JP7061003B2 - プロピレン樹脂組成物及び射出成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物及び射出成形体に関する。
プロピレン樹脂組成物からなる成形体は、自動車材料、家電材料等に用いられている。
当該成形体には高い寸法安定性が求められており、例えば、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂組成物を、その融点以上に加熱溶融させ、冷却して固体状態の成形前駆体を得て、続いて、その成形前駆体を、ポリプロピレン樹脂組成物の融点以下の温度で加熱圧縮することにより得られた成形体が記載されている。
特開2015-96586号公報
自動車材料、家電材料等に用いられる成形体は、一般に射出成形により成形されることが多い。そのため、射出成形により、寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物が求められている。
そこで、本発明は、射出成形により、寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、寸法安定性に優れる射出成形体を提供することを目的とする。
本発明は、プロピレン系重合体(A)とエチレン-α-オレフィン共重合体(B)(ただし、エチレン-α-オレフィン共重合体(B)はプロピレンに由来する単量体単位を含まない)とを含むプロピレン樹脂組成物であって、プロピレン系重合体(A)の含有量及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量が、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して、それぞれ、60~90質量部及び10~40質量部であり、上記プロピレン樹脂組成物を、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出速度23mm/秒の条件で100mm(幅)×400mm(長さ)×3mm(厚み)の金型キャビティに射出成形して得られる成形体中の、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸の配向度が、前記成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均で、85.0%以上である、プロピレン樹脂組成物に関する。
本発明のプロピレン樹脂組成物は、充填材(C)を更に含み、充填材(C)の含有量が、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して、1~65質量部である態様であってもよい。
本発明はまた、上記プロピレン樹脂組成物からなる射出成形体に関する。
本発明によれば、射出成形により、寸法安定性に優れる成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物を提供できる。本発明によればまた、寸法安定性に優れる射出成形体を提供できる。
評価用の射出成形体の概略図である。
[定義]
本明細書において、用語「α-オレフィン」は、α位に炭素-炭素不飽和二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素を意味する。
本明細書において、用語「ヘテロファジックプロピレン重合材料」は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する重合体(I)(ただし、該重合体(I)の全質量を100質量%とする。)のマトリックスの中で、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体(II)が分散した構造を有する混合物を意味する。
本明細書において、用語「エチレン-α-オレフィン共重合体」は、エチレンに由来する単量体単位と、炭素数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位とを含有する共重合体であり、プロピレンに由来する単量体単位を含まないものを意味する。
本明細書において、用語「キシレン不溶成分(「CXIS成分」ともいう)」は、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれるp-キシレンに不溶な成分であって、下記方法により得られる固形物を意味する。
ヘテロファジックプロピレン重合材料約2gを、沸騰しているp-キシレン中で2時間溶解して溶液を得、次いで、該溶液を20℃まで冷却し、冷却された溶液に析出した固形物。
本明細書において、用語「キシレン可溶成分(「CXS成分」ともいう)」は、ヘテロファジックプロピレン重合材料中の「CXIS成分」以外の成分を意味する。
本明細書において、用語「プロピレン樹脂組成物」は、プロピレン系重合体を含有する組成物を意味する。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、数値範囲を表す「下限~上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限~下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、これらの記載は、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
〔プロピレン樹脂組成物〕
本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、プロピレン系重合体(A)とエチレン-α-オレフィン共重合体(B)とを含むプロピレン樹脂組成物であって、プロピレン系重合体(A)の含有量及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量が、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して、それぞれ、60~90質量部及び10~40質量部であり、上記プロピレン樹脂組成物を、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出速度23mm/秒の条件で100mm(幅)×400mm(長さ)×3mm(厚み)の金型キャビティに射出成形して得られる成形体中の、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸の配向度が、成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均で、85.0%以上であるものである。このようなプロピレン樹脂組成物を成形することにより、寸法安定性に優れる成形体を製造できる。上記配向度の成形体を成形し得る樹脂組成物を成形すれば、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸を、成形体の厚み方向(ND方向)に対して高度に配向し得ることから、寸法安定性に優れる成形体を製造できると考えられる。上記配向度は、100%未満であってよい。また、本実施形態のプロピレン樹脂組成物を用いれば、自動車用成形品の製造等で一般的に採用されている射出成形のような、簡便な方法により成形体を製造できる。すなわち、本実施形態のプロピレン樹脂組成物を用いれば、射出成形等で得られた成形前駆体を加熱圧縮する方法以外の方法によっても寸法安定性に優れる成形体を製造できる。
