以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の概略説明図、図2は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
この液体を吐出する装置である印刷装置1000は、連続体10を搬入する搬入手段1と、搬入手段1から搬入された連続体10を印刷手段5に案内搬送する案内搬送手段3と、連続体10に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段5と、連続体10を乾燥する乾燥手段7と、連続体10を排出する排出手段9などを備えている。
連続体10は搬入手段1の元巻きローラ11から送り出され、搬入手段1、案内搬送手段3、乾燥手段7、排出手段9の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段9の巻取りローラ91にて巻き取られる。
この連続体10は、印刷手段5において、搬送ガイド部材59上をヘッドユニット50及びヘッドユニット55に対向して搬送され、ヘッドユニット50から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
ここで、ヘッドユニット50には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ51K、51C、51M、51Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ51」という。)が配置されている。
各ヘッドアレイ51は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続体10に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
ヘッドアレイ51は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材52上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
次に、液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板101と、流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103の振動領域(振動板)130を変位させる圧電アクチュエータ111と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材120と、カバー129を備えている。なお、流路板102と振動板部材103で構成される部分を流路部材140という。
ノズル板101は、液体を吐出する複数のノズル104を有している。
流路板102は、ノズル104にノズル連通路105を介して通じる個別液室106、個別液室106に通じる供給側流体抵抗部107、供給側流体抵抗部107に通じる液導入部108となる貫通穴や溝部を形成している。ノズル連通路105は、ノズル104と個別液室106にそれぞれ連なって通じる流路である。また、液導入部108は振動板部材103の開口109を介して供給側共通液室110に通じている。
振動板部材103は、流路板102の個別液室106の壁面を形成する変形可能な振動領域130を有する。ここでは、振動板部材103は2層構造(限定されない)とし、流路板102側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室106に対応する部分に変形可能な振動領域130を形成している。
そして、この振動板部材103の個別液室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した圧電部材をハーフカットダイシングによって溝加工して所要数の柱状の圧電素子112を所定の間隔で櫛歯状に形成している。
そして、圧電素子112を振動板部材103の振動領域130に形成した島状の厚肉部である凸部130aに接合している。また、圧電素子112にはフレキシブル配線部材115が接続されている。
共通液室部材120は、供給側共通液室110と排出側共通液室150を形成する。供給側共通液室110は供給ポート171に通じ、排出側共通液室150は排出側ポート181に通じている。
なお、ここでは、共通液室部材120は、第1共通液室部材121及び第2共通液室部材122によって構成され、第1共通液室部材121を流路部材140の振動板部材103側に接合し、第1共通液室部材121に第2共通液室部材122を積層して接合している。
第1共通液室部材121は、液導入部108に通じる供給側共通液室110の一部である下流側共通液室110Aと、排出流路151に通じる排出側共通液室150とを形成している。また、第2共通液室部材122は、供給側共通液室110の残部である上流側共通液室110Bを形成している。
また、流路板102には、各個別液室106にノズル連通路105を介して通じる流路板102の面方向に沿う排出流路151を形成している。排出流路151が排出側共通液室150に通じている。
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子112に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板部材103の振動領域130が引かれて個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104に向かう方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させることにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出される。
また、ノズル104から吐出されない液体はノズル104を通過して排出流路151から排出側共通液室150に排出され、排出側共通液室150から外部の循環経路を通じて供給側共通液室110に再度供給される。
