JP7054570B1 - 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル - Google Patents

体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル Download PDF

Info

Publication number
JP7054570B1
JP7054570B1 JP2021186158A JP2021186158A JP7054570B1 JP 7054570 B1 JP7054570 B1 JP 7054570B1 JP 2021186158 A JP2021186158 A JP 2021186158A JP 2021186158 A JP2021186158 A JP 2021186158A JP 7054570 B1 JP7054570 B1 JP 7054570B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catheter
thin film
organ
opening
catheter tube
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021186158A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023073605A (ja
Inventor
義弘 岸上
Original Assignee
義弘 岸上
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 義弘 岸上 filed Critical 義弘 岸上
Priority to JP2021186158A priority Critical patent/JP7054570B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7054570B1 publication Critical patent/JP7054570B1/ja
Publication of JP2023073605A publication Critical patent/JP2023073605A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)

Abstract

【課題】カテーテルを開口部から体内に挿入するとき、及び体内ら抜去するときの、カテーテル先端が開口部と連通された臓器の開口部を押し広げるために加える力、及びカテーテルと臓器内面の粘膜との摩擦を軽減し、カテーテルを挿入するとき、及び抜去するときの患者の苦痛を軽減することを目的とする。【解決手段】開口部と連通された臓器の開口部から内部に遠位端部が挿入されるカテーテル管と、二重円筒形であって、カテーテル管を一枚で包み、カテーテル管の長軸方向に沿って回転可能に設けられた端部のない薄膜と、を有し、薄膜の内面とカテーテル管との静摩擦抵抗が、臓器内面の粘膜と薄膜の外面との静摩擦抵抗より小さいことを特徴とする開口部と連通された臓器用無痛カテーテルを提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、体表の開口部と連通された臓器(以下単に「臓器」と記すことがある)の体表の開口部から体内に挿入される無痛カテーテルに係り、より詳しくは、カテーテルの挿入時にカテーテルの先端が臓器の体表の開口部及び内面を押し広げるために加える力を軽減する、体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルに関する。
カテーテル(katheter:オランダ)は、体内に挿入される管状の医療器具である。当初は検査用として用いられたが、近年は、代用血管、排尿、電極、インプラントの挿入等のような生体材料品の身体内、及び身体上への適用を、外科手術をしなくても、カテーテルを用いる治療によって容易に行うことが可能になった。カテーテル治療は、患者の負担を軽減することができる小侵襲治療として発展中の医学分野の一つである。
また、体表の開口部と連通された臓器としては、例えば消化器、呼吸器、腎臓、女性性器等が挙げられるが、これらに限られるものではない。カテーテル治療の発展に伴って更に多くの臓器や器官に応用することが可能であると考えらえる。更に、挿入するカテーテルの先端の位置は、体表の開口部と臓器との中間部、臓器の入り口、及び臓器の内部のいずれであってもよい。
