JP7027105B2 - セメント組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント強度向上剤、セメント用添加剤、およびセメント組成物に関する。
セメント組成物は、一般に、セメントと骨材と水を含んでおり、通常、流動性を高めて減水させることが求められる。
最近、セメント組成物に対し、セメント組成物の硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
他方、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上(例えば、4週間レベルでの強度向上など)が求められるようになっている。
特開2011-84459号公報
本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント強度向上剤、セメント用添加剤を提供することにある。また、そのようなセメント強度向上剤を含むセメント組成物を提供することにある。
本発明の一つの実施形態におけるセメント強度向上剤は、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類を含む。
一つの好ましい実施形態においては、上記多糖類が、アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステル、グルコマンナンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明の一つの実施形態におけるセメント用添加剤は、上記セメント強度向上剤と、下記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを有する。
A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
B成分:アルカノールアミン化合物。
C成分:オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種。
一つの好ましい実施形態においては、上記A成分が、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3-メチル-3-ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、およびポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
一つの好ましい実施形態においては、上記B成分が、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびジイソプロパノールエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明の一つの実施形態におけるセメント組成物は、上記セメント強度向上剤を含む。
一つの好ましい実施形態においては、上記セメント組成物は、さらに、下記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する。
A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
B成分:アルカノールアミン化合物。
C成分:オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種。
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント強度向上剤、セメント用添加剤を提供することができる。また、そのようなセメント強度向上剤を含むセメント組成物を提供することができる。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
≪1.セメント強度向上剤≫
セメント強度向上剤は、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類を含む。
上記セメント強度向上剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させることができる。すなわち、上記セメント強度向上剤は、セメントを含むモルタルやコンクリートの強度向上を用途とする特定の剤であり、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させるという優れた効果を発現しうる。
本明細書において、「アルカリ水中でゲル化するゲル形成能」とは、例えば、カルシウムイオン等の金属イオンを含む液体中で該金属イオンを介してゲル化してゲルを形成するなど、アルカリ水中でゲル化してゲルを形成する能力を意味する。
上記セメント強度向上剤中の、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類の含有割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。上記セメント強度向上剤中の、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類の含有割合が上記範囲内にあれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
上記セメント強度向上剤中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類以外の成分を含んでいてもよい。
アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類としては、例えば、アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステル、およびグルコマンナンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルギン酸またはその塩としては、好ましくは、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。アルギン酸エステルとしては、例えば、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ラウロイルが挙げられ、好ましくは、アルギン酸プロピレングリコールである。アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステルは、代表的には、カルシウムイオンを介してゲル化するゲル形成能を有する多糖類である。
グルコマンナンは、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類である。
上記セメント強度向上剤は、任意の適切な実施形態で使用し得る。このような実施形態としては、例えば、上記セメント強度向上剤をそのままセメントに配合して用いる実施形態や、上記セメント強度向上剤を他の成分と配合したものをセメントに配合して用いる実施形態が挙げられる。
上記セメント強度向上剤の使用量は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.003質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.004質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.005質量%~0.01質量%である。上記セメント強度向上剤の使用量を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
≪2.セメント用添加剤の一つの実施形態≫
セメント用添加剤の一つの実施形態は、上記セメント強度向上剤と、下記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを有する。
A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
B成分:アルカノールアミン化合物。
C成分:オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種。
上記セメント強度向上剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
A成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。B成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。C成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
セメント用添加剤は、上記セメント強度向上剤と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを有することにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。
具体的には、セメント用添加剤によって発現されるセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、
(i)上記セメント強度向上剤のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果とA成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示し、
(ii)上記セメント強度向上剤のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果とB成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示し、
(iii)上記セメント強度向上剤のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果と、C成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
セメント用添加剤中の、上記セメント強度向上剤と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種との合計量の含有割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。すなわち、最も好ましくは、本発明のセメント用添加剤は、上記セメント強度向上剤と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とからなる。
