以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。各実施形態では、解説済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付して重複する説明を省略し未解説の要素について主に述べる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図である。X線診断装置1は、X線高電圧装置2と、X線源装置3、X線検出器4、サポートフレーム5、および天板6を有する寝台と、画像発生回路7と、通信インタフェース回路8と、入力インタフェース回路9と、制御回路10と、処理回路11と、記憶回路12と、表示回路13とを備える。また、X線源装置3は、X線管3aと、X線可動絞り3bとを備える。尚、X線診断装置1は、例えば、消化管造影検査などで用いられるX線透視診断装置に相当する。また、X線診断装置1は、例えば、血管造影検査などで用いられる循環器用X線透視診断装置などでもよい。
X線高電圧装置2は、X線管3aに印加する管電流と、X線管3aに印加する管電圧とを発生する。X線高電圧装置2は、制御回路10による制御のもとで、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管3aに印加し、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電圧をX線管3aに印加する。尚、X線高電圧装置2は、例えば、インバータ制御方式の高電圧装置に相当する。
X線管3aは、X線高電圧装置2から印加された管電流と、X線高電圧装置2から印加された管電圧とに基づいてX線を発生する。X線管3aによって発生されたX線は、被検体Pに照射される。尚、X線管3aは、例えば、回転陽極型のX線管に相当する。また、X線管3aは、例えば、固定陽極型のX線管などでもよい。
以降、X線の照射方向の中心軸をZ軸とする。また、Z軸に垂直であって、天板6の長手方向の軸をY軸とし、Z軸とY軸とに垂直な軸をX軸とする。
X線可動絞り3bは、X線管3aによって発生されたX線の照射野を限定する。X線可動絞り3bは、X線の照射野を限定することによって、操作者が所望する被検体Pの撮影部位(或いは、撮影範囲)にだけX線を照射することができる。即ち、X線可動絞り3bは、撮影部位(或いは、撮影範囲)とは異なる部位(或いは、範囲)に対して、不要な被曝をさせないようにすることができる。また、X線可動絞り3bは、散乱X線の低減および焦点外X線の除去ができる。以降、「X線の照射野を限定する」という文言は、「X線を遮へいする」および「X線を絞る」という文言と相互に読み替えられてもよい。
また、X線可動絞り3bは、図示しない絞り機構を有する。絞り機構は、例えば、X軸方向に広がるX線を絞る一対の絞り羽根と、Y軸方向に広がるX線を絞る一対の絞り羽根とを有する。尚、絞り機構は、各々の絞り羽根を非対称に制御してもよく、各対の絞り羽根を対称に制御してもよい。例えば、絞り機構は、全ての絞り羽根がそれぞれ独立して動く機構であってもよいし、二つの対になった絞り羽根が、それぞれ左右対称、上下対称に動く機構であってもよい。また、絞り機構は、上述した4枚の絞り羽根をZ軸方向に複数設けることによって多層構造にしてもよい。
X線検出器4は、X線管3aから発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器4は、例えば、X線を検出することができるフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)を備える。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、間接変換形と直接変換形とがある。間接変換形とは、入射X線を蛍光体などのシンチレータによって光に変換し、変換された光を電気信号に変換する形式である。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。尚、X線検出器4として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。また、本明細書では、X線検出器4におけるX線を検出可能な範囲を「X線検出領域」と呼ぶ。
X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示しないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:A/D変換器)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、画像発生回路7に出力する。
本明細書では、例えば、照射野の大きい順に、4種類の視野サイズの視野をノーマル(Normal)視野N0、広視野M1、中視野M2、狭視野M3として定義する。ノーマル視野N0は、例えば、X線検出領域の全面からX線を検出可能な照射野に関連する。また、広視野M1は、ノーマル視野N0の照射野よりも狭い照射野に関連する。中視野M2は、広視野M1の照射野よりも狭い照射野に関連する。狭視野M3は、中視野M2の照射野よりも狭い照射野に関連する。尚、視野サイズは、照射野の大きさに関連しているため、「視野サイズが広がる」ことは「照射野が広がる」ことに関連する。
各視野サイズに対応するX線画像は、後述するディスプレイの表示ウィンドウに合うように(例えば、拡大されて)表示される。具体的には、広視野M1による表示は、ノーマル視野N0による表示よりも拡大されて表示される。よって、視野サイズを切り替えることは、表示ウィンドウに表示される画像の倍率を切り替えることと同義である。また、各視野N0~M3を拡大率の大きい順に並べると、M3、M2、M1、およびN0となる。
サポートフレーム5は、互いに対向配置されたX線源装置3およびX線検出器4を移動可能に支持する。具体的には、サポートフレーム5は、天板6の面に対して上方にX線源装置3が設置されるオーバーチューブ方式のフレームに相当する。尚、サポートフレーム5は、天板6の面に対して下方にX線源装置3が設置されるアンダーチューブ方式のフレームが用いられてもよい。また、サポートフレーム5は、CアームおよびΩアームによる構造が用いられてもよい。さらに、サポートフレーム5は、X線源装置3およびX線検出器4をそれぞれ独立に支持する2つのアーム(例えばロボットアームなど)による構造が用いられてもよい。
図示しない寝台は、被検体Pが載置される天板6(臥位テーブルとも言う)を有する。天板6には、被検体Pが載置される。
