JP7015518B2 - 毛包幹細胞の未分化状態維持剤 - Google Patents

毛包幹細胞の未分化状態維持剤 Download PDF

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Description

本発明は、毛包幹細胞の未分化状態維持剤及びその使用に関する。
近年、加齢、ストレス、紫外線等の様々な要因により、薄毛や脱毛といった毛髪のトラブルが増加している。毛髪は体表面を覆っており、皮膚の付属器官のひとつであり、毛髪の中でも頭髪は美容上極めて重要な要素である。よって、薄毛や脱毛は、心理面にもマイナスの影響を与え、生活の質(Quality of Life, QOL)を大きく低下させる要因となる(非特許文献1)。
毛髪は複数種の細胞からなる複雑な構造をとっているが、主にバルジ領域に存在する毛包幹細胞によって生み出されている。毛周期の休止期から成長期にかけて、このバルジ領域に存在する毛包幹細胞が、細胞***をすることで、毛母細胞が形成され、この毛母細胞から毛髪が形成される。
薄毛や脱毛の詳細なメカニズムは解明に至っていないが、最近の研究により、薄毛や脱毛などの症状は、毛包幹細胞が加齢によって老化し、自己複製能がなくなって、毛包の縮小が起こることや、毛包幹細胞が環境ストレス等によって長年ダメージを受け、機能低下や維持メカニズムが破綻することによって発生すると考えられている。また、近年では幹細胞の周囲の微細な環境(幹細胞ニッチ)に関しても研究が進められ、毛包組織周囲に存在する細胞外基質である17型コラーゲンが毛包幹細胞の機能維持において重要であることも明らかとなった(非特許文献2)。また、毛乳頭細胞から産生されるFGF2やFGF7は、毛髪の再生と恒常性維持に関与していることが知られている(非特許文献3)。
よって、加齢等に伴う脱毛症状の改善のためには、毛髪の再生と恒常性維持を担っている毛包幹細胞の劣化を防ぎ、機能を回復させること、また、幹細胞の周囲の細胞外基質などの環境因子を正しく改善させることが重要であると考えられる。このような観点から、毛包幹細胞の周囲に存在することで、毛包幹細胞の機能を維持することができる新たなニッチ因子の解明が期待されている。
Sawant N et al., Androgenetic Alopecia: Quality-of-life and Associated Lifestyle Patterns, Int J Trichology. 2010 Jul;2(2):81-5 Matsumura H et al., Hair follicle aging is driven by transepidermal elimination of stem cells via COL17A1 proteolysis. 1508998934255_0 2016 Feb 5;351(6273) Rosenquist TA et al., Fibroblast growth factor signalling in the hair growth cycle:expression of the fibroblast growthfactor receptor and ligand genes in the murine hair follicle.ion of the American Association of Anatomists." Dev Dyn. 1996 Apr;205(4):379-86.
従って、本発明は、上述した実情に鑑み、毛包幹細胞の機能を維持することができる新たなニッチ因子を見出し、脱毛症を根本的にかつ効率的に予防及び/又は改善するための薬剤として提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、小型プロテオグリカンであるデコリンが、毛包内バルジ領域で顕著に発現すること、同領域に存在する毛包幹細胞の未分化状態を維持し、分化を抑制する作用を有することを見出した。よって、デコリンは、毛髪を作り出す器官である毛包の供給源となる毛包幹細胞の減少又は枯渇を阻止できるので、脱毛症の根本的な予防及び/又は改善に有効である。本発明はかかる知見より完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)デコリンを有効成分として含有することを特徴とする、幹細胞の未分化状態維持剤。
(2)前記幹細胞が、毛包幹細胞である、(1)に記載の幹細胞の未分化状態維持剤。
(3)ラミニンを有効成分としてさらに含有する、(1)又は(2)に記載の幹細胞の未分化状態維持剤。
(4)デコリンを有効成分として含有することを特徴とする、脱毛症の予防及び/又は改善剤。
(5)ラミニンを有効成分としてさらに含有する、(4)に記載の脱毛症の予防及び/又は改善剤。
(6)デコリン遺伝子の発現を促進する物質を有効成分として含有する、脱毛症の予防及び/又は改善剤。
(7)(4)~(6)のいずれかに記載の剤を含む、毛髪用組成物。
(8)デコリンを含有する毛包幹細胞維持用培地。
(9)デコリンでコーティングされたことを特徴とする、毛包幹細胞維持用培養器。
(10)毛包幹細胞を、(8)に記載の培地内で若しくは(9)に記載の培養器内で培養する工程を含む、毛包幹細胞の維持方法。
(11)以下の工程を含む、脱毛症の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法。
(a)被験物質を、デコリン遺伝子を発現する細胞と接触させる工程
(b)(a)の細胞における、デコリン遺伝子の発現量を測定する工程
(c)被験物質を接触させない場合の同細胞におけるデコリン遺伝子の発現量を測定する工程
(d)上記(b)で測定した発現量が、上記(c)で測定した発現量より増加した被験物質を脱毛症の予防及び/又は改善物質として選択する工程
(12)被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量を指標として、毛髪の脱毛化を評価する方法。
(13)被験対象に抗脱毛剤を使用し、使用する前と後の該被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量を指標として、毛髪に対する抗脱毛剤の有効性を評価する方法。
