JP7005898B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、搬送性、加工性、透明性が良好な積層フィルムに関する。
積層フィルムは、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ等の表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等やドライフィルムレジスト(DFR)の支持体、積層セラミックスコンデンサー(MLCC;Multi Layered Ceramics Condenser)を製造する際の離型フィルムの素材として広く用いられている。そのひとつにディスプレイ部材用途が挙げられる。ディスプレイに代表される画像表示装置には、従来ガラス基板が用いられてきた。近年、画像表示装置は、より一層の薄型化、軽量化、大画面化などが求められており、重くて割れやすいガラス基板に代えて、高分子フィルム基板が検討されるようになってきた。高分子フィルム基板としてポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリカーボネートを含む様々な熱可塑性樹脂が検討されている。各種の画像表示装置には高いバリア性が必要とされるため、高分子フィルム基板とバリア層との密着性を上げる検討がされている(たとえば、特許文献1参照)。一方で、搬送性を改善するために粒子を添加する方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2014-146582号公報 特開2008-212837号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、高分子フィルムとバリア層との密着性を上げると搬送性や後加工のハンドリング性が悪化するという課題があった。また、特許文献2に記載の方法では、粒子の脱落による工程汚染やバリア層との密着不良、高へイズ化による機能性の低下が生じるという課題があった。本発明がかかる問題を解決し、粒子脱落での工程汚染がなく、搬送性と平滑性を両立し、透過性、バリア層との密着性に優れる積層フィルムを提供することにある。
上記した課題は、基材層の片側に水との接触角が55~85度の層(A層)が積層され、基材層のもう一方の側に水との接触角が85~120度の層(B層)が積層された積層フィルムであって、前記A層表面のSRz(10点平均表面粗さ)、B層表面のSRz(10点平均表面粗さ)がいずれも250nm以下であり、A層表面とB層表面とのブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角が55~90度である積層フィルムによって達成可能である。
本発明の積層フィルムは粒子脱落での工程汚染がなく、搬送性と平滑性を両立し、透過性、バリア層との密着性が改善されるためディスプレイ部材や、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられているドライフィルムレジストの支持体として好適に使用することが出来る。
以下に具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、基材層の片側にA層、もう一方の側にB層が積層された積層フィルムである。本発明において積層フィルムの基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。機械特性、耐熱性、寸法安定性、耐薬剤性、コストパフォーマンス性などに優れることからポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明におけるポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4-ベンセンジメタノール、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどがあげられる。
本発明において、基材層に用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。より好ましくは厚みムラなど塗布性の観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の積層フィルムの基材の厚みは、5μm~50μmであることが好ましい。より好ましくは10μm~35μmであることが好ましい。5μm未満であると、ガスバリアフィルムにした際に、搬送性が悪く生産性が落ちる場合がある。一方、厚みが50μmを超えると、ディスプレイを薄型化するのが困難となるだけでなく、ディスプレイ部材用フィルムとしてディスプレイに組み込みにくく生産性が落ちる場合がある。
本発明の積層フィルムは、基材層の片側に積層されるA層の水との接触角は55~85度であって、基材層のもう一方の側に積層されるB層の水との接触角が85~120度の層である必要がある。
一般的に、フィルムは製造工程において、種々のロールで搬送・加工された後、フィルムロールに巻き取られる。そのため、フィルムロールに巻き取られる際には、フィルムの一方の表面と、もう一方の表面が重なる形で巻き取られる。ここでいう加工とは、積層フィルムの少なくとも片面に種々の接着剤層やアンカーコート、オーバーコートやハードコートなどのコーティングを行う工程や、蒸着により種々の層を積層する工程、本願の積層フィルムや、加工後の積層フィルム、他のフィルムや樹脂基材などをラミネートなどで貼り合せる工程のことである。本発明者らが鋭意検討した結果、特許文献1のような従来技術において、バリア層との密着性を上げると搬送性や加工のハンドリング性が悪化するという課題は、このフィルムロールから巻き出す際に、バリア層との密着性を上げた側のフィルム面の影響が、もう一方のフィルム面に影響を与えることに起因することを明らかにした。そして、本発明者らは、基材層の片側に積層されるA層の水との接触角は55~85度とし、基材層のもう一方の側に積層されるB層の水との接触角が85~120度の層とすることで上記課題が解決できることを明らかにした。
