JP2020069338A - 荷重支持部材及びこれを備えた椅子 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載された椅子では、背フレームの外側面に形成された取付溝に面材である背張地の周縁部が係合されることによって、背張地が背フレームに支持されて背受面が形成される。背フレームの杆材同士を上端部で連結する上横梁は、背張地の上縁部から椅子の奥行方向後ろ側に離間して略円弧状に湾曲している。換言すれば、背張地の上縁部は背フレームの上横梁から離間した自由端部、即ち遊端部となっている。
さらに、この椅子では、背張地の上縁部に、透明な樹脂製シート材からなる芯材を包んで配設しているので、この上縁部へ荷重をあずける行動が繰り返された場合においても背張地の保形性を確保でき、元の形状を維持できる。
本発明によれば、荷重が面材に付与された際、面材及び復元性付与部材は共に第一方向へ伸張するため荷重に対する抵抗は抑制される。そして、荷重が除去されると面材の第一方向の収縮力は復元性付与部材の収縮力によって補強されるため、荷重の付与と除去が繰り返された場合でも面材の復元性と保形性が維持され、面材の耐久性が向上する。
復元性付与部材は面材に縫着されるので、例えば編物の編み目または織物の織り目を介して糸を挿入して係止することができ、復元性付与部材の伸縮性が阻害されない。
復元性付与部材は面材と共に杆材に支持されるので、面材の遊端部が極端に伸長して撓み等が残ることを復元性付与部材によって防止でき、着座感と保形性等が良好である。
杆材の第二方向端部に形成された係合凹部には、面材及び復元性付与部材と共に縁部材が係合されているので、係合凹部に係合する部材の厚さを増大できる。しかも、縁部材を備えているため、杆材による面材の支持がより堅牢になる。
面材の縁部の両面に復元性付与部材と縁部材が取り付けられているため、面材の杆材への取り付けと面材の伸縮性の補強を簡単な構成で行うことができる。
復元性付与部材は面材の縁部を折り曲げたり、別の伸縮性部材を重ねる等して形成される袋状部に配設されるので、面材の着座面方向から視認されにくく外観の体裁に優れている。
本発明によれば、椅子の背もたれに荷重支持部材を設けたため、着座者が着座と離脱を繰り返したとしても杆材間に架設される面材が変位することを抑制し、杆材に支持されていない面材の遊端部の保形性を維持しつつ着座荷重に対する伸縮性を補強し、面材の着座感と復元性及び保形性を良好にできる。
なお、以下の各実施形態の説明において、前面、裏面(背面)、左側、右側(側縁)、上下の各方向は、特別に断らない限り椅子に着座した着座者から見た方向を示すものとする。
図1乃至図4により、第一の実施形態による椅子1の概略構成について説明する。椅子1は、フロア等の載置面上に載置される脚部2と、脚部2の上縁部に設置される支基3と、支基3の上部に取り付けられて着座者の臀部及び腿部を支持する座4と、支基3に取り付けられて座4の後部側で着座者の背部を支持する背もたれ5とを備えている。
背もたれ5は、図2及び図3に示すように、略四角形枠状に形成された例えば硬質合成樹脂よりなる背フレーム10と、この背フレーム10の表面、すなわち前面に張設した例えばメッシュシート状の面材11とを備えている。
背もたれ5の背フレーム10は、左右両側に間隔を開けて対向して配設された一対の側枠杆13と、側枠杆13の上端同士を連結する上枠杆14と、側枠杆13の下端同士を連結する下枠杆15とで形成されている。側枠杆13は上枠杆14及び下枠杆15に交差する方向、例えば略直交する方向に延びている。
左右に配設された側枠杆13は、その長手方向において下枠杆15に連結される下端部の近傍が上下端部より前方に突出する略くの字状に形成されているが、この部分はなくてもよい。各側枠杆13には、図4に示すように、その外周側縁部に断面略U字状の第一係合凹部18が長手方向に沿って形成されており、更に下枠杆15にも連続して形成されている。
また、図5及び図9に示す各側枠杆13の上端前面には第二係合凹部19の前面側に拡幅された突部13aが形成され、突部13aの下方では前面側の厚みが背面側より幅が狭くなるように段差部21が形成されている。この段差部21は第二係合凹部19とその底部の切欠19bを介して連通している。しかも、段差部21の上部には、後述する縁部材23の舌片部23bが着座するための受け座21aが形成されている。受け座21aには長手方向中途部に傾斜面部が形成され、その下方に縁部材23をネジ止めするためのネジ穴22が形成されている。そのため、側枠杆13はその前面側において上端部に開口19aを形成する突部13aが形成され、突部13a及びその下側では外側に肉厚部が形成され、内側に段差部21を有する肉薄部が形成されている。
