JP7047379B2 - エチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットおよび、共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、酢酸ビニルをエチレン加圧下で重合させた後、共役ポリエンを添加し、エチレンの除去後、ケン化することによりEVOHを製造し、EVOH粒子を大量の水で洗浄して、目的とするEVOH粒子を得ている(実施例1)。
こうして得られたEVOH粒子を用いて作製したフィルムは、着色が少なく、100μm以上のゲル状塊の数は、100cm2あたり3~10個であることが示されている(表1参照)。
本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットを構成するEVOHは、通常、エチレンとビニルエステルモノマーとの共重合体(エチレン-ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる樹脂であり、一般的にエチレン-ビニルアルコール系共重合体やエチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物と称される非水溶性の熱可塑性樹脂である。
その他のコモノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のオレフィン類;3-ブテン-1-オール、3-ブテン-1,2-ジオール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1,2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等の誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1~18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1~18のN-アルキルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メタアクリルアミド、炭素数1~18のN-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、2-メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;炭素数1~18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類;トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類;アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類;トリメチル-(3-アクリルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウムクロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のコモノマーがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
重合禁止剤として共役ポリエンを用いる場合、その添加量は、ビニルエステルモノマーの仕込み量100重量部に対して、通常0.0001~3重量部、好ましくは0.0005~1重量部、さらに好ましくは0.001~0.5重量部である。
上記未反応のエチレンガスは、例えば、蒸発除去等によって除去することができる。また、エチレン-ビニルエステル系共重合体溶液から未反応のビニルエステルモノマーを除去する方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から該エチレン-ビニルエステル系共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み、塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応ビニルエステルモノマーとの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応ビニルエステルモノマーを除去したエチレン-ビニルエステル系共重合体溶液を取り出す方法等を採用することができる。
また、ケン化の方式としては、連続式、回分式いずれも可能である。
上記ケン化用触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート等のアルカリ触媒が用いられる。
ケン化反応温度は30~60℃、ケン化用触媒の使用量は通常0.001~0.6当量(ビニルエステル基当り)が好ましい。ケン化時間は、ケン化条件、目的とするケン化度に依存するが、通常1~6時間から選択される。
本発明で用いられる共役ポリエンとは、炭素-炭素二重結合と炭素-炭素単結合が交互に繋がってなる構造であって、炭素-炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。共役ポリエンは、2個の炭素-炭素二重結合と1個の炭素-炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ジエン、3個の炭素-炭素二重結合と2個の炭素-炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役トリエン、あるいはそれ以上の数の炭素-炭素二重結合と炭素-炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ポリエンであってもよい。ただし、共役する炭素-炭素二重結合の数が8個以上になると共役ポリエン自身の色により成形物が着色する懸念があるので、共役する炭素-炭素二重結合の数が7個以下であるポリエンであることが好ましい。また、2個以上の炭素-炭素二重結合からなる上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエンが同一分子内に3個ある化合物も共役ポリエンに含まれる。
本発明で用いるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらのうち、好ましくはナトリウムおよびカリウムであり、特に好ましくはナトリウムである。また、アルカリ金属を2種以上併せて用いた時の含有量は、全アルカリ金属を合計した含有量である。
