JP7008287B2 - 透明ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

透明ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、その成形体が優れた機械的特性、耐薬品性、耐久性を有することから、自動車分野、電気・電子分野、機械分野、事務機器分野、航空・宇宙分野等の各種分野において、部品用材料として広く利用されている。
例えば、特開2012-31403号公報(特許文献1)には、ジアミン構成単位の70モル%以上がキシレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、共重合ポリアミド6/66/12又は6/66/11(B)を1~40質量部含有するポリアミド樹脂組成物が記載されている。特許文献1には、このポリアミド樹脂組成物が、弾性率が高く、ガスバリア性がよく、吸水率が低く、かつ、柔軟で透明性に優れていることが記載されているものの、少なくとも透明性に関しては必ずしも十分なものではなかった。
特開2012-31403号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも配合量が所定の範囲内にある樹脂成分を、前記樹脂成分の一部が前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーとなるように、溶融混練することによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも含有量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分からなり、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS、マトリックス:4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル)により得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義される交換反応率が0.25以上であることを特徴とするものである。
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物においては、前記樹脂成分の一部が、該樹脂成分に含まれる前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーであることが好ましい。
また、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物においては、前記4種以上のポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、及びポリアミドMXD10からなる群から選択されるものであることが好ましい。
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも配合量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分を、得られるポリアミド樹脂組成物についての、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS、マトリックス:4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル)により得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義される交換反応率が0.25以上になるまで、溶融混練することを特徴とする方法である。
また、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、溶融混練温度が250~340℃であり、溶融混練時間が5~60分間であることが好ましい。
なお、本発明によって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、4種以上のポリアミドを所定の割合で含む樹脂成分を所定の条件で溶融混練することによって製造されるものである。前記樹脂成分を溶融混練すると、前記樹脂成分の一部が、前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーとなる。このようなコポリマーは前記2種以上のポリアミドが入り組んだ分子鎖構造であるため、前記樹脂成分からなる相は均一な相となり、相分離による白濁が抑制されると推察される。また、前記コポリマーが乱雑な分子鎖構造であるため、前記樹脂成分の結晶性が低下して結晶化による白濁が抑制され、さらに、生成する結晶も微結晶化して粗大な結晶生成による白濁が抑制されると推察される。このように、本発明においては、種々の要因による白濁が抑制されることによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られると推察される。
本発明によれば、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔透明ポリアミド樹脂組成物〕
先ず、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物について説明する。本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも含有量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分からなり、0.25以上の交換反応率を有するものである。なお、前記交換反応率は、2種類以上のポリアミドによるコポリマー化の程度を表す指標であり、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS、マトリックス:4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル)により得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義されるものである。
(ポリアミド)
本発明に用いられるポリアミドとしては特に制限はなく、例えば、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、脂環式ポリアミドが挙げられる。
前記脂肪族ポリアミドは、全構成単位が、脂肪族ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位とからなるもの、ラクタム単位からなるもの、アミノカルボン酸単位からなるものであり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物、ラクタムの重縮合物、アミノカルボン酸の重縮合物が挙げられる。
前記半芳香族ポリアミドは、全構成単位の一部が芳香族ジカルボン酸単位及び芳香族ジアミン単位のうちの少なくとも一方の芳香族構成単位からなるものであり、例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合物、芳香族ジカルボン酸と脂環式ジアミンとの重縮合物、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合物が挙げられる。このような半芳香族ポリアミドにおいて、前記芳香族構成単位の割合としては、半芳香族ポリアミドの全構成単位に対して、20~80モル%が好ましく、30~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
