JP6971014B2 - 合わせガラス用中間膜 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、合わせガラス用中間膜を積層した状態で保管したときの合わせガラス用中間膜同士の接着力(自着力)が、合わせガラス用中間膜の表面の凹凸形状に大きく影響を受けることを見出した。そして更に鋭意検討した結果、上記式(1)及び上記式(2)を満たすように合わせガラス用中間膜の両面の凹凸形状を制御した場合には、積層した状態で保管しても自着せずに、容易に剥離可能となることを見出し、本発明を完成した。
上記凹凸の形状は、少なくとも溝形状を有すればよく、例えば、刻線状、格子状等の、一般的に合わせガラス用中間膜の表面に付与される凹凸の形状を用いることができる。上記凹凸の形状はエンボスロールが転写された形状であってもよい。
また、上記凸部も、図1に示したように頂上部が平面形状であってもよく、図2に示したように平面ではない形状であってもよい。なお、上記凸部の頂上部が平面形状である場合には、該頂上部の平面に更に微細な凹凸が施されていてもよい。
更に、各凹凸の凸部の高さは、同一の高さであってもよいし、異なる高さであってもよく、これらの凸部に対応する凹部の深さも、該凹部の底辺が連続していれば、同一の深さであってもよいし、異なる深さであってもよい。
なお、「規則的に並列している」とは、隣接する上記溝形状の凹部が平行して等間隔に並列していてもよく、隣接する上記刻線状の凹部が平行して並列しているが、すべての隣接する上記刻線状の凹部の間隔が等間隔でなくともよいことを意味する。
図1及び図2に、溝形状の凹部が等間隔に平行して並列している合わせガラス用中間膜の一例を表す模式図を示した。
図3に、溝形状の凹部が等間隔ではないが平行して並列している合わせガラス用中間膜の一例を表す模式図を示した。図3において、凹部1と凹部2との間隔Aと、凹部1と凹部3との間隔Bとは異なる。
図4に、交差角θを説明する模式図を示した。図4において合わせガラス用中間膜10は、第1の表面に実線で表される底部が連続した溝形状の凹部11を、第2の表面に点線で表される底部が連続した溝形状の凹部12を有する。交差角θは、この実線で表される底部が連続した溝形状の凹部11と点線で表される底部が連続した溝形状の凹部12との交差角を表す。
上記交差角θは、例えば、合わせガラス用中間膜を目視または光学顕微鏡により観察し、第1の表面が有する底部が連続した溝形状の凹部と、第2の表面が有する底部が連続した溝形状の凹部との交差角θを、目視の場合は両面ともに凹部に平行にインクにて直線を描き、分度器を用いて描かれた直線同士の鋭角を測定した。光学顕微鏡を用いる場合は拡大した表面を撮影し画像処理ソフト等を用いて鋭角の角度を測定することにより測定することができる。
また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。
上記の手順に従って、第1の表面が有する凸部の先端部の粗さRz1、第2の表面が有する凸部の先端部の粗さRz2、及び、Rz1とRz2との平均値Rzを測定する。
上記Sm1とSm2との平均Smの代わりにSm1を、上記R1とR2との平均Rの変わりにR1を用いた場合、及び、上記Sm1とSm2との平均Smの代わりにSm2を、上記R1とR2との平均Rの変わりにR2を用いた場合の両方で、上記式(1)及び上記式(2)を満たすことが好ましい。R/Smは、0.3未満であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.11以下であることが更に好ましい。
上記Rz1、上記Rz2、及び、上記Rz1とRz2との平均値Rzは、1を超えることがより好ましく、5以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、凸部の先端部の粗さRzは、30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
下記式(4)は実質的に単位面積内の接触点の密度を表す。単位面積内の接触点は、2つの面の凸部の交差点となるため、相後の凸部の個数の乗数となる。仮に1mm2内で中間膜の凸部同士が接触する個数を想定すると、一方の面の1mm2内の凸部の個数は(1000/Sm)であり、更にもう一方の面の1mm2内の凸の個数は、交差角によって依存し、(1000/Sm)×Sinθと相関する。以上のことから式(4)が導き出される。
式(4)の右辺は、2.2を超えることがより好ましく、5以上であることが更に好ましく、9以上であることが特に好ましく、20以上であることが特に好ましい。
また、上記Sm1、上記Sm2、及び、上記Sm1とSm2との平均値Smは、400μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましい。また、上記R1、上記R2、及び、上記R1とR2との平均値Rは、100μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。
上記表面の粗さRzは、JIS B−0601(2001)に準拠して、刻線方向の凹部が連続する方向に対して横断するように垂直方向に測定することで得られる。ここで、測定機としては例えば小坂研究所社製「Surfcorder SE300」等を用いることができ、測定時のカットオフ値は2.5mm、基準長さは2.5mm、測定長さを12.5mmとし、予備長さを2.5mmとし、触診針の送り速度は0.5mm/秒、触針形状は先端半径2μm、先端角60°のものを用いる条件により測定することができる。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。また測定する中間膜は測定時の環境下で3時間以上静置した後に測定する。
本発明の合わせガラス用中間膜が多層構造である場合には、2層以上の樹脂層として、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを有し、かつ、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが異なる性質を有することにより、1層だけでは実現が困難であった種々の性能を有する合わせガラス用中間膜を提供することができる。