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、本発明の第1実施形態における液体供給循環に係る部分について図5を参照して説明する。図5は同説明に供するブロック説明図である。
液体供給装置200は、ヘッド100から吐出する液体300を貯留する液体貯留手段であるメインタンク201と、第1サブタンク220と、第2サブタンク210と、第3サブタンク290と、第1送液ポンプ202と、第2送液ポンプ203と、第3送液ポンプ209を備えている。
また、複数のヘッド100が通じる第1マニホールド230及び第2マニホールド240と、各ヘッド100毎の加圧ヘッドタンク251及び減圧ヘッドタンク252と、液体中の溶存気体を除去する脱気手段である脱気装置260を備えている。
ここで、第1サブタンク220と第2サブタンク210との間に第3サブタンク290が配置され、メインタンク201からフィルタ205を含む液体経路289を介して第3送液ポンプ209によって第3サブタンク290に送液(供給)する。
第3サブタンク290には、液面検知手段291と、内部を大気開放する大気開放機構を構成する電磁弁292を備えている。
第3サブタンク290と第2サブタンク210とは液体経路283を通じて接続し、液体経路283には第2送液ポンプ203を設けている。また、第3サブタンク290と第2サブタンク210とは逆流液体経路285を通じて接続し、逆流液体経路285には電磁弁287を設けている。
第2サブタンク210は、気体室210aを有し、液体と気体が共存する構成である。第2サブタンク210には、液面を検知する液面検知手段211と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁212が設けられている。
第3サブタンク290と第1サブタンク220とは液体経路284を通じて接続し、液体経路284には第1送液ポンプ202を設けている。また、第3サブタンク290と第1サブタンク220とは逆流液体経路286を通じて接続し、逆流液体経路286には電磁弁288を設けている。
第1サブタンク220は、気体室220aを有し、液体と気体が共存する構成である。第1サブタンク220には、液面を検知する液面検知手段221と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁222が設けられている。
第1サブタンク220は、脱気装置260、フィルタ261を含む液体経路281を通じて第1マニホールド230に接続されている。
第1マニホールド230は、ヘッド100の供給ポート171(供給口)側に供給経路231を介して通じている。供給経路231は、加圧ヘッドタンク251を介してヘッド100の供給ポート171に接続されている。供給経路231には加圧ヘッドタンク251より上流側に経路を開閉する電磁弁232が設けられている。また、第1マニホールド230には圧力センサ233が設けられている。
第2サブタンク210は、液体経路282を介して第2マニホールド240に接続されている。
第2マニホールド240は、ヘッド100の排出ポート181(排出口)側に排出経路241介して通じている。排出経路241は、減圧ヘッドタンク252を介してヘッド100の排出ポート181に接続されている。排出経路241には減圧ヘッドタンク252より下流側に経路を開閉する電磁弁242が設けられている。また、第2マニホールド240には圧力センサ243が設けられている。
さらに、ヘッド100の上流となる第1マニホールド230とヘッド100の下流となる第2マニホールド240とを通じるバイパス経路270が設けられている。バイパス経路270には第1マニホールド230側に電磁弁271が、第2マニホールド240側に電磁弁272が設けられている。
ここで、第3サブタンク290から、液体経路284、第1サブタンク220、液体経路281、脱気装置260、第1マニホールド230、ヘッド100、第2マニホールド240、第2サブタンク210を経て第3サブタンク290に戻る経路で循環経路が構成される。
また、バイパス経路270は、第1マニホールド230と第2マニホールド240とをつなぐ経路であり、循環経路においてヘッド100の上流と下流とを接続する経路である。
また、電磁弁232、242、271、272によって、ヘッド100と循環経路との間が遮断され、バイパス経路270が循環経路の一部を構成する第1経路と、バイパス経路270と循環経路との間が遮断され、ヘッド100が循環経路の一部を構成する第2経路とを切り替える手段を構成している。
つまり、電磁弁232、242を閉じ、電磁弁271、272を開くことで、バイパス経路270が循環経路の一部となり、ヘッド100が循環経路の一部とならない第1経路が構成される。
また、電磁弁232、242を開き、電磁弁271、272を閉じることで、ヘッド100が循環経路の一部となり、バイパス経路270と循環経路の一部とならない第2経路が構成される。
また、第1サブタンク220と第2サブタンク210、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203によって、循環経路を液体が循環する圧力を生じさせる手段を構成している。
ここで、第1サブタンク220の気体室220aと第2サブタンク210の気体室210aとの役割について説明する。
第1サブタンク220と第3サブタンク290、第2サブタンク210と第3サブタンク290に連通している第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203を駆動したときには、圧力変化(脈動)が発生する。この圧力変化は液体経路を伝達し、ノズルメニスカスに伝わると、液体の溢れや気泡の巻き込みにつながる。
そこで、これを抑制するためのコンプライアンス(弾性成分)が必要である。一般に、空気は圧縮性の性質を有しているのでコンプライアンス成分となる。気体室220a、210aを有することで、圧力変化(脈動)を抑制することができるようになる。