前記脂環式ポリアミドは、全構成単位が、脂環式ジカルボン酸単位と脂環式ジアミン単位とからなるもの、脂環式ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位とからなるもの、脂肪族ジカルボン酸単位と脂環式ジアミン単位とからなるものであり、例えば、脂環式ジカルボン酸と脂環式ジアミンとの重縮合物、脂環式ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物、脂肪族ジカルボン酸と脂環式ジアミンとの重縮合物が挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸、ジメチルマロン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、1,14-ジアミノテトラデカン、1,15-ジアミノぺンタデカン、1,16-ジアミノヘキサデカン、1,17-ジアミノヘプタデカン、1,18-ジアミノオクタデカン、1、19-ジアミノノナデカン、1,20-ジアミノエイコサン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンが挙げられる。これらの脂肪族ジアミンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε-カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタムが挙げられる。これらのラクタムは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記アミノカルボン酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらのアミノカルボン酸は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸(オルト体)、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジアミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。これらの芳香族ジアミンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸が挙げられる。これらの脂環式ジカルボン酸は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記脂環式ジアミンとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロペンタンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。これらの脂環式ジアミンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
このようなポリアミドとして、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド116、ポリアミド1010、ポリアミド1012等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド10I、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10、ポリアミドBACT、ポリアミドBACI等の半芳香族ポリアミド;ポリアミドBAC6、ポリアミドBAC8、ポリアミドBAC9、ポリアミドBAC10、ポリアミドBAC12等の脂環式ポリアミドが挙げられる。なお、BACはビス(アミノメチル)シクロヘキサンを表す。これらのポリアミドのうち、溶融混練のしやすさという観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10がより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6が更に好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミドMXD6が特に好ましい。
(樹脂成分)
本発明にかかる樹脂成分は、4種以上の前記ポリアミドを含むものである。前記樹脂成分が4種以上の前記ポリアミドを含むことによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、樹脂成分に含まれる前記ポリアミドが3種以下になると、得られるポリアミド樹脂組成物は可視光低波長域における透明性に劣る。
また、このような4種以上のポリアミドを含む樹脂成分としては特に制限はないが、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも1種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも2種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分がより好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも3種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が更に好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも4種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が特に好ましく、前記4種以上のポリアミドの全てが脂肪族ポリアミドである樹脂成分が最も好ましい。
さらに、このような4種以上のポリアミドの組合せとしては特に制限はなく、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド116、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド10I、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10、ポリアミドBACT、ポリアミドBACI、ポリアミドBAC6、ポリアミドBAC8、ポリアミドBAC9、ポリアミドBAC10、ポリアミドBAC12のうちの4種以上のポリアミドの組合せが挙げられるが、中でも、溶融混練のしやすさという観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10のうちの4種以上のポリアミドの組合せが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10のうちの4種以上のポリアミドの組合せがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6のうちの4種以上のポリアミドの組合せが更に好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミドMXD6のうちの4種以上のポリアミドの組合せが特に好ましく、さらに、前記の組合せの中でも、少なくともポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11を含む4種以上のポリアミドの組合せがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11の4種のポリアミドの組合せが最も好ましい。
また、前記樹脂成分においては、いずれのポリアミドも含有量が前記樹脂成分全体に対して5~50質量%の範囲内にある。前記樹脂成分に含まれる全てのポリアミドの含有量が、それぞれ、5~50質量%の範囲内にあることによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、含有量が前記下限未満のポリアミドが1種類でも前記樹脂成分に含まれたり、含有量が前記上限を超えるポリアミドが1種類でも前記樹脂成分に含まれたりすると、分子鎖構造が十分に乱雑なポリアミドのコポリマーが得られないため、得られるポリアミド樹脂組成物は可視光低波長域における透明性に劣る。また、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、いずれのポリアミドも含有量が前記樹脂成分全体に対して10~45質量%の範囲内にあることが好ましく、15~40質量%の範囲内にあることがより好ましい。
さらに、本発明にかかる樹脂成分は、その一部が、この樹脂成分に含まれる前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーであることが好ましい。前記樹脂成分の一部が前記2種以上のポリアミドのコポリマーであることによって、前記交換反応率が所定の範囲内となり、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、前記樹脂成分に前記2種以上のポリアミドのコポリマーが含まれない場合には、前記交換反応率が所定の範囲の下限未満となる傾向にあり、得られるポリアミド樹脂組成物は可視光低波長域における透明性に劣る傾向にある。
(透明ポリアミド樹脂組成物)
