JP7005972B2 - 車両用開閉体の制御装置 - Google Patents
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Description
1.車両用開閉体の制御装置は、車両の開口部の開口度を調整する車両用開閉体の変位速度と正の相関を有するパラメータを制御量とし、該制御量を目標値にフィードフォワード制御するための操作量であるフィードフォワード操作量を記憶する記憶装置と、処理回路とを備え、前記処理回路は、前記記憶装置に記憶されたフィードフォワード操作量と、前記制御量を前記目標値にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量とに応じた2自由度操作量に基づき、前記車両用開閉体を変位させる動力を生成するモータの駆動回路を操作する操作処理と、前記フィードバック操作量を入力とし、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量を、前記入力となるフィードバック操作量の算出時よりも前記制御量の前記目標値に対する誤差が小さくなるように更新する更新処理と、を実行する。
車両用開閉体の変位速度は、車両用開閉体の動作を直接的に定量化したものであるため、変位速度の目標値を設定して変位速度を目標値に制御することにより、目標値の設定によって、車両用開閉体の動作を、ユーザにとって違和感のない動作に制御しやすい。しかし、車両用開閉体の変位速度は、モータのトルクによって一義的には定まらないため、変位速度を目標値に制御する際には、誤差が生じやすい。このため、フィードフォワード操作量を高精度なものに学習していく更新処理の利用価値が特に大きい。
以下、車両用開閉体の第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1の右側には、上方から見下ろした車両10の一部が記載されている。車両10の屋根部分には、一点鎖線にて示す開口部12が形成されており、開口部12の開口度は、破線にて示す可動パネル14が開口部12の一部または全部を塞ぐことによって調整可能となっている。開口部12のうち車両の左方向YLおよび右方向YRには、ガイドレール20およびガイドレール20上を移動可能に設けられた移動体22を備えた開閉駆動機構24が設けられている。可動パネル14は、移動体22がガイドレール20上を変位することによって、変位し、開口部12の開口度を調整する。
図4に、学習補正量MffLの更新処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が所定周期で実行することにより実現される。
図5(a)は、可動パネル14を初めて変位させた際の回転速度ω、フィードフォワード操作量Mffおよびフィードバック操作量Mfbの推移を示す。なお、この場合、学習補正量MffLはゼロであるため、フィードフォワード操作量Mffは、基準量MffRと等しい。
(1)可動パネル14の変位を制御するうえでの制御量を、可動パネル14の変位速度(回転速度ω)とした。これにより、たとえば移動体22とガイドレール20との間の摺動抵抗が変化した場合であっても、可動パネル14の動作をユーザにとって違和感のない動作に制御しやすい。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
CPU62は、車両10の走行時に可動パネル14の変位制御をする場合、そのときのフィードバック操作量Iを用いて学習補正量MffLを更新しない。これにより、車両10の停止時と比較して可動パネル14に意図しない外乱が加わりやすく結果として回転速度ωを目標値ω*に制御する上で適切な電圧が外乱の影響を受けやすいときのフィードバック操作量Iに基づく学習補正量MffLの更新を回避することができる。ここで意図しない外乱とは、車両10の振動に起因したものや、加減速に起因して可動パネル14に加わる慣性力などがある。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「制御量について」
上記実施形態では、変位速度として回転速度ωを用いたが、これに限らず、たとえば位置xの時間変化から算出される値であってもよい。制御量としては、変位速度に限らない。たとえば、モータ32に流れる電流であってもよい。
上記実施形態では、基準開始位置xLまで、位置xに応じて目標値ω*を漸増させたが、これに限らず、たとえば基準値ωt未満であることを条件に、時間に応じて目標値ω*を漸増させてもよい。上記実施形態は、基準終了位置xHから、位置xに応じて目標値ω*を漸減させたが、これに限らず、たとえば終了値ωeよりも高いことを条件に、時間に応じて目標値ω*を漸減させてもよい。
・「基準量MffRについて」
上記実施形態では、フィードバック制御をする領域において基準量MffRを位置xによらない固定値としたが、これに限らない。たとえば移動体22の変位によってディフレクタ40を押し下げる領域等、同一の速度で変位させるために必要なトルクが他のトルクと比較して大きい領域を有する場合、その領域においては他の領域と比較して基準量MffRを大きい値としてもよい。
上記実施形態では、積分要素によるフィードバック操作量Iと、比例要素によるフィードバック操作量Pとの和を、目標電圧V*の算出に用いるフィードバック操作量Mfbとしたが、これに限らない。たとえば、微分要素によるフィードバック操作量Dを、さらに加算した値をフィードバック操作量Mfbとしてもよい。
上記実施形態では、フィードバック操作量Iを記憶する記憶処理の周期と、フィードバック操作量の更新周期とを同一としたが、これに限らない。たとえば、記憶処理の周期を、フィードバック操作量の更新周期よりも長くしてもよい。
図6の処理においては、規格化係数Kを、積分要素によるフィードバック操作量Iに乗算したが、たとえば「フィードバック操作量の記憶処理について」の欄に記載したように、記憶対象をフィードバック操作量Mfbとする場合には、規格化係数Kを、フィードバック操作量Mfbに乗算すればよい。
更新処理による更新対象としては、制御量の目標値(目標値ω*)が一定である期間に限らない。たとえば「フィードバック操作量について」の欄に記載したように、目標値を漸増させる期間や漸減させる期間においてもフィードバック制御をする場合には、漸増する期間や漸減する期間においても学習補正量MffLを算出してもよい。ただし、目標値を漸増させる期間や漸減させる期間においてもフィードバック制御をする場合に漸増する期間や漸減する期間における学習補正量MffLを算出することは必須ではない。
上記第2の実施形態では、車両10が停止している時のフィードバック操作量であることを、更新処理への利用条件としたが、これに限らない。たとえば、車両10が停止している場合であっても、たとえば通信線70を介して他ECU72から取得した路面の傾斜情報に基づき、傾斜が所定値以上である場合に算出されたフィードバック操作量については、更新処理に利用しないようにしてもよい。これは、傾斜が急である場合には、目標値ω*に制御する上で必要なモータ32のトルクが大きく異なるおそれがあることに鑑みたものである。
