JP6978614B2 - ガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤおよびガスメタルアーク溶接方法 - Google Patents

ガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤおよびガスメタルアーク溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤおよびガスメタルアーク溶接方法に係り、とくに、極低温環境下で使用される高Mn含有鋼材溶接用ソリッドワイヤおよびそれを用いたガスメタルアーク溶接方法に関する。
近年、環境に対する規制が厳しくなっている。液化天然ガス(以下、LNGともいう)は、硫黄を含まないため、硫化酸化物等の大気汚染物質を発生させないクリーンな燃料と言われ、その需要が増加している。LNGの輸送または保管のために、LNGを輸送または貯蔵する容器(タンク)は、LNGの液化温度である-162℃以下の温度で、優れた極低温衝撃靭性を保持することが求められている。
そして、優れた極低温衝撃靭性を保持することの必要性から、容器(タンク)等の材料用として、従来から、アルミニウム合金、9%Ni鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が、用いられてきた。
しかし、アルミニウム合金は、引張強さが低いため、構造物の板厚を大きく設計する必要があり、また溶接性が悪いという問題がある。また、9%Ni鋼は、溶接材料として高価なNi基材料を用いることが必要なため、経済的に不利となる。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、高価であり、母材強度も低いという問題がある。
このような問題から、LNGを輸送または貯蔵する容器(タンク)用の材料として、最近では、質量%で、Mnを10〜35%程度含有する高Mn含有鋼(以下、高Mn鋼ともいう)の適用が検討されている。高Mn鋼は、極低温においても、オーステナイト相であり、脆性破壊が発生せず、またオーステナイト系ステンレス鋼と比較して、高い強度を有するという特徴がある。そこで、このような高Mn含有鋼材を安定して溶接できる溶接材料の開発が要望されてきた。
このような要望に対して、例えば特許文献1には、「サブマージアーク溶接およびガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ」が提案されている。特許文献1に記載されたソリッドワイヤは、重量%で、C:0.15〜0.8%、Si:0.5〜1.5%、Mn:15〜32%、Cr:5.5%以下、Mo:1.5〜3%、S:0.025%以下、P:0.025%以下、B:0.01%以下、Ti:0.05〜1.2%、N:0.005〜0.5%、を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有するソリッドワイヤである。特許文献1に記載されたソリッドワイヤを用いて溶接すれば、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験吸収エネルギーが32J以上の優れた衝撃靭性を有する溶接継手部を確保できるとしている。
また、特許文献2には、「極低温衝撃靭性に優れた高強度溶接継手部及びこのためのフラックスコアードアーク溶接用ワイヤ」が提案されている。特許文献2に記載されたフラックスコアードアーク溶接用ワイヤは、重量%で、C:0.15〜0.8%、Si:0.2〜1.2%、Mn:15〜34%、Cr:6%以下、Mo:1.5〜4%、S:0.02%以下、P:0.02%以下、B:0.01%以下、Ti:0.09〜0.5%、N:0.001〜0.3%、TiO2:4〜15%、SiO2、ZrO2及びAl2O3のうちから選択された1種以上の合計:0.01〜9%、K、Na及びLiのうちから選択された1種以上の合計:0.5〜1.7%、FとCaのうち1種以上:0.2〜1.5%、残部Fe及びその他の不可避的不純物を含む組成を有するワイヤである。特許文献2に記載されたフラックスコアードアーク溶接用ワイヤを用いて溶接すれば、-196℃でシャルピー衝撃試験吸収エネルギーが28J以上の優れた低温靭性および常温引張強さが400MPa以上の高強度を有する溶接継手部が効果的に得られ、また、ワイヤ組成をMo:1.5%以上に調整しており、優れた耐高温割れ性を有する溶接継手部を確保できるとしている。
韓国登録特許第10-1560899号公報 特表2017-502842号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、溶接入熱量:0.9kJ/mmで溶接施工された溶接部について、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験吸収エネルギーが32J以上を満足する極低温衝撃靭性を有することが確認されているだけである。本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載された技術では、実施工溶接時におけるような種々の溶接条件で溶接施工した場合、極低温環境下で溶接部に脆性破壊が発生する恐れがあることを知見した。というのは、特許文献1に記載された技術では、実施工溶接時におけるような種々の溶接条件で溶接した際に、溶接部の粗大化したデンドライトアームで溶質元素が希薄となりオーステナイトの安定性が低下する場合があり、そのような場合には、極低温環境下で、溶接継手部に脆性破壊が発生することが懸念される。