図示しない駆動装置は、例えば、制御回路10の制御によって、サポートフレーム5と寝台とをそれぞれ駆動する。X線透視時およびX線撮影時においては、X線源装置3とX線検出器4との間に、天板6に載置された被検体Pが配置される。また、駆動装置は、例えば、制御回路10の制御によって、X線可動絞り3bを駆動する。尚、駆動装置は、制御回路10の制御のもとで、X線源装置3に対してX線検出器4を回転させてもよい。
画像発生回路7は、X線検出器4からA/D変換器を介して出力されたディジタルデータに基づいてX線画像を発生する。画像発生回路7は、発生したX線画像を処理回路11、記憶回路12、および外部記憶装置(図示せず)などに出力する。
通信インタフェース回路8は、例えば、ネットワークおよび図示しない外部記憶装置に関する回路である。X線診断装置1によって得られたX線画像などは、通信インタフェース回路8およびネットワークを介して他の装置に転送可能である。尚、以降、通信インタフェース回路8を介して情報がやりとりされる場合には、「通信インタフェース回路8を介して」という記載を省略する。
入力インタフェース回路9は、操作者が所望するX線撮影の撮影条件およびX線透視の透視条件などのX線条件、透視・撮影位置、照射野、およびX線画像における関心領域(region of interest:ROI)などを、操作者の指示により入力する。具体的には、入力インタフェース回路9は、操作者からの各種指示、命令、情報、選択、および設定を、X線診断装置1に取り込む。
入力インタフェース回路9は、関心領域の設定などを行うためのジョイスティック、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ、撮影用のフットスイッチ、および音声認識用のマイクなどにより実現される。入力インタフェース回路9は、制御回路10に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路10へと出力する。
本明細書において、入力インタフェース回路9は、マウスおよびキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路10へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路9の例に含まれる。
制御回路10は、例えば、X線診断装置1における各回路および駆動装置などを制御するプロセッサである。制御回路10は、入力インタフェース回路9から入力された操作者の指示などの情報を、図示しないメモリに一時的に記憶する。制御回路10は、メモリに記憶された操作者の指示などに従って、X線撮影およびX線透視を実行するために、X線高電圧装置2、X線可動絞り3b、および駆動装置などを制御する。また、制御回路10は、画像発生回路7におけるX線画像発生処理および処理回路11における参照画像生成処理などを制御する。
制御回路10は、例えば、X線診断装置1における各回路および駆動装置などを制御するプロセッサである。制御回路10は、入力インタフェース回路9から入力された操作者の指示などの情報を、図示しないメモリに一時的に記憶する。制御回路10は、メモリに記憶された操作者の指示などに従って、X線撮影およびX線透視を実行するために、X線高電圧装置2、X線可動絞り3b、および駆動装置などを制御する。また、制御回路10は、画像発生回路7におけるX線画像発生処理および処理回路11における参照画像生成処理などを制御する。
さらに、制御回路10は、メモリに記憶された操作者の指示などに従って、視野サイズおよび視野位置に関する設定および制御を行うための各機能を実行する。上記各機能は、例えば、視野サイズ設定機能10a、視野位置設定機能10b、絞り制御機能10c、視野位置書込機能10d、および視野位置復元機能10eなどがある。
視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作によって、X線の照射野に関する複数の視野サイズのいずれかを設定する。具体的には、例えば、視野サイズ設定機能10aは、X線の照射野に関する複数の視野サイズのうちの第1の視野サイズ(例えば、広視野M1に対応)を設定する。このとき操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のスイッチボタンを操作することによって、任意の視野サイズ(或いは、任意の拡大率)を選択する。尚、選択方法として、タッチパネルをタッチして選択する方法や、音声認識によって選択する方法が用いられてもよい。
視野位置設定機能10bは、操作者の操作によって、視野位置を設定する。具体的には、例えば、視野位置設定機能10bは、視野サイズ設定機能10aにより設定された第1の視野サイズに対応する第1の視野を、X線検出器4のX線検出領域内の第1の視野位置に設定する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のジョイスティックを操作することによって、所望の位置へ視野を移動させる。換言すると、視野位置設定機能10bは、視野サイズ設定機能10aにより設定された視野サイズに対応する視野位置を記憶回路12から読み出し、当該読み出した視野位置を操作者の操作に応じて調整する機能をもっている。本明細書における「視野」は、後述するディスプレイに表示される画像と同義である。本明細書における「視野位置」は、視野がX線検出領域内に収まる任意の位置である。
なお、視野サイズおよび視野位置の設定は、操作者の操作によって、後述する処理回路11で生成される参照画像を用いて行われてもよい。操作者は、例えば、ディスプレイに表示された参照画像から所望の範囲(或いは、位置)を選択し、当該所望の範囲を中心とした任意の視野サイズを選択することで、視野サイズおよび視野位置を同時に設定することができる。
絞り制御機能10cは、視野位置設定機能10bにより視野位置の視野に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。具体的には、例えば、絞り制御機能10cは、視野位置設定機能10bにより設定された第1の視野位置の第1の視野に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。詳しくは、絞り制御機能10cは、視野サイズ設定機能10aにより設定された視野サイズと、視野位置設定機能10bにより読み出した又は調整された最終の視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。
