JP7023072B2 - 椅子の身体支持体 - Google Patents

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Description

本願発明は、背もたれや座、或いはオプション品としてのヘッドレストやショルダーレスト、肘当てのように、椅子において人の体圧を受ける身体支持体に関するものである。なお、身体支持体は、体圧受け部材と呼ぶことも可能である。
例えば椅子の背もたれにおいて、クッション性を持たせる方法としては、おおまかには、背板(背インナーシェル)の前面にクッション材を配置したクッションタイプと成すことや、背もたれを前後開口の周枠体にメッシュ材が張られたメッシュタイプと成すことが採用されている。
前者のクッション材を使用した構造として、特許文献1には、背板(背インナーシェル)を、周縁のうち左右サイド部と下端部とに土手状の壁を設けることにより、背板に広い面積の凹部を形成して、凹部にクッション材を配置した構成が開示されている。従って、特許文献1では、背板は、大まかには浅いトレー状の形態を成している。
特許第4061160号公報
特許文献1では、クッション材は、背板の凹部に嵌合される凸部を有する複雑な形状を有しており、製造コストが増大するという問題があった。
他方、椅子において、背もたれの表皮材がクロスなどの布製のものと、ビニールレザーなどの皮革製のものとを同一機種のバリエーションとして品揃えすることがある。この場合、背もたれの背板を共通化すると、製造コストを低減できる。しかし、布製よりも伸縮性が低い皮革製の表皮材を背板に取り付けたとき、特に背板の縁部を覆う箇所での表皮材のふくらみが小さくなり、横から見たときに背もたれが貧弱に見えたり、縁部のまるみが小さくなって角張ることから机等に接触したときに損傷しやすくなるという問題があった。このような不具合を回避するために、布製の表皮材と皮革製の表皮材とで背板をそれぞれ設計及び製造すると、部材を共通化できないためコストを抑制し難いという問題があった。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は、背もたれや座、ヘッドレスト、ショルダーレストのような椅子用身体支持体を対象にしている。本願発明は多面的な広がりを有しており、その典型例を各請求項で特定している。
本願発明の身体支持体は、基板の一表面にクッション材が配置される背もたれ又はその他の身体支持体であって、前記基板は、枠状の縁部と、前記縁部で囲われた領域で前記縁部の裏面側へ陥入した本体部とを有しており、前記クッション材は、前記本体部に嵌め入れられた主クッション材と、前記主クッション材の表面及び前記縁部の表面を覆う副クッション材とが積層配置されて構成され、前記基板と前記クッション材が皮革からなる表皮材で覆われており前記主クッション材及び前記副クッション材は、平板状のクッション材を型抜き加工して形成されたものであり、前記基板には、前記表皮材とは異なる他の表皮材を取り付け可能であり、前記他の表皮材は、前記皮革よりも高い伸縮性を有する布で形成され、前記皮革からなる表皮材で覆う時と同じ前記主クッション材又は別の前記主クッション材を前記基板の前記本体部に配置した状態で前記副クッション材を配置することなく前記他の表皮材を前記基板に付け替え可能である、というものである。ここで、布は、織物や編物、不織布などを含む。
本願発明において、皮革は、天然皮革や、ビニールレザーなどの合成皮革、人工皮革などを含む。また、枠状の縁部は、完全なループ構造である必要はなく、少なくとも略平行な2つの部分(背もたれの場合であると、左右の縁部)を備えていたらよい。
また、本願発明において、前記表皮材は、前記皮革の裏面に積層された補助クッション材を有しているようにしてもよい。
また、本願発明は、前記基板の前記縁部に、表裏に開口した周枠体が取り付けられる構成であって、前記基板の前記縁部と前記周枠体には、前記縁部を前記周枠体に表面側から重ねて下向き動させることによって当該縁部を外れ不能に保持する係合部が形成されており、前記周枠体には、前記基板とは異なる他の体圧受け部材を取り付け可能であり、前記他の体圧受け部材に、前記基板の前記縁部に形成されたのと同じ係合部を形成することにより、前記周枠体に前記基板と前記他の体圧受け部材とが付け替え可能であるようにしてもよい。
ここで、上記周枠体は、完全なループ構造である必要はなく、体圧受け板を取り付けるための、少なくとも略平行な2つの部分(背もたれの場合であると、左右のサイドフレーム)を備えていたらよい。
また、上記他の体圧受け部材としては、例えば、表裏に開口した保持枠にメッシュ材等の可撓性部材を張ったものが挙げられる。或いは、例えば特開2011-92539号公報に開示されているように、背板のような支持板に横長等のスリットを多段に形成することによって柔軟性を持たせたものも採用可能である。
そして、上記基板も体圧受け部材として共通しているので、周枠体に上記基板と他の体圧受け部材とが付け替え可能な本願発明の上記態様は、複数種類の体圧受け部を共通の周枠体に選択して付け替えできるという点を特徴にしているが、この特徴は、それ自体として独立した発明たり得る。この場合、各体圧受け部の縁部と周枠体とはきっちり噛み合う関係にあるのが好ましいが、固定手段は係合部には限らず、例えばねじ止めなども採用できる。
本願発明の他の態様は、基板の一表面にクッション材が配置される背もたれ又はその他の身体支持体であって、前記クッション材は、それぞれ平板状のクッション材を型抜き加工して形成された複数枚のクッション材が積層配置されて構成され、前記基板と前記クッション材が皮革からなる表皮材で覆われており、前記基板には、前記表皮材とは異なる他の表皮材を取り付け可能であり、前記他の表皮材は前記皮革とは材質が異なる材料で形成され、前記複数枚のクッション材とは枚数が異なる1枚又は複数枚のクッション材が前記基板の前記一表面に配置された状態で前記他の表皮材を前記基板に付け替え可能である。ここで、他の表皮材の材料は、例えば、織物や編物、不織布などの布である。