ここで、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸の配向度は、下記測定条件でX線を照射して得た広角X線散乱プロファイルを用いて、下記式(1)より算出される。
<測定条件>
機種:株式会社リガク製、Micromax-007(商品名)
X線源:CuKα線
ビーム径:250μm
電圧:40kV
電流:20mA
検出器:X線光子計数型2次元検出器PILATUS
測定法:透過法
配向度(%)={(360-Σhw040)/360}×100 ・・・(1)
式(1)中、Σhw040は、方位角強度分布曲線の0~360度の範囲における、成分Aの(040)面に由来する全てのピークの半値幅(単位:度)の合計値を表す。ただし、ピークが存在しない場合には、hw040が測定されず、配向度は算出されない。通常、プロピレン樹脂組成物からなる成形体の方位角強度分布曲線には、プロピレン系重合体の(040)面に由来するピークが2つ存在するため、2つのピークそれぞれの半値幅を求め、2つの半値幅の合計値をΣhw040とする。
成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均は、例えば、成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射して、それぞれの広角X線散乱プロファイルを測定した後、上記式(1)を用いて、各方向の配向度を算出し、得られた配向度を平均した値である。成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向は、射出成形時の樹脂の流れ方向(MD方向)及びMD方向に直交する方向(TD方向)である。また、各方向における配向度は、例えば、成形体の表面から中心(成形体厚みの半分の位置)にかけて復数箇所で広角X線解析を行い、その平均値から算出することが好ましい。
以下、前記「プロピレン系重合体(A)」等で示される各成分をそれぞれ、単に「成分A」等ともいう。
以下、各成分について説明する。
[プロピレン系重合体(A)]
成分Aは、プロピレンに由来する単量体単位を有する重合体である。成分Aとしては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体、及びヘテロファジックプロピレン重合材料が挙げられる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成分Aを1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。成分Aは、成形体の剛性と耐衝撃性との観点から、プロピレン単独重合体及びヘテロファジックプロピレン重合材料からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
(プロピレン単独重合体)
成分Aがプロピレン単独重合体を含む場合、当該プロピレン単独重合体の極限粘度数([η])は、樹脂組成物の溶融時の流動性と成形体の靭性との観点から、0.10~2.00dL/gであることが好ましく、0.50~1.50dL/gであることがより好ましく、0.70~1.40dL/gであることが更に好ましい。
本明細書において、極限粘度数(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dL及び0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法により、極限粘度数を求める。外挿法による極限粘度数の計算方法は、例えば、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載されている。
上記プロピレン単独重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。成分Aの分子量分布は、30.0以下であってよく、25.0以下であってもよい。成分Aの分子量分布は、3.0~30.0であることが好ましく、6.0~25.0であることがより好ましい。
本明細書において、分子量分布は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を用いて算出される、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)をいう。
装置:東ソー株式会社製 HLC-8121 GPC/HT
分離カラム:東ソー株式会社製 GMHHR-H(S)HT 3本
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
試料濃度:約1mg/mL
試料注入量:400μL
検出器:示差屈折
検量線作成方法:標準ポリスチレンを使用
プロピレン単独重合体は、例えば、重合触媒を用いて、プロピレンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒;チーグラー・ナッタ型触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して、変性させた触媒が挙げられる。
上記重合触媒としては、例えば、特開昭61-218606号公報、特開平5-194685号公報、特開平7-216017号公報、特開平9-316147号公報、特開平10-212319号公報、特開2004-182981号公報等に記載の触媒を用いてもよい。
また、上記重合触媒の存在下でプロピレンを予備重合させて得られた重合体を、重合触媒として用いることもできる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、及び気相重合が挙げられる。ここで、バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
重合方式としては、例えば、バッチ式、連続式及びこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式であってもよい。
工業的及び経済的に優れる観点から、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク-気相重合法が好ましい。
重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、単量体濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする重合体の分子構造に応じて、適宜決定すればよい。
重合工程の後、重合体中に含まれる残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて重合体を、重合体が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号公報、特許第2565753号公報等に記載の方法が挙げられる。
(プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体)
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、プロピレンに由来する単量体単位とプロピレン以外の単量体に由来する単量体単位とを含有するものである。前記ランダム共重合体は、前記ランダム共重合体の質量を基準として、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を0.01質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
