JP6993932B2 - 洗浄装置および洗浄装置の作動方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、有機溶剤を再利用しながら使用する洗浄装置が記載されている。この装置は一定時間毎に、蒸留再生装置内に溜まった汚れを含む有機溶剤を加熱して体積を減らし、汚れが濃縮された有機溶剤を廃棄している。これにより、廃棄する溶剤の量を減らし、溶剤に関するコストを低減することができる。
濃縮しない場合、有機溶剤の廃棄量が多くなり、コスト増につながる。また、汚れを考慮して濃縮している間に蒸留された有機溶剤を再利用しないと、そもそも濃縮する意味がなくなる。
洗浄液再生部は、内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮する濃縮モードと、濃縮を伴わない通常モードとの二つの運転モードを有し、コントローラは、通常モードにおいて、再生された洗浄液が第二洗浄槽に送られるように配管内の洗浄液の流れを制御し、濃縮モードにおいて、第一洗浄槽から洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止し、再生された洗浄液が第一洗浄槽に送られて第二洗浄槽には送られないように配管内の洗浄液の流れを制御する。
本願発明における「上流」、「下流」とは、カスケード方式における上流あるいは下流を意味している。すなわち、通常被洗浄物は、最も下流側の洗浄槽に投入されてから、より上流側の洗浄槽に順次投入される。
この方法において、洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮しているときは、第一洗浄槽から洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止し、再生された洗浄液を第一洗浄槽に戻し第二洗浄槽には戻さず、洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮していないときは、再生された洗浄液が第二洗浄槽に戻される。
図1は、本実施形態の洗浄装置1を示す模式図である。洗浄装置1は、二つの洗浄槽と、洗浄槽と接続された洗浄液再生部20と、洗浄装置1の各部を制御するコントローラ30とを備えている。
洗浄液Dとしては、有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤またはグリコール類系溶剤、臭素系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤等が好適である。
洗浄液再生部20と第一洗浄槽11の余剰槽11aとは配管51で接続されており、第一洗浄槽11でオーバーフローした洗浄液Dが洗浄液再生部20に供給される。配管51には電磁弁61が取り付けられている。
洗浄液再生部20で蒸留された洗浄液は、配管52を通り、第二洗浄槽12に送られる。配管52は、分岐管52aを有し、分岐管52aは第一洗浄槽11と接続されている。分岐管52aには電磁弁62が取り付けられている。配管52の分岐管52aより下流側には、電磁弁63が取り付けられている。
コントローラ30は、上述した各部に制御信号を送信できれば、その接続態様に特に制限はない。したがって、各部と有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。コントローラ30が独立したユニットでなく、洗浄液再生部20など他ユニットの一部であってもよい。
さらに、コントローラ30から受け取った信号により洗浄液再生部20が電磁弁の開閉状態を切り替え、コントローラ30に電磁弁の状態が表示されてもよい。この場合は洗浄液再生部20が電磁弁を開閉するので、洗浄液再生部20がコントローラの一部機能を分担していると言える。
使用者は、籠101に入れた被洗浄物を洗浄液Dの入った第一洗浄槽11に入れ、被洗浄物を超音波洗浄する。第一洗浄槽11における一次洗浄が終わった後、籠101を第二洗浄槽12に移動し、同様に被洗浄物の二次洗浄を行う。二次洗浄後の被洗浄物は、リンスや乾燥等の後工程のために洗浄装置1外に移動される。
図2に、通常モードにおける洗浄液の流れを示す。コントローラ30が電磁弁61を開くと余剰槽11a内の洗浄液が、配管51を通って洗浄液再生部20に流入する。流入した洗浄液は、洗浄液再生部20で蒸留される。蒸留された洗浄液は、配管52から第二洗浄槽12に戻される。
コントローラ30は、通常モードにおいて、電磁弁63を開き、電磁弁62を閉じる。したがって、通常モードにおいて蒸留された洗浄液は、第二洗浄槽12に選択的に送られる。
