JP7017886B2 - 吸収性物品用シート - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品用シート、吸収性物品及び吸収性物品用シートの製造方法に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の部材として、不織布やパルプからなるシートを用いることが知られている。例えば、特許文献1には、スパンボンド不織布と薄葉紙とが積層されてなり、該スパンボンド不織布面側が肌に接するように配設されている使い捨ておむつ等の衛生材料の表面材が記載されている。特許文献1によれば、薄葉紙を構成するパルプ繊維による吸液力によって、体液が良好に表面材を透過する。
また、特許文献2には、芯鞘構造を有しその鞘部が芯部より低融点の熱融着性樹脂の繊維を含有するスパンボンド不織布と、該不織布面に湿式抄紙によって連続または不連続に積層形成される抄紙層とからなる複合紙であって、上記不織布と抄紙層とは、上記スパンボンド不織布の鞘部の低融点熱溶融性樹脂を介して接合している複合紙が記載されている。
特開平05-176954号公報 特開平05-279997号公報
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品は、一般的に***液を吸収する吸収体を具備している。吸収体は、一般的に、親水性繊維等の積繊体からなる吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシートを有している。コアラップシートのように、吸収体を構成するシートは、***液を吸収性コアへ引き込む、引き込み力が高いことが望まれている。
しかし、特許文献1及び2に記載のシートをコアラップシートとして用いる際には、***液の引き込み、液残りを低減するのに改善の余地があった。さらに、特許文献1及び2に記載のシートをコアラップシートとして用いた吸収性物品では、吸収体に吸収された経血等の***液の色が、吸収性物品の肌対向面から視認されにくくする点で改善の余地があった。
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品用シート及びそれを用いた吸収性物品を提供することにある。また、前記吸収性物品用シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、疎水性繊維を含む疎水性不織布層と、該疎水性不織布層の片面に設けられた、セルロース系繊維を主体として構成された複数の親水部とを有する吸収性物品用シートであって、前記親水部は、その坪量が、前記吸収性物品用シートにおける該坪量の平均値に対して3倍以上である、吸収性物品用シートを提供するものである。
また、本発明は、肌対向面、非肌対向面及びこれら両面間に配された吸収性コアを備えた吸収性物品であって、前記肌対向面と前記吸収性コアとの間に、前記吸収性物品用シー
トが配されている、吸収性物品を提供するものである。
また、本発明は、疎水性不織布上に、セルロース系繊維及び紙力増強剤を含むスラリーを供給する工程と、ウォータージェットにより、前記疎水性不織布の構成繊維に前記セルロース系繊維を絡合させて一体化し、前記親水部となる湿潤親水部を有する湿潤シートを形成する抄造工程とを具備する、吸収性物品用シートの製造方法を提供するものである。
本発明の吸収性物品用シートは、シート中に***液が残る液残りが生じ難い。
また、本発明の吸収性物品は、吸収した***液が視認し難い。
また、本発明の吸収性物品用シートの製造方法によれば、シート中に***液が残る液残りが生じ難い吸収性物品用シートを製造することができる。
図1は、本発明の吸収性物品用シートの一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1のI-I線拡大断面図である。 図3は、図1に示す吸収性物品用シートの断面図である。 図4は、本発明の吸収性物品用シートの他の実施形態を示す断面図である。 図5は、本発明に係る吸収性物品用シートをコアラップシートに用いた吸収性物品の平面図である。 図6は、図5のX-X線断面図である。 図7は、図1に示す実施形態の吸収性物品用シートの製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品用シート1の一実施形態の平面図が示されている。また、図2には、吸収性物品用シート1の厚み方向に沿う断面図が示されている。
吸収性物品用シート1は、図1及び図2に示すように、疎水性繊維21を含む疎水性不織布層20と、該疎水性不織布層20の片面に設けられた、セルロース系繊維26を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部25とを有している。以下、疎水性不織布層20において、複数の親水部25を有している側の面を親水面20a、他方の面を疎水面20bともいう。
尚、図2では本発明の説明の便宜上、疎水性繊維21とセルロース系繊維26とをそれぞれ異なる太さの線で示しているが、実際の両繊維21,26の太さとは無関係である。また、図2中のP側が吸収性物品用シート1の親水面20a側であり、Q側が疎水面20b側である。
疎水性不織布層20は、疎水性繊維21を含んでいる。疎水性繊維21は、水との接触角が90度以上の繊維である。一方、後述するセルロース系繊維26のように、水との接触角が90度未満の繊維は、親水性繊維である。水との接触角は、小さいほど親水性が高く(疎水性が低く)、大きいほど親水性が低い(疎水性が高い)。水との接触角は、下記の方法により測定される。
<接触角の測定方法>
測定対象物(吸収性物品用シート)から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様
子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象物から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。斯かる接触角の値が小さいほど、親水性が高いことを意味する。
疎水性不織布層20の必要な疎水性を確保する観点から、疎水性不織布層20における疎水性繊維21の配合割合は、該疎水性不織布層20の全質量に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、また製造段階で疎水性不織布層20に油剤やバインダー等の添加剤を添加する観点から、好ましくは98%以下、より好ましくは90%以下であり、上記の両観点の両立から、好ましくは50%以上98%以下、より好ましくは70%以上90%以下である。
疎水性不織布層20は、不織布から構成されていることが好ましく、該不織布としては、公知の各種製法による不織布、例えばカード法又はエアレイド法により形成した繊維ウエブを熱風で処理して不織布化したエアスルー不織布、カード法又はエアレイド法により形成した繊維ウエブを、水流交絡により不織布化したスパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、カード法又はエアレイド法により形成した繊維ウエブをヒートロールによる部分的な熱処理により不織布化したヒートロール不織布等が挙げられる。これらの中でも、薄くて柔らかく、適度な通液性が得られ(吸収性がよく)、安価に製造できる観点から、後述する長繊維不織布が好ましい。
疎水性繊維21は、合成繊維であることが好ましく、その構成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。これらの構成樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる態様としては、2種以上の樹脂をブレンドして用いることもできるし、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。疎水性繊維21の構成樹脂は、熱可塑性樹脂からなることが好ましい。また芯鞘型の複合繊維は、鞘部の構成樹脂の融点が芯部の構成樹脂の融点よりも低いことが好ましい。また疎水性繊維21は、油剤等の親水化剤や撥水化剤で処理されていても良い。