前記ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンランダム共重合体及びプロピレン-エチレン-1-オクテンランダム共重合体が挙げられる。
成分Aがプロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体を含む場合、前記ランダム共重合体の極限粘度数([η])は、樹脂組成物の溶融時の流動性の観点から、0.10~2.00dL/gであることが好ましく、0.50~1.50dL/gであることがより好ましく、0.70~1.40dL/gであることが更に好ましい。
前記ランダム重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。前記ランダム重合体の分子量分布は、30.0以下であってよく、25.0以下であってもよい。前記ランダム重合体の分子量分布は、3.0~30.0であることが好ましく、6.0~25.0であることがより好ましい。
前記ランダム共重合体は例えば、前記プロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式に従って、プロピレン及びプロピレン以外の単量体を重合することにより製造できる。
(ヘテロファジックプロピレン重合材料)
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、例えば、重合体(I)を形成する第1の重合工程と、重合体(II)を形成する第2の重合工程を実施することにより製造することができる。これらの重合工程において採用される、重合触媒、重合方法及び重合方式の例示は、上記と同様である。
重合体(I)は、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。重合体(I)が、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、重合体(I)の全質量を基準として、例えば、0.01質量%以上20質量%未満であってもよい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素数4以上のα-オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体が挙げられる。
重合体(I)は、成形体の寸法安定性の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
重合体(I)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を基準として、50~99質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましい。
重合体(II)は、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位を40質量%以上含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有することが好ましい。
重合体(II)において、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、40~70質量%であってよく、45~60質量%であってもよい。
重合体(II)において、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンとしては、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
重合体(II)としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体及びプロピレン-1-デセン共重合体が挙げられる。中でも、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン-エチレン共重合体がより好ましい。
重合体(II)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を基準として、1~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を基準として、50~99質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましい。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXS成分の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を基準として、1~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
本実施形態においては、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン不溶(CXIS)成分は、主として重合体(I)から構成され、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン可溶(CXS)成分は、主として重合体(II)から構成されると考えられる。
ヘテロファジックプロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、及び(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料が挙げられる。
ここで、「(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料」との記載は、「重合体(I)がプロピレン単独重合体であり、重合体(II)がプロピレン-エチレン共重合体であるヘテロファジックプロピレン重合材料」を意味する。他の類似の表現においても同様である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料としては、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、又は(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料が好ましく、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料がより好ましい。
重合体(I)の極限粘度数([η]I)は、0.10~2.00dL/gであることが好ましく、0.50~1.50dL/gであることがより好ましく、0.70~1.40dL/gであることがより好ましい。
重合体(II)の極限粘度数([η]II)は、1.00~10.00dL/gであることが好ましく、2.00~10.00dL/gであることがより好ましく、2.00~8.00dL/gであることが更に好ましい。
また、重合体(I)の極限粘度数([η]I)に対する重合体(II)の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~9であることが更に好ましい。
重合体(I)の極限粘度数([η]I)の測定方法としては、例えば、重合体(I)を形成した後に、当該重合体の極限粘度数を測定する方法が挙げられる。
