JP7017886B2 - 吸収性物品用シート - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1及び2に記載のシートをコアラップシートとして用いる際には、***液の引き込み、液残りを低減するのに改善の余地があった。さらに、特許文献1及び2に記載のシートをコアラップシートとして用いた吸収性物品では、吸収体に吸収された経血等の***液の色が、吸収性物品の肌対向面から視認されにくくする点で改善の余地があった。
トが配されている、吸収性物品を提供するものである。
また、本発明の吸収性物品は、吸収した***液が視認し難い。
また、本発明の吸収性物品用シートの製造方法によれば、シート中に***液が残る液残りが生じ難い吸収性物品用シートを製造することができる。
吸収性物品用シート1は、図1及び図2に示すように、疎水性繊維21を含む疎水性不織布層20と、該疎水性不織布層20の片面に設けられた、セルロース系繊維26を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部25とを有している。以下、疎水性不織布層20において、複数の親水部25を有している側の面を親水面20a、他方の面を疎水面20bともいう。
尚、図2では本発明の説明の便宜上、疎水性繊維21とセルロース系繊維26とをそれぞれ異なる太さの線で示しているが、実際の両繊維21,26の太さとは無関係である。また、図2中のP側が吸収性物品用シート1の親水面20a側であり、Q側が疎水面20b側である。
測定対象物(吸収性物品用シート)から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様
子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象物から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。斯かる接触角の値が小さいほど、親水性が高いことを意味する。
本発明の吸収性物品用シート1は、疎水性繊維26を含む疎水性不織布層20の片面20aに、シート1における親水部形成用材料の平均坪量に対して坪量が上記範囲以上である複数の親水部25を有することにより、厚み方向Zにおいて、疎水性不織布層20の疎水面20bから親水部25に向かって親水勾配を有すると共に、親水部25がその周囲に比して高坪量部であるため、毛管力に優れる。これにより、吸収性物品用シート1は、疎水性不織布層20の疎水面20bから親水面20a側に向かって***液を引き込む、引き込み力に優れると共に、親水部25が、***液の導通路として機能するため、***液が親水部25を介して効率良く透過するため、該吸収性物品用シート1中に***液が残り難い。以下、シート中に***液が残り難い効果を液残り抑制効果ともいう。
本発明は親水部を複数配置し、かつ上述の3倍以上の高坪量とすることで、疎水面20b側から液が供給され、親水面20a側へ液が通過するときの導通路となりつつも、不織布中に液残りを生じ難くすることができる。
先ず、JIS P8111の条件にて測定対象のシート(サンプル)の調湿を行った後、該シートから50mm四方(面積2500mm2)の測定片を切り出す。親水部25は
坪量の高い部分であり、測定片における色の濃淡等から目視で親水部25と推定される部分を判別できる。このように目視で親水部25と推定される部分を、候補部分ともいう。候補部分の面積は、測定片から候補部分を単離する前の状態で行う。測定片における任意の2個以上の候補部分を撮像し、該候補部分の画像について画像処理を行うことにより、該候補部分の面積をそれぞれ測定する。撮像及び画像処理には、例えば、CCDカメラ(HV-37;株式会社日立国際電気製)とレンズ(株式会社ニコン製 Ai AF Nikol 24mmF2.8D)とNexus製NewQube(Ver.4.22)とを用
いることができる。次いで、測定片(50mm四方)から候補部分の親水部形成用材料を単離して、候補部分の質量をそれぞれ測定する。次いで、各候補部分の面積と質量とに基づいて、各候補部分の坪量(g/m2)を求める。候補部分は、その坪量(g/m2)が、吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上である場合、親水部25と判定される。本発明の吸収性物品用シートは複数の親水部を有するが、測定片に親水部25が2個以上あれば良い。
「吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量」は、測定片に存在する全ての候補部分における親水部形成用材料の総質量を、測定片の面積で除した値である。なお、疎水性不織布層20に親水部形成用材料が含まれる場合、該疎水性不織布層20に含まれる親水部形成用材料は、候補部分における親水部形成用材料から除かれる。即ち、後述の候補部分の単離方法により、疎水性不織布層20から単離できなかった親水部形成用材料は、候補部分における親水部形成用材料から除かれる。
