JP7050281B2 - 積層不織布 - Google Patents

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Description

本発明は積層不織布に関し、特にワイパーやフィルターなどに好ましく用いることができる積層不織布に関する。
ワイパーとして用いられる不織布として、親水性や吸水性を有するなどにより拭き取り性を発揮する層と、その他の機能を発揮する層とが積層一体化された積層不織布が知られている(特許文献1、2)。
特開2008-078524号公報 特開2012-040730号公報
特許文献1に記載の積層不織布では、拭き取り性を発揮する層とその他の機能を発揮する層とは、熱エンボス加工によって一体化されている。また特許文献2に記載の積層不織布では、接着層を介して、拭き取り性を発揮する層とその他の機能を発揮する層とが一体化されている。
しかし、特許文献1に記載のように熱エンボス加工だけで積層一体化させたものでは、一体化の度合いが低く、得られた積層不織布はシート強力やシート剥離強力の点で改善の余地がある。一方、特許文献2に記載のように接着層を介して拭き取り性を発揮する層とその他の機能を発揮する層とを一体化させたものでは、所要の2層のほかに接着層を設ける必要があり、このため積層構造が複雑になるという問題点がある。
そこで本発明は、このような問題点を解決して、簡単な積層構造でありながらシート強力やシート剥離強力に優れた積層不織布を得ることを目的とする。
この目的を達成するため、本発明は、次の技術的特徴を有する。
(1)中間層の両面に短繊維層が積層されており、
中間層は、単繊維繊度が15デシテックス以上の連続繊維にて構成されており、
中間層と、中間層の両面に位置する短繊維層とは、少なくとも短繊維層の構成繊維が中間層に入り込んで、一方の面の短繊維層と他方の面の短繊維層とをそれぞれ構成する短繊維同士が三次元的に交絡しており、
中間層の構成繊維は、芯部がポリエステル系重合体にて形成されるとともに鞘部が前記ポリエステル系重合体よりも低融点のポリオレフィン系重合体にて形成された芯鞘複合連続繊維であり、
前記芯鞘複合連続繊維の鞘部の熱溶融を伴った熱エンボス構造によって全体が一体化されていることを特徴とする積層不織布。
(2)短繊維層はコットンを含むことを特徴とする(1)の積層不織布。
(3)芯鞘複合連続繊維の鞘部は融点が130℃のポリエチレンにて形成されており、短繊維層は、融点またはガラス転移点が160℃以上の繊維を含むことを特徴とする(1)または(2)のいずれかの積層不織布。
(4)上記(1)から(3)までのいずれかの積層不織布にて、ワイパーまたはフィルターの形態とされていることを特徴とする不織布製品。
(5)芯部がポリエステル系重合体にて形成されるとともに鞘部が前記ポリエステル系重合体よりも低融点のポリオレフィン系重合体にて形成され、かつ単繊維繊度が15デシテックス以上である芯鞘複合連続繊維にて構成された中間層用ウエブを用い、
前記中間層用ウエブの両面に短繊維ウエブを積層し、
前記積層された中間層用ウエブと短繊維ウエブとに三次元交絡処理を施し、少なくとも短繊維層の構成繊維を中間層に入り込ませて、一方の面の短繊維層と他方の面の短繊維層とをそれぞれ構成する短繊維同士を三次元的に交絡させ、
その後に熱エンボス処理により前記芯鞘複合繊維の鞘部を熱溶融させて全体を一体化させることを特徴とする積層不織布の製造方法。
(6)短繊維ウエブにコットンを用いることを特徴とする(6)または(7)の積層不織布の製造方法。
(7)中間層用ウエブに、融点が130℃のポリエチレンにて鞘部が形成された芯鞘複合連続繊維を用いるとともに、短繊維ウエブに、融点または軟化点が160℃以上の繊維を用いることを特徴とする(5)または(6)のいずれかの積層不織布の製造方法。
本発明によれば、単繊維繊度が15デシテックス以上という高繊度の連続繊維にて中間層が構成されているため、中間層は空隙が多く、このため中間層の両面に存在する短繊維層の構成繊維同士が、中間層の空隙を通して容易に三次元的に交絡することができ、しかも、それに加えて、中間層の芯鞘複合連続繊維の鞘部の熱溶融を伴った熱エンボス構造によって全体が一体化されているため、接着層を有しない簡単な構成でありながら、シート強力やシート剥離強力に優れた積層不織布を得ることができる。