以下に詳しく説明する。
本発明の積層フィルムは、基材層の片側に積層されるA層の水との接触角が55~85度であることが必要である。A層の水との接触角が55度未満であると、加工時に搬送ロールとの滑り性が十分に得られず搬送性が悪化する。85度を超えると加工時にバリア層との接着性が悪化する。A層表面の水との接触角は後述する塗剤処方とすることによって制御することができる。A層の水との接触角は、より好ましくは、58~80度である。A層の厚みは30nm以上、300nm以下であることが好ましい。A層の厚みが30nm未満であるとバリア層との密着性の低下や搬送性が悪化する場合がある。300nmを超えると加工におけるロール走行時にA層が脱落したり、ヘイズが大きくなったり十分な機能が得られない場合がある。本発明におけるA層は、本発明の積層フィルムをガスバリアフィルムとして用いる際に、ガスバリア層との密着性を向上させる特性を有する。A層を構成する成分としては、基材に対し接着性を有するものであれば特に限定されないが、たとえばポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂などを好適に用いることができる。また、異なる2種以上の樹脂、例えば、ポリエステルとウレタン樹脂、ポリエステルとアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹脂等を組み合わせて用いてもよい。好ましくはポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂であり、特に好ましくはポリエステルである。本発明にかかるA層においては、上記した樹脂に各種の架橋剤を併用すると、耐久性を飛躍的に向上させることができるため、好ましい態様である。A層に用いる樹脂として、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂に架橋性官能基が共重合されている場合、架橋剤を併用することがとくに好ましい。架橋剤はオキサゾリン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、イソシアネート樹脂が好ましい。より好ましくはオキサゾリン樹脂である。好ましいオキサゾリン樹脂成分とは、分子中にオキサゾリン基構造を有する樹脂、および、前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂からなる成分を示す。具体的には1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)のようなビスオキサゾリン(低分子型オキサゾリン基含有化合物)や、ポリオレフィンを骨格構造としてオキサゾリン変性してオキサゾリン基を導入したもの、ポリスチレンを骨格構造としてオキサゾリン基を導入したもの等の高分子型オキサゾリン基含有化合物などが挙げられる。易接着層にオキサゾリン樹脂成分を含むことで、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基とオキサゾリン基が反応し、密着性を高めることができる。架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、架橋剤は、A層のベース樹脂100重量部に対し10~40重量部添加することが耐久性向上の点で好ましく、より好ましくは20~35重量部添加である。架橋剤の添加量が、10重量部未満の場合、耐久性向上効果が小さくなる場合があり、また、40重量部を越える場合も密着性が低く耐久性が悪化する場合がある。本発明にかかるA層においては、粒子を添加してもよい。添加する粒子の粒径は30~500nmであることが好ましい。より好ましくは50nm~400nmである。添加量はA層のベース樹脂100重量部に対して0.5~20重量部、より好ましくは1~10重量部が好ましい。
本発明の積層フィルムは、基材層のもう一方の側に水との接触角は85~120度であるB層が積層されていることが必要である。B層の水との接触角が85度未満であると、ロールフィルムから巻出し加工する際にA層面との剥離性が十分でなく、また、搬送性が悪化する。120度を超えると積層フィルムをロールで保管した際にB層の組成分がA層へ移りA層表面の水との接触角を上げる原因となり、例えばガスバリアフィルムに加工する際にガスバリア層との密着性が低下する。B層の水との接触角は、より好ましくは、90~110度である。なお、B層表面の水との接触角は後述する塗剤処方とすることで制御することができる。B層の厚みは10nm以上、300nm以下であることが好ましい。B層の厚みが10nm未満であると、搬送性が悪化したり加工におけるロール走行時にB層が脱離する場合がある。300nmを超えるとヘイズが大きくなったり加工におけるロール走行時にB層が脱離し十分な機能が得られない場合がある。
本発明の積層フィルムは、以下の条件でA層表面とB層表面が接触するように積層してブロッキングテストを行った後のA層表面の接触角が55~90度である必要がある。本願におけるブロッキングテストとは、積層フィルムをロールの状態で保管した際にB層成分のA層への移りの有無やA層成分のB層へのブロッキングの有無を確認する指標として用いることが出来る。ブロッキングテストは、C型の加熱可能な60tプレス機(ゴンノ水圧機製作所製)を用いて、A層表面とB層表面を接触させた積層フィルムを荷重150kgf、温度50度、時間5時間の条件でプレス処理した。ブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角が55度未満であると、加工性の悪化や、搬送性の悪化の原因となる。また、ブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角が90度を超えるとB層がA層に影響を与えた(B層の組成分がA層へうつった)ことにより、いったんフィルムロールに巻き取ったフィルムロールからフィルムを巻き出してフィルムを加工する際に加工性が悪化する。ブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角は、A層とB層に塗工する塗剤を後述する塗剤に調整することで制御することが出来る。