本実施形態の疎水性不織布層20の一方の面20aには、図1に示すように、平面視形状が不定形であり、且つ大きさがそれぞれ異なる複数の親水部25が海島状に散在している。複数の親水部25は、セルロース系繊維を主体として構成されており、疎水性不織布層20の親水面20aに、該面20aから盛り上がった部分を形成している(図2参照)。
親水部25の主な構成繊維であるセルロース系繊維26は、水との接触角が30度未満である。セルロース系繊維26としては、木材パルプ、コットン等の天然セルロース系繊維、レーヨンなどの再生セルロース系繊維が挙げられる。
親水部は、セルロース系繊維26を主体として構成されている。ここで、セルロース系繊維26を主体として構成されているとは、セルロース系繊維26の含有量が50%以上であることを意味する。親水部25における親水性を高める観点から、親水部25は、セルロース系繊維26の含有量が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、またセルロース系繊維を結着させるバインダー成分や湿潤紙力増強剤等の薬剤を添加して親水部25を形成する観点から、好ましくは98%以下、より好ましくは92%以下であり、また上記の両観点の両立から、好ましくは60%以上98%以下、より好ましくは70%以上92%以下である。
親水部25を含む吸収性物品用シート1中のセルロース系繊維26の含有量の測定について説明する。吸収性物品用シート1に含まれるセルロース系繊維とその他の多くの繊維種との識別、また識別された繊維の重量や含有比率の分析には、JIS L 1030-1(第1部 繊維鑑別)、JIS L 1030-2(第2部 繊維製品の混用率試験方法)の規格を適宜用いることができる。セルロース系繊維以外のその他の繊維種については、前述の測定方法によって接触角を測定し、接触角が90度以上のものを疎水性繊維とする。親水部におけるセルロース系繊維の含有割合は、前述のJIS方法により求められる。親水部は、後述の方法により吸収性物品用シートから単離する。そして、セルロース系繊維の含有割合は親水部の重量の50%以上である。
親水部25は、セルロース系繊維26以外の繊維を含んでいても良い。吸収性物品用シート1において、親水部25を形成する親水部形成用材料として、セルロース系繊維26の他、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等の樹脂から構成される合成繊維等を親水化処理したもの等の親水性繊維が挙げられる。
親水部25の坪量は、吸収性物品用シート1における親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上であり、好ましくは5倍以上、より好ましくは8倍以上、また好ましくは20倍以下、より好ましくは15倍以下、また好ましくは5倍以上20倍以下、より好ましくは8倍以上15倍以下である。親水部25の坪量や、吸収性物品用シート1における親水部形成用材料の平均坪量等の測定方法は後述する。
本発明の吸収性物品用シート1は、疎水性繊維26を含む疎水性不織布層20の片面20aに、シート1における親水部形成用材料の平均坪量に対して坪量が上記範囲以上である複数の親水部25を有することにより、厚み方向Zにおいて、疎水性不織布層20の疎水面20bから親水部25に向かって親水勾配を有すると共に、親水部25がその周囲に比して高坪量部であるため、毛管力に優れる。これにより、吸収性物品用シート1は、疎水性不織布層20の疎水面20bから親水面20a側に向かって***液を引き込む、引き込み力に優れると共に、親水部25が、***液の導通路として機能するため、***液が親水部25を介して効率良く透過するため、該吸収性物品用シート1中に***液が残り難い。以下、シート中に***液が残り難い効果を液残り抑制効果ともいう。
本発明は親水部を複数配置し、かつ上述の3倍以上の高坪量とすることで、疎水面20b側から液が供給され、親水面20a側へ液が通過するときの導通路となりつつも、不織布中に液残りを生じ難くすることができる。
親水部25は、前述の通り、吸収性物品用シート1における親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上の坪量を有するところ、下記に示す「親水部の判定方法」により、親水部25以外の部分と区別される。
<親水部の判定方法>
先ず、JIS P8111の条件にて測定対象のシート(サンプル)の調湿を行った後、該シートから50mm四方(面積2500mm2)の測定片を切り出す。親水部25は
坪量の高い部分であり、測定片における色の濃淡等から目視で親水部25と推定される部分を判別できる。このように目視で親水部25と推定される部分を、候補部分ともいう。候補部分の面積は、測定片から候補部分を単離する前の状態で行う。測定片における任意の2個以上の候補部分を撮像し、該候補部分の画像について画像処理を行うことにより、該候補部分の面積をそれぞれ測定する。撮像及び画像処理には、例えば、CCDカメラ(HV-37;株式会社日立国際電気製)とレンズ(株式会社ニコン製 Ai AF Nikol 24mmF2.8D)とNexus製NewQube(Ver.4.22)とを用
いることができる。次いで、測定片(50mm四方)から候補部分の親水部形成用材料を単離して、候補部分の質量をそれぞれ測定する。次いで、各候補部分の面積と質量とに基づいて、各候補部分の坪量(g/m)を求める。候補部分は、その坪量(g/m)が、吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上である場合、親水部25と判定される。本発明の吸収性物品用シートは複数の親水部を有するが、測定片に親水部25が2個以上あれば良い。
「吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量」は、測定片に存在する全ての候補部分における親水部形成用材料の総質量を、測定片の面積で除した値である。なお、疎水性不織布層20に親水部形成用材料が含まれる場合、該疎水性不織布層20に含まれる親水部形成用材料は、候補部分における親水部形成用材料から除かれる。即ち、後述の候補部分の単離方法により、疎水性不織布層20から単離できなかった親水部形成用材料は、候補部分における親水部形成用材料から除かれる。
親水部又はその候補部分の単離方法について説明する。親水部又はその候補部分を、以下、「親水部等」ともいう。親水部等を疎水性不織布層20から容易に剥離できる場合は、ピンセット等を用いて、親水部等を単離しても良い。疎水性不織布層20と親水部等とが接着剤で接合されている場合は、コールドスプレーの冷風を吹き付ける等の方法で接着力を除去してから、親水部等を単離することができる。疎水性不織布層20の構成繊維と親水部25のセルロース系繊維26とが交絡して、両者20,25が接合されている場合や水溶性の樹脂で接着されている場合などは、切り出した測定サンプルを90℃以上のお湯に30分間浸漬してから、親水部等をピンセット等で剥ぎ取って単離することができる。この場合、親水部等又は疎水性不織布層20は乾燥した上で、その面積、質量、及び親水部等の坪量等の測定に供する。
親水部25の判定方法について、吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量が10g/mである吸収性物品用シート1の測定片1枚から単離した、下記表1に示す候補部分S1~S5を例に説明する。表1の吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量(10g/m)は、吸収性物品用シートの測定片から前述の単離方法に基づき、全ての候補部分の親水部形成用材料を単離してその質量を測定し、該質量を面積2500mmで除すことにより求めた。なお、測定片に存在する候補部分は、表1に示す候補部分S1~S5以外にも存在するが、ここでは、候補部分S1~S5のみを用いて親水部25の判定方法を説明する。