ところで、カテーテルを患者の体内に挿入する場合は、全身麻酔して行われることが多い。しかし、全身麻酔をかけることは、患者に一時的に意識乃至感覚を失うという恐怖感を与え、また部分麻酔であっても、麻酔から完全に覚醒するまでには長時間を要するために、簡単な検査だけでも入院が必要とされることも多く、麻酔は、患者に多大な負担を強いるものである。このため、例えば胃、大腸、肺、膀胱、女性器などの、体表に開口部を有する臓器にカテーテルを挿入する場合は、できる限り麻酔をかけずにカテーテルを挿入することが望まれている。
本発明は、体表の開口部と連通された臓器に挿入するカテーテルに関する。ここで、カテーテルが挿入される臓器の、体表の開口部は、神経が鋭敏な部位が多く、またカテーテルの直径は臓器の、体表の開口部の直径より大きい場合が多いので、麻酔をかけずにカテーテルを挿入する場合は、カテーテルの先端が体表臓器の、体表の開口部を押し広げるために加えられる力、及びカテーテルと臓器内面の粘膜との摩擦によって、たとえ局所麻酔をかけたとしても、患者に大きな苦痛を与えることが多い。
また、臓器の内部に長時間留置されたカテーテルは、カテーテル管の外面と臓器内面の粘膜とが癒着することがあり、抜去時に癒着を剥がす際に、患者に大きな苦痛を与えることがある。
ここで、体表の開口部と連通された臓器内面の、粘膜との摩擦抵抗を軽減するカテーテル管の挿入方法として、図7(A)に示すように、固定されていない筒状の薄膜3をカテーテル管2の近位端部13の内側から供給し、先端の遠位端部14で外側に反転させて図7(B)に示すように臓器の粘膜の内面とカテーテル管との間に薄膜3を挿入する方法がある。しかしこの方法は、図7(A)に示すように、カテーテル管2の2倍の長さの薄膜3が必要になって未挿入の薄膜3が操作の妨げになるか、又は薄膜3を固定するためには2倍の長さのカテーテル管2が必要になって(図示しない)薄膜3又はカテーテル管2を支持するために手術の際は更に助手が必要となり、更に、カテーテル管2の交換は患者一人で行うことができず介護者が必要となるなどという問題があった。更にまた、この方法は、カテーテル管2の内部で薄膜3がしわになって、摩擦抵抗があまり減らないなどのために、実用的ではなかった。
また、カテーテル管を挿入する力を軽減する方法として、スライド管及び筒状のバルーン膜に囲まれて液体が挿入された定容積のルーメン(内腔)がカテーテル管内に挿入されたスライデイングカテーテルが公知である(例えば特許文献1を参照)。しかしこのスライデイングカテーテルは、カテーテル管とスライド管との二重管であり、体外から臓器内部への通路空間は内側のスライド管の内部に形成されるために、カテーテル全体の管径が更に太くなるという問題があり、カテーテルを挿入する場合の苦痛の軽減効果が十分ではなかった。
このために、体表に開口部を有する臓器へカテーテルを容易に挿入することができ、カテーテル挿入時の患者の苦痛が軽減されたカテーテルの開発が望まれていた。
特開平8-196640号公報
静止摩擦係数が生じる要因 https://www.jst.go.jp/cpse/jissen/pdf/houkoku/SG150121_007.pdf 2021年7月15日検索 机でできる! 静止摩擦係数の測定方法 https://rivi-manufacturing.com/机でできる!%E3%80%80最大静止摩擦係数の測定方法 2021年7月15日検索
本発明は、体表の開口部と連通された臓器の内部にカテーテルを挿入する場合に、カテーテルの先端が臓器の、体表の開口部を押し広げるために加える力、及びカテーテルの挿入時に、カテーテルと臓器内面の粘膜との摩擦によって生じる患者の苦痛を軽減することができるカテーテルを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するための本発明の、体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルは、体表の開口部と連通された臓器の、体表の開口部から臓器の内部に挿入されるカテーテル管と、カテーテル管の外周面を覆っている円筒形の一端をカテーテル管の近位端部で外周面側から内周面側に反転させて内周面側に繰り込み、内周面側を通して遠位端部に供給し、遠位端部で外側に反転させ、外周面に導出し、導出された一端を外周面を覆っている他端と連結させた端部のない二重円筒形であって、前記カテーテル管の長軸方向に沿って回転可能に設けられた薄膜と、を有し、薄膜の内面とカテーテル管との間の静摩擦抵抗が、薄膜の外面と臓器内面の粘膜との間の静摩擦抵抗より小さいことを特徴とする。
また、前記薄膜が、柔軟性及び伸縮性を有し、軽く引き延ばされた状態でカテーテル管を包んでいることが好ましい。
また、前記薄膜の内面とカテーテル管との間の静摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする。
また、前記薄膜は、合成高分子樹脂製の薄膜であることが好ましい。