本発明におけるB層とは、平滑で透明性の高く搬送性も向上させる特性を有する。B層を構成するベースとなる樹脂成分(以下ベース樹脂)としては、基材に対し接着性を有するものであれば特に限定されないが、たとえばポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂などを好適に用いることができる。好ましくはポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂であり、特に好ましくはアクリル樹脂である。また、異なる2種以上の樹脂、例えば、ポリエステルとウレタン樹脂、ポリエステルとアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹脂等を組み合わせて用いてもよい。
また、B層には、長鎖アルキル化合物、ワックス、フッ素化合物、シリコーン化合物などの添加剤を含有させると搬送性と平滑性を両立させることが出来るため好ましい。これらの中でも密着性が良好であることや汚染性が少ないという観点から、長鎖アルキル化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が6以上、特に好ましくは8以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。具体例としては、特に限定されるものではないが、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。
ワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、シリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮し、硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
上記添加剤は、B層のベース樹脂100重量部に対し5~70重量部添加することが搬送性向上の点で好ましく、より好ましくは20~60重量部添加である。架橋剤の添加量が、5重量部未満の場合、搬送性向上効果が小さくなる場合があり、また、70重量部を越える場合は透明性が低い場合や、表面粗さが大きくなり搬送性が悪化する場合がある。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数使用してもよい。
また、B層を構成する成分として架橋剤を添加することが好ましい。前述した樹脂に各種の架橋剤を併用することにより、耐久性を飛躍的に向上させることができる。架橋剤はオキサゾリン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、イソシアネート樹脂が好ましい。前述した長鎖アルキル化合物との相溶性や接触角を適切な範囲に制御する観点から、より好ましくはメラミン樹脂、カルボジイミド樹脂、イソシアネート樹脂であり、接触角を適切な範囲に制御するためにさらに好ましくはメラミン樹脂である。架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、架橋剤は、B層のベース樹脂100重量部に対し50~150重量部添加が耐久性向上の点で好ましく、より好ましくは80~120重量部添加である。架橋剤の添加量が50重量部未満の場合、A層とのブロッキングが生じ十分なバリア性能が得られない場合がある。また、150重量部を越える場合基材との密着性が低くバリア性能が悪化する場合がある。
本発明の積層フィルムはA層とB層表面のSRz(10点平均表面粗さ)がいずれも250nm以下である必要がある。A層、B層のいずれかの表面のSRz(10点平均表面粗さ)が250nmを超えると表面の突起が引っ掛かりとなり塗剤の削れや脱落の原因となる。また、ガスバリアフィルムとして加工するときに密着性が十分に得られず欠点が増加する場合がある。より好ましくは200nm以下である。積層フィルムのA層とB層表面のSRz(10点平均表面粗さ)を制御する方法は特に限られるものではないが、例えば、積層フィルムの基材や塗剤に含有する粒子の含有量、粒径により調整することができる。積層フィルムの基材や塗剤に含有する粒子の含有量が多くなると、また、粒径が大きくなるとSRzは大きくなる傾向が見られる。SRzを低くするためには、基材に粒子が含有されていないことが好ましい。また、透明性の観点からも、基材には粒子が含有されていないことが好ましい。また、A層とB層に塗工する塗剤についても粒子が含有していると、ヘイズが悪化したり粒子の脱落による工程汚染や塗剤の削れや脱落により機能性の低下が生じる場合がある。特に、A層とB層に塗工する塗剤を後述する塗剤に調整して用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、ブロッキングテスト後のA層表面とB層表面の接触角の差が20~60度であることが好ましい。さらに好ましくは22~50度であり、より好ましくは25~45度である。20度未満であると、A層表面とB層表面の密着性が上がりブロッキングが生じて、搬送性が悪化し、加工後に十分な性能が得られない場合がある。60度を超えるとB層の組成分がA層へ移っている可能性があり加工時にA層の密着性が低下し搬送性が悪化する場合がある。