(14)前記デコリン遺伝子の発現量が、デコリンのmRNA又はタンパク質の量を測定することにより行われる、(11)~(13)のいずれかに記載の方法。
デコリンは、毛包内バルジ領域に存在する毛包幹細胞の分化を抑制して未分化状態を維持できる。よって、本発明によれば、デコリンを有効成分として含有する毛包幹細胞の未分化状態維持剤、脱毛症の予防及び/又は改善剤が提供される。デコリンは、毛包幹細胞の減少又は枯渇を阻止できるので、脱毛症の根本的な予防及び/又は改善に有効である。
1.幹細胞の未分化状態維持剤、毛包幹細胞の未分化状態維持剤、脱毛症の予防及び/又は改善剤、毛髪用組成物
本発明の幹細胞の未分化状態維持剤は、デコリンを有効成分として含有する。本発明に係る幹細胞の未分化状態維持剤を、ヒトを含めた哺乳動物の幹細胞に適用することで、幹細胞の未分化状態を維持し、分化を抑制することができる。本発明に係る幹細胞の未分化状態維持剤を適用する幹細胞としては、本発明の目的に沿うものであれば特に限定されず、例えば胚性の幹細胞(ES細胞);骨髄、血液、皮膚(表皮、真皮、皮下組織)、脂肪、毛包、脳、神経、肝臓、膵臓、腎臓、筋肉やその他の組織に存在する体性の幹細胞;遺伝子導入等により人工的に作製された幹細胞(人工多能性幹細胞:iPS細胞)が挙げられるが、毛包の幹細胞に対してより効果を発揮する。本発明に係る幹細胞の未分化状態維持剤は、幹細胞の分化の方向性及び分化の過程等について同等の特性を持っていれば、全ての哺乳動物由来の幹細胞に応用が可能である。例えば、本発明に係る幹細胞の未分化状態維持剤は、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の哺乳動物の幹細胞に対して効果を発揮することができる。
本発明の好ましい態様によれば、幹細胞は毛包幹細胞であり、本発明の毛包幹細胞の未分化状態維持剤は、デコリンを有効成分として含有し、毛包幹細胞のニッチ(幹細胞の生態的適所)である毛包内バルジ領域の毛包幹細胞の未分化状態を維持し、分化を抑制できる。
本発明において「毛包幹細胞の未分化状態維持」とは、毛包内バルジ領域における毛包幹細胞の未分化性の維持と機能性の維持を意味する。
本発明の幹細胞の未分化状態維持剤の有効成分であるデコリンは、スモールロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)ファミリーの一つであり、38kDaのコアタンパク質にコンドロイチン硫酸鎖またはデルマタン硫酸鎖を側鎖に一本有する。
本発明において用いるデコリンは、天然物であっても、合成品であってもまた組換え体であってもよい。またデコリンはヒト由来のものであることが好ましいが、マウスなどヒト以外の哺乳類やその他の生物種に由来するデコリンであってもよい。ヒト由来のデコリンタンパク質のアミノ酸配列、及びデコリンタンパク質をコードする遺伝子(デコリン遺伝子)の塩基配列は既に知られており、データベースに登録されている[Genbank number Accession No.: AAA52301.1 (decorin); Genbank number Accession No.: AH002681.2 (decorin gene)]。ヒト由来のデコリンは、配列番号1で示される塩基配列を有する遺伝子によってコードされ、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質である。
デコリンは自体公知の方法により調製できる。例えば、遺伝子組換え技術により組換えデコリンを調製するのが好ましい。組換え蛋白質は、細胞系、無細胞系のいずれで調製したものでもよい。
本発明において用いるデコリンは、毛包内バルジ領域の毛包幹細胞の未分化状態維持作用を有する限り、その相同タンパク質であってもよく、相同タンパク質もまた、本発明にいうデコリンに包含されるものとする。相同タンパク質としては、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の毛包幹細胞の未分化状態維持活性を有するタンパク質、配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ毛包内バルジ領域の毛包幹細胞の未分化状態維持活性を有するタンパク質が挙げられる。
デコリンの相同タンパク質は、上記に定義される構造と機能を有する限り、由来は問わず、ヒト以外の哺乳動物由来であってもよく、ヒトなどの哺乳動物由来の遺伝子に対して人工的に変異を導入したものであってもよい。
上記の「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」における「1若しくは数個」の範囲は特には限定されないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異導入法により欠失、置換、若しくは付加できる程度の数のアミノ酸をいい、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。また、上記の「80%以上の配列同一性」とは、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の配列同一性をいう。配列同一性の値は、複数のアミノ酸配列間の同一性を演算するソフトウェア(例えば、FASTA、BLAST、DANASYS)を用いてデフォルトの設定で算出した値を示す。
デコリンは、配列番号2に示すアミノ酸配列の一部の配列からなる部分ペプチドであってもよい。そのような部分ペプチドの長さは、上記の毛包幹細胞の未分化状態維持活性を有する限り特に限定されないが、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも20個以上の連続したアミノ酸からなるペプチドが挙げられる。これらの部分ペプチドは、公知のペプチド合成法又は適当なペプチダーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)で全長のアミノ酸配列を切断することによって製造することができる。ペプチド合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。