候補部分S1,S2,S3,S5はこれら各坪量が、表1に示すように、吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量(10g/m2)の3倍以上であるため、親水部25であると判定される。一方、候補部分S4はその坪量が、表1に示すように、前記平均坪量(10g/m2)の3倍未満であるため、親水部25ではないと判定される。
例えば、前述の表1において、候補部分S1~S3及びS5は大親水部27である。
ース系繊維26が互いに交絡して該繊維26の塊になることで、親水部25を形成している。親水部25は、親水面20a上に形成されていれば良く、そのセルロース系繊維26が疎水性不織布層20内に延在しなくても良いが、本実施形態のセルロース系繊維26aは、その一部が疎水性不織布層20の疎水性繊維21と交絡しており、これら両繊維21,26が密に接触している(図2参照)。斯かる構成により、疎水面20bから吸収した***液を、疎水性不織布層20の疎水性繊維21から親水部25のセルロース系繊維26aへと容易に伝わらせることができるため、前記引き込み力を向上させることができる。また、親水部の疎水性不織布層からの脱落、剥離を抑制することができる。このように、親水部25を構成するセルロース系繊維26aの一部が、疎水性不織布層20内に延在し、疎水性繊維21と交絡していることが好ましい。このように、繊維の一部が疎水性不織布層20内に延在し、疎水性繊維21と交絡しているセルロース系繊維26aを、以下、侵入セルロース系繊維26aともいう。親水部25は、侵入セルロース系繊維26aを有していることが好ましい。親水部25における侵入セルロース系繊維の有無は以下の方法により確認することができる。
任意の大きさに切り出した対象のシートを、0.1%青色染料により染色する。この青色染料は、市販の合成色素(製品名:青色1号、保土谷化学工業社製)を脱イオン水で0.1%に希釈したものであり、セルロース系繊維を染色する。前記シートを0.1%染料で染色した後、乾燥し、該シートから50mm四方の切片を無作為に切り出す。次いで、光学顕微鏡により、前記切片の断面の画像を撮影し、該画像中の染色されたセルロース系繊維26が疎水性不織布層20の構成繊維と交絡しているか否かを目視で判断する。具体的には、疎水性不織布層20の親水面20a側の面の平均高さh1(図2参照)を求め、親水部25における染色したセルロース系繊維26の一部が前記平均高さh1よりも低い位置にある、即ち、疎水性不織布層内に厚さ方向に延在しているか否かを判断する。セルロース系繊維は、疎水性不織布層を厚さ方向に貫通していてもよい。次いで、疎水性不織布層内に延在、又は疎水性不織布層を貫通するセルロース系繊維26の一部が、染色されていない他の繊維と交絡しているか否かを判断する。
また、侵入セルロース系繊維26aの存在する部分について、前述の「親水部の判定方法」により、該部分が親水部25であるか否かの判定をする。疎水性不織布層20の親水面20a側の面の平均高さh1は、シートの表面形状の計測方法によって計測することができ、例えば、SEM画像等の断面写真の画像解析や表面粗さ測定機等のJIS B 0601に準拠した方法にて計測することができる。
また、疎水性不織布層20は、長繊維を主体として構成される長繊維不織布であることが好ましい。「長繊維不織布」とは、典型的には、長繊維を熱融着部により間欠的に固定した繊維集合体を具備する不織布のことをいう。このような長繊維不織布としては、例えば、単層のスパンボンド不織布や、長繊維を主体とするスパンボンド層を含む積層不織布等が挙げられる。長繊維不織布である積層不織布としては、例えば、スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SS不織布)、スパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SSS不織布)、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布(SMS不織布)、スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド不織布(SMMS不織布)等が挙げられる。
ール加工、超音波シール、エンボス加工等により融着した疎水性不織布から構成されている。疎水性不織布は、構成繊維どうしを融着した融着部を、平面視において分散した状態に有することが好ましく、散点状に有することが好ましい。
、該コアラップシート14bが吸収性物品用シート1であるものが挙げられる。図5及び図6には、本発明の吸収性物品用シートの適用例として、該吸収性物品用シートを具備する生理用ナプキン10が示されている。生理用ナプキン10を、以下、単にナプキン10ともいう。ナプキン10は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有すると共に、着用時に着用者の液***部(膣口等)に対向配置される部分を含む中間領域B並びにその前後に延在する前方領域A及び後方領域Cを有する。ナプキン10において、中間領域Bは、本実施形態のようにウイング部1Wを有する場合には、長手方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの長手方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの長手方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を幅方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の長手方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。ナプキン10は、長手方向Xに延び、且つナプキン10を幅方向Yに二等分する中心線CLに対して左右対称に形成されている。