セメント用添加剤中の上記セメント強度向上剤の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.003質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.005質量%~0.01質量%である。セメント用添加剤中の上記セメント強度向上剤の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のA成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.02質量%である。セメント用添加剤中のA成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のB成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.02質量%である。セメント用添加剤中のB成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のC成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.3質量%であり、さらに好ましくは0.003質量%~0.1質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.05質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.05質量%である。セメント用添加剤中のC成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中の、上記セメント強度向上剤に対する、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の割合比(A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種/上記セメント強度向上剤)は、好ましくは0.05~20であり、より好ましくは0.1~15であり、さらに好ましくは0.1~10であり、特に好ましくは0.1~5であり、最も好ましくは0.2~1である。セメント用添加剤中の、上記セメント強度向上剤に対する、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の割合比(A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種/上記セメント強度向上剤)を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な、上記セメント強度向上剤と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と以外の成分を含んでいてもよい。
<2-1.A成分>
A成分は、アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物である。
アルキレンオキシドとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは炭素数2~10のアルキレンオキシドであり、さらに好ましくは炭素数2~8のアルキレンオキシドであり、より好ましくは炭素数2~6のアルキレンオキシドであり、特に好ましくは炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、最も好ましくは炭素数2~3のアルキレンオキシド(すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド)である。また、アルキレンオキシドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数は、下限値として、好ましくは10モル以上であり、より好ましくは20モル以上であり、さらに好ましくは30モル以上であり、さらに好ましくは40モル以上であり、さらに好ましくは50モル以上であり、さらに好ましくは100モル以上であり、特に好ましくは500モル以上であり、最も好ましくは1000モル以上であり、上限値として、好ましくは100000モル以下であり、より好ましくは50000モル以下であり、さらに好ましくは40000モル以下であり、さらに好ましくは30000モル以下であり、さらに好ましくは20000モル以下であり、さらに好ましくは10000モル以下であり、特に好ましくは7000モル以下であり、最も好ましくは5000モル以下である。アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
A成分である化合物の重量平均分子量は、下限値として、好ましくは4000以上であり、より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは10000以上であり、特に好ましくは20000以上であり、最も好ましくは100000以上であり、上限値として、好ましくは10000000以下であり、より好ましくは5000000以下であり、さらに好ましくは1000000以下であり、特に好ましくは700000以下であり、最も好ましくは300000以下である。A成分である化合物の重量平均分子量を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。重量平均分子量の測定方法は後述する。
アルコールとしては、1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられ、多価アルコールとしては、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物であればよく、低分子化合物やポリマーでもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価アルコールを採用し得る。このような多価アルコールとしては、好ましくは2価~500価のアルコールであり、より好ましくは2価~100価のアルコールであり、さらに好ましくは3価~50価のアルコールである。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
アルコールとしては、水酸基を有するモノマーを重合して得られるものも挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタアリルアルコール、ブテニルアルコール、3-メチル-3-ブテニルアルコール、3-メチル-2-ブテニルアルコール、2-メチル-3-ブテニルアルコールなどが挙げられる。これらは、単独で重合させてもよく、他の重合可能なモノマーと共重合させてもよい。
A成分である化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な官能基を有していてもよい。しかしながら、A成分である化合物は、本発明の効果を十分に発現し得る点で、カルボキシル基は有さないことが好ましい。
A成分である化合物を合成する方法としては、公知の方法など、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、水酸基を有するモノマーを重合した後、アルキレンオキシドを付加する方法、水酸基を有するモノマーに先にアルキレンオキシドを付加してから重合する方法、などが挙げられる。
A成分である化合物としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3-メチル-3-ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体などが挙げられる。ここで、「ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体」とは、ポリエチレンイミンが有するアミノ基に結合している活性水素にアルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)が任意の適切な付加モル数で付加した付加体をいう。
A成分である化合物が3-メチル-3-ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体の場合、本発明の効果をより発現し得る点で、該共重合体がカルボキシル基またはその塩(アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩など)を含まないことが好ましい。
<2-2.B成分>
アルカノールアミン化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-プロパノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-N-(ヒドロキシエチル)アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2-ヒドロキシブチル)アミン、などが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
<2-3.C成分>
C成分は、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種である。
オキシカルボン酸としては、任意の適切なオキシカルボン酸を採用し得る。このようなオキシカルボン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種である。
オキシカルボン酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
ケト酸としては、任意の適切なケト酸を採用し得る。このようなケト酸としては、例えば、ピルビン酸、オキソグルタル酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ピルビン酸である。
ケト酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
糖としては、任意の適切な糖を採用し得る。このような糖としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、異性化糖などの単糖類;マルトース、シュークロース、ラクトースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストリンなどのオリゴ糖;などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコースである。
糖アルコールとしては、任意の適切な糖アルコールを採用し得る。このような糖アルコールとしては、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ガラクチトールである。
≪3.セメント用添加剤の別の実施形態≫
本発明の効果を発現しうるセメント用添加剤の別の実施形態としては、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類(X成分)と、下記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを有する。
A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