デコリンは、生体レベルで又は培養レベルで毛包幹細胞の未分化状態を維持し、分化を抑制する作用を有するので、毛包幹細胞の未分化状態維持剤として使用できる。また、本発明の毛包幹細胞の未分化状態維持剤は、毛包幹細胞の分化抑制剤、毛包幹細胞の機能維持剤ともいうことができる。
デコリンは、毛包内バルジ領域の毛包幹細胞の未分化状態の維持により、毛髪の元になる毛包幹細胞の減少又は枯渇を阻止できるので、脱毛症の予防及び/又は改善剤の有効成分とすることができる。本発明の脱毛症の予防及び/又は改善剤の有効成分となるデコリン及びその相同タンパク質は、前述のとおりである。
本発明の脱毛症の予防及び/又は改善剤は、デコリン遺伝子の発現を促進する物質を有効成分として含有してもよい。デコリン遺伝子の発現を促進する物質としては、遺伝子の転写、転写後調節、タンパク質への翻訳、翻訳後修飾、タンパク質フォールディング及び核内への移行等の、いかなる段階で作用するものであってもよい。例えば、デコリン遺伝子からのmRNA転写を促進するトランス活性化因子、スプライシングやmRNAの細胞質移行を促進する因子、デコリンのmRNAの分解を抑制する因子、デコリンの分解を抑制する因子、デコリンの核内への移行を促進する因子等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の幹細胞の未分化状態維持剤、脱毛症の予防及び/又は改善剤は、デコリンに加えて、さらにラミニンを有効成分として含有することが好ましい。ラミニンは、基底膜の主要構成成分である公知の糖タンパク質である。ラミニンは、α、β、γと呼ばれる3つのサブユニット鎖が会合したヘテロ三量体であり、α鎖はα1~5、β鎖はβ1~3、γ鎖はγ1~3の全部で11種類のサブユニットが存在し、その名称はサブユニット鎖の構成で呼ばれている。本発明においては、ラミニンとして同定されているものであればいずれも用いることができる。また、ラミニンを主要構成成分として含有する基底膜抽出物等を用いてもよい。 また、ラミニンは、ヒト由来のものであることが好ましいが、マウスなどヒト以外の哺乳類やその他の生物種に由来するラミニンであってもよい。ヒトラミニンとしては、ヒトラミニン332、ヒトラミニン521、ヒトラミニン511、ヒトラミニン522、ヒトラミニン523が挙げられ、これらの中でもヒトラミニン521、ヒトラミニン511が好ましい。
本発明において、「脱毛症の予防及び/又は改善」には、脱毛や薄毛の発生の阻止、脱毛や薄毛の程度(本数や範囲)の改善、脱毛や薄毛の進行速度の低下、脱毛や薄毛に伴う毛髪の光沢や弾性の減少の抑制などが含まれる。また、脱毛症の予防及び/又は改善効果は、頭髪に直接な作用機序を示す場合と頭部における経皮的な作用機序を示す場合の両方を含む。
本発明において、脱毛症とは、例えば、加齢、疾患、紫外線や過労などの種々のストレスなどにより、毛髪の一部又は全部が抜けて、頭皮の一部又は全体が透けて見える症状をいう。脱毛症には、例えば、男性型脱毛症(AGA)、びまん性脱毛症(FAGA)、円形脱毛症、老人性脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、産後(分娩後)脱毛症、機械性(圧迫性若しくは牽引性)脱毛症、先天性脱毛症、火傷または外傷後の脱毛症、抗がん剤による薬剤性脱毛症、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、紅斑性狼瘡、禿髪性毛包炎、頭部乳頭状皮膚炎等)、トリコチロマニア(抜毛症)などが含まれるが、これらに限定はされない。
また、本発明の脱毛症の予防及び/又は改善剤は、そのまま使用することも可能であるが、本発明の効果を損なわない範囲で適当な添加物等と混合し、医薬品、医薬部外品、化粧品などの組成物の形態とすることができる。なかでも、頭皮や毛髪に使用するのに適した製剤形態に製剤化した毛髪用組成物が好ましい。
毛髪用組成物は、皮膚外用組成物において通常使用されている各種の成分、添加剤、基剤等をその種類に応じて選択し、適宜配合し、当分野で公知の手法に従って製造することができる。配合する成分、添加剤、基材としては、例えば、希釈剤(精製水、エタノール等)、油脂類(オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等)、ロウ類(ラノリン、ミツロウ、カルナウバロウ等)、炭化水素類(流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ワセリン等)、脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等)、高級アルコール類(ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)、エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等)、有機酸類(クエン酸、乳酸、α-ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸等)、糖類(マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N-アセチル-D-グルコサミン等)、界面活性剤、シリコーン油、保湿剤、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、清涼化剤、抗酸化剤、安定化剤、防腐剤、消炎剤、殺菌剤、香料、着色料等が挙げられる。
また、上記毛髪用組成物には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、育毛料・養毛料の成分として従来より知られている成分を含めてもよい。例えば、センブリエキス、ニンジン抽出液等の植物抽出エキス、ビタミンB、ビタミンE及びその誘導体、ビオチン等のビタミン類、パントテン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、ニコチン酸エステル、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、セフォランチン、塩化カプロニウム、ミノキシジル、ニコランジル、アセチルコリン誘導体、サイクロスポリン類、及びエストラジオール等の女性ホルモン剤等、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