また、特許文献2に記載された技術では、フラックスコアードワイヤであるため、溶接時にヒュームの発生量が多くなり、溶接者がヒューム量の多い環境下に晒されるという問題があった。なお、本発明者らの検討によれば、フラックスコアードワイヤに代えてソリッドワイヤとし、炭化物形成元素やB含有量を低減した組成として、ソリッドワイヤの製造性を高めることにより、この問題は回避できることを知見した。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、極低温環境下で使用される高Mn含有鋼材用の溶接材料として好適な、高強度高延性と、優れた極低温衝撃靭性とを兼備した溶接継手部を作製できる、ガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤおよびそれを用いたガスメタルアーク溶接方法を提供することを目的とする。
なお、ここでいう「高強度高延性」とは、ガスメタルアーク溶接によりJIS Z 3111の規定に準拠して作製した溶着金属(溶接金属)の常温降伏強さ(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上、全伸びが40%以上であることをいうものとする。また、「優れた極低温衝撃靭性」とは、ガスメタルアーク溶接によりJIS Z 3111の規定に準拠して作製した溶着金属(溶接金属)の、試験温度:-196℃でのシャルピー衝撃試験吸収エネルギーvE-196が28J以上で、脆性破面率が10%以下であることをいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、溶着金属の極低温衝撃靭性に及ぼすソリッドワイヤの組成の影響について鋭意検討した。その結果、溶着金属の極低温衝撃靭性を高め、脆性破壊の発生を防止するためには、まず、オーステナイトの安定度を十分に高める必要があることを知見した。そして、本発明者らは、含有する合金元素量との関連で、次(1)式
SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
(ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるSFE値が、オーステナイトの安定度の指標として有効であることを知見した。
そして、本発明者らは、上記したSFEが17〜57(mJ/m2)の範囲を満足する組成のソリッドワイヤであれば、溶接時形成されるオーステナイトが安定化し、JIS Z 3111の規定に準拠して所定の溶接条件で作製された溶着金属が、所望の高強度高延性と、所望の優れた極低温衝撃靭性とを兼備した溶着金属となることを知見した。
そして、さらに、ソリッドワイヤの組成を、とくに、Cを0.20〜0.80%で、Siを0.15〜0.90%に調整し、さらにMnを15.0〜28.0%、Niを0.01〜10.0%、Crを0.4〜1.9%、Bを0.0010〜0.0050%の特定範囲に調整し、炭化物形成元素であるV、Ti、Nbをそれぞれ0.5%以下の特定範囲に調整することにより、伸線加工時の割れ等の欠陥発生がなくソリッドワイヤの製造性に優れるソリッドワイヤとなることを知見した。
また、本発明者らは、溶接凝固時に形成されるデンドライトは溶質元素を排出しながら成長するため、溶質元素が希薄になるミクロな領域が形成され、そのため、オーステナイトの安定度が低下することに思い至り、溶接時の冷却速度を調整することに思い至った。これにより、デンドライトアームの粗大化を防ぎ、溶質元素の吐出量を低減して、溶質元素が希薄になるミクロな領域が狭くなり、ミクロな領域においてもオーステナイトの安定化を図ることができること、それにより、溶着金属の極低温衝撃靭性が更に向上し、溶接継手部の脆性破壊の発生を防止することができることを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.20〜0.80%、
Si:0.15〜0.90%、
Mn:15.0〜28.0%、
P :0.030%以下、
S :0.030%以下、
Ni:0.01〜10.0%、
Cr:0.4〜1.9%、
B :0.0010〜0.0050%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、次(1)式
SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
(ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるSFEが17〜57(mJ/m2)を満足する組成を有することを特徴とするガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(2)上記(1)において、前記組成が、さらに、質量%で、V:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有するとを特徴とするガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(3)上記(1)または(2)において、前記組成が、さらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記組成が、さらに、質量%で、Mo:3.5%以下を含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(5)高Mn含有鋼材を、ソリッドワイヤを用いたガスメタルアーク溶接により、溶接金属を形成して接合するガスメタルアーク溶接方法であって、
前記ソリッドワイヤが、質量%で、
C :0.20〜0.80%、
Si:0.15〜0.90%、
Mn:15.0〜28.0%、
P :0.030%以下、
S :0.030%以下、
Ni:0.01〜10.0%、
Cr:0.4〜1.9%、
B :0.0010〜0.0050%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、次(1)式
SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
(ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるSFEが17〜57(mJ/m2)を満足する組成を有し、
前記ガスメタルアーク溶接を、1300〜1200℃の温度範囲の冷却速度CR(℃/s)が[SFE+(冷却速度CR)1/2]:20〜70を満足するように調整することを特徴とする、ガスメタルアーク溶接方法。
(6)上記(5)において、前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
(7)上記(5)または(6)において、前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
(8)上記(5)〜(7)のいずれかにおいて、前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:3.5%以下含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
本発明によれば、ワイヤ製造性に優れ、さらに、高Mn含有鋼材の溶接材料として、高強度でかつ極低温靭性に優れた溶接継手部を容易に製造できる、ガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤおよびそれを用いたガスメタルアーク溶接方法を提供でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明ソリッドワイヤは、高Mn含有鋼材のガスメタルアーク溶接用として好適な、ソリッドワイヤである。本発明ソリッドワイヤは、ガスメタルアーク溶接によりJIS Z 3111に準拠して作製した溶着金属(溶接金属)が、常温における0.2%耐力で400MPa以上、引張強さで660MPa以上、全伸びで40%以上の高強度高延性と、試験温度:-196℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが28J以上、脆性破面率が10%以下である、優れた極低温靭性とを兼備することができ、高強度高延性で極低温靭性に優れた溶接継手部を作製できる溶接材料である。
本発明ソリッドワイヤは、基本組成として、質量%で、C:0.20〜0.80%、Si:0.15〜0.90%、Mn:15.0〜28.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Ni:0.01〜10.0%、Cr:0.4〜1.9%、B:0.0010〜0.0050%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、次(1)式
SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
(ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるSFEが17〜57(mJ/m2)を満足する組成を有する。
まず、組成の限定理由について説明する。なお、以下、組成における「質量%」は、単に「%」で記す。
C:0.20〜0.80%
Cは、固溶強化により、溶接金属の強度を上昇させる作用を有する元素である。また、Cは、オーステナイト相を安定化させ、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、0.20%以上の含有を必要とする。しかし、0.80%を超えて含有すると、炭化物が析出し,極低温衝撃靭性が低下し、さらに、溶接時の高温割れが生じやすくなる。そのため、Cは0.20〜0.80%の範囲に限定した。好ましくは、0.30〜0.70%である。
Si:0.15〜0.90%