本願発明の身体支持体は、基板の縁部の表面と表皮材との間に副クッション材が配置されることにより、表皮材が伸縮性の低い皮革製のものであっても、表皮材縁部に丸みを持たせることができ、横から見たときの身体保持体の貧弱さを解消して美観を向上できると共に、表皮材縁部が机等に接触したときの表皮材の損傷を低減できる。また、使用者の身体が身体保持体の縁部に当たった場合でも、副クッション材によって当たりを柔らかくすることができるので、背ごこち等の使用感を向上できる。また、主クッション材と副クッション材は積層配置されて構成されているので、特許文献1のように複雑な凹凸形状を有するクッション材を成形しなくても、例えば平板状のクッション材を型抜き加工することで主クッション材と副クッション材を形成できるので、製造コストの上昇を抑制できる。
また、本願発明において、表皮材は、皮革の裏面に積層された補助クッション材を有しているようにすれば、表皮材縁部に丸みをより持たせることで、身体支持体の美観をさらに向上できると共に、表皮材縁部の損傷をさらに低減できる。
また、本願発明において、副クッション材を配置せずに、かつ、皮革製の表皮材に替えて、皮革よりも高い伸縮性を有する布からなる他の表皮材を付け替えできるようにしているから、基板を共通化することで製造コストの上昇を抑制しながら、布仕様と皮革仕様との変更を簡単に実現できる。このため、複数のタイプの身体支持体を品揃えするにおいて、設計の手間を抑制できると共に、部材を共通化してコストダウンにも貢献できる。また、布仕様と皮革仕様とで主クッション材を共通化すれば、更なるコストダウンを実現できる。
また、本願発明において、基板の縁部に、表裏に開口した周枠体が取り付けられる構成であって、基板の縁部と周枠体には、縁部を周枠体に表面側から重ねて下向き動させることによって当該縁部を外れ不能に保持する係合部が形成されているようにすれば、ビス止めのような手間をかけることなく、基板を周枠体に簡単に取り付けることができる。このため、組み立てが容易である。
さらに、周枠体には、基板とは異なる他の体圧受け部材を取り付け可能であり、他の体圧受け部材に、上記基板の縁部に形成されたのと同じ係合部を形成することにより、周枠体に基板と他の体圧受け部材とが付け替え可能であるようにすれば、共通した周枠体に複数種類の体圧受け部材を付け替えできるため、背もたれ等の身体支持体を、クッションタイプにしたりメッシュタイプにしたりと仕様変更することを、簡単に実現できる。このため、複数のタイプの身体支持体を品揃えするにおいて、設計の手間を抑制できると共に、部材を共通化してコストダウンにも貢献できる。更に、各タイプとも周枠体は後ろに露出
させておくことが可能であるため、デザインの統一と面でも有益である。
本願発明の他の態様の身体支持体は、基板と、それぞれ平板状のクッション材を型抜き加工して形成された複数枚のクッション材が皮革からなる表皮材で覆われており、基板には上記表皮材とは異なる他の表皮材を取り付け可能であり、上記複数枚のクッション材とは枚数が異なる1枚又は複数枚のクッション材が基板の一表面に配置された状態で上記他の表皮材を基板に付け替え可能であるので、基板を共通化することで製造コストの上昇を抑制しながら、表皮材の仕様の変更を簡単に実現できる。このため、複数のタイプの身体支持体を品揃えするにおいて、設計の手間を抑制できると共に、部材を共通化してコストダウンにも貢献できる。
メッシュタイプにした椅子を前方から見た斜視図であり、(A)は可撓性シートを表示したもの、(B)は可撓性シートを省略したものである。 実施形態に係る椅子を後方から見た斜視図であり、(A)は可撓性シートを表示したもの、(B)は可撓性シートを省略したものである。 背枠とシート保持枠との分離斜視図である。 背枠とシート保持枠との分離斜視図である。 (A)は背支柱と背枠との分離斜視図、(B)はシート保持枠の取り付け手順を示す斜視図である。 背枠とシート保持枠との分離斜視図である。 (A)は図1(B)のA-A視断面図、(B)は(A)の部分拡大図、(C)は図1(B)のC-C視断面図である。 背部の中央部の縦断側面図である。 クッションタイプにした状態を示す図で、(A)は外観の大部分を示す斜視図、(B)はクッションを省略した状態での斜視図、(C)は分離斜視図である。 背もたれを後ろから見た斜視図であり、(A)は背枠を表示したもの、(B)は背枠を省略したものである。 背板と背枠との分離斜視図である。 (A)は背板とアッパーシェルとの関係を示す中央部縦断側面図、(B)は背板とアッパーシェルとの分離斜視図である。 図12(B)の XIII-XIII視個所での平断面図である。 (A)は中央部の上部の縦断側面図、(B)は中央部の下部の縦断側面図である。 皮革製の表皮材を有する実施形態の背もたれの図であり、(A)は縦断側面図、(B)は引込み部周辺の部分拡大図である。 背板とクッション材の分解斜視図である。 図15の XVII-XVII視個所での正面視断面図である。 (A)は表皮材の正面図及び裏面図、(B)は(A)のD-D視断面図、(C)は(A)のE-E視断面図である。 表皮材の製造工程例を説明するための図である。 図19の各工程に対応する模式的な断面図である。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本願では、方向を特定するため左右・前後の文言を使用しているが、これは、椅子に普通に腰掛けた人を基準にしている。正面図は着座した人と対向した方向である。念のため、図1に方向を明示している。
本実施形態は、オフィスで多用されている回転椅子に適用している。また、本実施形態の椅子は、人が着座すると背もたれの前部が前進するタイプである。本実施形態では、本願発明を背もたれに適用している。図1~8では、背もたれをメッシュタイプとした状態を示し、図9以下では、背もたれをクッションタイプとした状態を示している。
(1).椅子の概略
まず、図1,2を参照して、椅子の概略を説明する。図1のとおり、椅子は、主要要素として、脚装置1、座2、背もたれ3を備えている。脚1は、ガスシリンダより成る脚支柱4と放射方向に延びる枝部5とを有しており、各枝部5の先端にはキャスタを設けている。脚支柱4の上端には、上向きに開口した略箱状のベース(図示せず)が固定されている。
図示していないが、ベースの前端部には、樹脂製やアルミダイキャスト製のフロントブロックがボルトで固定されており、フロントブロックには、左右一対のフロントリンクが回動可能に取り付けられている。フロントリンクは、人が着座していないニュートラル状態で、側面視で鉛直線に対して少し後傾しており、人が着座すると後傾する。