次に、本実施形態における制御部の供給循環制御に係る部分の概要について図6を参照して説明する。図6は同説明に供するブロック図である。
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503で構成される本発明に係る脱気制御手段を兼ねる主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504を備えている。制御部500は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他の制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、ヘッドユニット50の各ヘッド100を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段、バイアス電圧出力手段を含む印刷制御部508と、各ヘッド100を駆動するための駆動IC(ここでは「ヘッドドライバ」という。)509を備えている。
制御部500は、電磁弁群550の電磁弁232,242、271、272及び電磁弁212、222,292、287、288などを駆動制御する電磁弁制御部510を備えている。
制御部500は、第3送液ポンプ209を駆動制御する供給系駆動部511を備えている。
制御部500は、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203を駆動制御する圧力系制御部512を備えている。
制御部500は、I/O部513を有している。I/O部513は、様々のセンサ情報を処理することができ、圧力センサ233、243の検知結果、各種のセンサ群515からの情報を取得する。そして、装置の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508や電磁弁制御部510、供給系制御部511、圧力系制御部512による制御などに使用する。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
次に、本実施形態の循環装置における液体循環方法について説明する。
(1)メインタンク201-第3サブタンク290への液体フロー
液面検知手段291で第3サブタンク290の液体不足を検知すると、第3送液ポンプ209を駆動して、メインタンク201から液体経路289を介して、液面検知手段291の検知結果で液面が満タンとなるまで第3サブタンク290に液体供給を行う。
(2)第3サブタンク290-第1サブタンク220への液体フロー
第1送液ポンプ202を駆動して、第3サブタンク290から液体経路284を介して第1サブタンク220に液体を送液することができる。
(3)第2サブタンク210-第3サブタンク290への液体フロー
第2送液ポンプ203を駆動して、第2サブタンク210から液体経路283を介して第3サブタンク290にエネルギー液体を送液することができる。
(4)第1サブタンク220-循環可能なヘッド100-第2サブタンク210の液体フロー
圧力センサ233による検知圧力が目標圧力(例えば、加圧となる圧力)となるまで第1送液ポンプ202を駆動して第1サブタンク220に液体を供給する。また、圧力センサ243の検知圧力が目標圧力(例えば負圧となる圧力)となるまで第2送液ポンプ203を駆動して第3サブタンク290に液体を送液する。
これにより、第1サブタンク220と第2サブタンク210との間に差圧が発生する。この差圧に応じて、第1サブタンク220から、液体経路281を介し、フィルタ261、脱気装置260、第1マニホールド230、複数の供給経路231、複数のヘッドタンク251、複数のヘッド100、複数の排出経路241、複数のヘッドタンク252、第2マニホールド240、液体経路282を介して、第2サブタンク210まで液体が循環可能となる。
このときは、電磁弁271と電磁弁272を閉じて、電磁弁232と電磁弁242を開けておく。
一方、電磁弁232と電磁弁242を閉じて、電磁弁271と電磁弁272を開けた状態で、第1送液ポンプ202と第2送液ポンプ203を駆動し、差圧を発生させると、第1サブタンク220から、液体経路281を介し、フィルタ261.脱気装置260、第1マニホールド230、バイパス経路270、第2マニホールド240、液体経路282を経由し、第2サブタンク210に液体を循環することができる。
なお、液面検知手段211、221、291には、フロート式による液体の検知、少なくとも2本以上の電極ピンを用いて検出した電圧の出力に応じて液体の有無を検知する方式、その他レーザーによる液面検知方式などを使用することができる。
また、電磁弁222、212、292を駆動することで第1サブタンク220、第2サブタンク210、第3サブタンク290の内部を大気と連通させることもできる。
次に、ノズルメニスカスの負圧形成について説明する。
一般的に、ヘッドから吐出を行う場合、ノズルメニスカスにかかる圧力は負圧に制御する。これは、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。また、高速で吐出を行う場合に、吐出開始と終了時には、流体の慣性が作用し、ノズルメニスカスに圧力の脈動が発生する場合がある。このとき、正圧側の圧力が一時的に発生するので、このような場合でも、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。
循環型液体吐出ヘッドを使用する場合には、第1サブタンク220内に正圧を設定し、第2サブタンク210内に負圧を設定する方法が一般的である。
より詳細には、予め、第1サブタンク220からヘッド100のノズル104までの流体抵抗Rinと、ノズル104から第2サブタンク210までの流体抵抗Routを、計算か測定により求めておく。そして、これらの流体抵抗Rin、Routに応じて、第1サブタンク220の圧力Pin、第2サブタンク210の圧力Poutを設定することで、直列抵抗の分圧と同様に、RinとRoutの比と、PinとPoutの値に応じて、メニスカスに目標とする圧力Pnを発生させることができる。