重合体(II)の極限粘度数([η]II)は、例えば、ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数([η]Total)、重合体(I)の極限粘度数([η]I)並びに重合体(II)及び重合体(I)の含有量を用いて、下記式(6)により算出できる。
[η]II=([η]Total-[η]I×XI)/XII ・・・(6)
[η]Total:ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数(dL/g)
[η]I:重合体(I)の極限粘度数(dL/g)
XI:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体(I)の質量の比(重合体(I)の質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
XII:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体(II)の質量の比(重合体(II)の質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
ここで、XI、XIIは、重合時の物質収支から求めることができる。
なお、XIIは、重合体(I)の融解熱量及びヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量を測定し、下記式を用いて算出してもよい。
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量(J/g)
(ΔHf)P:重合体(I)の融解熱量(J/g)
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)は、0.10~2.00dL/gであることが好ましく、0.50~1.50dL/gであることがより好ましく、0.70~1.40dL/gであることがより好ましい。
CXS成分の極限粘度数([η]CXS)は、1.00~10.00dL/gであることが好ましく、2.00~10.00dL/gであることがより好ましく、2.00~8.00dL/gであることが更に好ましい。
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)に対するCXS成分の極限粘度数([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)は、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~9であることが更に好ましい。
重合体(I)の分子量分布(Mw(I)/Mn(I))は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。
CXIS成分の分子量分布(Mw(CXIS)/Mn(CXIS))は、3.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。
成分Aのアイソタクチックペンタッド分率([mmmm]分率ともいう)は、樹脂組成物からなる成形体の剛性及び寸法安定性の観点から、0.950以上であることが好ましく、0.970以上であることがより好ましい。成分Aのアイソタクチックペンタッド分率は、例えば、1.000以下であってもよい。
アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位でみたときに、プロピレンに由来する単量体単位が5個連続してメソ結合した構造の含有割合を示す。なお、対象の成分が共重合体である場合には、プロピレンに由来する単量体単位の連鎖について測定される値をいう。
本明細書において、アイソタクチックペンタッド分率は、13C-NMRスペクトルで測定される値をいう。具体的には、13C-NMRスペクトルによって得られるメチル炭素領域の全吸収ピークの面積に対するmmmmピークの面積の比を、アイソタクチックペンタッド分率とする。なお、13C-NMRスペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率の測定方法は、例えば、A.ZambelliらによるMacromolecules,6,925(1973)に記載されている。ただし、13C-スペクトルによって得られる吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)の記載に基づくものとする。
成分Aの温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、樹脂組成物の成形加工性の観点から、5g/10分以上であることが好ましく、20g/10分~300g/10分であることがより好ましい。
本明細書において、メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して測定される値をいう。また、メルトフローレートを、以下、MFRと記すことがある。
プロピレン樹脂組成物を、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出速度23mm/秒の条件で100mm(幅)×400mm(長さ)×3mm(厚み)の金型キャビティに射出成形して得られる成形体中の、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸の配向度を、前記成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均で、85.0%以上とする方法に特に制限はないが、例えば、プロピレン系重合体(A)とエチレン-α-オレフィン共重合体(B)との配合割合、プロピレン系重合体(A)の種類、並びに、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の全質量に対する、プロピレンに由来する単量体単位の質量割合を調整する方法が考えられる。上記配向度の観点から、本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)として、プロピレン単独重合体及びヘテロファジックプロピレン重合材料の両方を含むことが好ましい。上記配向度の観点から、本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物は、ヘテロファジックプロピレン重合材料中の重合体(II)の含有量が、該プロピレン樹脂組成物に含まれるエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量を100質量%としたとき、0超50質量%以下であってよく、5~40質量%であってよく、10~25質量%であってもよい。本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物に含まれるヘテロファジックプロピレン重合材料の含有量は、上記の範囲を満たすように決定されることが好ましい。
[エチレン-α-オレフィン共重合体(B)]
成分Bにおいては、成分Bの全質量を100質量%として、成分Bに含まれるエチレンに由来する単量体単位の含有量と炭素数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量との合計が100質量%であってよい。