候補部分S1,S2,S3,S5はこれら各坪量が、表1に示すように、吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量(10g/m)の3倍以上であるため、親水部25であると判定される。一方、候補部分S4はその坪量が、表1に示すように、前記平均坪量(10g/m)の3倍未満であるため、親水部25ではないと判定される。
Figure 0007017886000001
吸収性物品用シート1の前記引き込み力を向上させる観点から、親水部25は、平面視における面積が、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは150mm以下、より好ましくは50mm以下であり、また好ましくは5mm以上150mm以下、より好ましくは10mm以上50mm以下である。吸収性物品用シート1は、前記面積が5mm以上の親水部25、及び前記面積が5mm未満の親水部25の双方を有していても良い。以下、前記面積が5mm以上の親水部25を大親水部27ともいう。
例えば、前述の表1において、候補部分S1~S3及びS5は大親水部27である。
吸収性物品用シート1の前記引き込み力及び前記液残り抑制効果を容易に両立させる観点、及び吸収性物品用シート1を後述するコアラップシートに用いた際の***液の隠蔽効果を確実に奏させる観点から、吸収性物品用シート1における複数の親水部25の合計面積は、吸収性物品用シート1の面積に対して、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下であり、また好ましくは2%以上30%以下、より好ましくは5%以上15%以下である。複数の親水部25の合計面積は、前述の測定片1枚(50mm四方)における全ての親水部25の合計面積とする。そして、測定片の面積に対する親水部25の合計面積の割合を算出する。なお、後述する大親水部27の合計面積の割合等の好ましい範囲は、特に説明しない限り、吸収性物品用シートから切り出した測定片1枚(50mm四方)における値を意味する。
上記と同様の観点から、平面視における複数の大親水部27の合計面積は、吸収性物品用シート1の面積に対して、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下であり、また好ましくは2%以上30%以下、より好ましくは5%以上15%以下である。
本実施形態の吸収性物品用シート1は、図2に示すように、親水面20a上で、セルロ
ース系繊維26が互いに交絡して該繊維26の塊になることで、親水部25を形成している。親水部25は、親水面20a上に形成されていれば良く、そのセルロース系繊維26が疎水性不織布層20内に延在しなくても良いが、本実施形態のセルロース系繊維26aは、その一部が疎水性不織布層20の疎水性繊維21と交絡しており、これら両繊維21,26が密に接触している(図2参照)。斯かる構成により、疎水面20bから吸収した***液を、疎水性不織布層20の疎水性繊維21から親水部25のセルロース系繊維26aへと容易に伝わらせることができるため、前記引き込み力を向上させることができる。また、親水部の疎水性不織布層からの脱落、剥離を抑制することができる。このように、親水部25を構成するセルロース系繊維26aの一部が、疎水性不織布層20内に延在し、疎水性繊維21と交絡していることが好ましい。このように、繊維の一部が疎水性不織布層20内に延在し、疎水性繊維21と交絡しているセルロース系繊維26aを、以下、侵入セルロース系繊維26aともいう。親水部25は、侵入セルロース系繊維26aを有していることが好ましい。親水部25における侵入セルロース系繊維の有無は以下の方法により確認することができる。
〔侵入セルロース系繊維の有無の判断方法〕
任意の大きさに切り出した対象のシートを、0.1%青色染料により染色する。この青色染料は、市販の合成色素(製品名:青色1号、保土谷化学工業社製)を脱イオン水で0.1%に希釈したものであり、セルロース系繊維を染色する。前記シートを0.1%染料で染色した後、乾燥し、該シートから50mm四方の切片を無作為に切り出す。次いで、光学顕微鏡により、前記切片の断面の画像を撮影し、該画像中の染色されたセルロース系繊維26が疎水性不織布層20の構成繊維と交絡しているか否かを目視で判断する。具体的には、疎水性不織布層20の親水面20a側の面の平均高さh1(図2参照)を求め、親水部25における染色したセルロース系繊維26の一部が前記平均高さh1よりも低い位置にある、即ち、疎水性不織布層内に厚さ方向に延在しているか否かを判断する。セルロース系繊維は、疎水性不織布層を厚さ方向に貫通していてもよい。次いで、疎水性不織布層内に延在、又は疎水性不織布層を貫通するセルロース系繊維26の一部が、染色されていない他の繊維と交絡しているか否かを判断する。
また、侵入セルロース系繊維26aの存在する部分について、前述の「親水部の判定方法」により、該部分が親水部25であるか否かの判定をする。疎水性不織布層20の親水面20a側の面の平均高さh1は、シートの表面形状の計測方法によって計測することができ、例えば、SEM画像等の断面写真の画像解析や表面粗さ測定機等のJIS B 0601に準拠した方法にて計測することができる。
吸収性物品用シート1の前記引き込み力及び前記液残り抑制効果を容易に両立させる観点から、疎水性不織布層20における疎水性繊維21は、長繊維であることが好ましい。「長繊維」は、繊維長150mm以上のいわゆる連続長繊維である。このような繊維は、破断強度が高い不織布が得られる点で好ましい。尚、「長繊維」における繊維長の上限は特に限定されるものではない。
また、疎水性不織布層20は、長繊維を主体として構成される長繊維不織布であることが好ましい。「長繊維不織布」とは、典型的には、長繊維を熱融着部により間欠的に固定した繊維集合体を具備する不織布のことをいう。このような長繊維不織布としては、例えば、単層のスパンボンド不織布や、長繊維を主体とするスパンボンド層を含む積層不織布等が挙げられる。長繊維不織布である積層不織布としては、例えば、スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SS不織布)、スパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SSS不織布)、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布(SMS不織布)、スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド不織布(SMMS不織布)等が挙げられる。
本実施形態の疎水性不織布層20は、疎水性繊維21等の構成繊維どうしを、ヒートシ
ール加工、超音波シール、エンボス加工等により融着した疎水性不織布から構成されている。疎水性不織布は、構成繊維どうしを融着した融着部を、平面視において分散した状態に有することが好ましく、散点状に有することが好ましい。
疎水性不織布層20は、凹凸を有していても良い。疎水性不織布層の凹凸は、スパンボンドやメルトブローン等の紡糸法により作製された際の坪量の違い(地合い等)により主に形成される。この他に、疎水性不織布層20に凹凸を形成する方法として、熱や圧力によるエンボス加工、超音波等が挙げられる。
親水部の厚みは坪量が高いほど厚くなり液引込みや、後述する***液の隠蔽性の点から有利であるが触った時の凸凹感や硬さを感じ風合いが悪くなることがある。液引込みと風合いの両立の観点から、親水部25の厚みd1(図3参照)は、疎水性不織布層20の厚みd2(図3参照)に対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下であり、また好ましくは5%以上70%以下、より好ましくは10%以上40%以下である。親水部25及び疎水性不織布層20のそれぞれの厚みは、前述したシートの表面形状の計測方法によって計測することができる。