また、ベースには、図示しない傾動体が左右長手の支軸によって後傾動自在に連結されており、傾動体の後部に、リアブロック14が固定されている。リアブロック14の後部に背支柱16が固定されており、背支柱16の上端に背もたれ3の上端部が取り付けられている。背支柱16は、左右2本の縦フレーム26を有しており、左右縦フレーム26の上端は連接部27を介して一体に繋がっている。
図2のとおり、背もたれ4の下端部は、前後傾動自在な第2連動リンク36の上端部に連結されている。そして、リアブロック14には、左右一対のリアリンク(図示せず)がフロントリンクと平行な状態で連結されており、座2は、座アウターシェルを介してフロントリンク及びリアリンクに連結されており、人が着座すると、座フロントリンクとリアリンクを後傾させて座が下降動し、かつ、リアリンクの回動に連動する第1連動リンク(図示せず)を介して第2連動リンク36が前傾動する。
従って、人が着座すると、背もたれ3は、その上端を中心にして屈曲することにより、下端部が前進する。これにより、人が浅く腰掛けても、人の腰部が背もたれ3によって支持される。人が深く腰掛けた場合は、既述した第1連動リンクが変形することにより、背もたれ3は動くことなく座2の下降動が許容される。座2の支持構造、背もたれ3の前進機構、ロッキング機構などは本願発明との直接の関連はないので、詳しい説明は省略する。
(2).メッシュタイプの背部の概要
次に、図3以下も参照して背もたれ3を説明する。例えば図1に示すように、背もたれ3は、前後に開口した背枠41と、背枠41の前面に重なった上下のシート保持枠46,47と、着座者の体圧を受ける可撓性シート48とを有している。可撓性シート48は、編地や織地のようなメッシュ状生地であり、横方向に強い弾性力が発揮されるように、強弾性糸を編み込んで(或いは織り込んで)いる。例えば図3から判るように、上下のシート保持枠46,47の突き合わせ面は、水平面に対して傾斜している。正確には、両者の突き合わせ面は、正面視において、左右外側が低くて内側が高くなるように傾斜している。
図7に部分的に示すように、可撓性シート48の周囲には、樹脂テープ等からなる帯状の縁部材49を縫着等で固定しており、縁部材49は、シート保持枠46,47の裏面に装着(係止)されている。可撓性シート48は、シート保持枠46,47の前から裏側に巻き込まれているので、シート保持枠46,47は可撓性シート48によって全体が隠れているが、透けて見えることは有り得る。
また、シート保持枠46,47は、上シート保持枠46と下シート保持枠47とに分割されているが、可撓性シート48は1枚である。上シート保持枠46と下シート保持枠47との上下高さの比率は、任意に設定できる。
背枠41は、上下方向に長い左右のサイドフレーム50と、左右サイドフレーム50の上端に繋がったアッパーフレーム51と、左右サイドフレーム50の下端間に繋がったロアフレーム42とで構成されており、全体的には、正面視で概ね四角形に成っている。他方、アッパーフレーム51は、その全体がサイドフレーム50の後ろに位置しており、側面視では、後ろ下向きに向かうように折り返された形態になっている。
他方、上シート保持枠46は、背枠41のサイドフレーム50に手前から重なるサイドメンバー52と、左右サイドフレーム50の上端に一体に繋がったアッパーシェル53とを有している。アッパーシェル53は、左右サイドメンバー52の上端間に延びる横長装架部53aと、横長装架部53aから後ろ下向きに曲がったカール部53bとを有しており、カール部53bが背枠41のアッパーフレーム51に固定されている。なお、アッパーシェル53は、シェル状のアッパーメンバーと言い換えてもよい。
下シート保持枠47の大部分は、背枠41のロアフレーム42に重なった水平状部47aで構成されており、水平状部47aの左右両端に、背枠41のサイドフレーム50の下部に重なる起立部47bを一体に設けている。
本実施形態では、背枠41のアッパーフレーム51と上シート保持枠46のカール部53bとが一体に成っている。そこで、背枠41のアッパーフレーム51は、カール部53bで後ろからも覆われている。図2に示すように、カール部53bは、その全体が可撓性シート48で覆われている。また、アッパーフレーム51及びカール部53bの手前は、左右全長にわたって空間が空いている。
(3).背枠
次に、背もたれ3の詳細を説明する。まず、背枠41の構造と、背支柱16への取り付け構造を説明する。例えば図7から理解できるように、背枠41を構成するサイドフレーム50とロアフレーム42とは、前向きに開口した断面V形に成っている。従って、着座者の体圧によって容易に変形するものではない。サイドフレーム50は、その下寄り部位が最も前になるように側面視で湾曲している。従って、可撓性シート48にはランバーサポート部が形成されている。他方、ロアフレーム42は、平面視で前向き凹状に緩く曲がっている。
図7から理解できるように、サイドフレーム50は、基本的には前向き開口のV型であるが、上端部はコ字形の浅い溝状に成っている。他方、アッパーフレーム51のうちサイドフレーム50に連続した左右端部は、側面視でU形に曲がった平板状のヒンジ部54に成っている。このヒンジ部54が変形して背もたれ3の姿勢が変化することにより、背もたれ3は、着座によって下端が前進する。
背支柱16の連接部27は背面視で上向き凸に湾曲している一方、アッパーフレーム51の左右中間部に、背支柱16の連接部27に上から嵌まるように下向きに開口したドーム部55を形成している。例えば図2に示すように、カール部53bにも、背支柱16の連接部27に対応した下向き開口溝55′が形成されている。
また、アッパーフレーム51のうちドーム部55を挟んだ左右両端の部位は、左右外側に向けて高くなるように(ドーム部55に向けて低くなるように)傾斜しており、アッパーフレーム51を全体として見ると、背面視では、下向き凸に湾曲したナベ形状に成っている。これに対応して、カール部53bも、背面視で下向き凸に湾曲したナベ形状に成っている。
図5(A)に示すように、左右背支柱16の上端部に、左右外側に張り出した枝杆56が一体に形成されている一方、アッパーフレーム51のうちドーム部55の左右両側の部分には、枝杆56が嵌まる溝57を形成している。このように、アッパーフレーム51を枝杆56に嵌め込むことにより、支持強度のアップとねじれ防止機能強化とが図られている。
