以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
[射出成形機の構成]
まず、図1(図1A,1B)、図2を参照し、本実施形態に係る射出成形機1の構成について説明する。
図1、図2は、本実施形態に係る射出成形機の一例(射出成形機1)を示す図である。具体的には、図1Aは、射出成形機1の型開完了時の状態を示す側面断面図であり、図1Bは、射出成形機1の型締時の状態を示す側面断面図である。図2は、射出成形機1の型締時の状態を示す平面断面図である。以下、本実施形態の図中において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに垂直であり、X軸の正負方向(以下、単に「X方向」)及びY軸の正負方向(以下、単に「Y方向」)は水平方向を表し、Z軸の正負方向(以下、単に「Z方向」)は鉛直方向を表す。
尚、図1A、図1B、図2には、後述の如く、多色成形品を成形する場合の固定金型11が示される。具体的には、図1A、図1Bでは、第1射出装置300からの成形材料がキャビティ空間14に充填される場合の固定金型11が示され、図2では、第2射出装置500からの成形材料がキャビティ空間に充填される場合の固定金型11が示される。
射出成形機1は、本体機2と、追加機3を含む。
本体機2(成形機本体の一例)は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、第1射出装置300と、第1移動装置400と、第1制御装置700を含む。また、追加機3は、第2射出装置500と、第2移動装置600と、第2制御装置800を含む。
<型締装置>
以下、型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中左方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、型開を行う。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型11と可動金型12とで金型装置10が構成される。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152及び第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152及び第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1A及び図1Bに示す構成に限定されない。例えば図1A及び図1Bでは、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152及び第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、第1制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、及び、クロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14が形成され、第1射出装置300と第2射出装置500のいずれか一方がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間14の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
型閉工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程及び型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
また、型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化などにより金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。
尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。
尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、第1制御装置700によって制御される。第1制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
また、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
<エジェクタ装置>
以下、エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中左方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、金型装置10から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、及びエジェクタロッド230などを有する。
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構220に連結されてもよい。
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていても、連結されていなくてもよい。
エジェクタ装置200は、第1制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えばエジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。
尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
<第1射出装置>
以下、第1射出装置300の説明では、第1射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1A及び図1B中左方向)を前方とし、第1射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1A及び図1B中右方向)を後方として説明する。
第1射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。第1射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。第1射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1A及び図1B中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、第1制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、第1制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図1B参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1A参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、第1射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
第1射出装置300は、第1制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程などを行う。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。
尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の第1射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の第1射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第1射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第1射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
<第1移動装置>
以下、第1移動装置400の説明では、第1射出装置300の説明と同様に、第1射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1A及び図1B中左方向)を前方とし、第1射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1A及び図1B中右方向)を後方として説明する。
尚、第1移動装置400は、図2では第1射出装置300のシリンダ310の片側に配置されるが、シリンダ310の両側に配置されてもよく、シリンダ310を中心に対称に配置されてもよい。
第1移動装置400は、金型装置10に対し第1射出装置300を進退させる。また、第1移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。第1移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、第1制御装置700からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、及びピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、第1射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、第1射出装置300が前方に押される。第1射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、第1射出装置300が後方に押される。第1射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
尚、本実施形態では第1移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第1射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
<第1制御装置>
第1制御装置700は、型締装置100、エジェクタ装置200、第1射出装置300、及び第1移動装置400等に直接的に制御信号を送信し、本体機2の駆動制御を行う。また、第1制御装置700は、第2制御装置800に制御信号を送信することにより、間接的に、第2射出装置500及び第2移動装置600等を含む追加機3の駆動制御を行う。つまり、第1制御装置700は、型締装置100、エジェクタ装置200、第1射出装置300、第1移動装置400、第2制御装置800を制御することにより、射出成形機1全体の駆動制御を行う。
第1制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。第1制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、第1制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
第1制御装置700は、型閉工程や型締工程、型開工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、第1制御装置700は、型締工程の間に、第1射出装置300による計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。また、第1制御装置700は、第2制御装置800に制御信号を送信することにより、型締工程の間に、後述する第2射出装置500による計量工程や充填工程、保圧工程などを第2制御装置800に行わせる。
成形品を得るための一連の動作、例えば第1射出装置300による計量工程の開始から次の第1射出装置300による計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、第1射出装置300及び第2射出装置500による計量工程、型閉工程、型締工程、第1射出装置300及び第2射出装置500による充填工程、第1射出装置300及び第2射出装置500による保圧工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。第1射出装置300のノズル320及び後述する第2射出装置500のノズル520の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320及びノズル520の流路を閉じていれば、ノズル320及びノズル520から成形材料が漏れないためである。
第1制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。
操作装置750(第1操作装置の一例)は、ユーザによる本体機2に関する入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を第1制御装置700に出力する。また、操作装置750は、ユーザによる追加機3に関する入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を第1制御装置700に出力してもよい。
表示装置760(第1表示装置の一例)は、第1制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた操作画面を表示する。具体的には、表示装置760は、第1制御装置700による制御下で、本体機2に関する操作画面を表示する。また、表示装置760は、第1制御装置700による制御下で、追加機3に関する操作画面を表示してもよい。これにより、ユーザは、本体機2側で、追加機3に関する操作を行うことができるため、ユーザの利便性が向上し、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1全体での設定操作等を容易に行うことができる。
表示装置760に表示される操作画面は、本体機2或いは追加機3に関する設定等に用いられる。本体機2或いは追加機3に関する設定には、例えば、本体機2或いは追加機3に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される本体機2或いは追加機3に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の本体機2或いは追加機3に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置760への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより、本体機2に関する設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザは、表示装置760に追加機3に関する操作画面が表示される場合、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより、追加機3の設定等を行うことができる。表示装置760に表示される操作画面の詳細は、後述する(図3A~図3C、図4、図5参照)。