図1に示す吸収性物品用シート1は、一方向に長い形状の親水部25を有している。例えば、図1中の方向Xに長い形状の親水部25と、同図中の方向Yに長い形状の親水部25とを有している。ここで、一方向に長い形状とは、一方向の長さが該方向に直交する方向の長さの1.2倍以上の形状を意味する。なお、図中の方向Yは、方向Xに直交する方向である。
次に本発明の他の実施形態について図4を参照して説明する。後述する他の実施形態については、前述した吸収性物品用シート1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、吸収性物品用シート1についての説明が適宜適用される。
図4に示す吸収性物品用シート1aは、疎水性不織布層20の片面に、複数の親水部25と、坪量が該親水部25より低い、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成された低親水部29とを有している。即ち、低親水部29は、セルロース系繊維26が存在し且つ該低親水部29の坪量が、吸収性物品用シート1aにおける低親水部29の平均坪量に対して3倍未満の部分であり、好ましくは吸収性物品用シート1における低親水部29の平均坪量未満の部分である。
低親水部29は、図4に示すように、親水部25どうしの間に配されており、疎水性不織布層20の親水面20aを部分的に覆っている。吸収性物品用シート1aは、疎水性不織布層20の親水面20aにおいて、複数の親水部25以外の全域に亘る低親水部29を有していても良く、複数の親水部25間に亘る低親水部29を部分的に有しても良い。
本発明の吸収性物品用シート1は、前述のように***液の引き込み力及び液残り抑制効果に優れており、そのような特長が活かされる種々の用途に好適である。特に吸収性物品用シート1は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、液保持性の吸収性コアを被覆するコアラップシートとして好適である。本発明の吸収性物品用シート1は、特に経血や軟便等の色の濃い***液に有効であり、従って、ナプキンやおむつにおけるコアラップシートとして特に有用である。
吸収性物品用シート1を用いた吸収性物品の一例として、吸収性コア14a及びこれを被覆するコアラップシート14bを含んで構成される吸収体を有する吸収性物品であって
、該コアラップシート14bが吸収性物品用シート1であるものが挙げられる。図5及び図6には、本発明の吸収性物品用シートの適用例として、該吸収性物品用シートを具備する生理用ナプキン10が示されている。生理用ナプキン10を、以下、単にナプキン10ともいう。ナプキン10は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有すると共に、着用時に着用者の液***部(膣口等)に対向配置される部分を含む中間領域B並びにその前後に延在する前方領域A及び後方領域Cを有する。ナプキン10において、中間領域Bは、本実施形態のようにウイング部1Wを有する場合には、長手方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの長手方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの長手方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を幅方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の長手方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。ナプキン10は、長手方向Xに延び、且つナプキン10を幅方向Yに二等分する中心線CLに対して左右対称に形成されている。
表面シート12は、吸収体14の肌対向面の全域を被覆し、吸収体14の長手方向Xに沿う両側縁から幅方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート13は吸収体14の非肌対向面の全域を被覆し、更に表面シート12の長手方向Xに沿う両側縁から幅方向Yの外方に延出して、サイドシート15と共にサイドフラップ部1Sを形成している。裏面シート13とサイドシート15とは、吸収体14の長手方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
サイドシート15は、表面シート12の肌対向面における長手方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート15は、平面視において表面シート12の長手方向Xに沿う左右両側部に重なるように、表面シート12の長手方向Xの全長に亘って配されている。ナプキン10では、一対のサイドシート15,15は、それぞれ、波形状の接合部16にて表面シート12に接合されている。
ナプキン10では、サイドフラップ部1Sは中間領域Bにおいて幅方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これによりナプキン10は、その長手方向Xに沿う左右両側に一対のウイング部1W,1Wを備えるようになる。
ナプキン10では、図5に示すように、前方領域A及び後方領域Cそれぞれに幅方向Yに延びる横圧搾溝71と、中間領域Bの長手方向Xに沿う両側部に長手方向Xに延びる縦圧搾溝73とを有する線状圧搾溝7が形成されており、全体として環状の全周溝となっている。
ナプキン10は、肌対向面に位置する表面シート12と、非肌対向面に位置する裏面シート13と、これら両シート12,13間に介在された吸収体14とを備えている。本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン10)又はその構成部材(例えば吸収体14)における、吸収性物品(ナプキン10)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン10)又はその構成部材(例えば吸収体14)における、吸収性物品(ナプキン10)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
表面シート12及び裏面シート13と吸収体14との間は接着剤によって接合されていてもよい。また、ナプキン10の非肌対向面(裏面シート13の非肌対向面)には、該ナプキン10をショーツ等の着衣(図示せず)に固定する粘着部(図示せず)が設けられており、この粘着部は、不使用時には剥離シート(図示せず)によって被覆されている。表面シート12及び裏面シート13としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート12としては、例えば、液透過性を有する親水性の不織布や穿孔フィルムなどを用いることができ、これら
の不織布やフィルムは一般に熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成されている。裏面シート13としては、例えば、液難透過性のフィルムや不織布などを用いることができ、液難透過性のフィルムは透湿性を有していてもよい。
本実施形態のナプキン10は、図6に示すように、表面シート12、裏面シート13、及びこれら両シート12,13間に介在された吸収体14を具備している。吸収体14は、吸収性コア14aと、該吸収性コア14aを被覆するコアラップシート14bとを有している。