炭素数が4以上のα-オレフィンとしては、例えば、炭素数4~12のα-オレフィンが挙げられる。炭素数が4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン及び1-デセンが挙げられる。中でも、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンが好ましい。上記α-オレフィンは、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタンなどの環状構造を有するα-オレフィンであってよい。
成分Bとしては、例えば、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、及びエチレンと環状構造を有するα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。
成分Bにおいて、炭素数が4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、成分Bの全質量を基準として、1~49質量%であることが好ましく、5~49質量%であることがより好ましく、24~49質量%であることが更に好ましい。
成分Bの温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、0.1g/10分~80g/10分であることが好ましい。
成分Bの密度は、成形体の耐衝撃性の観点から、0.850~0.890g/cmであることが好ましく、0.850~0.880g/cmであることがより好ましく、0.855~0.870g/cmであることが更に好ましい。
成分Bは、重合触媒を用いて、エチレン及び炭素数4以上のα-オレフィンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒、及びチーグラー・ナッタ型触媒が挙げられる。
均一系触媒としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して変性させた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒が挙げられる。
成分Bとしては、市販品を用いてもよい。市販の成分Bとしては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、及びエスプレンSPO(登録商標)が挙げられる。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Aの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A及び成分Bの合計100質量部に対して、60~80質量部であってよく、60~70質量部であってもよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Bの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A及び成分Bの合計100質量部に対して、20~40質量部であってよく、30~40質量部であってもよい。
[充填材(C)]
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、充填材(C)を更に含んでいてもよい。
成分Cとしては、無機充填材及び有機充填材が挙げられる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成分Cを1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
無機充填材としては、ガラス、ケイ酸塩鉱物、アルミナ、シリカ、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸塩鉱物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック及び硫化カドミウムが挙げられる。
有機充填材としては、ポリエステル、芳香族ポリアミド、セルロース及びビニロンが挙げられる。
充填材の形状は、板状であってよく、針状であってよく、繊維状であってよい。
成分Cは、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、無機充填材が好ましく、板状ケイ酸塩鉱物であるタルクがより好ましい。
成分Cの平均粒子径D50[L]は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、20.0μm以下であることが好ましく、15.0μm以下であることがより好ましい。成分Cの平均粒子径D50[L]は、2.0μm以上であってよく、4.0μm以上であってもよい。成分Cの平均粒子径D50[L]は、2.0~20.0μmが好ましく、4.0~15.0μmがより好ましい。
成分Cの平均粒子径D50[S]は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。成分Cの平均粒子径D50[S]は、0.5μm以上であってよく、1.0μm以上であってもよい。成分Cの平均粒子径D50[S]は、0.5~5.0μmが好ましく、1.0~3.0μmがより好ましい。
成分Cの平均粒子径D50[L]と平均粒子径D50[S]との比であるD50[L]/D50[S]は、成形体の剛性、及び寸法安定性の観点から、1.5以上であってもよく、2.5以上であってもよい。D50[L]/D50[S]は、10以下であってもよく、8以下であってもよい。D50[L]/D50[S]は、1.5~10であってもよく、2.5~8であってもよい。
ここで、本明細書において、「平均粒子径D50[L]」とは、JIS R1629に規定された方法に従い、レーザー回析法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。このように定義される粒子径は、一般に「50%相当粒子径」と称され、「D50」で表記される。
本明細書において、「平均粒子径D50[S]」とは、JIS R1619に規定された方法に従い、遠心沈降法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成形体の寸法安定性の観点から、成分Cを含み、かつ、成分Cの含有量が、成分A及び成分Bの合計100質量部に対して、1~65質量部であることが好ましい。
成分Cの含有量は、成形体の寸法安定性の観点から、成分A及び成分Bの合計100質量部に対して、10~60質量部であってよく、20~55質量部であってもよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Aの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、20~90質量%であってよく、40~75質量%であってよく、40~60質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Bの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、10~40質量%であってよく、15~25質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物において、成分Cの含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、0~40質量%であってよく、10~35質量%であってよく、20~35質量%であってよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、成分Aの含有量と成分Bの含有量との合計が50質量%以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂組成物の全質量を基準として、成分Aの含有量と成分Bの含有量と成分Cの含有量との合計が90質量%以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、樹脂組成物の成形加工性の観点から、15g/10分以上であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、各原料成分を溶融混練することによって得ることができる。溶融混練時の温度は、180℃以上であってよく、180~300℃であってもよく、180~250℃であってもよい。