面材11は、図2に示すように、例えば略四角形のメッシュシート状に形成されており、その材質は例えばポリエステル系の撚糸からなる織物等または編み物等である。面材11は側枠杆13間の幅方向(第一方向という)と側枠杆13の長手方向(第二方向という)に伸縮可能である。面材11は左右側縁部及び下縁部からなる3辺の縁部を、背もたれ5の背フレーム10における左右の側枠杆13と下枠杆15とにそれぞれ形成された第一係合凹部18に係合することで張架されるものである。面材11の上縁部は後述する左右の袋状部27の間の領域が背フレーム10に係合されない遊端部11B、即ち自由端部として保持される。
縁部材23は例えば硬質合成樹脂等からなる板状であり、図7に示すように、面材11に縫製される基部23aと基部23aの一端部からテーパ部を介して下方に延びる舌片部23bとを有しており、略L字状に形成されている。舌片部23bにはネジ挿通用の挿通穴23cが形成されている。舌片部23bはその長手方向中途部で屈曲する傾斜部を有しており、この傾斜部が受け座21aの傾斜面部に当接することで、縁部材23の上方への位置ずれを阻止する。
しかも、一対の縁部材23は左右で線対称に形成されている。
この状態で、面材11の左右側縁部及び下縁部の裏面に帯状の縁部補強材25を縫製や溶着等で固定する。面材11の左右側縁部及び下縁部は縁部補強材25で補強され、上縁の折り曲げ部11bは復元性付与部材24と面材11の2回の折り曲げによって補強されている。
この帯状の復元性付与部材24は面材11の復元性をより大きくするためのもので、面材11の上縁部に縫着されている。背もたれ5に着座者が繰り返して着座して面材11が幅方向に伸縮すると復元性付与部材24も一体に同一方向に伸縮し、面材11の復元性を復元性付与部材24によって補強して耐久性を向上させる。復元性付与部材24は、面材11の伸縮性を阻害したり相殺したりすることはなく、荷重を受けて伸張した面材11の収縮性、復帰力を補強するという特性を有している。
縁部補強材25は合成樹脂製で帯状のメッシュシートであり、例えば樹脂板からなる材質を用いる。縁部補強材25は伸縮性がないか面材11より小さくてよく、面材11の左右側縁部と下縁部を第一係合凹部18内に挿入して係合する際、縁部補強材25によって左右側縁部と下縁部が高強度になるため補強効果が高く、第一係合凹部18から外れることを防止できる。
面材11の袋状部27を突部13aに係止させた際、図5及び図9に示すように、縁部材23の舌片部23bは第二係合凹部19の切欠19bを通して下方に突出する。この舌片部23bは段差部21の受け座21aに着座し、ネジ穴22に挿通穴23cが一致する。そのため、舌片部23bの挿通穴23cを通してネジ穴22に締結具としてボルト28を螺合し、面材11の上縁部を側枠杆13に固定できる。
しかも、この袋状部27は第二係合凹部19内の背面側から前面側に向けて折り曲げられた2層の面材11の間に復元性付与部材24が挟持され、最も前面側に縁部材23の基部23aが挿入されている。そのため、第二係合凹部19内には面材11の袋状部27及び面材11の側縁部及び縁部補強材25の二層が緊密に嵌合されている。
図6(a)に示すように、メッシュ状の面材11の上縁部前面の切欠部11a間における左右両端部にそれぞれ縁部材23を縫着等で取り付ける。左右の縁部材23は互いに対称な形状と配置になる。
次に図6(b)に示すように、面材11の裏面の上縁部に帯状の復元性付与部材24を縫製等で取り付ける。そして、面材11の上縁部の切欠部11aで挟まれた部分を表面から裏面側に1回折り曲げて復元性付与部材24を面材11で挟み込む。そして、更に面材11の上縁部を表面から裏面側にもう1回折り曲げて縁部材23の基部23aを面材11の内側に挟み込む(図6(c)参照)。
先ず、面材11の上縁部の左右端部に形成した袋状部27を各側枠杆13の上端の突部13aに被せて係合させ、袋状部27の復元性付与部材24や縁部材23の基部23aを含む部分を第二係合凹部19内に嵌合する。面材11の袋状部27を先に側枠杆13の突部13aに被せて第二係合凹部19に係合させることで、面材11の縁部補強材25を第一係合凹部18に係合させる前段階の位置決めとすることができる。
