JP6975539B2 - 粘着剤用水系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
なお、粘着剤の保持力を良好なものとすれば、粘着剤層の所定の位置からのずれ・はみ出しが充分に防止されることとなる。これにより、粘着製品を所望の寸法に裁断したり、基材等に切れ目等を入れたりするために用いる刃の劣化を充分に抑制することも可能であり、刃の交換等の設備のメンテナンスが少なくて済む。
(組成物中に残存する過硫酸塩)
上述した本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、重合開始剤として用いた過硫酸塩を1ppb〜100ppm含む。このように組成物中に残存する過硫酸塩を極少量とすれば、組成物を用いて得られる粘着剤層において、曲面密着性を充分に良好なものとしながら保持力が特に優れるものとなり、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立することができる。これは、ポリマー末端に結合せずに存在する過硫酸塩を含む粘着剤層が、ポリマー末端に結合した過硫酸塩由来の基を含む粘着剤層と比較して吸湿し易いため、水によって可塑化され、保持力と曲面密着性のバランスが崩れていたと推定されるところ、組成物中に残存する過硫酸塩を極少量とすることにより、得られる粘着剤層を吸湿しにくいものとし、上記バランスが崩れることを特異的に防止することができるためであると考えられる。
過硫酸塩の含有量は、実施例に記載の方法で測定されるものである。
ここで、過硫酸塩の含有量の好ましい上限値は上述した通りである。
また過硫酸塩の含有量の測定方法及び過硫酸塩の種類は、上述した通りである。
以下では、上述した技術的に密接に関連した各発明に共通する事項について説明する。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、エマルション樹脂を含み、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含む。
エマルション樹脂は、通常はモノマー成分を乳化重合してなるものであるが、重合して得られたポリマーに乳化剤を添加してエマルション樹脂としたものであってもよい。なお、本明細書中、エマルション樹脂とは、粘着剤用水系樹脂組成物中においてエマルション粒子を形成するポリマーを言う。
また、本発明に係るエマルション樹脂が2種以上のエマルション樹脂を含む場合は、本発明に係るエマルション樹脂を調製するために用いた全てのモノマー組成から算出したTg(トータルTg)が上記範囲内であればよいが、2種以上のエマルション樹脂それぞれのTgがいずれも上記範囲内であることが好ましい。
例えば、上記エマルション樹脂が、ガラス転移温度が−70〜−45℃であるエマルション樹脂とともにガラス転移温度が−10〜10℃であるエマルション樹脂を含む形態が、本発明における好ましい形態の1つである。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
なお、固形分とは、水系分散媒以外の成分を意味する。
なお、エマルション樹脂の重量平均分子量(Mw)は、以下の条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるものである。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
使用カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続したもの
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が0.2質量%となるように溶離液(テトラヒドロフラン)に溶解し、フィルターにてろ過したものを測定する。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、粘着性能をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは500nm以下である。また、平均粒子径は、より好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用いて測定することができる。
上記エマルション樹脂の製造方法において、エマルションの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、重合開始剤である過硫酸塩の使用量が0.1〜20質量%であることが好ましい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、水系分散媒を含み、上記エマルション樹脂は、通常、水系分散媒中に溶解することなく分散している。本明細書中、水系分散媒は、水を含む限り、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機分散媒を含んでいてもよいが、水であることが好ましい。水系分散媒の量を調整することで、粘着剤用水系樹脂組成物の固形分の含有量を適宜調整できる。
なお、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の固形分は、特に限定はされないが、例えば、20〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜75質量%であり、更に好ましくは30〜70質量%である。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に、乳化剤成分を含むことが好ましい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が乳化剤成分を含むとは、乳化重合時の乳化剤として該成分を含むものであってもよく、乳化重合以外の方法で重合されたポリマーに作用する乳化剤として該成分を含むものであってもよいが、乳化重合時の乳化剤として該成分を含むことが好ましい。乳化重合時の乳化剤は、通常の乳化剤(エマルション樹脂とは別の化合物)であってもよく、エマルション樹脂を形成するポリマーの一部を構成する構成単位となるものであってもよい。
上記アニオン系乳化剤としては、例えば脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸(塩)、N−アシルアミノ酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、α−オレフィンスルホン酸(塩)、α−スルホアルキルエステル(塩)、アルキルスルホコハク酸(塩)、アシルイセチオン酸(塩)、N−アシル−N−アルキルタウリン(塩)、アルキル硫酸エステル(塩)、アルキルエーテル硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸(塩)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸(塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル(塩)等が好適なものとして挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤は、反応性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を含むことがより好ましい。