ナプキン10は、コアラップシート14bとして、図1に示す吸収性物品用シート1を用いている。即ち、ナプキン10の肌対向面と前記吸収性コアとの間には、図1に示す吸収性物品用シートが配されている。また、前記表面シート12と前記吸収性コア14aとの間において、該表面シート12と吸収性物品用シート1の疎水性不織布層20とが対向するように吸収性物品用シート1を配置することが好ましい。即ち、ナプキン10の肌対向面と吸収性コア14aとの間に、吸収性物品用シート1が、親水部側の面を吸収性コア14a側に向けた状態で配されていることが好ましい。斯かる構成により、吸収性物品用シート1の親水部25よりも先に、疎水性不織布層20が経血等の***液と接することになる。その結果、***液は吸収性物品用シート1の引き込み力により、吸収性コア14aへ効率よく移行される。また、吸収性物品用シート1の液残り抑制効果により、吸収性物品10を肌対向面側から目視した際、吸収体14に吸収された***液を視認し難く、***液の隠蔽効果に優れる。これにより、***液の吸収後であっても、着用者に漏れへの不安を与え難い。さらに、引き込み力及び液残り抑制効果により、ナプキン10の肌対向面にさらさら感を付与することができる。
本実施形態の吸収体14は、コアラップシート14b(吸収性物品用シート1)が吸収性コア14aの肌対向面及び非肌対向面の双方を被覆しているが、肌対向面のみを被覆していても良い。また、本実施形態の吸収体14は、1枚のコアラップシート14b(吸収性物品用シート1)が吸収性コア14aの全体を被覆しているが、吸収体14は、2枚の別体のコアラップシート14bを有し、一方のコアラップシート14bが吸収性コア14aの肌対向面を、他方のコアラップシート14bが非肌対向面をそれぞれ被覆していても良い。前述の引き込み力及び液残り抑制効果を確実に奏させる観点から、コアラップシート14bにおける吸収性コア14aの肌対向面側を被覆する部分は、吸収性物品用シート1であることが好ましい。
前述した通り、コアラップシート14bとして用いられている吸収性物品用シートは一方向に長い形状の親水部25を有している(図1参照)。図1中のX方向は、ナプキン10の長手方向Xと一致している。即ち、コアラップシート14bは、ナプキン10の長手方向Xに長い形状の親水部25を有している。このように、ナプキンの長手方向Xに長い親水部は、液が入ると長手方向Xに該液を素早く拡散する一方で幅方向Yへの拡散を抑制でき、ナプキン装着時に、幅方向Yへ液が漏れる横モレ防止や、長手方向Xの吸収体の利用効率、即ち吸収能を高めることができる。そのような観点から、吸収性物品用シート1は、平面視においてナプキン10の長手方向に沿って延びる親水部25を有していることが好ましく、長手方向に沿って延びる大親水部27を有していることがより好ましい。以下、平面視においてナプキン10の長手方向Xに沿って延びる大親水部27を縦長親水部28ともいう。
上述の観点から、縦長親水部28の縦横比(L1/L2)、即ち幅方向Yにおける長さL2(図1参照)に対する長手方向X(図中X方向)における長さL1(図1参照)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは3以上であり、また好ましくは30以下、より好ましくは15以下であり、また好ましくは1.2以上30以下、より好ましくは3以上1
5以下である。
縦長親水部28のような一方向に長い形状の親水部25は、後述する吸収性物品用シート1の製造方法において、後述する成形シートをウォータージェットで処理することや、親水部形成用材料を含むスラリー(紙料)にカチオン性の湿潤紙力増強剤とアニオン性の乾燥紙力増強剤とを添加する方法等で抄紙のMD方向(搬送方向。いわゆる機械方向MD)に長い形状の親水部を形成することができる。
縦長親水部28の縦横比は、ナプキン等の吸収性物品から取り出した吸収性物品用シート1について、前述の測定片(50mm四方)を切り出し、該測定片から任意に切り出した、5個の縦長親水部28についての縦横比の平均値により求める。
吸収性物品用シート1を構成部材として用いた吸収性物品から、吸収性物品用シートを取り出して評価測定する場合において、該吸収性物品の構成部材が、接着剤などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、コールドスプレーの冷風を吹き付ける等の方法で接着力を除去してから取り出す。この手順は、本願明細書中の全ての測定において共通である。
吸収体14において親水部25の面積率は、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下であり、また好ましくは2%以上30%以下、より好ましくは5%以上15%以下である。
本実施形態のコアラップシート14bは、吸収性コア14aの肌対向面側及び非肌対向面側の双方を被覆しているが、親水部25の面積率は、吸収体14の肌対向面の面積に対する各親水部25の合計面積の割合を意味する。この面積率は、吸収性物品から取り出した測定片(50mm四方)の面積に対する、該測定片における各親水部25の合計面積の割合から算出される。
表面シート12、裏面シート13及び吸収性コア14aとしては、それぞれ、この種の吸収性物品において通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。吸収性物品用シート1を用いた吸収性物品は、展開型あるいはパンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド等に適用できる。
次に、本発明の吸収性物品用シート1の製造方法の一実施形態について、図7を参照しながら説明する。疎水性不織布層の片面に複数の親水部25を有する吸収性物品用シート1は、疎水性不織布層20を基材シートとして、セルロース系繊維26を含むスラリーを用いた湿式抄紙法によって製造することができる。図7には、本発明の吸収性物品用シート1を好ましく製造することができる湿式抄紙機3が示されている。湿式抄紙機3は、抄紙網31、スラリー投入装置32、プレスロール34及びヤンキードライヤー35を備えている。
本実施形態の製造方法は、疎水性繊維21を主体として構成された疎水性不織布41からなる基材シート24上に、セルロース系繊維を始めとする親水部形成用材料を含むスラリーを加え、セルロース系繊維層を抄造する抄造工程を具備する。また、本実施形態の製造方法は、抄造工程において得られた湿潤シートの脱水を行う脱水工程と、脱水後の湿潤シートを乾燥させて吸収性物品用シートを得る乾燥工程と、吸収性物品用シートを巻き取る巻き取り工程とを含む。
抄造工程について説明する。抄造工程は、図7に示すように、疎水性の疎水性繊維21を含む疎水性不織布41からなる基材シート24上に、セルロース系繊維26を含むスラリー42を供給し、湿式抄造法により、基材シート24上に親水部25を形成させる工程である。具体的には、疎水性不織布ロール41aから供給された疎水性不織布41を基材シート24とし、抄紙網31上に該基材シート24を載せ、この抄紙網31上の基材シー
ト24に、スラリー投入装置32からセルロース系繊維26を含むスラリー42を流し込む。流し込まれたスラリー42中の水は、基材シート24及び抄紙網31を順次透過して該抄紙網31の下方から流れ落ちる。一方、スラリー42中のセルロース系繊維26は、基材シート24の構成繊維(疎水性繊維21)に絡まって基材シート24中に留まり、これによって該抄紙網31上に疎水性繊維21及びセルロース系繊維26を含有する成形シート43が形成される。この成形シート43は、抄紙網31からベルトコンベア37aに引き渡される。