本発明の積層フィルムは、前記A層表面、B層表面の摩擦係数μdがいずれも0.35以下であることが好ましい。より好ましくは0.3以下である。更に好ましくは0.25以下である。摩擦係数μdは低いほど好ましいが、低すぎると製造工程で巻ずれなどを起こしやすく生産性が悪化する場合があるため、0.05以上とすることが好ましい。A層表面、B層表面のいずれかの摩擦係数μdが0.35よりも大きいと滑り性が十分でないため、搬送時にシワや巻き付きがおこり、生産性が悪化する場合がある。摩擦係数μdはA層とB層に塗工する塗剤を後述する塗剤に調整することによって制御することが出来る。
本発明の積層フィルムは、ヘイズが3%以下であることが好ましい。より好ましくは0~2%である。3%より大きいとディスプレイ用のガスバリアフィルムとしたときに画質が悪くなる場合がある。ヘイズはフィルムの基材となる原料およびA層とB層に塗工する塗剤を後述する塗剤に調整することによって制御することが出来る。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
まず、本発明の積層フィルムの基材としてポリエステルを例に挙げて説明する。原料となるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは、通常の製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアルカリ金属化合物、マンガン化合物、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましく、積層フィルム基材の耐湿熱性を高める観点からナトリウム化合物、マンガン化合物を添加することがより好ましい。このような方法としては例えば、マンガン化合物を例に取るとマンガン化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
またポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は重合時の温度や、ポリエステル樹脂を重合した後、190℃~ポリエステル樹脂の融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱する、いわゆる固相重合の時間によってコントロールすることができる。具体的には重合時の温度が高くなると末端カルボキシル基量が増加し、固相重合の時間を長くすると末端カルボキシル基量が低くなる。
積層フィルム基材の製造方法はポリエステル樹脂原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。このとき、ポリマー中の未溶融物を除去するために、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過してもよい。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤などが添加されてもよい。その他の方法として、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。また積層フィルムの基材が積層構造の場合の製造方法は、積層する各層の材料が熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。
押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に原料を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10~60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。次に、この未延伸シートを70~140℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に3~4倍延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80~150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3~4倍に延伸する。延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3~5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。尚、二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
本発明の積層フィルムにおいてA層およびB層を形成するための塗剤組成物の調製方法として、まず分散溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、エマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。近年では環境保護、省資源化、製造時における有機溶剤の排気問題などが重視され、水を溶媒の主体とした溶解型、もしくはエマルジョン型が好ましい形態である。また、易接着層に含まれる樹脂成分を塗剤組成物の調製のため水にエマルジョン化させる方法としては、特に制限されるものではなく、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置によって作製することができる。
またA層およびB層を形成するための塗剤組成物を調製後、保管する環境としては5℃以上、35℃以下の室温環境下で保管することが好ましい。また調整から塗布を行うまでの保管期間としては1週間以内が好ましい。塗剤組成物の保管環境が前記の条件を満たさない場合、分散している樹脂成分の安定性が損なわれ、所望の特性を有する易接着層が得られない場合がある。