アッパーフレーム51と枝杆56とは、両者に下方から挿通したビスで締結されている。アッパーフレーム51には、ビスが螺合するナットを配置している。図5(A)には、枝杆56のビス挿通穴58が見えている。図1(B)から理解できるように、支柱16を構成する左右縦フレーム26は、前向きに開口した平断面V形の溝状の形態に成っている。
(4).背枠とシート保持枠との連結構造
本実施形態では、背枠41へのシート保持枠46,47の取り付けは、まず、上シート保持枠46を背枠41に取り付けてから、次いで、図5(B)に示すように、下シート保持枠47を背枠41に重ねる、という手順で取り付けられる。従って、上シート保持枠46のカール部53bが背枠41のアッパーフレーム51に嵌合することと、上シート保持枠46のサイドメンバー52が背枠41のサイドフレーム50に嵌合することとが、一連に行われる。尚、シート保持枠46,47には、後述の方法で予め可撓性シート48が取り付けられている。
そして、例えば図6に示すように、カール部53bとアッパーフレーム51との嵌合手段としては、アッパーフレーム51に、左右中間から外側に向かって、順に、第1係合穴60,第2係合穴61,第3係合穴62が、左右一対ずつ上向きに開口するように形成されている一方、カール部53bの前面には、各係合穴60,61,62に対応して、第1~第3の係合突起63~65を設けている。これら係合穴60~62と係合突起63~65とは、請求項に記載した係合部を構成している。
この場合、第1係合穴60は後ろと上とに開口した単純な形状であるが、第2係合穴61は上内面を有する後ろ向き開口の袋状で、第3係合穴62は、下向きにも開口した袋状に成っている。一方、第2係合突起64は側面視でT型の爪形状であり、第2係合穴61には弾性に抗しての変形によって嵌まる。
そして、第2係合突起64の上端が第2係合穴61の上内面に当接して、アッパーシェル53は(カール部53bは)上向き動不能に保持される。第2係合突起64の上部の前面は、弾性に抗して第2係合穴61に嵌まり込むことがスムースになるように、側面視で傾斜している(弾性変形により、上端の爪部が前後に移動する。)。なお、第2係合突起64は、第2係合穴61に対して、前後方向と左右方向とにもずれ不能に嵌まっている。従って、第2係合突起64と第2係合穴61とは、アッパーシェル53の前後方向の位置決めと、上向き抜け防止機能とを有している。
第3係合突起65は側面視L型の爪形状であり、この第3係合突起65が第3係合穴62に嵌まることにより、アッパーシェル53は(カール部53bは)、前後ずれ不能に保持される。なお、アッパーフレーム51には、ハンガーとベッドレストを取り付けることができるが、この点の説明は省略する。
図3,4では、背枠41は手前から見た状態に表示して、シート保持枠46,47は後ろから見た状態(180°程度反転させた状態)に表示している。これら図3,4から理解できるように、第1シート保持枠46のサイドメンバー52に、縦長の第1位置決め突起67と下向き鉤爪68との対を上下に3対後ろ向き突設している一方、背枠41のサイドフレーム50には、位置決め突起67を左右から挟む左右一対の第1触れ止め片69と、下向き鉤爪68が上から嵌まる平面視門型の第1爪キャッチ70を上下に3段ずつ形成している。
下シート保持枠47を背枠41に取り付ける手段としては、まず、下シート保持枠47における起立部47bの上端に上向き鉤爪71を突設し、その下方に第2位置決め突起72を形成し、更に、水平状部47aの左右両端に横向き鉤爪73を設ける一方、背枠41のサイドフレーム50には、上向き鉤爪71が下方から嵌まる第2爪キャッチ74と、第2位置決め突起72が手前から嵌まる第2触れ止め片75とを形成し、更に、ロアフレーム42には、横向き鉤爪73が係合する側面視門型の第3爪キャッチ76を設けている。
位置決め突起67と下向き鉤爪68、第1触れ止め片69、第1爪キャッチ70、上向き鉤爪71、第2位置決め突起72、横向き鉤爪73は、それぞれ請求項に記載した係合部の一環を成している。
(5).連結手順・他
背もたれ3の組み立てに際しては、まず、上シート保持枠46を上から下に向けて移動させることにより、カール部53bをアッパーフレーム51に装着するのと同時に、サイドメンバー52をサイドフレーム50に嵌め込み装着する。このとき、上シート保持枠46のサイドメンバー52とカール部53bとにより、背枠41の上部が前後から挟まれた状態に成っているため、上シート保持枠46を、背枠41に対してスムースに装着できる。
また、サイドメンバー52とサイドフレーム50との関係について述べると、サイドメンバー52の下向き動により、第1位置決め突起67が第1触れ止め片69の間に嵌まり込むと共に、下向き鉤爪68が第1爪キャッチ70に上から入り込む。これにより、サイドメンバー52は左右方向と前後方向とにずれ不能に保持される。
そして、上シート保持枠46を背枠41に取り付けた状態で、図5(B)に示すようにして、まず、下シート保持枠47の上向き鉤爪71を、サイドフレーム50の第2爪キャッチ74に下方から嵌め込んで、左右の第2爪キャッチ74を支点にした状態で、下シート保持枠47を背枠41に押し付けると、第2位置決め突起72が第2触れ止め片69の間に嵌まり込むと共に、横向き鉤爪73が、その弾性に抗して変形することにより、第3爪キャッチ76に係合する。
そして、上下のシート保持枠46,47は1枚の可撓性シート48に取り付けられているため、下シート保持枠47を背枠41に装着すると、上下シート保持枠46,47は可撓性シート48によって互いに近づくように引かれる。このため、上下シート保持枠46,47と上下動不能に保持される。図2に示すように、下シート保持枠47は、背枠41のロアフレーム42にビス(図示せず)で固定されている。当該ビスは左右中間部に位置しており、第2連動リンク36の上端部で隠れている。このため、美観を悪化させることなく、下シート保持枠47をロアフレーム42に固定できる。
図8に示すように、アッパーフレーム51の左右中間部(ドーム部55の上端部)には、上向きに開口したナット保持溝78を設けており、ナット保持溝78に上からナット(図示せず)を嵌め込むことができる。そして、背支柱16の上端には、ナット保持溝78に連通するビス穴79が空いている。下方からナットにビスをねじ込むことにより、ハンガー(図示せず)を取り付けることができる。