視野位置書込機能10dは、設定された視野サイズに対応付けて、当該調整された最終の視野位置を対応付けて記憶回路12などに書き込む。具体的には、例えば、視野位置書込機能10dは、視野サイズ設定機能10aによる、設定された第1の視野サイズとは異なる第2の視野サイズ(例えば、中視野M2に対応)への切り替え設定を契機として、当該最終の視野位置を書き込む。但し、視野位置を書き込む時点は、視野サイズの切り替え設定の時点に限らず、視野位置を調整した時点でもよい。なお、本明細書中、第2の視野サイズは、中視野M2の視野サイズに限らず、ノーマル視野N0、広視野M1、および狭視野M3のいずれの視野に対応する視野サイズとしてもよい。同様に、第1の視野サイズは、第2の視野サイズとは異なる視野サイズであればよい。
また、視野位置書込機能10dは、視野サイズに関連するX線条件を、当該視野サイズと視野位置とに更に対応付けて記憶回路12などに書き込んでもよい。具体的には、例えば、X線条件を直接書き込んでもよく、X線条件を設定した条件テーブルの識別情報を当該X線条件として書き込んでもよい。
視野位置復元機能10eは、視野サイズ設定機能10aによって過去に選択された視野サイズが再設定されたことを契機として、記憶回路12などから当該視野サイズに対応付けられた視野位置を読み出す。これにより、視野位置復元機能10eは、過去に選択された視野サイズに対応する過去の視野位置を復元する。
処理回路11は、ハードウェア資源として、プロセッサおよびメモリを備える。処理回路11は、操作者により入力インタフェース回路9を介して入力された開始指示に応じて、記憶回路12に記憶された制御プログラムを読み出す。処理回路11は、読み出した制御プログラムに従って、画像発生回路7により発生したX線画像をディスプレイに表示するための画像処理を実行する。画像処理として、例えば、X線が照射された範囲だけの画像を切り出し、切り出した画像をディスプレイの表示領域に拡大する処理などがある。
さらに、処理回路11は、X線検出領域(ノーマル視野)に対する設定された視野サイズの位置を示す参照画像を生成してもよい。具体的には、処理回路11は、例えば、ノーマル視野で予め取得されたX線画像(或いは、透視画像から取得した静止画像)を用い、当該画像上に、視野サイズを表した枠線を重畳することによって参照画像を生成する。尚、参照画像は、取得したX線画像が無い場合には、X線画像の代わりにX線検出領域(ノーマル視野)の外枠を示す枠線を表示させてもよい。
記憶回路12は、HDD(Hard Disk Drive)などの電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成される。メモリとしては、HDDに限らず、SSD(ソリッドステートドライブ)、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD、DVD、Blu-ray(登録商標)など)、および半導体メモリなどが適宜、使用可能となっている。
また、記憶回路12は、画像発生回路7で発生された種々のX線画像、制御回路10から送られてくる視野サイズと視野位置とを対応付けた情報、処理回路11で処理された参照画像、X線診断装置1のシステム制御プログラム、制御回路10において実行される診断プロトコル、入力インタフェース回路9から送られてくる操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件およびX線透視に関する透視条件などの各種データ群、エラー情報、およびネットワークを介して送られてくる種々のデータなどを記憶する。
ここで、記憶回路12の記憶内容のうち、視野サイズと視野位置とを対応付けた情報について図2A乃至図2Cを用いて説明する。記憶回路12は、図2Aに示すように、X線の照射野に関する各々の視野サイズと、視野サイズに対応する視野をX線検出領域内に位置させるための各々の視野位置とを対応付けて記憶する。
図2A中、視野サイズの値「N0」は、ノーマル視野N0の視野サイズを表す。視野サイズの値「M1」は、広視野M1,M1a,M1pの視野サイズを表す。なお、広視野M1,M1a,M1pは、互いに拡大率が等しい視野であるため、視野サイズの値「M1」も互いに等しい。視野サイズの値「M2」は、中視野M2,M2a,M2b,M2cの視野サイズを表す。中視野M2,M2a,M2b,M2cは、互いに拡大率が等しい視野であるため、視野サイズの値「M2」も互いに等しい。視野サイズの値「M3」は、狭視野M3の視野サイズを表す。図2A中、視野位置の値は、視野位置に対応する視野の中心位置を示すxy座標の値である。
なお、記憶回路12は、図2Bに示すように、各々の視野サイズに関連するX線条件XC0,…,XC3を、当該各々の視野サイズと当該各々の視野位置とに更に対応付けて記憶してもよい。図2B中、X線条件の値「XC0」、…、「XC3」は、例えば、X線条件を設定した4つの条件テーブル(図示せず)の識別情報である。但し、これに限らず、図示した値「XC0」、…、「XC3」は、それぞれ管電圧、管電流といったX線条件を表す値としてもよい。また、記憶回路12は、図2Cに示すように、所定の視野サイズと複数の視野位置とを対応付けて記憶してもよい。あるいは、記憶回路12は、所定の視野サイズと複数の視野位置とX線条件とを対応付けて記憶してもよい(図示せず)。
表示回路13は、医用画像などを表示するディスプレイ、当該ディスプレイに表示用の信号を供給する内部回路、およびディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成される。
ディスプレイは、画像発生回路7によって発生されたX線画像(撮影画像または透視画像)、或いは処理回路11で処理された参照画像を表示する。ディスプレイは、ディスプレイの全面を、表示ウィンドウとしてもよいし、ディスプレイの一部を表示ウィンドウとしてもよいし、その両方を切り替えられるようにしてもよい。また、ディスプレイは、X線画像と参照画像とを並べて表示ウィンドウに表示させてもよい。尚、ディスプレイは、透視・撮影位置、X線条件などの入力に関する入力画面を更に表示してもよい。また、ディスプレイは、例えば、X線画像と入力画面とを並べて表示ウィンドウに表示してもよいし、X線画像と参照画像と入力画面とを並べて表示ウィンドウに表示してもよい。
次に、以上のように構成されたX線診断装置1の動作について、図3のフローチャートおよび図4の表示画像などを用いて説明する。以下の説明は、主に、制御回路10による視野サイズおよび視野位置に関する設定および制御について述べる。