また、表示装置760は、第1制御装置700による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報(情報画面)を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置760は、本体機2に関する設定内容(例えば、本体機2の成形条件に関する設定内容)や管理情報(例えば、本体機2の稼働実績に関する情報等)を表示する。また、表示装置760は、第1制御装置700による制御下で、追加機3に関する設定内容(例えば、追加機3の成形条件に関する設定内容)や管理情報(例えば、追加機3の稼働実績に関する情報)を表示する。このとき、表示装置760に表示される、追加機3に関する設定内容は、追加機3の設定に関する操作画面の参照情報であってよい。これにより、ユーザは、追加機3に関する設定内容を確認しながら、それに対応させるように、本体機2に関する設定を行うことができる。また、ユーザは、本体機2及び追加機3に関する管理情報の双方を本体機2側で確認することができるため、射出成形機1全体としての品質管理等の判断を容易に行うことができる。よって、ユーザの利便性が向上する。このとき、表示装置760に表示される追加機3に関する各種情報(追加機3に関する設定内容や管理情報)は、本体機2に関する情報と同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。例えば、表示装置760に表示される追加機3に関する各種情報は、予め規定された方式の要約情報であってもよいし、所定の操作画面等で予め選択設定された情報のみで構成されていてもよい。これにより、ユーザは、必要な情報だけを表示装置760に表示させることができる。また、表示装置760に表示される追加機3に関する各種情報に対応する情報画面は、表示される順序やウィンドウ等の枠のサイズを、所定の操作画面等を通じて、ユーザが操作装置750により選択したり、変更したりすることが可能であってよい。これにより、ユーザは、自分の好みで、表示装置760に表示される情報画面の表示仕様をカスタマイズできるため、ユーザの利便性が向上する。また、追加機3に関する各種情報は、本体機2に関する対応する情報と共に一対の情報として、表示装置760に表示されてもよい。これにより、ユーザは、例えば、追加機3の成形条件の設定内容を確認しながら、本体機2の成形条件の設定操作を行うこと等ができるため、ユーザの利便性が向上する。
操作装置750及び表示装置760は、例えば、タッチパネル式のディスプレイとして構成され、一体化されてよい。
尚、本実施形態の操作装置750及び表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
第1制御装置700は、操作装置750の操作が行われている場合、本体機2側で操作が行われていることを示す信号(第1の信号の一例。以下、「本体機操作中信号」)を第2制御装置800に送信する。これにより、第1制御装置700は、第2制御装置800に対して、追加機3側での操作(即ち、操作装置850の操作)を受け付けないように促すことができる。そのため、例えば、本体機2側と追加機3側で同時に操作が行われると、一方で設定の操作中であるにも関わらず、他方で成形動作を開始させる操作が行われてしまうような事態も想定されうるところ、第1制御装置700は、第2制御装置800との協働の下、本体機2側と追加機3側で同時に操作が行われる事態を抑制することができる。第1制御装置700の当該機能(以下、「同時操作抑制機能」)の詳細は、後述する(図4、図5参照)。
また、第1制御装置700は、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定が完了しない限り、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1による成形動作を禁止する。これにより、成形条件としての設定値には、予め初期設定の値が入力され、成形条件に関する設定が途中の状態であっても、本体機2側での所定操作に応じて、成形動作が開始されてしまう可能性があり得るところ、第1制御装置700は、成形条件に関する設定が不完全な状態で成形動作が開始されてしまう事態を抑制できる。
例えば、第1制御装置700は、後述の如く(図3A~図3C参照)、成形条件の設定に関する操作画面上に設けられる、本体機2に関する成形条件の設定が完了したことを通知するための操作対象(完了ボタン)が操作されたか否かにより、本体機2に関する成形条件の設定の完了の有無を判断する。また、第1制御装置700は、本体機2の成形条件の設定に関する操作画面が表示されてから、成形条件の設定に必要な時間よりも十分に長い所定時間以上が経過した場合、本体機2に関する成形条件の設定が完了したと判断してもよい。また、第1制御装置700は、本体機2の成形条件の設定に関する操作画面が表示されてから、その後、非操作の状態が所定時間以上経過した場合、本体機2に関する成形条件の設定が完了したと判断してもよい。また、第1制御装置700は、表示装置760に追加機3の設定に関する操作画面を表示させる場合、上述の本体機2に関する成形条件の設定の完了の有無の判断と同様の方法で、追加機3に関する成形条件の設定の完了の有無を判断してよい。
<第2射出装置>
以下、第2射出装置500の説明では、第2射出装置500を金型装置10に対し接近させる方向(図2中下方向)を前方とし、第2射出装置500を金型装置10に対し離間させる方向(図2中上方向)を後方として説明する。
尚、第1射出装置300の移動方向はX方向であり、第2射出装置500の移動方向はY方向であるが、特に限定されない。例えば、第1射出装置300及び第2射出装置500のいずれか一方の移動方向がZ方向でもよい。
第2射出装置500は、フレームFrに隣設される追加フレームAFrに対し進退自在なスライドベース501に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。第2射出装置500は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。
例えば、金型装置10は、既知のスライド機構やターンテーブル機構等により移動可能な異なる二つの固定金型11を有し、二つの固定金型11は、それぞれ、可動金型12と相互に異なるキャビティ空間14を形成してよい(図1B,図2参照)。つまり、第2射出装置500は、第1射出装置300により一方の固定金型11に対応するキャビティ空間14で取得された一次成形品を含む可動金型12と、他方の固定金型11とにより形成されるキャビティ空間14に、第1射出装置300と異なる成形材料を充填し、一次成形品と一体化させた多色成形品を成形してよい。また、金型装置10の固定金型11は、第1射出装置300からキャビティ空間14に成形材料を流入させる第1の経路と、第2射出装置500からキャビティ空間14に成形材料を流入させる第2の経路とを有してもよい。この場合、第2射出装置500は、第1射出装置300がキャビティ空間14に成形材料を充填している最中に、キャビティ空間14に成形材料を充填する態様であってもよいし、第1射出装置300がキャビティ空間14に成形材料を充填していないときに、キャビティ空間14に成形材料を充填する態様であってもよい。
第2射出装置500は、例えば、シリンダ510、ノズル520、スクリュ530、計量モータ540、射出モータ550、圧力検出器560などを有する。
シリンダ510は、供給口から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、第1射出装置300の場合と同様、例えば樹脂などを含み、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口511に供給される。供給口はシリンダ510の後部に形成される。シリンダ510の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器512が設けられる。冷却器512よりも前方において、シリンダ510の外周には、バンドヒータなどの加熱器513と温度検出器514とが設けられる。