次にA層およびB層を形成する方法は、特に制限されるべきものではないが、コーティング手法を用いるのが好ましい。コーティング手法としては、公知の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。中でも塗剤の選択幅が広い観点からはバーコーティング法が好ましく、一方でA層およびB層の厚みを大きくしたい場合は厚膜塗布性の観点からダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法が好ましく選択できる。
更にA層およびB層の形成は積層フィルム基材の製造工程の中で設けるインラインコーティングにて行うのが工程簡略化や低コスト化の観点からより好ましい。具体的には、逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸シートあるいは一軸延伸したシートを形成した後に、同時二軸延伸方法の場合には未延伸シートを形成した後に、それぞれ前記のコーティング工程を設け易接着層を形成する塗剤組成物を塗布した後、塗剤組成物の乾燥工程と同時に積層フィルムの熱固定を行う。この時、塗剤組成物の乾燥温度はディスプレイ積層フィルムの耐久性の観点から150℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは170℃以上230℃以下、更に好ましくは180℃以上220℃以下である。
また必要に応じて積層フィルム基材への塗剤組成物の濡れ性向上やA層およびB層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に積層フィルム基材の表面へコロナ処理やプラズマ処理を行ってもよい。
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、DFRの支持体として好ましく用いられる。一般的に、DFRは、感光層(フォトレジスト層)が、ポリエステルフィルムからなる支持体とLDPEフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)との間に挟まれたサンドイッチ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作製するには、一般的に次のような操作が行われる。
すなわち、DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の例えば銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする。次に、導体回路パターンを焼き付けたレチクルを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に光線を照射して、露光させる。その後、レクチルおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する。次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する。この結果、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残ることになる。その後、残ったレジスト層を除去すれば、基板上の導体回路が形成されることになる。
このような方法により導体回路が形成されるので、支持体としてポリエステルフィルムには、離型性が要求されるところ、本発明の積層フィルムのB層上にレジスト層を形成することは好ましい実施形態のひとつである。B層の水との接触角が85~120度の範囲であれば、本発明の積層フィルムをレジスト層から剥がす場合にレジスト層との離型性が良好となりレジスト性が向上する。B層の接触角が85度未満の場合、レジスト層との離型性が悪くなり、レジスト性が低下する場合がある。また、B層の接触角が120度を超えるとレジスト層との密着性が低下し、レジスト層をB層上に形成しにくくなるため、レジスト性が悪化する。
また、B層のSRzが250nm以下であれば、B層上にレジスト層を形成する場合、レジスト層の傷付きを少なくできるため好ましい。さらにブロッキングテスト後のA層表面とB層表面の水との接触角の差が20~60度であれば、レジスト層とB層の離型性が良好である。
また、上述の条件でA層表面とB層表面が接触するように積層してブロッキングテストを行った後のA層表面の接触角は、55度以上90度以下であることが好ましい。該接触角が55度未満であると、フィルムの搬送性が悪化し、レジスト性が劣る場合がある。また、ブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角が90度を超えるとB層がA層に影響を与えた(B層の組成分がA層へうつった)ことにより、いったんフィルムロールに巻き取ったフィルムロールからフィルムを巻き出してフィルムを加工する際にレジスト性が悪化することがある。
[特性の測定方法・評価方法]
(1)水との接触角(度)
接触角計CA-D型(協和界面科学株式会社製)を用い、JIS R 3257(1999)に準じて測定を行った。積層フィルムを室温23℃相対湿度60%の雰囲気に24時間放置する。その後、同雰囲気下で測定面に対して純水の接触角を、5点測定し、5点の測定値の最大値と最小値を除いた3点の平均値を接触角とした。
(2)ブロッキング性(ブロッキングテスト後の剥離性)
積層フィルムを5cm四方にカットする。積層フィルムのA層表面とB層表面が接するように積層させ、C型の加熱可能な60tプレス機(ゴンノ水圧機製作所製)を用いて150kgf荷重を50℃で5時間処理した。2枚の積層フィルムを重ねて処理した後のサンプルをピンセットで剥離した際の抵抗を下記基準にて、ブロッキング性を評価した。
A:剥離時の抵抗はほとんどなく、また、剥離した積層フィルムに層間剥離はない。