つまり、循環する流量をIとすると、
Pn-Pin=I×Rin
Pout-Pn=I×Rout
ここで、両辺からIを削除して、変形させると、(1)式が得られる。
この(1)式において、仮に、Rin=Routの場合は、Pn=(Pout+Pin)/2となる。
したがって、設定する圧力と流体抵抗比に応じて、メニスカスの圧力が決まることが分かる。
ここで、等価回路としてモデル化した場合の模式図を図7に示している。
この模式図は、ラインヘッドを想定しており、モジュールAがヘッド100とその供給経路231と循環経路(排出経路)241が連通した状態を意味している。これが並列に所要数(Bの枠内)並ぶ構成である。
また、第1サブタンク220、第2サブタンク210、ノズルメニスカスは電圧が溜まるコンデンサ成分としてモデル化できる。液体の経路は電圧降下を生じる抵抗成分としてモデル化できる。
したがって、液体経路281(R1)、第1マニホールド230の一部(R3)、供給経路231(R4)、ヘッド100の供給口(供給ポート171)からノズル104まで(R5)によって、Rinを表すことができる。
一方、ヘッド100のノズル104から排出口(排出ポート181)まで(R6)、排出経路241(R7)、第2マニホールド240の一部(R8)、液体経路282(R2)によって、Routを表すことができる。
また、第1サブタンク220に図示しない電圧源(手段としてエアポンプなど)や電流源(手段として液体ポンプなど)を用いて発生させる電圧をPinと表すことができる。
一方、第2サブタンク210に図示しない電圧源(手段としてエアポンプなど)や電流源(手段として液体ポンプなど)を用いて発生させる電圧をPoutと表すことができる。
また、通常、第1マニホールド230の一部(R3・・・R3+6n)や第2マニホールド240の一部(R8・・・R8+6n)は、各ヘッド100のノズルメニスカスの圧力を計算するために、取り付けられた位置応じて、適宜考慮しないといけない。ただ、他の経路に比べて、抵抗の値が十分小さいために、計算上、無視して考えることもできる。
また、実際の配管の仕方や液体吐出ヘッド内の構造によっては、上記の式とまったく同じにはならないが、基本的には、上記の考えで対応することができる。
なお、上記の説明では、第1サブタンク220を正圧にする例で説明しているが、第1サブタンク220を負圧としつつ、第2サブタンク210は第1サブタンク220よりも負圧が大きくするように制御することで、差圧を発生させて液体を循環させる構成とすることもできる。
この構成の有利な点は、第1サブタンク220も負圧であるので、前述した構成に比べて、液体が垂れるおそれを低減したまま、液体循環させることができる点である。ただし、ヘッド内の流体抵抗が大きい場合は、ノズルメニスカスの初期負圧が負圧側に大きくなるので、吐出可能な圧力変動幅が狭くなる。
ここで、(1)式において、流体抵抗Routと流体抵抗Rinの比Rout/RinをRr(Rr=Rout/Rin)とし、変形すると、次の(2)式が得られる。
ノズルメニスカス圧力Pnを一定の値とすれば、Poutは、(1+Rr)×Pnを切片として、-Rrが傾きとなる、Pinの1次関数で表すことができる。
この関係を満たすように、PinとPoutを設定すれば、ノズルメニスカスの圧力を一定のまま、液体を循環させる圧力である差圧(Pin―Pout)を大きくすることもできるし、小さくすることもできる。
一方、この関係式((2)式)を外れて、正の方向に大きくなると、ノズルから液体が溢れやすくなる。逆に、負の方向に大きくすると、ノズルから気泡を巻き込んでノズルダウンしやすくなる。
したがって、目標とするノズルメニスカス圧力を保ったまま、差圧を変更することが重要である。
次に、この第1実施形態における脱気動作の制御について説明する。
脱気度が低下しやすいのは、気液界面が存在する第1サブタンク220及び第2サブタンク210の周辺である。
したがって、循環を行うときに、第1サブタンク220及び第2サブタンク210の周辺の脱気度の低い液体をヘッド100に流すと、ヘッド100内で気泡化するおそれがある。
そこで、第1段階では、バイパス経路270を循環経路の一部とする第1経路を構成し、脱気度の低い経路の液体を、ヘッド100を経由せずに循環させる第1脱気動作を行うことで、液体の脱気度を向上させる。
次に、本実施形態における第1脱気動作(工程)の制御について図8のフロー図を参照して説明する。
まず、電磁弁271、電磁弁232、電磁弁272、電磁弁242を閉じる。続いて、第1送液ポンプ202と第2送液ポンプ203の駆動を開始する。
そして、圧力センサ233の検知結果から目標圧力Pinに到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pinに到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Pinに到達したか否かの判別処理に戻る。
同様に、圧力センサ243の検知結果から目標圧力Poutに到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Poutに到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Poutに到達したか否かの判別処理に戻る。
ここで、所定時間が経過しても目標圧力Pin,あるいは目標圧力Poutに到達していないとき(所定時間が経過したとき)には、エラー表示を行う。つまり、所定時間が経過しても目標圧力Pin、Poutに到達しない場合は、駆動源である第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203の故障や、配管からのエアリーク、部品の破損などによるインクリークなどが考えられるので、エラーとする。