スラリー42は、セルロース系繊維26を始めとする親水部形成用材料を含む。セルロース系繊維を含むスラリーは、該セルロース系繊維以外の繊維を含有することができ、例えば、親水化処理した合成繊維を、セルロース系繊維に比して少量配合することができる。また、前記スラリーには、湿潤紙力増強剤や乾燥紙力増強剤等の紙力増強剤、地合い向上剤、歩留り向上剤、凝集剤、pH調整剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤も含有させることができる。シートに親水部25を形成するために、原料スラリー中で親水部25の基となるセルロース系繊維の凝集体を形成する紙力増強剤を添加することが好ましい。湿潤紙力増強剤としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン-ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、メチロール化ポリアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、乾燥紙力増強剤としては、従来公知の乾燥紙力増強剤を用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化デンプン、酸化デンプン、植物ガム、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも特にシートにより数多くの親水部や坪量の大きな親水部を形成する観点から、原料スラリー中で親水部の基となるセルロース系繊維を含む凝集体を形成し易い湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤との組合せがよく、特に電荷的なショックで凝集体を形成するカチオン性基を含む湿潤紙力増強剤とアニオン性基を含む乾燥紙力増強剤との併用系が好ましい。その中でも特に、湿潤紙力増強剤としては、カチオン性のエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂、乾燥紙力増強剤としてはアニオン性ポリアクリルアミド樹脂を用いることが更に好ましい。
また、吸収性物品用シート1における親水部形成用材料の平均坪量を所望の値にする観点から、疎水性不織布上に積層される親水部形成用材料の平均坪量を、スラリー42中の親水部形成用材料の濃度によって調整しても良い。
本実施形態の製造方法は、抄造工程においてスラリー42を抄紙する際、スラリー中の水をウォータージェットノズル33から噴出される高圧のウォータージェットの水流によりスラリー42中のセルロース系繊維26と、基材シート24中の疎水性繊維21とが交絡処理される。この交絡処理により、セルロース系繊維26同士が絡合して塊となった湿潤親水部が形成される。湿潤親水部は、吸収性物品用シート1の親水部25となる部分であり、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成されている。セルロース系繊維26を基材シート40(疎水性不織布層20)に入り込ませて、吸収性物品用シート1の引き込み力を向上させる観点及び、縦長親水部28を形成させる観点から、抄造工程は、ウォータージェットの水流により、基材シート40の構成繊維にセルロース系繊維26を絡合させて一体化し、親水部25となる湿潤親水部を有する湿潤シート47を形成する抄造工程を含むことが好ましい。また、本実施形態の製造方法は、ウォータージェットの水流により、湿潤シートの搬送方向(機械方向)に長い形状の湿潤親水部を形成する。
ウォータージェットのジェット水流の圧力は、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1.2MPa以上、また好ましくは5MPa以下、より好ましくは3MPa以下、また好ましくは0.5MPa以上5MPa以下、より好ましくは1.2MPa以上3MPa以下である。
次に、抄造工程で得られた湿潤シート47の脱水を行う脱水工程を説明する。脱水工程は、湿潤シート47の形態を保つ(保形性)点や、機械的強度を維持する点から、含水率(重量含水率、以下同じ。)が70%以下となるまで脱水させることが好ましく、60%以下となるまで脱水させることがより好ましい。本実施形態における脱水工程は、ベルトコンベア37aによって搬送されてくる湿潤シート47を、1対のプレスロール34間に加圧しながら通すことによって脱水を実施している。このような脱水方法の他に、吸引によって脱水する方法、加圧空気を吹き付けて脱水する方法等が挙げられる。
次に乾燥工程について説明する。本実施形態では、ベルトコンベア37bで搬送されてくる湿潤シート47が、ヤンキードライヤー35の表面に接触することにより該湿潤シート47を乾燥させる。乾燥工程における乾燥方法は、脱水後の湿潤シート47の厚さ及び含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。該乾燥方法としては、例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等の乾燥方法が挙げられ、本実施形態では、脱水と乾燥とを別々に行っているが、前述の脱水方法と組み合わせて同時に乾燥を実施することもできる。このように湿潤シート47を乾燥させることで、吸収性物品用シート1を得ることができる。
本発明の製造方法は、必要に応じて、乾燥後に得られた吸収性物品用シート1をロール状に巻き取る、巻き取り工程を具備してもよい。また、吸収性物品用シート1をロール状に巻き取る前に、必要に応じて、吸収性物品用シート1に対して、クレープ処理、スリット加工、トリミング加工、形態を変更する等の加工を施すこともできる。また、吸収性物品用シート1を、単独若しくは重ねて又は紙、布(織布又は不織布)、フィルム等の他のシートと重ねて、加圧したり、さらには加圧しエンボス加工やニードルパンチ加工を行うことにより、複数枚のシートを積層一体化させたり、凹凸状の賦型や孔あけを行うこともできる。
また、本実施形態において、疎水性不織布41、スラリー42及び吸収性物品用シート1の搬送路は、駆動ロール38、ベルトコンベア37a,37b及び巻回ロール36から構成されている。搬送路は、主に巻回ロール、ベルトコンベア、バキュームコンベア、ローラーコンベア等を組み合わせて構成すればよく、従来シート部材の搬送に用いられている搬送手段を適宜選択して用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品用シート、それを用いた吸収性物品、及び吸収性物品用シートの製造方法を開示する。
<1>
疎水性繊維を含む疎水性不織布層と、該疎水性不織布層の片面に設けられた、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部とを有する吸収性物品用シートであって、
前記親水部の坪量が、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上である、吸収性物品用シート。
<2>
前記親水部は、平面視における面積が5mm以上150mm以下であり、好ましくは10mm以上50mm以下である、前記<1>に記載の吸収性物品用シート。
<3>
前記吸収性物品用シートにおける前記親水部の合計面積が、前記吸収性物品用シートの
面積に対して、2%以上30%以下であり、好ましくは5%以上15%以下である、前記<1>又は<2>の何れか1に記載の吸収性物品用シート。
<4>
前記親水部を構成する前記セルロース系繊維の一部が、前記疎水性不織布層内に延在し、前記疎水性繊維と交絡している、前記<1>~<3>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<5>
前記疎水性繊維は、水との接触角が90度以上であり、
前記セルロース系繊維は、水との接触角が90度未満、好ましくは30度未満である、前記<1>~<4>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<6>
前記疎水性不織布層は、不織布から構成されており、
前記不織布は、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布又はヒートロール不織布である、前記<1>~<5>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<7>
前記疎水性不織布層は、長繊維を主体として構成される長繊維不織布である、前記<1>~<6>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<8>
前記長繊維は、繊維長150mm以上の連続長繊維である、前記<1>~<7>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<9>