始めに、寝台の天板6の上に被検体Pが載置される。X線診断装置1は、操作者の操作により、予め設定された検査種別および検査名が選択され、選択された検査種別および検査名に対応付けられた透視条件(X線条件)を設定する。その後、X線診断装置1は、操作者の操作により、ノーマル視野N0でX線透視を開始する。すなわち、X線管3aがX線を発生し、絞り制御機能10cが、ノーマル視野N0の視野サイズおよび視野位置に基づいて、X線可動絞り3bを制御し、X線の照射野を限定する。限定された照射野のX線は、被検体Pを透過してX線検出器4に検出される。画像発生回路7は、X線検出器4の出力に基づいてX線画像を生成する。表示回路13は、ノーマル視野N0のX線画像を表示する。しかる後、ステップST11を開始する。
ステップST11において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、視野サイズを第1の視野サイズに設定する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のスイッチボタンを操作することによって、任意の視野サイズ(或いは、任意の拡大率)を選択する。尚、視野サイズの選択は、視野サイズの切り替えと呼んでもよい。
具体的には、図4(a)に例示されるように、視野サイズ設定機能10aは、開始時のノーマル視野N0の視野サイズとは異なる広視野M1の視野サイズを設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズおよび視野位置に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、広視野M1の表示画像21は、ノーマル視野N0による画像の中心に向かって拡大した画像となる。これは、X線透視の開始後、初めて第1の視野サイズを設定する場合には、第1の視野サイズに対応する視野位置が記憶回路12に記憶されていないためである。
ステップST12において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、適宜、調整した視野位置を第1の視野位置に設定する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のジョイスティックを操作することによって、所望の位置(関心領域)へ広視野M1を移動させる。
具体的には、図4(b)に例示されるように、視野位置設定機能10bは、広視野M1の視野位置を適宜、調整して広視野M1aの視野位置を設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、調整した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、広視野M1aの表示画像22は、広視野M1の表示画像21の拡大率を維持したまま、視野位置が移動した画像となる。
ステップST13において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、視野サイズを第2の視野サイズに設定する。
具体的には、図4(c)に例示されるように、視野サイズ設定機能10aは、広視野M1aの視野サイズとは異なる中視野M2の視野サイズを設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズおよび視野位置に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、中視野M2の表示画像23は、広視野M1aの表示画像22の中心に向かって拡大した画像となる。これは、前述同様に、初めて第2の視野サイズを設定する場合には、第2の視野サイズに対応する視野位置が記憶回路12に記憶されていないためである。
ステップST14において、視野位置書込機能10dは、視野サイズ設定機能10aによる、第1の視野サイズから第2の視野サイズへの切り替え設定を契機として、第1の視野サイズに対応付けて、切り替え設定前の第1の視野位置を記憶回路12などへ記憶する。
ステップST15において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、適宜、調整した視野位置を第2の視野位置に設定する。
具体的には、図4(d)に例示されるように、視野位置設定機能10bは、中視野M2の視野位置を適宜、調整して中視野M2aの視野位置を設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、調整した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、中視野M2aの表示画像24は、中視野M2の表示画像23の拡大率を維持したまま、視野位置が移動した画像となる。
ステップST16において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、視野サイズを第1の視野サイズに再設定する。
ステップST17において、視野位置復元機能10eは、視野サイズ設定機能10aによる、第1の視野サイズの再設定を契機として、第1の視野サイズに対応付けられた第1の視野位置を記憶回路12から読み出す。これにより、視野位置復元機能10eは、第1の視野位置を復元する。
具体的には、図4(e)に例示されるように、視野位置復元機能10eは、広視野M1aの視野サイズの再設定を契機として、広視野M1aの視野サイズに対応する視野位置を読み出す。これにより、広視野M1aの視野位置を設定(復元)する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、復元した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、復元した視野位置をもつ広視野M1aの表示画像25は、ステップST14で記憶した視野位置をもつ広視野M1aの表示画像22と略同様の画像となる。尚、略同様の画像とは、視野サイズおよび視野位置が略一致している状態で透視(或いは、撮影)された画像を示し、被検体Pの動作などに起因する表示画像自体の変化については考慮しないものとする。
ステップST18において、視野位置書込機能10dは、視野サイズ設定機能10aによる、第2の視野サイズから第1の視野サイズに切り替える再設定を契機として、第2の視野サイズに対応付けて、再設定前の第2の視野位置を記憶回路12などへ記憶する。
