JP6996073B2 - 管状体及びパター用ゴルフクラブシャフト、並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、以下の構成を有する。
〔1〕 繊維強化樹脂硬化物層の積層構造を有する、管状体であって、前記管状体は屈曲部を有し、前記屈曲部を含む長手方向に、前記繊維強化樹脂硬化物層のうちの少なくとも1層以上において、前記繊維強化樹脂硬化物層中に含まれる連続した繊維が継ぎ目なく配置されており、前記繊維強化樹脂硬化物層の繊維が長手方向に対して80°~100°に配向されたフープ層が、前記屈曲部の最外層に積層されている、管状体。
〔2〕 前記繊維強化樹脂硬化物層が炭素繊維強化樹脂層である、〔1〕に記載の管状体。
〔3〕 〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の管状体から構成されており、先端部Aと本体部Bとからなり、前記先端部Aは少なくとも1か所に前記屈曲部を有するテーパー状またはストレート状の形態であり、前記本体部Bはシャフト長手軸方向に対し実質的に曲りのないテーパー状またはストレート状の形態であり、接合部を有さない前記先端部A及び前記本体部Bから構成される、パター用ゴルフクラブシャフト。
〔4〕 前記フープ層が、シャフトのヘッド側端乃至ヘッド側端から200mmに相当する領域に配置されている、〔3〕に記載のパター用ゴルフクラブシャフト。
〔5〕 前記先端部Aの屈曲部の角度をそれぞれθn(nは整数)とした時、
135°≦θn<180°
の範囲からなる、〔3〕又は〔4〕に記載のパター用ゴルフクラブシャフト。
〔7〕 前記バイアス層を得る工程において、前記プリプレグを、前記管状体の前記屈曲部を含む長手方向に連続した繊維を継ぎ目なく配置するように巻き付ける、〔6〕に記載の管状体の製造方法。
〔8〕 前記繊維強化樹脂が炭素繊維強化樹脂である、〔6〕又は〔7〕に記載の管状体の製造方法。
〔9〕 前記屈曲させる工程において、前記管状体の1か所以上を屈曲させる際に、前記管状体を屈曲させる角度をそれぞれθn(nは整数)とした時、
135°≦θn<180°
の範囲となるようにする、〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の管状体の製造方法。
〔10〕 前記プリプレグに使用されるマトリックス樹脂がエポキシ樹脂である、〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の管状体の製造方法。
また、本発明に係る管状体の製造方法によれば、従来困難であった、長手方向に繊維が連続した繊維強化樹脂硬化物層が積層された管状体への屈曲部の付与を可能とするものであり、特に、パター用ゴルフクラブシャフトの製造方法として好適なものである。
本発明の管状体の実施形態の一つであるパター用ゴルフクラブシャフトは、好ましくは炭素繊維強化樹脂製であり、円筒形状を有し、ストレート状、又は、軸方向に垂直な面の外径が長さ方向の一端から他端に向かって大きくなるテーパー形状であり、例えば、両端部から途中の径切換部まで外径が同一となるように形成されたものも含む。以下、テーパー形状の場合において、外径が小さい側の端部を細径端部といい、外径が大きい側の端部を太径端部という。また、細径端部乃至細径端から200mmの領域を先端部Aとし、細径端から200mm乃至太径端の領域を本体部Bとし、先端部Aは少なくとも1か所が局部的に屈曲している。
135°≦ θn < 180°
の範囲であることが好ましい。これは、この角度を135°以上とすることによって、シャフト製造時に、強化繊維が折れたり、シャフトが潰れたりしにくくなり、シャフトの生産性が向上する傾向にあるためである。さらに好ましくは、
145°≦ θn < 180°
の範囲であり、この範囲であれば、強化繊維の屈曲による強度低下を十分に抑制することが可能となる。
0.03 ≦ G/L ≦ 0.15
の範囲であることが好ましい。G/Lが0.03より小さくなると、強化繊維樹脂硬化物層が少なくなり過ぎる傾向にあるので、剛性が十分でなかったり、強度が十分でなかったりすることがあり、G/Lが0.15より大きくなると、シャフトの剛性が高くなり過ぎるため、シャフト製造が困難であったり、パターの総重量が重くなり過ぎてしまうため、操作性が損なわれてしまったりすることがあるためである。さらに好ましくは、
0.04 ≦ G/L ≦ 0.13
の範囲であり、この範囲であれば、パター用ゴルフクラブシャフトとしての十分な剛性や強度と、高い操作性を両立することが可能となる。
この硬化物は、バイアス層のみからなるのが好ましく、最内層として形成させるのが好ましい。