B:剥離時に抵抗はあるが、剥離した積層フィルムに層間剥離はない。
C:剥離した積層フィルムの少なくともいずれかにA層とB層の層間剥離が生じている。
D:剥離した積層フィルムの少なくともいずれかにA層とB層の層間剥離が生じ、また、剥離した積層フィルムの少なくともいずれかがカールする。
(3)ブロッキングテスト後の水との接触角(度)
積層フィルムを5cm四方にカットする。積層フィルムのA層表面とB層表面が接するように積層させ、C型の加熱可能な60tプレス機(ゴンノ水圧機製作所製)を用いて150kgf荷重を50℃で5時間処理した。処理後の積層フィルムを「(1)水との接触角」の方法にて、水との接触角(度)を測定した。
(4)SRz(10点平均表面粗さ) (nm)
触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS-B0601(1994年)に準拠して、下記条件にてポリエステルフィルムの表面形態を測定した。
・測定装置 :3次元微細形状測定器(型式ET-4000A)(株)小坂研究所製
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(型式TDA-31)
・触針 :先端半径0.2μmR、ダイヤモンド製
・針圧 :50μN
・測定方向 :フィルム長手方向、フィルム幅方向を各1回測定後平均
・X測定長さ:380μm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y測定長さ:280μm
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Z倍率 :100,000(縦倍率)
・低域カットオフ:0.08mm(うねりカットオフ値)
・高域カットオフ:無し(粗さカットオフ値)
・フィルタ方式:ガウシアンライン型
・レベリング:あり(傾斜補正)。
(5)搬送性(摩擦係数μd)
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS K 7125(1999年)に準じて、2枚の積層フィルムのA層とB層を重ねて摩擦させた時の値を3回測定し、その平均値から長手方向の摩擦係数μdを求めた。摩擦係数μdを搬送性の指標として下記基準に従い評価した。
A:0.25以下
B:0.35以下で0.25を超える
C:0.35を超える。
(6)透明性(ヘイズ(%))
日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136(2000年)に準じて3回測定し、その平均値をヘイズの値とした。へイズを透明性の指標として下記基準に従って評価した。
A:0~2%以下
B:2%を超えて3%以下
C:3%を超える。
(7)フィルム厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A-2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
(8)密着性
アクリルポリオールとトリイジルイソシアネートを、アクリルポリオールのOH基に対してNCO基が等量となるように加え、全固形分が5w%になるよう酢酸エチルで希釈し、さらにこれにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対し5w%添加して混合し、屈折率調整剤として酸化ジルコニアゾル(メタノール溶剤分散、平均粒径30nm)を全固形分に対して15wt%を加えてアンカーコート溶液とした。これを乾燥後の膜厚が0.1μmなるよう積層フィルムにグラビアコート法を用いて塗布し、アンカーコート層を得た。上記アンカーコート層面に酸化珪素材料(高純度化学研究所社製)からなる蒸着材料を電子ビーム加熱法で加熱し、成膜圧力は1.1×10-2Paとして膜厚が20nmとなるように蒸着薄膜層を形成した。次に、上記蒸着薄膜層上にテトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌して加水分解させた固形分3wt%(SiO換算)の加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液{水:イソプロピルアルコール=90:10(重量比)}を混合したガスバリア被覆液を、乾燥後の膜厚が0.3μmになるようにグラビアコート法により形成して積層フィルム上にガスバリア層を作製しガスバリア積層フィルムとした。
作製したガスバリア積層フィルムをテクノロックス社製の水蒸気透過度測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で水蒸気透過度を測定した。各点について10回、10点測定し、当該点における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/(m・24hr・atm))とした。ガスバリア層と積層フィルムとの密着性が良いとバリア性が高く、水蒸気透過度は小さい。またガスバリア層と積層フィルムの密着性が悪いとバリア性は不十分となり、水蒸気透過度は高くなる。水蒸気透過度を密着性の指標として下記基準にて評価した。
A(密着性良好):水蒸気透過度が1.0×10-3(g/(m・24hr・atm))以下
B(密着性可):水蒸気透過度が1.0×10-3(g/(m・24hr・atm))を超えて~10.0×10-3(g/(m・24hr・atm))以下
C(密着性不可):水蒸気透過度が10.0×10-3(g/(m・24hr・atm))を超える。
(9)レジスト性の評価
以下a.からc.の方法により評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.本発明の積層フィルムのB層をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上からI線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いて露光を行う。