また、前記薄膜は、合成高分子樹脂繊維、又は天然高分子の繊維で紡織された布製の薄膜であることができる。
また、前記薄膜は、厚さが0.5mm以下であることを特徴とする。
また、前記薄膜は、外面と臓器内面の粘膜との間に相互の滑り移動を阻止するストッパーを更に備えることができる。
また、本発明の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルの挿入方法は、請求項1~のいずれか1項に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルを、患者の臓器の、体表の開口部から臓器の、内部に挿入する方法であって、カテーテル管の遠位端部を開口部に押し当てて挿入方向に押圧することにより、カテーテル管が臓器に小さな押圧力で挿入されると共に、薄膜がカテーテル管の外周面と臓器内面の粘膜との間に挿入されて摩擦抵抗を軽減することにより患者の苦痛を軽減することを特徴とする。
また、本発明の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルの抜去方法は、請求項1~のいずれか1項に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルを、患者の臓器の内部から抜去する方法であって、臓器の内部に挿入されたカテーテル管の内周面に接触する薄膜を、カテーテル管の抜去方向と平行な移動方向に引っ張って移動させながらカテーテル管を抜去することを特徴とする。
本発明の、体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテルは、カテーテル管の遠位端部を、体表の開口部に押し当てて挿入方向に押圧することにより、遠位端部において、薄膜がカテーテル管の内周面から外周面に反転され、臓器内面の粘膜を押し広げながら外周面に繰り出されるのに伴って、臓器内面の粘膜が摩擦により外周面側に移動され体表の開口部が拡大されてカテーテルを挿入する力が軽減されると共に、薄膜がカテーテル管の外周面と臓器内面の粘膜との間に挿入されて摩擦抵抗をなくすことによって、患者の苦痛を軽減するという優れた効果を有する。
また本発明は、体表の開口部と連通された臓器内面の粘膜に接触する薄膜を、抜去する方向に移動させると、薄膜を抜去する力が薄膜を引き剥がす方向に転向され、例え薄膜が臓器の内表面と癒着していても、癒着を摩擦なくゆっくりと引き剥がしながら抜去することができ、カテーテル管を抜去する際の苦痛を軽減できるという優れた効果を有する。
また本発明は、カテーテル管の外周面を覆っている円筒形の薄膜の一端を、カテーテル管の近位端部で外周面側から内周面側に反転させて内周面に繰り込み、内周面側を通して遠位端部に供給し、遠位端部で反転させ外周面に繰り出し、繰り出された薄膜の一端を、外周面を覆っている薄膜の他端と連結させて端部がない二重円筒形にして、カテーテル管の軸方向に回転自在にカテーテル管を包むことによって、カテーテル管の2倍の長さを有し浮動して邪魔になっていた薄膜(図7を参照)を、カテーテル管を包み、全体を僅かに伸張させて配置することによって、作業性が向上すると共に、薄膜とカテーテル管との間のしわが取り除かれ、またカテーテル管の遠位端部から薄膜が滑らかに繰り出されて、カテーテル管と薄膜との間の摩擦抵抗が減るという優れた効果を有する。
更に本発明のカテーテルは、挿入する際、及び抜去する際の苦痛を軽減することができるので、カテーテル挿入時及び抜去時に麻酔する必要がなくなり、あるいは医師や看護婦の介護なしに患者自身でカテーテルの挿入、交換ができるケースが増えるなど、医療提供者及び患者の負担を軽減する効果がある。
また本発明のカテーテルはカテーテル管を容易に挿入できるので、カテーテル管のルーメン(内腔)を通じて内視鏡や手術用具などの用具を挿入し、それらを用いて検査、治療等を行うことができる。
とりわけ、気管支にカテーテルを挿通して内視鏡検査を行う場合に、気管支が敏感であって、たとえ麻酔中であっても患者が咳をすることがあり、これによって内視鏡を破損したり、患者に損傷を与えたりすることがあるが、本発明のカテーテルは、咳を誘発しにくいので、これを防ぐことができるという特徴を有する。
また、麻酔時に気管を確保するために気管に挿入するカテーテル(気管チューブ)は、挿入時に気管粘膜を傷つけ、麻酔覚醒後に咳が長く続き味覚に異常を生じるという問題があった。しかし、本発明のカテーテルは、挿入する際に気管粘膜を傷つけないので、咳も味覚異常も残らないという特徴を有する。