なお、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物中の乳化剤(エマルション樹脂とは別の化合物)の量は、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層から抽出した成分を高速液体クロマトグラフで分析することにより求めることができる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に、顔料を含んでいてもよい。顔料を用いて白色等に着色することにより、組成物を用いて得られる粘着剤層の視認性が良好なものとなる。
上記顔料は、例えば、無機着色剤、有機着色剤等の1種又は2種以上を使用することができる。該無機着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄等が挙げられる。該有機着色剤としては、染料、天然色素等が挙げられる。上記顔料は、中でも、無機着色剤であることが好ましく、例えば酸化チタンがより好ましい。
上記顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記顔料の配合量としては、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、1〜100質量部とすることが好ましく、より好ましくは3〜80質量部であり、更に好ましくは5〜50質量部である。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に増粘剤を含んでいてもよい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体等が挙げられる。増粘剤の市販品としては、例えば、アデカノールUH−420(商品名、ポリウレタン系樹脂、(株)ADEKA製)が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が粘着剤として所望の粘度となるように適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、例えば固形分で0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が更に好ましい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に消泡剤を含んでいてもよい。
消泡剤を用いた場合には、粘着剤層の調製時に生じる泡の発生を抑制することができる。消泡剤としては、特に限定されないが、例えばシリコーン系消泡剤、有機(非シリコーン)系消泡剤等が挙げられ、これら消泡剤の1種又は2種以上を使用することができる。消泡剤の市販品としては、例えば、ビックケミージャパン(株)製、品番:BYK−088、BYK−063、BYK−065、BYK−066N、BYK−067A、BYK−077、BYK−141等のシリコーン系消泡剤;ビックケミージャパン(株)製、品番:BYK−054、BYK−057、BYK−354、BYK−392、BYK−1752、BYK−1790、BYK−1791、BYK−1794等の有機(非シリコーン)系消泡剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が消泡剤を含む場合、消泡剤の配合量は、適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、例えば固形分で0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に粘着付与樹脂を含んでいてもよい。
粘着付与樹脂としては、軟化点が60℃以上の樹脂が好ましく、ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、シリコーン系樹脂、脂肪族系石油樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。粘着付与樹脂の市販品としては、例えば、スーパーエステルE(商品名、荒川化学工業社製)等が挙げられる。
上記粘着付与樹脂の配合量は、適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対して、例えば固形分で1〜10質量部が好ましく、2〜6質量部がより好ましい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更にその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、架橋剤;湿潤剤;粘性調節剤;改質剤;充填剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;紫外線安定剤;分散剤;ゲル化剤;可塑剤;安定剤;防腐剤;防カビ剤;帯電防止剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、その他の成分には、エマルション樹脂の原料として用いられたモノマー由来のオリゴマー及びモノマーや、連鎖移動剤、還元剤が残存したもの等も含まれる。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系分散媒等の揮発成分は含まれない。
上記顔料、増粘剤、消泡剤、粘着付与樹脂、及び、その他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係るエマルション樹脂と混合され得る。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物のpHとしては特に限定されないが、2〜10であることが好ましく、3〜9.5であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物のpHは、エマルション樹脂に、アンモニア水、アルカリ金属水酸化物の水溶液、水溶性アミン類等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の粘度は、粘着剤として適切なものであればよいが、例えば1000〜100000mPa・sであることが好ましく、3000〜80000mPa・sであることがより好ましく、5000〜60000mPa・sであることが更に好ましく、7000〜40000mPa・sであることが一層好ましく、9000〜20000mPa・sであることが特に好ましい。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