本発明において、毛髪用組成物は、頭皮や毛髪に使用するものを広く指し、頭皮や毛髪に適用可能なものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、スプレー状等のいずれであってもよい。具体的な製品形態としては、クリーム、ローション、乳剤、軟膏、ゲル、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、スカルプトリートメント、ヘアスプレー、ヘアパック、ヘアエッセンス、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアムースなどが挙げられる。
これらの製品形態をとる毛髪用組成物中のデコリンの含有量は、形態に応じて異なるので特定することはできないが、一般に、当該組成物の総重量に対し、0.0001~20重量%(w/w)、好ましくは0.001~10重量%(w/w)である。デコリンの添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
2.毛包幹細胞維持用培地、毛包幹細胞維持用培養器、毛包幹細胞の維持方法
デコリンはまた、毛包幹細胞の未分化状態を維持させるための培養ツールとして利用できる。すなわち、本発明によれば、デコリンを培地添加剤として添加した毛包幹細胞維持用培地、デコリンをコーティングした毛包幹細胞維持用培養器が提供される。本発明はまた、これらの培養ツールを用いて毛包幹細胞を、その未分化性を保持しつつ培養することを特徴とする、毛包幹細胞の維持方法が提供される。これらの培養ツールや方法は、例えば、毛包幹細胞の維持及び分化のメカニズム、薄毛及び/又は脱毛発生のメカニズム、抗脱毛剤の作用機序の解明に利用できる。
本発明の毛包幹細胞維持用培地は、毛包幹細胞の培養に適した培地であって、毛包幹細胞の未分化性を保持しつつ、一定期間生存可能とするものである。細胞の未分化状態維持期間は、培養目的、基礎培地の種類、培養温度などに応じて、適宜変更することができる。例えば、培地にデコリンを添加して通常の培養条件にて培養した場合、少なくとも1週間以上、好ましくは少なくとも2週間以上、さらに好ましくは少なくとも1ヶ月以上は、毛包幹細胞の未分化状態を維持することができる。
本発明の毛包幹細胞維持用培地は、デコリンを添加する以外は、従来の上皮系細胞の培養に一般に用いられる基礎培地を用いることができる。例えば、毛包幹細胞の生存及び増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン、脂肪酸)を含む基本培地、例えば、Dulbeco's Modifide Eagle Medium(D-MEM)、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI1640、Basal Medium Eagle(BME)、Ham's F12、Ham's F12K(Kaighns modified of Ham’s F12)、Dulbeco's Modifide Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12(D-MEM/F-12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)、ハンクス液(Hank's balanced salt solution)、MCDB153倍地等が挙げられる。また、培地に、増殖因子[上皮細胞増殖因子(EGF)、コレラトキシン、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、白血球遊走阻止因子(LIF)、Stem Cell Factor(SCF)等]、ホルモン(インスリン、ヒドロコルチゾン等)を添加することが好ましい。さらに、必要に応じて、培地は、腫瘍壊死因子(TNF)、ビタミン類、インターロイキン類、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27-サプリメント、N2-サプリメント、ITS-サプリメント、抗生物質等を含有してもよい。
また、上記の成分以外には、0.1~20%の含有率でウシ脳下垂体抽出物(BPE)、血清または血清代替物が培地に含まれることが好ましい。血清または血清代替物は、公知のものであればいずれのものも用いることができる。例えば、血清としては、ウシ胎児血清(FBS、FCS)などが挙げられ、血清代替物としては、KSRなどが挙げられる。しかしながら、血清はロットの違いにより成分が異なり、その効果にバラツキがあるため、ロットチェックを行った後に使用することが好ましい。
上皮系細胞の培養に必要な成分(例えば、インスリン、ヒドロコルチゾン、上皮細胞増殖因子等)を含む上皮系細胞用培地は市販されており、これらの市販品の培地を用いてもよい。例えば、Keratinocyte-SFM培地(Thermo Fisher Scientific社製)、Humedia-KG2培地(KURABO社)、CnT-PR培地(CellnTec社)、MCDB153培地(Sigma社製)、正常ヒトケラチノサイト用無血清培地(DSファーマバイオメディカル社製)等を用いることができる。
毛包幹細胞の培養に用いる培養器は、毛包幹細胞の培養が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、フラスコ、シャーレ、ディッシュ、マルチウェルプレート(例えば、6ウェル、12ウェル、24ウェル、96ウェル)、チャンバースライド、チューブ、トレイ、培養バッグ、ローラーボトルなどが挙げられる。培養器の材質としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等の高分子素材、ガラス、セラミックス、磁性粒子や金属等が挙げられる。