本発明の積層不織布は、中間層の両面に短繊維層が積層されたものである。中間層は、単繊維繊度が15デシテックス以上の連続繊維にて構成されている。短繊維層は、コットンや熱可塑性繊維にて構成されている。
中間層を構成する連続繊維は、芯鞘複合連続繊維であって、芯部がポリエステル系重合体にて形成されるとともに、芯部のポリエステル系重合体よりも低融点のポリオレフィン系重合体にて鞘部が形成されている。
芯部を構成するポリエステル系重合体としては、酸成分としてのテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリン-2,6ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸もしくはアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類と、アルコール成分としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等のジオール化合物とで合成されるホモポリエステルないしは共n重合ポリエステルが挙げられる。上記ポリエステルに、パラオキシ安息香酸、5-ソジュームスルフオイソフタール酸、ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリトール、ビスフエノールAなどが添加あるいは共重合されていてもよい。
鞘部を構成するポリオレフィン系重合体としては、炭素原子数が2~16の脂肪族α-モノオレフイン、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、1-オクタデセンのホモポリオレフィンまたは共重合ポリオレフィンなどが挙げられる。脂肪族α-モノオレフインは、他のオレフィンおよび、または少量(重合体質量全体の約10質量%まで)の他のエチレン系不飽和モノマー、たとえばブタジエン、イソプレン、ペンタジエン-1,3、スチレン、α-メチルスチレンのようなエチレン系不飽和モノマーと共重合されていてもよい。特にポリオレフィン系重合体がポリエチレンである場合は、重合体質量全体の約10質量%までの、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1または類似の高級α-オレフィンと共重合させたものが好ましい。
ポリエステル系重合体およびポリオレフィン系重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤などの任意の添加物が添加されていてもよい。
芯部と鞘部との組合せとしては、上記の重合体から、融点差が50℃以上あるものを選択することが好ましい。すなわち、芯部を構成するポリエステル系重合体の融点よりも鞘部を構成するポリオレフィン系重合体の融点が50℃以上低いものを選択することが好ましい。積層不織布の中間層を構成する連続繊維同士は、後述のように熱エンボス構造の熱圧着部を有することにより一体化して不織布として形態を保持している。熱圧着部は、熱エンボス加工により形成されるものである。この熱圧着部においては、鞘部は溶融または軟化して接着に寄与するが、芯部は、熱の影響を受けて溶融するのではなく繊維形態を維持して、不織布の引裂強力などの強力の向上に寄与する。つまり、芯部と鞘部との融点に好ましくは50℃以上の差を設けることにより、熱圧着部において、鞘部を溶融または軟化させ、一方、芯部は繊維形態を維持させることができる。すなわち、熱エンボス加工の際に、芯部に熱の影響を受けさせずに、かつ鞘部を確実に溶融させて、熱圧着部での熱接着固定をすることができる。
連続繊維における芯鞘複合比率(質量比)は、芯部/鞘部=80/20~50/50が好ましい。芯部の比率を鞘部と同等以上にすることにより、機械的物性に優れ、実用的な強度が維持できる。なお、芯部の比率が80質量%を超えると、接着成分となる鞘部の比率が小さくなるため、熱圧着部での接着強力が低下する傾向となるため、芯部の比率の上限は80質量%が好ましい。