以上のように、粘着剤用水系樹脂組成物中に残存する過硫酸塩の含有量を極少量とすることにより、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立する本発明の効果を発揮できることを説明したが、重合開始剤として、過硫酸塩とともに、又は、その代わりに、過硫酸塩以外の重合開始剤を使用した場合であっても、粘着剤用水系樹脂組成物中に残存する重合開始剤の含有量を極少量とすることにより、同様の本発明の効果を発揮できる。なお、これは、組成物中に残存する重合開始剤を極少量とすることにより、過硫酸塩を極少量とする場合と同様に、得られる粘着剤層を吸湿しにくいものとし、上記バランスが崩れることを特異的に防止することができるためであると考えられる。したがって、上述した組成物中に残存する過硫酸塩の好ましい含有量範囲は、重合開始剤の好ましい含有量範囲と言い換えることができる。すなわち、本発明は、エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、更に、重合開始剤を1ppb〜100ppm含む粘着剤用水系樹脂組成物でもある。
上記重合開始剤の含有量は、公知の方法で測定されるものである。
ここで、重合開始剤の含有量の好ましい上限値は上述した通りである。
また重合開始剤の含有量の測定方法及び重合開始剤の種類は、上述した通りである。
本発明は更に、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有する粘着製品でもある。
平均厚みは、マイクロメーターにより任意に5点を測定して算出されるものである。
なお、上記粘着剤層上に更に離型材を形成してもよい。離型材は、基材とは別に貼り付けられ、粘着製品の使用時に粘着剤層を露出させるために剥離されるものである。離型材としては、例えば、K−80HS(商品名、サンエー化研社製)等の離型紙やフッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。
基材や離型材の厚さは、適宜設計することができる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
<過硫酸塩の含有量の測定方法>
残存開始剤である過硫酸イオン(S2O8 −2)はダイオネクス社製Thermoイオンクロマトグラフ DX−320(カラム:ダイオネクス社製AS−16)を用いて測定した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション樹脂約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TVB−10」)を用いて、25℃、12rpmの条件下で測定した。
ポリマーのTgは、各段で用いたモノマー組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
上記計算式(1)により重合性モノマー成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−54℃
アクリル酸(AA):106℃
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):55℃
(合成例1)
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水19部を仕込んだ。滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)4.8部、ブチルアクリレート(BA)91.5部、メチルメタクリレート(MMA)1部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2.5部、アクリル酸(AA)0.2部、n−ドデシルメルカプタン0.1部(花王(株)製、商品名:チオカルコール20)、脱イオン水28.5部、単量体成分に反応性を有するアニオン系乳化剤0.5部((株)ADEKA製、固形分25%、商品名:アデカリアソープSR−20)からなるプレエマルションを調製した。
得られたプレエマルションのうち0.4%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃まで昇温し、8%過硫酸アンモニウム水溶液(8%APS)0.1部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、プレエマルションの残部と8%APS5部と4%二亜硫酸ナトリウム水溶液(4%SMBS)5部を320分間にわたって均一にフラスコ内に滴下した。
滴下終了直後に4%二亜硫酸ナトリウム水溶液(4%SMBS)5部を添加した後に、70℃で480分間熟成した。その後、室温で冷却し、200メッシュの金網で濾過することにより、合成例1のエマルション樹脂(固形分60%、Tg−52℃)が得られた。
下記表1に示したように組成を変更した以外は、合成例1と同様にして合成例2〜9のエマルション樹脂を得た。なお、合成例2〜4、7〜9のエマルション樹脂のTgは−52℃であり、合成例5のエマルション樹脂のTgは−61℃であり、合成例6のエマルション樹脂のTgは−59℃である。
下記表1中、25%SR−20は、上記した単量体成分に反応性を有するアニオン系乳化剤((株)ADEKA製、固形分25%、商品名:アデカリアソープSR−20)を意味し、25%LA−16は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製、固形分25%、商品名:ハイテノールLA−16)を意味する。
(実施例1)
合成例1のエマルション樹脂100部をよく撹拌し、25%水溶液のアンモニア水で中和した。続いて、粘着付与樹脂であるスーパーエステル(登録商標)E−788(荒川化学工業社製;固形分50%)を固形分で4.0部となるように加え、さらに増粘剤「アデカノールUH−420」((株)ADEKA製)0.5〜5部を粘度の様子を見ながら、2段階的もしくは3段階に分けて添加し(添加後、粘度を安定にするために30分〜60分撹拌を続ける)、粘度を調整して、固形分60%、pH8.0、粘度13,000mPa・s(25℃、B型粘度計での測定値)のエマルション型粘着剤組成物を得た。
このエマルション型粘着剤組成物を用いて、乾燥後の厚さが16.5μmとなるように、離型紙(「K−80HS」;サンエー化研社製)に塗布し、105℃で90秒間乾燥することで粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面(乾燥後の塗布面)に、基材となる市販のグロス紙(90g/m2)を貼り合わせ、23℃、65%RH雰囲気下で3日間養生し、粘着シート(離型紙付き)を作製した。