シリンダ510は、シリンダ510の軸方向(図2中上下方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器513と温度検出器514とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器514の検出温度が設定温度になるように、第2制御装置800が加熱器513を制御する。
ノズル520は、シリンダ510の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル520の外周には、加熱器513と温度検出器514とが設けられる。ノズル520の検出温度が設定温度になるように、第2制御装置800が加熱器513を制御する。
スクリュ530は、シリンダ510内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ530を回転させると、スクリュ530の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ510からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ530の前方に送られシリンダ510の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ530が後退させられる。その後、スクリュ530を前進させると、スクリュ530前方に蓄積された液状の成形材料がノズル520から射出され、金型装置10内に充填される。
スクリュ530の前部には、スクリュ530を前方に押すときにスクリュ530の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング531が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング531は、スクリュ530を前進させるときに、スクリュ530前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図3参照)までスクリュ530に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ530前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング531は、スクリュ530を回転させるときに、スクリュ530の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置までスクリュ530に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ530の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング531は、スクリュ530と共に回転する共回りタイプと、スクリュ530と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、第2射出装置500は、スクリュ530に対し逆流防止リング531を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ540は、スクリュ530を回転させる。スクリュ530を回転させる駆動源は、計量モータ540には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ550は、スクリュ530を進退させる。射出モータ550とスクリュ530との間には、射出モータ550の回転運動をスクリュ530の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ530を進退させる駆動源は、射出モータ550には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器560は、射出モータ550とスクリュ530との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器560は、射出モータ550とスクリュ530との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器560に作用する圧力を検出する。
圧力検出器560は、その検出結果を示す信号を第2制御装置800に送る。圧力検出器560の検出結果は、スクリュ530が成形材料から受ける圧力、スクリュ530に対する背圧、スクリュ530から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
第2射出装置500は、第2制御装置800による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程などを行う。
計量工程では、計量モータ540を駆動してスクリュ530を設定回転数で回転させ、スクリュ530の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ530の前方に送られシリンダ510の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ530が後退させられる。スクリュ530の回転数は、例えば計量モータエンコーダ541を用いて検出する。計量モータエンコーダ541は、計量モータ540の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第2制御装置800に送る。
尚、スクリュ530の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ541に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ530の急激な後退を制限すべく、射出モータ550を駆動してスクリュ530に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ530に対する背圧は、例えば圧力検出器560を用いて検出する。圧力検出器560は、その検出結果を示す信号を第1制御装置700に送る。スクリュ530が計量完了位置まで後退し、スクリュ530の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
充填工程では、射出モータ550を駆動してスクリュ530を設定速度で前進させ、スクリュ530の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ530の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ551を用いて検出する。射出モータエンコーダ551は、射出モータ550の回転を検出し、その検出結果を示す信号を第2制御装置800に送る。スクリュ530の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ530の設定速度は、スクリュ530の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ530の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ530を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ530の停止の代わりに、スクリュ530の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ530の位置を検出するスクリュ位置検出器、及びスクリュ530の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ551に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ550を駆動してスクリュ530を前方に押し、スクリュ530の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ510内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器560を用いて検出する。