオノマーにより詰まることがなく、最終的に得られる燃料電池のシミュレーションと実物との差を小さくすることができる。
(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部は、全て物質Xで置換されてもよいが、物質Xで置換される空隙部の大きさを、円相当径としたときに通常8nm以下、例えば4nm以下に調節してもよい。
(ii)のステップにおいて、(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部のうち前記範囲の大きさの空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換することで、(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンにおいて様々な大きさの空隙部が存在する場合に、(v)のステップにおいて、大きな空隙部にはアイオノマーが入り込み、小さな空隙部にはアイオノマーが入り込まないモデルを作成することができる。
(iii)カーボンを積層してカーボン積層構造を作成するステップ
(iii)のステップでは、(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンを積層してカーボン積層構造を作成する。
(iii)のステップにおいて、(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンの積層方法は、限定されない。例えば、(iii)のステップでは、(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンをランダムに積層させることで、カーボン積層構造を作成する。
なお、(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンは、(i)のステップにおいて取得した画像の数に応じて、1種類であっても、複数種類、例えば2種類~触媒層を構成するカーボンの数の種類であってもよい。
また、(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンとして、当該カーボンの鏡像を使用してもよい。したがって、(i)のステップにおいて取得した画像が1画像であっても、(ii)で当該画像から得られた空隙部が物質Xで置換されたカーボンと、当該カーボンの鏡像との2種類のカーボンから、カーボン積層構造を作成することができる。
(iii)のステップにおいて、(i)のステップで透過型電子顕微鏡により取得された3D-TEM像に基づくカーボンを積層させることにより、実物により近いカーボン積層構造を作成することができる。
(iv)白金を配置するステップ
(iv)のステップでは、(iii)で作成したカーボン積層構造において、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置し、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置する。
ここで、「物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置」とは、触媒活性が高い白金が、物質Xとカーボンとの界面において、物質Xの内部側に存在するように界面に接して配置されることを示す。したがって、触媒活性が高い白金は、(vi)のステップにおいて物質Xを取り除いた後に、カーボン表面に配置される。
(iv)のステップでは、触媒活性が高い白金が物質Xの内側表面に配置され、触媒活性が低い白金がカーボン間の空隙におけるカーボンの表面に配置されれば、これらの白金を配置する順番は限定されない。(iv)のステップでは、例えば、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置した後にカーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置しても、あるいは、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置した後に物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置してもよい。
なお、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に配置される触媒活性が低い白金とは、物質Xの内側表面に配置される白金と比較して触媒活性が低い白金のことを示し、一方で、物質Xの内側表面に配置される触媒活性が高い白金とは、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に配置される白金と比較して触媒活性が高い白金のことを示す。
(iv)のステップにおいて、カーボン積層構造の物質Xの内側表面及びカーボン間の空隙におけるカーボンの表面それぞれに、別物の白金、すなわち、触媒活性が異なる白金を配置させることで、空隙部内の白金と空隙部外の白金とに異なる触媒活性を設定することができ、したがって、空隙部内の白金の触媒活性が高くなるという実際の現象を再現したシミュレーション計算をすることができる。
(v)アイオノマーを配置するステップ
(v)のステップでは、(iv)で触媒活性が異なる白金を配置したカーボン積層構造にアイオノマーを配置する。