図7では、サイドメンバー52とサイドフレーム50との装着関係を表示している。縁部材49は、シート保持枠46,47に設けたボス80に掛け止めしている。そこで、縁部材49には、ボス80が嵌まる穴81を飛び飛びで空けている。ボス80は、カール部53bの外周縁の前面にも突設している。縁部材49には、鉤爪68,71,73と位置決め突起67,72との干渉を回避するための切り抜き穴が、飛び飛びで多数形成されている。
例えば図6に示すように、上シート保持枠46のカール部53bには、軽量化等のため、縦長のスリット82の群が左右に並べて形成されている。また、横長装架部53aの左右両端とサイドメンバー52との間には、前向きに開口した切り込み83が形成されている。
(6).クッションタイプ仕様1
図9~14に示すクッションタイプでは、身体支持体の基板の例としての背板85を使用している。背板85を使用すると、アッパーシェル53は、メッシュタイプの場合と形態が相違している。メッシュタイプとクッションタイプとで共通している部分については、図面では共通した符号を示しており、必要がない限り説明は省略する。
背板85の左右両側部には、背枠41のサイドフレーム50に重なるサイドメンバー(サイド縁部)86を設け、背板85の上端には、アッパーシェル53が取り付くアッパーメンバー(アッパー縁部)87を設け、背板85の下端には、背枠41のロアフレーム42に手前から重なるロアメンバー(ロア縁部)88設けている。
背板85のうちサイドメンバー86とロアメンバー88とで囲われた部分は、背枠41で囲われた空間に入り込んだ(メンバー86,88の裏面側へ陥入した)本体部90になっている。従って、本体部90は、サイドメンバー86及びロアメンバー88から後ろ向きに向けて段落ちしており、この段落ちした部分は、符号90aで示す壁になっている。従って、背板85は、概ね浅いトレー状の外観を呈している。本体部90は、サイドフレーム50の前後厚さ寸法の略半分程度の深さになっている。従って、本体部90は、背枠41で囲われて空間内に全体が納まっており、後ろにはみ出るようなことはない。
本体部90に、クッション材91が嵌まっている。図13,14に示すように、クッション材91は、本体部90に嵌まり込んだメインクッション材91aと、その表面に重なった薄い補助クッション材91bとから成っており、補助クッション材91bを表皮材92で覆っている。そして、補助クッション材91bは、サイドメンバー86とロアメンバー88とアッパーシェル53とに重なっており、表皮材92(図9(A)参照)で覆われている。表皮材92は布で形成されている。また、補助クッション材91bは、厚さ2~3mm程度の薄いウレタンシートからなり、表皮材92の裏面に積層されている。
表皮材92は袋状に形成されており、背板85とアッパーシェル53とは、袋状の表皮材92ですっぽり覆われている。また、図面での表示は省略しているが、メインクッション材91aの上端部と下端部との裏面に、樹脂シートよりなる縁部材を縫着等によって取り付けており、この縁部材を、図9(C)、図10に示す上下のフック98に嵌合係止している。従って、メインクッション材91aはしっかりと位置決めされている。
表皮材92の裏側に補助クッション材91bが介在しているため、サイドメンバー86とロアメンバー88の前面に着座者の身体が当たっても、当たりが緩和される。サイドメンバー86の部位が机の天板等に当たった際にも緩衝され、表皮材92の破れ防止にもなる。また、表皮材92を装着した状態において、凹状の本体部90に装着されたクッション材91の前面と、メインクッション材91aが重成っていないサイドメンバー86とロアメンバー88の前面とで、硬さの違いによる極端な違和感を覚え難くなる。
本実施形態でもアッパーシェル53を有するが、本実施形態では背板85を有するため、アッパーシェル53は第1実施形態の横長装架部53aは備えておらず(そもそも必要がない)、大まかには、第1実施形態のカール部53bと同じ形態に成っている。アッパーフレーム51との関係(取り付け構造)は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
例えば図12(A)に明示するように、背板85の上端には既述のアッパーメンバー87を設けている。アッパーメンバー87は水平状で後ろ向きに張り出した板状の形態を成している。そして、アッパーシェル53の左右両端に前向きのサイド係合片94を設けている一方、背板85には、サイドメンバー86の上端をアッパーメンバー87よりも少し高くすることにより、サイド係合片94が嵌まるサイド嵌合部95を形成している。
更に、アッパーシェル53の左右中間部にセンター係合片96を前向きに突設している一方、背板85のアッパーメンバー87には、センター係合片96が入り込む左右一対のセンター嵌合リブ97を形成しており、アッパーシェル53の前端は、センター嵌合リブ97の後端に当接している。従って、図14に明示するように、アッパーシェル53の前端は、アッパーメンバー87の下面から段落ちした状態に成っている。但し、その段落ちの程度は僅かであるので、アッパーメンバー87とアッパーシェル53とは滑らかに連続している。センター嵌合リブ97はL形に成っており、このため、アッパーシェル53は上下ずれ不能に保持されている。
係合片94,96と嵌合部95,嵌合リブ97との嵌まり合いにより、アッパーシェル53は、アッパーメンバー87に対して左右位置と前後位置と上下位置とが規制されている。上記したが、図12(A)のとおり、アッパーメンバー87はサイドメンバー86の上端から段落ちした状態に成っており、このため、メインクッション材91aをアッパーメンバー87の上面に横ずれ不能に保持できる。
アッパーシェル53には、突起類を成形するために抜き違い穴が空いているので、上記したように、袋状でかつ裏面(内面)に補助クッション材91b(ここではウレタンシート)を貼り付けた表皮材92で覆うと、美観の悪化を防止できて好ましい。表皮材92は、アッパーシェル53には、例えばタッカーで固定している(接着等してもよい。)。また、本実施形態でも、アッパーシェル53には、図6に示した第1~第3の係合突起63~65を設けているが、表皮材92は袋状に成っているので、第1~第3の係合突起63~65は、表皮材92に空けた穴から露出させている。