サイドシート15は、表面シート12の肌対向面における長手方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート15は、平面視において表面シート12の長手方向Xに沿う左右両側部に重なるように、表面シート12の長手方向Xの全長に亘って配されている。ナプキン10では、一対のサイドシート15,15は、それぞれ、波形状の接合部16にて表面シート12に接合されている。
ナプキン10では、サイドフラップ部1Sは中間領域Bにおいて幅方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これによりナプキン10は、その長手方向Xに沿う左右両側に一対のウイング部1W,1Wを備えるようになる。
表面シート12及び裏面シート13と吸収体14との間は接着剤によって接合されていてもよい。また、ナプキン10の非肌対向面(裏面シート13の非肌対向面)には、該ナプキン10をショーツ等の着衣(図示せず)に固定する粘着部(図示せず)が設けられており、この粘着部は、不使用時には剥離シート(図示せず)によって被覆されている。表面シート12及び裏面シート13としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート12としては、例えば、液透過性を有する親水性の不織布や穿孔フィルムなどを用いることができ、これら
の不織布やフィルムは一般に熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成されている。裏面シート13としては、例えば、液難透過性のフィルムや不織布などを用いることができ、液難透過性のフィルムは透湿性を有していてもよい。
上述の観点から、縦長親水部28の縦横比(L1/L2)、即ち幅方向Yにおける長さL2(図1参照)に対する長手方向X(図中X方向)における長さL1(図1参照)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは3以上であり、また好ましくは30以下、より好ましくは15以下であり、また好ましくは1.2以上30以下、より好ましくは3以上1
5以下である。
縦長親水部28のような一方向に長い形状の親水部25は、後述する吸収性物品用シート1の製造方法において、後述する成形シートをウォータージェットで処理することや、親水部形成用材料を含むスラリー(紙料)にカチオン性の湿潤紙力増強剤とアニオン性の乾燥紙力増強剤とを添加する方法等で抄紙のMD方向(搬送方向。いわゆる機械方向MD)に長い形状の親水部を形成することができる。
本実施形態のコアラップシート14bは、吸収性コア14aの肌対向面側及び非肌対向面側の双方を被覆しているが、親水部25の面積率は、吸収体14の肌対向面の面積に対する各親水部25の合計面積の割合を意味する。この面積率は、吸収性物品から取り出した測定片(50mm四方)の面積に対する、該測定片における各親水部25の合計面積の割合から算出される。
本実施形態の製造方法は、疎水性繊維21を主体として構成された疎水性不織布41からなる基材シート24上に、セルロース系繊維を始めとする親水部形成用材料を含むスラリーを加え、セルロース系繊維層を抄造する抄造工程を具備する。また、本実施形態の製造方法は、抄造工程において得られた湿潤シートの脱水を行う脱水工程と、脱水後の湿潤シートを乾燥させて吸収性物品用シートを得る乾燥工程と、吸収性物品用シートを巻き取る巻き取り工程とを含む。
ト24に、スラリー投入装置32からセルロース系繊維26を含むスラリー42を流し込む。流し込まれたスラリー42中の水は、基材シート24及び抄紙網31を順次透過して該抄紙網31の下方から流れ落ちる。一方、スラリー42中のセルロース系繊維26は、基材シート24の構成繊維(疎水性繊維21)に絡まって基材シート24中に留まり、これによって該抄紙網31上に疎水性繊維21及びセルロース系繊維26を含有する成形シート43が形成される。この成形シート43は、抄紙網31からベルトコンベア37aに引き渡される。
また、吸収性物品用シート1における親水部形成用材料の平均坪量を所望の値にする観点から、疎水性不織布上に積層される親水部形成用材料の平均坪量を、スラリー42中の親水部形成用材料の濃度によって調整しても良い。
ウォータージェットのジェット水流の圧力は、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1.2MPa以上、また好ましくは5MPa以下、より好ましくは3MPa以下、また好ましくは0.5MPa以上5MPa以下、より好ましくは1.2MPa以上3MPa以下である。
<1>