ここで使用するテープは、硬化樹脂の種類や硬化条件に応じて適宜選択することができるが、例えば、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂として、硬化温度が130~140℃であるエポキシ樹脂を用いる場合には、2~3cm幅のポリプロピレン製収縮フィルムを使用することができる。
この補助層としては、上述のストレート層やバイアス層を採用することもできるが、上述のフープ層を好適に採用することができ、これを管状体の屈曲部に設けることによって、この部分の強度を向上させることができる。特に、この管状体をパター用ゴルフシャフトとして用いる場合には、このフープ層をシャフトのヘッド側端乃至ヘッド側端から200mmに相当する領域に形成させるのが好ましい。
上述のストレート層や補助層を形成するプリプレグを巻き付けた後は、バイアス層形成時と同様に、その上から上記と同様のテープをらせん状に巻き付け、その後マンドレルを取り外し、巻き付け物を得る。
なお、この曲げる工程で、既に硬化しているバイアス層の一部が損傷することもあり得るが、これが最終的に得られる管状体の屈曲部の物性に与える影響は、実質的に無視できる程度である。
135°≦ θn < 180°
の範囲となるようにするのが好ましい。
これは、この角度を135°以上とすることによって、シャフト製造時に強化繊維が折れたり、シャフトが潰れたりしにくくなり、シャフトの生産性が向上する傾向にあるためである。
さらに好ましくは、
145°≦ θn < 180°
の範囲であり、この範囲であれば、強化繊維の屈曲による強度低下を十分に抑制することが可能となる。
図1に示す形状のマンドレル10(鉄製)を用意した。このマンドレル10は、全体の長さL13にあって、その細径端P11から長さL11の位置(切換点)P12まで、その外径が直線的に漸増し、切換点P12から長さL12の大径端P13まで、その外径は一定である、鉄製の円筒体からなる。本実施例による前記マンドレル10の各部位における具体的な外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。
なお、図2中のプリプレグ1~6の材質は表1に、またパターン1~10のプリプレグ各部のサイズを表2に示している。
実施例のパター用ゴルフクラブシャフトに、市販のパターヘッド(質量374g)をアクリル樹脂接着剤で細径端に取り付けた。さらに、シャフト太径端を90mmカットし、市販のゴム製グリップを両面テープにて取り付け、実施例のゴルフクラブを作製した。本実施例のパター用ゴルフクラブの質量、クラブ長、バランスを測定した結果を表5に示す。
マンドレル10を抜き取った未硬化シャフトの先端部Aの部分に、ドライヤーで温めながらθ1とθ2を130°になるようシャフトを曲げた以外は、全て実施例1と同じ要領でシャフトを作製した。曲げる工程でシャフトの潰れが生じたが、得られたシャフトの質量G、全長L、細径端部から10mmと太径端部から25mmの位置の外径を表4に示す。また、実施例1と同様にして、パター用ゴルフクラブを作製し、質量、クラブ長、バランスを測定した結果を表5に示す。
このマンドレル10に、図3に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~2)のうち、パターン1を巻き付け、その上に20mm幅のポリプロピレン製収縮テープをピッチ2mmで巻き付けて加熱し、硬化させて収縮テープを剥ぎ取った後、図3に示したパターン2を巻き付けた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。得られた管状体においては、求める形状は得られたものの、剛性が不充分であり、パター用ゴルフシャフトとして、充分な機能を有していなかった。
図4に示す形状のマンドレル11(鉄製)を用意した。このマンドレル11は、全体の長さL25にあって、その細径端P21から長さL21の位置(第1切換点)P22まで、その外径が直線的に漸増し、切換点P22から長さL22の位置(第2切換点)P23まで、その外径が直線的に漸増し、切換点P23から長さL23の位置(第3切換点)P24まで、その外径が直線的に漸増し、切換点P24から長さL24の太径端P25まで、その外径は一定である、鉄製の円筒体からなる。本実施例による前記マンドレル11の各部位における具体的な外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。
なお、図5中のプリプレグ4,7,8の材質は表1に、またパターン1~8のプリプレグ各部のサイズを表3に示している。