例えば図12(B)に示すように、背板85の上寄り部位には、表皮材92の浮きを防止するため、左右横長の引込み用スリット89を形成している。引込み用スリット89の裏側に凹所89aが形成されており、表皮材92が縫着等で固定されてストッパープレート89bは、凹所89aに嵌まっている。ストッパープレート89bは、手前側から引込み用スリット89に差し込まれるもので、クッション材91を潰して表皮材92を強引に引いた状態でストッパープレート89bを裏側に抜き通し、次いで、表皮材92を手前に引いて、ストッパープレート89bを所定の姿勢で凹所89aに嵌め入れる。
引き込み用ストッパーがフック状であると、何らかの弾みで抜け外れるおそれがあるが、本実施形態では、ストッパープレート89bは広い面積で本体部90に後ろから重なっているため、抜けの不能な状態にしっかりと保持される。また、凹所89aに嵌まっているため、段差は生じずに見栄えがよい(表皮材92で覆うと、ストッパープレート89b存在は全く判らない。)。
図9のとおり、背板85のうち下部(ランバーサポート部個所)には、体圧による撓み変形を容易にするため、左右横長のスリット93の群を多段に形成している。図13に明示するように、上下のスリット93で分断された帯状部の左右両端部には、前向きに突出した平面視山形のバッファ部93aを形成している。このため、スリット93の群を設けたエリアの撓み変形が一層容易になっている。
図12(B)に部分的に示すように、メインクッション材91aの左右下端部には、バッファ部93aとの干渉を回避するため、左右外向きに開口した切り欠き91cを形成している。
背枠41への背板85の取り付け構造は、基本的には第1実施形態と同じである。すなわち、背板85に、第1位置決め突起67、下向き鉤爪68、第2位置決め突起72、横向き鉤爪73を設けている。但し、本実施形態では、第1実施形態の上向き鉤爪71は必要ないので、これは設けていない。本実施形態では、背板85は、背枠41に重ねてから下方にずらし、次いで、ロアメンバー88を背枠41のロアフレーム42に押し付ける、という手順で取り付けられる。なお、表皮材92は袋状に成っているので、第1位置決め突起67、下向き鉤爪68、第2位置決め突起72、横向き鉤爪73は、表皮材92に設けた穴から露出させている。
本実施形態では、アッパーシェル53は表皮材92を介して背板85に繋がっているが、表皮材92は多少は伸びるので、背板85の取り付けとアッパーシェル53の取り付けとは別々に行える。背板85のアッパーメンバー87がアッパーシェル53に重なるので、先にアッパーシェル53をアッパーフレーム41に取り付けてから、背板85をサイドフレーム50に取り付けるのが合理的であると云える。図14(B)に示すように、背板85は、ビス77で、背枠41のロアフレーム42に固定される。
敢えて述べるでもないが、表皮材92は袋状に形成する必要はない。補助クッション材は必ずしも必要ないし、逆に、複数枚の補助クッション材を使用することも可能である。アッパーシェルは備える必要はないし、備える場合は、背板に溶着等で固定したり、一体成形したりすることも可能である。
本実施形態では、メインクッション材91aが背枠41(周枠体の一例)の前後方向の厚さの内部に納まるため、背もたれ3を全体として薄くコンパクト化できる。つまり、背枠41で囲われたデッドスペースを有効利用してメインクッション材91aを配置できるため、略平板状の背板の前面に厚いクッション材を張ったような場合に比べて、高いクッション性を保持しつつ、背もたれ3の厚さを薄くしてコンパクト化できるのである。
また、背板85が何らかの理由で破損したような場合、背板85のみを交換することができる。このため経済的である。また、背板85はトレー状の形態であって剛性が高くなっているが、これと背枠41とが補強し合うため、背もたれ3の全体としての強度向上にも貢献できる。
本実施形態では、共通した背枠41に複数種類の体圧受け部材(シート保持部46,47又は背板85)を付け替えできるため、背もたれ3を、クッションタイプにしたりメッシュタイプにしたりと仕様変更することを、簡単に実現できる。このため、複数のタイプの背もたれ3を品揃えするにおいて、設計の手間を抑制できると共に、部材を共通化してコストダウンにも貢献できる。更に、各タイプとも背枠41は後ろに露出させておくことが可能であるため、デザインの統一と面でも有益である。
(7).クッションタイプ仕様2
次に、図15~図20も参照しながら、皮革製表皮材タイプについて説明する。皮革製表皮材タイプの実施形態は、皮革製の表皮材101の例としてのビニールレザーを使用しており、クッションタイプ仕様1の表皮材92及びクッション材91に替えて、表皮材101及びクッション材102を備えている。クッションタイプ仕様1,2で共通している部分については、図面では共通した符号を示しており、必要がない限り説明は省略する。
図15~図17に示すように、背板85の本体部90に、クッション材102が嵌まっている。クッション材102は、本体部90に嵌まり込んだメインクッション材(主クッション材)102aと、その表面に重なった薄い2枚の追加クッション材(副クッション材)102b,102cとから成っている。背板85及びクッション材102は表皮材101で覆われている。追加クッション材102bは、メインクッション材102aの前面全体を覆うと共に、サイドメンバー86とロアメンバー88とに重なっている。追加クッション材102cは、追加クッション材102bの前面全体を覆っている。すなわち、サイドメンバー86とロアメンバー88とメインクッション材102aとに重なって、追加クッション材102b,102cが重なって配置されている。
また、図面での表示は省略しているが、メインクッション材102aの上端部と下端部との裏面に、樹脂シートよりなる縁部材を縫着等によって取り付けており、この縁部材を、上下のフック98に嵌合係止すると共に、メインクッション材102aに追加クッション材102b,102cを縫着(接着等でもよい)により固定している。従って、クッション材102はしっかりと位置決めされている。
図15,17,18に示すように、表皮材101は袋状に形成されており、背板85とアッパーシェル53とクッション材102は、袋状の表皮材101ですっぽり覆われている。表皮材101は、表張地材101aと裏張地材101bとで構成され、アッパーシェル53と背板85の上部を覆う部分が縫い糸104で縫合されてなる袋状部分105を備えている。表張地材101aは、皮革材101cと、皮革材101cの裏面に積層された補助クッション材101dとで構成されている。皮革材101cと裏張地材101bは、布製の表皮材92(図9等を参照)よりも伸縮性が低い皮革(この実施形態ではビニールレザー)で形成されている。補助クッション材101dは、例えば厚みが2~3mm程度の薄いウレタンシートからなり、皮革材101cの裏面に接着等により積層されている。