本発明の1実施例に係るカテーテルの模式断面図である。 図1の遠位端部(点線で囲んだ楕円内)の部分拡大模式図である。 図1をA方向から見た部分内面図である。 本発明のカテーテルの抜去方法を説明する図である。 本発明の静摩擦抵抗係数の測定方法を説明する図である。 A~Cは、本発明の1実施形態に係る、カテーテルを体表の開口部と連通された臓器へ挿入する方法を説明する図である。 先行技術を示す図面であって、(A)は、カテーテル管の遠位端部を体表の開口部と連通された臓器の、体表の開口部に押し当てた状態の図であり、(B)は、カテーテルが臓器に挿入された状態を示す図である。
以下に添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例に係るカテーテルの模式断面図である。
図1に示すように、本発明のカテーテル1は、両端が解放された円筒状のカテーテル管2と、カテーテル管2の内周面12及び外周面11を1枚で包んだ端部のない二重円筒形の薄膜3と、からなり、患者の体表5の開口部6から体内7の開口部と連通された臓器4に挿入される。符号21は、体表の開口部と連通された臓器4の内面の粘膜である。
[カテーテル管]
カテーテル管2は、通常に使用し得るカテーテル管であれば特に制限されない。両端が解放され、滑らかな近位端部13と遠位端部14とを有し、体表5の開口部6から体内7の開口部と連通された臓器4に挿入され得る。
また、カテーテル管2の寸法は、挿入する臓器及び使用目的に対応して決定することができる。更に、カテーテル管2の先端部の口径は、中間部の口径と同等か、又は小さいことが好ましい。
また、カテーテル管2は、軽量であって適当な剛性及び柔軟性を兼備することが好ましく、材料は合成高分子樹脂を使用し得る。
ここで、合成高分子樹脂としては、通常にカテーテル管に使用され得るものであれば特に制限されず、具体的には、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げ得るが、これらに限定されるものではない。なお、上記ポリマーは、単独で使用されても、2種以上の共重合体、混合物、複合体等の形態で使用されてもよい。
[薄膜]
次に、薄膜3は、端部のない二重円筒形であって、柔軟性及び伸縮性を有し、カテーテル管2の外周面11と内周面12とを1枚で包んでカテーテル管2の軸に沿って回転自在になっていることが好ましい。
すなわち、薄膜3は、近位端部13で外周面11から内周面12に反転して繰り込まれ、遠位端部14で内周面12から外周面11に反転して繰り出されてカテーテル管2の長軸方向に沿って回転可能に設けられ、薄膜3の内面とカテーテル管2との静摩擦抵抗が、薄膜3の外面と臓器内面の粘膜21との静摩擦抵抗より小さいことを特徴とする。
更に、薄膜3は、しわがないように軽く引き延ばされた状態でカテーテル管2を包んでいることが好ましい。
また、薄膜3は、合成高分子樹脂製の薄膜であることができる。更に、薄膜3は、合成高分子樹脂繊維又は天然高分子繊維で紡織された布製の薄膜であることができる。
薄膜3の厚さは、特に限定されるものではないが、本発明の薄膜3は、より薄い方が好ましいので、0.5mm以下であることが望ましい。しかし、薄膜3は薄すぎると強度の問題が生じることがあるので0.01mm以上であることが好ましい。
ここで、薄膜に使用される材料は、合成高分子樹脂の薄膜であることが好ましい。また、合成高分子樹脂又は天然高分子の繊維で紡織された布製の薄膜であることができる。具体的には、合成高分子樹脂としては、ポリエチレン、高分子ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などを含む1以上を挙げることができ、また天然高分子の繊維としては、絹を挙げることができるが、これらに限られるものではない。上記ポリマーは、単独で使用されても、2種以上の共重合体、混合物、複合膜等の形態で使用されてもよい。
[静摩擦抵抗]
本発明の開口を有する臓器用無痛カテーテルは、薄膜3の内面とカテーテル管2との静摩擦抵抗が、開口を有する臓器内面の粘膜21と薄膜3の外面との静摩擦抵抗より小さいことを特徴とする。
図2は、図1の遠位端部(点線で囲んだ楕円内)の部分拡大図であり、図3は、図1をA方向から見た部分内面図である。
図2に示すように、カテーテル管2を、体表に開口を有する臓器4に挿入する方向15に押圧すると、カテーテル管2と薄膜の3との間の静摩擦抵抗が、臓器内面の粘膜21と、薄膜3の外面16との間の静摩擦抵抗より小さいため、カテーテル管2の内周面12と薄膜3の内面17との間が滑って薄膜3が移動方向19に移動される。
また、図2、3に示すように、本発明の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル1は、カテーテル管2の下面に接触する薄膜18が、静摩擦抵抗の大きい臓器内面の粘膜21と接触しながら移動されるので、体表の開口部を拡げる方向(移動方向19)の力が生じる。これによって、カテーテル1が押圧されると、カテーテル管2は、臓器内面の粘膜21をかき分けるようにして挿入され、カテーテル挿入時の患者の苦痛を軽減できるという特徴を有する。