疎水性繊維を含む疎水性不織布層と、該疎水性不織布層の片面に設けられた、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部とを有する吸収性物品用シートであって、
前記親水部の坪量が、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上である、吸収性物品用シート。
前記親水部は、平面視における面積が5mm2以上150mm2以下であり、好ましくは10mm2以上50mm2以下である、前記<1>に記載の吸収性物品用シート。
<3>
前記吸収性物品用シートにおける前記親水部の合計面積が、前記吸収性物品用シートの
面積に対して、2%以上30%以下であり、好ましくは5%以上15%以下である、前記<1>又は<2>の何れか1に記載の吸収性物品用シート。
<4>
前記親水部を構成する前記セルロース系繊維の一部が、前記疎水性不織布層内に延在し、前記疎水性繊維と交絡している、前記<1>~<3>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<5>
前記疎水性繊維は、水との接触角が90度以上であり、
前記セルロース系繊維は、水との接触角が90度未満、好ましくは30度未満である、前記<1>~<4>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<6>
前記疎水性不織布層は、不織布から構成されており、
前記不織布は、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布又はヒートロール不織布である、前記<1>~<5>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<7>
前記疎水性不織布層は、長繊維を主体として構成される長繊維不織布である、前記<1>~<6>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<8>
前記長繊維は、繊維長150mm以上の連続長繊維である、前記<1>~<7>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<9>
前記疎水性不織布層の前記片面には、大きさがそれぞれ異なる複数の前記親水部が海島状に散在している、前記<1>~<8>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<10>
複数の前記親水部は、前記疎水性不織布層の前記片面に、該片面から盛り上がった部分を形成している、前記<1>~<9>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
前記親水部は、前記セルロース系繊維の含有量が50%以上である、前記<1>~<10>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<12>
前記親水部は、前記セルロース系繊維の含有量が、60%以上98%以下であり、好ましくは70%以上92%以下である、前記<10>に記載の吸収性物品用シート。
<13>
前記親水部の坪量は、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して、5倍以上20倍以下であり、好ましくは8倍以上15倍以下である、前記<1>~<12>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<14>
前記親水部の厚みd1は、前記疎水性不織布層の厚みd2に対して、5%以上70%以下であり、好ましくは10%以上40%以下である、前記<1>~<13>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<15>
肌対向面、非肌対向面を有する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアの前記肌対向面側に、前記<1>~<14>の何れか1に記載の吸収性物品用シートが配されている、吸収性物品。
<16>
前記吸収性物品用シートが、前記親水部側の面を前記吸収性コア側に向けた状態で配されている、前記<15>に記載の吸収性物品。
<17>
前記吸収性物品用シートが、平面視において前記吸収性物品の長手方向に沿って延びる前記親水部を有している、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品。
<18>
前記吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向とこれに直交する幅方向とを有しており、
前記親水部は、前記幅方向における長さL2に対する前記長手方向における長さL1が、1.2以上30以下であり、好ましくは3以上15以下である、前記<17>に記載の吸収性物品用。
<19>
前記吸収体は、前記吸収性コアを被覆するコアラップシートを有しており、
前記コアラップシートにおける前記吸収性コアの肌対向面側を被覆する部分が、前記吸収性物品用シートである、前記<15>~<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