連続繊維の単繊維繊度は、15デシテックス以上である。単繊維繊度が15デシテックス以上であることにより、繊維間の空隙を十分に確保することができる。このため、中間層が連続繊維にて構成されているにもかかわらず、この中間層の空隙を通じて、両面の短繊維層の構成繊維同士が良好に三次元的に交絡することができる。また、15デシテックス以上であることにより、資材に良好な形態安定性を付与できる。なお、連続繊維の単繊維繊度の上限は、20デシテックスがよい。20デシテックスを超える大きい繊度の連続繊維は操業性よく得にくいからである。また、中間層の目付によっては、繊維間の空隙が極めて大きくなり過ぎるためである。中間層の両面に存在する短繊維層同士の構成繊維は、中間層の空隙を通じて交絡しているが、短繊維の一部が、連続繊維に交絡していても好ましい。
中間層の構成繊維は、連続繊維同士が2~7本集束した集束糸を含むものであってもよい。なお、その存在割合は、10%以上であることが好ましい。単繊維繊度が15デシテックス以上である高繊度の連続繊維が2本以上集束していることにより、すなわち、中間層において複数の連続繊維が集束した箇所が存在することにより、中間層に、より大きい空隙を多数設けることができる。そして、より大きい空隙が設けられることによって、中間層の両面に存在する短繊維層の構成繊維同士を、いっそう良好に三次元的に交絡させることができる。集束本数の上限を7本とすることにより、不織ウエブ化した際に構成繊維となる連続繊維や連続繊維が集束した集束糸を適度に分散させることができ、したがって極端に大きな空隙を形成させることを防ぐことができる。
中間層が集束糸を含む場合において、中間層に集束糸が存在している割合は、上述のように10%以上であることが好ましい。集束糸の存在割合が10%未満では、集束糸を存在させる効果を発揮しにくい。中間層を構成する繊維のすべてが集束糸であってもよいが、そうすると、中間層の目付が小さい場合に繊維が存在しない領域が大きくなり、積層不織布化の手段として後述する熱エンボス加工を採用したときに、エンボスロールの凸部に当接する箇所に存在する繊維が少なく、ひどい場合は繊維が存在しない領域も発生し、その結果、熱エンボス加工によって良好に繊維同士を結合することができず、積層不織布の形態安定性が劣る傾向となりやすい。したがって、中間層においては、構成繊維が適度に単繊維の状態で存在していることが好ましい。以上より、集束糸の存在割合の好ましい上限値は、中間層の目付にもよるが、80%程度であり、より好ましくは60%程度である。
中間層に集束糸が存在する割合は、以下の方法により算出される。すなわち、マイクロスコープを用いて、サンプルサイズ2.2mm×3.1mm、倍率100倍にて、中間層用のウエブを撮影し、得られた画像中に存在する繊維の全本数および集束している繊維の本数を数える。このとき、後述する熱圧着部以外の領域に存在する繊維について、他の繊維との集束箇所が存在していれば、集束に寄与しているため集束糸とみなす。そして、ウエブの表面についてランダムに5か所を撮影し、得られた5か所の画像についてそれぞれ繊維本数を数えて、下記式により各画像についての集束糸の存在割合を求め、それらの平均値を、中間層における集束糸の存在割合とする。
集束割合(%)=(集束している繊維の合計本数)/(全繊維の数)×100
連続繊維にて構成された中間層の目付は10~60g/mであることが好ましい。目付が10g/m以上であることにより、ワイパーやフィルターとしての実用的な強度を確保することができ、一方、目付けが60g/m以下であることにより、中間層における繊維間の空隙を保持することができる。