以上説明したように第1の実施形態によれば、X線診断装置は、X線の照射野に関する各々の視野サイズと、視野サイズに対応する視野をX線検出領域内に位置させるための各々の視野位置とを対応付けて記憶する記憶部を備える。また、X線診断装置は、各々の視野サイズのうちのいずれかの視野サイズを設定する。また、X線診断装置は、設定された第1の視野サイズに対応する視野位置を記憶部から読み出し、当該読み出した視野位置を操作者の操作に応じて調整する。そして、X線診断装置は、設定された視野サイズと、上記読み出した又は上記調整された最終の視野位置とに基づいて、X線可動絞りを制御する。
従って、設定した視野サイズと、この視野サイズに対応して読み出した視野位置とに基づいてX線可動絞りを制御できる構成により、視野サイズを切り替えた際に、以前設定した視野位置を維持することができる。
これに加え、第1の実施形態によれば、設定された視野サイズに対応付けて、調整された最終の視野位置を記憶部に書き込む。例えば、設定された視野サイズとは異なる視野サイズへの切り替え設定を契機として、最終の視野位置を書き込む。従って、X線診断装置は、視野サイズの切り替え設定を契機として、切り替え前の視野サイズと視野位置とを対応付けて記憶させることができるため、視野サイズを切り替えた際においても、以前設定した視野位置を維持することができる。これにより、視野サイズを切り替える度に発生する可能性のある視野位置の設定を省略することができ、作業効率の向上や不要被曝の低減が見込まれる。これは、視野位置を調整した時点で書き込む場合も同様である。
また、第1の実施形態によれば、X線診断装置は、第1の視野サイズの再設定を契機として、第1の視野サイズに対応付けられた第1の視野位置を復元することにより、以前設定した視野位置を再利用することができる。
また、第1の実施形態によれば、X線診断装置は、図2Bに示したように、各々の視野サイズに関連するX線条件を、各々の視野サイズと各々の視野位置とに更に対応付けて記憶してもよい。具体的には、切り替え前の視野サイズに対応する視野位置を記憶回路12に書き込む際に、切り替え前のX線条件も切り替え前の視野サイズに対応付けて記憶回路12に書き込めばよい。この場合には、視野サイズに応じた視野位置およびX線条件を復元できるため、視野サイズごとに適切なX線条件を設定(復元)でき、安定したX線画像(撮影画像または透視画像)を得ることができる。なお、X線診断装置は、視野サイズに対応して記憶したX線条件を設定(使用)する前に、このX線条件の設定の許可を操作者に促すメッセージを画面表示してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、記憶回路12に記憶された各々の視野位置のうち、特定の視野位置については、初期位置を予め設定する構成となっている。なお、初期位置は、プリセット位置と呼んでもよい。
ここで、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作によって、X線の照射野に関する複数の視野サイズのいずれかを設定する。更に、視野サイズ設定機能10aは、設定した視野サイズの情報を視野位置復元機能10eへと出力する。
視野位置復元機能10eは、視野サイズ設定機能10aから受けた視野サイズの情報を用いて、当該視野サイズに予め対応付けられた特定の視野位置の初期位置が記憶回路12に存在するか否かを判定する。初期位置が存在する場合には、視野位置復元機能10eは、受けた視野サイズに対応付けられた特定の視野位置の初期位置を復元し、そうでなければ操作者の操作があるまで待機する。換言すると、視野位置復元機能10eは、受けた視野サイズ(例えば、第1の視野サイズ)に予め特定の視野位置の初期位置が対応付けられている場合に、視野サイズ設定機能10aによる、第1の視野サイズに対応付けられた特定の視野位置を復元する。
ここで、ある視野サイズに対応付けられた特定の視野位置に初期位置を設定するプリセット方法について述べる。なお、プリセット方法は、例えば、プリセット方法を実行するプリセット機能を処理回路11(または制御回路10)が含んでいればよい。例えば、プリセット方法は、プリセット機能を実現するプログラムを記憶回路12に記憶しておき、処理回路11(または制御回路10)が当該プログラムを読み出して実行することにより実現可能となっている。
ここで、第1のプリセット方法は、特定の視野位置の初期位置を、例えば、操作者の操作によって、種々の検査に応じた解剖学的な位置関係に基づいて、記憶回路12に設定する方式である。検査としては、図5Aに例示される、内視鏡逆行性膵胆管造影法(Endoscopic Retrograde CholangioPancreatography:ERCP)による検査が想定される。
ERCPの検査において、操作者は、被検体Pの口から十二指腸まで内視鏡Eを挿入し、内視鏡Eの先端部をファーター乳頭pVの付近に留める。次に、操作者は、ノーマル視野でX線透視を開始させ、所定の線源受像面間距離(Source Image Distance:SID)となるようにX線源装置3を移動させ、内視鏡Eの先端が図5Bに例示される参照画像41の基準マーカCRに位置する場所までX線源装置3を移動させる。以上の操作は、設定のための位置決めである。
位置決めが完了した後に、例えば、処理回路11は、ファーター乳頭pVを基準とした解剖学的な位置関係から特定の視野位置を算出する。具体的には、処理回路11は、例えば、ノーマル視野における基準マーカCRの位置とSIDとを用いて、胆嚢を関心領域(ROI)として捉え得る設定視野Mgを算出する。
また、第2のプリセット方法としては、特定の視野位置の初期位置を、例えば、操作者の操作によって、X線検出器4のX線検出領域の全面に対応する領域との位置関係に基づいて記憶回路12に設定する方式である。具体的には、操作者は、例えば、ノーマル視野に相当する参照画像から、所定の視野サイズに相当する範囲を選択することによって、当該所定の視野サイズに対応する特定の視野位置の初期位置を設定することができる。
次に、以上のように構成されたX線診断装置1の動作について、図6のフローチャートおよび図7の表示画像などを用いて説明する。以下の説明は、主に、制御回路10による視野サイズおよび視野位置に関する設定および制御について述べる。
始めに、寝台の天板6の上に被検体Pが載置される。X線診断装置1は、操作者の操作により、予め設定された検査種別および検査名が選択され、選択された検査種別および検査名に対応付けられた透視条件(X線条件)を設定する。その後、X線診断装置1は、操作者の操作により、前述同様にノーマル視野N0でX線透視を開始し、ステップST11を開始する。