疎水性不織布上に、セルロース系繊維及び紙力増強剤を含むスラリーを供給する工程と、ウォータージェットの水流により、前記疎水性不織布の構成繊維に前記セルロース系繊維を絡合させて一体化し、前記親水部となる湿潤親水部を有する湿潤シートを形成する抄造工程とを具備する、吸収性物品用シートの製造方法。
前記抄造工程の後に前記湿潤シートを乾燥させる乾燥工程を具備する、前記<20>に記載の吸収性物品用の製造方法。
<22>
前記抄造工程において、前記ウォータージェットの水流により、機械方向に長い形状の湿潤親水部を形成する、前記<20>又は<21>に記載の吸収性物品用の製造方法。
<23>
前記スラリーは、紙力増強剤として湿潤紙力増強剤を含んでおり、
前記湿潤紙力増強剤は、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン-ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、及びメチロール化ポリアミドの群から選ばれる少なくとも一種以上である、前記<20>~<22>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
<24>
前記スラリーは、紙力増強剤として乾燥紙力増強剤を含んでおり、
前記乾燥紙力増強剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化デンプン、酸化デンプン、植物ガム、及びポリビニルアルコール(PVA)の群から選ばれる少なくとも一種以上である、前記<20>~<23>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
<25>
前記ウォータージェットの水流の圧力が、0.5MPa以上5MPa以下であり、好ましくは1.2MPa以上3MPa以下である、前記<20>~<24>の何れか1に記載の吸収性物品用の製造方法。
吸収性物品用シートを図7に示す湿式抄紙機を用いて製造した。具体的には、繊維濃度0.1%のセルロース系繊維と、湿潤紙力増強剤としてカチオン性のエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(商品名「WS-4030」、星光PMC株式会社製)0.5%(対セルロース系繊維)と、乾燥紙力増強剤としてアニオン性のポリアクリルアミド樹脂(商品
名「アコフロックA95」、MTアクアポリマー株式会社製)0.05%(対セルロース系繊維)とを水中に均一に分散させて、親水部形成用材料を含むスラリー(紙料)を調製した。前記セルロース系繊維は、叩解機によってフィブリル化され、フリーネスが650mLとなったものを用いた。次に、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上に、幅300mmの疎水性不織布を載せ、該疎水性不織布上に前記スラリーを散布し、成形シートを形成した。この成形シートに、スラリー側からウォータージェットノズル(ビーム径0.08mm、ピッチ1mm)を用いて1.5MPaの圧力でジェット水流を噴流し、湿潤シートを得た後、さらにプレスロールを用いて加圧し、脱水を行った。脱水後、湿潤シートをヤンキードライヤー表面に圧着させ、乾燥を実施し、幅260mmのシートを得た。抄紙条件は、抄紙速度10m/minとした。なお、スラリーは、疎水性不織布上に積層される親水部形成用材料の平均坪量が10g/m2となるよう、
親水部形成用材料(セルロース系繊維)を上記の濃度とした。
2)も示してある。表1に示すように、実施例1の吸収性物品用シートは、候補部分S1~3及びS5が親水部であり、候補部分S1,S2,S5が大親水部であった。
また、実施例1の吸収性物品用シートについて、任意に切り出した測定片(50mm四方)の面積に対する、親水部の合計面積の割合を、親水部の面積率(%)として表2に示す。
比較例1として、実施例1で用いた疎水性不織布のみで構成されたシートを用意した。また、比較例2として、実施例1で用いたセルロース系繊維を実施例1の繊維濃度(坪量)で抄紙したドライシートを用意した。比較例2のドライシートを製造する際、セルロース系繊維を含むスラリーに、実施例1と同様の湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤とを、実施例1と同じ配合量で添加した。
比較例3として、比較例1のシート(疎水性不織布)と、比較例2のドライシートとを接着剤(商品名「スプレーのり55」、3M製)によって貼り合わせた積層シートを用意した。
量を表2に示す。これら坪量は、前述した方法により測定した。
上記の各実施例及び比較例のシートを用いて、吸収体を作製した。先ず、解繊したパルプ繊維(坪量250g/m2のパルプシート)を、上記の各実施例及び比較例のシートで被覆し、これを吸収体とした。実施例1のシートで被覆する際、親水部25がパルプ繊維と対向するように重ね、スプレー糊を用いて接着させた。接着後、マングルを1往復して加圧し、吸収体を得た。
また、実施例1の吸収性物品用シートは、表1に示す候補部分S1,S2,S5のように、一方向に長い親水部を複数有していたが、吸収体は、該親水部の長手方向と、吸収体の長手方向とが一致するように作成した。吸収体の長手方向は、一般的に吸収性物品の長手方向に沿う。即ち、実施例1の吸収性物品用シートは、縦長親水部を有する。