そして、所定時間内に、目標圧力Pin及び目標圧力Poutに到達したときには、電磁弁271、272を開けて、バイパス経路270を通じさせることで、第1マニホールド230と第2マニホールド240を連通する。
これにより、第1サブタンク220から液体経路281、第1マニホールド230、バイパス経路270、第2マニホールド240、液体経路282、第2サブタンク210を経て第1サブタンク220に戻る第1経路で液体の循環が開始する。
その後、目標の時間分の循環を行ったときには、第1脱気動作を終了する。
ここで、目標圧力への制御の詳細について説明する。
目標圧力への到達制御は、例えば、圧力センサ233と圧力センサ243の検知結果をそれぞれフィードバックし、逐次、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203の送液量の制御を行う方式であってもよい。第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203の送液量の制御は、例えば、圧力センサ233、圧力センサ243の各検出値(検出圧力)と目標値(目標圧力)との偏差からPID制御に代表される制御方式で実現することができる。
次に、循環量の設定量について説明する。
循環装置の液体容量と脱気装置260の脱気性能から、どの程度の循環を行えばよいかを事前に算出ないし測定し、どの程度の時間、脱気を行うか、予め決めておく。この時間以上の循環を行って、脱気度を上げた液体に置換することが好ましい。
また、所定時間の循環を行った後は、次の第2段階の脱気動作(脱気工程)に備えて、圧力を開放することが好ましい。例えば、電磁弁271、電磁弁272を閉じて、大気解放機構に備えられた電磁弁212、電磁弁222、電磁弁292を開けることで、圧力を開放して、大気圧にする。
次に、上記第1脱気動作を行った後、バイパス経路270を循環経路から切り離してヘッド100を循環経路の一部とする第2経路を構成して、液体を循環する第2脱気動作を行う。
この第2脱気動作(工程)の制御について図9のフロー図を参照して説明する。
まず、電磁弁271、電磁弁232、電磁弁272、電磁弁242を閉じておく。次に、電磁弁232と、電磁弁242を開ける。この状態で、圧力を発生させると循環が開始する。
続いて、n=0にリセットする。nは、圧力を小さい側から徐々に上げて変化させていくときの予め定めた回数である。
その後、第1送液ポンプ202と第2送液ポンプ203の駆動を開始する。
そして、圧力センサ233の検知結果から目標圧力Pin(n)に到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pin(n)に到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標の圧力Pin(n)に到達したか否かの判別処理に戻る。
同様に、圧力センサ243の検知結果から目標圧力Pout(n)に到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pout(n)に到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Pout(n)に到達したか否かの判別処理に戻る。
ここで、所定時間が経過しても目標圧力Pin(n)、あるいは目標圧力Pout(n)に到達していないとき(所定時間が経過したとき)には、前記第1段階と同様にエラー表示を行う。
そして、所定時間内に、目標圧力Pin(n)及び目標圧力Pout(n)に到達したときには、n=(n+1)にする処理を行い、圧力センサ233で検知する圧力が目標圧力Pin(n)=Pin(n-1)+αに、圧力センサ243で検知する圧力が目標圧力Pout(n)=Pout(n-1)+β、になるように制御を行う。
つまり、nをインクリメント(+1)する毎に目標圧力Pinについてはαを、目標圧力Poutについてはβを加算した値を新たな目標圧力とし、当該目標圧力になるように制御する。
そして、所定時間の循環を行った後、nが所定値に到達したか否かを判別し、nが所定値に到達するまで、nのインクリメント(+1)と目標圧力になるように制御する上記の処理を繰り返す。
このように、第2脱気動作を行うときには、第1脱気動作の目標圧力Pin、Poutよりも低い圧力から開始する、つまり、第1脱気動作における圧力よりも低い圧力で液体の循環を開始する制御を行っている。
これにより、ヘッド100周辺の脱気度の低い液体と第1脱気動作で脱気された脱気度の高い液体とがゆっくり混ざり、急激に混じり合うことによる気泡の発生を低減できる。
そして、第2脱気動作では、液体を循環させる圧力を低い側から段階的(連続的でもよい。)に高くし、循環流量を漸次増加するようにしている。
これにより、上記のように脱気度のまだ低い液体がヘッド100内で気泡化するのを防ぎつつ、循環流量を増やすことで脱気に要する時間を短くすることができ、気泡発生の抑制と脱気効率の向上を図ることができる。
つまり、ヘッド100の排出口(排出ポート181)には、第2サブタンク210側の減圧が作用するので、脱気度が低い液体内から気泡化する可能性がある。一度、気泡化すると、第1段階を経た脱気度の高い液体が流れても、気泡が液体中に溶け込むまでに時間がかかる。また、溶け込んだ分、また脱気する必要があるので、時間が余分にかかることになる。
そこで、気泡化を抑制するために、第2脱気動作(工程)の初期では、小さい減圧と、それに伴った小さい加圧を作用させる。その後、脱気度の低い液体が、第1脱気動作で脱気した液体に置換されたときに、圧力が高くなるように変化させる。
このようにして、供給経路231、ヘッド100内、排出経路241を脱気度の低い液体から脱気度の高い液体へ置換する制御を行う。この場合、脱気度の低い液体が、次の脱気度の高い液体に押し出されるようにして、置換することができる。