培養器は、細胞非接着性であっても接着性であってもよく、目的に応じて適宜選択される。細胞接着性の培養器は、細胞との接着性を向上させる目的で、細胞外マトリックス等による細胞支持用基質などでコーティング処理したものを用いてもよい。細胞支持用基質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ラミニン、フィブロネクチンなどが挙げられる。本発明においては、コラーゲン等の接着の目的ではないが、デコリンを細胞支持用基質として用いることができる。
毛包幹細胞培養に使用される培地に対するデコリンの添加濃度は、上述の本発明に係る毛包幹細胞の未分化状態維持剤におけるデコリンの含有量に準じて適宜決定することができるが、デコリンの量に換算して、例えば10~10000ng/mL、好ましくは100~5000ng/mLの濃度が挙げられる。また、幹細胞の培養期間中、デコリンを、定期的に培地に添加してもよい。
毛包幹細胞の培養条件は、幹細胞の培養に用いられる通常の条件に従えばよく、特別な制御は必要ではない。例えば、培養温度は、特に限定されるものではないが約30~40℃、好ましくは36~37℃である。COガス濃度は、例えば約1~10%、好ましくは約2~5%である。なお、培地の交換は2~3日に1回行うことが好ましく、毎日行うことがより好ましい。前記培養条件は、幹細胞が生存及び増殖可能な範囲で適宜変動させて設定することもできる。
毛包幹細胞の未分化状態維持は、例えば、本発明に係る毛包幹細胞の未分化状態維持剤の非存在下で培養した毛包幹細胞と比較して、本発明に係る毛包幹細胞の未分化状態維持剤の存在下で培養した該幹細胞において幹細胞未分化マーカー遺伝子の発現レベルがmRNAレベル又はタンパク質レベルで培養開始時の発現レベルと同程度のレベルに有意に維持されているか否かで評価することができる。毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子としては、例えばKRT15(Keratin, type I cytoskeletal 15)等が挙げられる。
毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子発現レベルの測定方法としては、mRNAレベルでは、例えば毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子に特異的なプライマーやプローブを用いたRT-PCR、定量PCRやノーザンブロッティング等の方法が挙げられ、また、タンパク質レベルでは、例えば毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子によりコードされるタンパク質に特異的な抗体を用いたELISA、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティング等の免疫学的方法が挙げられる。
発現レベルの測定の結果、培養開始時(100%未分化状態)の毛包幹細胞における毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子の発現レベルと本発明の毛包幹細胞の未分化状態維持剤の存在下で所定時間培養後の毛包幹細胞における毛包幹細胞未分化マーカー遺伝子の発現レベルとの相対比が、本発明の毛包幹細胞の未分化状態維持剤の非存在下で培養した場合の同相対比(コントロール)よりも大きい場合に毛包幹細胞の未分化状態を維持できたと判定することができる。
上記の本発明に係る毛包幹細胞の未分化状態維持剤、毛包幹細胞維持用培地、毛包幹細胞維持用培養器は、単独で、あるいはそれらを組み合わせて、毛包幹細胞維持用のキットとして提供することもできる。当該キットは、必要に応じて取扱説明書等を含むことができる。
3.脱毛症の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法
デコリンは、脱毛症の予防及び/又は改善物質のスクリーニング方法にも使用できる。本発明のスクリーニング方法によれば、デコリン遺伝子の発現の亢進を指標として、脱毛症の予防及び/又は改善物質を精度よく、かつ迅速、正確にスクーニングできる。本発明のスクリーニング方法は、具体的には以下の工程を含む。
(a)被験物質を、デコリン遺伝子を発現する細胞と接触させる工程
(b)(a)の細胞における、デコリン遺伝子の発現量を測定する工程
(c)被験物質を接触させない場合の同細胞におけるデコリン遺伝子の発現量を測定する工程
(d)上記(b)で測定した発現量が、上記(c)で測定した発現量より増加した被験物質を脱毛症の予防及び/又は改善物質として選択する工程
工程(a)では、被験物質をデコリン遺伝子を発現する細胞と接触させる。接触は、被験物質をデコリン遺伝子を発現する細胞を含む培地に添加し、一定時間培養することにより行なう。デコリン遺伝子を発現する細胞は、デコリン遺伝子の発現をタンパク質レベル又は核酸レベルで観察されるものであれば、いかなる生物に由来するものであってもよく、ヒト、マウス、ラット、モルモット、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物などに由来するものを挙げることができるが、ヒト由来の細胞、好ましくはヒト由来の毛包細胞を使用することが好ましい。デコリン遺伝子を発現する細胞としては、各種の組織に由来する初代培養組織や培養細胞株などの任意のものを用いることができる。また、デコリン遺伝子を強制的に発現させるように遺伝子組換えされた細菌、酵母、動物細胞等を用いてもよい。
スクリーニングに用いる被験物質は、主に化粧品及び/又は医薬品に利用できる成分を対象とし、例えば、動・植物組織の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む混合物、またそれらから精製された標品;天然に生じる分子(例えば、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、糖タンパク質、プロテオグリカンなど);あるいは天然に生じる分子の合成アナログ又は誘導体(例えば、ペプチド擬態物など);及び天然に生じない分子(例えば、コンビナトリアルケミストリー技術等を用いて作製した低分子有機化合物);ならびにそれらの混合物などを挙げることができる。また、被験物質としては単一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる被験物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。複数の被験物質を含むライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー、ペプチドライブラリーなどが挙げられる。