圧力検出器560は、その検出結果を示す信号を第2制御装置800に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の第2射出装置500は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の第2射出装置500は、シリンダ510の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ510の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第2射出装置500と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第2射出装置500と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
<第2移動装置>
以下、第2移動装置600の説明では、第2射出装置500の説明と同様に、第2射出装置500を金型装置10に対し接近させる方向(図2中下方向)を前方とし、第2射出装置500を金型装置10に対し離間させる方向(図2中上方向)を後方として説明する。
尚、第2移動装置600は、図2では第2射出装置500のシリンダ510の片側に配置されるが、シリンダ510の両側に配置されてもよく、シリンダ510を中心に対称に配置されてもよい。
第2移動装置600は、金型装置10に対し第2射出装置500を進退させる。また、第2移動装置600は、金型装置10に対しノズル520を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。第2移動装置600は、液圧ポンプ610、駆動源としてのモータ620、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ630などを含む。
液圧ポンプ610は、第1ポート611と、第2ポート612とを有する。液圧ポンプ610は、両方向回転可能なポンプであり、モータ620の回転方向を切り替えることにより、第1ポート611及び第2ポート612のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ610はタンクから作動液を吸引して第1ポート611及び第2ポート612のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ620は、液圧ポンプ610を作動させる。モータ620は、第2制御装置800からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ610を駆動する。モータ620は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ630は、シリンダ本体631、ピストン632、及びピストンロッド633を有する。シリンダ本体631は、第2射出装置500に対して固定される。ピストン632は、シリンダ本体631の内部を、第1室としての前室と、第2室としての後室とに区画する。ピストンロッド633は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ630の前室は、第1流路601を介して、液圧ポンプ610の第1ポート611と接続される。第1ポート611から吐出された作動液が第1流路601を介して前室に供給されることで、第2射出装置500が前方に押される。第2射出装置500が前進され、ノズル520が固定金型11に押し付けられる。前室は、液圧ポンプ610から供給される作動液の圧力によってノズル520のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ630の後室は、第2流路602を介して液圧ポンプ610の第2ポート612と接続される。第2ポート612から吐出された作動液が第2流路602を介して液圧シリンダ630の後室に供給されることで、第2射出装置500が後方に押される。第2射出装置500が後退され、ノズル520が固定金型11から離間される。
尚、本実施形態では第2移動装置600は液圧シリンダ630を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ630の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第2射出装置500の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
<第2制御装置>
第2制御装置800は、追加機3、つまり、第2射出装置500及び第2移動装置600等の駆動制御を行う。例えば、第2制御装置800は、第1制御装置700からの制御信号に応じて、第2射出装置500及び第2移動装置600の動作を、型締装置100、エジェクタ装置200、第1射出装置300、及び第1移動装置400等を含む本体機2の動作に同期させる。
第2制御装置800は、第1制御装置700と同様、例えばコンピュータで構成され、CPU801と、メモリなどの記憶媒体802と、入力インターフェース803と、出力インターフェース804とを有する。第2制御装置800は、記憶媒体802に記憶されたプログラムをCPU801に実行させることにより、各種の制御を行う。また、第2制御装置800は、入力インターフェース803で外部からの信号を受信し、出力インターフェース804で外部に信号を送信する。
第2制御装置800は、型締工程の間に、第2射出装置500による計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。
第2制御装置800は、操作装置850や表示装置860と接続されている。
操作装置850(第2操作装置の一例)は、ユーザによる追加機3に関する入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を第2制御装置800に出力する。また、操作装置850は、本体機2に関する入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を第2制御装置800に出力してもよい。
表示装置860(第2表示装置の一例)は、第2制御装置800による制御下で、操作装置850における入力操作に応じた操作画面を表示する。具体的には、表示装置860は、第2制御装置800による制御下で、追加機3に関する操作画面を表示する。また、表示装置860は、第2制御装置800による制御下で、本体機2に関する操作画面を表示してもよい。これにより、ユーザは、追加機3側で、本体機2に関する操作を行うことができるため、ユーザの利便性が向上し、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1全体での設定操作等を容易に行うことができる。