B成分:アルカノールアミン化合物。
C成分:オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種。
X成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
A成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。B成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。C成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
セメント用添加剤は、X成分と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを有することにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。
具体的には、セメント用添加剤によって発現されるセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、
(i)X成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果とA成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示し、
(ii)X成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果とB成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示し、
(iii)X成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果と、C成分のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
セメント用添加剤中の、X成分と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種との合計量の含有割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。すなわち、最も好ましくは、本発明のセメント用添加剤は、X成分と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とからなる。
セメント用添加剤中のX成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.003質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.005質量%~0.01質量%である。セメント用添加剤中のX成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のA成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.02質量%である。セメント用添加剤中のA成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のB成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%であり、さらに好ましくは0.002質量%~0.05質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.02質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.02質量%である。セメント用添加剤中のB成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中のC成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.001質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.002質量%~0.3質量%であり、さらに好ましくは0.003質量%~0.1質量%であり、特に好ましくは0.005質量%~0.05質量%であり、最も好ましくは0.01質量%~0.05質量%である。セメント用添加剤中のC成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中の、X成分に対する、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の割合比(A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種/X成分)は、好ましくは0.05~20であり、より好ましくは0.1~15であり、さらに好ましくは0.1~10であり、特に好ましくは0.1~5であり、最も好ましくは0.2~1である。セメント用添加剤中の、X成分に対する、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の割合比(A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種/X成分)を上記範囲内に調整することによって、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
セメント用添加剤中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な、X成分と、A成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と以外の成分を含んでいてもよい。
<3-1.X成分>
X成分は、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類である。
このようなX成分としては、例えば、アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステル、およびグルコマンナンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルギン酸またはその塩としては、好ましくは、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。アルギン酸エステルとしては、例えば、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ラウロイルが挙げられ、好ましくは、アルギン酸プロピレングリコールである。アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステルは、代表的には、カルシウムイオンを介してゲル化するゲル形成能を有する多糖類である。
グルコマンナンは、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類である。
<3-2.A成分、B成分、C成分>
A成分、B成分、C成分については、前述した≪2.セメント用添加剤の一つの実施形態≫の項目中の<2-1.A成分>の項目におけるA成分についての説明、<2-2.B成分>の項目におけるB成分についての説明、<2-3.C成分>の項目におけるC成分についての説明をそのまま援用し得る。
≪4.セメント組成物≫
セメント組成物は、少なくともセメント、水、およびアルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類を含む。このアルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類は、上記セメント強度向上剤であってもよい。
セメント組成物は、さらに、上記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。A成分、B成分、C成分については、前述した≪セメント用添加剤≫の項目におけるA成分、B成分、C成分についての説明をそのまま援用し得る。
セメント組成物が、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類と、上記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する場合、これらの成分の配合は、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類と、上記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とが、セメント用添加剤の形態として配合される形態であってもよいし、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類と、上記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とが、セメント用添加剤の形態を採らずに配合(例えば、それぞれが別個に配合)される形態であってもよい。
セメント組成物は、アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類や上記のA成分、B成分、C成分から選ばれる少なくとも1種以外に、好ましくは、骨材と減水剤を含む。
セメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。セメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が挙げられる。
セメント組成物は、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を含んでいても良い。
セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m~185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m~800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1~0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m~175kg/mであり、使用セメント量が270kg/m~800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12~0.65である。このように、セメント組成物は、貧配合~富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
骨材は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材としては、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