工程(b)では、工程(a)で被験物質と接触させた細胞におけるデコリン遺伝子の発現量を測定する。本発明において、デコリン遺伝子の発現量は、デコリン遺伝子の転写産物であるmRNA量又はデコリン遺伝子の翻訳産物であるタンパク質量のいずれを測定してもよい。
mRNA量の測定は、所望のmRNA量を測定できる方法であれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択して用いることができる。例えば、デコリン遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとした遺伝子増幅法、又は、デコリン遺伝子にハイブリダイズするオリゴ(ポリ)ヌクレオチドをプローブとしたハイブリダイゼーション法を利用することができる。具体的には、RT-PCR法、リアルタイムRT-PCR法、DNAマイクロアレイ法、セルアレイ法、組織アレイ法、ノーザンブロット法、ドットブロット法、RNアーゼプロテクションアッセイ法などが挙げられる。上記の方法に用いるプライマーやプローブは、標識し、当該標識のシグナル強度を調べることによりmRNA量を測定することができる。なかでも、リアルタイムRT-PCR法はRNAを直接サンプルに使用でき、遺伝子増幅過程を光学的に測定することで増幅に必要な温度サイクルの回数から遺伝子定量が可能である上で好ましい。なお、上記の方法に用いるプライマーおよびプローブは前記のデコリン遺伝子の塩基配列(配列番号1)に基づいて当業者であれば適宜設計し、調製することができる。各方法について様々なプロトコルが報告されており、当業者であれば公知のプロトコルに従い、又は公知のプロトコルを適宜修正や変更を行い実施することができる。
タンパク質量の測定は、例えば、デコリンタンパク質に対する抗体又は抗体断片を用いて免疫学的に測定する方法を用いることができる。具体的には、ブロッティング法、ドットブロット法、プロテインアレイ、免疫沈降法、酵素免疫測定法(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、蛍光抗体法、免疫細胞染色等を挙げることができる。その他、抗体を用いないタンパク質質量分析技術であるLC-MS/MS MRM等を用いることができる。これらの測定方法についても、常法のプロトコル、又は常法のプロトコルを適宜修正・変更したプロトコルによって実施することができる。
工程(c)では、被験物質と接触させない同細胞におけるデコリン遺伝子の発現量を測定する。デコリン遺伝子の発現量の測定方法は、工程(b)と同じである。
工程(d)では、工程(b)で測定したデコリン遺伝子発現量を、被験物質を接触させない工程(c)で測定したデコリン遺伝子発現量と比較し、発現量の増加が認められれば、当該被験物質を脱毛症の予防及び/又は改善物質の有力な候補物質として選択できる。
上記デコリン遺伝子の発現量を測定するための試薬は、予め組み合わせてキット化することもできる。例えば、キットには、PCRに用いるプライマーセット、プローブとして用いるポリ(オリゴ)ヌクレオチド、又は抗体のいずれかを少なくとも含んでいればよい。また、該キットには、必要に応じて、RNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、固定化担体、標識物質、標識の検出に用いられる基質化合物、陽性や陰性の標準試料、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることもできる。なお、キット中の試薬は溶液でも凍結乾燥物でもよい。
4.毛髪の脱毛化を評価する方法、脱毛症の予防及び/又は改善剤の有効性を評価する方法
本発明の毛髪の脱毛化を評価する方法は、被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量を指標として用いる。具体的には、被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部を用意し、該毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量を測定し、該発現量に基づいて毛髪の脱毛化を評価する。本発明において「脱毛化の評価」とは、脱毛や薄毛の発生の予測、脱毛や薄毛になる素因の有無の判定、脱毛や薄毛の程度(本数や範囲)の判定、脱毛や薄毛の進行度の判定などをいう。
評価は、被験対象の毛髪の毛根部(被験対象試料)におけるデコリン遺伝子の発現量を対照試料におけるデコリン遺伝子の発現量と比較することにより行う。対照試料とは、比較の基準となる試料をいい、例えば、正常な髪の毛根部、薄毛の毛根部のいずれであってもよく、それらの対照試料のデコリン遺伝子の発現量を基準発現量として定めておく。例えば被験対象試料のデコリン遺伝子の発現量が、予め基準発現量として定めた正常な髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量よりも有意に低い場合、又は、薄毛の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量と同等である場合、当該被験対象は、近い将来脱毛や薄毛が発生する、又は脱毛や薄毛になりやすい素因を有すると評価できる。また、被験対象のデコリン遺伝子の発現量が、予め基準発現量として定めた正常な髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量と同等である場合、又は、薄毛の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量よりも有意に高い場合、当該被験対象は、近い将来脱毛や薄毛が発生しない、脱毛や薄毛になりにくい素因を有すると評価できる。
被験対象試料のデコリン遺伝子の発現量は、絶対値又は相対値(比較対照又は基準発現量との比率や差など)として算出され、必ずしもデコリン遺伝子の絶対的な発現量を測定する必要はなく、対照試料のデコリン遺伝子の発現量との相対的な関係が明らかになれば十分である。