c.レジスト層から積層フィルムを剥離した後、東京応化(株)製の現像液“PMER N-A5”が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)=10/10μmの30本の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて約800~3000倍率で観察し、パターンに欠けのある本数で以下のように評価する。
S;欠けのある本数が0から3本
A;欠けのある本数が4から8本
B;欠けのある本数が9から13本
C;欠けのある本数が13本以上
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PETの製造]テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム2水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.80、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PETチップ-1)を得た。得られたPETチップのガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
参考例1
(塗剤Aの調製)
ポリエステル樹脂を76重量部とオキサゾリン系架橋剤((株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS300)を24重量部を固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗剤Aとした。
参考例2
(塗剤Bの調製)
アクリル樹脂を38重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を38重量部、長鎖アルキル系高分子化合物(中京油脂(株)製“レゼム”)を24重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗材Bとした。
参考例3
(塗剤Cの調製)
アクリル樹脂を30重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を30重量部、長鎖アルキル系高分子化合物(中京油脂(株)製“レゼム”)を40重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗材Cとした。
参考例4
(塗剤Dの調製)
アクリル樹脂を44重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を44重量部、長鎖アルキル系高分子化合物(中京油脂(株)製“レゼム”)を12重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗材Dとした。
参考例5
(塗剤Eの調製)
アクリル樹脂を38重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を38重量部、フッ素樹脂(DIC(株)製“メガファック(登録商標)”F-477)を24重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗材Eとした。
参考例6
(塗剤Fの調製)
アクリル樹脂を38重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を38重量部、シリコーン樹脂(信越化学(株)製“KM9738-A”)を24重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗剤Fとした。
参考例7
(塗剤Gの調製)
ポリエステル樹脂を76重量部とオキサゾリン系架橋剤((株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS300)を23重量部、粒子径が150nmのシリカ粒子0.8重量部、粒子径300nmのシリカ粒子0.2重量部を固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗剤Gとした。
参考例8
(塗Hの調製)
アクリル樹脂を66重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を10重量部、長鎖アルキル系高分子化合物(中京油脂(株)製“レゼム”)を24重量部、固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗材Hとした。
参考例9
(塗剤Iの調製)
ポリエステル樹脂を80重量部とメチロール型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック(登録商標)”MW12LF)を20重量部を固形分濃度8wt%になるように水で混合攪拌し、塗剤Iとした。
(実施例1)
PETチップを180℃で3時間減圧乾燥した。温度制御に鋳込み電熱ヒータと水冷ジャケットを用いて282℃にシリンダが加熱された押出機Eに供給し、Tダイ口金に導入した。
次いで、Tダイ口金内から、PETチップの溶融物をシート状に押出して溶融単層シートとし、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化させて、未延伸フィルムを作製した。続いて、得られた未延伸フィルムを加熱したロール群で予熱した後、シリコーン製の延伸ロールとニップロールを用いて張力をカットし、長手方向に90℃の温度で3.5倍MD延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。次いで一軸延伸したシートにコロナ処理を施した。次にA層に(参考例1)の塗剤Aを、B層に(参考例2)の塗剤Bをマイヤーバーにて両面塗布した後、フィルムの両端を60℃以下に冷却したクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで232℃の温度で5秒間の熱処理を施し、さらに232℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。搬送性、ブロッキング性、密着性、透明性、レジスト性のすべてにおいて優れる積層フィルムであった。