アルカリ金属塩としては、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、塩化物塩等の無機塩;酢酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩、エナント酸塩、カプリン酸塩等の炭素数2~11のモノカルボン酸塩;シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、スベリン酸塩、セバチン酸塩等の炭素数2~11のジカルボン酸塩;EVOH樹脂の重合末端カルボキシル基とのカルボン酸塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。アルカリ金属化合物の分子量としては、通常20~10000、好ましくは20~1000、特に好ましくは20~500である。
これらのなかでも、好ましくはカルボン酸塩であり、特に好ましくは炭素数2~11のカルボン酸塩であり、さらに好ましくは炭素数2~11の脂肪族カルボン酸塩であり、殊に好ましくは炭素数2~6の脂肪族モノカルボン酸塩であり、最も好ましくは酢酸塩である。
本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットには、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下)一般的にEVOH組成物に用いられるEVOH以外の樹脂を混合して得られる樹脂組成物も含まれる。
EVOHからペレットを製造する方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば、
a)流動状のEVOHを押出機の吐出口から押し出し、溶融状態でカットした後、冷却固化してペレットを作製するホットカット方式、
b)流動状のEVOHを凝固浴中に押し出し、冷却固化により得られたEVOHストランドをカットするストランドカット方式、
等があげられる。なかでも、後述する多孔質ペレットが得られる点で、b)ストランドカット方式が好ましい。
EVOH溶液・含水組成物をホットカット方式で製造するペレット原料として押出機に投入する場合、押出機内でのEVOH溶液・含水組成物の温度は、70~170℃が好ましく、より好ましくは80~170℃、さらに好ましくは90~170℃である。EVOH溶液・含水組成物の温度が低すぎる場合は、EVOHが完全に溶融しない傾向があり、高すぎる場合は、EVOHが熱劣化を受けやすくなる傾向がある。
また、乾燥EVOH組成物をペレット原料として押出機に投入する場合、押出機内での乾燥EVOH組成物の温度は150~300℃が好ましく、より好ましくは160~280℃、さらに好ましくは170~250℃である。
なお、上記EVOH溶液・含水組成物および乾燥EVOH組成物の押出機内での温度は、押出機シリンダーに設置した温度センサーにより押出機先端部吐出口付近で検出した温度をいう。
また、乾燥EVOH組成物を原料とする場合、EVOH溶液・含水組成物を原料として用いる場合よりも凝固しやすいことから、水中カット方式における冷却水の温度は、EVOH溶液・含水組成物を原料とする場合よりも高く、通常0~90℃であり、好ましくは20~70℃である。
EVOH溶液・含水組成物をペレット原料として押出機に投入する場合、凝固浴に押出されるEVOH溶液の温度は、通常、10~100℃、凝固浴の温度は、押し出されたEVOHが冷却固化できる温度で、通常、-10~40℃であり、滞留時間は、通常、10~400秒間程度である。
また、乾燥EVOH組成物をペレット原料として押出機に投入する場合、凝固浴にEVOHが押し出される温度は、通常、150~300℃、凝固浴の温度は通常0~90℃であり、滞留時間は2~400秒間程度である。
本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットは、下記の、共役ポリエン含有EVOHペレットの製造と、アルカリ金属含有EVOHペレットの製造工程とを経ることにより得ることができる。これらの工程は、どちらの工程を先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
上記共役ポリエン含有EVOHペレットは、前記EVOHのペレット表面に共役ポリエンを含有させることにより製造することができる。
上記アルカリ金属含有EVOHペレットは、前記EVOHのペレットにアルカリ金属を含有させることにより製造することができる。
本発明においては、作業効率の点から共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有する処理液を用いて、上記共役ポリエンを含有させる工程と、アルカリ金属を含有させる工程とを、同時に行うことが好ましい。
本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット表層部の共役ポリエン含有量は、当該ペレット重量あたり30ppb以上、好ましくは34ppb以上、さらに好ましくは38ppb以上である。ペレット表層部の共役ポリエン含有量を当該ペレット重量あたり30ppb以上、好ましくは34ppb以上、さらに好ましくは38ppb以上とすることにより、直径200μm以下の微小なフィッシュアイ発生についても効果的に抑制することができる。また、共役ポリエンの含有量が少ないとフィッシュアイが多く発生する。なお、表層部の共役ポリエンの含有量の上限は、通常10000ppb(10ppm)、好ましくは8000ppb(8ppm)、特に好ましくは5000ppb(5ppm)である。
本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットは、溶融成形法により、例えばフィルム、シート、カップやボトル等に成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T-ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等があげられる。溶融成形温度は、通常150~300℃の範囲から選ぶことが多い。また、フィルム、シート、繊維等を一軸または二軸延伸することも可能である。