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、前記樹脂成分からなり、0.25以上の交換反応率を有するものである。前記交換反応率が前記下限未満になると、前記2種類以上のポリアミドのコポリマーが十分に形成されておらず、得られるポリアミド樹脂組成物は可視光低波長域における透明性に劣る。また、前記2種類以上のポリアミドのコポリマーが十分に形成されており、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、前記交換反応率としては0.30以上が好ましく、0.35以上がより好ましく、0.40以上が更に好ましく、0.45以上が特に好ましい。さらに、前記交換反応率の上限としては特に制限はないが、結晶生成による機械的特性や耐水性の向上という観点から、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。このような交換反応率を有するポリアミド樹脂組成物は、後述するように、前記樹脂成分を溶融混練することによって得ることができる。
なお、前記交換反応率は、以下の方法により求めることができる。すなわち、先ず、ポリアミド樹脂組成物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して試料溶液(ポリアミド樹脂組成物濃度:0.5mg/100μl)を調製する。また、マトリックスである4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解してマトリックス溶液(4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル濃度:9.6mg/ml)を調製する。さらに、トリフルオロ酢酸ナトリウムをテトラヒドロフランに溶解してカチオン化剤溶液(トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度:3.0mg/ml)を調製する。次に、前記マトリックス溶液と前記試料溶液と前記カチオン化剤溶液とを前記マトリックス溶液:前記試料溶液:前記カチオン化剤溶液=10:4:4の体積比で混合し、得られた混合溶液について、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(例えば、ブルカージャパン株式会社製「autoflex maX」)により波長355nmのYAGレーザーを用いてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)を行う。得られたマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)を求め、このピーク強度比をポリアミド樹脂組成物の交換反応率とする。
また、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、可視光低波長域における優れた透明性を確保するという観点から、透明性に影響を及ぼす成分(例えば、シリカ系フィラー)を含んでいない、前記樹脂成分のみからなるものであることが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲において、前記ポリアミド以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、充填剤、強化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等の他の成分が含まれていてもよい。
〔透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
次に、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも配合量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分を、得られるポリアミド樹脂組成物についての交換反応率が0.25以上になるまで溶融混練することによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物を得る方法である。なお、前記交換反応率は、前述のとおり、MALDI-TOF-MSにより得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和とマトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義されるものであり、前記方法によって求めることができる。
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、前記4種以上のポリアミドを含む樹脂成分を溶融混練する。これにより、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、前記ポリアミドが3種以下の樹脂成分を溶融混練すると、得られるポリアミド樹脂組成物の可視光低波長域における透明性が低下する。
また、このような4種以上のポリアミドを含む樹脂成分としては特に制限はないが、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも1種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも2種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分がより好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも3種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が更に好ましく、前記4種以上のポリアミドのうちの少なくとも4種が脂肪族ポリアミドである樹脂成分が特に好ましく、前記4種以上のポリアミドの全てが脂肪族ポリアミドである樹脂成分が最も好ましい。
さらに、このような4種以上のポリアミドの組合せとしては特に制限はなく、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド116、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド10I、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10、ポリアミドBACT、ポリアミドBACI、ポリアミドBAC6、ポリアミドBAC8、ポリアミドBAC9、ポリアミドBAC10、ポリアミドBAC12のうちの4種以上のポリアミドの組合せが挙げられるが、中でも、溶融混練のしやすさという観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10のうちの4種以上のポリアミドの組合せが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10のうちの4種以上のポリアミドの組合せがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6のうちの4種以上のポリアミドの組合せが更に好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミドMXD6のうちの4種以上のポリアミドの組合せが特に好ましく、さらに、前記の組合せの中でも、少なくともポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11を含む4種以上のポリアミドの組合せがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11の4種のポリアミドの組合せが最も好ましい。
また、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、いずれのポリアミドも配合量が前記樹脂成分全体に対して5~50質量%の範囲内にある。前記樹脂成分に含まれる全てのポリアミドの配合量が、それぞれ、5~50質量%の範囲内にあることによって、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、配合量が前記下限未満のポリアミドが1種類でも前記樹脂成分に含まれたり、配合量が前記上限を超えるポリアミドが1種類でも前記樹脂成分に含まれたりすると、分子鎖構造が十分に乱雑なポリアミドのコポリマーが得られないため、得られるポリアミド樹脂組成物の可視光低波長域における透明性が低下する。また、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、いずれのポリアミドも配合量が前記樹脂成分全体に対して10~45質量%の範囲内にあることが好ましく、15~40質量%の範囲内にあることがより好ましい。