(実施例2)
B層の塗剤として(参考例3)の塗剤Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
B層の塗剤として(参考例4)の塗剤Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例4’
A層の塗剤として(参考例7)の塗剤Gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例5’
B層の塗剤として(参考例8)の塗剤Hを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例6’
A層の塗剤として(参考例9)の塗剤Iを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
B層の塗剤として(参考例5)の塗剤Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。B層の組成分がA層へ移り、ガスバリア層とA層の密着性が劣る積層フィルムとなった。また、レジスト性にも劣るフィルムであった。
(比較例3)
B層の塗剤として(参考例6)の塗剤Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。ヘイズが高く、透明性に劣る積層フィルムとなった。また、レジスト性にも劣るフィルムであった。
(比較例4)
基材に20μmのポリプロピレンフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。SRz(10点平均表面粗さ)が大きく、密着性、透明性、レジスト性に劣る積層フィルムとなった。
(比較例5)
A層とB層の塗剤として(参考例2)の塗剤Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。A層とB層の接触角が高く、密着性に劣る積層フィルムとなった。また、レジスト性にも劣るフィルムであった。
(比較例6)
B層の塗剤として(参考例9)の塗剤Iを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。B層が搬送工程で脱落したり、A層にブロッキングを起こし搬送性、密着性に劣る積層フィルムとなった。また、レジスト性にも劣るフィルムであった。
Figure 0007005898000001
本発明の積層フィルムは粒子脱落での工程汚染がなく、搬送性と平滑性を両立し、透過性、バリア層との密着性に優れるためディスプレイ部材として好適に使用することが出来る。

Claims (11)

  1. 基材層の片側に水との接触角が55~85度の層(A層)が積層され、基材層のもう一方の側に水との接触角が85~120度の層(B層)が積層された積層フィルムであって、前記A層がポリエステル樹脂及びオキサゾリン系架橋剤を含み、前記A層の厚みが30~300nmであり、前記B層がアクリル樹脂、メラミン架橋剤、及び長鎖アルキル化合物を含み、前記B層の厚み10~300nmであり、前記A層表面のSRz(10点平均表面粗さ)、B層表面のSRz(10点平均表面粗さ)がいずれも230nm以下であり、以下の条件で行うA層表面とB層表面とのブロッキングテスト後のA層表面の水との接触角が55~90度であり、前記ブロッキングテスト後のA層表面とB層表面の水との接触角の差が20~60度である積層フィルム。
    [ブロッキングテスト条件]
    積層フィルムを5cm四方にカットする。積層フィルムのA層表面とB層表面が接するように積層させ、C型の加熱可能な60tプレス機(ゴンノ水圧機製作所製)を用いて150kgf荷重を50℃で5時間処理する。
  2. 前記A層表面、B層表面の摩擦係数μdがいずれも0.35以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 積層フィルムのヘイズが3%以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 基材層がポリエステルからなる層である、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 基材層が粒子を含有しない、請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. A層が粒子を含有しない、請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. B層が粒子を含有しない、請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. ディスプレイの部材のガスバリアフィルムの基材として用いられる請求項1~7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の積層フィルムを用いたディスプレイ部材用ガスバリアフィルム。
  10. 請求項9に記載のガスバリアフィルムを用いたディスプレイ。
  11. ドライフィルムレジストの支持体として用いられる請求項1~7のいずれかに記載の積層フィルム。
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