上記多層構造体を製造するにあたっては、本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットを用いて成形された層の片面または両面に、他の基材(熱可塑性樹脂等)を積層するのであるが、積層方法としては、例えば、本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット等を用いて成形されたフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット等を溶融押出ラミネートする方法、本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット等と他の基材とを共押出する方法、本発明の共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット等を用いてなるフィルム、シート等(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等があげられる。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、150~300℃の範囲から選ぶことが多い。
なお、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
(1)ペレットの共役ポリエン(ソルビン酸)全含有量
共役ポリエンをEVOHのペレット表面に直接添加した場合は添加量を含有量とみなした。また、共役ポリエンが上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットの内部に存在する場合は、以下の測定方法で共役ポリエンの含有量を定量した。
上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットを凍結粉砕した粉末1gに対して、抽出溶媒(蒸留水:メタノール=1:1、体積比)8mLを添加した。この溶液を温度20℃、静置状態で超音波処理を1時間行い、樹脂中のソルビン酸を抽出し、冷却後に抽出溶媒で10mLに定容した。この溶液をポアサイズ0.45μmのフィルターで濾過後、液体クロマトグラフ-紫外分光検出器で抽出溶液中のソルビン酸を定量した。
[HPLC測定条件]
LCシステム :Agilent1260/1290[Agilent Technologies社製]
検出器 :Agilent1260 infinity ダイオードアレイ検出器[Agilent Technologies社製]
カラム :Cadenza CD-C18(100×3.0mm、3μm)[Imtakt社製]
カラム温度 :40℃
移動相A :0.05%ギ酸含有 5%アセトニトリルの水溶液
移動相B :0.05%ギ酸含有 95%アセトニトリルの水溶液
タイムプログラム:0.0→5.0分 B%=30%
5.0→8.0分 B%=30%→50%
8.0→10.0分 B%=50%
10.0→13.0分 B%=50%→30%
13.0→15.0分 B%=30%
流量 :0.2mL/分
UV検出波長 :190~400nm
定量波長 :262nm
なお、上記HPLC測定条件における「%」は、体積%を意味する。
共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット20gを、抽出溶媒(蒸留水:メタノール=1:1、体積比)30mL中で10分間撹拌して抽出を実施した。得られた抽出液を2mLにまで濃縮した後、ポアサイズ0.45μmのフィルターで濾過した。得られた濾液を検液として使用し、液体クロマトグラフにより共役ポリエンを定量した。濾液中の共役ポリエン量を測定し、上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット重量(20g)で除してペレット表層部の共役ポリエン含有量を求めた。液体クロマトグラフの測定条件は上記のペレットの共役ポリエン全含有量の測定と同様の条件で行った。
共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット中のアルカリ金属の含有量について、アルカリ金属が上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット表面に直接添加されたものである場合は添加量を含有量とみなすことができるが、アルカリ金属が上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットの内部に存在する場合は、下記の方法により算出した。
上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット2gを白金皿に採取し、硫酸を数mL添加してガスバーナーで加熱した。ペレットが炭化して硫酸白煙がなくなるのを確認したら、数滴硫酸を添加して再び加熱した。この操作を有機物がなくなるまで繰り返し、完全に灰化させた。灰化が終わった容器を放冷し、塩酸を1mL添加して溶解させた。この塩酸溶液を超純水で洗いこみ、50mLに定容した。このサンプル溶液中のアルカリ金属含有量を誘導結合プラズマ発光分析計(ICP-AES)(アジレント・テクノロジー社製、720-ES型)によって測定した。最終的に、溶液中のアルカリ金属濃度から、上記共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレット中のアルカリ金属含有量として換算した。
共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットを用いて下記成膜条件で、成膜することにより厚み30μmの単層フィルムを得た。
上記厚み30μmの単層フィルムについて、デジタル欠陥検査装置(マミヤオーピー社製、GX-70LT)を用いて、フィッシュアイを計測した。
フィッシュアイの計測は、単層フィルムの下面から光を当て、光透過しなかった部分(直径0.1~0.2mm)をフィッシュアイ1個として、100cm2(サイズ:10cm×10cm)あたりのフィッシュアイ個数をカウントすることにより行った。
なお、計測時の読み取り速度は3m/分である。
[成膜条件]
押出機:直径(D)40mm、L/D=28
スクリュー:フルフライトタイプ圧縮比=2.5
スクリーンパック:60/90/60メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=180/200/220/220/210/210℃
スクリュー回転数:40rpm
ロール温度:80℃
[実施例1]