表示装置860に表示される操作画面は、追加機3或いは本体機2の設定等に用いられる。追加機3或いは本体機2に関する設定には、表示装置760に表示される操作画面の場合と同様、例えば、追加機3或いは本体機2に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される追加機3或いは本体機2に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の追加機3或いは本体機2に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置860への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置860で表示される操作画面を見ながら、操作装置850を操作することにより追加機3の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザは、表示装置860に本体機2に関する操作画面が表示される場合、表示装置860に表示される操作画面を見ながら、操作装置850を操作することにより、本体機2の設定等を行うことができる。表示装置860に表示される操作画面の詳細は、後述する(図3A~図3C、図4、図5参照)。
また、表示装置860は、第2制御装置800による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報(情報画面)を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置860に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置860は、追加機3に関する設定内容(例えば、追加機3の成形条件に関する設定内容)や管理情報(例えば、追加機3の稼働実績に関する情報等)を表示する。また、表示装置860は、第2制御装置800による制御下で、本体機2に関する設定内容(例えば、本体機2の成形条件に関する設定内容)や管理情報(例えば、本体機2の稼働実績に関する情報)を表示する。このとき、表示装置860に表示される本体機2に関する設定内容は、本体機2の設定に関する操作画面の参照情報であってよい。これにより、ユーザは、本体機2に関する設定内容を確認しながら、それに対応させるように、追加機3に関する設定を行うことができる。また、ユーザは、本体機2及び追加機3に関する管理情報の双方を追加機3側で確認することができるため、射出成形機1全体としての品質管理等の判断を容易に行うことができる。よって、ユーザの利便性が向上する。このとき、表示装置860に表示される本体機2に関する各種情報(本体機2に関する設定内容や管理情報)は、追加機3に関する情報と同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。例えば、表示装置860に表示される本体機2に関する各種情報は、予め規定された方式の要約情報であってもよいし、所定の操作画面等で予め選択設定された情報のみで構成されていてもよい。これにより、ユーザは、必要な情報だけを表示装置860に表示させることができる。また、表示装置860に表示される本体機2に関する各種情報に対応する情報画面は、表示される順序やウィンドウ等の枠のサイズを、所定の操作画面等を通じて、ユーザが操作装置850により選択したり、変更したりすることが可能であってよい。これにより、ユーザは、自分の好みで、表示装置860に表示される情報画面の表示仕様をカスタマイズできるため、ユーザの利便性が向上する。また、本体機2に関する各種情報は、追加機3に関する対応する情報と共に一対の情報として、表示装置860に表示されてもよい。これにより、ユーザは、例えば、本体機2の成形条件の設定内容を確認しながら、追加機3の成形条件の設定操作を行うことができるため、ユーザの利便性が向上する。
操作装置850及び表示装置860は、例えばタッチパネル式のディスプレイとして構成され、一体化されてよい。
尚、本実施形態の操作装置850及び表示装置860は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置850は、複数設けられてもよい。
第2制御装置800は、操作装置850の操作が行われている場合、追加機3側で操作が行われていることを示す信号(第2の信号の一例。以下、「追加機操作中信号」)を第1制御装置700に送信する。これにより、第2制御装置800は、第1制御装置700に対して、本体機2側での操作(即ち、操作装置750の操作)を受け付けないように促すことができる。そのため、第2制御装置800は、第1制御装置700の場合と同様、第1制御装置700との協働の下、本体機2側と追加機3側で同時に操作が行われる事態を抑制することができる。第2制御装置800の当該機能の詳細は、後述する(図4、図5参照)。
また、第2制御装置800は、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定が完了しない限り、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1による成形動作を禁止する。これにより、成形条件としての設定値には、予め初期設定の値が入力され、成形条件に関する設定が途中の状態であっても、追加機3側での所定操作に応じて、成形動作が開始されてしまう可能性があり得るところ、第2制御装置800は、第1制御装置700の場合と同様、成形条件に関する設定が不完全な状態で成形動作が開始されてしまう事態を抑制できる。
例えば、第2制御装置800は、後述の如く(図3A~図3C参照)、成形条件の設定に関する操作画面上に設けられる、追加機3に関する成形条件の設定が完了したことを通知するための操作対象(完了ボタン)が操作されたか否かにより、追加機3に関する成形条件の設定の完了の有無を判断する。また、第2制御装置800は、追加機3の成形条件の設定に関する操作画面が表示されてから、成形条件の設定に必要な時間よりも十分に長い所定時間以上経過した場合、追加機3に関する成形条件の設定が完了したと判断してもよい。また、第2制御装置800は、追加機3の成形条件の設定に関する操作画面が表示されてから、その後、非操作の状態が所定時間以上経過した場合、追加機3に関する成形条件の設定が完了したと判断してもよい。また、第2制御装置800は、表示装置860に本体機2の設定に関する操作画面を表示させる場合、上述の追加機3に関する成形条件の設定の完了の有無の判断と同様の方法で、本体機2に関する成形条件の設定の完了の有無を判断してよい。
第1制御装置700及び第2制御装置800は、相互に、本体機2及び追加機3のそれぞれの成形条件の設定の完了の有無に関する情報を送受信することにより共有する。これにより、第1制御装置700及び第2制御装置800は、協働して、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定が完了しない限り、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1による成形動作が実行されないようにすることができる。
[成形条件に関する操作画面]
次に、図3(図3A~図3C)を参照して、表示装置760,860に表示される成形条件に関する操作画面の具体例について説明する。
図3Aは、表示装置760に表示される操作画面の一例(操作画面3000)を示す図であり、具体的には、第1射出装置300の充填工程及び保圧工程に関する各種設定を行うための操作画面(以下、「充填・保圧設定画面」)を示す図である。また、図3Bは、表示装置760に表示される操作画面の他の例(操作画面3100)を示す図であり、具体的には、第1射出装置300のシリンダ310内での成形材料の加熱に関するゾーンごとの温度設定を行うための操作画面(以下、「温度設定画面」)の一例である。図3Cは、表示装置760に表示される操作画面の更に他の例(操作画面3200)を示す図であり、具体的には、第1射出装置300及び第2射出装置500の双方に関する充填・保圧設定画面の一例を示す図である。