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、前記樹脂成分を、得られるポリアミド樹脂組成物についての交換反応率が0.25以上になるまで溶融混練する。これにより、前記樹脂成分の一部として、この樹脂成分に含まれる前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーが形成され、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。一方、得られるポリアミド樹脂組成物についての交換反応率が所定の範囲内に達する前に溶融混練を停止すると、前記2種以上のポリアミドのコポリマーが十分に形成されず、得られるポリアミド樹脂組成物の可視光低波長域における透明性が低下する。また、前記2種類以上のポリアミドのコポリマーが十分に形成され、可視光低波長域における透明性に更に優れたポリアミド樹脂組成物が得られるという観点から、前記樹脂成分を、前記交換反応率が0.30以上になるまで溶融混練することが好ましく、0.35以上になるまで溶融混練することがより好ましく、0.40以上になるまで溶融混練することが更に好ましく、0.45以上になるまで溶融混練することが特に好ましい。さらに、前記交換反応率の上限としては特に制限はないが、結晶生成による機械的特性や耐水性の向上という観点から、前記交換反応率が3.0以下となるように溶融混練することが好ましく、2.0以下となるように溶融混練することがより好ましい。
また、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法においては、得られるポリアミド樹脂組成物の可視光低波長域における優れた透明性を確保するという観点から、透明性に影響を及ぼす成分(例えば、シリカ系フィラー)を含んでいない、前記樹脂成分のみを溶融混練することが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲において、前記ポリアミド以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、充填剤、強化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等の他の成分を配合してもよい。
本発明の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法において、溶融混練の方法としては特に制限はなく、例えば、押出機(一軸スクリュー押出機、二軸混練押出機等)、ニーダ、又はミキサ(高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いる方法が挙げられる。これらの装置は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、2種以上を併用する場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。さらに、このような混練装置による溶融混練の前に、前記4種以上のポリアミドを前記配合量となるようにドライブレンド等により予備混合してもよい。
また、溶融混練条件としては、得られるポリアミド樹脂組成物についての交換反応率が所定の範囲内に達する条件であれば特に制限はないが、例えば、溶融混練温度としては250~340℃が好ましく、260~330℃がより好ましく、270~320℃が更に好ましい。また、溶融混練時間としては5~60分間が好ましく、7~50分間がより好ましく、9~45分間が更に好ましい。溶融混練温度や溶融混練時間が前記下限未満になると、前記交換反応率が所定の範囲内まで向上せず、得られるポリアミド樹脂組成物の透明性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドの分解によって機械的特性や透明性が低下する傾向にある。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、ポリアミド6(PA6、ユニチカ株式会社製「A1030BRL」)25質量部、ポリアミド66(PA66、東レ株式会社製「CM3001-N」)25質量部、ポリアミド610(PA610、東レ株式会社製「CM2001」)25質量部、及びポリアミド11(PA11、アルケマ社製「BMNO」)25質量部を、小型混練機(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製「HAAKE MiniLab」)を用いて、溶融混練温度300℃、スクリュー回転数200rpm、溶融混練時間30分間の条件で溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を以下に示す方法により測定したところ、1.06であった。
<交換反応率>
得られたポリアミド樹脂組成物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して試料溶液(ポリアミド樹脂組成物濃度:0.5mg/100μl)を調製した。また、マトリックスである4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解してマトリックス溶液(4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル濃度:9.6mg/ml)を調製した。さらに、トリフルオロ酢酸ナトリウムをテトラヒドロフランに溶解してカチオン化剤溶液(トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度:3.0mg/ml)を調製した。前記マトリックス溶液と前記試料溶液と前記カチオン化剤溶液とを前記マトリックス溶液:前記試料溶液:前記カチオン化剤溶液=10:4:4の体積比で混合し、得られた混合溶液について、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(ブルカージャパン株式会社製「autoflex maX」)により波長355nmのYAGレーザーを用いてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)を行い、得られたマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)を求め、これをポリアミド樹脂組成物の交換反応率とした。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物を、270℃に設定した小型プレス機を用いて圧力6MPaで1分間加圧して平板状に成形し、得られた平板を150℃に設定したプレス機を用いて徐冷した後、水冷したプレス機を用いて圧力6MPaで1分間加圧して樹脂成分を完全に固化させて50mm×50mm×0.5mmの平板を作製した。
得られた平板のヘイズ値(厚さ0.5mm)をヘイズメーター(スガ試験機株式会社製「HGM-3DP」)により測定した。また、得られた平板の波長400nmの透過率を紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製「V-530」)により測定した。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
PA6の量を20質量部に、PA66の量を20質量部に、PA610の量を20質量部に、PA11の量を20質量部に変更し、ポリアミドMXD6(MXD6、三菱ガス化学株式会社製「S6001」)20質量部を更に混合し、溶融混練温度を270℃に、溶融混練時間を27分間に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.35であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
PA6の量を50質量部に、PA66の量を50質量部に変更し、PA610及びPA11を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
PA6の量を50質量部に、PA610の量を50質量部に変更し、PA66及びPA11を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.32であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例3)
PA6の量を50質量部に、PA11の量を50質量部に変更し、PA66及びPA610を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、1.50であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例4)