中間層の両面に積層される短繊維層としては、各種の繊維にて構成された層を適用することができる。たとえば積層不織布をワイパーとして用いる場合には、その性能を十分に発揮するために、コットン層などのセルロース系繊維層が好適である。あるいは、中間層の構成繊維である芯鞘複合連続繊維の鞘成分の融点よりも融点または軟化点が高い熱可塑性重合体にて形成された繊維により構成された層であることも好ましい。短繊維層は、コットンなどのセルロース系繊維や、鞘成分の融点よりも高い熱可塑性重合体にて構成された繊維を主体とするものであれば足り、問題が生じない範囲で他の繊維を混合していても差し支えない。さらに、これらのコットンなどのセルロース系繊維と熱可塑性重合体にて構成された繊維との混綿を主体とする層であることも好ましい。
たとえば、中間層の芯鞘複合連続繊維の鞘部が、融点が130℃のポリエチレンにて形成されている場合には、短繊維層は、融点または軟化点が160℃以上の繊維を主体とするものであることが好ましい。このように融点差を設けることで、後述する熱エンボス処理を施す際に、芯鞘複合連続繊維の鞘部は軟化または溶融するが、短繊維層の構成繊維は軟化も溶融もせずに繊維形態を保持したものとすることができる。
短繊維層の構成繊維の単繊維繊度は、1~5デシテックスであることが好ましい。単繊維繊度をこのような範囲とすることにより、中間層の空隙を通じて良好に短繊維同士が交絡することができるという利点がある。
短繊維層の目付(片面)は、特に限定せず、得られる積層不織布の用途に応じて適宜選択すればよいが、交絡性を考慮すれば、例えば、10~100g/m程度がよい。
中間層と、その両面に積層される短繊維層とは、上述したように、少なくとも両面の短繊維層の構成繊維同士が三次元的に交絡している。この三次元的な交絡は、両面の短繊維層の構成繊維が中間層に入り込んだ状態で達成されるものである。
本発明の積層不織布は、上述のように、中間層の両面の短繊維層による三次元交絡によって3層が一体化しているうえで、芯鞘複合連続繊維の鞘部の熱溶融を伴った熱エンボス構造によって、全体が一体化されている。熱エンボス構造を有することで、積層構造物が確実に一体化され、このため中間層と短繊維層とが剥離しづらいという利点がある。また鞘部が熱溶融後に再固化し、芯部は熱溶融せずに繊維形態を保っているので、積層不織布全体の剛性および強度の高いものとすることができる。さらに、熱エンボス構造を有することで、積層不織布に細かな多数の凹凸を形成することができ、これによってワイパーとする場合にはワイピング性能を向上させることができるとともに、フィルターとする場合には表面積の増大にともないフィルタリング性能を向上させることができる。このとき、鞘部が熱溶融後に再固化することで、凹凸を良好に発現させることができる。加えて、短繊維層が、中間層の構成繊維である芯鞘複合連続繊維の鞘成分の融点よりも融点または軟化点が高い熱可塑性重合体にて構成された繊維を主体とする層である場合は、熱エンボス処理を施す場合において、短繊維層の構成繊維や芯鞘複合連続繊維の芯成分に熱的な悪影響を及ぼすことが無いという利点もある。
積層不織布の製造に際しては、中間層を構成するための不織ウエブの両面に短繊維層を構成するための不織ウエブを積層したうえで、高圧水流処理などの公知の三次元交絡処理を施す。このとき、必要であれば、中間層を構成するための、芯鞘複合連続繊維にて構成された不織ウエブに予備的な仮の熱圧着を軽く施して、三次元交絡処理時に同不織ウエブの形態を安定させることもできる。
積層体に高圧水流処理などを施すことによって、短繊維層の構成繊維を中間層に入り込ませて、中間層の両面の短繊維層を構成する不織ウエブの構成繊維同士を三次元的に交絡させることができる。すなわち、短繊維層の構成繊維である短繊維の方が、中間層の構成繊維である芯鞘複合連続繊維に比べて繊維長が短いことで、三次元的な交絡処理に適しており、このため積極的に中間層に入り込んで、中間層の空隙において、両面からの短繊維同士が確実に絡み付く。これによって、3層の不織ウエブ同士が良好に一体化される。また、三次元的な交絡処理によって、短繊維層の構成繊維の一部が中間層の連続繊維にも絡みつく。