溶融混練には、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が使用できる。
各原料成分の混練順序は特に限定されるものではない。例えば、成分Aと成分Bと成分Cとを一括に混練してもよく、成分A、成分B、成分Cのうち、一部の成分を混練した後、得られた混練物と他の成分とを混練してもよい。
プロピレン樹脂組成物の形状に特に制限はないが、プロピレン樹脂組成物は、例えば、ストランド状、シート状、平板状又はペレット状の形態であってもよい。ペレット状の樹脂組成物は、例えば、ストランド状の樹脂組成物を形成した後、これを適当な長さに裁断することにより製造できる。
樹脂組成物の成形加工性、及び、成形体を製造する場合の生産安定性の観点から、成形体に成形加工する前の樹脂組成物の形状は、長さが1~50mm程度のペレット状であることが好ましい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでいてよい。このような成分としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤及び光拡散剤が挙げられる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、これらの成分を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、成形して成形体を形成させるための材料として用いることができる。本実施形態のプロピレン樹脂組成物は、射出成形用材料として用いることが好ましい。以下、本実施形態のプロピレン樹脂組成物を射出成形用材料として用いて製造される射出成形体の一例について説明する。
〔射出成形体〕
本実施形態の射出成形体は、本実施形態のプロピレン樹脂組成物からなるものである。
このような射出成形体は、寸法安定性に優れる。
上記射出成形体は、射出成形法により製造できる。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、及びインサート・アウトサート成形法が挙げられる。射出成形体の形状に特に制限はない。
本実施形態に係る射出成形体は、例えば、自動車材料用途、家電材料用途、及びコンテナー用途に好ましく用いることができ、中でも、自動車内外装用途に好適である。自動車内外装部品としては、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメントパネル及びバンパーが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の原料を使用した。
[成分A:プロピレン系重合体]
成分Aとして下記プロピレン系重合体((A-1)~(A-6))を準備した。
(A-1)(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料
特開2004-182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):51g/10分
極限粘度数:([η]CXIS)0.97dL/g、([η]CXS)2.44dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9785
CXIS成分量:74.1質量%
CXIS成分のMw/Mn:5.1
CXS成分量:25.9質量%
プロピレン-エチレンランダム共重合体中のエチレン含量:31.3質量%
(A-2)(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):38g/10分
極限粘度数:([η]CXIS):1.03dL/g、([η]CXS)2.07dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9776
CXIS成分量:69.5質量%
CXIS成分のMw/Mn:5.4
CXS成分量:30.5質量%
プロピレン-エチレンランダム共重合体中のエチレン含量:45.5質量%
(A-3)(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料
特開2004-182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):25g/10分
極限粘度数:([η]CXIS)1.32dL/g、([η]CXS):2.31dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9755
CXIS成分量:77.4質量%
CXIS成分のMw/Mn:9.5
CXS成分量:22.6質量%
プロピレン-エチレンランダム共重合体中のエチレン含量:49.1質量%
(A-4)(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料
特開2004-182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):29g/10分
極限粘度数:([η]CXIS):1.20dL/g、([η]CXS)3.06dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9849
CXIS成分量:82.7質量%
CXIS成分のMw/Mn:6.2
CXS成分量:17.3質量%
プロピレン-エチレンランダム共重合体中のエチレン含量:51.4質量%
(A-5)プロピレン単独重合体
特開2004-182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):107g/10分
極限粘度数([η]):0.92dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9811
Mw/Mn:5.4
(A-6)プロピレン単独重合体
特開2004-182981号公報の実施例1に記載の方法によって得られる重合触媒の存在下、気相重合法によって製造した。
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):97g/10分
極限粘度数([η]):1.08dL/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.9778
Mw/Mn:9.8
また、(A-1)~(A-4)において、プロピレン-エチレンランダム共重合体中のエチレン含量は、重合体(II)中のエチレン含量(重合体(II)の全質量を基準とした、エチレンに由来する単量体単位の含有量)を示す。