減水剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。減水剤としては、好ましくは、分子中にポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とを有するポリカルボン酸系分散剤、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤が挙げられる。
ポリカルボン酸系分散剤としては、例えば、炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)(又はビニルスルホン酸(塩)、p-(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)のいずれか)との3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)との3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体にさらに(メタ)アクリルアミド及び/又は2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合した共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)(又はp-(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩))との4種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体とマレイン酸のポリアルキレングリコールエステル系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体と無水マレイン酸との共重合体と末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2~18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2~300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;が挙げられる。
スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;が挙げられる。
セメント組成物が減水剤を含む場合、セメント組成物中の減水剤の含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、セメントに対して、好ましくは0.01質量%~10質量%であり、より好ましくは0.02質量%~5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%~3質量%であり、特に好ましくは0.07質量%~1質量%であり、最も好ましくは0.1質量%~0.7質量%である。セメント組成物中の減水剤の含有割合を上記範囲内に調整することによって、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。
セメント組成物は、任意の適切な追加成分を含んでいてもよい。このような追加成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような追加成分としては、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、早強剤・促進剤、AE剤、消泡剤、ひび割れ低減剤、界面活性剤、防水材、防錆剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤などが挙げられる。
水溶性高分子物質としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β-1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類;ポリアクリルアミド;が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物が挙げられる。
早強剤・促進剤としては、例えば、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;が挙げられる。
AE剤としては、例えば、樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α-オレフィンスルホネートが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、オキシアルキレン系消泡剤、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられる。オキシアルキレン系消泡剤としては、例えば、ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;が挙げられる。
ひび割れ低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキルエーテルが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤;が挙げられる。
防水剤としては、例えば、脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックスが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛が挙げられる。
膨張材としては、例えば、エトリンガイト系膨張材、石炭系膨張材が挙げられる。
追加成分の種類、組み合わせ、配合量等は目的に応じて適切に設定され得る。
セメント組成物中における追加成分の含有割合は、固形分割合として、好ましくは0質量%~50質量%であり、より好ましくは0質量%~10質量%であり、さらに好ましくは0質量%~1質量%であり、特に好ましくは0質量%~0.1質量%である。
セメント組成物は、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。
セメント組成物は、中流動コンクリート(スランプ値が22~25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50~70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
セメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
<重量平均分子量分析条件>
・使用カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumnα+TSKgelα-5000+TSKgelα-4000+TSKgelα-3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:Viscotek社製のトリプル検出器「Model302光散乱検出器」、直角光散乱として90°散乱角度、低角度光散乱として7°散乱角度、セル容量として18μL、波長として670nm。
・標準試料:東ソー株式会社製、ポリエチレングリコールSE-8(Mw=l07000)を用い、そのdn/dCを0.135ml/g、溶離液の屈折率を1.333として装置定数を決定した。
・打ち込み量
標準試料:ポリマー濃度が0.2vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
サンプル:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
<コンクリート試験>
(セメント組成物の製造)
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m、水:172kg/m、細骨材:796kg/m、粗骨材:930kg/m、減水剤:表2に示す量、セメント強度向上剤またはセメント用添加剤または比較添加剤:表2に示す量、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてセメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。
また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤を用い、空気量が1.0±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でセメント組成物を製造し、スランプ値、フロー値、および空気量を測定した。なお、スランプ値、フロー値、および空気量の測定は、日本工業規格(JIS-A-1101、1128)に準拠して行った。また、減水剤の添加量は、フロー値が37.5~42.5cmになる添加量とした。
(圧縮強度の測定)
混練後、フロー値と空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:100mm×200mm
供試体養生(28日):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
〔製造例1〕:共重合体(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部およびイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量100000の共重合体(1)の水溶液を得た。
〔実施例1〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を、セメント強度向上剤(1)とした。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
グルコマンナン(商品名「プロポールA」、清水化学社製)を、セメント強度向上剤(2)とした。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とPEG20万(ポリエチレングリコール、アルドリッチ社製、重量平均分子量=200000)を、質量比1:1で配合し、セメント用添加剤(1)とした。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの、日本触媒製)を、質量比1:1で配合し、セメント用添加剤(2)とした。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とEDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)を、質量比1:1で配合し、セメント用添加剤(3)とした。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とTIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を、質量比1:1で配合し、セメント用添加剤(4)とした。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とソルビトール(和光純薬工業社製)を、質量比1:5で配合し、セメント用添加剤(5)とした。結果を表1に示す。