図3Aに示すように、操作画面3000では、操作装置750を通じて、本体機2(第1射出装置300)の充填工程におけるスクリュ330の段階的な前進速度、V/P切替位置、保圧工程における段階的な保持圧力等の設定が行われる。
また、図3Bに示すように、操作画面3100では、操作装置750を通じて、シリンダ310内でのゾーンごとの温度設定が行われる。
操作画面3000,3100の下端部には、設定操作対象の成形条件の種類を示すアイコン群3010,3110と、本体機2の成形条件に関する設定の完了を通知する操作を行うための完了ボタンアイコン3020,3120が表示される。
同様に、追加機3の表示装置860にも、操作画面3000,3100と同様の操作画面、つまり、図3A、図3Bと同様の態様で、第2射出装置500の充填・保圧設定画面や温度設定画面が表示されうる。
第1制御装置700は、射出成形機1の起動時に、本体機2の成形条件に関する設定を未完了の状態にする(例えば、本体機2の成形条件に関する設定が未完了である状態に対応する本体機設定未完了モードに遷移する)。また、第1制御装置700は、本体機2の成形条件の設定に関する操作画面が表示されるたびに、本体機2の成形条件に関する設定を未完了の状態にする。そして、第1制御装置700は、操作装置750を通じて、完了ボタンアイコン3020が操作された場合、本体機2の成形条件に関する操作が完了したと判断し、本体機2の成形条件を完了した状態にする(例えば、本体機2の成形条件に関する設定が完了した状態に対応する本体機設定完了モードに遷移する)。
同様に、第2制御装置800は、射出成形機1の起動時に、追加機3の成形条件に関する設定を未完了の状態にする(例えば、追加機3の成形条件に関する設定が未完了である状態に対応する追加機設定未完了モードに遷移する)。また、第2制御装置800は、追加機3の成形条件の設定に関する操作画面が表示されるたびに、追加機3の成形条件に関する設定を未完了の状態にする。そして、第2制御装置800は、操作装置850を通じて、完了ボタンアイコンが操作された場合、追加機3の成形条件に関する操作が完了したと判断し、追加機3の成形条件を完了した状態にする(例えば、追加機3の成形条件に関する設定が完了した状態に対応する追加機設定完了モードに遷移する)。
第1制御装置700及び第2制御装置800は、相互に、本体機2及び追加機3のそれぞれの成形条件の設定の完了の有無に関する情報(例えば、本体機設定完了/未完了モードの別や追加機設定完了/未完了モードの別に関する情報)を常時共有する。これにより、第1制御装置700及び第2制御装置800は、上述の如く、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定が完了しない限り、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1による成形動作が行われないようにすることができる。
また、図3Cに示すように、操作画面3200では、本体機2の操作装置750を通じて、本体機2(第1射出装置300)及び追加機3(第2射出装置500)のそれぞれの充填工程におけるスクリュ330,530の段階的な前進速度、V/P切替位置、保圧工程における段階的な保持圧力等の設定が行われる。つまり、本例では、本体機2側(操作装置750及び表示装置760)において、本体機2に関する成形条件の設定操作だけでなく、追加機3に関する成形条件の設定操作が行われうる。これにより、上述の如く、ユーザの利便性が向上する。
操作画面3200の下端部には、設定操作対象の成形条件の種類を示すアイコン群3210と、本体機2及び追加機3の成形条件に関する設定の完了を通知する操作を行うための完了ボタンアイコン3020が表示される。
同様に、追加機3の表示装置860にも、操作画面3200と同様の操作画面、つまり、図3Cと同様の態様で、第1射出装置300及び第2射出装置500の双方に関する充填・保圧設定画面が表示されうる。
第1制御装置700及び第2制御装置800は、それぞれ、射出成形機1の起動時に、本体機2及び追加機3、つまり射出成形機1全体の成形条件に関する設定を未完了の状態にする(例えば、射出成形機1全体の成形条件に関する設定が未完了である状態に対応する全体設定未完了モードに遷移する)。また、第1制御装置700及び第2制御装置800は、それぞれ、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定に関する操作画面が表示されるたびに、射出成形機1全体の成形条件に関する設定を未完了の状態にする。そして、第1制御装置700及び第2制御装置800は、それぞれ、操作装置750,850を通じて、完了ボタンアイコンが操作された場合、射出成形機1全体の成形条件に関する操作が完了したと判断し、射出成形機1全体の成形条件を完了した状態にする(例えば、射出成形機1全体の成形条件に関する設定が完了した状態に対応する全体設定完了モードに遷移する)。
第1制御装置700及び第2制御装置800は、相互に、射出成形機1全体の成形条件の設定の完了の有無に関する情報(例えば、全体設定完了/未完了モードの別に関する情報)を常時共有する。これにより、第1制御装置700及び第2制御装置800は、上述の如く、射出成形機1全体、つまり、本体機2及び追加機3の双方の成形条件の設定が完了しない限り、本体機2及び追加機3を含む射出成形機1による成形動作が行われないようにすることができる。
[同時操作抑制機能の詳細]
次に、図4、図5を参照して、第1制御装置700及び第2制御装置800による同時操作抑制機能の詳細について説明する。
図4は、本体機2側(操作装置750及び表示装置760)で操作が行われている場合の追加機3側(表示装置860)の操作画面の一例を示す図である。図5は、本体機2側(操作装置750及び表示装置760)で操作が行われている場合の追加機3側(表示装置860)の操作画面の他の例を示す図である。
第1制御装置700は、第2制御装置800から追加機操作中信号が受信されていない状態で、操作装置750を通じて、成形条件に関する設定操作が行われた(開始された)場合、第2制御装置800に本体機操作中信号を送信し、本体機2側(操作装置750及び表示装置760)に成形条件に関する設定操作の権限を付与する。例えば、第1制御装置700は、成形条件に関する設定操作が可能な設定可能モードに遷移する。
このとき、成形条件に関する設定操作が開始されたか否かの判断は、例えば、成形条件に関する操作画面上に表示される所定の操作対象(例えば、設定開始を通知するボタンアイコン等)が操作されたか否かにより行われてよい。また、当該判断は、例えば、成形条件に関する操作画面を表示するための操作(例えば、所定のアイコンやタブ等の操作)が行われたか否かにより行われてもよい。また、当該判断は、例えば、成形条件に関する操作画面上で実際に設定値等が入力される入力欄へのカーソルの移動の有無等により行われてもよい。後述する第2制御装置800による追加機3側での判断についても同様である。
一方、第2制御装置800は、第1制御装置700から本体機操作中信号を受信した場合、追加機3側(操作装置850及び表示装置860)での成形条件に関する操作が行われないように、成形条件に関する設定の操作画面の表示を変化させる。
例えば、図4に示すように、第2制御装置800は、表示装置860の追加機3(第2射出装置500)の成形条件に関する操作画面(本例では、充填・保圧設定画面)上に、本体機2側で成形条件に関する設定操作中であることを示す文字情報を重畳して表示させる。これにより、追加機3側で成形条件に関する設定を行おうとしているユーザに、追加機3側での成形条件の設定操作を行わないように促すことができる。