Siは、脱酸剤として作用し、Mnの歩留りを高めるとともに、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持し、スパッタの発生を低減する効果がある。そのような効果を得るためには、Siは0.15%以上の含有を必要とする。しかし、0.90%を超えてSiを含有すると、溶接金属の極低温衝撃靭性を低下させる。また、凝固時に偏析し、凝固セル界面に液相を生成して、耐高温割れ性を低下させる。そのため、Siは0.15〜0.90%の範囲に限定した。好ましくは0.20〜0.70%である。
Mn:15.0〜28.0%
Mnは、安価に、オーステナイト相を安定化する元素であり、本発明では15.0%以上の含有を必要とする。Mnが15.0%未満では、溶接金属(溶着金属)中のMn希薄部にε−マルテンサイトが生成し,極低温での靭性が著しく低下する。一方、Mnを28.0%を超えて含有しても、極低温衝撃靭性を改善する効果が飽和するだけでなく、凝固時に過度のMn偏析が発生し,高温割れを誘発する。そのため、Mnは15.0〜28.0%の範囲に制限した。好ましくは18.0〜25.0%である。
P:0.030%以下
Pは、結晶粒界に偏析し、高温割れを誘発するとともに、溶接金属の極低温衝撃靭性を低下させる元素であり、本発明では、不純物元素としてできるだけ低減することが好ましいが、0.030%以下であれば、許容できる。そのため、Pは0.030%以下に限定した。好ましくは0.02%以下である。一方、過度のP低減は、精練コストの高騰を招く。そのため、Pは0.003%以上に調整することが好ましい。
S:0.030%以下
Sは、溶接金属(溶着金属)中では、硫化物系介在物MnSとして存在する。MnSは、破壊の発生起点となるため、極低温靭性を低下させる。そのため、Sは0.030%以下に限定した。好ましくは0.02%以下である。一方、過度のS低減は、精練コストの高騰を招く。そのため、Sは0.001%以上に調整することが好ましい。
Ni:0.01〜10.0%
Niは、オーステナイト粒界を強化する元素であり、粒界に偏析し、極低温衝撃靭性を向上させる。また、Niは転位の易動度を向上させる。このような効果を得るためには、Niは0.01%以上の含有を必要とする。また、Niは、オーステナイト相を安定化する効果もあるため、さらに含有量を増加すれば、オーステナイト相を安定化させて、溶接金属(溶着金属)の極低温衝撃靭性を向上させる。しかし、Niは高価な元素であり、10.0%を超える含有は、経済的に不利となる。そのため、Niは0.01〜10.0%に限定した。好ましくは1.0〜8.0%であり、より好ましくは2.0〜7.0%である。
Cr:0.4〜1.9%
Crは、極低温ではオーステナイト相を安定化させるとともに、粒界強度を向上させ、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる作用を有する。また、Crは、溶接金属の強度を向上させる作用も有する。また、Crは、溶融金属の液相線を高めて、高温割れの発生を抑制するのに有効に作用する。さらに、Crは、溶接金属の耐食性を高めるのにも有効に作用する。このような効果を得るためには、Crは0.4%以上の含有を必要とする。Crが0.4%未満では、上記した効果を確保できない。一方、1.9%を超えて含有すると、冷却速度が遅い場合にオーステナイト粒界にCr炭化物が生成し、極低温衝撃靭性の低下を招く。さらに、Cr炭化物の生成により、ワイヤ伸線時の加工性が低下する。そのため、Crは0.4〜1.9%の範囲に限定した。好ましくは、0.5〜1.8%である。
B:0.0010%〜0.0050%
Bは、オーステナイト粒界に偏析することで、粒界強度を向上させ、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる作用を有する。また、粒界強度の向上に伴い、伸線加工時の破断を防止する作用も有する。このような効果を得るために、Bは0.0010%以上の含有を必要とする。Bが0.0010%未満では、上記した効果を確保できない。一方、0.0050%を超えて含有すると、不可避的不純物として混入しているNと結合し、窒化ホウ素をオーステナイト粒界に形成し、粒界強度を低下させる。この粒界強度の低下により、ワイヤの伸線加工時に、オーステナイト粒界が破壊発生起点となり、断線を生じさせ、伸線加工性が低下し、ワイヤの製造性を低下させる。そのため、Bは0.0010〜0.0050%の範囲に限定した。好ましくは、0.0011〜0.0030%である。
本発明ソリッドワイヤでは、上記した成分を基本の成分とする。
溶接金属(溶着金属)の極低温衝撃靭性を向上するためには、オーステナイトの安定度を高め、溶接金属の脆性破壊の発生を抑制することが必要となる。そのために、本発明ソリッドワイヤでは、次(1)式
SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
(ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるSFE(Stacking Fault Energy)が17〜57(mJ/m2)を満足するように、上記した各成分の含有範囲内で各成分の含有量を調整する。SFEは、本発明で巨視的なオーステナイトの安定度の指標として採用した値であり、Ni、Cr、Mn、Moの各含有量から(1)式で定義される。SFEが17(mJ/m2)未満では、オーステナイトの安定度が低く、所望の極低温衝撃靭性を満足できない。一方、SFEが57(mJ/m2)を超えると、引張試験時の加工硬化能が低下し、所望の引張強さを満足できない。このため、(1)式で定義されるSFEは17〜57(mJ/m2)の範囲に限定した。好ましくは20〜55(mJ/m2)である。なお、(1)式に記載された元素を含有しない場合には、当該元素の含有量は零として、(1)式の値SFEを算出するものとする。
本発明ソリッドワイヤでは、上記した基本の成分に加えてさらに、必要に応じて、任意成分として、V:0.5%以下、Ti:0.5%以下およびNb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下、および/または、Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Mo:3.5%以下、を選択して含有できる。
V:0.5%以下、Ti:0.5%以下およびNb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下
V、Ti、Nbはいずれも、炭化物を形成し、溶接金属の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上を合計で1.0%以下含有できる。
V:0.5%以下
Vは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。一方、0.5%を超えて含有すると、炭化物が粗大化して、ソリッドワイヤの伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性が低下し、ワイヤの製造性を低下させる。そのため、含有する場合には、Vは0.5%以下に限定することが好ましい。
Ti:0.5%以下
Tiは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。また、Tiは、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。しかし、Ti:0.5%を超えて含有すると、炭化物が粗大化し、ソリッドワイヤの伸線加工時の割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、ワイヤの製造性を低下させる。また、Tiを0.5%を超えて含有すると、炭化物が粗大化し、結晶粒の微細化が抑制され、極低温衝撃靭性が低下する。そのため、含有する場合には、Tiは0.5%以下に限定することが好ましい。
Nb:0.5%以下
Nbは、炭化物形成元素であり、炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する元素である。また、Nbは、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。しかし、Nbが0.5%を超えて含有すると、炭化物が粗大化し、ソリッドワイヤの伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性が低下し、ワイヤの製造性を低下させる。また、Nbが0.5%を超えて含有すると、炭化物が粗大化し、結晶粒の微細化が抑制され、極低温衝撃靭性も低下する。そのため、含有する場合には、Nbは0.5%以下に限定することが好ましい。
なお、V、Ti、Nbは、合計で1.0%を超えて多量に含有すると、ワイヤの製造性、極低温衝撃靭性が低下する。そのため、含有する場合は、V、Ti、Nbは、合計で1.0%以下に限定することが好ましい。
Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cuはオーステナイト安定化に寄与する元素であり、Alは溶接作業性を向上させる元素であり、Ca、REMは加工性向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上含有できる。
Cu:1.0%以下
Cuは、オーステナイト相を安定化する元素であり、極低温でもオーステナイト相を安定化させて、溶接金属(溶着金属)の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが好ましい。しかし、1.0%を超えて多量に含有すると、熱間延性が低下し、ワイヤの製造性が低下する。そのため、含有する場合には、Cuは1.0%以下に限定することが好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用し、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持し、スパッタの発生を低減する重要な作用を有する。また、Alは、溶融金属の液相線温度を高め、溶接金属の高温割れ発生の抑制に寄与する。このような効果は、0.005%以上の含有で顕著となるため、0.005%以上含有することが好ましい。しかし、0.10%を超えて含有すると、溶融金属の粘性が高くなりすぎて、逆に、スパッタの増加や、ビードが広がらず融合不良などの欠陥が増加する。そのため、含有する場合には、Alは0.10%以下に限定することが好ましい。より好ましくは0.005〜0.04%である。