通常モードにおける洗浄液の供給は、連続的に行われてもよいし、間欠的に行われてもよい。連続的に行う場合、電磁弁61は、常時開放される。間欠的に行われる場合は、第一洗浄槽11内の洗浄液を取り込むときだけ電磁弁61が開かれる。
図3に、濃縮廃棄モードにおける洗浄液の流れを示す。コントローラ30は、洗浄液再生部20の運転モードを切り替えるとともに、電磁弁61を閉じて、第一洗浄槽11からの洗浄液取り込みを停止する。さらに、配管52の電磁弁63を閉じ、電磁弁62を開く。その結果、濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液は、分岐管52aを通って第一洗浄槽11に戻される。
濃縮廃棄モード中は洗浄液取り込みが停止されるため、時間経過とともに洗浄液再生部20内の洗浄液の量が減少するとともに、汚れの濃度は上昇する。すなわち、洗浄液再生部20内の洗浄液の汚れは濃縮される。
濃縮廃棄モードの終了時点において、洗浄液再生部20から電磁弁62までの配管52および分岐管52a内には、まだ濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液が残留している。コントローラ30は、電磁弁の開閉状態を変更せずに、一定時間通常モードで洗浄液再生部20を動作させ、通常モードで生じた蒸留済み洗浄液で、配管52および分岐管52a内に残留した洗浄液を押し出す。通常モードで生じた蒸留済み洗浄液を十分分岐管52aに送り込んだら、コントローラ30は、電磁弁62を閉じ、電磁弁63を開く。
例えば、図1に示す配管52の容量が3Lあり、洗浄液再生部20が通常モードで再生した洗浄液を1L/分のペースで送り出す場合は、上述の「一定時間」は概ね3分となる。図4に示すような配管52eが短い構成にすることで「一定時間」を大幅に短縮することができ、通常モードで再生された汚れの少ない洗浄液を第二洗浄槽12に迅速に供給できる。配管52eを洗浄液再生部20内に組み込めば、「一定時間」をゼロにする、すなわち、濃縮廃棄モード終了後直ちに電磁弁62および63の切り替えを行う構成にすることもできる。
発明者の検討では、濃縮廃棄モードにおける洗浄液の廃棄量を、本発明を適用することにより、洗浄品質に影響を与えずに従来の5分の1まで減少させることに成功している。洗浄液として用いる有機溶剤は決して安価ではないため、これによるランニングコストの低減効果は極めて大きい。
図5に示す変形例の洗浄装置1Aは、第一洗浄槽11と第二洗浄槽12との間に第三洗浄槽113および第四洗浄槽114を備え、計4つのカスケード式洗浄槽を有する。このような構成の洗浄装置にも本発明を好適に適用できる。
洗浄装置1Aにおいて、通常モードで蒸留再生された洗浄液を送る洗浄槽は、濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液を戻す洗浄槽より上流側であればよく、第三洗浄槽113や第四洗浄槽114であってもよい。同様に、濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液を戻す洗浄槽は、通常モードで蒸留再生された洗浄液を送る洗浄槽よりも下流側であればよく、第三洗浄槽113や第四洗浄槽114であってもよい。ただし、濃縮廃棄モードにおいて再生される洗浄液の汚れ濃度は比較的高いため、洗浄液が最も汚れやすい第一洗浄槽11に戻すのが最も好ましい。上述のルールを守る範囲内において、通常モードで蒸留再生された洗浄液および濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液のいずれも、複数の洗浄槽に送られてよい。
洗浄装置1Aの配管52には、第三洗浄槽113と接続された分岐管52bおよび電磁弁64の組と、第四洗浄槽114と接続された分岐管52cおよび電磁弁65の組とが接続されているため、電磁弁64および65をコントローラ30で開閉可能に構成すれば、洗浄液再生部20から洗浄液を送り込む洗浄槽を自由に設定することができる。
洗浄装置1Aの洗浄槽の数は4つであるが、洗浄槽の数は3つでもよいし、5つ以上でもよい。
図6に、予備槽151を備えた第一洗浄槽11Aの例を示す。余剰槽11aには配管152が設けられている。配管152の先端開口は予備槽151内に位置している。予備槽151と洗浄液再生部20とをつなぐ配管51には、電磁弁61が取り付けられている。第一洗浄槽11Aと予備槽151とは、ポンプ172およびフィルタ173を備えた循環用の配管171により接続されている。予備槽151には、冷媒が通る冷却管181と、熱媒が通る加温管182とが配置されている。この構成により、予備槽に貯留された洗浄液を所望の温度に調整することができる。
冷却管181および加温管182は一例であり、他の冷却装置や加温装置が予備槽に取り付けられてもよい。