上記の評価において、被験対象試料のデコリン遺伝子の発現量が、基準発現量と比べて、例えば、10%、又は20%、又は30%、又は50%、又は70%、又は100%高い又は低い場合、有意に高い、又は、有意に低いとすることができる。また、ここでいう「評価」は、医師による診断を包含せず、年齢等とは関係なく、特定の疾患によって発症する脱毛や薄毛に対して医師による診断が介入する場合であっても、診断の補助を意味し、具体的には、診断のためのデータを取得することをいう。
また、本発明の脱毛症の予防及び/又は改善剤(抗脱毛剤)を評価する方法は、被験対象に抗脱毛剤を使用し、使用する前と後の該被験対象より採取した毛髪の毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量の変化を指標とする。具体的には、抗脱毛剤を使用する前の被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部、抗脱毛剤を一定期間使用した後の同被験対象の特定部位の毛髪より採取した毛根部を用意し、2つの毛根部におけるデコリン遺伝子の発現量をそれぞれ測定し、該発現量の差に基づいて抗脱毛剤の有効性を評価する。例えば、抗脱毛剤を使用した後の被験対象のデコリン遺伝子の発現量が、抗脱毛剤を使用する前の被験対象のデコリン遺伝子の発現量よりも有意に増加した場合は、該抗脱毛剤は、脱毛症の予防及び/又は改善に有効であると評価できる。
上記の毛髪の脱毛化を評価する方法、毛髪に対する抗脱毛剤の有効性を評価する方法において、被験対象は典型的にはヒトであるが、ヒト以外の動物であってもよい。ヒト以外の動物の具体例として、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等を挙げることができる。
また、毛髪からの毛根部の採取方法は特に限定されないが、例えば、引き抜いた毛髪や自然脱落した毛髪から毛根部を採取することができる。
被験対象試料及び対照試料におけるデコリン遺伝子の発現量の測定は、前項の方法と同様に行えばよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)毛包組織におけるデコリン遺伝子の発現部位の解析
ヒトの毛髪を毛抜きで採取し、PBS(-)にて2回洗浄した後、毛根部をメスで毛球、バルジ下、バルジ、バルジ上の4区画に分割した。Trizol Reagent(Invitrogen社製)によって各区画の細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、下記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、デコリン遺伝子の発現量を測定した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
デコリン遺伝子用プライマーセット:
5'-TTCTGCCCACCTGGACACA-3' (配列番号3)
5'-GACCGGGTTGCTGAAAAGAC-3' (配列番号4)
18srRNA(内部標準)用プライマーセット:
5'-CCGAGCCGCCTGGATAC-3' (配列番号5)
5'-CAGTTCCGAAAACCAACAAAATAGA-3'(配列番号6)
デコリン遺伝子の発現は、バルジ領域におけるデコリンmRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出したデコリン遺伝子相対発現量(デコリン遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、その他の区画のデコリン遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。結果を以下の表1に示す。
Figure 0007015518000001
表1に示すように、他の区画と比較して、CD200(Cluster of Differentiation 200)やKRT15(Keratin, type I cytoskeletal 15)陽性の毛包幹細胞が多く存在することが知られているバルジ領域においてデコリン遺伝子の発現が顕著に高かった。
(実施例2)デコリン遺伝子欠損による毛包幹細胞の未分化性の比較
(1)ヒト毛包幹細胞の培養
ヒトの毛髪を毛抜きで採取し、メス等を用いて毛包組織のバルジ領域を含む組織を回収した。PBS(-)にて洗浄した後、トリプシン(BD Biosciences社製)処理を行った。その後、セルストレイナー(FALCON社製)を用いて、細胞を単離し、回収した。回収した細胞を24ウェルの培養プレートに播種し、KG2培地(KURABO社製)を用いてコンフルエントになるまで維持した。コンフルエントになった細胞を回収し、同培養プレートに再び1×104個ずつ播種し、その後生着し、増殖している細胞を毛包幹細胞として以下の試験に用いた。
(2)毛包幹細胞におけるデコリン遺伝子のノックダウン
デコリンが毛包幹細胞の未分化性にどのように関わっているかを解析するために、毛包幹細胞におけるデコリン遺伝子のノックダウンを行い、その際の細胞の幹細胞性の解析を、未分化マーカーKRT15と分化マーカーIVL(Involucrin)を指標として行った。
ノックダウン実験は次の通り行った。
上記の培養プレートで増殖した毛包幹細胞1ウェルあたりに、トランスフェクションの最適培地であるOpti-Mem(Invitrogen社製)500μlにデコリン遺伝子に対するsiRNA (siRNA-1(No.1039526), siRNA-2(No.1039527), siRNA-3(No.1039528);Bioneer社製)又はコントロールsiRNA(Bioneer社製)を50nMとなるように添加し、さらにLipofectamine RNAiMAX(Invitrogen社製)1μlを添加し、15分間静置した後、これを用いてsiRNAのトランスフェクションを行った。
トランスフェクションから4時間後に、Opti-Mem培地を新しい500μLのKG2培地に交換し、48時間培養を行った後、細胞を回収し毛包幹細胞におけるKRT15とIVLの遺伝子発現解析を以下の通り行った。