また、本発明の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル1は、近位端部13において、薄膜3が、カテーテル管2の外周面11側から内周面12側に反転され拡張されながら繰り出されてカテーテル管2と臓器4との間に挿入され、カテーテル管2と臓器4との間の摩擦抵抗を軽減し、患者の苦痛を軽減することができるという特徴を有する。
また、従来は、カテーテルを長期間留置した後に、カテーテル管2の外周面11と臓器4の内面の粘膜21とが癒着することがあって、カテーテルを抜去するときに患者に大きな苦痛を与えることがあった。
図4は、本発明のカテーテルの抜去方法を説明する図である。
図4に示すように、本発明は、カテーテル1を抜去する時に、カテーテル管2の内周面12に接触する薄膜3を、カテーテル管の抜去方向23に引っ張ってカテーテル管2を引き抜くことを特徴とする。
すなわち、薄膜3をカテーテル管の抜去方向23に引っ張ると、カテーテル管2と薄膜3との間の静摩擦抵抗が、臓器内面の粘膜21と薄膜の外面16との間の静摩擦抵抗より小さいため、薄膜の内面17とカテーテル管の内周面12との間が滑って、カテーテル管2が抜去方向24に移動される。この時、薄膜3の移動方向19が、薄膜3を臓器内面の粘膜21から引き剥がす方向に転向されて、たとえ薄膜3が臓器表面21と癒着していても、薄膜3が移動方向19に移動されながら薄膜3を癒着箇所からゆっくりと引きはがすことができ、カテーテル管2を抜去するときの苦痛を軽減できる。この時、カテーテル管2の移動速度と薄膜16の移動速度との比は1:2である。また、カテーテル管2を先に引き抜き、後から薄膜16を引き抜くこともできる。
図1~4を参照しながら説明したように、本発明の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル1は、薄膜3とカテーテル管2との間の静摩擦抵抗が、臓器4の内面の粘膜21と薄膜3の外面16との間の静摩擦抵抗より小さいことが好ましい。
通常は、臓器4の内面の粘膜21と薄膜3の外面16との間の静摩擦抵抗は充分に大きく、また必要であれば薄膜3と粘膜21との間の移動を禁止するストッパー10を設けることができ、臓器4の内面の粘膜21と薄膜2の外面とが実質的に固定されるように設定できる。
ここで、ストッパー10は、カテーテル管2の外周面に接触する薄膜16がカテーテルを体表の開口部と連通された臓器に挿入する方向15に移動するのを阻止する構造であればよく、例えば図1に示すように、薄膜3の開口部6に接触する部分に固定して設けられたリング状のストッパー10であることができる。
一方、薄膜3の内面とカテーテル管2の外周面11との間の静摩擦抵抗係数は、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく0.25以下であることが更に好ましい。薄膜3の内面とカテーテル管2の外周面11との間の静摩擦抵抗係数が0.4を超えると、カテーテル管2を臓器4に挿入する力が少ししか軽減されず、患者の苦痛を十分に軽減することができないことがある。
ところで、静摩擦抵抗係数は、2物質の組み合わせの性質に関する値であり、更に両物質の表面の状態、両物質の履歴等の影響を受ける。各物質間の静摩擦抵抗係数の標準値は、文献的に求めることはできないので、本発明は、非特許文献1、2に記載の方法で測定した測定値を静摩擦抵抗係数として用いることにする。
[静摩擦抵抗係数の測定]
図5は、本発明の静摩擦抵抗係数の測定方法を説明する図である。
図5に示すように、本発明の静摩擦抵抗係数の測定法は、水平に設けられた基台130の上面に破線で示す平らな基板140を載置し、該基板140の上面に破線で示す薄膜の素材120をしわにならないように固定し、薄膜の素材120の上面に破線で示すカテーテルの素材110を載置し、カテーテルの素材110の下面中央付近に高さ測定点101を設ける。
次いで、基板140の一端141を振動させないようにゆっくりと持ち上げて、カテーテルの素材110が滑り始めた時点(図5の実線部分)における高さ測定点101の鉛直線と基台130の上面との交点を距離測定点102とし、薄膜の素材120上面の仮想延長面122と基台130上面(又はその仮想延長面)とが交差する直線を100、100とする。
高さ測定点101と距離測定点102との距離をAとし、距離測定点102と直線100、100との距離をBとし、μ=A/Bを計算すると、μがカテーテルの素材110と薄膜の素材120との静摩擦抵抗係数となる。本発明では、測定を10回行い、測定値を幾何平均して静摩擦抵抗係数とした。