Ca:0.01%以下
Caは、溶融金属中でSと結合し、高融点の硫化物CaSを形成する。CaSは、MnSよりも高融点であるため、ソリッドワイヤの熱間加工時に圧延方向に進展せずに球形を維持し,ソリッドワイヤの加工性向上に有利に作用する。このような効果は0.001%以上の含有で顕著となる。一方、0.01%を超えて含有すると、溶接時にアークに乱れが生じ、安定な溶接が困難となる。そのため、含有する場合には、Caは0.01%以下に限定することが好ましい。
REM:0.02%以下
REMは、強力な脱酸剤であり、溶接金属(溶着金属)中ではREM酸化物の形態で存在する。REM酸化物は凝固時の核生成サイトとなることで、結晶粒を微細化し、溶接金属(溶着金属)の強度の向上に寄与する。このような効果は0.001%以上の含有で顕著となる。しかし、0.02%を超えて含有すると、アークの安定性が低下する。そのため、含有する場合には、REMは0.02%以下に限定することが好ましい。
Mo:3.5%以下
Moは、固溶強化により強度を向上させる元素であり、このような効果を得るためには0.5%以上含有することが望ましい。一方、3.5%を超えて含有すると、炭化物が析出し、熱間加工性が低下し、ワイヤの伸線加工など、ワイヤの製造性が低下する。そのため、含有する場合には、Moは3.5%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
つぎに、本発明ソリッドワイヤの製造方法について説明する。
本発明ソリッドワイヤの製造は、上記した組成を有する溶鋼を用いる以外は、とくにその製造方法を限定する必要はなく、常用の溶接用ソリッドワイヤの製造方法がいずれも適用できる。例えば、上記した組成を有する溶鋼を、電気炉、真空溶解炉等の常用の溶製炉で溶製し、所定形状の鋳型等に鋳造し、鋼塊を得る鋳造工程と、得られた鋼塊を、所定温度に加熱する加熱工程と、加熱された鋼塊に、熱間圧延を施し、所定形状の鋼素材(棒状)を得る熱延工程と、を順次行い、ついで、得られた鋼素材(棒状)を複数回の冷間圧延(冷間伸線加工)と必要に応じて、焼鈍温度:1000〜1200℃とする焼鈍を施して、所望寸法のワイヤとする冷延工程を行うことで、本発明のソリッドワイヤを製造することができる。
つぎに、上記した組成を有する本発明ソリッドワイヤを用いた、ガスメタルアーク溶接方法について説明する。
前記溶接方法では、高Mn含有鋼材を、上記した組成を有する本発明ソリッドワイヤを溶接材料として、ガスメタルアーク溶接により、溶接金属を形成して接合する。ガスメタルアーク溶接は、「ガスシールドアーク溶接」とも称され、一般に、溶接材料(溶加材)を電極として用いる「溶極式(消耗電極式)」とタングステン等の非消耗電極を用いる「非消耗電極式」とに大別することができる。本発明ソリッドワイヤは、高強度高延性で優れた極低温衝撃靭性を達成する観点から、溶極式のガスメタルアーク溶接に用いることが好ましい。
溶接姿勢、予熱、溶接入熱量(電流、電圧、溶接速度)、シールドガス等の溶接条件は、常用のものをいずれも適用できる。
本発明ソリッドワイヤを用いてガスメタルアーク溶接される高Mn含有鋼材は、合金元素としてMnを高含有量で含む。Mn含有量の下限値は、特に限定されないが、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。Mn含有量の上限値は、特に限定されないが、例えば35質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは27質量%以下である。高Mn含有鋼材のMn含有量が前記範囲内であれば、本発明ソリッドワイヤを溶接材料として用いてガスメタルアーク溶接することにより、耐高温割れ性および溶接ビード外観に優れ、所望の高強度高延性および優れた極低温衝撃靭性を兼備する溶接金属(溶着金属)および溶接継手を安定に得ることができる。
前記高Mn含有鋼材において、Mn以外の合金元素の組成や鋼材のサイズや形状等は、特に限定されず、所望する用途に適したものを採用することができるが、所望の高強度高延性および優れた極低温衝撃靭性を達成する観点から、高Mn含有鋼材が鋼板である場合の板厚は6mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、40mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。
本発明ソリッドワイヤを用いた前記ガスメタルアーク溶接方法は、特に限定されないが、例えば、高強度高延性および優れた極低温衝撃靭性が要求される溶接金属を備えた製品の製造等、好ましくは、高Mn含有鋼材からLNGの輸送用または貯蔵用の容器等の製造等に用いることができる。
本発明ソリッドワイヤを用いたガスメタルアーク溶接方法では、溶接時の冷却において、溶接ビード(溶接部)における1300〜1200℃の温度範囲の冷却速度CR(℃/s)が[SFE+(冷却速度CR)1/2]:20〜70を満足するように、溶接入熱を調整する。これにより、オーステナイトが安定化し、溶接金属(溶着金属)における脆性破壊の発生を抑制することができ、その結果、高強度高延性および優れた極低温衝撃靭性を有する溶接金属(溶着金属)を得ることができる。