冷却コイルを備える重合缶に酢酸ビニルを500部、メタノール100部、アセチルパーオキシド0.0585部、クエン酸0.015部を仕込み、重合缶内を、窒素ガスで一旦置換した後、ついでエチレンで置換して、エチレン圧が40kg/cm2となるまで圧入した。エチレン加圧下、撹拌しながら、67℃まで昇温することにより重合を開始した。重合開始から6時間後、重合率が60%に達した時点で、ソルビン酸0.0525部を添加した。これにより、エチレン含有率32.5モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。ついで、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含有する反応液を蒸留塔に供給し、塔下部からメタノール蒸気を導入することで未反応酢酸ビニルを除去し、エチレン-酢酸ビニル共重合のメタノール溶液を得た。該エチレン-酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液に、該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.007当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を供給することによりケン化を行い、EVOHのメタノール溶液(EVOH30重量%、メタノール70重量%)を得た。かかるEVOHのケン化度は99.7モル%であった。
得られたEVOHのメタノール溶液に水蒸気を吹き込むとともに、発生したメタノールの蒸気を系外に除くことで、EVOH40重量%の水/メタノール=40/60(重量比)の混合溶液を得た。このEVOHの水/メタノールの混合溶液を、冷水中にストランド状に押し出し、得られたストランド状物(含水多孔質体)をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmで、EVOH分35重量%の多孔質ペレットを得た。
実施例1において、共役ポリエン全含有量、表層部の共役ポリエン含有量および、アルカリ金属含有量を後記の表1のように調整し、共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットを作製した。得られた共役ポリエンおよびアルカリ金属含有EVOHペレットについて、上記評価方法に基づいて、共役ポリエンおよびアルカリ金属含有量を測定したところ、共役ポリエン全含有量は60ppm、表層部の共役ポリエン含有量は280ppb、アルカリ金属の含有量は140ppmであった。
つぎに、このペレットを用いて、実施例1と同様にして単層フィルムを作製し、フィッシュアイの発生個数について評価した。結果を後記の表1に示す。
実施例1で得られたEVOHペレットに対して、アルカリ金属含有量が700ppmになるように、共役ポリエンならびにアルカリ金属含有量を調製したEVOHペレットを得た。
ついで、このペレットを用いて、実施例1と同様にして単層フィルムを作製し、フィッシュアイの発生個数について評価した。結果を後記の表1に示す。
ソルビン酸の含有量が下記の表1のようになる様に洗浄用処理液を多孔質ペレット100部に対し酢酸ナトリウム0.1部/酢酸0.1部/ホウ酸0.003部(ホウ素換算)に調整した以外は、実施例1の場合と同様にして、EVOHペレットを作製した。
ついで、このペレットを用いて、実施例1と同様にして単層フィルムを作製し、フィッシュアイの発生個数について評価した。結果を下記の表1に示す。
Claims (7)
- 共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットであって、当該ペレット表層部の共役ポリエンの含有量が、当該ペレット重量あたり30ppb以上であり、当該ペレット全体の共役ポリエン全含有量に対する上記ペレット表層部の共役ポリエン含有量の重量(表層部共役ポリエン含有量/共役ポリエン全含有量)比が、2.6×10 -4 以上であり、かつアルカリ金属含有量が当該ペレット重量あたり1~500ppmであることを特徴とするエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレット。
- 上記共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレット全体の共役ポリエン全含有量が、上記ペレット重量あたり0.1~10000ppmであることを特徴とする請求項1記載のエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレット。
- 上記共役ポリエンが、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、およびソルビン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレット。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットを製造する方法であって、エチレン-ビニルアルコール系共重合体のペレットと共役ポリエンを含有する処理液とを接触させる工程、エチレン-ビニルアルコール系共重合体のペレットとアルカリ金属とを接触させる工程を備えることを特徴とする共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットの製造方法。
- 上記エチレン-ビニルアルコール系共重合体のペレットが、エチレン-ビニルアルコール系共重合体のアルコール溶液または水/アルコール混合溶液を凝固してペレット化したものであることを特徴とする請求項4記載の共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットの製造方法。
- 上記エチレン-ビニルアルコール系共重合体のペレットが、多孔質ペレットであることを特徴とする請求項4または5記載の共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットの製造方法。
- 上記エチレン-ビニルアルコール系共重合体をケン化する前の、エチレン-ビニルエステル系共重合体の製造工程において、重合禁止剤として共役ポリエンを配合する工程を備えることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の共役ポリエンおよびアルカリ金属を含有するエチレン-ビニルアルコール系共重合体ペレットの製造方法。
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