上記実施形態では、2自由度操作量として目標電圧V*を用いたが、これに限らず、たとえば、Hブリッジ回路50の電源として電圧の変動が十分に抑制された安定電源を採用する場合には、電圧と正の相関を有するパラメータである時比率Dを用いてもよい。図7に、図6の処理において2自由度操作量を時比率Dに代えた処理を示す。図7に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が上記パルス信号の所定のエッジが出現する周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図7において、図6に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付与している。
2自由度操作量を、フィードフォワード操作量とフィードバック操作量との和とする代わりに、フィードバック操作量を補正係数とし、フィードフォワード操作量にフィードバック操作量を乗算した値を2自由度操作量としてもよい。
上記実施形態では、一方のハーフブリッジ回路を構成するハイサイドスイッチSH1(SH2)をオン状態に維持しつつ他方のハーフブリッジ回路を構成するローサイドスイッチSL2(SL1)をオン・オフ操作することによって、モータ32に印加される電圧を調整したがこれに限らない。たとえば、一方のハーフブリッジ回路を構成するローサイドスイッチSL1(SL2)をオン状態に維持しつつ他方のハーフブリッジ回路を構成するハイサイドスイッチSH2(SH1)をオン・オフ操作してもよい。
上記実施形態では、回転速度ωの落ち込みが2度連続して検出されることにより、挟み込みを検出したが、これに限らない。たとえば、3回以上連続で回転速度ωの落ち込みが検出される場合に挟み込みを検出してもよく、またたとえば回転速度ωの落ち込みが1回検出される場合に挟み込みを検出してもよい。
記憶装置としては、不揮発性メモリ66に限らない。たとえば、不揮発性メモリ66とROM64とを備えた装置であってもよい。この場合、基準量MffRをROM64に記憶し、学習補正量MffLを不揮発性メモリ66に記憶すればよい。
車両用開閉体としては、可動パネル14に限らない。たとえば、車両の窓ガラスやスライドドアであってもよい。
駆動回路としては、Hブリッジ回路50に限らない。たとえばモータを3相ブラシレスモータとし、駆動回路を3相インバータとしてもよい。この場合たとえば、周知の120°通電方式による通電期間において、ローサイドスイッチおよびハイサイドスイッチのいずれか一方を周期的にオン・オフ操作し、その時比率Dを可変とすればよい。
制御装置としては、CPU62とROM64とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
Claims (7)
- 車両の開口部の開口度を調整する車両用開閉体の変位速度と正の相関を有するパラメータを制御量とし、該制御量を目標値にフィードフォワード制御するための操作量であるフィードフォワード操作量を記憶する記憶装置と、処理回路とを備え、
前記処理回路は、
前記記憶装置に記憶されたフィードフォワード操作量と、前記制御量を前記目標値にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量とに応じた2自由度操作量に基づき、前記車両用開閉体を変位させる動力を生成するモータの駆動回路を操作する操作処理と、
前記フィードバック操作量を入力とし、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量を、前記入力となるフィードバック操作量の算出時よりも前記制御量の前記目標値に対する誤差が小さくなるように更新する更新処理と、を実行する車両用開閉体の制御装置。 - 前記記憶装置には、前記車両用開閉体の位置毎に、前記フィードフォワード操作量が記憶されており、
前記更新処理は、前記車両用開閉体の位置毎に、該当する位置における前記フィードバック操作量に基づき、該当する位置における前記フィードフォワード操作量を更新する処理である請求項1記載の車両用開閉体の制御装置。 - 前記2自由度操作量は、前記モータに印加する電圧であり、
前記更新処理は、前記フィードバック操作量が同一である場合、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量が、前記モータの温度が高い場合に低い場合よりも小さい値となるように更新する規格化処理を含み、
前記処理回路は、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量を入力とし、前記2自由度操作量の算出に用いられるフィードフォワード操作量を、前記モータの温度が高い場合に低い場合よりも大きい量とする温度補正処理を実行する請求項1または2記載の車両用開閉体の制御装置。 - 前記操作処理は、前記駆動回路のスイッチング素子を周期的にオン・オフ操作する際のオン・オフの周期に対するオン時間の時比率を操作することにより、前記モータに印加する電圧を操作するものであり、
前記2自由度操作量は、前記時比率であり、
前記更新処理は、前記フィードバック操作量が同一である場合、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量が、前記モータの温度が高い場合に低い場合よりも小さい値となるように更新する規格化処理を含み、
前記処理回路は、前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量を入力とし、前記2自由度操作量の算出に用いられるフィードフォワード操作量を、前記モータの温度が高い場合に低い場合よりも大きい量とする温度補正処理を実行する請求項1または2記載の車両用開閉体の制御装置。 - 前記更新処理は、前記車両が走行しているときの前記フィードバック操作量を利用して前記記憶装置に記憶されている前記フィードフォワード操作量を更新しない請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用開閉体の制御装置。
- 前記制御量は、前記車両用開閉体の変位速度である請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用開閉体の制御装置。
- 前記操作処理の実行時において前記車両用開閉体の変位速度の低下量が所定量以上となることを条件に前記車両用開閉体の変位方向を反転させる反転処理を実行する請求項6記載の車両用開閉体の制御装置。
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