(v)のステップにおいて、配置されるアイオノマーの量は限定されず、シミュレーションモデルとして所望の燃料電池用触媒層に応じて、変更することができる。例えば、特定の燃料電池用触媒層において、アイオノマーの量の違いによる燃料電池の発電性能の変化をシミュレーションしたい場合は、アイオノマーの量を、当該技術分野で通常用いられる量よりも少ない量から多い量まで、様々な量に変更することができる。
(v)のステップにおいて、(iv)で触媒活性が異なる白金を配置したカーボン積層構造にアイオノマーを配置することで、アイオノマーは、物質Xで置換されているカーボン積層構造のカーボン内部の空隙部、特に小さい空隙部に詰まらず、カーボンとカーボンの間に配置される。したがって、(vi)のステップにおいて、物質Xを取り除いた後の触媒層は、通常カーボン内部の空隙部がアイオノマーにより詰まることのない実物により近いものになる。
(vi)物質Xを取り除くステップ
(vi)のステップでは、(v)でアイオノマーを配置したカーボン積層構造から物質Xを取り除く。
(vi)のステップにおいて、(v)でアイオノマーを配置したカーボン積層構造から物質Xを取り除くことで、得られる燃料電池用触媒層のシミュレーションは、通常カーボン内部の空隙部がアイオノマーにより詰まることのない実物により近いものになる。
図7に、本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例を模式的に示し、図8に、従来の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例により作成された触媒層構造の断面図(A)及び本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法の一例により作成された触媒層構造の断面図(B)を示す。図7では、カーボン形状の穴埋めにおける黒はカーボンを示し、グレーは物質Xを示し、図7及び8の(A)及び(B)では、黒は空隙を示し、グレーはカーボンを示し、白丸はカーボン間の空隙におけるカーボンの表面の低活性な白金(Pt)を示し、白三角は、物質Xの内側表面の高活性な白金(Pt)を示す。
図7では、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金(Pt)を配置した後にカーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金(Pt)を配置しており、図7の(A)には、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金(Pt)を配置した触媒層構造の断面図を示し、図7の(B)には、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金(Pt)を配置した後にカーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金(Pt)を配置した触媒層構造の断面図を示す。図7より、本発明により、カーボン積層構造の物質Xの内側表面及びカーボン間の空隙におけるカーボンの表面それぞれに触媒活性が異なる白金を配置させることができることがわかる。
図8より、本発明では、従来では表現できなかった空隙部内の白金(Pt)と空隙部外の白金(Pt)の活性の違いを表現することが可能であることがわかる。
以上により、本発明の燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法により、実物により近いカーボン積層構造に、実物により近い状態で触媒活性が異なる白金及びアイオノマーを配置させた燃料電池用触媒層を表現することができ、その結果、従来では表現することができなかった燃料電池用触媒層における細孔径と体積分率との関係におけるカーボン中空構造に由来する細孔径ピークを表現でき、さらに、従来のシミュレーションにおける特性、例えばプロトン伝導度、電流密度とセル電圧との関係、過電圧分離などの特性と、異なるシミュレーションの結果を表現することができる。
よって、本発明によって、従来の方法では捉えることができなかった燃料電池用触媒層の実際の形状に由来する特性を捉えることができると考えられる。したがって、本発明によって、実際のカーボンの形状、触媒活性が異なる白金及びアイオノマーの配置が触媒層構造の特性に与える影響及び発電特性に与える影響を評価することができ、本発明は、FCの発電性能を向上させるカーボンの形状、すなわち触媒層構造の設計に有用である。

Claims (2)

  1. 燃料電池用触媒層のシミュレーションモデル作成方法であって、
    (i)透過型電子顕微鏡により原料であるカーボンの3D-TEM像を取得するステップ、
    (ii)(i)で取得した3D-TEM像により表されるカーボンに存在する空隙部を燃料電池用触媒層に存在する物質以外の物質Xに置換するステップ、
    (iii)(ii)で空隙部が物質Xで置換されたカーボンを積層してカーボン積層構造を作成するステップ、
    (iv)(iii)で作成したカーボン積層構造において、物質Xの内側表面に触媒活性が高い白金を配置し、カーボン間の空隙におけるカーボンの表面に触媒活性が低い白金を配置するステップ、
    (v)(iv)で触媒活性が異なる白金を配置したカーボン積層構造にアイオノマーを配置するステップ、及び
    (vi)(v)でアイオノマーを配置したカーボン積層構造から物質Xを取り除くステップ
    を含む、シミュレーションモデル作成方法。
  2. (ii)のステップにおいて、8nm以下の大きさの空隙部を、物質Xに置換する、請求項1に記載のシミュレーションモデル作成方法。
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