このような制御を行うことで、排出口側の気泡発生を抑えつつ、脱気度の低い液体から脱気度の高い液体に短時間で置換し、脱気時間の短縮化を図ることができる。
上述した第2脱気動作の処理においては、nが増えるごとに、前段階の目標圧力(Pin、Pout)に所定圧力(αとβ)が加算されるので、段階的に差圧を大きくすることができる(なお、Poutとβは負の圧力である。)。
この場合、上記の処理では目標圧力を段階的な変化させているが、所要の傾きを持って連続的に目標圧力を変化させることもできる。
また、圧力Poutと圧力Pinとの間には、前述したように、次の(2)式の関係を満たすように圧力を変化させる。
ここで、ノズルメニスカス圧力Pnを一定の値とすれば、Poutは、(1+Rr)×Pnを切片として、-Rrが傾きとなる、Pinの1次関数で表すことができる。
この関係を満たすように、PinとPoutを設定すれば、ノズルメニスカスの圧力を一定のまま、差圧(Pin―Pout)を大きくすることもできるし、小さくすることもできる。
一方、この関係式((2)式)を外れて、正の方向に大きくなると、ノズルからインクが溢れやすくなる。逆に、負の方向に大きくすると、ノズルから気泡を巻き込んでノズルダウンしやすくなる。
したがって、目標とするノズルメニスカス圧力を保ったまま、差圧を変更することが重要である。そして、差圧を大きくすれば、ノズルメニスカス圧力を保ったまま、流量を多くすることもできる。
この様子を図10に示している。図10は、Rr=1の場合に、メニスカスの圧力や流量の等高線を示した図である。
例えば、Rr=1のときに、切片-2kPaの場合、メニスカス圧力Pnは-1kPaとなる。このとき、切片-2kPa、傾き-1の1次関数となり、正圧と負圧を大きくする(右下に大きくなる)ほど、差圧が大きくなり、流量が増える。この直線の関係式(Pout=-1×Pin+2×Pn)を守るかぎり、メニスカス圧力を一定にしたまま、流量を増やすことができる。
切片0kPaのときも同様であり、メニスカス圧力0kPaのまま、流量を増やすことができる。このときの関係式は、Pout=-1×Pinとなる。
このように、ヘッドからの吐出前や印刷開始前には、循環を行って、液体の脱気度を高めることで、循環装置内に、気液界面が存在していても、気泡の影響を低減でき、信頼性を向上することができる。
このとき、脱気時に液体を循環する経路を切替えたり、圧力を漸次変化させたりすることで、全体の脱気時間を短縮することができる。
また、本実施形態においては、第1サブタンク220、第2サブタンク210が、それぞれ過度に加圧、減圧された場合、圧力センサ233、圧力センサ243の検出値を参照し、逆流液体経路285、286に設けられた電磁弁287、288を開けることで圧力を開放することができる。
つまり、電磁弁287、288を開けることで、第2サブタンク210と第3サブタンク290、第3サブタンク290と第1サブタンク220とが逆流液体経路285、286を介して連通する。
したがって、第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203として、ダイアフラムポンプのような一方向ポンプを使用する場合でも、過度の圧力を開放することができるようになる。特にダイアフラムポンプは、双方向に送液可能なチュービングポンプの10倍程度の寿命を有しているので、装置の高寿命化を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態における液体供給循環に係る部分について図11を参照して説明する。図11は同説明に供するブロック説明図である。
本実施形態では、バイパス経路270の一端部は、第1マニホールド230より上流側の液体経路である、第1マニホールド230と脱気装置260との間の液体経路281に接続している(接続点aとする。)。
また、バイパス経路270の他端部は、第2マニホールド240より下流側の液体経路である第2サブタンク210との間の液体経路282に接続している(接続点bとする。)。
そして、接続点aと第1マニホールド230との間に電磁弁271を配置し、接続点bと第2マニホールド240との間に電磁弁272を配置している。
また、バイパス経路270の接続点a側に電磁弁273を設け、バイパス経路270の接続点b側に電磁弁274を設けている。
したがって、電磁弁271、272を閉じ、電磁弁273、274を開くことで、バイパス経路270が循環経路の一部となり、第1マニホールド230及び第2マニホールド240並びに各ヘッド10が循環経路の一部とならない第1経路が構成される。
また、電磁弁271、272を開き、電磁弁273、274を閉じることで、第1マニホールド230及び第2マニホールド240並びに各ヘッド10が循環経路の一部となり、バイパス経路270が循環経路の一部とならない第2経路が構成される。
なお、電磁弁271、273を1つの電磁三方弁で、電磁弁272、274を1つの電磁三方弁で、それぞれ構成することもできる。
さらに、圧力センサ233は接続点aよりも上流側で液体経路281の圧力を検知する位置に設け、圧力センサ243は接続点bよりも下流側で液体経路282の圧力を検知する位置に設けている。
このように、本実施形態では、バイパス経路270は第1マニホールド230より上流で、第1サブタンク220よりも下流の位置を始点(接続点a)とし、第2マニホールド240より下流で、第2サブタンク210より上流を終点(接続点b)としている。
これにより、前述した第1実施形態では、各供給経路231及び各排出経路241に電磁弁232、242をそれぞれ設ける必要があるのに対して、本実施形態では1つの共通の電磁弁271、272で対応することができ、構成が簡単になり、省スペース化を図れる。
本実施形態における制御部の供給循環制御に係る部分の構成は、前記第1実施形態と同様である。ただし、電磁弁制御部510は、上記の電磁弁の構成の変更に伴って、電磁弁273、274も駆動制御する。ただし、前記第1実施形態の電磁弁232、242は有していない。