トランスフェション後の毛包幹細胞をPBS(-)にて2回洗浄した後、Trizol Reagent(Invitrogen社製)によって該細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、下記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、KRT15とIVLの遺伝子発現量を測定した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
KRT15(毛包幹細胞未分化マーカー)用プライマーセット:
5'- GATGCTGCTTGACATAAAGACACG-3' (配列番号7)
5'- ACCTGTCCATCCACTGACTCTTC-3' (配列番号8)
IVL(毛包幹細胞分化マーカー)用プライマーセット:
5'- CCATCAGGAGCAAATGAAACAG-3' (配列番号9)
5'- GCTCGACAGGCACCTTCTG-3' (配列番号10)
KRT15及びIVLの発現は、コントロールsiRNAをトランスフェクションした毛包幹細胞におけるKRT15及びIVL mRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出したKRT15及びIVL遺伝子相対発現量(KRT15及びIVL遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、デコリン遺伝子をノックダウンした毛包幹細胞におけるKRT15及びIVLの遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0007015518000002
表2に示すように、デコリン遺伝子に対するsiRNAをトランスフェクションし、デコリンをノックダウンした毛包幹細胞では、未分化マーカーKRT15の発現が減少し、分化マーカーIVLの発現が上昇したことから、デコリンは毛包幹細胞の未分化状態維持(分化抑制)に働いていることが示された。
(実施例3)デコリン及び/又はラミニン添加による毛包幹細胞の未分化性の比較
(1)ヒト毛包幹細胞の培養
ヒトの毛髪を毛抜きで採取し、メス等を用いて毛包組織のバルジ領域を含む組織を回収した。PBS(-)にて洗浄した後、トリプシン(BD Biosciences社製)処理を行った。その後、セルストレイナー(FALCON社製)を用いて、細胞を単離し、回収した。回収した細胞を培養プレートに播種し、KG2培地(KURABO社製)を用いてコンフルエントになるまで維持した。コンフルエントになった細胞を回収し、同培養プレートに再び播種し、その後生着し、増殖している細胞を毛包幹細胞として以下の試験に用いた。
(2)デコリンを添加した際の毛包幹細胞の未分化性の評価
毛包幹細胞にデコリンを作用させ、デコリンが毛包幹細胞の未分化性にどのように関わっているかを評価した。また、デコリンのラミニンとの併用効果も評価した。未分化性は、KG2培地(KURABO社製)にて培養した毛包幹細胞を24ウェルの培養プレートに1×104個ずつ播種し、デコリン、ラミニン、またはデコリンとラミニン等量混合物の各試験成分をそれぞれ最終濃度が10 ng/mlとなるように添加して培養し、試験成分添加48時間後の毛包幹細胞を回収し、毛包幹細胞の未分化性をKRT15の遺伝子発現量を指標に解析した。なお、デコリンとしてDCN Human Recombinant(PROSPEC社製)、ラミニンとしてiMatrix-511(Nippi社製)を用いた。
KRT15の遺伝子発現解析は次の通り行った。試験成分添加後の毛包幹細胞をPBS(-)にて2回洗浄した後、Trizol Reagent(Invitrogen社製)によって該細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、抽出したRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、前記KRT15(毛包幹細胞未分化マーカー)用プライマーセット(配列番号7、8)を用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、KRT15の遺伝子発現量を測定した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
毛包幹細胞の未分化状態維持効果は、試験成分(デコリン、ラミニン、またはデコリンとラミニン等量混合物)を添加せずに培養した毛包幹細胞におけるKRT15のmRNAの発現量を内部標準である18s ribosomal RNA(18srRNA)の発現量に対する割合として算出したKRT15遺伝子相対発現量(KRT15遺伝子発現量/18srRNA遺伝子発現量)の値を1とし、これに対し、試験成分(デコリン、ラミニン、またはデコリンとラミニン等量混合物)を添加して培養した毛包幹細胞におけるKRT15の遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。結果を以下の表3に示す。
Figure 0007015518000003
表3に示すように、毛包幹細胞にデコリン、ラミニンを添加することで、未分化マーカーKRT15の発現が著しく上昇し、特にデコリンとラミニンの両方を添加すると、その発現上昇が特に顕著であった。よって、デコリンは毛包幹細胞の未分化状態維持(分化抑制)に働いていることが示された。
本発明は、脱毛症の予防及び/又は改善を目的とした医薬品、医薬部外品、又は化粧品の製造分野において利用できる。

Claims (4)

  1. デコリン及びラミニンを有効成分として含有することを特徴とする、培養レベルでの毛包幹細胞の未分化状態維持剤。
  2. デコリン及びラミニンを含有する毛包幹細胞維持用培地。
  3. デコリン及びラミニンでコーティングされたことを特徴とする、毛包幹細胞維持用培養器。
  4. 毛包幹細胞を、請求項2に記載の培地内で若しくは請求項3に記載の培養器内で培養する工程を含む、毛包幹細胞の維持方法。
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