上記の各実施例及び比較例のシートを用いて作製した吸収体について、下記方法により液残り量を測定した。
まず、吸収体を1kPaの圧力で1分間の予備加圧を行った。吸収体の肌対向面側における中央部に、0.02質量%の青色1号で着色した生理食塩水10gをポンプを用いて100mL/minの速度で注入した。次いで、生理食塩水を注入する前のシートの質量と、注入後3分経過後のシートの質量の差から、該シート中に残った生理食塩水の質量を求めた。この手順を3回行い、シート中に残った生理食塩水の質量の平均を求め、これを液残り量とした。液残り量を表2に示す。
〔液残り量の測定〕と同様の方法で生理食塩水10gを注入し、注入前後の吸収体における生理食塩水の明度の差に基づいて、該吸収体の肌対向面における該生理食塩水の視認性を評価した。明度は、Lab表色系のL値で表すことができる。L値は0から100までの値をとり、数値が大きいほど明度が高いことを意味する。前記生理食塩水の注入前の吸収体、及び注入後の吸収体について、外光が入らない環境下で、吸収体の肌対向面側の表面、即ち吸収性コアを被覆した状態のシートと分光色差計とを隙間なく密接させ、L値を測定した。シートの肌対向面側の表面の任意の20箇所を測定し、その平均値をシートのL値として算出した。分光色差計としては、NF333簡易型分光色差計(日本電色工業株式会社)を用いた。そして、注入前後の明度(L値)の差を求めた。明度の差が小さい程、吸収体に吸収された***液を視認し難く、***液の隠蔽効果に優れることを意味する。結果を表2に示す。
20 疎水性不織布層
21 疎水性繊維
25 親水部
26 セルロース系繊維
27 大親水部
28 縦長親水部
29 低親水部
10 生理用ナプキン
12 表面シート
13 裏面シート
14 吸収体
14a 吸収性コア
14b コアラップシート
3 湿式抄紙機
31 抄紙網
33 ウォータージェットノズル
34 プレスロール
35 ヤンキードライヤー
36 巻回ロール
37a,37b ベルトコンベア
40 基材シート
41 疎水性不織布
41a 疎水性不織布ロール
42 スラリー
43 成形シート
47 湿潤シート
Claims (8)
- 疎水性繊維を含む疎水性不織布層と、該疎水性不織布層の片面に設けられた、セルロース系繊維を主体とする親水部形成用材料で構成された複数の親水部とを有する吸収性物品用シートであって、
前記親水部では前記セルロース系繊維どうしが結着しており、
前記親水部の坪量が、前記吸収性物品用シートにおける親水部形成用材料の平均坪量に対して3倍以上20倍以下であり、
前記疎水性不織布層は、疎水性繊維である長繊維からなる長繊維不織布であり、
複数の前記親水部は、吸収性物品用シートの平面視において、不定形で且つ大きさがそれぞれ異なっており、該親水部を島とする海島状に散在している、吸収性物品用シート。 - 前記親水部は、平面視における面積が5mm2以上150mm2以下である、請求項1に記載の吸収性物品用シート。
- 前記吸収性物品用シートにおける前記親水部の合計面積が、前記吸収性物品用シートの面積に対して、2%以上30%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品用シート。
- 前記親水部を構成する前記セルロース系繊維の一部が、前記疎水性不織布層内に延在し、前記疎水性繊維と交絡している、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
- 肌対向面、非肌対向面を有する吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシートとを備えた吸収性物品であって、
前記コアラップシートは、該コアラップシートにおける前記吸収性コアの前記肌対向面側を被覆する部分が、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用シートであり、且つ前記親水部側の面を前記吸収性コア側に向けた状態で配されている、吸収性物品。 - 前記吸収性物品用シートが、平面視において前記吸収性物品の長手方向に長い形状の前記親水部を含んでいる、請求項5に記載の吸収性物品。
- 請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法であって、
疎水性不織布上に、セルロース系繊維及び紙力増強剤を含むスラリーを供給する工程と、該スラリー側から供給されるウォータージェットの水流により、前記疎水性不織布の構成繊維に前記セルロース系繊維を絡合させて一体化し、該セルロース系繊維を主体として構成された親水部となる湿潤親水部を有する湿潤シートを形成する抄造工程とを具備する、吸収性物品用シートの製造方法。 - 前記スラリーは、前記紙力増強剤として、カチオン性基を含む湿潤紙力増強剤とアニオン性基を含む乾燥紙力増強剤とを含む、請求項7に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
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