また、本実施形態では、第1経路から第2経路へと切り替えたときは、第2マニホールド240のすぐ下流(電磁弁272の辺り)で気泡が発生しやすい。したがって、第1経路から第2経路へ切り替るために弁手段となる電磁弁272を開くときは、ゆっくりと開くことが好ましい。これにより、脱気度の異なる液体をゆっくりと混ぜることができ、気泡の発生を抑制できる。このような制御を行うために、電磁弁272としては開度を制御可能な電磁弁を使用し、開度を徐々に大きくすることで、ゆっくりと開くことができる。
また、第1経路から第2経路へと切り替えるときは、第1弁手段である電磁弁271及び第2弁手段である電磁弁272を開くが、電磁弁272を先に開く方が好ましい。つまり、仮に何らかの不具合により第1経路と第2経路の圧力制御がうまくいかなかった場合は、電磁弁を開けたときに脱気度の異なる液体が急激に混ざって気泡が発生することがある。しかしながら、気泡の発生地点が電磁弁272側であれば、ヘッド100を経由する前に脱気装置260を経由することができるため、ヘッド100への気泡の侵入を低減することができ、また、気泡が各サブタンク内部の気体と混ざって消える可能性もある。
次に、本実施形態における吐出開始前の第1脱気動作(工程)の制御について図12のフロー図を参照して説明する。
まず、電磁弁271、電磁弁273、電磁弁272、電磁弁274を閉じる。続いて、第1送液ポンプ202と第2送液ポンプ203の駆動を開始する。
そして、圧力センサ233の検知結果から目標圧力Pinに到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pinに到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Pinに到達したか否かの判別処理に戻る。
同様に、圧力センサ243の検知結果から目標圧力Poutに到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Poutに到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Poutに到達したか否かの判別処理に戻る。
ここで、所定時間が経過しても目標圧力Pin,あるいは目標圧力Poutに到達していないとき(所定時間が経過したとき)には、エラー表示を行う。
そして、所定時間内に、目標圧力Pin及び目標圧力Poutに到達したときには、電磁弁273、274を開けて、バイパス経路270を通じさせることで、第1サブタンク220と第2サブタンク210とが通じる。
これにより、第1サブタンク220から第2サブタンク210にバイパス経路270を介して液体の循環が開始する。
その後、目標の時間分の循環を行ったときには、第1段階の脱気動作を終了する。
ここで、目標圧力への制御及び循環量の設定量は前記第1実施形態と同様である。
また、所定時間の循環を行った後は、次の第2脱気動作(脱気工程)に備えて、圧力を開放することが好ましい。例えば、電磁弁271、電磁弁272を閉じて、大気解放機構に備えられた電磁弁212、電磁弁222を開けることで、圧力を開放して、大気圧にする。
次に、上記第2脱気動作(工程)の制御について図13のフロー図を参照して説明する。
まず、電磁弁271、電磁弁273、電磁弁272、電磁弁274を閉じておく。次に、電磁弁271と、電磁弁272を開ける。この状態で、圧力を発生させると循環が開始する。
続いて、n=0にリセットする。nは、圧力を小さい側から徐々に上げて変化させていくときの予め定めた回数である。
その後、第1送液ポンプ202と第2送液ポンプ203の駆動を開始する。
そして、圧力センサ233の検知結果から目標圧力Pin(n)に到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pin(n)に到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標の圧力Pin(n)に到達したか否かの判別処理に戻る。
同様に、圧力センサ243の検知結果から目標圧力Pout(n)に到達したか否か判別する。このとき、目標圧力Pout(n)に到達していなければ、所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過していなければ、目標圧力Pout(n)に到達したか否かの判別処理に戻る。
ここで、所定時間が経過しても目標圧力Pin(n)、あるいは目標圧力Pout(n)に到達していないとき(所定時間が経過したとき)には、前記第1段階と同様にエラー表示を行う。
そして、所定時間内に、目標圧力Pin(n)及び目標圧力Pout(n)に到達したときには、n=(n+1)にする処理を行い、圧力センサ233で検知する圧力が目標圧力Pin(n)=Pin(n-1)+αに、圧力センサ243で検知する圧力が目標圧力Pout(n)=Pout(n-1)+β、になるように制御を行う。
つまり、nをインクリメント(+1)する毎に目標圧力Pinについてはαを、目標圧力Poutについてはβを加算した値を新たな目標圧力とし、当該目標圧力になるように制御する。
そして、所定時間の循環を行った後、nが所定値に到達したか否かを判別し、nが所定値に到達するまで、nのインクリメント(+1)と目標圧力になるように制御する上記の処理を繰り返す。
このように、本実施形態でも、第2脱気動作を行うときには、第1脱気動作の目標圧力Pin、Poutよりも低い圧力から開始することで気泡の発生を低減できる。そして、第2脱気動作では、液体を循環させる圧力を低い側から段階的(連続的でもよい。)に高くし、循環流量を漸次増加することで、脱気に要する時間を短くしている。これにより、気泡発生の抑制と脱気効率の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態における液体供給循環に係る部分について図14を参照して説明する。図14は同説明に供するブロック説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態の構成において、第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203として可逆型ポンプ、例えばチュービングポンプを使用している。