MFR、極限粘度数及びアイソタクチックペンタッド分率は上述した方法に従って測定し、CXIS成分及びCXS成分の含有量、重合体(II)中のエチレン含量及び分子量分布は、以下の方法により算出した。
(CXIS成分及びCXS成分の含有量)
ヘテロファジックプロピレン重合材料を2g秤量し(以下、「ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量」を「a」とする)、沸騰キシレンで2時間加熱溶解した。次いで、20℃まで冷却した後、ろ紙を用いてろ別した。ろ別したろ液を、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、CXS成分を得た。得られたCXS成分を秤量した(以下、「CXS成分の質量」を「b」とする)。ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分及びCXS成分の含有量は、数値a及びbを用いて下記式により算出した。また、ろ紙上に残った固形物を真空乾燥することにより、CXIS成分を得た。得られたCXIS成分は、分子量分布の評価に用いた。
CXS成分量(質量%)=(b/a)×100
CXIS成分量(質量%)=100-CXS成分量(質量%)
(重合体(II)中のエチレン含量)
重合体(II)中のエチレン含量は、下記の条件で測定した13C-NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules,15,1150-1152(1982))に基づいて求めた。13C-NMRスペクトルは、直径10mmの試験管中でヘテロファジックプロピレン重合材料約200mgを3mLのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させた試料を用い、下記条件で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
(分子量分布)
プロピレン単独重合体の分子量分布については、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw(A))及び数平均分子量(Mn(A))をGPCにより測定し、Mnに対するMwの比(Mw/Mn)を算出することにより求めた。CXIS成分の分子量分布については、上述の操作で得られたCXIS成分の重量平均分子量(Mw(A))及び数平均分子量(Mn(A))をGPCにより測定し、Mnに対するMwの比(Mw/Mn)を算出することにより求めた。なお、GPCの測定条件は上述のとおりである。
[成分B:エチレン-α-オレフィン共重合体]
成分Bとして下記エチレン-α-オレフィン共重合体(B-1)及び(B-2)を準備した。なお、MFRは上述した方法に従って測定した。
(B-1)エチレン-1-ブテン共重合体
ダウ・ケミカル株式会社製「ENR7467」
密度:0.862g/cm
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):2.5g/10分
(B-2)エチレン-1-オクテン共重合体
ダウ・ケミカル株式会社製「EG8842」
密度:0.857g/cm
MFR(温度230℃、2.16kgf荷重で測定):2.7g/10分
[成分C:充填材]
成分Cとして下記充填材((C-1))を準備した。
(C-1)タルク
Imerys製 「HAR W92」
平均粒子径D50[L](レーザー回析法、50%相当粒子径):11.4μm
平均粒子径D50[S](遠心沈降法、50%相当粒子径):2.54μm
ここで、タルクの平均粒子径D50[L]は、日機装株式会社製 マイクロトラック粒度分析計MT-3300EXIIを用い、JIS R1629に規定された方法に従って、下記の条件にて粒子を分散させたのち、測定した。
(粒子の分散処理)
分散媒:エタノール
装置:ホモジナイザ―
出力:40W
処理時間:10分
また、D50[S]は、株式会社島津製作所製 遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3を用い、JIS R1619に規定された方法に従って、下記の条件にて粒子を分散させたのち、測定した。
(粒子の分散処理)
分散媒:エタノール
装置:本多電子株式会社製 W-113MkII
出力:110W 24kHz
処理時間:10分
〔実施例1~3、比較例1~3〕
[プロピレン樹脂組成物の製造]
プロピレン系重合体(A-1)、(A-2)、(A-3)、(A-4)、(A-5)、(A-6)、エチレン-α-オレフィン共重合体(B-1)、(B-2)及び充填材(C-1)を、表1及び表2に示す量で準備した。
準備した各成分を、ヘンシェルミキサー又はタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製TEX44αII-49BW-3V型)を用いて、押出量70kg/hr、200℃、スクリュー回転数を300rpm、ベント吸引下で混練押出して、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物の物性を下記の表1及び表2に示す。
[射出成形体の製造]
得られた樹脂組成物を以下の条件で射出成形して、図1に示す評価用の射出成形体を製造した。
射出成形機:住友重機械工業株式会社製 SE180D(型締力180トン、シリンダー径50mm)
金型キャビティ形状:100mm(幅)×400mm(長さ)×3mm(厚み)
ゲート:100mm側面の中央にファンゲート1点
シリンダー温度:220℃
金型温度:50℃
射出速度:23mm/秒
冷却時間:30秒
図1は、評価用の射出成形体の概略図である。図1に示す射出成形体10は、金型形状に対応する第1の樹脂部1とゲート形状に対応する第2の樹脂部2とを備える。第1の樹脂部1は、幅Lが100mm、長さLが400mm、厚み(図示せず)が3mmの板状樹脂部である。また、本実施例及び比較例で形成した射出成形体において、第2の樹脂部2の各辺の長さL3、及びL並びに厚み(図示せず)は、それぞれ15mm、5mm、4mm及び2mmであった。ここで、射出成形体の本体部は、第1の樹脂部1である(以下、「第1の樹脂部1」に対応する部分を「射出成形体」ともいう)。
(寸法安定性の評価)
得られた射出成形体を用いて、線膨張係数を測定することにより寸法安定性を評価した。SIIナノテクノロジー株式会社製 熱機械分析装置TMA/SS6100を用い、以下の方法により線膨張係数を測定した。
射出成形体の長手方向の中央部から5×10×3(mm)の試験片を切り出した。試験片を上記装置にセットして、5℃/分の昇温速度で-20℃から130℃まで昇温し、成形時の残留歪みを取り除いた。その後、装置に射出成形時のMD方向(樹脂の流れ方向。
図1において、L2と平行の方向。)又はTD方向(MD方向に対して直交方向。図1において、L1と平行の方向。)の寸法変化が測定できるように、試験片を再びセットし、23℃における寸法を正確に測定した。5℃/分の昇温速度で-20℃から80℃に昇温し、その間のMD方向及びTD方向の寸法変化を測定した。単位長さ及び単位温度あたりの寸法変化を線膨張係数として求めた。線膨張係数の値が小さいほど寸法安定性が良好であることを示す。MD方向の線膨張係数とTD方向の線膨張係数との平均値(MDTD平均線膨張係数)を表1及び表2に示す。
(配向度の評価)