図18に示すように、表皮材101には、表張地材101aの左右縁部及び下縁部と、裏張地材101bの下縁部に縁部材49が縫着等で固定されている。縁部材49は、背板85のサイドメンバー86及びロアメンバー88の裏面に突設されたボス80(図11参照)に掛け止めされている。裏張地材101bの左右縁部には、ボス80に掛け止めされる取付け部106が左右縁部ごとに上下一対ずつ設けられている。背板85への表皮材101の取付け時には、袋状部分105がアッパーシェル53及び背板85の上部に被せられ、縁部材49及び取付け部106がメンバー86,88の裏面のボス80に掛け止めされる。縁部材49は、メンバー86,88の周縁部に対して張地材101a,101bを巻き回すようにして、ボス80に取り付けられる。また、サイドメンバー86のボス80には、裏張地材101bの取付け部106が取り付けられた後、表張地材101aの縁部材49が取り付けられる。
図17,18に示すように、袋状部分105における裏張地材101bには、第1~第3係合突起63,64,65(図9も参照)が挿通される張地開口部113,114,115と、アッパーフレーム51の左右両端部に設けられたフレーム側突起66b(図6参照)と係合するシェル側係合穴66a(図6,9も参照)を露出させる張地開口部116が設けられている。裏張地材101bに張地開口部113~116が設けられていることで、表皮材101をアッパーシェル53及び背板85に取り付けた後に、係合突起63,64,65及び係合穴66aを露出可能に構成されている。
図15,16に示すように、クッション材102a,102b,102cの上寄り部位には、表張地材101aの浮きを防止するための引込み用スリット103a,103bと引込み用開口部103cが形成されている。スリット103a,103b及び開口部103cは、背板85の引込み用スリット89に位置合わせして形成される。ストッパープレート89bは、引き布89cを介して、表張地材101aに固定されている。引き布89cの表側縁部は、表張地材101aに設けられた左右横長の引き込み部101eに縫着等で固定されている。また、引き布89cの裏側縁部は、左右横長のストッパープレート89bに縫着等で固定されている。
表張地材101aの引込み作業時には、ストッパープレート89bを、背もたれ3の表側から、開口部103c、スリット103b、スリット103a、引込み用スリット89に差し込み、クッション材102を潰して表皮材101を強引に引いた状態でストッパープレート89bを裏側に抜き通し、次いで、表皮材101を手前に引いて、ストッパープレート89bを所定の姿勢で凹所89aに嵌め入れる。
追加クッション材102cの引込み用開口部103cは、クッション材102a,102bの引込み用スリット103a,103bよりも大きく開口されており、表張地材101aの引き込み部101eを背板85側へ引き込みやすくしている。また、引き布89を介して表張地材101aとストッパープレート89bとを連結することで、表張地材101aとストッパープレート89bとの間に間隔を設けている。これにより、引き込み部101eが背板85側へ引き込まれ過ぎるのを防止して、引き込み部101eの周辺でクッション材102a,102bが極端に圧縮されて背ごこちが悪化するのを防止できると共に、表張地材101aの引き込み部101eの美観を向上できる。
この実施形態では、背板85のサイドメンバー86及びロアメンバー88の表面と表皮材101との間に追加クッション材102b,102cが配置されることにより、表皮材101が伸縮性の低い皮革製のものであっても、表皮材101の縁部に丸みを持たせることができ、横から見たときの背もたれ3の貧弱さを解消して美観を向上できると共に、表皮材101の縁部が机等に接触したときの表皮材101の損傷を低減できる。
また、使用者の身体が背もたれ3の縁部に当たった場合でも、追加クッション材102b,102cによって当たりを柔らかくすることができるので、背ごこち等の使用感を向上できる。また、メインクッション材102aと追加クッション材102b,102cは積層配置されて構成されているので、例えば平板状のクッション材を型抜き加工することでメインクッション材102aと追加クッション材102b,102cを形成できるので、製造コストの上昇を抑制できる。
さらに、表皮材101は、皮革からなる表張地材101aの裏面に積層された補助クッション材102cを有しているので、表皮材101の縁部に丸みをより持たせることで、背もたれ3の美観をさらに向上できると共に、表皮材101の縁部の損傷をさらに低減できる。
また、クッションタイプ仕様2の実施形態は、クッションタイプ仕様1の実施形態に対して、追加クッション材102b,102cを追加配置すると共に、皮革製の表皮材101に変更したものであるから、背板85を共通化することで製造コストの上昇を抑制しながら、布仕様と皮革仕様との変更を簡単に実現できる。このため、複数のタイプの椅子を品揃えするにおいて、設計の手間を抑制できると共に、部材を共通化してコストダウンにも貢献できる。また、クッションタイプ仕様1と2とでメインクッション材91a,102aを共通化すれば、更なるコストダウンを実現できる。
次に、図18~図20を参照しながら、表皮材101の袋状部分105の製造方法例について説明する。図19(1)及び図20(1)に示すように、縫製前の張地材101a,101bにおいて、袋状部分105となる部分は、表張地材101aと裏張地材101bとでサイズが異なっている。そして、袋状部分105を形成すべく縫製される外縁部107a,107bは、表張地材外縁部107aの方が裏張地材外縁部107bよりも長く形成されている。外縁部107a,107bには、位置合わせ用のノッチ108a,108bが設けられている。
図19(2)及び図20(2)に示すように、サイズが小さい方の裏張地材101b(一方の張地材)を引き延ばして、裏張地材外縁部107bをサイズが大きい方の表張地材101a(他方の張地材)の表張地材外縁部107aに沿って配置する。このとき、表張地材ノッチ108aに裏張地材ノッチ108bが重なるように、裏張地材101bが引き延ばされる。例えば、表張地材101a(サイズが大きいほうの張地材)を伸ばさずに、裏張地材101b(サイズが小さいほうの張地材)を引き伸ばすようにして、外縁部107a,107b同士を位置合わせする。