これにより、第1サブタンク220、第2サブタンク210が、それぞれ過度に加圧、減圧された場合でも、第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203で逆送して、圧力を開放することができる。
したがって、前記第1実施形態のような逆送液体経路や電磁弁が不要になり、構成が簡単になる。
次に、本発明の第4実施形態における液体供給循環に係る部分について図15を参照して説明する。図15は同説明に供するブロック説明図である。
本実施形態では、前記第2実施形態の構成において、第3実施形態と同様に、第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203として可逆型ポンプ、例えばチュービングポンプを使用している。
したがって、前記第2実施形態のような逆送液体経路や電磁弁が不要になり、構成が簡単になる。
次に、本発明の第5実施形態における液体供給循環に係る部分について図16を参照して説明する。図16は同説明に供するブロック説明図である。
本実施形態では、第2サブタンク210から第1サブタンク220に第1送液ポンプ202で液体を送液する。また、第2サブタンク210に対してメインタンク201から第2送液ポンプ203で液体を送液する。
第2サブタンク210には、第2サブタンク210内の圧力を調整する第2調整装置207が接続されている。第2調整装置207は、圧力調整機構(レギュレータ)213、減圧バッファタンク214、気体ポンプである真空ポンプ215を有している。また、レギュレータ213と減圧バッファタンク214との間には電磁弁216が設けられている。減圧バッファタンク214には電磁弁217が設けられている。
第1サブタンク220には、第1サブタンク220内の圧力を調整する第1調整装置206が接続されている。第1調整装置206は、圧力調整機構(レギュレータ)223、加圧バッファタンク224、コンプレッサ225を有している。また、レギュレータ223と加圧バッファタンク224との間には電磁弁226が設けられている。加圧バッファタンク224には電磁弁227が設けられている。
第1サブタンク220からヘッド10又はバイパス経路270を経由して第2サブタンク210に至る部分の構成は、前記第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態における制御部の供給循環制御に係る部分の概要について図17を参照して説明する。図17は同説明に供するブロック図である。
ここでは、制御部500は、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203を駆動制御する供給系駆動部511を備えている。また、制御部500は、真空ポンプ215、コンプレッサ225、レギュレータ213、223を駆動制御する圧力系制御部532を備えている。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
本実施形態における第1脱気動作及び第2脱気動作の制御は、前述した第1実施形態における図8及び図9の第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203の駆動開始の処理を、コンプレッサ225及び真空ポンプ215の駆動開始の処理とすればよい。
次に、本発明の第6実施形態における液体供給循環に係る部分について図18を参照して説明する。図18は同説明に供するブロック説明図である。
本実施形態は、前記第6実施形態の構成において、バイパス経路270の接続位置を前記第2実施形態と同様にしたものである。
したがって、第1脱気動作及び第2脱気動作の制御は、前述した第2実施形態における図12及び図13の第1送液ポンプ202及び第2送液ポンプ203の駆動開始の処理を、コンプレッサ22及び真空ポンプ215の駆動開始の処理とすればよい。
次に、本発明の第7実施形態について前述した図5を参照して説明する。各部位の詳細は前述したとおりである。
本実施形態における液体の脱気工程は以下のとおりである。まず、電磁弁232、242、271、272を全て開く。次に、加圧ポンプ202や減圧ポンプ203等を用いて液体を循環させる。
このときの液体の経路としては、第1マニホールド230の辺りにおいて、ヘッド100へ向かう経路と、バイパス経路270へ向かう経路とで2つに分岐することになる。ここで、ヘッド100の流体抵抗値はバイパス経路270の流体抵抗値よりも大きいため、殆どの液体はバイパス経路270へと流れていく。もちろん、ヘッド100近傍の液体でも、少量ではあるが循環する場合もある。
そして、ヘッド100近傍に滞留する液体の多くは脱気装置を通らないため脱気されないが、それ以外の液体は脱気装置により脱気される。そして十分な脱気を行った後は、電磁弁271、272を閉じる。これにより、液体の循環経路がヘッド100を通過する経路となる。
次に、加圧ポンプ202や減圧ポンプ203を用いて液体を循環させる。なお、このとき、ヘッド100の近傍に滞留して脱気が行われていない液体と、マニホールド近傍の脱気済みの液体とが急激に混ざり合うと気泡が発生してしまう。したがって、このときの循環圧力は、先の循環圧力(電磁弁を全て開いた状態で循環させるときの循環圧力)よりも小さくすることが好ましい。
このように、電磁弁232、242、271、272を全て開いた状態でも液体を効率よく循環させることが可能である。つまり、バイパス経路270が循環経路の一部となったとき、ヘッド100が循環経路から外れることは必須ではない。
また、もちろん、本実施形態は前述した各実施形態と組み合わせても良い。
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。