前記疎水性不織布層の前記片面には、大きさがそれぞれ異なる複数の前記親水部が海島状に散在している、前記<1>~<8>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<10>
複数の前記親水部は、前記疎水性不織布層の前記片面に、該片面から盛り上がった部分を形成している、前記<1>~<9>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<11>
前記親水部は、前記セルロース系繊維の含有量が50%以上である、前記<1>~<10>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<12>
前記親水部は、前記セルロース系繊維の含有量が、60%以上98%以下であり、好ましくは70%以上92%以下である、前記<10>に記載の吸収性物品用シート。
<13>
前記親水部の坪量は、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して、5倍以上20倍以下であり、好ましくは8倍以上15倍以下である、前記<1>~<12>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<14>
前記親水部の厚みd1は、前記疎水性不織布層の厚みd2に対して、5%以上70%以下であり、好ましくは10%以上40%以下である、前記<1>~<13>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<15>
肌対向面、非肌対向面を有する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアの前記肌対向面側に、前記<1>~<14>の何れか1に記載の吸収性物品用シートが配されている、吸収性物品。
<16>
前記吸収性物品用シートが、前記親水部側の面を前記吸収性コア側に向けた状態で配されている、前記<15>に記載の吸収性物品。
<17>
前記吸収性物品用シートが、平面視において前記吸収性物品の長手方向に沿って延びる前記親水部を有している、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品。
<18>
前記吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向とこれに直交する幅方向とを有しており、
前記親水部は、前記幅方向における長さL2に対する前記長手方向における長さL1が、1.2以上30以下であり、好ましくは3以上15以下である、前記<17>に記載の吸収性物品用。
<19>
前記吸収体は、前記吸収性コアを被覆するコアラップシートを有しており、
前記コアラップシートにおける前記吸収性コアの肌対向面側を被覆する部分が、前記吸収性物品用シートである、前記<15>~<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
疎水性不織布上に、セルロース系繊維及び紙力増強剤を含むスラリーを供給する工程と、ウォータージェットの水流により、前記疎水性不織布の構成繊維に前記セルロース系繊維を絡合させて一体化し、前記親水部となる湿潤親水部を有する湿潤シートを形成する抄造工程とを具備する、吸収性物品用シートの製造方法。
<21>
前記抄造工程の後に前記湿潤シートを乾燥させる乾燥工程を具備する、前記<20>に記載の吸収性物品用の製造方法。
<22>
前記抄造工程において、前記ウォータージェットの水流により、機械方向に長い形状の湿潤親水部を形成する、前記<20>又は<21>に記載の吸収性物品用の製造方法。
<23>
前記スラリーは、紙力増強剤として湿潤紙力増強剤を含んでおり、
前記湿潤紙力増強剤は、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン-ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、及びメチロール化ポリアミドの群から選ばれる少なくとも一種以上である、前記<20>~<22>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
<24>
前記スラリーは、紙力増強剤として乾燥紙力増強剤を含んでおり、
前記乾燥紙力増強剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化デンプン、酸化デンプン、植物ガム、及びポリビニルアルコール(PVA)の群から選ばれる少なくとも一種以上である、前記<20>~<23>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
<25>
前記ウォータージェットの水流の圧力が、0.5MPa以上5MPa以下であり、好ましくは1.2MPa以上3MPa以下である、前記<20>~<24>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
吸収性物品用シートを図7に示す湿式抄紙機を用いて製造した。具体的には、繊維濃度0.1%のセルロース系繊維と、湿潤紙力増強剤としてカチオン性のエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(商品名「WS-4030」、星光PMC株式会社製)0.5%(対セルロース系繊維)と、乾燥紙力増強剤としてアニオン性のポリアクリルアミド樹脂(商品
名「アコフロックA95」、MTアクアポリマー株式会社製)0.05%(対セルロース系繊維)とを水中に均一に分散させて、親水部形成用材料を含むスラリー(紙料)を調製した。前記セルロース系繊維は、叩解機によってフィブリル化され、フリーネスが650mLとなったものを用いた。次に、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上に、幅300mmの疎水性不織布を載せ、該疎水性不織布上に前記スラリーを散布し、成形シートを形成した。この成形シートに、スラリー側からウォータージェットノズル(ビーム径0.08mm、ピッチ1mm)を用いて1.5MPaの圧力でジェット水流を噴流し、湿潤シートを得た後、さらにプレスロールを用いて加圧し、脱水を行った。脱水後、湿潤シートをヤンキードライヤー表面に圧着させ、乾燥を実施し、幅260mmのシートを得た。抄紙条件は、抄紙速度10m/minとした。なお、スラリーは、疎水性不織布上に積層される親水部形成用材料の平均坪量が10g/m2となるよう、
親水部形成用材料(セルロース系繊維)を上記の濃度とした。
実施例1で用いたセルロース系繊維は、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)(商品名「カリブ」、Cariboo Pulp and Paper社製)である。
実施例1で用いた疎水性不織布は、繊維径18μmで、構成樹脂がポリプロピレンである熱可塑性繊維からなるスパンボンド不織布(長繊維不織布)であり、坪量が9g/m、嵩密度が0.074g/cmであった。また、その疎水性不織布は、構成繊維をエンボス加工により融着された熱融着部を部分的に有していた。なお、この疎水性不織布は、表2中に、支持シートとして示されている。
上記の方法により得られた吸収性物品用シートは、疎水性不織布からなる疎水性不織布層の片面に、親水部を複数有するシートであった。具体的には、実施例1の吸収性物品用シートから切り出された測定片(50mm四方)は、前述の表1に示す候補部分を含んでいた。また、実施例1の吸収性物品用シートの測定片から、全ての候補部分を単離して、該吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量を求めたところ、10g/m2であった。表1には、各候補部分S1~S5の坪量及び面積の他に、縦横比(L1/L
2)も示してある。表1に示すように、実施例1の吸収性物品用シートは、候補部分S1~3及びS5が親水部であり、候補部分S1,S2,S5が大親水部であった。