図19(3)及び図20(3)に示すように、裏張地材101bが引き延ばされた状態で、張地材外縁部107a,107bに沿って縫い糸104を縫い付けて、張地材101a,101bを縫い合わせる。
図19(4)及び図20(4)に示すように、袋状部分105を有する裏張地材101bが引き延ばされた状態を解消する。裏張地材101bが元の大きさに戻ろうとするので、裏張地材外縁部107bに縫い合わされた表張地材外縁部107aが縮み、表張地材外縁部107aの近傍で表張地材101aにギャザー109(図18(A)及び図20(5)参照)が形成される。
その後、図19(5)に示すように、張地材101a,101bを裏返すことで、袋状部分105を有する表皮材101が形成される。このように、裏張地材101bが表張地材101aよりも大きく引き延ばされた状態で外縁部107a,107b同士を縫製した後、上記引き延ばされた状態を解消することで、表張地材101aにギャザー109を容易に形成できる。そして、縫製後の張地材101a,101bを裏返すことで、ギャザー109の形成位置で表張地材101aに膨らみをもつ立体的な袋状部分105を有する表皮材101を形成できる。
表皮材101において、ギャザー109は、側面視でU形に湾曲している背板85のサイドメンバー86上部の縁部及びアッパーシェル53の縁部を覆う位置に対応して形成されている。すなわち、ギャザー109は、背板85及びアッパーシェル85の縁部が湾曲している箇所を覆う位置に対応して形成されている。これにより、表皮材101の袋状部分105が背板85及びアッパーシェル85の外縁部を覆う箇所での、表皮材101のシワや歪みの発生を抑制でき、背もたれ3の美観を向上できる。
この実施形態では、表張地材101aの皮革材101cと裏張地材101cはともに皮革(ビニールレザー)であるが、表張地材101aは、皮革材101cの裏面に補助クッション材101dを有するので、裏張地材101cよりも伸縮性が低い。つまり、張地材101a,101bは互いに伸縮性能が異なっている。ただし、一方の張地材と他方の張地材は、例えば同一材料で同じ厚みに形成されるなど、伸縮性能が同じであってもよい。また、表皮材101は皮革製のものに限定されず、布製のものであってもよい。
以上、本願発明の具体例を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、実施形態は背もたれに適用したが、座等の他の身体支持体にも適用できる。背もたれに適用する場合、着座によって下部が前進するタイプである必要がないことは、いうまでもない。
また、上記実施形態では、皮革製の表皮材101を有するクッションタイプ仕様2において、副クッション材として2枚の追加クッション材102b,102cが設けられているが、本願発明において、副クッション材は1枚であってもよいし、3枚以上で構成されてもよい。
本願発明は、椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
3 背もたれ(身体支持体の一例)
41 背枠(周枠体の一例)
46 上シート保持枠(他の体圧受け部材の一例)
47 下シート保持枠(他の体圧受け部材の一例)
85 背板(基板の一例)
86 サイドメンバー(縁部)
88 ロアメンバー(縁部)
90 本体部
92 表皮材(他の表皮材)
101 表皮材
101d 補助クッション材
102 クッション材
102a メインクッション材(主クッション材)
102b,102c 追加クッション材(副クッション材)

Claims (4)

  1. 基板の一表面にクッション材が配置される背もたれ又はその他の身体支持体であって、
    前記基板は、枠状の縁部と、前記縁部で囲われた領域で前記縁部の裏面側へ陥入した本体部とを有しており、
    前記クッション材は、前記本体部に嵌め入れられた主クッション材と、前記主クッション材の表面及び前記縁部の表面を覆う副クッション材とが積層配置されて構成され、
    前記基板と前記クッション材が皮革からなる表皮材で覆われており
    前記主クッション材及び前記副クッション材は、平板状のクッション材を型抜き加工して形成されたものであり、
    前記基板には、前記表皮材とは異なる他の表皮材を取り付け可能であり、
    前記他の表皮材は、前記皮革よりも高い伸縮性を有する布で形成され、前記皮革からなる表皮材で覆う時と同じ前記主クッション材又は別の前記主クッション材を前記基板の前記本体部に配置した状態で前記副クッション材を配置することなく前記他の表皮材を前記基板に付け替え可能である、
    椅子の身体支持体。
  2. 前記表皮材は、前記皮革の裏面に積層された補助クッション材を有している、
    請求項1に記載の椅子の身体支持体。
  3. 前記基板の前記縁部に、表裏に開口した周枠体が取り付けられる構成であって、
    前記基板の前記縁部と前記周枠体には、前記縁部を前記周枠体に表面側から重ねて下向き動させることによって当該縁部を外れ不能に保持する係合部が形成されており、
    前記周枠体には、前記基板とは異なる他の体圧受け部材を取り付け可能であり、前記他の体圧受け部材に、前記基板の前記縁部に形成されたのと同じ係合部を形成することにより、前記周枠体に前記基板と前記他の体圧受け部材とが付け替え可能である、
    請求項1又は2に記載の椅子の身体支持体。
  4. 基板の一表面にクッション材が配置される背もたれ又はその他の身体支持体であって、
    前記クッション材は、それぞれ平板状のクッション材を型抜き加工して形成された複数枚のクッション材が積層配置されて構成され、前記基板と前記クッション材が皮革からな
    る表皮材で覆われており、
    前記基板には前記表皮材とは異なる他の表皮材を取り付け可能であり、
    前記他の表皮材は前記皮革とは材質が異なる材料で形成され、前記複数枚のクッション材とは枚数が異なる1枚又は複数枚のクッション材が前記基板の前記一表面に配置された状態で前記他の表皮材を前記基板に付け替え可能である、
    椅子の身体支持体。
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