更に、前記薄膜3は、カテーテル管2と対向する面との静摩擦抵抗が小さくなる形状に形成することができる。薄膜3とカテーテル管2との静摩擦抵抗が小さくなるような形状の例として、薄膜3の表面にカテーテル管2の軸方向と平行な線状突起又は溝を設けることができる。また、薄膜3とカテーテル管2との間に潤滑剤を添加することができる。
図6は、本発明の1実施形態に係る、カテーテルを体表の開口部と連通された臓器へ挿入する方法を説明する図である。
図6Aに示すように、カテーテル管2の遠位端部14を体表の開口部6に押し当てて挿入する方向15に押圧することにより、図6B、Cに示すように、カテーテル1を小さな押圧力で前記臓器に挿入し得る。このとき、図2、3で示したように、カテーテル管2の遠位端部14において薄膜3が、カテーテル管2の内周面12から外周面11に反転され拡張されながら繰り出されて臓器4の体表の開口部6を拡張すると共に、カテーテル管2と臓器4との間に挿入され、カテーテル管2と臓器内面の粘膜21との間に挿入されて患者の苦痛を軽減することができる。
<実施例1>
[静摩擦係数の測定]
1)図5に示すように、水平な基台130の上に、薄膜2の素材であるポリエチレン薄膜120(長さ250mm×幅100mm×厚さ0.5mm)を固定した基板140(長さ300mm×幅100mm)を載せ、ポリエチレン薄膜120にカテーテル管2の素材である下面が平らなシリコーン樹脂110(縦50mm×横50mm×高さ20mm)を載置し、シリコーン樹脂110の下面中央付近に高さ測定点101を設定した。
2)基板140の一端141を、振動しないよう静かに5~30cm/分の速度で持ち上げた。
シリコーン樹脂110が滑り始めた時点の、ポリエチレン薄膜120上面の他端方向への仮想延長面122と基台130上面とが交差して形成する直線を100、100とし、高さ測定点101の垂直下方の基台130の点を距離測定点102とした。
3)高さ測定点101と距離測定点102との距離(A)と距離測定点102と直線100、100と距離(B)とを測定し、カテーテルの素材110と薄膜の素材120との静摩擦抵抗係数μ=A/Bを10回計測し測定値の幾何平均を計算したところ、シリコーン樹脂とポリエチレン薄膜との静摩擦抵抗係数μ=A/Bは、0.21であった。
<比較例1>
実施例1と同様に、但しカテーテルの素材としてポリウレタン樹脂を用い、薄膜の素材としてポリアミド樹脂を用いてポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂との静摩擦抵抗係数を測定したところ、静摩擦抵抗係数μ=A/Bは、0.43であった。
[カテーテル]
<実施例2>
カテーテル管の素材として実施例1と同じシリコーン樹脂を用い、薄膜3の素材としてポリエチレン樹脂を用いて図1と同じ形状の、外径が5.3mmであって、管の長さが350mmであり、薄膜として用いたポリエチレン樹脂の厚さが0.2mmである尿排出を目的とした男性用尿道カテーテルを製造した。
実施例2で製造した尿道カテーテルを、尿道カテーテル使用経験のある男性患者の尿道に自分で挿入させて使用感を聞いたところ、実施例2のカテーテルは、通常よりやや太いため見た目の違和感と粘膜の圧迫感はあるものの、挿入が容易であり痛みもほとんどないから、自力で挿入可能であるとの評価を得た。
実施例2のカテーテルは、近位端部において、薄膜の上から操作部が接続可能であり、操作部を介して排出尿の貯留、バルーン膜の操作、消毒液の供給、カテーテルを通しての投薬等の機能を追加することが可能である。
<比較例2>
カテーテル管の素材として、比較例2と同様に、カテーテル管用の素材としてポリウレタン樹脂を用い、薄膜用の素材として圧さ0.1mmのポリアミド樹脂を用いて実施例2と同様の男性用尿道カテーテルを製造し、実施例2と同じ患者の尿道に自分で挿入させて感想を聞いたところ、比較例2のカテーテルは、痛くて自力では挿入できないとのことであった。
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
1 カテーテル
2 カテーテル管
3 薄膜
4 (体表の開口部と連通された)臓器
5 体表
体表の開口部
7 体内
10 ストッパー
11 外周面
12 内周面
13 近位端部
14 遠位端部
15 カテーテル管を(体表の開口部と連通された)臓器に挿入する方向
16 薄膜の外面
17 薄膜の内面
18 カテーテル管の下面に接触する薄膜
19 薄膜の移動方向
21 (体表の開口部と連通された)臓器内面の粘膜
23 薄膜の移動方向
24 カテーテル管の抜去方向
100 直線
101 高さ測定点
102 距離測定点
110 カテーテルの素材
120 薄膜の素材
130 基台
140 基板

Claims (6)