ステップST11において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、開始時のノーマル視野N0の視野サイズに代えて、視野サイズを第1の視野サイズに設定する。なお、第1の視野サイズは、例えば、広視野M1pの視野サイズであるとする。更に、視野サイズ設定機能10aは、設定した第1の視野サイズの情報を視野位置復元機能10eへと出力する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のスイッチボタンを操作することによって、任意の視野サイズ(或いは、任意の拡大率)を選択する。尚、視野サイズの選択は、視野サイズの切り替えと呼んでもよい。
ステップST21では、視野位置復元機能10eは、視野サイズ設定機能10aから受けた第1の視野サイズに予め対応付けられた特定の視野位置の初期位置が記憶回路12に存在するか否かを判定する。特定の視野位置の初期位置が存在する場合には、処理はステップST22へと進み、そうでなければ、処理は図3のステップST12へと進む。
ステップST22において、視野位置復元機能10eは、ステップST11により設定された第1の視野サイズに対応付けられた特定の視野位置の初期位置を記憶回路12から読み出す。これにより、視野位置復元機能10eは、特定の視野位置(の初期位置)を復元する。
具体的には、図7(a)に例示されるように、視野位置復元機能10eは、ステップST11で設定した広視野M1pの視野サイズに基づき、当該設定した視野サイズに対応付けられた特定の視野位置を復元する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、復元した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、広視野M1pの表示画像31は、ノーマル視野よりも拡大し、且つ、特定の視野位置へ視野が既に移動された画像となる。しかる後、特定の視野位置は、操作者の操作により、適宜、調整されて最終の視野位置になる。
ステップST23において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、広視野M1pの第1の視野サイズに代えて、視野サイズを第2の視野サイズに設定する。
具体的には、図7(b)に例示されるように、視野サイズ設定機能10aは、広視野M1pの視野サイズとは異なる中視野M2の視野サイズを設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズおよび視野位置に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、中視野M2の表示画像32は、広視野M1pの表示画像31の中心に向かって拡大した画像となる。
ステップST24において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、適宜、調整した視野位置を第2の視野位置に設定する。
具体的には、図7(c)に例示されるように、視野位置設定機能10bは、中視野M2の視野位置を適宜、調整して中視野M2aの視野位置を設定する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、調整した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、中視野M2aの表示画像33は、中視野M2の表示画像32の拡大率を維持したまま、視野位置が移動した画像となる。
ステップST25において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、視野サイズを第1の視野サイズに再設定する。
ステップST26において、視野位置復元機能10eは、視野サイズ設定機能10aによる、第1の視野サイズの再設定を契機として、第1の視野サイズに対応付けられた特定の視野位置を記憶回路12から読み出す。これにより、視野位置復元機能10eは、特定の視野位置を復元する。
具体的には、図7(d)に例示されるように、視野位置復元機能10eは、広視野M1pの視野サイズの再設定を契機として、広視野M1pの視野サイズに対応する特定の視野位置を読み出す。これにより、広視野M1pの特定の視野位置を設定(復元)する。絞り制御機能10cは、視野サイズと、設定した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。このとき、広視野M1pの表示画像34は、広視野M1pの表示画像31と略同様の画像となる。尚、略同様の画像とは、視野サイズおよび視野位置が略一致している状態で透視(或いは、撮影)された画像を示し、被検体Pの動作などに起因する表示画像自体の変化については考慮しないものとする。但し、再設定を契機として読み出される特定の視野位置は、初期位置を調整した場合には、初期位置ではなく、調整した最終の視野位置となる。
ステップST27において、視野位置書込機能10dは、視野サイズ設定機能10aによる、第2の視野サイズから第1の視野サイズに切り替える再設定を契機として、第2の視野サイズに対応付けて、再設定前の第2の視野位置を記憶回路12などへ記憶する。
以上説明したように第2の実施形態によれば、X線診断装置は、記憶部に記憶された各々の視野位置のうち、特定の視野位置については、初期位置を予め設定する。これにより、第1の視野サイズに予め特定の視野位置の初期位置が対応付けられている場合に、第1の視野サイズの設定を契機として、第1の視野サイズに対応付けられた特定の視野位置の初期位置を復元する。そのため、初めて第1の視野サイズを設定するときに特定の視野位置の設定を省略できるため、作業効率の向上や不要被曝の低減が見込まれる。補足すると、第1の実施形態では、検査開始後、視野サイズを初めて選択する場合に、当該視野サイズに対応する視野位置が無いため、画面中央を中心として画像が拡大又は縮小される。これに対し、第2の実施形態によれば、視野サイズに対応する視野位置(初期位置)が予め設定されているため、視野サイズを初めて選択する場合でも、関心領域を中心に画像を拡大できる。
また、第2の実施形態によれば、X線診断装置は、特定の視野位置の初期位置を、種々の検査に応じた解剖学的な位置関係に基づいて設定する。そのため、操作者の負担を減らすことができる。