〔実施例8〕
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)とグルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を、質量比1:5で配合し、セメント用添加剤(6)とした。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
PEG20万(ポリエチレングリコール、アルドリッチ社製、重量平均分子量=200000)を、比較添加剤(C1)とした。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ESP(重量平均分子量=23000、ポリエチレンイミン(重量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したもの、日本触媒製)を、比較添加剤(C2)とした。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)を、比較添加剤(C3)とした。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)を、比較添加剤(C4)とした。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
ソルビトール(和光純薬工業社製)を、比較添加剤(C5)とした。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を、比較添加剤(C6)とした。結果を表1に示す。
Figure 0007027105000001
〔実施例9〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例1で得られたセメント強度向上剤(1)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(1)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔実施例10〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例1で得られたセメント強度向上剤(1)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(2)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔実施例11〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例1で得られたセメント強度向上剤(1)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(3)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔実施例12〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例2で得られたセメント強度向上剤(2)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(4)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔実施例13〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例3で得られたセメント用添加剤(1)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(5)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(5)を調製するにあたって、実施例3で得られたセメント用添加剤(1)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとPEG20万とを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔実施例14〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例4で得られたセメント用添加剤(2)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(6)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(6)を調製するにあたって、実施例4で得られたセメント用添加剤(2)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとESPとを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔実施例15〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例5で得られたセメント用添加剤(3)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(7)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(7)を調製するにあたって、実施例5で得られたセメント用添加剤(3)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとEDIPAとを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔実施例16〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例6で得られたセメント用添加剤(4)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(8)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(8)を調製するにあたって、実施例6で得られたセメント用添加剤(4)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとTIPAとを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔実施例17〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例7で得られたセメント用添加剤(5)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(9)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(9)を調製するにあたって、実施例7で得られたセメント用添加剤(5)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとソルビトールとを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔実施例18〕
製造例1で得られた共重合体(1)、実施例8で得られたセメント用添加剤(6)を表2に示す配合量になるように用いて、セメント組成物(10)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
なお、セメント組成物(10)を調製するにあたって、実施例8で得られたセメント用添加剤(6)を添加して用いる代わりに、アルギン酸ナトリウムとグルコン酸ナトリウムとを表2に示す配合量にてそれぞれ独立に添加して用いても、同様の結果が得られた。
〔比較例7〕
製造例1で得られた共重合体(1)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C1)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例8〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例1で得られた比較添加剤(C1)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C2)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例9〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例2で得られた比較添加剤(C2)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C3)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例10〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例3で得られた比較添加剤(C3)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C4)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例11〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例4で得られた比較添加剤(C4)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C5)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例12〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例5で得られた比較添加剤(C5)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C6)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例13〕
製造例1で得られた共重合体(1)、比較例6で得られた比較添加剤(C6)を表2に示す配合量で用いて、セメント組成物(C7)を調整し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
Figure 0007027105000002
本願発明の技術分野において、現状、コンクリートの28日圧縮強度については、数%の向上を実現することも容易ではなく、数%の向上が実現できれば有意な長期強度向上であると認められている。