コントローラが切り替え判定において参照する制御パラメータとしては、被洗浄物の洗浄時間や、洗浄した被洗浄物の量などを例示できる。前者の具体例としては、第一洗浄槽内に籠が位置していた時間(籠を沈めてから引き上げるまでの時間)を、後者の具体例としては、洗浄が行われた籠の数を、それぞれ例示できる。コントローラがこれらの情報を取得および記憶できるように洗浄装置の各部を構成することにより、使用者がユーザインターフェースから指示を入力しなくても、洗浄液再生部に所定の周期で通常モードと濃縮廃棄モードとを繰り返させることができる。
11、11A 第一洗浄槽
12 第二洗浄槽
20 洗浄液再生部
30 コントローラ
52 配管
62、63、64、65 電磁弁
D 洗浄液
Claims (10)
- 第一洗浄槽と、前記第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、
前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生し、前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つに供給する洗浄液再生部と、
前記洗浄液再生部と、前記第一洗浄槽および前記第二洗浄槽とを接続し、前記洗浄液再生部で再生された洗浄液が流れる配管と、
前記洗浄液再生部および前記配管内の洗浄液の流れを制御するコントローラと、
を備え、
前記洗浄液再生部は、内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮する濃縮モードと、濃縮を伴わない通常モードとの二つの運転モードを有し、
前記コントローラは、
前記通常モードにおいて、再生された洗浄液が前記第二洗浄槽に送られるように前記配管内の洗浄液の流れを制御し、
前記濃縮モードにおいて、前記第一洗浄槽から前記洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止し、再生された洗浄液が前記第一洗浄槽に送られて前記第二洗浄槽には送られないように前記配管内の洗浄液の流れを制御する、
洗浄装置。 - 前記第一洗浄槽は、前記2以上の洗浄槽のうち、最も下流側に位置する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記第二洗浄槽は、前記2以上の洗浄槽のうち、最も上流側に位置する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記第一洗浄槽からのみ前記洗浄液が前記洗浄液再生部に供給される、
請求項2に記載の洗浄装置。 - 前記配管は、複数の弁を有し、
前記コントローラは、前記複数の弁の開閉を制御することにより前記配管内の洗浄液の流れを制御する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記コントローラは、前記濃縮モードにおいて、前記洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記コントローラは、前記濃縮モード終了後、一定時間前記配管内の洗浄液の流れを変更せずに保持する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記洗浄液再生部は、前記洗浄液を蒸留することにより再生する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 前記洗浄液は、炭化水素系溶剤、グリコール類系溶剤、臭素系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤のいずれかを含有する、
請求項1に記載の洗浄装置。 - 第一洗浄槽と、前記第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生する洗浄液再生部と、を備えた洗浄装置の作動方法であって、
前記洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮しているときは、前記第一洗浄槽から前記洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止し、再生された洗浄液を前記第一洗浄槽に戻し前記第二洗浄槽には戻さず、
前記洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮していないときは、再生された洗浄液を前記第二洗浄槽に戻す、
洗浄装置の作動方法。
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