  1. 体表の開口部と連通された臓器の前記開口部から前記臓器の内部に挿入されるカテーテル管と、
    前記カテーテル管の外周面を覆っている円筒形の一端を前記カテーテル管の近位端部で前記外周面側から内周面側に反転させて前記内周面側に繰り込み、前記内周面側を通して遠位端部に供給し、前記遠位端部で外側に反転させ、前記外周面に導出し、導出された前記一端を前記外周面を覆っている他端部に連結させた端部のない二重円筒形であって前記カテーテル管の長軸方向に沿って回転可能に設けられた薄膜と、
    を有し、
    前記薄膜の内面と前記カテーテル管との間の静摩擦抵抗が、前記薄膜の外面と前記臓器内面の粘膜との間の静摩擦抵抗より小さく、0.4以下であることを特徴とする体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
  2. 前記薄膜が、柔軟性及び伸縮性を有し、軽く引き延ばされた状態で前記カテーテル管を包んでいることを特徴とする請求項1に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
  3. 前記薄膜は、合成高分子樹脂製の薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
  4. 前記薄膜は、合成高分子樹脂繊維、又は天然高分子繊維で紡織された布製の薄膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
  5. 前記薄膜は、厚さが0.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
  6. 前記薄膜は、外面と前記臓器内面の粘膜との間に、相互の滑り移動を阻止するストッパーを更に備えることを特徴とする請求項5に記載の体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル。
JP2021186158A 2021-11-16 2021-11-16 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル Active JP7054570B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021186158A JP7054570B1 (ja) 2021-11-16 2021-11-16 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021186158A JP7054570B1 (ja) 2021-11-16 2021-11-16 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7054570B1 true JP7054570B1 (ja) 2022-04-14
JP2023073605A JP2023073605A (ja) 2023-05-26

Family

ID=81260136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021186158A Active JP7054570B1 (ja) 2021-11-16 2021-11-16 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7054570B1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005530582A (ja) 2002-06-27 2005-10-13 イノベンタス プロジェクト アーベー ドレナージカテーテル
JP2008517683A (ja) 2004-10-25 2008-05-29 コロプラスト アクティーゼルスカブ 男性用伸縮式カテーテル
JP2013043010A (ja) 2011-08-25 2013-03-04 Kazuhiro Kubo 尿道カテーテル
JP2014527450A (ja) 2011-08-26 2014-10-16 カー,マーシャル 生体適合性カテーテル
US20170333060A1 (en) 2016-05-19 2017-11-23 Justin P. Panian Catheter assembly for blood clots removal
JP2018501058A (ja) 2014-12-22 2018-01-18 アメリカ合衆国 アズ レプリゼンティッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアー 尿道カテーテルアセンブリおよび方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005530582A (ja) 2002-06-27 2005-10-13 イノベンタス プロジェクト アーベー ドレナージカテーテル