上記熱可塑性樹脂として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、上記樹脂層はポリビニルアセタール、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましく、ポリビニルアセタールを含有することがより好ましい。
上記可塑剤としては、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられる可塑剤であれば特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機可塑剤や、有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物等のリン酸可塑剤等が挙げられる。
上記有機可塑剤として、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート等が挙げられる。なかでも、上記樹脂層はトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、又は、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好適に用いられる。上記接着力調整剤として、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記塩を構成する酸としては、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、2−エチル酪酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。合わせガラスを製造するときに、ガラスと樹脂層との接着力を容易に調製できることから、ガラスと接触する樹脂層は、接着力調整剤として、マグネシウム塩を含むことが好ましい。
ポリビニルアセタールAとポリビニルアセタールBとの性質が異なるため、1層だけでは実現が困難であった種々の性能を有する合わせガラス用中間膜を提供することができる。例えば、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、ポリビニルアセタールAの水酸基量がポリビニルアセタールBの水酸基量より低い場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が低くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より軟らかくなり、合わせガラス用中間膜の遮音性が高くなる。また、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、ポリビニルアセタールAの水酸基量がポリビニルアセタールBの水酸基量より高い場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が高くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より硬くなり、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。
上記ポリビニルアセタールXは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアセタールXは、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、好ましい上限5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度を200以上とすることにより、得られる遮音中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、遮音層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
なお、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記アセタール基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタールXのアセタール基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
上記保護層は、例えば、ポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することが好ましく、ポリビニルアセタールXより水酸基量が大きいポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することがより好ましい。
また、上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度を200以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、保護層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
上記炭素数が3〜4のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n−ブチルアルデヒド等が挙げられる。
また、合わせガラスの遮音性がより一層向上することから、上記遮音層におけるポリビニルアセタールX100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Xともいう。)は、上記保護層におけるポリビニルアセタールY100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Yともいう。)より多いことが好ましく、5質量部以上多いことがより好ましく、15質量部以上多いことが更に好ましく、20質量部以上多いことが特に好ましい。含有量X及び含有量Yを調整することにより、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、合わせガラスの遮音性がより一層向上する。