そして、面材11を捲り上げて、受け座21a上に着座した舌片部23bを視認できる状態にする。この状態から、図9(a)、(b)及び図10に示すように、縁部材23の内側に設けられた舌片部23bは第二係合凹部19の底部の切欠19bを通して側枠杆13の突部13aの下方に突出させ、段差部21の受け座21a上に着座する。舌片部23bの挿通穴23c及び受け座21aのネジ穴22にボルト28をねじ込んで固定することで、面材11の上縁部の左右の袋状部27を左右の側枠杆13にそれぞれ固定できる。
これにより、図11及び図12に示すように、第二係合凹部19内では、面材11及び縁部補強材25の前面側に2度折りした面材11に挟まれた復元性付与部材24と面材11の前面側に位置する縁部材23の基部23aとが積層された状態になる。
面材11は左右側縁部と下縁部が側枠杆13及び下枠杆15に形成した第一係合凹部18に係合させられ、上縁部の折り曲げ部11bは両端の突部13a及び第二係合凹部19に係合された左右の袋状部27の間が上枠杆14等に固定されておらず、遊端部11Bとなる。
また、左右の側枠杆13に設けた第一係合凹部18と第二係合凹部19とが連通しているので、面材11の上縁部左右の袋状部27を面材11の側縁部近傍の位置に形成することができる。したがって、面材11を左右の側枠杆13の突部13a間及び第二係合凹部19間の広い範囲で係合させることができる。
また、復元性付与部材24は面材11に縫着されるので、編物の編み目または織物の織り目等を介して糸を挿入することができて復元性付与部材24の伸縮性が阻害されない。
面材11及び復元性付与部材24に加えて縁部材23が第二係合凹部19に係合保持されるので、第二係合凹部19に係合する部材の厚みを増大できるため、側枠杆13による面材11の支持がより強固になる。
復元性付与部材24は、面材11の上縁部を裏面側に折り曲げて形成される袋状部27内に配設されるため、面材11の着座面方向から視認されにくく、この点でも外観の見栄えが良い椅子1を得られる。
本第二実施形態では、面材11を背フレーム10の側枠杆13に固定する固定構造について上述の第一実施形態と相違し、その余の構成で第一実施形態と同一である。そのため、本第二実施形態による椅子1では、面材11の固定構造を中心に説明する。
本第二実施形態で用いる縁部材30は図13に示す略L字状の板状に形成されている。即ち、縁部材30は面材11の袋状部27に覆われる基部30aと舌片部30bとを有しており、基部30aはその長手方向(水平方向)に例えば厚肉部30aaと薄肉部30abとを有しているが、同一厚さでもよい。厚肉部30aaに略直交する舌片部30bは板状の第一受け部30baと第二受け部30bbとが段差30bcを介して一体形成されている。この縁部材30は線対称に一対形成されている。
図16(a)、(b)に示す背フレーム10の一方の上側角部において、面材11の左右の側縁部及び縁部補強材25は側枠杆13の外側に形成された第一係合凹部18に係合され、上縁部の左右の袋状部27は側枠杆13の突部13a及び第二係合凹部31に係合されている。第二係合凹部31は側枠杆13の上端の突部13aと上枠杆14との境界に開口31aが形成されており、外側に対して内側の領域が拡幅されたボックス状の空間31bを有している。
側枠杆13の突部13aを面材11の袋状部27で覆って第二係合凹部31内に装着した状態で、袋状部27からボックス状の空間31b内に突出する縁部材30の舌片部30bは第二係合凹部31の底部31cの段差部31ca上に段差30bcが位置決め設置される。この状態で第二係合凹部31内に内側から押さえ部材34を嵌合して袋状部27を第二係合凹部31の内壁に押圧する。
なお、図16では、縁部材30が単独で第二係合凹部31に挿入されるように描かれているが、実際には面材11の袋状部27に復元性付与部材24と基部30aが囲われた状態で、舌片部30bが底部31c上に位置決めされる。
押さえ部材34が舌片部30bの上でボックス状の空間31b内に緊密に挿入されて位置決めされた状態で、ボルト35を挿通孔37に挿入して空間31bの内奥部の壁面に形成したネジ穴33に締め込み固定する。
また、押さえ部材34を固定するボルト35は側枠杆13の内側面から面材11に沿う方向に締め込むことができるので、面材11が邪魔にならない上に目立たない。