また、実施例1の吸収性物品用シートについて、任意に切り出した測定片(50mm四方)の面積に対する、親水部の合計面積の割合を、親水部の面積率(%)として表2に示す。
〔比較例1及び2〕
比較例1として、実施例1で用いた疎水性不織布のみで構成されたシートを用意した。また、比較例2として、実施例1で用いたセルロース系繊維を実施例1の繊維濃度(坪量)で抄紙したドライシートを用意した。比較例2のドライシートを製造する際、セルロース系繊維を含むスラリーに、実施例1と同様の湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤とを、実施例1と同じ配合量で添加した。
〔比較例3〕
比較例3として、比較例1のシート(疎水性不織布)と、比較例2のドライシートとを接着剤(商品名「スプレーのり55」、3M製)によって貼り合わせた積層シートを用意した。
実施例1における疎水性不織布、比較例1における疎水性不織布、比較例2におけるドライシート、及び比較例3における疎水性不織布を、支持シートともいう。また、比較例3におけるドライシートを親水シートともいう。実施例1及び比較例1~3の支持シートの坪量、並びに実施例1及び比較例2、3の各シートにおける親水部形成用材料の平均坪
量を表2に示す。これら坪量は、前述した方法により測定した。
〔吸収体の作製〕
上記の各実施例及び比較例のシートを用いて、吸収体を作製した。先ず、解繊したパルプ繊維(坪量250g/mのパルプシート)を、上記の各実施例及び比較例のシートで被覆し、これを吸収体とした。実施例1のシートで被覆する際、親水部25がパルプ繊維と対向するように重ね、スプレー糊を用いて接着させた。接着後、マングルを1往復して加圧し、吸収体を得た。
また、実施例1の吸収性物品用シートは、表1に示す候補部分S1,S2,S5のように、一方向に長い親水部を複数有していたが、吸収体は、該親水部の長手方向と、吸収体の長手方向とが一致するように作成した。吸収体の長手方向は、一般的に吸収性物品の長手方向に沿う。即ち、実施例1の吸収性物品用シートは、縦長親水部を有する。
〔液残り量の測定〕
上記の各実施例及び比較例のシートを用いて作製した吸収体について、下記方法により液残り量を測定した。
まず、吸収体を1kPaの圧力で1分間の予備加圧を行った。吸収体の肌対向面側における中央部に、0.02質量%の青色1号で着色した生理食塩水10gをポンプを用いて100mL/minの速度で注入した。次いで、生理食塩水を注入する前のシートの質量と、注入後3分経過後のシートの質量の差から、該シート中に残った生理食塩水の質量を求めた。この手順を3回行い、シート中に残った生理食塩水の質量の平均を求め、これを液残り量とした。液残り量を表2に示す。
〔液視認性の評価〕
〔液残り量の測定〕と同様の方法で生理食塩水10gを注入し、注入前後の吸収体における生理食塩水の明度の差に基づいて、該吸収体の肌対向面における該生理食塩水の視認性を評価した。明度は、Lab表色系のL値で表すことができる。L値は0から100までの値をとり、数値が大きいほど明度が高いことを意味する。前記生理食塩水の注入前の吸収体、及び注入後の吸収体について、外光が入らない環境下で、吸収体の肌対向面側の表面、即ち吸収性コアを被覆した状態のシートと分光色差計とを隙間なく密接させ、L値を測定した。シートの肌対向面側の表面の任意の20箇所を測定し、その平均値をシートのL値として算出した。分光色差計としては、NF333簡易型分光色差計(日本電色工業株式会社)を用いた。そして、注入前後の明度(L値)の差を求めた。明度の差が小さい程、吸収体に吸収された***液を視認し難く、***液の隠蔽効果に優れることを意味する。結果を表2に示す。
Figure 0007017886000002
表2に示す結果から、親水部25を複数有する実施例1のシートは、比較例1~3のシートに比して液残り量が少なかった。これより、実施例1のシートは、比較例1~3のシートに比して、***液の引き込み力に優れ、シート中に***液が残る液残りが生じにくいことが判る。また、実施例1のシートは、比較例1~3のシートを用いたものに比して、前記生理食塩水の注入前後における明度の差が小さかった。これより、実施例1のシートを用いた吸収性物品は、比較例1~3のシートや該シートを用いた吸収性物品に比して、***液の隠蔽効果が高いことが判る。
1 吸収性物品用シート
20 疎水性不織布層
21 疎水性繊維
25 親水部
26 セルロース系繊維
27 大親水部
28 縦長親水部
29 低親水部
10 生理用ナプキン
12 表面シート
13 裏面シート
14 吸収体
14a 吸収性コア
14b コアラップシート
3 湿式抄紙機
31 抄紙網
33 ウォータージェットノズル
34 プレスロール
35 ヤンキードライヤー
36 巻回ロール
37a,37b ベルトコンベア
40 基材シート
41 疎水性不織布
41a 疎水性不織布ロール
42 スラリー
43 成形シート
47 湿潤シート

Claims (8)

  1. 疎水性繊維を含む疎水性不織布層と、該疎水性不織布層の片面に設けられた、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部とを有する吸収性物品用シートであって、
    前記親水部では前記セルロース系繊維どうしが結着しており、
    前記親水部の坪量が、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上20倍以下であり、
    前記疎水性不織布層は、疎水性繊維である長繊維からなる長繊維不織布であり、
    複数の前記親水部は、吸収性物品用シートの平面視において、不定形で且つ大きさがそれぞれ異なっており、該親水部を島とする海島状に散在している、吸収性物品用シート。
  2. 前記親水部は、平面視における面積が5mm以上150mm以下である、請求項1に記載の吸収性物品用シート。
  3. 前記吸収性物品用シートにおける前記親水部の合計面積が、前記吸収性物品用シートの面積に対して、2%以上30%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品用シート。
  4. 前記親水部を構成する前記セルロース系繊維の一部が、前記疎水性不織布層内に延在し、前記疎水性繊維と交絡している、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
  5. 肌対向面、非肌対向面を有する吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシートとを備えた吸収性物品であって、
    前記コアラップシートは、該コアラップシートにおける前記吸収性コアの前記肌対向面側を被覆する部分が、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用シートであり、且つ前記親水部側の面を前記吸収性コア側に向けた状態で配されている、吸収性物品。
  6. 前記吸収性物品用シートが、平面視において前記吸収性物品の長手方向に長い形状の前記親水部を含んでいる、請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法であって、
    疎水性不織布上に、セルロース系繊維及び紙力増強剤を含むスラリーを供給する工程と、該スラリー側から供給されるウォータージェットの水流により、前記疎水性不織布の構成繊維に前記セルロース系繊維を絡合させて一体化し、該セルロース系繊維を主体として構成された親水部となる湿潤親水部を有する湿潤シートを形成する抄造工程とを具備する、吸収性物品用シートの製造方法。
  8. 前記スラリーは、前記紙力増強剤として、カチオン性基を含む湿潤紙力増強剤とアニオン性基を含む乾燥紙力増強剤とを含む、請求項7に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
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