上記保護層の厚さは、上記保護層の役割を果たし得る範囲に調整すればよく、特に限定されない。ただし、上記保護層上に凹凸を有する場合には、直接接する上記遮音層との界面への凹凸の転写を抑えられるように、可能な範囲で厚くすることが好ましい。具体的には、上記保護層の最小厚みの好ましい下限は100μm、より好ましい下限は300μm、更に好ましい下限は400μm、特に好ましい下限は450μmである。上記保護層の最大厚みの上限については特に限定されないが、充分な遮音性を達成できる程度に遮音層の厚さを確保するためには、実質的には1000μm程度が上限であり、800μmが好ましい。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層を有する紫外線遮蔽ガラスも用いることができる。更に、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板との間に、本発明の合わせガラス用中間膜を積層した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
(保護層用樹脂組成物の調製)
平均重合度が1700のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量1モル%、ブチラール基量69モル%、水酸基量30モル%)100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)36質量部を添加した。更に、接着力調整剤として、2−エチル酪酸マグネシウムと酢酸マグネシウムとの混合物(質量比で1:1)を、マグネシウムの含有量が50ppmとなるように添加した。ミキシングロールで充分に混練し、保護層用樹脂組成物を得た。
平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量12.5モル%、ブチラール基量64モル%、水酸基量23.5モル%)100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)76.5質量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間層用樹脂組成物を得た。
得られた中間層用樹脂組成物と保護層用樹脂組成物を、共押出機を用いて共押出することにより、保護層用樹脂組成物からなる第1の保護層、中間層用樹脂組成物からなる中間層及び保護層用樹脂組成物からなる第2の保護層がこの順に積層された3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。
なお、凹凸付与後に得られる合わせガラス用中間膜において、第1の保護層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが525μm、最小厚みが350μm、中間層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが150μm、最小厚みが100μm、第2の保護層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが525μm、最小厚みが350μm、中間膜全体の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが1200μm、最小厚みが800μmとなるように押出条件を設定した。
第1の工程として、下記の手順により合わせガラス用中間膜の両面にランダムな凹凸形状を転写した。まず、鉄ロール表面に、ブラスト剤を用いてランダムな凹凸を施した後、該鉄ロールをバーチカル研削し、更に、より微細なブラスト剤を用いて研削後の平坦部に微細な凹凸を施すことにより、粗大なメインエンボスと微細なサブエンボスをもつ同形状の1対のロールを得た。
該1対のロールを凹凸形状転写装置として用い、得られた合わせガラス用中間膜の両面にランダムな凹凸形状を転写した。この時の転写条件として、合わせガラス用中間膜の温度を80℃、上記ロールの温度を145℃、線速を10m/min、プレス線圧を0〜200kN/mとした。
次いで、合わせガラス用中間膜の第2の表面にも同様の操作を施し、底部が連続した溝形状の凹部を付与した。その際、第1の表面に付与した底部が連続した溝形状(刻線状)の凹部と、第2の表面に付与した底部が連続した溝形状(刻線状)の凹部との交差角度が20°となるようにした。
光学顕微鏡(SONIC社製、BS−8000III)を用いて、得られた合わせガラス用中間膜の第1の表面及び第2の表面(観察範囲20mm×20mm)を観察し、隣接する凹部の間隔を測定したうえで、隣接する凹部の最底部間の最短距離の平均値を算出することにより、第1の表面の凹部の間隔Sm1及び第2の表面の凹部の間隔Sm2を測定したところ395μm及び392μmであった。なお、観察する箇所は得られた合わせガラス用中間膜の厚みが厚い方の端部から、10cm、15cm及び20cmの3箇所を観察し、その平均値を第1の表面の凹部の間隔Sm1及び第2の表面の凹部の間隔Sm2とした。
また、片刃カミソリ(フェザー安全カミソリ社製 FAS−10)を用いて中間膜を刻線状の凹部の方向に対して垂直方向、かつ、膜厚み方向に平行に、切断面を変形させないように、カミソリを凹部と垂直方向に滑らせることなく、厚み方向に平行方向に押し出すことで切断し、その断面をマイクロスコープ(オリンパス社製「DSX−100」)を用いて観察し、測定倍率を277倍にて撮影し、更に撮影画像を50μm/20mmになるように拡大表示させた状態で、付属ソフト内の計測ソフトを用いて、凸形状の頂点に内接する円を描いたときの該円の半径を該凸部の先端の回転半径とする方法により、第1の表面の凸部の回転半径R1及び第2の表面の凸部の回転半径R2を測定したところ37μmであった。この際、測定時の環境は23℃及び30RH%下であった。
また、JIS B−0601(2001)に準拠して、刻線方向の凹部が連続する方向に対して横断するように垂直方向に測定することで、上記第1の表面及び上記第2の表面の粗さRzを得た。ここで、測定機としては小坂研究所社製「Surfcorder SE300」等を用い、測定時のカットオフ値は2.5mm、基準長さは2.5mm、測定長さを12.5mmとし、予備長さを2.5mmとし、触診針の送り速度は0.5mm/秒。触針形状は先端半径2μm、先端角60°のものを用いる条件とした。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下とした。また測定する中間膜を測定時の環境下で3時間以上静置した後に測定した。