JP2008517683A (ja) 2004-10-25 2008-05-29 コロプラスト アクティーゼルスカブ 男性用伸縮式カテーテル
JP2013043010A (ja) 2011-08-25 2013-03-04 Kazuhiro Kubo 尿道カテーテル
JP2014527450A (ja) 2011-08-26 2014-10-16 カー,マーシャル 生体適合性カテーテル
JP2018501058A (ja) 2014-12-22 2018-01-18 アメリカ合衆国 アズ レプリゼンティッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアー 尿道カテーテルアセンブリおよび方法
US20170333060A1 (en) 2016-05-19 2017-11-23 Justin P. Panian Catheter assembly for blood clots removal

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023073605A (ja) 2023-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11311313B2 (en) Apparatus and methods for accessing and sealing bodily vessels and cavities
EP2459264B1 (en) Catheter having improved drainage
CA2283827C (en) Balloon catheter for puncturing, medical tube introducing device using the catheter and method for use thereof
US4871358A (en) Externally-based inversionary tube
US10245074B2 (en) Apparatus and methods for accessing and sealing bodily vessels and cavities
US20060253197A1 (en) Shape-memory port-access tube
CN110312461A (zh) 内窥镜顶部的安装装置
WO2022227911A1 (zh) 一种可调节支架型取栓装置
JP2013027704A (ja) 装填用拡張器
JP2011525826A (ja) 握りやすい先細の気管切開術用拡張器
JP2016154757A (ja) 医療器具、医療器具組立体、バルーンデバイス、および尿道狭窄症を治療するための治療方法
JP7054570B1 (ja) 体表の開口部と連通された臓器用無痛カテーテル
WO2015070095A1 (en) Apparatus and methods for accessing and sealing bodily vessels and cavities
CA3160029A1 (en) Apparatus and method for everting catheter for iud delivery and placement in the uterine cavity
JP6599857B2 (ja) 伸長可能なカテーテル
JPH06217931A (ja) 体内挿入補助具
JP3351015B2 (ja) スライディングカテーテル
JP2838291B2 (ja) 生体器官拡張器及びカテーテル
CN207085060U (zh) 一种非触摸式定位的***扩裂导管
CN214260321U (zh) 一种血管鞘固定装置
US20240099709A1 (en) Device for atraumatic passageway of instruments with or without dilation
JPH09225036A (ja) 医用挿入補助具
CN216169308U (zh) 一种导引鞘结构
JP2726696B2 (ja) 生体器官拡張器及びカテーテル
JP4458571B2 (ja) 心臓カテーテル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211209

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7054570

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150