[SFE+CR1/2]の下限値は、20であり、特に限定されないが、25以上であるのが好ましく、30以上であるのがより好ましい。[SFE+(冷却速度CR)1/2]が20未満となるようなCR(℃/s)では、冷却が遅く、デンドライトアームの粗大化を防止できないため、デンドライトアーム部分では凝固時の溶質元素の吐出量が多くなり、溶質元素が希薄な領域が拡大し、微視的なオーステナイトの安定性が確保できない。
[SFE+CR1/2]の上限値は、70であり、特に限定されないが、65以下であるのが好ましく、60以下であるのがより好ましい。[SFE+(冷却速度CR)1/2]が70超となるようなCR(℃/s)では、引張試験時の加工硬化能が低下し、所望の引張強さを満足できない。なお、ここでいう「SFE」は、巨視的なオーステナイトの安定度の指標として、上記した(1)式で定義されるものである。
溶接では、一般に、1パスの溶接を行う毎に、形成した溶接ビード(溶接部)を所定温度まで冷却して凝固させてから、それに続く作業、例えば、次パスの溶接や任意の後熱処理などを行う。複数パスの溶接を行って1300〜1200℃の温度範囲の冷却過程を複数回経る場合は、その全ての冷却過程において[SFE+(冷却速度CR)1/2]:20〜70を満足するように、各パスにおける溶接入熱量を調整する。
本発明の溶接方法では、形成した溶接ビード(溶接部)を大気中で静置して放冷することで冷却するため、各パスにおける溶接入熱量を調節することで、1300〜1200℃の温度範囲の冷却速度CR(℃/s)を制御することができる。具体的には、上記式に当てはまる冷却速度となるような溶接入熱量を予め予備実験または稲垣の式から求めておき、その入熱量で溶接すればよい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、鋳造して鋼塊100kgを得た。得られた鋼塊を、1200℃に加熱したのち、熱間圧延し、ついで冷間圧延して、1.2mmφのガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤを得た。ワイヤ製造に際して、圧延荷重(伸線荷重)の測定、割れの観察を行って、各ソリッドワイヤの製造性を評価した。圧延荷重(伸線荷重)が高く、圧延(伸線)加工が不可能であると判断された場合、割れの発生が認められた場合、または発生した割れに起因して、それ以上工程を進めることができなくなった場合等を「不良」と評価した。それ以外は、「良」と評価した。
ついで、試験板として、極低温用高Mn鋼板(板厚:6〜40mm)を用意し、JIS Z 3111に準拠して、突き合わせて、45°V形開先を形成し、表1に示す組成の溶鋼をから製造したソリッドワイヤを溶接材料として、溶極式のガスメタルアーク溶接を行って、該開先内に溶着金属を得た。試験板として使用した鋼板は、質量%で、0.5%C−0.4%Si−25%Mn−3%Cr−残部Feからなる組成を有する極低温用高Mn鋼板であった。
前記溶接は、表1に示す組成の溶鋼から製造した各ソリッドワイヤ(直径1.2mm)を電極として用いて、予熱なし、下向き姿勢で、パス間温度:100〜150℃、シールドガス:80%Ar+20%CO2、として、実施した。溶接時の温度履歴は、熱電対を用いて実測し、1300〜1200℃の温度範囲における冷却速度を算出した。
溶接後、溶着金属を光学顕微鏡で観察し、溶接割れの有無を判定した。溶接割れは、高温割れであり、割れ発生が認められた場合は耐高温割れ性が低下しているとして「不良」と評価した。割れ発生が認められなかった場合は、耐高温割れ性に優れるとして「良」と評価した。
また、目視によって溶接ビードの外観を観察し、溶接ビード外観の判定を行った。アンダーカット、オーバーラップ、ピットが認められた場合は、溶接ビード外観が不良として「不良」と評価した。これらが認められなかった場合は、溶接ビード外観が良好として「良」と評価した。
得られた溶着金属から、JIS Z 3111の規定に準拠して、溶接金属の引張試験片(平行部径6mmφ)、および溶接金属のシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、引張試験、衝撃試験を実施した。なお、板厚10mm未満の鋼板については、5mmサブサイズのシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、衝撃試験を実施した。
引張試験は、室温で、各3本の試験片にて実施し、得られた値(0.2%耐力、引張強さ、全伸び)の平均値を、当該ソリッドワイヤを用いた溶着金属の引張特性とした。また、シャルピー衝撃試験は、各3本の試験片にて実施し、試験温度:−196℃における吸収エネルギーvE-196を求め、その平均値を、当該ソリッドワイヤを用いた溶着金属の極低温衝撃靭性とした。なお、5mmサブサイズのシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)については、得られた吸収エネルギーを1.5倍にした値を、極低温衝撃靭性として評価した。なお、脆性破面率は目視で求めた。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0006978614