得られた合わせガラス用中間膜の第1の表面の凸部の先端部の粗さRz1及び第2の表面の凸部の先端部の粗さRz2を、3次元粗さ測定器(例えば、KEYENCE社製「KS−1100」、先端ヘッド型番「LT−9510VM」)及び付属の測定ソフトであるKS−measureを用いて、JIS B 0601(1994)に準拠した十点平均粗さとして、以下の手順によって測定した。
合わせガラス用中間膜の表面の粗さを2cm×2cmの視野範囲で測定し、得られたデータにおいて該凸部の頭頂部を頂部が連続している方向に平行した方向に2.5mmの長さの粗さを10点測定し、その平均値を凸部の先端部粗さとする方法により求めた。なお、上記の2.5mmの長さの粗さを10箇所選択する際には、それぞれの2.5mmの長さの線同士が50μm以上離して測定した。ここでいう2.5mmの長さの粗さとは、付属の解析ソフトである「KS−Analyzer Ver.2.00」の線粗さ計測モードにて、長さ指定条件にて長さを「2500μm」に指定し、得られた3次元画像データの当該部を選択し、粗さプロファイルデータから得られる「Rz」のことを指す。粗さプロファイルデータを得る際の設定値は、カットオフ値として2.5mmを選択した。高さスムージング及び傾き補正は使用しなかった。視野範囲以外の測定条件はステージ送り条件は連続送りとし、走査方向は双方向、先行軸はX軸、ステージ移動速度は250.0μm/s、軸送り速度は10000.0μm/sに設定した。更に、X軸の測定ピッチを2.0μm、Y軸の測定ピッチを2.0μmに設定した。
先端部粗さの測定における、上記凸部の頭頂部とは、上記2cm×2cmの視野範囲に存在する隣接する2つの凹部の、最底部間同士を最短距離で結んだ直線の中心に凸部の最大が位置する場合は、最底部間同士を最短距離で結んだ直線の中心から、上記最底部間同士を最短距離で結んだ直線の長さの10%に相当する範囲とした。また、最底部間同士を最短距離で結んだ直線の中心に凸部の最大が位置しない場合は、最底部間同士を最短距離で結んだ直線上に存在する凸部の最大から、上記最底部間同士を最短距離で結んだ直線の長さの10%に相当する範囲とした。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下とした。
合わせガラスを作製した後、温度25℃、湿度30%の環境下で4週間静置した。その後、合わせガラスを液体窒素により冷却することでガラスと合わせガラス用中間膜を引き剥がした。得られた保護層及び遮音層を、厚さ方向に切断し、温度25℃、湿度30%の環境下に2時間静置した後、保護層と遮音層との間に指又は機械を入れ、温度25℃、湿度30%の環境下で剥離し、保護層および遮音層それぞれについて10gの長方形状の測定試料を得た。得られた測定試料について、ソックスレー抽出器を用いて12時間、ジエチルエーテルで可塑剤を抽出した後、測定試料中の可塑剤の定量を行い、保護層及び中間層中の可塑剤の含有量を求めた。
用いるポリビニルブチラールのアセチル基量、ブチラール基量及び水酸基量を表1に示すように変更し、第1の表面及び第2の表面の凹部の間隔Sm1及びSm2、凸部の回転半径R1及びR2、凸部先端部の粗さRz1及びRz2、表面の粗さRzを表1に示したように変更し、第1の保護層、中間層及び第2の保護層の厚み及び断面形状を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法により合わせガラス用中間膜を作製した。
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜について、以下の方法により自着力の評価を行った。結果を表1〜3に示した。
なお、合わせガラス用中間膜を搬送する機械や人力での剥離のためには、自着力は25N/15cm以下であることが好ましく、20N/15cm以下であることがより好ましく、13N/15cm以下であることが更に好ましく、8N/15cm以下であることが特に好ましい。
2 任意に選択した一の凹部に隣接する凹部
3 任意に選択した一の凹部に隣接する凹部
A 凹部1と凹部2との間隔
B 凹部1と凹部3との間隔
10 合わせガラス用中間膜
11 第1の表面の底部が連続した溝形状の凹部
12 第2の表面の底部が連続した溝形状の凹部
20 第1の表面又は第2の表面の凹凸
21 底部が連続した溝形状の凹部
22 凸部
Claims (6)
- 第1の表面及び該第1の表面とは反対側の第2の表面に多数の凹部と多数の凸部とを有する合わせガラス用中間膜であって、
前記第1の表面及び第2の表面が有する凹部は、底部が連続した溝形状(刻線状)を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列しており、
前記第1の表面が有する前記底部が連続した溝形状(刻線状)の凹部と前記第2の表面が有する前記底部が連続した溝形状(刻線状)の凹部との交差角をθとしたときに下記式(1)を満たし、前記第1の表面及び第2の表面が有する前記底部が連続した溝形状(刻線状)の凹部の間隔を、それぞれSm1(μm)及びSm2(μm)とし、前記凸部の回転半径を、それぞれR1(μm)及びR2(μm)としたときに、Sm1とSm2との平均値Sm及びR1とR2との平均値Rが下記式(2)を満たし、
前記第1の表面及び第2の表面が有する前記凸部の先端部の粗さを、それぞれRz1(μm)及びRz2(μm)としたときに、Rz1とRz2との平均値Rzが下記式(3)を満たし、
一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きい
ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 前記交差角θが90°未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記Sm1とSm2との平均値Smが200μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記交差角θが20°以上であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記Sm1及びSm2は、208μm以下であり、
前記Rz1及びRz2は、1以上、2.8μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の合わせガラス用中間膜。
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