このとき、中間層を構成する不織ウエブの連続繊維の単繊維繊度が15デシテックス以上であるため、繊維間の空隙を十分に確保することができ、このため、同不織ウエブが連続繊維にて構成されているにもかかわらず、両面の短繊維層の構成繊維同士が良好に三次元的に交絡することができる。また、中間層を構成する不織ウエブにおいて、連続繊維同士が2~7本集束した集束糸が層中に10%以上存在していると、同不織ウエブに、より大きい空隙を多数設けることができる。これによって、両面の短繊維層の構成繊維同士が、いっそう良好に三次元的に交絡することができる。
短繊維層のための不織ウエブと中間層のための不織ウエブとに三次元的交絡処理を施すことにより3層の不織ウエブを一体化させたなら、その後に、この一体化物に熱エンボス処理を施す。熱エンボス処理は、積層一体化物をエンボスロールとフラットロールとの間に通すことで、実施することができる。処理温度、すなわちロールの設定温度は、中間層を構成する不織ウエブの芯鞘複合連続繊維の鞘部の重合体の融点以上かつ芯部の重合体の融点未満の温度とする。なお、重合体が明確な融点を有しない場合は、その軟化点を融点とみなす。
熱エンボス処理によって、不織ウエブの芯鞘複合連続繊維の鞘部の重合体が熱溶融および再固化し、それによって、連続繊維同士の接触点および連続繊維と短繊維との交絡点を接着させる。その結果、上記のように構成繊維同士の三次元的交絡によって一体化していた積層体を、より強固に一体化して不織布化することができる。また、積層体のエンボスロールの凹凸柄を積層体に転写して、得られた積層不織布に細かな多数の凹凸を形成することができる。
以下の実施例、比較例における各特性値は、以下のようにして求めた。
(1)融点(℃)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC-7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(2)目付(g/m
標準状態の不織ウエブや積層不織布から縦10cm×横10cmの試験片10点を作成し、各試験片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して、不織ウエブや積層不織布の目付(g/m)とした。
(3)強力
積層不織布の試験片(縦20cm×横20cm)を用意した。成人男性5名と成人女性5名(計10名)とに、その両端を持って試験片を引っ張ってもらい、そのときに使用時に不織布が破れそうかと感じたかどうかについてのデータをまとめ、以下に基づいて不織布強力を評価した。
5:10人以下8人以上が破れないと感じた。
4:7人以下5人以上が破れないと感じた。
3:4人以下3人以上が破れないと感じた。
2:2人以下1人以上が破れないと感じた。
1:みんな破れると感じた。
(4)耐剥離性
積層不織布の試験片(縦10cm×横10cm)を用意した。試験片の端から積層部分を両手指で把持し力を加えながら剥離し、その剥離状態を下表に基づいて評価した。
◎:中間層と短繊維層との繊維同士がよく交絡している、かつ、短繊維層の構成繊維が中間層の連続繊維と融着していて剥離するのが難しい。
○:中間層と短繊維層との繊維同士の交絡は少ないが、短繊維層の構成繊維が中間層の連続繊維と融着していて剥離しづらい。
△:中間層と短繊維層との繊維同士が交絡しているが、融着はしておらず、比較的剥離しやすい。
×:中間層と短繊維層との繊維同士の交絡が少なく、かつ融着もしておらず、容易に剥離できる。
(5)剛性
積層不織布の試験片(縦20cm×横20cm)を用意した。その試験片を成人男性5名と成人女性5名(計10名)とに触ってもらい、以下に基づいてその剛性を評価した。
5:10人以下8人以上が剛性があると感じた。
4:7人以下5人以上が剛性があると感じた。
3:4人以下3人以上が剛性があると感じた。
2:2人以下1人以上が剛性があると感じた。
1:だれも剛性があると感じなかった。
(6)柄保持性
積層不織布の試験片(縦20cm×横20cm)を用意した。その試験片を1000mLの水中に漬け、水分を十分に含ませた後、水中から取り出して、100℃×5分間の条件で乾燥させた。これを5回繰り返し、そのときにエンボスロールの柄の凹凸の鮮明さがどの程度保てたかによって、以下に基づいて評価した。
5:5回後でも柄の凹凸が鮮明であった。