表2に示すように、比較例7(セメント強度向上剤(1)~(2)、セメント用添加剤(1)~(6)、比較添加剤(C1)~(C6)のいずれも添加しない例)の28日圧縮強度を100としたとき、実施例1で得られたセメント強度向上剤(1)を添加した実施例9~11や実施例2で得られたセメント強度向上剤(2)を添加した実施例12の28日圧縮強度は101~105であり、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例13は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とPEG20万(0.01質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例13の28日圧縮強度は110(すなわち、+10)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、PEG20万(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例8における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに102(すなわち、+2)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+7である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とPEG20万(0.01質量%/セメント)を併用している実施例13は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とPEG20万(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例8における長期強度向上効果の単純和に比べて+3の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例14は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とESP(0.01質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例14の28日圧縮強度は111(すなわち、+11)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、ESP(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例9における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに103(すなわち、+3)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+8である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とESP(0.01質量%/セメント)を併用している実施例14は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とESP(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例9における長期強度向上効果の単純和に比べて+3の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例15は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とEDIPA(0.01質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例15の28日圧縮強度は112(すなわち、+12)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、EDIPA(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例10における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+10である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とEDIPA(0.01質量%/セメント)を併用している実施例15は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とEDIPA(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例10における長期強度向上効果の単純和に比べて+2の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例16は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とTIPA(0.01質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例16の28日圧縮強度は113(すなわち、+13)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、TIPA(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+10である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とEDIPA(0.01質量%/セメント)を併用している実施例16は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とEDIPA(0.01質量%/セメント)だけを添加している比較例11における長期強度向上効果の単純和に比べて+3の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例17は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とソルビトール(0.05質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例17の28日圧縮強度は112(すなわち、+12)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、ソルビトール(0.05質量%/セメント)だけを添加している比較例12における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに104(すなわち、+4)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+9である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とソルビトール(0.05質量%/セメント)を併用している実施例17は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とソルビトール(0.05質量%/セメント)だけを添加している比較例12における長期強度向上効果の単純和に比べて+3の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
実施例18は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とグルコン酸ナトリウム(0.05質量%/セメント)を併用している実施形態であり、表2に示すように、比較例7の28日圧縮強度を100としたときの実施例18の28日圧縮強度は112(すなわち、+12)である。他方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに105(すなわち、+5)であり、グルコン酸ナトリウム(0.05質量%/セメント)だけを添加している比較例13における28日圧縮強度は比較例7の28日圧縮強度を100としたときに103(すなわち、+3)であり、これらの単純和は、比較例7の28日圧縮強度を100としたときに+8である。したがって、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)とグルコン酸ナトリウム(0.05質量%/セメント)を併用している実施例18は、アルギン酸ナトリウム(0.01質量%/セメント)だけを添加している実施例11における長期強度向上効果とグルコン酸ナトリウム(0.05質量%/セメント)だけを添加している比較例13における長期強度向上効果の単純和に比べて+4の相乗効果が発現できており、顕著な強度向上効果が見られた。
本発明のセメント強度向上剤、セメント用添加剤は、セメント組成物に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. セメントと、
    セメント用添加剤と、を含み、
    前記セメント用添加剤は、
    アルカリ水中でゲル化するゲル形成能を有する多糖類を含むセメント強度向上剤と、
    下記のA成分、B成分、およびC成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を有し、
    下記のA成分の含有割合は、前記セメントに対して0.001質量%~0.5質量%であり、
    下記のB成分の含有割合は、前記セメントに対して0.001質量%~0.5質量%である、セメント組成物。
    A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
    B成分:アルカノールアミン化合物。
    C成分:ケト酸もしくはその塩、および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種。
  2. 前記多糖類が、アルギン酸またはその塩、アルギン酸エステル、およびグルコマンナンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 前記セメント用添加剤は、前記A成分を有し、
    前記A成分が、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、3-メチル-3-ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する共重合体、およびポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のセメント組成物
  4. 前記セメント用添加剤は、前記B成分を有し、
    前記B成分が、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびジイソプロパノールエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1から3までのいずれかに記載のセメント組成物
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