また、第2の実施形態によれば、X線診断装置は、特定の視野位置の初期位置を、X線検出領域の全面に対応する領域との位置関係に基づいて設定する。そのため、X線画像(撮影画像または透視画像)を必要とせずに、予め視野位置を設定することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態の変形例であり、図2Cに示したように、ある視野サイズに対して複数の視野位置を対応付けて記憶する構成となっている。なお、図示しないが、各々の視野サイズに対応付ける視野位置の個数は、視野サイズ毎に同一でもよく、異なっていてもよい。例えば、ある2つの視野サイズの各々には、それぞれ1つの視野位置を対応付けており、別の2つの視野サイズの各々には、それぞれ3つの視野位置を対応付けていてもよい。
視野位置書込機能10dは、操作者の操作によって、所定の視野サイズと複数の所定の視野位置とを対応付けて記憶回路12などに記憶してもよい。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9の任意のスイッチボタンを操作することによって、設定中の視野サイズと視野位置とを対応付けて記憶させる。
また、記憶させる方法は、透視時の操作中に限らず、ノーマル視野に相当する参照画像から、所定の視野サイズに相当する範囲を複数選択することによって、当該所定の視野サイズと複数の所定の視野位置とを対応付けて記憶させてもよい。具体的には、図8に例示されるように、視野位置書込機能10dは、操作者の操作によって、参照画像51から中視野M2に相当する範囲を順番に選択することによって、所定の視野サイズと複数の所定の視野位置(中視野M2a,M2b,M2c)とを対応付けて記憶回路12へと記憶する。
視野位置復元機能10eは、前述した機能に加え、所定の視野サイズが連続して設定される毎に、当該所定の視野サイズに対応する複数の視野位置のうちの1つを記憶回路12から巡回的に読み出す機能をもっている。具体的には、例えば、視野位置復元機能10eは、第2の視野サイズ(中視野M2に対応)による表示中に、同じ視野サイズが設定されたことを契機として、中視野M2a,M2b,M2cを循環して復元する。同じ視野サイズを設定する方法として、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9の視野サイズの変更に対応したスイッチボタンを操作してもよいし、入力インタフェース回路9のタッチパッドにより参照画面に表示された複数の所定の視野位置を選択してもよいし、入力インタフェース回路9の音声認識用マイクにより参照画面に表示された複数の所定の視野位置を音声で指示してもよい。
処理回路11は、X線検出領域の全面に対応する参照画像であって、設定された視野サイズに対応する一つ以上の視野の位置を示す参照画像を生成してもよい。具体的には、処理回路11は、例えば、X線検出領域の全面(ノーマル視野)に対応する視野サイズで予め取得されたX線画像を用い、当該X線画像上に、当該設定された視野サイズに対応する視野を表した一つ以上の枠線を重畳することによって参照画像を生成する。より具体的には、図8に例示されるように、処理回路11は、参照画像51において、中視野M2a,M2b,M2cを示す枠線を表示してもよい。
また、処理回路11は、参照画像上に重畳している枠線の線種を変更する処理を行ってもよい。具体的には、図9に例示されるように、処理回路11は、参照画像61上に重畳して表示している枠線(中視野M2a,M2b,M2c)を、選択されている視野(中視野M2a)には実線、選択されていない視野(中視野M2b,M2c)には破線で表す。換言すると、処理回路11は、設定中の視野サイズに対応する視野を表した枠線と、それ以外の枠線との線種を異ならせる処理を行う。これにより、複数の視野位置のうちの現在選択されている視野を明示できる。
表示回路13のディスプレイは、参照画像と透視画像(ライブ画像)とを並べて表示ウィンドウに表示してもよい。具体的には、ディスプレイは、図9に例示されるように、表示ウィンドウ60に、参照画像61とライブ画像62とを並べて表示する。ライブ画像62は、参照画像61において選択されている中視野M2aが拡大されて表示されている。但し、前述した参照画像51,61は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。例えば、参照画像61を省略した場合、参照画像61が無い表示ウィンドウ60において、所定の視野サイズが連続して設定される毎に、当該所定の視野サイズに対応するライブ画像62が巡回的に表示される。
次に、以上のように構成されたX線診断装置1の動作について、図10のフローチャートおよび図8および図9の参照画像などを用いて説明する。以下の説明は、主に、制御回路10による視野サイズおよび視野位置に関する設定および制御について述べる。
始めに、寝台の天板6の上に被検体Pが載置される。X線診断装置1は、操作者の操作により、予め設定された検査種別および検査名が選択され、選択された検査種別および検査名に対応付けられた透視条件(X線条件)を設定する。その後、X線診断装置1は、操作者の操作により、前述同様にノーマル視野N0でX線透視を開始し、適宜、X線透視の静止画像を参照画像51,61に用いるX線画像として予め取得しておく。このX線画像は、適宜、記憶回路12に保存される。しかる後、ステップST31を開始する。
ステップST31において、視野サイズ設定機能10aは、操作者の操作により、視野サイズを第1の視野サイズに設定する。更に、視野サイズ設定機能10aは、設定した第1の視野サイズの情報を視野位置設定機能10bへと出力する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のスイッチボタンを操作することによって、任意の視野サイズ(或いは、任意の拡大率)を選択する。尚、視野サイズの選択は、視野サイズの切り替えと呼んでもよい。
ステップST32において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、第1の視野サイズに対応する視野位置を記憶回路12から読み出し、適宜、調整した視野位置を第1の視野位置に設定する。なお、第1の視野サイズに対応する視野位置の初期値としては、例えば、ノーマル視野N0の中心位置としてもよい。また、調整のとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のジョイスティックを操作することによって、所望の位置(関心領域)へ視野を移動させる。具体的には、図8に例示されるように、視野位置設定機能10bは、操作者の操作に応じて、中視野M2aの視野位置を調整および設定する。なお、読み出した視野位置は、調整せずに設定してもよい。