本実施例のパター用ゴルフクラブシャフトに、市販のパターヘッド(質量374g)をアクリル樹脂接着剤で細径端に取り付けた。さらに、シャフト太径端を90mmカットし、市販のゴム製グリップを両面テープにて取り付け、実施例のゴルフクラブを作製した。本実施例のパター用ゴルフクラブの質量、クラブ長、バランスを測定した結果を表5に示す。
マンドレル11を抜き取った未硬化シャフトの先端部Aの部分に、ドライヤーで温めながらθ1を130°になるようシャフトを曲げた以外は、全て実施例3と同じ要領でシャフトを作製したが、得られたシャフトの剛性が非常に高いため、加熱硬化後に屈曲部が130°以上の角度に戻ってしまい、かつ屈曲部以外にも歪みが出てしまったものの、実施例3と同様にパター用ゴルフクラブを作製することが出来た。
このマンドレル11に、図6に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~3)のうち、パターン1とパターン2を巻き付け、その上に20mm幅のポリプロピレン製収縮テープをピッチ2mmで巻き付けて加熱し、硬化させて収縮テープを剥ぎ取った後、図6に示したパターン3を巻き付けた以外は、実施例3と同様にして評価を実施した。求める形状は得られたものの、剛性が不充分であり、パター用ゴルフシャフトとして、充分な機能を有していなかった。
また、本発明の管状体の製造方法は、従来困難であった、長手方向に繊維が連続した繊維強化樹脂硬化物層が積層された管状体への屈曲部の付与を可能とするものであり、特に、パター用ゴルフクラブシャフトの製造方法として好適に使用できるものである。
11 マンドレル
Claims (10)
- 繊維強化樹脂硬化物層の積層構造を有する、管状体であって、
前記管状体は屈曲部を有し、
前記屈曲部を含む長手方向に、前記繊維強化樹脂硬化物層のうちの少なくとも1層以上において、前記繊維強化樹脂硬化物層中に含まれる連続した繊維が継ぎ目なく配置されており、
前記繊維強化樹脂硬化物層の繊維が長手方向に対して80°~100°に配向されたフープ層が、前記屈曲部の最外層に積層されている、管状体。 - 前記繊維強化樹脂硬化物層が炭素繊維強化樹脂層である、請求項1に記載の管状体。
- 請求項1または2のいずれか一項に記載の管状体から構成されており、
先端部Aと本体部Bとからなり、
前記先端部Aは少なくとも1か所に前記屈曲部を有するテーパー状またはストレート状の形態であり、
前記本体部Bはシャフト長手軸方向に対し実質的に曲りのないテーパー状またはストレート状の形態であり、
接合部を有さない前記先端部A及び前記本体部Bから構成される、パター用ゴルフクラブシャフト。 - 前記フープ層が、シャフトのヘッド側端乃至ヘッド側端から200mmに相当する領域に配置されている、請求項3に記載のパター用ゴルフクラブシャフト。
- 前記先端部Aの屈曲部の角度をそれぞれθn(nは整数)とした時、
135°≦θn<180°
の範囲からなる、請求項3又は4に記載のパター用ゴルフクラブシャフト。 - 繊維方向が、管状体の長手方向に対して+30~+70°に配向された層と、-30~-70°に配向された層とからなるプリプレグをマンドレルに巻き付けた後に加熱硬化してバイアス層を得る、バイアス層を得る工程と、
前記バイアス層上に繊維方向が管状体の長手方向に引き揃えられたストレート層を形成するプリプレグを巻き付ける、巻き付け工程と、
その上からテープをらせん状に巻き付けた後にマンドレルを取り外し、巻き付け物を得る、巻き付け物を得る工程と、
前記巻き付け物を加熱し局部的に屈曲させる、屈曲させる工程と、
局部的に屈曲した状態を保持させながら加熱硬化する、加熱硬化する工程とを有し、
前記巻き付け工程が、補助層を形成するプリプレグも巻き付ける工程であり、
前記補助層が、繊維強化樹脂の繊維が前記管状体の長手方向に対して80°~100°に配向されたフープ層であり、
前記屈曲させる工程において、前記バイアス層を屈曲させる、連続した繊維強化樹脂硬化物層が積層された屈曲部を有する管状体の製造方法。 - 前記バイアス層を得る工程において、前記プリプレグを、前記管状体の前記屈曲部を含む長手方向に連続した繊維を継ぎ目なく配置するように巻き付ける、請求項6に記載の管状体の製造方法。
- 前記繊維強化樹脂が炭素繊維強化樹脂である、請求項6又は7に記載の管状体の製造方法。
- 前記屈曲させる工程において、前記管状体の1か所以上を屈曲させる際に、前記管状体を屈曲させる角度をそれぞれθn(nは整数)とした時、
135°≦θn<180°
の範囲となるようにする、請求項6~8のいずれか一項に記載の管状体の製造方法。 - 前記プリプレグに使用されるマトリックス樹脂がエポキシ樹脂である、請求項6~9のいずれか一項に記載の管状体の製造方法。
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