合成例1のエマルション樹脂を合成例2〜7のエマルション樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート(離型紙付き)を作製した。
(比較例1、2)
合成例1のエマルション樹脂を合成例8、9のエマルション樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート(離型紙付き)を作製した。
<曲面密着性>
被着体として、ポリプロピレン製(上記表1の曲面密着性の欄にPPと表記)の直径15mmの丸棒及びポリエチレン製(上記表1の曲面密着性の欄にPEと表記)の直径15mmの丸棒を用いた。
粘着シートを温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中で、被着体の円周に沿って、半周分の長さに相当する幅20mmの試験片を被着体の曲面に貼り付け、7日間静置した後、試験片の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて曲面密着性を評価した。
25点:端部の剥がれ無し
20点:端部の剥がれが0.5mm未満
15点:端部の剥がれが0.5mm〜5mm
0点:端部の剥がれが5mmより大きい
保持力の測定方法は、JIS:Z0237:2009粘着テープ・粘着シート試験方法に記載の方法に準じて行った。具体的には、被着体としてステンレス鋼板を用い、当該ステンレス鋼板の表面の汚れを拭き取った後、その面をアセトンで洗浄し、オーブンで乾燥させ、温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中で当該被着体を24時間以上保管した。
粘着シートを25mm幅に裁断し、得られた試験片を温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中にて前記ステンレス鋼板上に載せ、当該試験片上から質量が2kgであるゴムローラーで1往復させることによって試験片を圧着させた。圧着させた試験片を温度が40℃、相対湿度が65%の雰囲気中に20分間放置した後、1kgの錘を粘着シートの端部に取り付けて吊り下げて当該雰囲気中で1000分間静置し、粘着シートが剥がれ落ちるのに要する時間および試験開始から1000分間経過時の粘着シートの位置ずれ長さを測定し、以下の評価基準に基づいて保持力を評価した。
50点:1200分経過時に粘着シートが剥がれ落ちていない
40点:800分以上、1200分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
30点:400分以上、800分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
0点:400分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
各物性における評価得点を合計することにより、総合評価を行なった。なお、曲面密着性(PP、PE)がいずれも15点以上、保持力が30点以上の評価であり、総合評価が60点以上である粘着シートは、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立しており、合格である。また、曲面密着性(PP、PE)及び保持力の観点からは、評価得点の合計が高いものほどより優れると言える。なお、各物性のいずれかに0点の評価が1つでもある粘着シートは、不合格である。
なお、本実施例に係るエマルション樹脂は、いずれも重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液を用いて(メタ)アクリル系モノマーを重合して得ているため、(メタ)アクリル系ポリマーの末端に過硫酸アンモニウム由来の基が結合した構造を有するものである。
Claims (6)
- エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
該(メタ)アクリル系ポリマーを得るためのモノマー成分は、全モノマー成分100質量%中、(メタ)アクリル酸系モノマーを0.01〜5質量%、及び、(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーを95〜99.99質量%含み、
該組成物は、更に、過硫酸塩を1ppb〜100ppm含むことを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。 - エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、ポリマー末端に過硫酸塩由来の基が結合した構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
該(メタ)アクリル系ポリマーを得るためのモノマー成分は、全モノマー成分100質量%中、(メタ)アクリル酸系モノマーを0.01〜5質量%、及び、(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーを95〜99.99質量%含み、
該組成物は、過硫酸塩の含有量が100ppm以下であることを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。 - 前記組成物は、更に、反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤由来の成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着剤用水系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤用水系樹脂組成物を製造する方法であって、
該製造方法は、エマルションの原料の反応系への滴下終了後に還元剤を反応系に添加する工程を含むことを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物の製造方法。 - 前記添加する工程において、エマルションの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、還元剤の添加量が0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項4に記載の粘着剤用水系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有することを特徴とする粘着製品。
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