ステップST33において、視野位置書込機能10dは、操作者の操作により、第1の視野サイズと第1の視野位置とを対応付けて記憶回路12などへ記憶する。このとき、操作者は、例えば、入力インタフェース回路9のスイッチボタンを操作することによって、設定中の視野サイズ(第1の視野サイズ)と第1の視野位置とを対応付けて記憶させる。
ステップST34において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、視野位置を第2の視野位置に設定する。具体的には、図8に例示されるように、視野位置設定機能10bは、操作者の操作に応じて、中視野M2aの視野位置を調整し、得られた中視野M2bの視野位置を設定する。
ステップST35において、視野位置書込機能10dは、操作者の操作により、第1の視野サイズと第2の視野位置とを対応付けて記憶回路12などへ記憶する。これにより、記憶回路12は、第1の視野サイズに対応付けて、2つの視野位置(第1および第2の視野位置)を記憶する。
ステップST36において、視野位置設定機能10bは、操作者の操作により、視野位置を第3の視野位置に設定する。具体的には、図8に例示されるように、視野位置設定機能10bは、操作者の操作に応じて、中視野M2bの視野位置を調整し、得られた中視野M2cの視野位置を設定する。
ステップST37において、視野位置書込機能10dは、操作者の操作により、第1の視野サイズと第3の視野位置とを対応付けて記憶回路12などへ記憶する。これにより、記憶回路12は、第1の視野サイズに対応付けて、3つの視野位置(第1乃至第3の視野位置)を記憶する。
ステップST38において、処理回路11は、設定された第1の視野サイズに対応する3つの中視野M2a,M2b,M2cの位置を示す当該参照画像61を生成する。具体的には、処理回路11は、図9に示したように、ノーマル視野N0の視野サイズで予め取得されたX線画像を用い、当該X線画像上に、第1の視野サイズに対応する中視野M2a,M2b,M2cを表した3つの枠線を重畳することによって参照画像61を生成する。このとき、処理回路11は、設定中の第1の視野サイズに対応する中視野M2aを表した枠線と、それ以外の枠線との線種を異ならせる処理を行う。また、絞り制御機能10cは、視野サイズおよび視野位置に基づいて、X線可動絞り3bを制御する。これにより、視野位置に対応するライブ画像62が参照画像61に並べて表示される。
ステップST39において、操作者の操作により、第1の視野サイズが連続して設定されたとする。このとき、視野位置復元機能10eは、第1の視野サイズが連続して設定される毎に、第1の視野サイズに対応する3つの視野位置のうちの1つを記憶回路12から巡回的に読み出す。すなわち、広視野M2aの視野位置、広視野M2bの視野位置、広視野M2cの視野位置が、巡回するように読み出される(M2a→M2b→M2c→M2a→M2b→M2c→M2a→・・・)。
これにより、第1の視野サイズが設定されると、例えば、広視野M2aの視野位置が復元される。続いて、第1の視野サイズが設定されると、広視野M2bの視野位置が復元される。続いて、第1の視野サイズが設定されると、広視野M2cの視野位置が復元される。更に、第1の視野サイズが設定されると、広視野M2aの視野位置が復元される。以下、同様に、第1の視野サイズが設定される毎に、視野サイズに対応する3つの視野位置のうちの1つが巡回的に復元される。また、これに伴い、絞り制御機能10cは、視野サイズと、復元した視野位置とに基づいて、X線可動絞り3bを制御する。よって、視野位置に対応するライブ画像62が巡回的に表示される。
以上説明したように第3の実施形態によれば、X線診断装置は、所定の視野サイズと複数の視野位置とを対応付けて記憶する。X線診断装置は、所定の視野サイズが連続して設定される毎に、所定の視野サイズに対応する複数の視野位置のうちの1つを記憶部から巡回的に読み出す。そのため、関心領域が複数ある場合でも、簡便に視野を変更することができる。
また、第3の実施形態によれば、X線診断装置は、X線検出領域の全面に対応する参照画像であって、設定された視野サイズに対応する一つ以上の視野の位置を示す当該参照画像を生成する。そのため、ノーマル視野に対する複数の視野位置を容易に確認することができる。
また、第3の実施形態によれば、X線診断装置は、X線検出領域の全面に対応する視野サイズで予め取得されたX線画像を用い、当該X線画像上に、設定された視野サイズに対応する視野を表した一つ以上の枠線を重畳することによって参照画像を生成する。そのため、ノーマル視野に対する複数の視野位置を容易に視認することができる。
また、第3の実施形態によれば、X線診断装置は、設定中の視野サイズに対応する視野を表した枠線と、それ以外の枠線との線種を異ならせる処理を行う。これにより、表示中のX線画像(撮影画像または透視画像)が、ノーマル視野のどこに位置しているかを容易に判別することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Comlex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現する。尚、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成してもよい。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現する。
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その各種機能を実現するようにしてもよい。更に、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
各実施形態における記憶回路12は、特許請求の範囲における記憶部の一例である。各実施形態における視野サイズ設定機能10aは、特許請求の範囲における視野サイズ設定部の一例である。各実施形態における視野位置設定機能10bおよび視野位置復元機能10eは、特許請求の範囲における調整部の一例である。各実施形態における絞り制御機能10cは、特許請求の範囲における制御部の一例である。各実施形態における視野位置書込機能10dは、特許請求の範囲における書込部の一例である。各実施形態における処理回路11(または制御回路10)は、特許請求の範囲における初期位置設定部の一例である。各実施形態における処理回路11は、特許請求の範囲における処理部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。