PA6の量を34質量部に、PA66の量を33質量部に、PA610の量を33質量部に変更し、PA11を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.30であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例5)
PA6の量を34質量部に、PA66の量を33質量部に、PA11の量を33質量部に変更し、PA610を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.31であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例6)
PA6の量を34質量部に、PA610の量を33質量部に、PA11の量を33質量部に変更し、PA66を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、1.36であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例7)
溶融混練時間を3分間に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.18であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例8)
溶融混練時間を3分間に変更した以外は実施例2と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.22であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例9)
PA6の量を10質量部に、PA66の量を10質量部に、PA610の量を10質量部に、PA11の量を15質量部に、MXD6の量を55質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物の交換反応率を実施例1と同様にして測定したところ、0.68であった。
また、このポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製し、ヘイズ値(厚さ0.5mm)及び波長400nmの透過率を求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007008287000001
表1に示したように、4種以上のポリアミドをそれぞれ所定の割合で含有し、交換反応率が所定の範囲内にあるポリアミド樹脂組成物(実施例1~2)は、ヘイズ値が低く、波長400nmの透過率が高いことから、透明性に優れたものであることがわかった。
具体的には、実施例1と比較例1とを対比すると明らかなように、溶融混練温度及び溶融混練時間が同じであっても、ポリアミドとしてPA6とPA66の2種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例1)は、アミド結合間の炭素数がすべて6であるため、交換反応率が0であり、4種類のポリアミドをそれぞれ所定の割合で含有し、交換反応率が所定の範囲内にあるポリアミド樹脂組成物(実施例1)に比べて、ヘイズ値が高く、波長400nmの透過率が低くなり、透明性に劣るものであることがわかった。
また、実施例1と比較例2~6とを対比すると明らかなように、ポリアミドとしてPA6とPA610の2種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例2)、PA6とPA11の2種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例3)、PA6とPA66とPA610の3種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例4)、PA6とPA66とPA11の3種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例5)、PA6とPA610とPA11の3種類しか含まないポリアミド樹脂組成物(比較例6)は、交換反応率が所定の範囲内にあるにもかかわらず、4種類のポリアミドをそれぞれ所定の割合で含有し、交換反応率が所定の範囲内にあるポリアミド樹脂組成物(実施例1)に比べて、ヘイズ値が高く、波長400nmの透過率が低くなり、透明性に劣るものであることがわかった。
さらに、実施例1と比較例7、実施例2と比較例8とを対比すると明らかなように、4種以上のポリアミドをそれぞれ所定の割合で含有するポリアミド樹脂組成物であっても、溶融混練時間が3分間の場合(比較例7~8)には、30分間(実施例1)又は27分間(実施例2)の場合に比べて、交換反応率が低いため、ヘイズ値が高く、波長400nmの透過率が低くなり、透明性に劣ることがわかった。
また、実施例2と比較例9とを対比すると明らかなように、4種以上のポリアミドを含有し、交換反応率が所定の範囲内にあるポリアミド樹脂組成物であっても、含有量が所定の割合よりも多いポリアミドが1種類でも含まれている場合(比較例9)には、すべてのポリアミドが所定の割合で含まれている場合(実施例2)に比べて、ヘイズ値が高く、波長400nmの透過率が低くなり、透明性に劣ることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、可視光低波長域においても透明性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。したがって、本発明の透明ポリアミド樹脂組成物は、自動車のウィンドウ、ルーフ、ピラー等の自動車用透明樹脂部品;建築物用透明樹脂部品;電子機器用透明樹脂部品等に用いられる透明樹脂材料として有用である。

Claims (5)

  1. 4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも含有量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分からなり、
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS、マトリックス:4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル)により得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義される交換反応率が0.25以上であることを特徴とする透明ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分の一部が、該樹脂成分に含まれる前記4種以上のポリアミドのうちの2種以上のポリアミドのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の透明ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記4種以上のポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、及びポリアミドMXD10からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明ポリアミド樹脂組成物。
  4. 4種以上のポリアミドを含み、いずれのポリアミドも配合量が5~50質量%の範囲内にある樹脂成分を、得られるポリアミド樹脂組成物についての、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS、マトリックス:4-ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル)により得られるマススペクトルにおいて、2種類以上のポリアミドが結合した成分に由来するピークAの強度の総和と前記マトリックス由来のピークB(m/z値:407.0)の強度との比(ピークAの強度の総和/ピークBの強度)により定義される交換反応率が0.25以上になるまで、溶融混練することを特徴とする透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  5. 溶融混練温度が250~340℃であり、溶融混練時間が5~60分間であることを特徴とする請求項4に記載の透明ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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