4:4回目まで柄の凹凸が確認できた。
3:3回目まで柄の凹凸が確認できた。
2:2回目まで柄の凹凸が確認できた。
1:1回目まで柄の凹凸が確認できた。
0:1回目の乾燥後には、柄の凹凸が確認できなかった。
(7):拭き取り性
積層不織布の試験片(縦10cm×横7cm)を用意した。その試験片を1000mLの水中に浸漬させて水分を十分に含浸させた。一方、ステンレス板に油性ペンで文字を書き、この文字の上を、30秒間、水を含浸させた試験片で拭き取り、文字の拭き取り具合を観察して、下記の基準で拭き取り性の評価を行った。
4:油性ペンの文字が全体的にほぼ見えない。
3:油性ペンの文字が全体的に薄くなっている。
2:油性ペンで書いた文字が部分的に薄くなっているが、濃い部分も残っている。
1:油性ペンで書いた文字に変化がない。
実施例1
中間層を構成する連続繊維不織ウエブとして、芯部が融点260℃のポリエチレンテレフタレートにて形成され、鞘部が融点130℃のポリエチレンにて形成された、単繊維繊度が15デシテックスの芯鞘複合連続繊維を構成繊維とするものを用いた。この不織ウエブは、部分的に熱圧着されて構成繊維同士が軽く一体化されたものであった。その目付は30g/mであった。
一方、短繊維層を構成する短繊維として、単繊維繊度が1.7デシテックスのコットンの晒し綿を用いた。この晒し綿をパラレルカード機に通して目付30g/mの不織ウエブを作製し、これを短繊維ウエブAとした。同様にして目付30g/mの他の不織ウエブを作製し、これを短繊維ウエブBとした。
次いで、短繊維ウエブA/連続繊維不織ウエブ/短繊維ウエブBとなるように積層し、この3層構造の積層物を100メッシュの金網上に載置した。
孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで配置された高圧液体流処理機を用いて、前記3層構造の積層物に液体流を噴射して高圧液体流処理を施し、それによって積層物を一体化した。液体流の噴射条件は、短繊維ウエブA側より、60kg/cmの水圧で1回、120kg/cmの水圧で1回とした。また、短繊維ウエブB側より、120kg/cmの水圧で1回とした。その後、得られた一体化物の過剰な水分の除去のため、連続熱風乾燥機によって110℃で乾燥処理を施した。
その後、積層物を、エンボスロールと平滑ロールとを備えた熱エンボス装置に通して一体化し積層不織布を得た。エンボスロールは、圧着面積率15%のものを用いた。熱エンボス加工の条件としては、エンボスロールの表面温度を150℃とした。
実施例2
実施例1と比べて、短繊維ウエブAの構成繊維を、コットン:アクリル=50:50(質量比)の混合繊維とした点を変更した。コットンの単繊維繊度は1.7デシテックス、アクリル短繊維の単繊維繊度は2.8デシテックスであった。そして、それ以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。
実施例3
実施例1と比べて、中間層を構成する不織ウエブの目付を15g/mに変更した。そして、それ以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。
実施例4
実施例1と比べて、中間層を構成する不織ウエブの目付を50g/mに変更した。そして、それ以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。
比較例1
実施例1で用いたのと同様の短繊維ウエブAおよび短繊維ウエブBを準備した。これを
短繊維ウエブA/短繊維ウエブBとなるように積層し、この2層構造の積層物を100メッシュの金網上に積載した。
実施例1で用いたのと同じ高圧液体流処理機を用いて、短繊維ウエブA側より、60kg/cmの水圧で1回、120kg/cmの水圧で1回、液体流を噴射した。その後、短繊維ウエブB側より、120kg/cmの水圧で1回、液体流を噴射して、積層物を一体化した。また、得られた一体化物の過剰な水分の除去のため、実施例1と同様にして乾燥処理を施した。
その後、実施例1と同じ条件で積層物に熱エンボス処理を施した。
比較例2