袋状部27は上述したいずれの構成を採用してもよく、面材11の上縁部の左右端部を二重に重ねて側枠杆13の突部13aに上から被せる袋状に形成できればよい。或いは、袋状部27を形成せず、面材11の上縁部に復元性付与部材24を直接逢着等してもよく、これを突部13aに挟んで第二係合凹部19側に折り曲げる等して配設してもよい。
また、上述した各実施形態では、面材11の上縁部の表裏面に縁部材23、30と復元性付与部材24を個別に取り付けたが、同一の面に重ねて縫着等してもよい。
また、第一実施形態における縁部材23は、舌片部23bを側枠杆13の受け座21aにボルト28で固定しているため、面材11の押さえ手段を兼ねている。第二実施形態における縁部材30及び押さえ部材34は面材11の押さえ手段に含まれる。
面材11の第一係合凹部18に係合する側縁部(及び縁部補強材25)は第一方向縁部に含まれ、第二係合凹部19に係合する上縁部は第二方向縁部に含まれる。
また、上述した各実施形態では、椅子1用の荷重支持部材として、背もたれ5における背フレーム10と面材11について説明したが、本発明は背もたれ5に限定されるものではなく、上述したように座4のフレームとその面材8にも適用できる。更に椅子1に設置可能なヘッドレスト等にも本発明の荷重支持部材を適用することができる。
また、椅子1以外の面材11及び杆材、例えば車両の網棚や防虫ネット等についても本発明の荷重支持部材を適用できる。
5 背もたれ
10 背フレーム
11 面材
11B 遊端部
13 側枠杆
13a 突部
18 第一係合凹部
19、31 第二係合凹部
19a、31a 開口
23、30 縁部材
23a、30a 基部
23b、30b 舌片部
24 復元性付与部材
25 縁部補強材
27 袋状部
27a、27b 縫い付け部
28、35 ボルト
34 押さえ部材
Claims (7)
- 第一方向に所定間隔を開けて対向して配設されていて前記第一方向に交差する第二方向に延びる一対の杆材と、
前記一対の杆材の間に架設されて前記第一方向に伸縮性を有しており、前記第一方向に延びる縁部の少なくとも一部が他の部材に係合されない遊端部とされた面材と、
前記遊端部に取り付けられていて前記第一方向に沿って弾性的に初期位置へ復帰する復元性が前記面材より大きい復元性付与部材と、
を備えたことを特徴とする荷重支持部材。 - 前記復元性付与部材は前記面材の遊端部に縫着されている請求項1に記載された荷重支持部材。
- 前記復元性付与部材は前記遊端部における前記第一方向の両端部に至るまで延在しており、前記遊端部及び復元性付与部材はその両端部が前記杆材に支持されている請求項1または2に記載された荷重支持部材。
- 前記杆材には前記第二方向の端部に前記面材の縁部または遊端部が係合する係合凹部が設けられ、前記面材の前記係合凹部に係合する領域には前記面材を杆材に係合する縁部材が取り付けられている請求項1から3のいずれか1項に記載された荷重支持部材。
- 前記面材の縁部における一方の面に前記復元性付与部材が取り付けられ、他方の面に前記縁部材が取り付けられた請求項4に記載された荷重支持部材。
- 前記復元性付与部材は、前記面材の前記縁部に同一の面材または別の伸縮性部材を重ねて形成される袋状部の内部に配設されている請求項1から5のいずれか1項に記載された荷重支持部材。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載された前記荷重支持部材を備えたことを特徴とする椅子。
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Citations (3)
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JP2011045574A (ja) * | 2009-08-27 | 2011-03-10 | Kokuyo Co Ltd | 椅子 |
JP2017217403A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社岡村製作所 | 什器構成部材、及び什器 |
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2018
- 2018-11-02 JP JP2018207617A patent/JP2020069338A/ja active Pending
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