また、例えば、図5に示すように、第2制御装置800は、表示装置860の追加機3(第2射出装置500)の成形条件に関する設定の操作画面(本例では、充填・保圧設定画面)をグレーアウト表示させ、操作装置850による操作ができない状態にする。これにより、確実に、追加機3側での成形条件の設定操作ができないようにすることができる。
また、第2制御装置800は、成形条件に関する設定操作に関する権限が本体機2側に付与されている状態で、操作装置850を通じて行われる所定操作に応じて、当該権限の移譲を要求する信号(以下、「権限要求信号」)を第1制御装置700に送信してもよい。この場合、権限要求信号を受信する本体機2側(表示装置760)の操作画面上に、権限要求信号が受信されたことを示す情報が表示されると共に、追加機3側への当該権限の移譲の許否を確認する操作画面が表示されてよい。そして、第1制御装置700は、操作装置750を通じて、当該権限の追加機3側への移譲を許可する操作が行われた場合、本体機2の当該権限を解除し、第2制御装置800に当該権限を移譲することを示す信号(権限移譲信号)を送信する。これにより、本体機2側のユーザが許可すれば、追加機3側のユーザは、成形条件に関する設定操作を行うことができる。そのため、例えば、本体機2側を操作するユーザと、追加機3側を操作するユーザとの間で操作画面上でのコミュニケーションを図りながら、成形条件に関する設定操作を進めることができるため、ユーザの利便性が向上する。
逆に、第2制御装置800は、第1制御装置700から本体機操作中信号が受信されていない状態で、操作装置850を通じて、成形条件に関する操作が行われた(開始された)場合、第1制御装置700に追加機操作中信号を送信し、追加機3側(操作装置850及び表示装置860)に成形条件に関する設定操作の権限を付与する。例えば、第2制御装置800は、第1制御装置700の場合と同様、成形条件に関する設定操作が可能な設定可能モードに遷移する。
一方、第1制御装置700は、第2制御装置800から追加機操作中信号を受信した場合、上述した第2制御装置800の場合と同様、本体機2側(操作装置750及び表示装置760)での成形条件に関する操作が行われないように、成形条件に関する設定の操作画面の表示を変化させる。
例えば、第1制御装置700は、図4と同様の態様で、表示装置760の本体機2(第1射出装置300)の成形条件に関する設定画面上に、追加機3側で成形条件に関する設定操作中であることを示す文字情報を重畳して表示させてもよいし、図5と同様の態様で、当該操作画面をグレーアウト表示させ、操作装置750による操作ができない状態にしてもよい。これにより、上述と同様の作用・効果を奏する。
また、第1制御装置700は、第2制御装置800の場合と同様、成形条件に関する設定操作に関する権限が追加機3側に付与されている状態で、操作装置750を通じて行われる所定操作に応じて、権限要求信号を第2制御装置800に送信してもよい。この場合、権限要求信号を受信する追加機3側(表示装置860)の操作画面上に、権限要求信号が受信されたことを示す情報が表示されると共に、本体機2側への当該権限の移譲の許否を確認する操作画面が表示されてよい。そして、第2制御装置800は、操作装置850を通じて、当該権限の本体機2側への移譲を許可する操作が行われた場合、追加機3の当該権限を解除し、第1制御装置700に権限移譲信号を送信する。これにより、追加機3側のユーザが許可すれば、本体機2側のユーザは、成形条件に関する設定操作を行うことができるため、上述と同様の作用・効果を奏する。
[作用]
次に、図6を参照して、本実施形態に係る射出成形機1の作用について説明する。
図6は、本実施形態に係る射出成形機1の作用を説明する図である。具体的には、図6は、本体機2側の表示装置760及び追加機3側の表示装置860の配置の一例を示す図である。
図6に示すように、本例では、表示装置760の前に立っているユーザW1、及び、表示装置860の前に立っているユーザW2は、それぞれ、型締装置100等が邪魔になり、相手側を確認することができない可能性がある。よって、表示装置760及び表示装置860の配置状況によっては、本体機2側及び追加機3側のうちの相手側の操作が行われているかどうかをユーザが確認しにくい状況が有りうる。
また、図6に示す状況以外でも、そもそも、射出成形機1が大型機の場合、本体機2及び追加機3側のそれぞれの表示装置760,860の相対的な位置が、双方を操作するユーザ間での確認ができない程度に大きく離れてしまう可能性がある。
そのため、本体機2側の操作をするユーザと、追加機3側を操作するユーザとの間のコミュニケーションを取りづらい状況が生じ、本体機2側及び追加機3側の双方で同時に操作が行われてしまう可能性がある。
これに対して、本体機2側(第1制御装置700)及び追加機3側(第2制御装置800)の任意の一方は、それぞれ、本体機2側及び追加機3側での操作がされると、他方にその旨を示す信号(本体機側操作中信号、追加機側操作中信号)を送信する。これにより、本体機2側及び追加機3側のうちの当該信号を受信した一方は、上述の如く、操作画面上で、ユーザに相手側で操作が行われていることを通知したり、操作自体をできないようにしたりすることができる。よって、本実施形態に係る射出成形機1は、本体機2側及び追加機3側の双方での同時操作を抑制することができる。
[変形及び改良]
以上、射出成形機1の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、上述した実施形態では、本体機2の表示装置760の操作画面が操作されている場合に、追加機3の表示装置860の操作画面に、本体機2の表示装置760の操作画面が操作中であることを示す情報が表示され、追加機3の表示装置860の操作画面が操作されている場合に、本体機2の表示装置760の操作画面に、追加機3の表示装置860の操作画面が操作中であることを示す情報が表示されるが(図4参照)、当該態様には、限定されない。具体的には、操作画面に対する操作か否かに依らず、本体機2の操作装置750による操作が行われている場合、追加機3の任意の通知手段(例えば、表示装置860の他、スピーカやブザー等の音声出力装置等)を通じて、本体機2の操作装置750による操作が行われていることがユーザに通知され、追加機3の操作装置850による操作が行われている場合、本体機2の任意の通知手段(例えば、表示装置760の他、スピーカやブザー等の音声出力手段)を通じて、追加機3の操作装置850による操作が行われていることがユーザに通知されてよい。
また、上述した実施形態では、本体機2の表示装置760の操作画面が操作されている場合に、追加機3の表示装置860の操作画面が操作できない状態にされ、追加機3の表示装置860の操作画面が操作されている場合に、本体機2の表示装置760の操作画面が操作できない状態にされるが、当該態様には限定されない。具体的には、操作画面に対する操作か否かに依らず、本体機2の操作装置750による操作が行われている場合、追加機3の操作装置850による操作ができない状態(つまり、操作禁止)にされ、追加機3の操作装置850による操作が行われている場合、本体機2の操作装置750による操作ができない状態(つまり、操作禁止)にされてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、射出成形機1は、第1射出装置300及び第2射出装置500の二つの射出装置を有するが、三以上の射出装置を有してもよい。この場合、一の射出装置に対応する制御装置は、当該一の射出装置に対応する操作が行われた場合、一の射出装置以外の射出装置に対応する全ての制御装置に対して、操作が行われていることを示す信号を送信すればよい。これにより、上述と同様の作用・効果を奏する。