実施例1と比べて、エンボスロールの表面温度を110℃に変更した。そして、それ以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。
比較例3
実施例1と比べて、中間層の構成繊維の繊度を3デシテックスに変更した。そして、それ以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。
実施例1~4、比較例1~3の積層不織布の評価結果を表1に示す。
Figure 0007050281000001
実施例1~4の積層不織布は、いずれも、満足な強力、耐剥離性、剛性、柄保持性、抜き取り性を有するものであった。
これに対し、比較例1の積層不織布は中間層を有しなかったため、比較例2の積層不織布はエンボスロールの表面温度が低すぎて十分な熱エンボス構造を得られなかったため、比較例3の積層不織布は中間層の構成繊維の単繊維繊度が低すぎることで中間層の構成繊維と短繊維層の構成繊維との十分な三次元的交絡を行えなかったため、いずれも、実施例1~4に比べて、強力、剛性、柄保持性、抜き取り性のすべての項目において劣るものであった。また、耐剥離性において、比較例2~3の積層不織布は、上記した理由により、実施例1~4に比べて劣るものであった。なお、比較例1の積層不織布は、そもそも中間層を有しなかったため、積層状態がもはや確認できるものではなく一体化してなり、剥離しうるものではなかった。このため、耐剥離性の評価は行わなかった。

Claims (7)

  1. 中間層の両面に短繊維層が積層されており、
    中間層は、単繊維繊度が15デシテックス以上の連続繊維にて構成されており、
    中間層と、中間層の両面に位置する短繊維層とは、少なくとも短繊維層の構成繊維が中間層に入り込んで、一方の面の短繊維層と他方の面の短繊維層とをそれぞれ構成する短繊維同士が三次元的に交絡しており、
    中間層の構成繊維は、芯部がポリエステル系重合体にて形成されるとともに鞘部が前記ポリエステル系重合体よりも低融点のポリオレフィン系重合体にて形成された芯鞘複合連続繊維であり、
    前記芯鞘複合連続繊維の鞘部の熱溶融を伴った熱エンボス構造によって全体が一体化されていることを特徴とする積層不織布。
  2. 短繊維層はコットンを含むことを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
  3. 芯鞘複合連続繊維の鞘部は融点が130℃のポリエチレンにて形成されており、短繊維層は、融点またはガラス転移点が160℃以上の繊維を含むことを特徴とする請求項1または2記載の積層不織布。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の積層不織布にて、ワイパーまたはフィルターの形態とされていることを特徴とする不織布製品。
  5. 芯部がポリエステル系重合体にて形成されるとともに鞘部が前記ポリエステル系重合体よりも低融点のポリオレフィン系重合体にて形成され、かつ単繊維繊度が15デシテックス以上である芯鞘複合連続繊維にて構成された中間層用ウエブを用い、
    前記中間層用ウエブの両面に短繊維ウエブを積層し、
    前記積層された中間層用ウエブと短繊維ウエブとに三次元交絡処理を施し、少なくとも短繊維層の構成繊維を中間層に入り込ませて、一方の面の短繊維層と他方の面の短繊維層とをそれぞれ構成する短繊維同士を三次元的に交絡させ、
    その後に熱エンボス処理により前記芯鞘複合繊維の鞘部を熱溶融させて全体を一体化させることを特徴とする積層不織布の製造方法。
  6. 短繊維ウエブにコットンを用いることを特徴とする請求項5記載の積層不織布の製造方法。
  7. 中間層用ウエブに、融点が130℃のポリエチレンにて鞘部が形成された芯鞘複合連続繊維を用いるとともに、短繊維ウエブに、融点または軟化点が160℃以上の繊維を用いることを特徴とする請求項5または6記載の積層不織布の製造方法。
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