Figure 0006978614
本発明例はいずれも、ワイヤ製造性に優れ、溶接時に溶接割れ(高温割れ)の発生がなく耐高温割れ性に優れ、溶接ビード外観も良好であった。さらに、常温における降伏強さ(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上、全伸びが40%以上と高強度高延性で、さらに、試験温度:−196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が28J以上で、脆性破面率が10%以下と優れた極低温衝撃靭性を有する溶着金属を得ることができる溶接材料(ソリッドワイヤ)であった。
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、ワイヤの製造性が劣るか、溶接割れ(高温割れ)が発生し耐高温割れ性が低下しているか、溶接ビード外観が劣るか、あるいは、常温における0.2%耐力が400MPa未満、引張強さが660MPa未満、全伸びが40%未満であるか、吸収エネルギーvE-196が28J未満であるか、脆性破面率が10%を超えているか、して、所望の高強度高延性と優れた極低温衝撃靭性を兼備する溶着金属が得られていなかった。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C :0.20〜0.80%、
    Si:0.15〜0.90%、
    Mn:15.0〜28.0%、
    P :0.030%以下、
    S :0.030%以下、
    Ni:0.01〜10.0%、
    Cr:0.4〜1.9%および
    B :0.0010〜0.0050%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、
    下記(1)式で定義されるSFEが17〜57(mJ/m2)を満足する組成を有することを特徴とするガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。

    SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
    ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%)
  2. 前記組成が、さらに、質量%で、V:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  3. 前記組成が、さらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  4. 前記組成が、さらに、質量%で、Mo:3.5%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤ。
  5. 高Mn含有鋼材を、ソリッドワイヤを用いたガスメタルアーク溶接により、溶接金属を形成して接合するガスメタルアーク溶接方法であって、
    前記ソリッドワイヤが、質量%で、
    C :0.20〜0.80%、
    Si:0.15〜0.90%、
    Mn:15.0〜28.0%、
    P :0.030%以下、
    S :0.030%以下、
    Ni:0.01〜10.0%、
    Cr:0.4〜1.9%および
    B :0.0010〜0.0050%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、次(1)式
    SFE(mJ/m2)=−53+6.2Ni+0.7Cr+3.2Mn+9.3Mo ……(1)
    (ここで、Ni、Cr、Mn、Mo:各元素の含有量(質量%))
    で定義されるSFEが17〜57(mJ/m2)を満足する組成を有し、
    前記ガスメタルアーク溶接を、1300〜1200℃の温度範囲の冷却速度CR(℃/s)が[SFE+(冷却速度CR)1/2]:20〜70を満足するように調整することを特徴とする、ガスメタルアーク溶接方法。
  6. 前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする請求項5に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  7. 前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.10%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5または6に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  8. 前記ソリッドワイヤが、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:3.5%以下含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のガスメタルアーク溶接方法。
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