寸法安定性の評価と同様にして、射出成形体から試験片を切り出した後、当該試験片を、MD方向と、成形体の厚み方向(ND方向)との両方を含む平面に平行に切断して、配向度評価用試験片1を作製した。また、寸法安定性の評価と同様にして、射出成形体から試験片を切り出した後、当該試験片を、TD方向と、ND方向との両方を含む平面に平行に切断して、配向度評価用試験片2を作製した。
配向度評価用試験片1において、TD方向からX線を照射して広角X線散乱プロファイルを測定した。X線照射スポットがND方向において重ならないように照射位置を変えて、ND方向における端部から1.5mmの範囲内において、6つの照射位置でX線を照射し、6つの広角X線散乱プロファイルを得た。「ND方向における端部から1.5mmの範囲内」とは、射出成形体の表面からND方向の中心(厚みの半分である深さ1.5mmの部分)までの範囲である。同様に、配向度評価用試験片2において、MD方向からX線を照射して広角X線散乱プロファイルを測定した。X線照射スポットがND方向において重ならないように照射位置を変えて、ND方向における端部から1.5mmの範囲内において、6つの照射位置でX線を照射し、6つの広角X線散乱プロファイルを得た。ここで、広角X線散乱プロファイルの測定条件は、以下のとおりとした。
<測定条件>
機種:株式会社リガク製、Micromax-007(商品名)
X線源:CuKα線
ビーム径:250μm
電圧:40kV
電流:20mA
検出器:X線光子計数型2次元検出器PILATUS
測定法:透過法
得られた各広角X線散乱プロファイルにおいて、成分Aのα晶の(040)面に由来する方位角強度分布を、それぞれ求めた。方位角強度分布から、各ピーク位置における半値幅を、0~360度の範囲で求めた後、下記式(1)により、成分Aのα晶におけるb軸の配向度(%)を算出した。
配向度(%)={(360-Σhw040)/360}×100 ・・・(1)
式(1)中、Σhw040は、方位角強度分布曲線の0~360度の範囲における、成分Aの(040)面に由来する全てのピークの半値幅(単位:度)の合計値を表す。
得られた配向度(%)の平均値(12点の平均値)を算出することにより、成分Aのα晶におけるb軸の配向度(成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均値)(%)を算出した。結果を、表1及び表2に示す。
Figure 0007061003000001

Figure 0007061003000002
表1及び表2から、実施例に係る射出成形体は、MDTD平均線膨張係数が低く、寸法安定性に優れることがわかる。すなわち、本実施形態のプロピレン樹脂組成物によれば、射出成形により、寸法安定性に優れる成形体を製造できること及び本実施形態の射出成形体は寸法安定性に優れることを確認した。
1…第1の樹脂部、2…第2の樹脂部、10…射出成形体。

Claims (10)

  1. プロピレン系重合体(A)とエチレン-α-オレフィン共重合体(B)(ただし、エチレン-α-オレフィン共重合体(B)はプロピレンに由来する単量体単位を含まない)とを含むプロピレン樹脂組成物であって、
    プロピレン系重合体(A)の含有量及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量が、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して、それぞれ、60~90質量部及び10~40質量部であり、
    前記プロピレン樹脂組成物を、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出速度23mm/秒の条件で100mm(幅)×400mm(長さ)×3mm(厚み)の金型キャビティに射出成形して得られる成形体中の、プロピレン系重合体(A)のα晶におけるb軸の配向度が、前記成形体の厚み方向に対して垂直かつ互いに直交する2方向にX線を入射した広角X線解析により得られる配向度の平均で、85.0%以上であり、
    プロピレン系重合体(A)が、プロピレン単独重合体とヘテロファジックプロピレン重合材料とを含む、プロピレン樹脂組成物。
  2. 充填材(C)を更に含み、
    充填材(C)の含有量が、プロピレン系重合体(A)及びエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して、1~65質量部である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。
  3. ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する重合体(I)(ただし、該重合体(I)の全質量を100質量%とする。)のマトリックスの中で、エチレン及び炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体(II)が分散した構造を有する混合物であり、
    ヘテロファジックプロピレン重合材料中の重合体(II)の含有量が、プロピレン樹脂組成物に含まれるエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量を100質量%としたとき、0超50質量%以下である、請求項1又は2に記載のプロピレン樹脂組成物。
  4. ヘテロファジックプロピレン重合材料中の重合体(II)の含有量が、プロピレン樹脂組成物に含まれるエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量を100質量%としたとき、5~50質量%である、請求項3に記載のプロピレン樹脂組成物。
  5. ヘテロファジックプロピレン重合材料中の重合体(II)の含有量が、プロピレン樹脂組成物に含まれるエチレン-α-オレフィン共重合体(B)の含有量を100質量%としたとき、0超40質量%以下である、請求項3に記載のプロピレン樹脂組成物。
  6. エチレン-α-オレフィン共重合体(B)が、エチレンに由来する単量体単位と、炭素数4~12のα-オレフィンに由来する単量体単位とを含有する共重合体であり、
    エチレン-α-オレフィン共重合体(B)の全質量を100質量%として、エチレン-α-オレフィン共重合体(B)に含まれるエチレンに由来する単量体単位の含有量と炭素数4~12のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量との合計が100質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン樹脂組成物。
  7. プロピレン単独重合体の分子量分布(Mw/Mn)が、6.0以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロピレン樹脂組成物。
  8. ヘテロファジックプロピレン重合材料の重合体(I)の分子量分布(Mw/Mn)が、6.0以上である、請求項3~のいずれか一項に記載のプロピレン樹脂組成物。
  9. 充填材(C)の平均粒子径D50[L]と平均粒子径D50[S]との比であるD50[L]/D50[S]が、2.5~10である、請求項2に記載のプロピレン樹脂組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のプロピレン樹脂組成物からなる射出成形体。
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